差別禁止部会 第11回(H23.12.9) 参考資料5 「障害者に対する障害を理由とする差別事例等の調査」 (平成21 年3月内閣府委託調査)(抜粋) ※下記の事例・事案は、「障害を理由とする差別に当たると考え、してほしくないこと」及び「障害によって区別や排除が制限されないように、配慮や工夫をしてほしいこと」を障害者に自由記述で尋ね、収集したものの一部である。 ◆5−1「建物・公共交通機関など」(差別関係) 1.鉄道、バス、タクシー、航空機、旅客船などの利用を拒否・制限する ○バス、タクシーなどで車いす利用者・白杖利用者などの乗車を拒否すること ○混み合うときは利用を避けてほしいと言うこと ○乗車の際に家族で対応してほしいと言うこと など 【記述の例】 ・白杖を持って一人でタクシーに乗ろうとした時、いきなりドアを閉められ、乗車拒否された経験がある(視覚障害、50 代、女性) ・公共バスで「7時〜9時は無理」と乗車拒否された。(肢体不自由、40 代、男性) 2.鉄道、バス、タクシー、航空機、旅客船などを利用するときに差別的に取り扱う ○タクシーで視覚障害者だとわかるとわざと遠回りすること ○乗員やほかの乗客が嫌な表情や態度をしたり、邪魔者扱いすること ○障害者を特定の座席に案内すること など 【記述の例】 ・タクシーで、乗せたくないという態度をとられたり、こちらが指定した場所でないところで降ろされて、非常に困る。(おろされた位置がわからない)(視覚障害、50 代、女性) ・外国旅行に行きたいと申込と旅行会社が、念書をかかせたり、同伴者を連れて来てほしいと言われる。(聴覚障害、50 代、女性) 3.鉄道の駅、空港、バスターミナルなどの利用を拒否・制限する ○駅の構造上利用が大変なのでほかの駅から乗ってくれと言うこと ○介助を頼んだ障害者を男性なのに女性専用車両に乗せること ○誘導や介助を頼むと時間制限があったり、3日前までの連絡や、1時間以上前の到着を 求めること など 【記述の例】 ・駅の構造上、人員上対応できないので利用を拒否されることはたくさんある。構造上は納得できても人員上の都合という理由は納得できない。(肢体不自由、20 代、男性) ・ホームまでの手引きを前もっての連絡なしだからと拒否すること。会議の終わりの時間が未定だったので直接新幹線の改札に行ったらいやな顔をされた。全盲は計画的に旅行しなければならないのかと友人が憤慨していた。歩行能力は高い全盲二人連れだったので。 (視覚障害、30代、女性) 4.市役所、ホテル、劇場などの施設の利用を拒否・制限する ○ほかのお客様に迷惑になるからと、外に出すこと ○障害者だけ最後列など特定の座席に案内すること ○障害を理由に宿泊や施設の利用を断ること ○オストメイトの入浴を拒否・制限すること など 【記述の例】 ・劇場(映画館)の車イス席が、最前列だった。大変観にくかった。遊園地の乗り物には、乗れるもの、乗れないものが、どうしてもあるが、利用料の割引きがなかった。(難病、20代、女性) ・人工肛門保有者(オストメイト)の銭湯又は私営プール等への入場を拒否すること。(内部障害、70代以上、男性) ◆5−2「建物・公共交通機関など」(配慮工夫関係) 1.鉄道、バス、タクシー、航空機、旅客船などを利用するときに配慮や工夫をしてほし い ○空港やバス、地下鉄、電車など、乗り換えの際の誘導ができるように、企業間の連携を密にすること ○タクシー券や障害者手帳を提示しても嫌な顔をしないで対応すること ○車内の電光表示・文字表示を増やすこと など 【記述の例】 ・鉄道などが突然止まって動かなくなるときに、事情を音声だけではなく、文字で知らせてほしい。新幹線で台風の為、途中で運転を打切るときも、電光表示板があるのに音声だけだった。(聴覚障害、60 代、男性) ・電動車いすで航空機を利用するとき、すでに事前に知らせてある車いすの状況や配慮してほしい事項をきちんと把握しておき、当日に何度もきいて時間をかけることのないようにする。(肢体不自由、20 代、女性) ・都営の無料パスで電車にのり、その電車が乗り入れの為、改札を出る時は、他社線の為、精算が必要です。ですが、改札が無人駅で自動精算ですと、無料パスは反応しないので、応答が必要になるのですが、障覚障害者には、むずかしいです。(聴覚障害、40代、女性) 2.鉄道の駅、空港、バスターミナルなどを利用するときに配慮や工夫をしてほしい ○障害者が介助者と一緒に休んだり、服薬などができる場所を作ること ○緊急時や、事故が起きたときのアナウンスを、音声だけでなく、電光掲示板などで表示すること。また文字だけでなく音声でも案内すること ○ホームや駅改札付近に案内のできる人を配置すること ○駅員との連絡のため、インターホンだけでなく、テレビインターホンを設置すること など 【記述の例】 ・バスはバス停では車外アナウンスをしてほしい。中心的なバス停には点字の時刻表を設置してほしい。バスの路線が変更される場合は、文字で書くだけでなく、盲人にもわかるように伝えてほしい。さんざん待ったがバスが来ないということが何度もあった。駅員は視覚障害者の誘導方法を身につけてほしい。誘導する際は、勝手に障害者専用通路などへ連れていくのではなく、階段とエスカレーターとエレベーターなど、選択肢を示し、どれを使いたいか、本人の意志を聞いて誘導してほしい。視覚障害者のホームからの転落事故などがおきないようホームに安全柵を設置してほしい。(視覚障害、50 代、女性) ・エスカレーターが途中までしかなく、とほうにくれる。ないなら、全くない方が親切。(肢体不自由、50 代、女性) 3.市役所、ホテル、劇場などの施設を利用するときに配慮や工夫をしてほしい ○内装や照明を、デザイン優先でなく弱視者などにも見やすくすること ○トイレやエレベータの使用時間に制限を設けずいつでも使えるようにすること ○劇場などでどこでも座れるよう、ひじ掛けや座席が取り外しができる椅子を設置すること ○ホテルの居室などで、ノックや緊急連絡用の電光表示を設置すること など 【記述の例】 ・ホテルなどの設備は、耳の不自由な者のことは全く考えていない所が大部分です。50 室以上のホテルには、せめて一室はTVは字幕を備え、外部からのノックは光で伝わるものがほしいです。(聴覚障害、70 代以上、女性) ・(航空、鉄道駅舎をふくめ)オストミー共用トイレが配慮されていない(肢体不自由、70 代以上、男性) 4.公園、道路、歩道、駐車場などの利用について配慮や工夫をしてほしい ○点字ブロックのうえに物や自転車を放置しないこと ○障害者専用駐車場に、雨に濡れないよう屋根をつけること ○民間のコインパーキングなどにも障害者用スペースを設けること など 【記述の例】 ・公園のトイレは昼間しか使えない場所もあるので24 時間開放にして欲しい。水飲み場は高い為、もうちょっと低くして欲しい。(重複障害、30 代、男性) ・スーパーなどの駐車場で障害者マークのある場所に一般の車が停めているのが目立ちます。(内部障害、50 代、男性) 5.制度について配慮や工夫をしてほしい ○障害者専用駐車場を法制化すること ○精神障害者や難病者なども鉄道運賃を割り引きすること ○トイレなどの公共物のデザインを統一すること ○運転免許を取得できない人の交通費を補助すること など 【記述の例】 ・どんな障がいでも手帳があれば運賃割引がほしい 軽度の人程出かけることが多くなっている(知的障害、40 代、男性) ・単独乗車でも半額にしてほしい。定期券を持っているんですが、一人で行く事もあるし、介助者と行く時もあるので、その時介助者は別に切符を買わないと行けないので2重払いになる。(肢体不自由、20 代、男性)