第13回差別禁止部会(H24.2.10) 太田修平委員 提出資料 2012年2月7日 第13回差別禁止部会への意見書 障がい者制度改革推進会議・差別禁止部会 構成員 太田修平 「第13回差別禁止部会における議論の内容について」お知らせと題する文書に基づいて、私の意見を表明させていただきたいと思います。 1、差別禁止部会における論点について(情報) 受信と発信に場合分けして議論すること→概ね理解できるが、分けないでも議論は成立するのではないかとも考えます。 障害者が受信する場合→@ABのような段階論は理解できる。ただ@は抗弁の余地はないと考える。Aについても、基本的には対象範囲であり、事業者や主催者の責任の範囲としっかりとらえる必要がある。ただ行政の補助金システムの整備ということも重要な課題となる。 Bは対象範囲に加えるには厳しいものがある。(その個人がどういう立場の個人によるかにも左右されるかもしれない) (2)何が差別か→聴覚に障害がある人が、それを理由に「危険だ」として、様々な場面から拒否されること、実質的に入りにくい雰囲気がつくられていること。視覚に障害がある人が、「サインできない」として、金融機関から現金を引き出したり、その他契約の制限を受けることなど。 (3)何が例外か→例えば、その人が手話を知らなかったりしたら仕方がないことだと考える。 (4)「合理的配慮」について→その人にとってより最適な仕方での受信である。例えば、手話で、字幕で、音声で、指点字で、場合によってはパソコンなどで・・・。なお情報分野の差別禁止は、視覚障害、聴覚障害、盲ろう者だけではなく、知的障害、精神障害、身体障害などあらゆる障害に必要とされるのは言うまでもない。 (5)「合理的配慮の例外」について→私としてはあまり認めたくありませんが、例えて言うならば、物理的状況などによっては、例外とされてもいい場合があるかもしれない。 障害者が発信する場合 (1)対象→@とAがレベルが違うことは明らかである。基本的には@にみられるような大きくても小さくても社会集団は対象に加えるべきである。その時にその集団の規模や財政力、内容等に鑑み、合理的配慮の例外規定をあてはめることができる可能性もある (2)何が差別か ・情報の受信を拒むこと→言うまでもなく差別 ・情報の受信に当たって不当な条件を付すこと→例えば役所など公共機関は、無条件に誰とでも対応しなければならないのに、「通訳者を連れてきてください」などと、障害者側に負担を課すような行為は差別である。 また、会社側が通訳者を保障すれば、その障害者は自らの可能性を発揮して、他の従業員と同等に働けるにもかかわらず、情報障害があるという理由で、採用を拒否したり、労働条件を低くしたり、解雇したりするのも差別 (3)何が例外か→熊本県の条例でいわれていることなのだろうと思う。 (4)「合理的配慮」について→通訳者、障害者が必要とする機器等を受信者自らの 責任で用意する。 (5)「合理的配慮」の例外について→純粋な私人間については、例外として構わな いと思う。 2、教育分野の論点 (1)対象とする教育(学校)範囲として、どのように考えるか→すべてを対象とすべき (2)直接差別的な(関連、間接も含め)類型としてどのような行為が差別となるのか→その子に障害があるという理由で、大多数の子とは異なる制度で、就学通知等を出したりすること。また学校にエレベーターや車いす用トイレ、光による警報装置など、本来設置されていなければならない設備がないこと。 (3)上記に関し、どのような場合に例外として正当化されるか→本人・保護者の了承が前提。 (4)教育分野における合理的配慮としてどのようなものを想定すべきか→介助者、補助教員、個別授業、点字教科書、コンピューターなど必要な機器、図書のバリアフリー化、遊び道具のバリアフリー化などなど。 (5)合理的配慮に関する例外事由として、いかなる場合があり得るのか→義務教育段階の公立校においては、例外事由は基本的にないと考える。高校・大学で私立校の場合については、「過度な負担」と認定されれば、合理的配慮義務は免れると思われるが、基本的には合理的配慮義務は課されると思う。ただ障害者の求める合理的配慮が、その児童生徒にとって無意味なものと学校側が認識した場合は、第三者機関での協議、(その第三者機関には障害者団体の参加が前提)で解決される仕組みとする。