ヒアリング項目に対する意見書
【府省名:厚生労働省】
ヒ ア リ ン グ 項 目(医療) |
【ヒアリング項目】精神医療と福祉に関わる法体系 2 福祉法体系 |
回 答 |
1について ○ こうした措置は、精神障害者の福祉の増進や人権の保護を目的として、一般医 療とは区別して特別に定めているものである。 ○ また、現行規定においても、精神病患者を精神病室でない病室に入院させない こととされているが、臨時応急のため入院させるときは、精神病室でない病室に も入院させることができる。 (※医療法施行規則第10条) ○ 一方、「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会報告書」(平成2 1年9月24日)において「身体合併症への対応を円滑化する観点から、その見 直しを検討すべき」と指摘されており、今後、検討してまいりたい。 2について |
ヒアリング項目に対する意見書
【府省名:厚生労働省】
ヒ ア リ ン グ 項 目(医療) |
【ヒアリング項目】精神障害者に対する強制入院 1、措置入院(29 条) 2、医療保護入院(33 条) 3、医療を受けさせるために入院をさせる旨の決定 |
回 答 |
1について ○ 自傷他害のおそれがあるかを判定するに当たっては、都道府県知事(指定都市 の市長)による患者の身体に対する直接的な強制力の行使たる入院という行為が 、行政上の必要性を満足させるための必要最小限度にとどめられるよう運用され ており、さらに、患者本人の同意による任意入院を原則としているものであり、 措置入院は限定的に運用されるべきこととなっている。 ○ 障害者の権利に関する条約(以下「条約」という。)第14条は、障害の存在 による自由の剥奪が正当化されないことを定めているが、自傷他害のおそれの除 去又は障害者本人に対する保護若しくは医療の提供という正当な目的がある場 合において本人の医療及び保護の観点からやむを得ず強制的な入院措置をとる ことまでを妨げるものではないと考えられる。 ○ なお、諸外国(フランス、オランダ等)においても、強制入院の制度は存在し ている。 ○ また、措置入院を行う場合には、指定医による診察や入院措置等についての本 人への書面告知が義務付けられており、人権への配慮という観点から入院の手続 については厳格に定められている。 ○ さらに、入院後については、精神科病院の管理者に対して、入院患者の病状等 に関する定期的な報告や患者本人等からの退院請求・処遇改善請求について第三 者機関である精神医療審査会による審査を義務づけているなど、入院後において も、人権への配慮という観点から各種手続を定めている。 ○ このように、精神保健福祉法に定める措置入院に当たって、自傷他害のおそれ を要件とすることは、必要なものと考えており、今後とも、適切な処遇の確保に 努めていきたいと考えている。 2について ○ 医療保護入院は本人の同意がなくても入院を可能とする制度であることから、 入院に当たっては、保護者の同意を必要としていることに加え、患者本人の同意 による任意入院を原則としている。 ○ また、医療保護入院を行う場合には、指定医による診察や入院措置等について の本人への書面告知が義務付けられており、人権への配慮という観点から入院の 手続については厳格に定められている。 ○ さらに、入院後については、精神科病院の管理者に対して、入院患者の病状等 に関する定期的な報告や患者本人等からの退院請求・処遇改善請求について第三 者機関である精神医療審査会による審査を義務づけているなど、入院後において も、人権への配慮という観点から各種手続を定めている。 ○ このように、精神保健福祉法に定める医療保護入院に当たって、本人の同意が なくても入院させることができるとすることは、必要なものと考えており今後と も、適切な処遇の確保に努めていきたいと考えている。 3について ○ また、本人に対する適切な処遇を決定するための手続面においては、司法機関 たる裁判所と精神医療の専門家たる精神保健審判員の合議体による審判を経る ものとなっており、入院決定となった場合の指定入院医療機関は、病室の個室化 や手厚い人員配置など厳格な基準を満たした上で厚生労働大臣の指定を受けた ものである。 ○ このように、医療観察法に定める、裁判所の決定により、医療を提供すること は、必要なものと考えており、今後とも、適切な処遇の確保に努めていきたいと 考えている。 ○ なお、医療観察法については、同法附則により、施行後5年を経た場合に、施 行状況を国会に報告し、その状況について検討を加えることとされているところ であり、今後、当該議論も踏まえ、そのあり方を検討してまいりたい。 |
ヒアリング項目に対する意見書
【府省名:厚生労働省】
ヒ ア リ ン グ 項 目(医療) |
【ヒアリング項目】精神障害者に対する強制医療介入 1、精神保健福祉法における強制医療介入 2、医療観察法における強制医療介入 |
回 答 |
1について ○ なお、一般医療においても、民法・刑法等において明文の規定はないものの、 意識障害があるなど本人の意思の確認が困難な場合には、治療の必要性に応じ、 第三者が本人の意思を推定し、医療機関において一定の手続きを経る等により、 本人に必要な治療を行うことが一般的であり、措置入院及び医療保護入院につい ては、人権への配慮から、厳格に手続を定めているものである。 2について ○ また、処遇の要否・内容の決定にあたっては、裁判所において、医師である精 神保健審判員による医療的判断に併せて裁判官による法的判断により対象者の 権利が適切に保障された手続を確保している。 ○ このように、法の下の平等を基礎として、法律上正当な目的がある場合におい て本人の医療及び保護の観点からやむを得ず強制的な入院措置をとることは必 要なものと考えられる。 ○ なお、医療観察法については、同法附則により、施行後5年を経た場合に、施 行状況を国会に報告し、その状況について検討を加えることとされているところ であり、今後、当該議論も踏まえ、そのあり方を検討してまいりたい。 |
ヒアリング項目に対する意見書
【府省名:厚生労働省】
ヒ ア リ ン グ 項 目(医療) |
【ヒアリング項目】医療サービスにおける差別的取り扱い 1、精神医療の供給体制 2、一般病院への入院体制 |
回 答 |
1について 2について (※医療法施行規則第10条) ○ 一方、「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会報告書」において 「身体合併症への対応を円滑化する観点から、その見直しを検討すべき」と指摘 されており、今後、検討してまいりたい。 |
ヒアリング項目に対する意見書
【府省名:厚生労働省】
ヒ ア リ ン グ 項 目(医療) |
【ヒアリング項目】社会的入院 精神病院の入院患者のうち7万人ほどが社会的入院であるとされているが、治療 の必要性がないにかかわらず、医療の分野で生活を送らざるを得ないことに関して 、どう考えるか。 |
回 答 |
○ 社会的入院を含めた長期入院患者の減少を図っていくことは重要であると考 えている。精神保健医療福祉の改革に関しては、平成16年9月に、おおむね1 0年間の精神保健医療福祉改革の具体的方向性を明らかにする「精神保健医療福 祉の改革ビジョン」が取りまとめられ、「入院医療中心から地域生活中心へ」と いう基本理念に基づき、「受入条件が整えば退院可能な者(7万人)」について は、10年後の解消を図ることとされている。 ① 精神保健医療体系の再構築 ○ このため、平成22年度予算において、精神障害者の退院支援や地域生活支援 を行う地域移行推進員の増員や地域生活に必要な体制整備を促進する地域体制 整備コーディネーターの活動の強化により、精神障害者の地域生活への移行をよ り一層推進することとしている。 |
ヒアリング項目に対する意見書
【府省名:厚生労働省】
ヒ ア リ ン グ 項 目(医療) |
【ヒアリング項目】医療行為一般 医療行為の定義が不明確であるため、在宅で生活している重度の障害児・者が、 家族の重い介護負担の下での生活を余儀なくされたり、社会参加を極度に制限され たりしている現状と対策について、どう考えるか。 |
回 答 |
○「医行為」については、「医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ 人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為」と定義しているが、 個々の行為が「医行為」に当たるか否かは、障害児・者の状態等、個々の行為の 様態に応じて変わり得ることから、個別具体的に判断する必要がある。 ○ また、医行為については、医師法等により、医師や看護師等以外の者が行うこ とはできないこととされており、在宅で生活している障害児・者に対する医行為 に関しては、訪問看護を活用していただくことが考えられる。一方で、在宅で行 われる医行為のすべてを訪問看護で対応することは現状で困難であり、そのよう な中で、在宅で生活している障害児・者を支えている家族の負担を軽減するため 、ホームヘルパーによるたんの吸引を一定の条件の下で認めているところである 。 ○ なお、「チーム医療の推進について」(平成22年3月19日「チーム医療の推進 に関する検討会」報告書)において、介護職による一定の医行為(たん吸引や経 管栄養等)の具体的な方策について、別途早急に検討すべきとされたところであ り、早急に検討に着手してまいりたい。 |
ヒアリング項目に対する意見書
【府省名:厚生労働省】
ヒ ア リ ン グ 項 目(医療) |
【ヒアリング項目】重度障害児の在宅移行 |
回 答 |
○ 重症心身障害児施設への入所については、保護者の意向や障害のある児童の最 善の利益を考慮しており、人権侵害に当たらないと考える。 ○ また、平成20年7月22日に「障害児支援の見直しに関する検討会」におい て取りまとめられた報告書においては、重症心身障害児・者について、「施設で の支援にあわせ、在宅での支援施策についても充実させていく必要がある」と指 摘されている。このようなご指摘も踏まえ、保護者や本人が在宅での生活を希望 する場合については、その希望を実現できるよう、医療的ケアを提供できる短期 入所や訪問看護、重症心身障害児(者)通園事業の充実など、在宅支援の拡充に ついて検討する必要がある。 |
ヒアリング項目に対する意見書
【府省名:厚生労働省】
ヒ ア リ ン グ 項 目(医療) |
【ヒアリング項目】受診拒否 障害児・者が一般医療機関で受診拒否されることが少なくない。重症心身障害な どでは「医療側の経験のなさ」「診療所の構造的バリア(車いすやストレッチャー で入れない)」などによることが多く、自閉症等の発達障害児では医師の無理解に 加えて「多動・暴れる」「症状の把握が困難」などにより診療困難であったり時間 や手間がかかったりするためとされる。 このような実態と対策について、どう考えるか。 |
回 答 |
○ 発達障害等障害のある方が受診する際に治療行為が困難な場合も少なくない と考えられることから、平成20年度厚生労働省障害保健福祉推進事業において 、発達障害等の方々の医療機関受診を支援するための研究が行われ、「発達障害 のある人の診療ハンドブック」が作成され、関連情報が国立障害者リハビリテー ションセンターのホームページに掲載されるとともに、自治体への周知も行われ ているところである。今後とも、障害児・者の受診に役立つ情報の更なる普及に 努めてまいりたい。 |
ヒアリング項目に対する意見書
【府省名:厚生労働省】
ヒ ア リ ン グ 項 目(医療) |
【ヒアリング項目】自立支援医療における医療費 1、ところが、障害者自立支援法では、更生医療、育成医療、精神通院医療につい て、自己負担が1割求められている。また、精神科入院医療費など自立支援医療 制度の対象外となっているものについては、2~3割の自己負担が求められてい るが、この費用負担が条約の求める妥当な(「負担可能な費用」)水準と考えて いるか。 2、難病のうち、特定疾患以外は、公費で自己負担の縮減が図られておらず、患者 にとって大きな経済的負担となっているが、これについて、どう考えるか。 3、医療費助成制度には、小児慢性疾患、特定疾患、高額療養費制度、重度心身障 害者医療費助成制度等、様々な医療費助成制度があり、複雑で分かりにくくなっ ているとの考え方について、これらの統合化の可能性も含め、どのように考えるか。 |
回 答 |
1について ① 医療保険の自己負担(一般の方:3割)を1割の定率負担に軽減 2について 【根拠、理由】 3について ① 対象となる医療の範囲については、医療保険で給付されるものかそうでない か。 ○ なお、難治性疾患の患者に対する医療費助成の在り方(小児慢性特定疾患に関 するキャリーオーバーの問題を含む。)については、特定疾患治療研究事業、小 児慢性特定疾患治療研究事業のみならず、医療保険における高額療養費など関連 する制度の在り方を含めた幅広い議論が必要であることから、「新たな難治性疾 患対策の在り方検討チーム」を設置し、省内横断的な検討を開始したところであ る。 (参考) <実施主体> ○小児慢性特定疾患治療研究事業 ○高額療養費制度 ○重度心身障害者助成制度(自治体独自の助成制度) <実施主体> |
ヒアリング項目に対する意見書
【府省名:厚生労働省】
ヒ ア リ ン グ 項 目(医療) |
【ヒアリング項目】更生医療、育成医療、精神通院医療 障害に係る医療支援が更生医療、育成医療、精神通院医療の3種に区分けされて いるが、このような区分けに基づく申請手続きの違いや治療の範囲は適正であるか について、どう考えるか。 |
回 答 |
○ 更生医療、育成医療、精神通院医療については、障害者(児)の心身の障害の 状態の軽減を図り、自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な医療を行 うという考え方に基づき、区分されている。 ○ 更生医療、育成医療、精神通院医療それぞれの障害等の特性により、対象とな る治療の範囲を設定している。
(参考) |
ヒアリング項目に対する意見書
【府省名:厚生労働省】
ヒ ア リ ン グ 項 目(医療) |
【ヒアリング項目】障がい者制度改革推進会議との連携・調整 厚生労働省において開催を予定している、精神医療の改革に関する検討会につい ては、障がい者制度改革推進会議と十分に連携・調整をしつつ、整合的に検討を進 めていく必要があると考えるが、ご意見をいただきたい。 |
回 答 |
○ 厚生労働省では、昨年9月にとりまとめられた「今後の精神保健医療福祉のあ り方等に関する検討会」報告書を踏まえ、今後の精神保健医療施策の充実を図っ ていくことが必要であると考えており、このため、今月、当事者や家族を含む検 討会(「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討会」)を設け、御意見 を伺うことを予定している。 ○ また、厚生労働省の外部の動きとして、本年4月に、多くの当事者や家族の参 画を得て、「こころの健康政策構想会議」(座長:岡崎祐士氏(都立松沢病院院 長))が発足しており、精神保健医療改革について提言をとりまとめ、厚生労働 大臣に報告される予定となっている。(5月末予定) ○ 今後は、これらの動きを踏まえつつ、障がい者制度改革推進会議と連携しなが ら、検討してまいりたい。 |