総合福祉部会 第9回 H22.11.19 資料6
部会作業チーム(地域生活支援事業の見直しと自治体の役割)議事概要(10月26日分)
1.日時:平成22年10月26日(火)14:00~17:00
2.場所:厚生労働省低層棟2階講堂
3.出席者
森座長、竹端副座長、石橋委員、坂本委員、西滝委員、渡井委員
4.議事要旨
(地域生活支援事業総論について)
- 対象者が多い地域は必要なサービスが集まり、対象者が少ない地域はその逆。
- 地域の風土・文化によるサービス水準の違いは格差ではなく個性とも考えられる。地域の多様な取組みを促す法律であってほしい。
- ナショナルミニマムで保障すべき事業と自治体が独自に実施できる事業と両方必要。前者を個別給付とする。現状はナショナルミニマム的なものも地域生活支援事業となっている。
- 地域間格差を無くし、ナショナルミニマムを担保するためには、都道府県レベルでの市町村間の差を調整する広域的な取組みが機能するシステムが必要。
- 日常生活に関わる事業については義務化してほしい。個別給付に組み込む場合でも応益負担を廃止した形で移行してほしい。
- 基本は基礎自治体が担うが、できないところは補完性の原則で広域的に。
【まとめ】地域生活支援事業は、できるだけ個別給付・義務的経費化し、自治体の裁量として残す方がよいものは残すという方向にする。
(コミュニケーション支援や移動支援について)
- コミュニケーション支援については、最低でも、自己負担は無くすべき。手話通訳の派遣でも、派遣範囲が狭い。
- 盲ろう者は視覚と聴覚の両方に障害を併せ持つため、ガイドヘルパーや手話通訳等、単独障害を想定したサービスの利用資格があったとしても使えない人が多い。盲ろう独自のサービスを他の福祉サービスと同様設け、障害者自身が自分に適したサービスを選択できるようにするべき。
- 手話通訳は緊急に会合があっても、すぐに使えない。視力障害者は、自身が支援者を確保しているようにろう者が手話通訳者を確保できないのだろうか。
- 通訳者の数が足りない。コミュニケーション支援は必須だが、養成は任意。
- 手話通訳を無料にするなら、移動支援も無料とすべき。
- 重度肢体不自由者のコミュニケーション支援機器の開発が必要。
- 住まいの場と日中生活の場を分けたのはいいが、それをつなぐ移動支援が不十分。範囲が狭い。
【まとめ】コミュニケーション支援と移動支援については、「聞く」「見る」「歩く」「動く」という基本的権利の保障であり、自治体の裁量には馴染まないものである。
(通勤・通学について、労働行政と教育行政との役割分担や財源をどう考えるかについて)
- 労働と捉えれば、労働行政で対応すべき。行政で義務教育までは保障すべき。支援の範囲を広げるべき。
- 全て総合福祉法で対応するのは不可能と考える。それぞれの分野で対応すべき。
【まとめ】移動支援の内容については、就労部会や訪問系サービス部会で議論して頂く。
(地域活動支援センターの再編成について)
- 小規模作業所の救済的な意味合いもある。個別給付にも作業はいろいろあり、個別給付に吸収すべきでないか。
- Ⅰ型は精神が対象で、当事業になじまない。Ⅲ型も共同作業所である。Ⅱ型は本来のエンパワメントの支援である。
- 地域生活支援事業から外して個別給付化していいのではないか。
- いろんな事業をやらないと成り立たない。人件費がかかってしまう。個別給付化して、きちんと財源を保障すべき。
【まとめ】地域活動支援機能強化事業の内容については、就労の面と日中活動の場の面があり、就労部会でも議論して頂く。
(補装具・日常生活用具給付等について)
- 日常生活用具給付等事業は補装具に一本化すべき。
- 給付方法は現物給付の方がよい。
- 補装具の自己負担をなくすべき。
【まとめ】日常生活用具給付等事業は個別給付である補装具に一本化すべきである。
(地域生活のサポートにおける自治体の役割について)
- 地域間格差があるのは社会資源が整備されていないことが問題。
- 「社会資源」と言っても個々によってその捉え方が異なる。何を整備すればよいのか、何が足りないのか皆思っていることは違う。
- 障害者権利条約第19条(特定の生活様式を義務づけられない)を自治体レベルで実現することが必要。
- 市町村にコミュニケーション支援が出来る支援者の確保ができていないことが問題。支援者を養成するためのコーディネーターの配置やその人件費を保障すべき。
- また、派遣事業の業務をするためのコーディネーターを配置し、人件費・事務経費の保障をしてほしい。新たなサービスが創設されても、サービスをコントロールして調整してくれる人がいなければ利用できない。
- 社会資源があっても利用できる環境が整備されていなければ、社会資源とはいえない。社会資源につなぐコミュニケーション支援は重要。
- ボランティアなどの様々な社会資源を法的に位置付ける視点も重要。
- あいサポート事業(鳥取県)のような取り組みが大切。
- 障害への理解に対する動機付けのようなものを法に位置付け、国民の総意に支えられた法であるべきではないか。
- 地域主権も大切だが、障害者福祉について全て自治体に任せた場合、施策は進まない。最低ラインはあるべき。
- 障害者が必要と考える生活水準、シビルミニマムの保障を考えなければならない。
- ハード整備など、緊急のものは、例えば5カ年計画などつくるべきか。
- 全国の地域に手話サークルがあるが行政の支援なくやっている。このようなインフォーマルなサービスを重視してほしい。国民的なサポートの理念があると良い。
- 緊急のものは何らかの数値目標が必要。
- 障害のある子どもをもったことを受容するための家族支援が必要。
【まとめ】緊急かつ重要な地域における社会資源整備は、ゴールドプランなどに代表されるような、義務的な数値目標を定めた基盤整備を行う。それと同時に、障害の問題についての理解を深める広義の普及啓発についても、中長期的な戦略として、自治体施策の中に盛り込む。後者については、障害者基本法に関する課題でもあり、推進会議でもご検討頂く。また、障害児(乳幼児)にかかる家族への支援については、障害児部会でご検討頂く。
(障害福祉計画と地域自立支援協議会、個別支援計画の連動について)
- 市町村が独自に作っている障害福祉計画は少ない。外部に丸投げが多い。
- 当事者が入って作成することが必要。
- 障害者のニーズを把握しないで作成していること、また、市町村と都道府県の障害福祉計画に一貫性がないことが問題。
- 私の町では、介護保険で、100人手上げ方式によって計画を作成したが、民間の応募者の質は高かった。
- 官民連携や、個別支援計画と障害福祉計画をつなげる事の必要性について、都道府県レベルでの自治体の人材育成支援をしないと、自立支援協議会の成功にはつながらないのでは。
- 本人中心の個別支援計画を障害福祉計画につなげるための議論の場を法的に義務づけることが必要。
- 計画作りも官民の連携を図ることが重要。
- 障害福祉計画と自立支援協議会はリンクしなければならない。
- 地域包括支援センターを核にして、子ども、高齢者、障害者に対応できるセンターを自治体の責任で必ず1か所設置するようにすることが必要ではないか。
- 例えば人口7万人を越えるような自治体は障害者のみに対応する拠点があることにメリットがあるし、それ以下の人口規模の自治体でも独自で拠点を置くメリットを感じている市町もある。「必ず設置しなければならない」ではなく、スケールメリット等も検討しながら自治体に裁量をもたせることが必要。
- 障害者施策推進協議会と地域自立支援協議会では、多くの自治体で役割が重複しているのではないか?
【まとめ】本人中心の個別支援計画を障害福祉計画につなげるため、地域自立支援協議会の法的位置づけが必要。また、同協議会が実態的に機能するためには、委員の公募方式の採用や、運営支援に関する研修等も求められる。また、障害者自立支援協議会を単独設置するか、高齢者の地域包括支援センター機能との共同設置か、については、自治体の規模やニーズに応じて選べるような制度設計が必要である。また、障害者基本法に基づく障害者施策推進協議会と、地域自立支援協議会では、多くの自治体で役割や人選が重複している。この二つの協議会のすみ分けや役割分担、整理については、親会議でご検討頂く。
以上