差別禁止部会 第14回(H24.2.24) 池原毅和委員、大谷恭子委員、竹下義樹委員提出資料 「障がいを理由とする差別を禁止する法律」日弁連法案概要 2007年3月 第7 サービス 1 サービスの提供を受ける権利  何人も、障がいを理由として、いかなる差別を受けることなく、次の各号に掲げる者(法人その他の団体を含む。以下「サービス提供者」という。)から、商品、施設、便益その他のサービス(以下「サービス」という。)の提供を受ける権利を有し、その機会を 保障されるものとする。 (1)ホテル、旅館その他の宿泊施設を設置して旅館業を営む者 (2)銀行、保険会社その他の金融業を営む者 (3)娯楽又はレクリエーションのための施設を設置して営業を営む者 (4)食堂、レストラン、喫茶店その他の飲食施設を設置して飲食業を営む者 (5)公共職業安定所その他の職業安定機関又は職業紹介事業を営む者 (6)保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者 (7)前各号に掲げるものの他、不特定かつ多数の者が利用する施設を設置して営業を営む者 (8)前各号に掲げるもののほか、公共的又は商業的なサービスを提供する国、地方公共団体、個人又は事業者 2 合理的配慮義務  サービス提供者は、次に掲げる行為を行う義務を負う。 (1)サービスを提供するにあたり、障がいのある人がサービスを利用することを容易にするため、適切な情報伝達方法を使用すること。 (2) 障がいのある人がサービスの内容を理解するために必要とする補助者の付添いを 承諾すること。 (3) サービスを提供するにあたり、障がいのある人がサービスを利用することを容易に するための補助機器及び人的援助を提供すること。 (4) サービスの提供に関する運用、方針又は手続が障がいのある人に対して相当の不利 益を及ぼしている場合において、その不利益を除去するための施策を講じること。 (5) その他、障がいのある人のサービスを受ける権利を実質的に保障するために必要な 合理的配慮を行うこと。 3 差別の定義  サービスに関する差別とは、次に掲げるものをいうものとする。 (1)サービス提供者が、障がいを理由として、サービスの提供を拒否若しくは制限し、又はサービスの提供について不利益な取扱いを行うこと。 (2)サービス提供者が、2の合理的配慮義務に違反すること。 4 適用除外 (1)3は、次の各号のいずれかに該当する場合は、適用しない。 <1>人の生命、身体、財産の保護のためやむを得ない必要がある場合 <2>他の方法ではサービスを提供できない場合 <3>サービスの基本的性質を著しく損なうこととなる場合 (2)3(2)は、サービス提供者において、著しい困難又は出費がある場合は、適用しない。 (3)(1)(2)に規定する事由の具体的内容は、障がいのある人の権利委員会が別に規則で定めるものとする。 (4)(2)の「著しい困難又は出費」の有無は、第3、4(4)と同じものとする。 5 差別の推定  サービス提供者が、サービスの提供に関し、障がいのある人をそうでない人と比較して不利益に取り扱ったときは、当該行為は障がいを理由として行われたものと推定するものとする。 第9 不動産 1 不動産を取得し、居住し、利用する権利  何人も、障がいを理由として、いかなる差別を受けることなく、不動産を取得し、居住し、利用する権利を有し、その機会を保障されるものとする。 2 合理的配慮義務 (1)不動産の売買、交換又は貸借(以下「不動産の売買等」という。)を行う権限を有する者(不動産の売買等の許可又は同意を与える権限を有する者を含む。)及びその代理又は媒介等を行う者は、不動産の売買等に関する契約を締結するにあたり、障がいのある人が契約内容を理解することを容易にするため、適切な情報伝達方法を使用する義務を負う。 (2)不動産を管理する者(その者が当該不動産の所有者でないときは、その者及び当該不動産の所有者)は、当該不動産の構造又は設備が障がいのある人に対して相当の不利益を及ぼしている場合において、その不利益を除去するために必要な限度で、当該不動産の改造を行うことを承諾する義務を負う。 (3)不動産の売買等を行う権限を有する者、その代理又は媒介等を行う者及び不動産を管理する者は、(1)(2)の他、障がいのある人の不動産を取得及び利用する権利を実質的に保障するために必要な合理的配慮を行う義務を負う。 3 差別の定義  不動産の取得、居住、利用における差別とは、次に掲げるものをいうものとする。 (1)2(1)の者が、障がいを理由として、不動産の売買等につき、契約締結を拒否若しくは制限し、又は契約締結について不利益な取扱いを行うこと。 (2)2(2)の者が、障がいを理由として、不動産の居住、利用又はこれらに付随するサービスについて不利益な取扱いを行うこと。 (3)2の合理的配慮義務に違反すること。 4 適用除外 (1)3は、次の各号のいずれかに該当する場合は適用しない。 <1>当該不動産が小規模居住用建物である場合 <2>人の生命、身体、財産の保護のためやむを得ない必要がある場合 (2)3(3)は、次の各号のいずれかに該当する場合は、適用しないものとする。 <1>2(2)の改造が当該不動産の構造上の安全性に影響を及ぼす場合 <2>2の者において著しい困難又は出費がある場合 (3)(1)(2)に規定する事由の具体的内容は、障がいのある人の権利委員会が別に規則で定めるものとする。 (4)(2)<2>の「著しい困難又は出費」の有無は、第3、4(4)と同じものとする。 5 差別の推定  不動産の売買等を行う権限を有する者、その代理又は媒介等を行う者及び不動産を管理する者が、不動産の取得又は居住、利用に関し、障がいのある人をそうでない人と比較して不利益に扱ったときは、当該行為は障がいを理由として行われたものと推定するものとする。 6 準用  第9の規定(但し、合理的配慮義務の規定は除く)は、その性質に反しない限り、不動産の売買等を行う権限を有する者、その者から不動産の売買等の代理若しくは媒介を依頼された者又は不動産を管理する者と、障がいのある人の親族、同居人、支援団体その他の当該障がいのある人と密接な関係を有する者との関係に準用するものとする。