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場所:戸山サンライズ 大研修室
 

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ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目
【ヒアリング項目】一般雇用(雇用促進法)
1.法の適用対象となる「障害者」の範囲が狭いのではないかとの考え方について 、改正の要否も含めどのように考えるか。
2.障害の種別による制度的格差について、改正の要否も含めてどのように考える か。
回 答
○ 障害者雇用率制度の対象については、
・ 事業主に対し義務を課す以上、法的公平性及び安定性を確保するという観点 からも、全国画一的に義務の対象となる障害者の範囲が確定しているものであ る必要があること
・ 福祉施策との一体的運用を図る必要があること
から、原則として、身体障害者福祉手帳、療育手帳又は精神障害者保健福祉手帳 の所持者を対象としているものである。

○ このうち、精神障害者については、その特性に応じた支援を行うとともに、適 切な雇用管理のあり方を把握することが必要であり、現段階で雇用義務の対象と した場合に企業における雇用管理が適切に行われないおそれもあることから、実 雇用率にのみ算入する扱いとしているが、今後、精神障害者の雇用者数の推移や 企業における雇用管理のノウハウの蓄積の状況をみながら、雇用義務の対象とす ることについて検討してまいりたい。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目

【ヒアリング項目】一般雇用(雇用促進法)
3.現行法定雇用率制度の問題点(雇用率、ダブルカウント制度、特例子会社、雇 用納付金制度等)について、改正も含めどのように考えるか。 特に、「障害者雇用率について、その引上げ、その算定の基礎となる障がい者 の範囲の拡大等を行う」(障がい者制度改革推進法案第12条第1項)ことにつ いて、どのように考えるか。

回 答

(障害者雇用率制度及びダブルカウントについて)
○ 障害者雇用率制度及びダブルカウントについては、昭和52年度に制度が創設さ れて以降、障害者及び重度障害者の雇用促進に大きく寄与してきた実効性の高い 制度と考えている。

(参考)障害者雇用状況の推移

  雇用障害者数  
重度 重度以外
昭52 113,420 15,009 98,411
昭62 141,270 35,112 106,158
平9 187,668 63,243 124,425
平19 223,737 84,106 139,631
平21 247,512 92,420 155,092

(法定雇用率の引上げについて)
○ 法定雇用率は、障害者が一般の労働者と同じ水準で雇用機会を確保することが できるよう制度設計されているものであり、労働の意思及び能力を有する障害者 数の増加や、雇用義務の対象となる障害者の範囲の拡大があれば、その水準は上 昇するものであり、今後とも必要に応じて見直しを行ってまいりたい。 (特例子会社について)

○ 特例子会社は、障害の特性に応じた職務の切り出しをまとめて行うことができ 、障害者の働きやすい環境を整備しやすいというメリットがあり、障害者の雇用 に大きく寄与していると考えている。

(障害者雇用納付金の引上げについて)
○ 障害者雇用納付金の額は、障害者を雇用する場合に必要な施設整備、雇用管理 等に要する額を基準として定めることとされており、この特別費用の額が変化す れば上下し得るものである。今後とも必要に応じて適切に見直しを行ってまいり たい。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目
【ヒアリング項目】一般雇用(雇用促進法)
4.「障がい者と障がい者以外の者の意思疎通を仲介する者の配置の促進、障がい 者が雇用されるのに伴い必要となる施設及び設備の整備その他の事業主による 障がい者の雇用及びその継続のための措置を支援する」(障がい者制度改革推進 法案第12条第2項)ことについて、どのように考えるか。
回 答

○ 障害者の雇用の場を確保し、その雇用の促進を図るためには、事業主が設備整 備、人的介助等の面で配慮を行うことにより、障害者の働きやすい環境を整備す ることが重要であると考えている。

○ このため、障害者雇用納付金制度において、施設整備、人的介助等に要する費 用に係る助成金を設け、事業主によるこれらの措置を支援しているところであり 、今後とも、障害者の雇用促進及びその職業の安定を図るため、必要な支援を継 続してまいりたい。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目
【ヒアリング項目】一般雇用(雇用促進法)
5.職場における差別を禁止する手段として、法改正も含めてどのように考えるか 。
回 答
○ 雇用分野における障害を理由とする差別の禁止は、障害者権利条約にも盛り込 まれており、障害者の雇用の場を確保し、その雇用の促進及び職業の安定を図る 上で極めて重要であると考えていることから、障害者雇用促進法の改正を含めて 必要な対応について検討を行っている。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目
【ヒアリング項目】一般雇用(雇用促進法)
6.職場における「合理的配慮」の実現プロセスについてどう考えるか。 また、職場における「合理的配慮」の実現のため、事業者や行政機関等との協 議及び調整の仕組みを設けることについて、どのように考えるか。さらに、協議 及び調整が整わなかった場合の解決方法についてどう考えるか。
回 答

○ 合理的配慮は個別性の高い概念であることから、合理的配慮が各企業内で適切 に提供されるようにするためには、企業内における労使の十分な話し合いや相互 理解等が行われることが重要であり、また問題が起きた際にも、できる限り自主 的に問題解決が図られることが望ましいと考えられる。

○ また、企業内の自主的な取組によってもこれが解決しない場合には、行政によ る助言、指導等の支援を行うことや、外部の第三者機関による解決の仕組みを設 けることなどが考えられる。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目
【障害者雇用】福祉的就労(自立支援法)
1、「障害者自立支援法」に定める「就労移行支援」等による、いわゆる「福祉的 就労」の場で働く人の労働者性と労働法規の適用について、どのように考えるか。
回 答

○ いわゆる「福祉的就労」に従事する者について、就労継続支援A型及び福祉工場において雇用契約に基づいて就労する者には労働者性があるため、労働関係法 令が適用されることとなり、雇用契約を締結しない就労移行支援、就労継続支援 B型等の利用者については、一般には、労働者性が無いものと判断され、労働法 規の適用もないと考えられる。

○ 今後、いわゆる「福祉的就労」のあり方を考えるに当たって、労働者性と労働 法規の適用についても合わせて検討していくことが必要ではないかと考える。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目
【障害者雇用】福祉的就労(自立支援法)
2.「福祉的就労」の場で働く人に最低賃金を保障すべきとする考え方について、 どのように考えるか。
特に最低賃金保障のために賃金補填制度を導入することについて、どのように 考えるか。
回 答

○ いわゆる「福祉的就労」に従事する者のうち労働者性がある者については、最 低賃金法の適用を受け、使用者は最低賃金額以上の賃金を支払わなければならな い。
なお、労働能力の程度によっては、通常の最低賃金額を適用するとかえって雇 用の機会が失われるおそれがあることなどから、「精神又は身体の障害により著 しく労働能力の低い者」を減額特例許可の対象の一つとしている。当該規定によ る許可を受けた場合においては、当該許可に基づく最低賃金額を支払わなければ ならない。

○ また、労働者性のない障害者については、障害者の経済的な自立に向けて、一 般就労への移行の取組に加え、就労継続支援B型事業所等における工賃を引き上 げる取組の強化が必要ではないかと考える。

○ 障害者の就労による所得を補完するための手当の創設については、財源のあり 方も含めた障害者の所得保障の観点からの総合的な検討が必要であり、制度設計 に当たって多くの検討すべき課題があるのではないかと考える。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目
【ヒアリング項目】福祉的就労(自立支援法)
3.一般就労における就労支援(通勤支援、身体介護、ジョブコーチ)の必要性に ついて、どのように考えるか。
【ヒアリング項目】シームレスな支援
一般就労と福祉的就労の制度間格差とサービスの断絶の問題について、どのように考えるか。
回 答

○ 障害者の雇用に当たっては、通勤や介助等の支援も必要となることから、事業 主の義務とまでは考えられないものも含め、雇用の分野で助成金の対象とし、事 業主の取組を支援している。

○ また、職場における就業面・生活面のフォローアップ等を一体的に行う障害者 就業・生活支援センターを全国に設置し、その拡充に努めてきているところであ り、今後とも、障害者の職業的自立のためには就労支援だけでなく生活面の支援 も必要であるとの観点を踏まえ、適切な支援に努めてまいりたい。

○ さらに、今後、いわゆる「福祉的就労」のあり方を考えるに当たっては、同じ く就労の場としての「一般就労」との関係や、就労に係る継続的な支援のあり方 についても合わせて検討していくことが必要ではないかと考える。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目
【ヒアリング項目】雇用の創出
1.障害のある人もない人も対等な立場で一緒に働くことができる形態の職場を設 置している者に対し、その運営に要する経費の一部を助成するいわゆる「社会的 事業所」制度の法制化について、どのように考えるか。
回 答

○ 障害者の雇用を促進し、障害者が障害のない者と共に働くことができる職場形 成が図られることは重要であると考えており、障害者雇用納付金制度において、
・ 事業主が障害者の働きやすい環境を整備するため、施設整備、人的介助等の 取組を行った場合に助成金を支給しているほか、
・ 障害者雇用調整金等により、障害者を雇用している事業主としていない事業 主との間の経済的な負担を調整する
等の仕組みを設けているところ。

○ これを超えて事業主の運営に要する費用を永続的に助成する仕組みを設ける ことについては、雇用対策としては困難であると考えており、現在においては、 就労継続支援事業A型サービスとして、雇用型の福祉的就労サービスを提供して いる。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目

【障害者雇用】雇用の創出

2、「国等の物品、役務等の調達に関し、障害者支援施設等の受注の機会の増大を 図るよう、国等が障害者支援施設等から物品等を優先的に調達する等のための措 置を講ずる」(障がい者制度改革推進法案第12条第5項)ことについて、どの ように考えるか。

回 答

○ 就労継続支援B型事業所、授産施設及び小規模授産施設における平均工賃月額 は12,587円(平成20年度)となっており、利用者の経済的な自立に向け て、一般就労への移行の取組に加え、これらの事業所における工賃を引き上げる 取組の強化が必要ではないかと考える。

○ こうした取組を進めるに当たっては、国や地方公共団体が発注する官公需の活 用をさらに進めていくことが重要ではないかと考える。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

【総論】

○ 障害のある方に係る福祉施策については、平成21年9月9日の連立政権合意に おいて、「障害者自立支援法」は廃止し、「制度の谷間」がなく、利用者の応能 負担を基本とする総合的な制度をつくることとされている。

○ 厚生労働省としては、本年4月27日に第1回が開催された「障がい者制度改革 推進会議総合福祉部会」等での御議論も踏まえつつ、本ヒアリングにおいて、御 質問のあった項目に係る対応も含め、新たな総合的な福祉制度の検討を進めてま いりたい。

○ なお、今回のヒアリング項目については、概ね、障がい者制度改革推進会議に おける議論に委ねるべき課題であり、ここでの回答は、厚生労働省として、会議 で議論するに当たり留意していただきたい点として、提出するものである。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(総合福祉)
【ヒアリング項目】地域社会で生活する権利
1、権利規定を明文化する必要性について、どう考えるか。
2、自立の概念について、どう考えるか。
回 答

1について
○ 障害者権利条約の規定にみられるような、障害のある方の地域生活の営みに関 する権利等を国内法で制定するべきとの議論がある一方、障害のある方も健常者 と同等の基本的人権を享有しているためそのような権利規定の明文化に慎重な ご意見もあると承知している。
○ そのため、障害のある方が地域であたりまえに暮らせる社会の実現のための方 策については、権利規定の論点も含め、障害のある方に係る法制度や福祉施策全 般の議論を踏まえ検討していく必要がある。

2について
○ 障害のある方の自立については、社会的側面や経済的側面等様々な観点からと らえることが必要であると認識している。今後、障害のある方への適切な支援の 在り方の議論の前提として、自立の概念についても議論していく必要がある。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(総合福祉)
【ヒアリング項目】障害の定義、適用範囲
1、障害の範囲について、どう考えるか。
回 答
○ 障害のある方に対するサービスの提供等の支援を公平かつ安定的に行うため にも、障害のある方のニーズに応じて障害の範囲を定めることは必要であると考 えている。
○ しかしながら、例えば、身体障害者の範囲に現在は難病の方が含まれないなど 、中には支援が必要であっても障害の範囲から外れている方が存在するといった 問題もあると承知しており、障害の範囲については、障害の定義や各種の制度の 議論とも合わせて検討していく必要がある。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(総合福祉)
【ヒアリング項目】法定サービスメニュー
1、現行規定にない社会モデルの視点に立ったサービスメニューは必要か。
2、自立支援給付と地域生活支援事業の区分けは必要なのか。
3、法定メニューの障害者の生活構造に沿った再編成とシンプル化について、どう 考えるか。
4、自己決定支援の必要性について、どう考えるか。
回 答

1について
○ まずは社会モデルにおける障害の概念を具体的に明らかにした上で、必要とな る具体的な支援のあり方について検討する必要がある。

2について
○ 自立支援給付に係る障害福祉サービス等については、必要なサービスが公平か つ確実に提供されるよう、全国一律の基準を明確に規定し、国の負担を義務的経 費として実施している。
○ 一方、地域生活支援事業については、地域の実情に応じて各地方公共団体が創 意工夫を生かして事業を実施できるよう、全国一律の基準を設けず、実施してい る。
○ 新たな制度をつくるに当たっては、全国一律に提供されるべきサービスや、地 域の実情に応じて柔軟に提供されるべきサービスなど、サービスの内容に応じて その位置付けを分けていく必要がある。

3について
○ 現行のサービス体系が障害のある方の有するニーズに的確かつ柔軟に提供さ れているかを検証し、サービス体系をシンプルで分かりやすくするといった視点 や、サービスの対象者の属性に着目して、専門的かつ効果的な支援を行うといっ た視点などから、サービス体系の具体的な内容について検討していく必要がある のではないか。
○ その際は、障害のある方の地域移行を支援するサービス体系のあり方について 、特に意を用いるべきではないか。

4について
○ 障害のある方による自己決定について、その置かれた環境や、本人の希望に応 じて、支援が提供されるべきであり、特に相談支援事業の充実や成年後見制度の 活用を図っていく必要がある。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(総合福祉)
【ヒアリング項目】支給決定プロセス
1、ニーズの把握の基本的視点をどこに置くか。
(例えば、本人の障害の状況、本人の自己決定・選択、置かれた環境、及びそれ らの相互関係)
2、障害程度区分の廃止とそれに代わる協議・調整による支給決定プロセスの体制 構築について、どう考えるか。
3、セルフマネジメント・本人中心計画と相談支援機関、ピアカウンセリング・ピ アサポートの役割について、どう考えるか。
4、不服の場合の異議申立手続きについて、どう考えるか。
回 答

1について
○ 障害の状況、障害のある方本人の意向、障害のある方の置かれた環境などの要 素を踏まえ、障害のある方の有するニーズを総合的に把握することが必要であり 、そのための手法や基準、プロセスについて検討が必要である。

2について
○ 障害者自立支援法においては、障害程度区分は以下の機能を果たしている。
① 支給決定において市町村が勘案する、心身の状況に応じたサービスの必要性 に関する客観的尺度としての機能
② 施設入所支援等の障害福祉サービスの対象者を定める機能
③ 障害福祉サービスに係る報酬単価を障害の程度に応じて定める機能
④ 障害福祉サービスに係る国庫負担基準を障害の程度に応じて定める機能
 仮に障害程度区分を廃止した場合にあっては、障害程度区分が果たしている、 利用者間・市町村間の公平性や給付費財源の公平な配分等といった上記の機能に ついて、どのような形で担保していくのか、検討が必要である。
 また、協議・調整による支給決定プロセスについても、同様に、利用者間・市 町村間の公平性等の観点から、地方公共団体における障害行政の実情を踏まえつ つ、検討されるべきであり、また、当該支給決定プロセスにおける知的障害や精 神障害を有する方の関わり方も合わせて検討すべきである。

3について
○ そもそも支給決定のあり方として、本人の意向が十分に反映されることは必要 であるが、一方で、利用者間の公平性、給付費財源の公平な配分等の観点からも検 討が必要である。
現行制度においては、市町村は、障害程度区分、障害のある方の置かれている 環境、サービスの利用に関する意向などを勘案して支給決定することとなってい るところ。
障害のある方の自己決定や自己選択を支援する観点から、相談支援機関ととも に、ピアカウンセリングやピアサポートの果たす役割は重要であると認識してい るが、それぞれの具体的な機能は、必ずしも明確とはなっていない。
したがって、新制度においては、
① それぞれが具体的にどのような機能を果たし、それが支給決定にどのように 反映されるべきであるのか、
② それを担う人材については、どのような資質が必要で、どのように養成して いくか、
③ 相互の連携をどのように図るのか、また、連携を確保するための体制をどの ように整備していくのか、 といった点について、議論を行っていく必要がある。

4について
○ まずは、不服申立てが頻繁に行われることがないようにするためにも、支給決 定プロセスにおいて、相談支援事業の更なる充実などを通じた障害のある方本人 のエンパワメントや、障害行政に精通した職員の養成・確保など、市町村等にお ける体制整備が求められる。
 不服申立手続については、行政不服審査一般のあり方と連動した形で、検討さ れていくべき問題であるが、その際には、障害のある方が当該手続を利用しやす くするような支援のあり方についても合わせて検討していく必要がある。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(総合福祉)
【総合福祉】地域移行
1.重度障害者の24時間介護体制の構築について、どう考えるか。
2.地域移行プログラムの法定化と期限の設定について、どう考えるか。
3.地域移行支援策の法定化について、どう考えるか。
回 答

1について
○ 障害保健福祉施策の力点については、障害のある方の地域生活に対する支援に 置くべきであり、その充実に向けた財政負担のあり方についてもあわせて検討し ていくべきである。
○ 重度障害のある方の24時間介護体制の構築についても、この検討の中で議論 していくべきである。

2及び3について
○ 障害のある方の地域移行については、各都道府県及び市町村が、障害福祉計画 において平成23年度末までに施設入所から地域生活に移行する者の数値目標 等を定め、計画的に進めているところ。
○ 施設入所者の地域生活への移行に関する状況については、1年間で約1万人が 退所している一方で、新規に約8千人が入所しているため、施設入所者について は約2千人の減に止まっているところ。
○ 障害のある方が地域で安心して暮らせるようにするためには、グループホーム などの各種のサービス基盤の整備と、相談支援の充実が必要である。
○ 厳格な地域移行プログラムの法定化と期限の設定については、障害のある方の 施設からの追い出しにならないかどうか等にも十分留意しつつ、検討を進めるべ きである。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目
ヒ ア リ ン グ 項 目(総合福祉)
【ヒアリング項目】利用者負担
1、応益負担の廃止について、どう考えるか。
2、負担の有無についてどのような原則と考え方をとるのか。
3、新基準の設定について、どう考えるか。
回 答
1から3までについて
○ 連立政権合意においては、「障害者自立支援法」は廃止し、「制度の谷間」が なく、利用者の応能負担を基本とする総合的な制度をつくることとなっている。
○ また、平成22年1月7日に締結した、障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁 護団と国(厚生労働省)との基本合意においても、「速やかに応益負担(定率負 担)を廃止し、遅くとも平成25年8月までに、障害者自立支援法を廃止し新た な総合的な福祉法制を実施する」となっている。
○ 新たな応能負担のあり方を検討するに当たっては、当該費用を国民全体でどの ように負担するかという観点を踏まえ、障害のある方を含めた国民の理解を得ら れる負担のあり方とする必要がある。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(総合福祉)
【ヒアリング項目】医療支援
1、医療支援のあり方について、どう考えるか。
2、負担問題について、どう考えるか。
回 答

1について
○ 障害のある方が自立した日常生活及び社会生活を営むために必要な医療が提 供されることが重要であると考える。

2について
○ 障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団との基本合意のとおり、自立支援医 療に係る利用者負担の措置については、当面の重要な課題であると認識しており 、障がい者制度改革推進会議の議論も踏まえて検討して参りたい。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(総合福祉)
【ヒアリング項目】その他
1、現行の障害程度区分に基づく国庫負担基準の問題について、どう考えるか。
2、障害者の地域生活のための財政負担の強化について、どう考えるか。
3、地域間格差をどのようになくしていくのか。
回 答

1について
○ 障害程度区分に関しては、「総合福祉・支給決定プロセス2」を参照のこと。
○ 現行の国庫負担基準については、国の費用負担を義務化することで財源の裏付 けを強化する一方で、国費を公平に配分するため、訪問系サービスについて、市 町村に対する国庫の精算基準として定めているものであり、市町村間の地域間格 差をなくし、公平なサービス提供を行う観点から必要であると考えている。
(参考)
・ 国庫負担基準については、同一市町村内において、サービス利用者が国庫負担基準を下回る 量のサービスを利用した場合の当該下回った量について、他の利用者に回すことが可能な仕組 みを設け、弾力的な運用を可能としている他、平成21年4月に、1人当たりの負担水準を月 額9万5,000円から10万5,000円に引き上げたところ。
・ また、国庫負担基準を超える支給を行っている市町村の負担を軽減するため、地域生活支援 事業における「重度障害者に係る市町村特別支援事業」や都道府県に創設した障害者自立支援 対策臨時特例基金を活用した「重度訪問介護等の利用促進に係る市町村支援事業」による財政 支援を行っているところ。
・ なお、国庫負担基準は、個々の利用者に対する支給量の上限ではないことから、市町村にお ける支給決定に当たっては、利用者一人一人の実情を踏まえて適切な支給量が設定されるよう 、国として周知を図っている。

2について
○ 障害保健福祉施策の力点については、障害者の地域生活に対する支援に置くべ きであり、その充実に向けた財政負担のあり方についてもあわせて検討していく べきである。

3について
○ 国として最低限保障すべきサービスを確保することを前提に、国のあり方とし て地域主権を推進する観点も踏まえ、地域の実情に応じて必要なサービスがきめ 細かく提供されるような仕組みについて、詳細に制度設計していくべきである。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(障害児支援)
【ヒアリング項目】基本的な考え方
1、障害者の権利条約(第7条)では、締約国は、障害のある児童とない児童が平 等であり、障害のある児童の人権を確保するためのすべての必要な措置をとるこ とが明記されている。
 一人ひとりの子どもの有り様を「障害」という概念で括る前に、個性・個人差 として捉え,基本的には児童福祉法における子ども施策の中で、障害児の支援を 位置づけるべきということについて、どう考えるか。
2、障害者の権利条約第7条3項には、「障害のある児童が、自己に影響を及ぼす すべての事項について自由に自己の意見を表明する権利並びにこの権利を実現 するための障害及び年齢に適した支援を提供される権利を有することを確保す る。」と障害のある児童の意見表明権とその権利を行使するための支援の必要性 について規定している。
 この意見表明権等を障害者基本法で明文化することについて、どう考えるか。 3、障害者の権利条約第26条第1項は、「(a)可能な限り初期の段階において開始し 、並びに個人のニーズ及び長所に関する学際的な評価を基礎とするものであるこ と。」と早期からのハビリテーション及びリハビリテーションを規定している。 障害のある子どものハビリテーション及びリハビリテーションは、児童福祉法、 障害者自立支援法、発達障害者支援法等、複数の法律で規定されているが、障害 のある子どもの生活構造に沿った再編成とシンプル化について、どう考えるか。
回 答

1について
○ 障害のある児童に係る施策については、関係団体の代表や学識経験者からなる 「障害児支援の見直しに関する検討会」が平成20年7月に取りまとめた報告書 においては、保育所等の一般施策との連携の観点から児童福祉法に位置付けるこ とを基本とすべきと提言されており、これに沿って進めていくことが適切である 。

2について
○ 障害のある児童も含め、児童の意見を表明する機会の確保は、重要であると考 えている。
○ 障害のある児童は、知的障害による判断能力の低下や身体障害による言語表出 の困難さがあるなど意見表明上の課題があるため、障害のある児童に対しては、 意見を表明できるよう障害特性に応じた支援が必要であり、その具体的な支援の あり方については、児童の最善の利益を守る観点から検討することが必要であ る。

3について
○ 障害のある児童に対しては、その発達を促すという観点から、適切な診断に基 づき、ハビリテーションやリハビリテーションを含め、各発達段階に応じた連続 的、重層的なサービスが、シームレスに提供されていくことが重要であり、そう した観点から、サービス体系の具体的な内容について検討していく必要がある。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(障害児支援)
【ヒアリング項目】出生直後から乳幼児期の相談支援のあり方
1、障害児と保護者へのケア・関わりは、出生直後に障害が判明した場合には、そ の時から適切な関わり方でなされる必要がある。
従来の「早期発見・早期療育」という方針は、医療・療育に偏向しており、障 害のない子どもと分離し選別することにつながるという問題が指摘されている が、この点について、どう考えるか。
2、従来の「早期発見・早期療育」という方針のもとでは、障害を少しでも軽くす る努力をしていくことが保護者の責任とされている現況において、保護者の罪悪 感を強め、責任感をあおる結果につながる懸念があるとの指摘もなされている が、こうした指摘も念頭に置きつつ障害の「早期発見・早期支援」のあり方につ いて、どう考えるか。
3、確定診断前の子どもや気になり始めた段階での子どもの支援について、申請主 義的な手続きを必要とする制度のためにタイムリーな支援が困難となり、保護者 による支援の辞退が懸念されることが少なくないが、こうした現状に対して、ど う考えるか。
4、保護者の漠然とした育ち不安や育て不安を、障害種別ごとに切り分けた支援サ ービスの仕組みにはめ込むことは、保護者の心理面からも無理があるという指摘 があるが、こうした指摘も念頭に置きつつ相談支援の対応のあり方について、ど う考えるか。
5、地域での子育てに関する相談はいろいろな関係機関での実施が望ましく、また それらの情報が一元化されて関係者や関係機関が一緒に検討できる場が必要で あると言われているが、このことについて、どう考えるか。
回 答
1及び2について
○ 障害のある子どもは、他の子どもと異なる存在ではなく、障害の有無にかかわ らず共に暮らしていくという視点が重要であり、この視点も踏まえて、子どもの 発達段階に応じた適切な支援のあり方を検討していくべきである。
○ また、「早期発見・早期療育」が、保護者の負担感や責任感をあおる結果にな らないよう、関係機関の連携により、早期から心理的ケアを含めた親子をサポー トする相談支援体制の充実も必要である。

3について
○ 親にとって敷居の低い場所で支援が受けられるようにするため、障害のある児 童の専門機関が、保健センターや地域の子育て拠点などに出向いて行くなど、身 近なところで発達相談等の専門的な支援が受けられるよう、相談支援の充実等を 図っていく必要がある。
○ また、親の気付きを大切にして、親の気持ちに寄り添った支援を行っていくこ とが重要であることから、身近で親に接している者(保健師、保育士等)と、障 害のある児童の専門機関の者が、別々に関わるのではなく、連続性をもって重層 的に対応していくことにより、早期の支援につなげていくことが必要である。

4及び5について
○ 障害のある児童の相談支援についても、障害種別にとらわれない一元化を進め るとともに、特別支援学校の教員など障害のある児童の支援に係る関係者を市町 村における地域自立支援協議会の委員に加えるなど、地域自立支援協議会を活用 することにより、関係機関の連携システムを構築し、特に学齢期への移行時など において、支援の切れ目が生じないよう連携強化を図っていく必要があるのでは ないか。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(障害児支援)
【ヒアリング項目】就学前の支援策のあり方
1、現在、保育所での障害児の受け入れが年々増加している状況において、障害児 の通園施設は、障害児の専門機関としての機能の拡充が求められているととも に、地域の実情に応じて、保育所等への巡回など外に出て行って障害児や保護者、 保育士等を支援しコーディネートを行う機能を果たしていくことも求められて いる。こうした障害児通園施設と児童デイサービスの機能を充実させるために は、その役割を担う人材や財源を確保することが必要であり、このためには個別 給付の検討が必要であるという考え方があるが、これについて、どう考えるか。
2、障害児の通園施設について、障害の重複化に対応して身近な地域で支援が受け られるようにするために、障害種別による区分をなくし、多様な障害のある子ど もを受け入れるようにしていく通園施設の一元化に向けた考え方がある。 こうした通園施設の一元化に関し、その必要性やあり方について、どう考える か。
回 答

1について
○ 障害のある児童の通園施設や児童デイサービスについては、すでに個別給付化 されているところであるが、保育所等への巡回など外に出て行って障害のある児 童や保護者、保育士等を支援しコーディネートを行うことについては、その給付 や費用負担のあり方について、改めて検討が必要である。

2について
○ 障害の重複化やより身近な地域で療育が受けられるよう、通園施設については 障害種別を超えた一元化を図っていくことが必要と考えるが、一元化に当たって は、児童の障害の特性に応じた適切な支援が受けられるよう、人員配置、設備、 支援方法等について具体的に検討していく必要がある。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(障害児支援)
【ヒアリング項目】市町村を基本とした相談支援体制について
1、身近な行政が子どもについての権利と責任を一層明確に自覚することは重要で あるが、小規模な町村では障害のある子どもの数は少なく、こうした子どもとそ の家族を効果的・効率的に支援するサービスが質的・量的に保障できるのかとい う論点もある。こうした点についてどう考えるか。さらには、町村への相談を専 門的な相談支援につなげる体制を地域の実情に応じてつくっていく場合の課題 について、どう考えるか。
2、障害児には、その時々に応じて保健・医療・福祉・教育・就労など様々な関係 者が支援を行うことが必要である。身近な地域でこうした様々な分野の関係者の 連携の強化を図るため、地域自立支援協議会の活用(子ども部会の設置)等によ り関係機関や関係者間の連携をつくっていくことが重要と言われるが、この点に ついて、どう考えるか。
回 答
1及び2について
○ 小規模な町村においても、障害のある児童の専門機関と連携を図ることにより 、身近なところで専門的な相談支援が受けられるようにすることは重要であると 考えている。
○ 市町村を基本とした障害のある児童に係る相談支援体制のあり方については、 広域的、専門的な観点から市町村間の連携を図るとともに、障害児通園施設等の 障害のある児童の専門機関が市町村の相談支援を支える機関としての役割を果 たしていくことや、地域自立支援協議会の活用等による関係機関との連携システ ムの構築など、具体的に検討していく必要がある。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(所得保障)
【ヒアリング項目】所得保障の現状について
1、障害者権利条約19条で述べている地域での自立した生活のためにはどの程度の 水準の所得保障が必要だと考えるか、またその水準に照らして日本の障害のある 人への所得保障の現状はどうなのか、ご認識をお聞かせ願いたい。
2、同条約27条で述べている「同一価値の労働についての同一報酬」という考え方 に照らして、障害のある人が働いて得る報酬の現状について、障害を理由として 時給の格差など賃金面で不利な状況に置かれるなどの状況があるのかどうか、ご 認識をお聞かせ願いたい。
回 答

1について
【結論】
○ 障害のある方の所得保障については、就労支援の取組を進めることが重要であ ると考えている。また、就労による所得の確保が困難な場合については、障害年 金等の給付による所得保障を行っているところである。
○ また、障害基礎年金は、1級が月額82,508円、2級が月額66,008円(平成22年度 )。
障害厚生年金は、平均標準報酬額と被保険者期間に応じて計算した額であり、 1級は2級の1.25倍である。被保険者期間の月数が300月に満たないときは、被保 険者期間は300月とみなされる。(平均受給額は、1級が161,509円、2級が123,261 円(平成20年度)。)
○ 障害基礎年金の受給者は1,551,199人、障害厚生年金の受給者は287,112人であ り、給付費の総額は、1兆5840億円である(平成20年度)。
○ なお、障害のある方の賃金については、2についてを参照。
【根拠、理由】
○ 現行の年金制度においては、障害による稼得能力の喪失に対して所得保障を行 うことを目的として障害年金が設けられており、「負担に応じて給付を行う」と いう社会保険方式のもと、支給要件が定められ、これを満たした方に対して障害 基礎年金等が支給されている。
○ 保険の考え方に基づくものであるが、障害が生じた場合においては、できる限 り年金を支給するという考え方に立って、保険料未納期間がそれまでの被保険者 期間の3分の1を超えない場合であれば、障害基礎年金が支給される。
○ さらに、長期の未納期間があるなど未納期間が3分の1を超えていた場合でも、 上記の特例として、直近一年間に未納期間がなければ、障害基礎年金が支給され る。

2について
○ 通常の最低賃金額以上の賃金が支払われている労働者については障害を理由 とした差別の有無は把握していない。
また、最低賃金の減額特例を受ける労働者については、減額の特例の許可は、 個々の労働者ごとに行うものとし、労働基準監督官が実地に調査し、対象労働者 の労働実態を十分に把握してから行うこととしており、制度の趣旨に反して労働 者が不当な低賃金で雇用されることのないよう、厳正に運用しているところであ る

(※)最低賃金法では、通常の最低賃金額を適用することとなると、雇用の機会が失われる 等、かえって労働者に不利な結果を招いてしまうおそれがあることなどから、障害によ り労働能力が著しく低くなっていることが明白であるなど一定の場合について、最低賃 金の減額特例許可制度を設けており、都道府県労働局長による厳格な審査の上で例外的 に減額の特例を認めている。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(所得保障)
【ヒアリング項目】年金をめぐる課題について
1、現在の障害基礎年金の水準が十分だと考えるかどうか、また年金2級を1級に、 1級をさらに引き上げるべきとの意見があるがこの点について、どう考えるか。
2、① 国民年金の任意加入時に学生、主婦が障害を負った場合、
② 日本国籍をもたない人が障害を負った場合、
③ 海外に居住している日本人が障害を負って帰国した場合、
④ 初診日の問題があって年金が支給されない場合
などで無年金となっている人がいることの問題点が指摘されているが、この点の 制度上の課題と改善の方向性について、どう考えるか。
回 答

1について
【結論】
○ 現行制度においては、障害基礎年金は、老齢基礎年金の年金額とのバランスに 配慮して設定されている。
○ 障害基礎年金を引き上げる場合には、保険料を負担する現役世代の負担増や、 税財源の確保が必要である。
○ 障害のある方に対する所得保障の在り方については、平成25年に法案を成立さ せることとしている新たな年金制度創設に向けた議論の中で、給付水準の負担の 在り方を含めて、検討を進めてまいりたい。
【根拠、理由】
○ 障害年金は、障害による稼得能力の喪失に対して所得保障を行うことを目的と して設けられているものであり、老齢による稼得能力の喪失に対する老齢基礎年 金の満額(40年間納付した場合の額)と同額を2級の額(1級は、その1.25倍)と し、被保険者全体で納めている保険料と税金を財源として、支給されている。
○ 障害基礎年金を引き上げる場合には、老齢給付の水準と併せて検討する必要が あるほか、障害給付のみを考えるだけでも、以下の課題がある。
・ 現役世代の保険料の負担増
・ 税財源の確保

※ 障害基礎年金1級、2級ともに一律25%引き上げる場合、所要額は給付費ベー スで約0.4兆円、国庫負担は約0.2兆円。

2について
【結論】
○ 我が国の年金制度は、制度にあらかじめ加入し保険料納付を行い、保険事故が 発生した際には、事故発生時点における保険料納付実績に基づき給付を行うとい う保険原則により運営されている。
○ ただし、国民年金の任意加入の対象となっていて任意加入していなかった時に 障害を負った学生や専業主婦に対しては、国民年金制度の発展過程において生じ た特別な事情に鑑み、福祉的措置として、特別障害給付金が支給されている。
また、同給付金の支給対象とならなかった在日外国人障害者等に対する福祉的 措置の検討規定が、同給付金根拠法の附則において設けられているところであり 、立法府その他の関係者の御議論を踏まえつつ、引き続き検討を進めてまいりた い。
○ 障害基礎年金を支給するためには、障害が最初に生じた時点を客観的に確認す ることが必要であることから、傷病について初めて医師等の診断を受けた日(初 診日)を基準日として確認を行っている。

(参考)現行の取扱いについて
① 国民年金の任意加入時に学生、主婦が障害を負った場合
平成3年3月以前に国民年金任意加入対象であった学生、または、昭和61年3月以前に国民年 金任意加入対象であった厚生年金保険の被保険者等の被扶養配偶者で、任意加入していなかっ た期間に初診日があり、現在、障害基礎年金の1級、2級に該当する方に対しては、平成17年4 月に設けられた特別障害給付金が支給されている。(平成22年度の額は、1級の障害のある方 には月額50,000円、2級の障害のある方には月額40,000円)
② 日本国籍をもたない人が障害を負った場合
国民年金においては、昭和57年の法改正により国籍要件が撤廃された際、当該改正の内容は 将来に向かってのみ効力を発生することとされ、昭和57年時点で20歳に達していた在日外国人 障害者については、国民年金の受給資格を得ていない。
また、平成16年に特別障害者給付金が制定された際に、支給対象とならなかった在日外国人 障害者等に対する福祉的措置の検討規定が、同給付金根拠法の附則において設けられていると ころ。
なお、当該法改正については、違法性や違憲性はないとの判断が最高裁においても出されて いる。
③ 海外に居住している日本人が障害を負って帰国した場合
海外居住する日本人については、国民年金に任意加入していれば、原則的に国内に居住する 場合と同様に障害基礎年金を受給できる。
④ 初診日の問題があって年金が支給されない場合
現行の障害年金においては、傷病について初めて医師等の診断を受けた日(初診日)を基準 日として、保険料納付要件などの年金の支給要件を判定している。
【根拠、理由】
○ 我が国の年金制度は、制度にあらかじめ加入し保険料納付を行い、保険事故が 発生した際には、保険事故(障害)発生時点における保険料納付実績に基づき給 付を行うという保険原則により運営されていることから、あらかじめ制度に加入 せず保険料を納付していない方に対しては、障害年金は給付されない。

※ 特別障害給付金は、国民年金制度の発展過程において特別な事情が生じた 方々に対して、福祉的な措置として支給されているもの。
○ また、障害が最初に生じた時点を客観的に確認することが必要であるため、傷 病について初めて医師等の診断を受けた日(初診日)を基準日としているものである。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

回 答

ヒ ア リ ン グ 項 目(所得保障)
【ヒアリング項目】手当をめぐる課題について
1、障害のある人の就労による所得を補完するための手当を創設するべきとの意見 があるが、これについて、どう考えるか。
2、真に自立した生活ができるような手当としてどのようなものが考えられるか。
3、障害のある人の地域生活の基本として住宅手当を創設するべきとの意見がある がこのことについて、どう考えるか。

1及び2について
○ 障害のある方の所得保障については、就労支援に取り組むとともに、就労によ る所得の確保が困難な場合については、障害年金等の給付を行っているところで ある。
○ 現行の障害年金等に加えて、新たな手当等を創設する場合は、財源の議論と併 せて検討することが必要である。また、税制上の控除や公共交通機関等の割引な ど各種支援措置との関係も整理することが必要である。

3について
○ 住宅を含めた地域での居住支援については、地域への移行を進めるという観点 から、その支援のあり方について検討する必要があると考える。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(虐待防止)
【ヒアリング項目】法制定の必要性
虐待防止法の制定の必要性と今後の取り組みについて、どう考えるか。
回 答

○ 高齢者、児童については障害のある方も含めて虐待防止法制が整備されている 一方で、障害のある方に対する虐待防止法制は整備されていない状況である。ま た、この点に関し、国会においても、障害のある方の虐待を防止すること等を目 的とする議員立法が提出され、議論が行われてきた経緯があり、障害のある方の 虐待防止法制のあり方についても、検討課題と認識している。

○ なお、障害者自立支援法第2条には、市町村の責務として、「障害者に対する 虐待の防止及びその早期発見のために関係機関と連絡調整を行うことその他の 障害者等の権利の擁護のために必要な援助を行うこと」等が規定されており、各 都道府県に対する通知等により、虐待を受けた障害のある方の一時的な保護、他 施設への入所措置等虐待の防止のための適切な対応を行うよう要請している。

○ また、平成22年度予算において、障害のある方の虐待を防止するために、家 庭訪問の実施や相談窓口の体制強化等を含めた地域における連携体制の整備等 を行う都道府県に対し補助を行う事業を新規に創設したところであり、厚生労働 省としては、これらの取り組みを通じて障害のある方の虐待防止に努めていきた い。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(虐待防止)
【ヒアリング項目】障害の定義
被虐待者は手帳所持者には限られるべきではないという点について、どう考える か。
回 答
○ 虐待についての通報、保護等の対象者については、障害のある児童を含む児童 虐待に関しては児童福祉法及び児童虐待防止法において、障害のある高齢者を含 む高齢者に関しては高齢者虐待防止法において、それぞれ定義されているところ であり、これらを踏まえ、障害のある方の虐待に関する通報、保護等の対象者に ついて検討する必要がある。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(虐待防止)
【ヒアリング項目】虐待行為者による類型
虐待行為者の類型の範囲について、どう考えるか。
(例、介護者、福祉従事者、使用者、学校関係者、医療従事者)
回 答
○ 虐待行為者の類型については、虐待行為が発見された場合に、誰(主体)が対 象者の保護や是正のための措置を講じるのか等に留意して検討する必要がある。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(虐待防止)
【ヒアリング項目】救済機関
1、救済機関の権能について、どう考えるか。
(例、事実確認、立ち入り調査、一時保護、回復支援、その他)
2、救済機関が対象とすべき範囲について、どう考えるか。
回 答

1及び2について
○ 例示のあった立入調査等を行う機関のあり方については、法律等に基づく事業 所への立入権限等を有する地方公共団体等の公的機関やその他の関係機関との 役割分担、協力関係等の整備、義務を担う人材のあり方、財政的責任の所在など について検討する必要がある。

○ また、虐待に到る背景として従業者の専門的知見の不足や同居する家族の負担 などが指摘されており、これに対する支援のあり方についても検討する必要があ る。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(虐待防止)
【ヒアリング項目】監視機関
1、監督権限はあっても原則として監督義務はないとする現行法規の解釈のもとで 、現行法の適切な運用のみで虐待防止の実効性を担保できるかについて、どう考 えるか。
2、障害者の権利条約第16条(搾取、暴力及び虐待からの自由)第3項 は「締約 国は、あらゆる形態の搾取、暴力及び虐待の発生を防止するため、障害者に役立 つことを意図したすべての施設及び計画が独立した当局により効果的に監視さ れることを確保する。」としているが、家庭における虐待以外の場合の独自の独 立した監視機関の設定の必要性について、どう考えるか。
回 答

1について
○ 例えば、障害福祉サービス事業所において虐待行為が明らかになった場合につ いては、障害者自立支援法に基づき、地方公共団体において事実確認等適切な監 督が行われる必要があると認識している。

2について
○ 障害のある方の虐待について、現行法令に基づき指導・監督を行っている機関 との関連性も含め、実効性ある監視体制について議論していく必要があると認識 している。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(虐待防止)
【ヒアリング項目】相談支援機関
生活支援まで含めた相談支援のあり方について、どう考えるか。
回 答

○ 虐待を防止することは大変重要であることから、平成22年度予算において、 新規事業として、
① 虐待のあった家庭や虐待の恐れのある家庭に対する相談支援事業者等によ る訪問・相談
② 相談支援事業者等に対する専門的な研修や施設従事者に対する虐待の予防 等に関する研修
③ 相談支援事業者等への委託による土日・夜間の電話対応窓口の設置 等、地域における連携体制の整備と支援体制の強化を行う都道府県に対し補助を 行う事業などを計上しており、こうした取組を通じて、障害のある方の虐待防止 に取り組んでいるところ。

○ 虐待防止を含め地域生活の安心を確保するためには、地域における相談支援体 制の更なる充実・強化が必要であり、相談支援の担うべき役割を明確にした上で 、それを担う人材の確保や体制の整備、関係機関との連携のあり方などを多角的 に検討する必要がある。