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差別禁止部会 第2回 H23.1.31 資料1

EUにおける障害者差別禁止法制 引馬知子氏資料

障害を事由とする均等(差別禁止)法制の国際的動向とEU
―多様性を活かす社会の創造へ向けて―

引馬知子(Tomoko Hikuma)

1.インクルーシブな社会を目指す国際的な動向

  • すべての人の社会への主体的な参画、個性の最大限の発揮を促すことによって、少子高齢・グローバル競争時代における活力ある社会の構築を目指す
    • 人の多様性(例:障害、性別、年齢、人種・民族、信条・宗教、言語、性的指向等々)に応える社会設計(法制度等)の必要性
    • 社会的に不利な立場にある人々の社会・経済的な機会に対する個人の選択の幅の拡大(=権利保障)に着目 → 障害にかかわる均等(差別禁止)法制の制定
  • 障害に関わる諸外国および国際的な均等(差別禁止)法制の醸成(1990年代~2000年代)
    • アメリカ、オーストラリア、EU・EU全加盟国、韓国等における同法制の制定と施行
    • 国連による「障害者権利条約」・選択議定書の採択(2006年12月)と発効(2008年5月)

2.障害を事由とするEU均等(差別禁止)法政策の動向

1)障害に関わるEUの法政策

○目的

  • 障害のある人が、障害のない人が有する権利と等しい権利を享受し、社会参画すること
    • *EU -加盟国27、人口約5億人、うち6人に一人を占める約8,000万人に何らかの障がいがある(「欧州障害戦略2010-2020」より)

○3つの柱

  1. 差別禁止(均等)
  2. メインストリーム化(すべての法政策とその実施における包摂)
  3. アクセシビリティ

○経過

  • ~1980年代(課題の共有と共通目標の形成)
    • 社会的排除の実態とこれに対する気づきの広がり、課題と対応に関する議論
  • 1990年代~2000年代(労働分野の均等法/差別禁止法の制定)
    • 「福祉モデル」から「福祉モデル」と「人権/市民権モデル」の両立へ
    • アムステルダム条約(1999年5月発効)の障害を含む非差別規定 →リスボン条約(2009年12月発効)の新規定(EUの目的及び社会的排除や差別への取り組み条項、基本権憲章への法的拘束力の付与、欧州評議会の欧州人権条約への加入等)
    • 障害の事由を含む「雇用・就業と職業における均等待遇のための一般枠組み設定に関する指令(以下、雇用均等一般枠組指令(2000/78/EC))」(2000年採択)
  • 2000年代~(労働分野から生活全域の均等法/差別禁止法の制定)
    • 「宗教及び信条、障害、年齢、性的指向に拠らない人の均等取り扱い原則の実施に関する指令案」(2008年 欧州委員会提案、2009年 欧州議会賛成・修正提案、閣僚理事会審議中)
    • EUによる国連「障害者権利条約」の批准/正式確認(2010年12月23日寄託)
      • →EU及びEU加盟16カ国批准、11カ国未批准
      • →国連「障害者権利条約」と相互関係性のある取り組みの展開 【資料1】

2)EU均等(差別禁止)法の概要と新戦略

○雇用均等一般枠組指令(2000/78/EC)とその概要

  • 雇用・就労分野の非差別・権利保障(直接・間接差別・ハラスメントの禁止、ポジティブアクションの容認、合理的配慮規定と社会的支援、権利の侵害に対する救済等)

○「宗教及び信条、障害、年齢、性的指向に拠らない人の均等取り扱い原則の実施に関する指令案」

  • 社会保障・保健医療等の社会保護、教育、公共交通、文化、ものやサービス供給へのアクセス等を含む、包括的な非差別・権利保障
  • 障害のある人に対する均等な取り扱いを特に定める条項(4条)、合理的配慮の否定は差別(2条5)等 ⇔ 国連の障害者権利条約

○その他の均等(差別禁止)に関わる法制

  • 移動・交通等に関するEU規則・指令(規則No.1107/2006他) 【資料2】

○障害に関わる社会経済施策

  • 「欧州障害戦略2010‐2020」(2010年11月) 【資料3】
  • EU新経済成長戦略「欧州2020 -賢い成長、持続可能な成長、包括的成長」(2010年3月)

3.加盟各国におけるEU指令の履行と効果的な実施に向けた議論

  • EU指令の加盟国内法における置換(transposition)
    • 全27加盟国で法制定・改正の完了、EUによる加盟国への違反手続、欧州司法裁判所の裁定(例:コールマンケース:障害者の家族・関係者への均等待遇) 【資料4、5】
  • EU加盟国内での実際の状況と議論 -例)障害の定義、合理的配慮規定等 【資料6】
    • → 全域内で一定の基準以上に収斂
  • EU市民の評価
    • 97%が障害のある人々の社会的包摂を保障するために何かをなすべきと考えている
    • 53%が障害にかかわる差別が自国で広くあると感じている
    • 87%が障害を事由とする雇用分野の既存の均等待遇(差別禁止)の措置に賛同している
    • 49%が自国の近年形成された均等待遇(差別禁止)の取り組みが十分である、44%がまだ不十分であると感じている

4.まとめ

  • EUでは、個々人の社会参画の機会の拡大につながる"具体的権利"の形成が、人権の保障、格差社会の是正、社会保障給付との関係等の視点から試みられている。
  • 均等・非差別法政策は、少子高齢社会にあるEUにおいて、活力と持続可能な欧州を創造するひとつの要と位置づけられている。
  • 既存の権利(労働・教育・自立生活等)を、社会的に不利な立場にある人々(障害者)が実質的に享受できるような、均等(差別禁止)法制の実施を目指している。
  • 日本は、均等(差別禁止)法を既に導入したEU諸国等の議論を踏まえ、これを国内のより良い法整備に役立てることができる。日本の現法制や福祉制度には欧州の国々との共通点が多い。EUの福祉と均等(差別禁止)アプローチの両立への模索には参考となることがある。

【主な参考文献】

  • 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 障害者職業総合センター 「EU諸国における障害者差別禁止法制の展開と障害者雇用施策の動向」 2007年
  • 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 障害者職業総合センター 「障害者雇用に関わる「合理的配慮」に関する研究―EU諸国及び米国の動向」 調査研究報告書No.87 2008年3月
  • 竹中康之 「EUにおける障害者差別禁止法制の展開と課題 -均等待遇枠組指令の障害者関連規定に焦点を当てて―」 同志社大学ワールドワイドビジネスレヴュー 第3巻第2号 2002年3月
  • 長瀬修・東俊裕・川島聡編 「障害者の権利条約と日本 -概要と展望」 生活書院 2008年(増補版2011年)
  • 引馬知子「EU均等法と障害のある人・家族・支援者の雇用 -英国コールマン事件を契機とする均等待遇保障の新展開」『労働法律旬報 特集障害者の権利条約と障害者雇用』No.1696-2009 5.25 旬報社 2009年
  • 引馬知子「国連障害者権利条約のEU正式確認―複層的な人権保障システムの誕生」『自由と正義』 Vol.61 7月号 日本弁護士連合会 2010年
  • 引馬知子 「障害者の社会的排除と人権保障 -"合理的配慮"を軸として労働と社会保障を結ぶEUの実践」 荒木誠之・桑原洋子編 『社会保障法・福祉と労働法の新展開』信山社 2010年
  • 松井亮輔・川島聡編 「概説 障害者権利条約」 法律文化社 2010年

(レジュメは以上、以下資料)

【資料1】 EU・EU加盟国・国連の関係性とEU市民の"具体的権利"の享受

EU:EU法(均等指令等)⇔国連:障害者権利条約

  • EUの国連条約の批准(正式確認)・履行

国連:障害者権利条約⇔EU加盟国:各国内法

  • EU法の加盟国内の置換・履行
  • (EU法の優位性:EU域内の最低基準はEU指令に収斂)
  • EUによる加盟国の国連条約批准・履行支援

EU加盟国:各国内法⇔EU:EU法(均等指令等)

  • 加盟国の国連条約・批准・履行

EU市民の"具体的権利"の享受

EU市民の"具体的権利"の享受

"具体的権利"に関わる規定の対比項目(例) EU均等指令 国連障害者権利条約 EU市民の"具体的権利"の享受
①障害の定義と概念 なし(欧州司法裁判所の判例あり) 概念のみあり ⇒ 各国内法、EU及び加盟国の国連条約批准、EU法のもとで一定程度あり
②障害と合理的配慮 あり(雇用・就労分野+新指令案) あり ⇒ あり
③均等(差別禁止)及びポジティブアクション あり あり ⇒ あり
④合理的配慮の否定と差別の関係性 なし(新EU均等指令案ではあり) あり ⇒ ありの方向性(EU及び加盟国の国連条約の批准および新EU均等指令案による)
(多くの加盟国で既にあり)
⑤包括的な均等法(雇用・就労以外) ありの方向性(新指令案審議中+航空の移動分野では既にあり) あり ⇒ ありの方向性(一部加盟国には包括的な均等法が既にあり)
⑥障害のある人の家族や支援者への均等(差別禁止) あり(欧州司法裁判所の判例による:EU法の優位性) なし ⇒ あり(欧州司法裁判所の先決裁定以前にも、一部加盟国には既にあり)

出典:引馬知子「EU社会政策の多次元的な展開と均等法政策 -人の多様性を尊重し活かす社会の創造へ向けて」 p.235(表2)福田耕治編 『EU・欧州統合研究―その現状と課題』成文堂 2009年に一部加筆

【資料2】 障害者の均等待遇(差別禁止)に関連するEU法規

  • 職場の安全衛生を改善する措置の実施に関する指令(89/391/EEC)
  • エレベーターに関する加盟国の法を近接化する指令(95/16/EC)
  • 情報社会サービス、特に域内市場の電子商取引の特定の法的側面に関わる指令(2000/31/EC)
  • 人種あるいは民族に拠らない均等待遇の原則の設定に関する指令(2000/43/EC)
  • 雇用/就業と職業における均等待遇のための一般枠組み設定に関する指令(2000/78/EC)
  • 運転席に加え乗客用席が8以上ある乗り物の特別規定に関する指令(2001/85/2001)(70/156/EEC及び97/27/EC改正)
  • 電子コミュニケーションネットワーク及びサービスの共通の法的枠組みに関する指令(2002/21/EC)
  • 電子コミュニケーションネットワーク及びサービスにおけるユニバーサルサービスと利用者の権利に関する指令(2002/22/EC)
  • 船舶の乗客の安全規則と基準に関する理事会指令98/18/ECを改正する指令(2003/24/EC)
  • ものとサービス供給へのアクセスにおける男女の均等待遇の原則の実施に関する指令(2004/113/EC)
  • 障害者及び移動に制限がある者が航空旅行する際の権利に関する規則(1107/2006)
  • 雇用/就業と職業における男女の機会と待遇の均等原則の実施に関する指令(2006/54/EC)
  • 鉄道の乗客の権利と義務に関する規則(1371/2007)
  • テレビ放送活動を行う際の加盟国における法規あるいは行政的な対応に関わる一定の規定の調整に関する理事会指令(89/552/EEC)

出典:European Commission, Disability and non-discrimination law in the European Union -An analysis of disability discrimination law within and beyond the employer field, 2009より報告者作成

【資料3】 EUの障害と均等法施策の2010―2015年の実施計画(「欧州障害戦略2010-2020」による)

均等(差別禁止)分野の目標

 障害のある人々の尊厳を守り、障害に基づくあらゆる形態の差別をなくし、障害のある人々に障害のない人々と等しい基本的な権利と自由を確保すること

主要な行動リスト 期間
「雇用・就労分野外の均等指令案」の閣僚理事会における審議の支援 進行中
障害のある人の雇用・就労の状況の改善のための、「雇用均等枠組指令」の影響や適用のモニタリング 2013年
エクイネット(Equinet)等、均等のための諸機関における障害問題の取り組みの促進 2010年-2015年
使用者とサービス事業者に対する「障害のある人に対する合理的配慮の手引き」の提供 2010年-2013年
法的能力に関わる成功事例の交換の促進 2010年-2013年
労働組合における合理的配慮の概念に関わる意識の向上 2010年-2013年
既存の「プログレス・プログラム(~2013年12月)」を活用した、加盟国の非差別・均等待遇の促進のための活動への支援 2010年-2013年
市民社会の諸組織を対象とする非差別及び均等分野の啓発セミナーにおける障害問題の提起 2011年-2012年
障害による差別を視野に入れた、差別削減の取り組み及び均等促進に関わる加盟国諸機関の企画・提案を支援する年次募集 2011年-2013年
「ソーシャル・ヨーロッパがあなたに何ができるか」キャンペーンにおける障害の焦点化 2010年-2013年
「多様性・反差別キャンペーン」における障害による差別の取り上げ(例:ジャーナリスト賞、リーフレット、ビデオ展示、会議の展示版を通じて) 2010年-2013年

出典:European Commission, Commission staff working document, Accompanying the Communication from the Commission to the European Parliament the Council, the European Economic and Social Committee and the Committee of the Regions, European Disability Strategy 2010-2020: A Renewed Commitment to a Barrier-Free Europe, 15.11.2010 より報告者訳

【資料4】 加盟国のEU均等指令の置換における体系(2006年時点)*)

体系化の分類 国名
指令を大方模写した差別禁止法 キプロス、ギリシャ、イタリア
指令よりも広範な事由 **) を含む差別禁止法 オーストリア、ベルギー、フィンランド、アイルランド、ハンガリー、オランダ、スロヴァキア
複数の事由、及び、ひとつの事由を対象とした差別禁止法の組み合わせ デンマーク、オランダ、スウェーデン
ひとつの事由の差別禁止法の複数設定 イギリス
特定の法及び雇用法の組み合わせ スロヴェニア、ラトビア
特定の法、労働法及び刑法、行政法の組み合わせ フランス、リトアニア、ポルトガル
指令のより広範な一般的な法への置換 スペイン
2006年時では雇用法のみへの置換 エストニア、チェコ、マルタ、ポーランド
置換手続き中 ***) ドイツ、ルクセンブルグ

出典:The European Network of Legal Experts in the Non-discrimination Field, 'Anti-Discrimination Law in Europe, 2006 より報告者訳(引馬知子「EU地域の"障害"に関わる均等法政策の複層的な展開と合理的配慮」『障害者雇用に関わる「合理的配慮」に関する研究―EU諸国及び米国の動向』 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 障害者職業総合センター 2008年3月 p.17(表1-1)に一部加筆)

*) 2006年当時、EU加盟国は25カ国。2006年以降も、イギリスの複数の事由にまたがる平等法(2010年)制定のように、EU加盟各国では障害を事由とする均等(差別禁止)法が改正され、その体系が変化している。

**) EU指令が対象とする事由とは、障害、年齢、人種あるいは民族、宗教あるいは信条、性的指向

***)ドイツとルクセンブルグでは、2006年8月と10月に関係法がそれぞれ採択されたが上記表には未反映。

【資料5】 EU加盟各国の障害を事由とする均等取扱に関する主要な法規

*下記の表は末尾に記される2つの欧州委員会資料(英文)に基づき、2008年春までの状況を記している(暫定訳)。各加盟国の状況については、さらに個別的・体系的な把握が求められる部分があると思われる。フランス、イギリス、スウェーデンについては、2008年以降の状況を加筆した。

オーストリア
  • 障害のある人々の雇用に関する連邦法、法Nr.22/1970(法Nr.82/2005の障害均等法により改正)(6 1aはEU指令5条に対応)
  • 障害均等法(法Nr.82/2005)
ベルギー
  • 差別禁止法 1993(EU指令に沿って2003年に改正)
  • 一定の形態の差別に取り組む2007年5月10月法
    ワロニア地方のみ ―労働市場における障害のある人の機会均等を促進する1998年11月5日執行命令
ブルガリア
  • 差別に対する保護法、法Nr.86/2003(法Nr.69/2008による改正)(EU指令の置換)
  • 労働法典、法Nr.86/1986(法Nr.43/2008により改正)
  • 障害のある人の統合法、法Nr.81/2004(法Nr.108/2007により改正)
  • 労働保護法、法Nr.112/2001(法Nr.89/2008により改正)
キプロス
  • 障害法Nr.127(法Nr.72(1)/2000、法Nr.57(1)2004の改正)
チェコ
  • 雇用法、法Nr.435/2004(第4条2はEU指令を反映)
  • 公務員よびその他の被雇用者の国の行政及び報酬における公的サービスに関する法Nr.218/2002
  • 労働法典、法Nr.262/2006

健康状態に基づく差別の禁止を国内法令は規定する(障害と明示しない)

デンマーク
  • 雇用における差別禁止法、法Nr.459/1996(法Nr.1417/2004, 240/2006, 1542/2006,387/2007により改正)(2004年の改正はEU指令を反映)
エストニア
(均等待遇法の制定は右に反映されていない)
  • エストニアの労働契約法、RT 1992, 15/16, 241(2004年改正)
  • 雇用サービス及び給付法 2006(EU指令を一部置換)
  • 職業上の安全衛生法
  • 障害のある人々の社会補償法 1999
  • 障害の基準を決定する法 2005
フィンランド
  • 非差別法、法Nr.21/2004
  • 雇用契約法、法Nr.55/2001(法Nr.23/2004により改正)
  • 公務員法、法Nr.750/1994(法Nr.25/2004により改正)
  • 自治体公務員法、法Nr.304/2003(法Nr.23/2004)により改正)
  • 船員法、法Nr.423/1978(法Nr.23/2004により改正)
  • 土地活用・建築物法(法Nr.132/1999)
フランス
  • 障害のある人々の平等・機会の平等、参加、市民権に関する法 2005(EU指令の置換)
  • 反差別分野の共同体法への適合のための諸規定を定める法 2008 (EU指令の置換)
  • 労働法典
  • 社会福祉法典(L114条)
  • 障害の重要性への認識に関する政令Nr.501/2006
  • 障害のある人の職業上の統合のための基金に関する政令Nr.517/1987
  • 障害のある人の雇用に関する法、Nr.517/1987
ドイツ
  • 社会法典第9編(第81条4は、EU指令5条に対応)
  • 社会法典第1,3,9,10,12条の種々の規定
  • 2006年8月18日 一般均等待遇法
ギリシャ
  • 均等待遇法、法Nr.3304/2005(EU指令の5条をそのまま採択)
ハンガリー
  • 均等待遇及び機会均等促進法CXXV2003(2005年5月改正)
  • 労働法典 XXⅡ 1992
  • 障害者の権利と機会均等を保障するXXVI 1998を改正するXXIII 2007
アイスランド
(EU非加盟国)
  • 障害のある人に関する法、法Nr.59/1992
  • Nr.159/1995規則(社会保険運営と使用者間の合意への権限付与)
アイルランド
  • 均等法 2004(雇用均等法 1998と均等地位法 2000の改正、EU指令の置換)
  • 均等地位法(Acts) 2000-2004
  • 雇用均等法 1998, 2004
  • 建築物規則 1997-2005
  • 障害法 2005
イタリア
  • EU指令を置換えるNo.216/2003立法命令 (Nr.256/2004法の修正)
  • 障害のある人の労働権に関する規定 Nr.68/1999法
  • 支援、社会的統合、障害のある人の権利に関する 104/1992法
  • 障害のある人の情報技術へのアクセスを支援する 4/2004法
ラトビア
  • 労働法典 2001(2006年9月改正)
  • 障害のある人の医療及び社会保護に関する法 1992
  • 障害法(2008年春未制定)
  • 社会保障法
リヒテンシュタイン
(EU非加盟国)
  • 障害均等法、法Nr243/2006
  • 廃疾(invalidity)保険法 法Nr.5/1960
リトアニア
  • 均等待遇法 Nr.Ⅸ-1826/2003(2005年施行)(法 Nr.X1602/2008 07 05により改正)
  • 雇用法典 2002
  • 障害者の社会的統合法 1991(法 Nr.1-2044/2004)により改正
  • 雇用支援法 2006
ルクセンブルグ
  • 2006年11月28日均等待遇法
  • 2006年11月29日法(公的部門法)
  • 1991年11月12日法
マルタ
  • 障害のある人(雇用)法 1969
  • 機会均等(障害のある人)法 2000
  • 雇用及び産業関係法 2002
  • 雇用規則における均等待遇法、法Nr.461/2004(法Nr.53/2007により改正)(EU指令の置換)
オランダ
  • 均等待遇法(障害者及び慢性疾患の人) 2003
  • 就労能力法/就労能力比例・労働と所得に関する法(WIA) 2005
  • 障害者雇用法(WSW)
ノルウェー
(EU非加盟国)
  • 労働環境法 1977
  • 計画及び建築物法
  • 差別とアクセサビリティ法(2009年施行)
ポーランド
  • 労働法典 1974(2001年及び2003年改正)
  • 障害のある人の権利のための憲章 1997
  • 障害のある人の職業及び社会的リハビリテーション及び雇用法 1997
ポルトガル
  • 労働法典、法Nr.99/2003
  • 差別禁止法 46/2006(障害者及び健康が悪化する危険性が先在する人への差別を禁止及び罰する法)
  • アクセサビリティ法(Decree Law) Nr.163/2006
  • 障害のある人の予防・能力付与・リハビリテーション及び参加のための法制度、法 Nr.38/2004
ルーマニア
  • 障害のある人を対象とする保護に関する法、法Nr.53/1992
  • 障害のある人の社会保護と雇用のための規則、法Nr.102/1999
  • 労働法典、法Nr.53/2002
  • 法Nr.343/2004(障害のあるひとを雇用する義務)
  • 知的障害のある人の権利の保護と促進に関する法Nr.448/2006
スロヴァキア
  • 労働法典 2001
  • 雇用サービス法 2003(EU指令第5条の施行)
  • 差別に対する一定分野の均等待遇及び保護に関するNr.365/2004法(一定のその他の法によって改正及び補足)
  • スロヴァキアの国の人権センター設立に関するNr.308/1993法(2004年改正)
スロヴェニア
  • 均等待遇の原則の実施法(IPETA) 2004(2007年改正 -IPETA-A)
  • 障害者組織法
  • 雇用関係法 2002(2006、2007、2008年に改正)
  • 障害のある人の職業リハビリテーション及び雇用法
  • 年金及び障害保険法
  • 就労における安全衛生法
  • 障害者の可能性に関する均等法(立法過程)
スペイン
  • 障害者の社会的統合のための法 Nr.13/1982
  • 障害のある人の機会均等、非差別、普遍的なアクセシビリティに関する法 Nr.51/2003
  • 2003年12月30日、財政・行政および社会的措置法 Nr.62/2003
  • 障害のある人の公的雇用法 Nr.53/2003
  • 障害のある人の機会均等、非差別及び普遍的なアクセサビリティに関する侵害と制裁の体制を確立する法 Nr.49/2007
スウェーデン
  • 差別禁止法 2008
  • 障害のある人の職業生活における差別禁止法、法Nr.132/1999(法、Nr.309/2003により改正)
  • 労働能力が低い障害のある個人のための特別規定法 2000
  • 労働環境法 1982
  • 雇用保護法
イギリス
  • 障害差別禁止法(DDA) 1995 (2003、2006年改正、→平等法2010年へ統合)
  • 平等法(2010年)

出典:

  1. KMU Forschung Austria, Austrian Institute for SME Research, 'Providing reasonable accommodation for persons with disabilities in the workplace in the EU -good practices and financing schemes -Contract VC/2-7/0315 Final Report', Vienna, November 2008, p.152-161
  2. European Commission, 2009(前掲書), p.63-66

より報告者作成(法令の日本語訳は暫定的なものである)

*表のEU指令とは、雇用均等一般枠組指令(2000/78/EC)を指す

*そのほか、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 障害者職業総合センター 「欧米諸国における障害者権利条約批准に向けた取組み」 資料シリーズNo.42  2008年11月のp. 69-77、河東田博「スウェーデンの障害者雇用・労働政策の実際と新差別禁止法」『福祉労働』121 現代書館 2008等、参照

【資料6】 EU域内での収斂 -合理的配慮規定の実施を例として

方向性 各国の状況
合理的配慮とポジティブアクション(積極的差別是正措置)の関係性 合理的配慮は非差別原則の一要素でありポジティブアクションとは異なる ×ベルギー
△ドイツ
○フィンランド・オランダ・スペイン
合理的配慮という用語の「合理的」の解釈 「合理性」は、EU指令第5条と前文20に基づき、効果性・適切性と過度な負担を混在しない必要がある
(第一段階では、「配慮」が必要かつ適切・適正か、第二段階では、これが事業者(使用者・サービス事業者等)にとって不釣合いな負担とならないかを検討)
×イギリス・スペイン・フィンランド・ドイツ
○フランス・オランダ・アイルランド

出典:

  1. European Commission Directorate-General for Employment, Social Affairs and Equal Opportunities, Beyond Formal Equality -Positive Action under Directives 2000/43/EC and 2000/78/EC, 2007
  2. The European Network of Legal experts in the Non-discrimination Field, 2006(前掲書)
  3. European Commission, 2009(前掲書)

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