差別禁止部会 第10回(H23.11.11) 資料1 平成23年7月8日 最高検察庁 検察改革−その現状と今後の取組−  本年4月8日,法務大臣から「検察の再生に向けての取組」として,様々な改革策の検討・推進に関する指示を受けた。  最高検においては,検察改革推進室を設置し,各部連携の下,全国各地の検察庁とも必要な連携を図りつつ,これに取り組んできた。  指示を受けてから3か月が経過するに当たり,これまでに着手した取組を含む改革の現状と今後取り組むべき施策を下記のとおり取りまとめた。  最高検は,今後とも,検察改革に積極的に取り組んでいくこととする。 記 ○ 検察官の使命・役割を示した基本規程の制定  各庁において,若手検事及び検察事務官を含む多数の職員の間で議論を行ってきた。引き続き,幅広い議論・検討を行うとともに,外部の有識者からも意見を聴取し,最高検において意見の集約を図り,本年10月までに基本規程を制定する予定である。 ○ 分野別の専門委員会の設置  専門分野に関する知見を組織的に集積し,これを有効に活用することを目的として,本日,最高検に,金融証券,特殊過失,法科学,知的障がい,国際及び組織マネジメントの各分野について,検察庁職員を構成員とする専門委員会を設置した。  各専門委員会においては,今後,外部専門家とも連携して検察の組織としての専門的知見の蓄積と向上を図り,検察の現場において,個々の検察官がこれを有効に活用できるよう必要な支援を行っていく。 ○ 検察改革に関する専門部署の設置  検察改革を積極的かつ着実に推進することを目的として,本年4月8日,最高検に検察改革推進室を設置した。  検察改革推進室は,改革策の実施状況の検証と必要な見直しを行いつつ,検察改革を最高検のリーダーシップの下で推し進めていく。 ○ 特捜部の組織の在り方  特捜部は,財政経済関係事件への対応をより強化することとし,金融証券分野をはじめとする専門委員会(前述)の活動と連携して,その専門性の向上を図るとともに,国税当局,証券取引等監視委員会,警察等の関係機関との連携を一層強め,そのための組織体制・編成を整えることとする。  特捜部の捜査は,検事長の指揮,高検特別捜査係検事の指導等による「上からのチェックに加え」て,総括審査検察官による「横からのチェック」(後述)を受けるほか,他の検察組織と同様に,その捜査及び組織運営の在り方が,最高検監察指導部(後述)の監察活動及び調査活動の対象となる。 ○ 特捜部の独自捜査に対する「横からのチェック」体制の構築  本年5月1日から,総括審査検察官制度を発足させ,特捜部が取り扱う事件のうち大規模又は複雑困難と認められる事件について,特捜部以外に所属する総括審査検察官が審査を行い,必要な意見を述べることとした。 ○ 公判段階における組織的なチェック体制の構築  本年4月26日から,特捜部に所属する検察官が起訴した事件について,公判段階で重大な問題が生じた場合等には,公判部において特捜部長や高検の特別捜査係検事等と協議を行うこととした。  また,本日から,特捜部以外の事件についても,同様の場合には,地検の担当検事等が高検の担当検事と協議を行うこととした。 ○ 違法・不適正行為の監察の実施  本日付けで,最高検に監察指導部を新設し,検察官又は検察事務官の違法・不適正行為に適切に対処するとともに,検察の組織運営の適正を確保するため,監察等の実施及び組織運営に関する調査並びにこれらに基づく指導を充実強化することとした。  監察指導部においては,違法・不適正行為に関する内外からの情報を把握・集約して分析・検討を行い,必要に応じて監察を実施するほか,検察の組織運営全般に関し,積極・消極を問わず,また,部下から上司に対する評価も含めた諸情報についても,調査を実施し,あるいは,意見提案窓口を設けるなどして幅広い把握・集約に努め,これらに基づき必要な指導等を行うことする。  監察制度の適正性・公正性を担保するため,外部の有識者を参与として委嘱し,参与に対して定期的に監察の実施結果を報告して,その意見を聞くとともに,必要な助言を受けることとする。 ○ 検察運営全般に関して外部の有識者から意見・助言を得られる仕組みの構築  検察運営全般の実情について,外部の有識者に報告するとともに,検察運営の在り方に関し,適切な意見・助言を得ることを目的として,本日,外部の有識者を参与として委嘱し,最高検において検察運営全般に関する参与会を開催していくこととした。 ○ 特捜部における被疑者取調べの録音・録画の試行  特捜部においては,本年3月18日以降に被疑者を逮捕した事件について,録音・録画の試行を実施することとし,本年4月26日付けの運用要領により,対象となり得る事件については原則として全ての事件について試行を実施することや,取調べの全過程の録音・録画を含めて試行の対象とすることなどを定めた。 ○ 特別刑事部の独自捜査事件の被疑者取調べの録音・録画  特別刑事部においては,既に各庁の実情に応じて可能な範囲で試行を開始しているところ,本日から,機器の整備状況を踏まえた上で,対象となり得る事件については,原則として全ての事件について試行を実施することや,取調べの全過程の録音・録画を含めて試行の対象とすることとした。 ○ 知的障害によりコミュニケーション能力に問題がある被疑者等に対する取調べの録音・録画  既に東京地検等で準備的な試行に着手しているところ,本日から,同地検,大阪地検及び名古屋地検を中心に,機器の整備状況を踏まえ,また,専門家の意見を聴取しつつ,取調べの全過程を含む広範囲な録音・録画を行うなど,様々な試行を積み重ねることとし,上記以外の地検においても,各庁の実情に応じて可能な範囲で試行を行うこととした。