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総合福祉部会 第7回 H22.9.21 参考資料2

障がい者制度改革推進会議・総合福祉部会部会長殿

第6回総合福祉部会「論点D,E,Fについて8月31日に議論していただきたいポイント」にかんする追加意見

岡部 耕典

 「時間の都合上」ということで書面による提出を求められた発言内容を以下に記します ので、今後検討チームが議論するときの論点に追加していただければ幸いです。

E 地域移行について

○「地域移行」という名称の変更について

 「地域移行」ということばは無意識に政策の客体・対象者として障害当事者を観念させ るという点においては「施設収容」と大同小異の政策概念といえます。作業チームの議論 をミスリードしないためにも、権利条約第19 条の趣旨を体現し他の者と平等に自立して暮らす生活を実現する政策であることを前提として、「自立生活」あるいは「自立生活の実現」等の名称に変更すべきではないでしょうか。また、「自立して生活する」とはたんに「入所施設や病院ではないところで暮らす」ということではないので、「自立生活」の概念規定にかんする議論も十分行うべきと思います。

○政策課題の確認とそのために必要な財源確保の考え方について

 発言を聞いていて、作業チームの議論が「地域vs.施設」「限られたパイの分捕り合い」という対立構造に矮小化させるのではないかという懸念を抱きました。「地域移行」という名称を変えるとともに、議論すべき政策の焦点が、「たんに障害者を地域に移行させること(=たんにどれだけ施設を減らすのか)」ではなく、「障害のある者に対しても他の者と平等に自立して暮らす生活を実現すること(=いかにして地域の自立生活支援を充実させるのか)」にあることを改めて確認する必要があると思います。
 なお、権利条約の批准と履行を前提とした制度改革において、「自立生活の実現」はそのもっとも核となる施策のひとつであることには異論はないと思います。そうであれば、そのために必要な予算の確保は必ずしも「限られたパイの分捕り合い」、すなわち、これまでの障害者自立支援法予算の組み替え・付け替えの範囲に限定されない政策的経費として考えられるべきものであり、必要となる予算確保も含めた調整については障がい者制度改革推進本部が「省庁横断的に」行っていただきたいということを、総合福祉部会として確認し求めていく必要があるのではないでしょうか。

F 地域生活の資源整備について

○自立支援協議会の法定化について

 「法定化は不要」という委員はサービス利用者不在の運営やサービス抑制のツールとな ることを危惧するものが多く、他方、「法定化は必要」というご意見の委員においても、 現行の自立支援協議会の運営がその点について万全であると思う方はほとんどいらっし ゃらないようにお見受けしました。
 そうであれば、自立支援協議会が「地域の関係機関によるネットワーク構築等に向けた 協議」「困難事例への対応のあり方に関する協議、調整」「地域の社会資源の開発、改善」(資料2、60ページ)を実施する際に「サービス利用者主体の運営」となることを担保する具体的で実効性のあるしくみを新たに構想することが出来れば、地域自立支援協議会の法定化にかんする議論は大きく前進するのではないかと思います。
 具体的には、「構成員において介護等サービスを多く使う障害当事者を過半数とする」 「当事者団体によるチェックシステムを設ける」等の大濱委員のご提案などが大いに参考 にされるべきでしょう。自立支援協議会が法定化により有することになる力の大きさ、さ らに利用者と事業者の非対称性を前提とすれば決して「過激」な案とはいえないと思いま すが、いかがでしょうか。