差別禁止部会 第19回(H24.5.25) 資料1
法務省 提出資料
人権委員会の設置等に関する検討中の法案の概要
新たな人権救済機関として,政府からの独立性を有する人権委員会を設置し,当該委員会の組織・権限及び調査手続その他必要な事項を定める。
1 法案の名称
人権擁護に関する施策を総合的に推進するため人権委員会を設置すること等,法案の内容を端的に示す法案の名称を引き続き検討中
2 総則関係
○ 目的
人権委員会の設置等により,人権擁護施策を総合的に推進し,人権尊重社会の実現に寄与することを目的とする。
○ 人権侵害等の禁止(調査手続の対象)
不当な差別,虐待その他の人権侵害及び差別助長行為をしてはならない旨を規定
(参考)
※ 人権侵害とは,
① 特定の者に対して,
② その有する人権を侵害する行為であり,
③ 司法手続においても違法と評価される行為をいう。
すなわち,
- 憲法の人権規定に抵触する公権力等による侵害行為のほか,
- 私人間においては,民法,刑法その他の人権に関わる法令の規定に照らして違法とされる侵害行為が人権侵害となる。
※ 差別助長行為とは,
① 人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対する不当な差別的取扱いを助長・誘発することを目的として,
② 当該不特定多数の者が当該属性を有することを容易に識別することを可能とする情報を,
③ 文書の頒布・掲示等の方法により公然と摘示すること をいう。
○国の責務
人権の擁護に関する施策を総合的に推進することが国の責務であることを明記
3 人権委員会の組織
○ 設置 | 法務省の外局として設置(国家行政組織法3条2項) |
○ 所掌事務 | 人権救済,人権啓発,政府への意見提出,国会への報告等 |
○ 構成 | 委員長並びに常勤及び非常勤の委員により構成 |
○ 任命 | 中立公正で人権問題を扱うにふさわしい人格識見を備えた者を,両議院の同意を得て,内閣総理大臣が任命(国会同意人事) |
○ 独立性 | 委員長・委員の職権行使における独立性を保障 |
○ 事務局 | 事務局を設置 事務局に弁護士資格を有する職員を配置 |
○ 地方組織 | 事務局の事務を法務局長・地方法務局長に委任 全国所要の地に,事務局職員(現地担当官)を配置し,公務員による人権侵害事案の調査及び法務局・地方法務局の指導監督等の事務を行わせる。 |
4 調査・措置の手続
○ 対象 | 人権侵害及び差別助長行為 |
○ 調査 | 任意調査(旧法案では,調査拒否に対する過料の制裁を伴う特別調査と制裁を伴わない一般調査が設けられていたが,任意の調査に一本化し,特別調査に関連する規定は設けない。) |
○ 措置 |
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5 人権擁護委員
○ 人権擁護委員については,既存の委員及びその組織体を活用
○ 人権擁護委員法の一部改正
- 委嘱権者・指揮監督権者を法務大臣から人権委員会に改める。
- 人権擁護委員の行う職務の公務性を踏まえ,非常勤の国家公務員と位置づけ(国家公務員法適用排除規定を削除)
- 専門的な知識経験を有する者等,適任者のより一層の確保を図るため,市町村長の推薦による委嘱とは別の,補充的な委嘱制度(特例委嘱制度)を創設
- 人権擁護委員の組織体に関する規定の整備(いわゆるブロック連合会に関する規定の新設等)
「識別情報の摘示」について(「法案の概要」2参照)
「法案の概要」において「差別助長行為」と表示(略称)されていた行為について,現在は,「識別情報の摘示」と略称することとしている。これは,「法案の概要」公表後,「差別助長行為」という目的に着目した略称が,差別を助長・誘発する表現行為全般を含むような誤解を招くとの指摘を受け,対象となる行為の面に着目した略称に改めたもの。