差別禁止部会 第10回(H23.11.11) 参考資料3 「障害者に対する障害を理由とする差別事例等の調査」 (平成21年3月内閣府委託調査)(抜粋) ※下記の事例・事案は、「障害を理由とする差別に当たると考え、してほしくないこと」 及び「障害によって区別や排除が制限されないように、配慮や工夫をしてほしいこと」 を障害者に自由記述で尋ね、収集したものの一部である。 ◆8−1「政治・行政・司法」(差別関係) 1 窓口や議会・審議会・裁判の傍聴などで差別的に取り扱う ○本人ではなく付き添いの者に話すこと ○言ってもわからないだろうと必要な説明をしないこと ○電話で「ほかの者にかわって」と言うこと ○聞こえないなら来なくていい、と言うこと など 【記述の例】 ・「時間がないから」という理由で説明を省かないでほしい(盲ろう、50代、男性) ・難しい言葉で説明すること、解らない資料で話をすること(知的障害、30代、男性) 2 窓口や議会・審議会・裁判の傍聴などでの対応を制限する ○家族や介助者、手話通訳者などの同伴を求めること など 【記述の例】 ・障害者が座る座席を決めつけ、そこへ着席するため、一般の人と分けて入場を促された(視覚障害、50代、女性) ・聞こえないことを伝えると「聞こえる人と来て下さい」と言う(聴覚障害、60代、女性) 3 窓口や議会・審議会・裁判の傍聴などで差別的な言動をする ○子どもに話しかけるような言葉づかいをすること など 【記述の例】 ・障害者の話を途中で切らないで最後まで聞いてほしい。(盲ろう、60代、女性) ・対等の立場で対応してほしい。上からの目線でなく(聴覚障害、70代以上、女性) ◆8−2「政治・行政・司法」(配慮工夫関係) 1 施設や設備について配慮や工夫をしてほしい ○行政機関、議会、裁判所、投票所などに、スロープ、エレベーター、車いす用・オストメイト用トイレ、車いす用の座席などを設置すること など 【記述の例】 ・車いす利用者も同じ導線で行動できる施設であって設備にしていただきたい。舞台席がある時は昇降機の設置を義務か願いたい。(肢体不自由、60 代、男性) ・オストメイトの排泄は腹部であることを理解して、車いすトイレと共にオストメイト用トイレの設置が必要です。(内部障害、60 代、女性) 2 窓口や議会・審議会・裁判の傍聴などでの情報の確保について配慮や工夫をしてほしい ○筆談に応ずること、必要に応じて代筆を認めること ○手話通訳、パソコン要約筆記を行うこと、磁気誘導ループなどの補聴装置、電光表示版を設置すること ○点字・拡大文字の資料などを用意すること など 【記述の例】 ・視障者の分かり易い資料とその配慮(点字でも当日にバク大な量の資料では現場で読み 切れない)・スライド様のものについて充分な説明を(視覚障害、50 代、男性) ・裁判所で証人になったときのこと、手話通訳はついたが裁判長は、ここは「手話通訳し なくてよい」と勝手なことを言った。裁判の進行を知るのも証人の権利と思う。裁判員 制度が施行されるので気になる。(フェイスシート記載なし) 3 連絡通知、公報などについて配慮や工夫をしてほしい ○行政の連絡通知や公報、選挙公報の、点字版、録音版、拡大文字版を作ること。音声コードを付けること ○電子メール、ホームページ、ファックスなどで通知すること など 【記述の例】 ・点字、音声コードの貼布、データでの提供、メールの活用など、いろいろの手段を用いるようにしてほしい。(視覚障害、50代、女性) ・市町村の広報には催しの申込みなど、TEL番号だけでなくFAX番号も必ずのせてほしい。電話だけでは、耳の不自由な人は困る(聴覚障害、70 代以上、女性) 4 手続きなどについて配慮や工夫をしてほしい ○行政への連絡や申請、裁判手続きを、点字、電子メールやホームページ、ファクスでできるようにすること ○手続きのわかりやすい説明をすること、書類にかなをふること など 【記述の例】 ・行政への連絡や申請、裁判手続きを郵送でもできるようにすること。行政手続きなどをわかりやすく簡略化すること。福祉行政に関わる情報などは、行政から障害者に対して積極的に情宣すること。(視覚障害、50代、女性) ・申請書等の書類内容が障害者にとって解りにくい。手続きをもっと簡単に出来る様にしてほしい。(精神障害、40代、男性) 5 選挙について配慮や工夫をしてほしい ○テレビの政見放送に手話や字幕を入れること ○政見放送の内容をわかりやすくすること ○必要な点字投票用紙や点字器を用意すること ○成年被後見人となっても選挙権を認めること ○投票用紙の記入台を明るくすること、低い記入台を設置すること など 【記述の例】 ・第三者が行う候補者の公開討論会などにも手話や字幕を入れること。政治的活動に手話通訳や文字通訳の派遣を認めないところがあるが、これは聴障者の知る権利を奪っている(聴覚障害、60代、男性) ・投票所に、手話のできるスタッフをいつも置いて欲しい。自分はろう+盲人なので、手の平に書かれるより触手話でのサポートを希望する。投票所で用意されている点字器は使いづらいので、使いなれている点字器の持ちこみを認めてほしい。手話スタッフを配置してほしい。(手話さえできれば、十分という盲ろう者は多くいる)(盲ろう、50代、男性) 6 災害対応などについて配慮や工夫をしてほしい ○聴覚障害者にはサイレンや音声に代わる伝達手段を用意すること ○防災訓練に各種別の障害者を参加させること ○避難所などで、障害者に配慮したスペースやトイレ、衛生用品、ストーマ用装具などを用意すること ○避難所などで、移動手段や介助者、手話通訳者、要約筆記者などを確保すること など 【記述の例】 ・視覚障害者には携帯電話などを通じて避難勧告などの情報が伝わるように体制を整備すること。避難所において、視覚障害者や聴覚障害者、知的障害者などに分かりやすい情報が適切に伝えられるよう、障害に応じた方法で情報提供すること(視覚障害、30代、男性) ・避難に際し、地域の要介護者の所在を官公庁が把握して、災害時に対応する、勧告などは障害者へは早めに出してほしい。地方自治体として責任を持って対応してほしい。耐震など、要介護者には自治体でおせっかいでも手を差し伸べてほしい。(精神障害、40代、男性) 7 関係者の障害への理解について配慮や工夫をしてほしい ○一般公務員や警察官に対して、各障害の特性などを理解させるための講習を行うこと ○障害者世帯などへの民生委員や自治会長の訪問活動を強化すること など 【記述の例】 ・各障害への理解は資料や文書だけで理解できる訳ではありません。どのような特性や不便なところがあるか実際に接してコミュニケーションをとりながら理解してほしいです。 (視覚障害、50代、女性) ・民生委員の定期的家庭訪問(転居して20 年以上たつが、過去に1 回あったのみ)市町村や自治会などでの、障害者のいる家庭の把握と、緊急事への対応策作りとその内容の、対象家庭への周知。(知的障害、30代、女性)