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場所:戸山サンライズ 大研修室
 

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ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(医療)

【ヒアリング項目】精神医療と福祉に関わる法体系
1 医療法体系
精神保健福祉法は、その目的に医療と保護を挙げている(同法1 条)反面、一般 の医療を規定する医療法では、精神病患者を精神病室でない病室に入院させない (医療法施行規則第10 条)とされているため、精神障害者は一般医療のサービス を享受できない結果を生じている。
そこで、障害者の権利条約の他の者との平等を基礎とする社会的統合の理念から して、精神医療は一般医療法に包摂し、精神保健福祉法という特別な医療法体系は 見直すべきかについて、どう考えるか。

2 福祉法体系
同様に、精神保健福祉法は、その目的に医療と保護を挙げている(同法1 条)た め、病院への入院という形の保護が福祉としてなされ、結果として社会的入院と呼 ばれる実態を発生せしめている。精神障害者福祉に関しても、総合福祉法に包摂さ れるべきと考えるなら、精神保健福祉法は、福祉施策の独自の法体系としての意義 があるのかについて、どう考えるか。

回 答

1について
○ 精神保健福祉法は、精神障害者の医療及び保護を行うこと等によって、精神障 害者の福祉の増進等を図ることを目的としている法律であり、具体的には、精神 保健指定医の指定、指定病院の指定、それらの監視指導、入院措置の手続き等を 通じた精神障害者への医療の提供、社会復帰の実現等を規定し、法の目的の達成 を図っている。また、入院措置の手続きに際しては、指定医による診察や入院措 置等についての本人への書面告知が義務付けられており、人権への配慮も十分に なされている。

○ こうした措置は、精神障害者の福祉の増進や人権の保護を目的として、一般医 療とは区別して特別に定めているものである。

○ また、現行規定においても、精神病患者を精神病室でない病室に入院させない こととされているが、臨時応急のため入院させるときは、精神病室でない病室に も入院させることができる。

(※医療法施行規則第10条)

○ 一方、「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会報告書」(平成2 1年9月24日)において「身体合併症への対応を円滑化する観点から、その見 直しを検討すべき」と指摘されており、今後、検討してまいりたい。

2について
○ 精神保健福祉法における福祉としては、精神障害者社会復帰施設等に関する規 定が障害者自立支援法の制定に伴って削除され、現在では精神障害者保健福祉手 帳の交付(第45条)、精神保健福祉相談員の設置(第48条)等にとどまるもので あり、精神障害者に対する福祉施策を網羅的、包括的に規定しているものではな い。精神障害者の支援に当たっては、精神保健福祉法及び障害者自立支援法によ るものが相まって行われている。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(医療)

【ヒアリング項目】精神障害者に対する強制入院
障害者の権利条約第十四条(身体の自由及び安全)は、「締約国は、障害者に対 し、他の者と平等に次のことを確保する。」として、「不法に又は恣意的に自由を 奪われないこと、いかなる自由のはく奪も法律に従って行われること及びいかなる 場合においても自由のはく奪が障害の存在によって正当化されないこと(政府仮 訳)。」を掲げている。この観点から、

1、措置入院(29 条)
精神保健福祉法は、「自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれ」を措置入院の 要件として挙げているが、この要件は「自由のはく奪」の根拠となりうるのかにつ いて、どう考えるか。

2、医療保護入院(33 条)
精神保健福祉法は、精神障害者に保護者を付したうえで、保護者の同意があると きは、一定の要件の下に、本人の同意がなくてもその者を入院させることができる としているが、この要件は「自由のはく奪」の根拠となりうるのかについて、どう 考えるか。

3、医療を受けさせるために入院をさせる旨の決定
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律、 いわゆる医療観察法は「対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同 様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するため、入院をさせてこの 法律による医療を受けさせる必要があると認める場合」には、裁判所が医療を受け させるために入院をさせる旨の決定を下すことになっているが、この要件は「自由 のはく奪」の根拠となりうるのかについて、どう考えるか。

回 答

1について
○ 措置入院は、精神保健福祉法の目的を達成するため、精神障害のために自傷他 害のおそれがある患者に対する医療の提供や保護を通して、他害を防止し、ある いは患者本人の自傷を防止することを通じて、本人の利益保護(患者の精神的な 健康の保障)を図るという観点に立脚した制度である。

○ 自傷他害のおそれがあるかを判定するに当たっては、都道府県知事(指定都市 の市長)による患者の身体に対する直接的な強制力の行使たる入院という行為が 、行政上の必要性を満足させるための必要最小限度にとどめられるよう運用され ており、さらに、患者本人の同意による任意入院を原則としているものであり、 措置入院は限定的に運用されるべきこととなっている。

○ 障害者の権利に関する条約(以下「条約」という。)第14条は、障害の存在 による自由の剥奪が正当化されないことを定めているが、自傷他害のおそれの除 去又は障害者本人に対する保護若しくは医療の提供という正当な目的がある場 合において本人の医療及び保護の観点からやむを得ず強制的な入院措置をとる ことまでを妨げるものではないと考えられる。

○ なお、諸外国(フランス、オランダ等)においても、強制入院の制度は存在し ている。

○ また、措置入院を行う場合には、指定医による診察や入院措置等についての本 人への書面告知が義務付けられており、人権への配慮という観点から入院の手続 については厳格に定められている。

○ さらに、入院後については、精神科病院の管理者に対して、入院患者の病状等 に関する定期的な報告や患者本人等からの退院請求・処遇改善請求について第三 者機関である精神医療審査会による審査を義務づけているなど、入院後において も、人権への配慮という観点から各種手続を定めている。

○ このように、精神保健福祉法に定める措置入院に当たって、自傷他害のおそれ を要件とすることは、必要なものと考えており、今後とも、適切な処遇の確保に 努めていきたいと考えている。

2について
○ 医療保護入院は、医療及び保護が必要な場合であって、本人に病識がない等、 入院の必要性について本人が適切な判断をすることができない状態の場合に適 用されるものであり、あくまでも本人の医療及び保護を図るために行われるもの であり、法の目的を達成するための重要な制度である。

○ 医療保護入院は本人の同意がなくても入院を可能とする制度であることから、 入院に当たっては、保護者の同意を必要としていることに加え、患者本人の同意 による任意入院を原則としている。

○ また、医療保護入院を行う場合には、指定医による診察や入院措置等について の本人への書面告知が義務付けられており、人権への配慮という観点から入院の 手続については厳格に定められている。

○ さらに、入院後については、精神科病院の管理者に対して、入院患者の病状等 に関する定期的な報告や患者本人等からの退院請求・処遇改善請求について第三 者機関である精神医療審査会による審査を義務づけているなど、入院後において も、人権への配慮という観点から各種手続を定めている。

○ このように、精神保健福祉法に定める医療保護入院に当たって、本人の同意が なくても入院させることができるとすることは、必要なものと考えており今後と も、適切な処遇の確保に努めていきたいと考えている。

3について
○ 医療観察法の対象は精神障害者のうち「心神喪失等の状態で重大な他害行為を 行った者」に限定しており、精神障害者であることのみを理由として適用される わけではなく、法の目的はあくまで当該精神障害者の社会復帰の促進であって、 強制入院はその手段として位置づけられるものである。

○ また、本人に対する適切な処遇を決定するための手続面においては、司法機関 たる裁判所と精神医療の専門家たる精神保健審判員の合議体による審判を経る ものとなっており、入院決定となった場合の指定入院医療機関は、病室の個室化 や手厚い人員配置など厳格な基準を満たした上で厚生労働大臣の指定を受けた ものである。

○ このように、医療観察法に定める、裁判所の決定により、医療を提供すること は、必要なものと考えており、今後とも、適切な処遇の確保に努めていきたいと 考えている。

○ なお、医療観察法については、同法附則により、施行後5年を経た場合に、施 行状況を国会に報告し、その状況について検討を加えることとされているところ であり、今後、当該議論も踏まえ、そのあり方を検討してまいりたい。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(医療)

【ヒアリング項目】精神障害者に対する強制医療介入
障害者の権利条約第17条について、政府仮訳では「すべての障害者は、他の者 と平等に、その心身が健全であることを尊重される権利を有する。」と訳されてい るが、川島長瀬仮訳では「障害のあるすべての人は、他の者との平等を基礎として、 その身体的及び精神的なインテグリティ〔不可侵性〕を尊重される権利を有する。」 となっており、また、同条約25条では「情報に基づく自由な同意を基礎とした医 療(政府仮訳)」という点が上げられている。かかる点から

1、精神保健福祉法における強制医療介入
精神保健福祉法において規定されている強制入院に伴う治療に関しては、他の疾 患との平等を基礎として、患者本人の生命を守るために緊急医療が必要とされる場 合など、医療一般について強制的な介入が必要な場合と同様に解し、精神障害を理 由とした特別な強制的医療制度を設けることを見直すべきかについて、どう考える か。

2、医療観察法における強制医療介入
いわゆる医療観察法第42条により「医療を受けさせるために入院をさせる旨の 決定を受けたもの」は、第43条により「入院による医療を受けなければならない」 とされ、治療を受ける義務が課せられるが、これは、障害者の権利条約に違反する かについて、どう考えるか。

回 答

1について
○ 精神障害者に提供する医療については、一般医療と同様、一般の法理に基づき 、本人の選択と同意によることが原則となっている。これは、措置入院又は医療 保護入院中であっても同様であり、精神障害者であることを理由に、強制的に身 体的・精神的治療を行うことが規定されているものではない。これらの入院中で も、可能な限り本人の選択と同意に基づいて治療を提供することが求められてお り、本人の意思に基づかずに治療が行われるのは、本人の合理的な選択が困難で あり、治療を行わないことが本人の利益に反する場合等に限られている。また、 措置入院及び医療保護入院については、指定医による診察、入院についての本人 への書面告知、精神科病院の管理者に対する入院患者の病状等に関する定期的な 報告、患者本人等からの退院請求・処遇改善請求について第三者機関である精神 医療審査会による審査等が義務づけられるなど、人権への配慮から厳格に手続き が定められている。

○ なお、一般医療においても、民法・刑法等において明文の規定はないものの、 意識障害があるなど本人の意思の確認が困難な場合には、治療の必要性に応じ、 第三者が本人の意思を推定し、医療機関において一定の手続きを経る等により、 本人に必要な治療を行うことが一般的であり、措置入院及び医療保護入院につい ては、人権への配慮から、厳格に手続を定めているものである。

2について
○ 医療観察制度における処遇は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者 に対象を限定した上で、指定入院医療機関に入院させて手厚い専門的な医療を提 供し、あるいは精神保健観察下で入院によらない医療を提供することとなるが、 これは、本制度の対象が、被害者に深刻な被害が生ずるだけでなく、精神障害を 有する者が加害者となる点でも、極めて不幸な事態であることから、国の後見的 な関与の下で、必要な医療を確保し、社会復帰を図ることが必要であるとの考え に基づくものである。

○ また、処遇の要否・内容の決定にあたっては、裁判所において、医師である精 神保健審判員による医療的判断に併せて裁判官による法的判断により対象者の 権利が適切に保障された手続を確保している。

○ このように、法の下の平等を基礎として、法律上正当な目的がある場合におい て本人の医療及び保護の観点からやむを得ず強制的な入院措置をとることは必 要なものと考えられる。

○ なお、医療観察法については、同法附則により、施行後5年を経た場合に、施 行状況を国会に報告し、その状況について検討を加えることとされているところ であり、今後、当該議論も踏まえ、そのあり方を検討してまいりたい。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(医療)

【ヒアリング項目】医療サービスにおける差別的取り扱い
障害者の権利条約第25条は「締約国は、障害者が障害を理由とする差別なしに 到達可能な最高水準の健康を享受する権利を有することを認める(政府仮訳)。」 と規定し、締約国は、特に、次のことを行うとして「障害者に対して他の者に提供 されるものと同一の範囲、質及び水準の無償の又は妥当な(「負担可能な費用の」 川島長瀬訳)保健及び保健計画(性及び生殖に係る健康並びに住民のための公衆衛 生計画の分野を含む。)を提供すること(政府仮訳)。」としている。かかる観点 から、

1、精神医療の供給体制
日本では、医師数、看護師数を一般医療よりも少なくてよいとするいわゆる精神 科特例は一部是正されたが、多くの単科民間病院では依然として許容されている。 これは精神医療サービスにおいて、「他の者に提供されるものと同一の範囲、質及 び水準」を提供したと言えるかについて、どう考えるか。

2、一般病院への入院体制
前述のように、一般の医療を規定する医療法では、精神病患者を精神病室でない 病室に入院させない(医療法施行規則第10 条)とされているため、精神障害者は 一般医療のサービスを享受できない結果を生じているが、これも「他の者に提供さ れるものと同一の範囲、質及び水準」を提供したと言えるか、否か。また、障害者 の権利条約2条の差別の定義である「障害を理由とするあらゆる区別、排除又は制 限」に該当するかについて、どう考えるか。

回 答

1について
○ 医療法において、精神病床(一定の条件を満たす大規模病院を除く)について は、一般病床に比べて緩やかな人員配置基準としている。
○ これは、精神科疾患の多くが慢性疾患であり、症状の急変が少ないと考えられ るためである。
○ 一方で、精神科救急のような手厚い配置が必要な医療も増えているものとも認 識している。
○ また、「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会報告書」において は、「精神病床における医療の質の向上を図るために、看護職員等の人員基準の 充実を目指すとともに、医療従事者数が有限であるであることを踏まえ、精神医 療の中でも、もっとも必要な分野に重点的に医療従事者を確保する必要がある」 との指摘を踏まえ、現在の精神病床の人員配置基準を一般病床と同等にした場合 、より質の高い医療が提供されることが期待されるが、一方で当該人員を確保す ることが難しくなる地域、医療機関が生じるおそれがあるなどの影響も勘案しつ つ検討してまいりたい。
○ なお、平成22年診療報酬改定においては、手厚い看護配置の精神病棟を評価 するため、精神病棟入院基本料に新たな類型(13:1)を設けたところである 。

2について
○ 御指摘の点について、現行規定においても、精神病患者を精神病室でない病室 に入院させないこととされているが、臨時応急のため入院させるときは、精神病 室でない病室にも入院させることができる。

(※医療法施行規則第10条)

○ 一方、「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会報告書」において 「身体合併症への対応を円滑化する観点から、その見直しを検討すべき」と指摘 されており、今後、検討してまいりたい。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(医療)
【ヒアリング項目】社会的入院
精神病院の入院患者のうち7万人ほどが社会的入院であるとされているが、治療 の必要性がないにかかわらず、医療の分野で生活を送らざるを得ないことに関して 、どう考えるか。
回 答

○ 社会的入院を含めた長期入院患者の減少を図っていくことは重要であると考 えている。精神保健医療福祉の改革に関しては、平成16年9月に、おおむね1 0年間の精神保健医療福祉改革の具体的方向性を明らかにする「精神保健医療福 祉の改革ビジョン」が取りまとめられ、「入院医療中心から地域生活中心へ」と いう基本理念に基づき、「受入条件が整えば退院可能な者(7万人)」について は、10年後の解消を図ることとされている。
○ これを踏まえ、平成21年9月24日に「今後の精神保健医療福祉のあり方等 に関する検討会」において取りまとめられた報告書においては、今後の目標値と して、各都道府県における1年以上在院患者の退院する割合を29%以上にするこ とが掲げられており、このような目標を実現するために求められる以下のような 具体的な施策が盛り込まれている。

① 精神保健医療体系の再構築
② 精神医療の質の向上
③ 地域生活支援体制の強化
④ 普及啓発の重点的実施

○ このため、平成22年度予算において、精神障害者の退院支援や地域生活支援 を行う地域移行推進員の増員や地域生活に必要な体制整備を促進する地域体制 整備コーディネーターの活動の強化により、精神障害者の地域生活への移行をよ り一層推進することとしている。
また、平成22年診療報酬改定においては、長期入院患者を減少させた実績の ある医療機関に対する評価の引上げ、30分以上の通院・在宅精神療法の評価の 引上げ、認知行動療法に対する評価の創設、複数名で訪問看護を行う訪問看護ス テーションに対する評価の創設など、地域生活を支えるための評価を行ったとこ ろである。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(医療)
【ヒアリング項目】医療行為一般
医療行為の定義が不明確であるため、在宅で生活している重度の障害児・者が、 家族の重い介護負担の下での生活を余儀なくされたり、社会参加を極度に制限され たりしている現状と対策について、どう考えるか。
回 答

○「医行為」については、「医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ 人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為」と定義しているが、 個々の行為が「医行為」に当たるか否かは、障害児・者の状態等、個々の行為の 様態に応じて変わり得ることから、個別具体的に判断する必要がある。

○ また、医行為については、医師法等により、医師や看護師等以外の者が行うこ とはできないこととされており、在宅で生活している障害児・者に対する医行為 に関しては、訪問看護を活用していただくことが考えられる。一方で、在宅で行 われる医行為のすべてを訪問看護で対応することは現状で困難であり、そのよう な中で、在宅で生活している障害児・者を支えている家族の負担を軽減するため 、ホームヘルパーによるたんの吸引を一定の条件の下で認めているところである 。

○ なお、「チーム医療の推進について」(平成22年3月19日「チーム医療の推進 に関する検討会」報告書)において、介護職による一定の医行為(たん吸引や経 管栄養等)の具体的な方策について、別途早急に検討すべきとされたところであ り、早急に検討に着手してまいりたい。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(医療)

【ヒアリング項目】重度障害児の在宅移行
 障害者の権利条約第23条は、「締約国は、障害のある児童が家庭生活について 平等の権利を有することを確保する。」「締約国は、児童がその父母の意思に反し てその父母から分離されないことを確保する。」「いかなる場合にも、児童は、自 己が障害を有すること又は父母の一方若しくは双方が障害を有することを理由と して父母から分離されない。」(政府仮訳)と規定している。
 しかし、日本では、入院中の重度障害児の在宅移行が進まず、重症心身障害児施 設(重症児施設)の増設が取り沙汰されている。親・家族に一度も抱かれることな く、例えば、NICU から直接重症児施設に移管されて一生を施設の中で暮らすことも 存在する。このような重度の障害児が在宅で暮らせない状況は、障害児者本人にと って人権侵害であるかについて、どう考えるか。

回 答
○ 重症心身障害児施設への入所については、保護者の意向や障害のある児童の最 善の利益を考慮しており、人権侵害に当たらないと考える。
○ また、平成20年7月22日に「障害児支援の見直しに関する検討会」におい て取りまとめられた報告書においては、重症心身障害児・者について、「施設で の支援にあわせ、在宅での支援施策についても充実させていく必要がある」と指 摘されている。このようなご指摘も踏まえ、保護者や本人が在宅での生活を希望 する場合については、その希望を実現できるよう、医療的ケアを提供できる短期 入所や訪問看護、重症心身障害児(者)通園事業の充実など、在宅支援の拡充に ついて検討する必要がある。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(医療)
【ヒアリング項目】受診拒否
 障害児・者が一般医療機関で受診拒否されることが少なくない。重症心身障害な どでは「医療側の経験のなさ」「診療所の構造的バリア(車いすやストレッチャー で入れない)」などによることが多く、自閉症等の発達障害児では医師の無理解に 加えて「多動・暴れる」「症状の把握が困難」などにより診療困難であったり時間 や手間がかかったりするためとされる。
 このような実態と対策について、どう考えるか。
回 答
○ 発達障害等障害のある方が受診する際に治療行為が困難な場合も少なくない と考えられることから、平成20年度厚生労働省障害保健福祉推進事業において 、発達障害等の方々の医療機関受診を支援するための研究が行われ、「発達障害 のある人の診療ハンドブック」が作成され、関連情報が国立障害者リハビリテー ションセンターのホームページに掲載されるとともに、自治体への周知も行われ ているところである。今後とも、障害児・者の受診に役立つ情報の更なる普及に 努めてまいりたい。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(医療)

【ヒアリング項目】自立支援医療における医療費
障害者の権利条約第25条は「締約国は、障害者が障害を理由とする差別なしに 到達可能な最高水準の健康を享受する権利を有することを認める(政府仮訳)。」 と規定し、締約国は、特に、次のことを行うとして「障害者に対して他の者に提供 されるものと同一の範囲、質及び水準の無償の又は妥当な(「負担可能な費用の」 川島長瀬訳)保健及び保健計画(性及び生殖に係る健康並びに住民のための公衆衛 生計画の分野を含む。)を提供すること(政府仮訳)。」としている。

1、ところが、障害者自立支援法では、更生医療、育成医療、精神通院医療につい て、自己負担が1割求められている。また、精神科入院医療費など自立支援医療 制度の対象外となっているものについては、2~3割の自己負担が求められてい るが、この費用負担が条約の求める妥当な(「負担可能な費用」)水準と考えて いるか。

2、難病のうち、特定疾患以外は、公費で自己負担の縮減が図られておらず、患者 にとって大きな経済的負担となっているが、これについて、どう考えるか。

3、医療費助成制度には、小児慢性疾患、特定疾患、高額療養費制度、重度心身障 害者医療費助成制度等、様々な医療費助成制度があり、複雑で分かりにくくなっ ているとの考え方について、これらの統合化の可能性も含め、どのように考えるか。

回 答

1について
○ 更生医療、育成医療、精神通院医療(自立支援医療)について 障害者自立支援法に基づく、自立支援医療は、障害者(児)が自立した日常生 活又は社会生活を営むために必要な心身の障害を除去・軽減するための医療費つ いて、医療費の自己負担額を軽減する制度であり、その自己負担は、

① 医療保険の自己負担(一般の方:3割)を1割の定率負担に軽減
② 定率負担が過大なものとならないよう、所得に応じて1月当たりの負担限 度額を設定。
③ 医療費が高額な治療を長期にわたり継続しなければならない者、育成医療の 中間所得層については、更に軽減措置を実施。
としており、必要な軽減措置を実施している。

2について
【結論】
○ 特定疾患治療研究事業の対象となっていない難治性疾患や長期慢性疾患につ いては、特定疾患治療研究事業により自己負担が縮減されている疾患に比べ、過 大な負担となっている場合があり、重要な問題であると認識している。
○ 厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会や厚生労働省内に設置した「新た な難治性疾患対策の在り方検討チーム」において今後の難病対策全体の在り方に ついて検討することとしており、特定疾患治療研究事業における医療費助成の在 り方についても、それらの議論を踏まえ、検討することとしている。

【根拠、理由】
○ 難病対策における医療費助成については、特定疾患治療研究事業により自己負 担額の縮減を行ってきたところだが、同事業の対象疾患は現在56疾患に限られ ている。
○ このような状況も踏まえ、難病対策については、研究対象や医療費助成の対象 疾患の拡大に関する要望が続く一方で、医療費助成のための安定的な財源確保な ど、様々な課題がある。
○ こうした課題に対応するためには、難病対策のみならず、障害者制度や医療保 険における高額療養費など関連する制度の在り方を含めた幅広い議論が必要で あることから、「新たな難治性疾患対策の在り方検討チーム」を設置し、省内横 断的な検討を開始したところ。

3について
○ これらの医療費助成制度は、それぞれの目的を達成するために設けられており 、これらの制度目的に応じ、

① 対象となる医療の範囲については、医療保険で給付されるものかそうでない か。
② 実施主体は、国か都道府県・市町村か保険者か。
③ 財源は国費か都道府県・市町村費か保険料か。
といった相違がある。
このため、統合することは実務的にも負担が大きく、困難である。

○ なお、難治性疾患の患者に対する医療費助成の在り方(小児慢性特定疾患に関 するキャリーオーバーの問題を含む。)については、特定疾患治療研究事業、小 児慢性特定疾患治療研究事業のみならず、医療保険における高額療養費など関連 する制度の在り方を含めた幅広い議論が必要であることから、「新たな難治性疾 患対策の在り方検討チーム」を設置し、省内横断的な検討を開始したところであ る。

(参考)
○自立支援医療
障害者(児)が自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な心身の障害を除去・軽減す るための医療費ついて、医療費の自己負担額を軽減する制度

<実施主体>
更生医療:市町村
育成医療:都道府県、指定都市、中核市
精神通院医療:都道府県、指定都市
<財源構成>
更生医療:国1/2、都道府県1/4、市町村1/4
育成医療:国1/2、都道府県・指定都市・中核市1/2
精神通院医療:国1/2、都道府県・指定都市1/2
※公的医療保険を優先適用し、その後、公費負担する割合。

○小児慢性特定疾患治療研究事業
小児慢性疾患のうち、小児がんなど特定の疾患については、その治療が長期間にわたり、医療
費の負担も高額となることからその治療の確立と普及を図り、併せて患者家庭の医療費の負担軽
減にも資するため、医療費の自己負担分を補助する制度
<実施主体>
都道府県、指定都市、中核市
<財源構成>
国1/2、都道府県・指定都市・中核市1/2
※公的医療保険を優先適用し、その後、公費負担する割合。
○特定疾患治療研究事業
原因が不明であって、治療方法が確立していない、いわゆる難病のうち、治療が極めて困難で あり、かつ、医療費も高額である疾患について医療の確立、普及を図るとともに、患者の医療費
の自己負担軽減を図る制度
<実施主体>
都道府県
<財源構成>
国1/2、都道府県1/2
※公的医療保険を優先適用し、その後、公費負担する割合。

○高額療養費制度
重い病気などで病院等に長期入院したり、治療が長引く場合には、医療費の自己負担額が高額 となることから、家計の負担を軽減できるように、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分 が払い戻される制度。
<実施主体>
医療保険者
<財源構成>
保険料が中心

○重度心身障害者助成制度(自治体独自の助成制度)
重度身体障害者の医療(医療保険)の自己負担を軽減することを目的としており、障害者(児)の風邪等の感染症、歯科治療の治療も対象とした制度となっており、全ての都道府県で実施されている。

<実施主体>
都道府県又は市町村
※都道府県の制度設計により異なる。
<財源構成>
都道府県の制度設計により異なる。
※公的医療保険を優先適用

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(医療)
【ヒアリング項目】更生医療、育成医療、精神通院医療
障害に係る医療支援が更生医療、育成医療、精神通院医療の3種に区分けされて いるが、このような区分けに基づく申請手続きの違いや治療の範囲は適正であるか について、どう考えるか。
回 答
○ 更生医療、育成医療、精神通院医療については、障害者(児)の心身の障害の 状態の軽減を図り、自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な医療を行 うという考え方に基づき、区分されている。
○ 更生医療、育成医療、精神通院医療それぞれの障害等の特性により、対象とな る治療の範囲を設定している。

(参考)
・ 更生医療は、身体上の障害を有すると認められる者であって、障害を除去・軽減する手術等 の治療によって確実に効果が期待できるものに対し、その障害の除去・軽減に必要な医療。
(例)白内障の水晶体摘出術、腎臓機能障害の人工透析
・ 育成医療は、身体に障害のある児童又はそのまま放置すると将来障害を残すと認められる疾患がある児童で、その障害を除去・軽減する手術等の治療によって確実に効果が期待できる者に対し、その障害の除去・軽減に必要な医療。
(例)鎖肛(直腸肛門奇形)人工肛門の造設術
・ 精神通院医療は、統合失調症、精神作用物質による急性中毒その他の精神疾患(てんかんを 含む)を有する者で、通院による精神医療を継続的に要する病状にある者に対し行われる医療 。
(例)統合失調症、躁うつ病・うつ病の投薬治療
・ 申請等の窓口については、違いがあるが、利用者の利便性や地域主権の方向性を踏まえなが ら、改善に向けて検討していく。
申請等の窓口は、自治体により異なる場合があるが具体的には以下のとおり。
・更生医療及び精神通院医療の申請等窓口:市区町村
・育成医療の申請等窓口:保健所(都道府県・指定都市・中核市)

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:厚生労働省】

ヒ ア リ ン グ 項 目(医療)
【ヒアリング項目】障がい者制度改革推進会議との連携・調整 厚生労働省において開催を予定している、精神医療の改革に関する検討会につい ては、障がい者制度改革推進会議と十分に連携・調整をしつつ、整合的に検討を進 めていく必要があると考えるが、ご意見をいただきたい。
回 答

○ 厚生労働省では、昨年9月にとりまとめられた「今後の精神保健医療福祉のあ り方等に関する検討会」報告書を踏まえ、今後の精神保健医療施策の充実を図っ ていくことが必要であると考えており、このため、今月、当事者や家族を含む検 討会(「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討会」)を設け、御意見 を伺うことを予定している。

○ また、厚生労働省の外部の動きとして、本年4月に、多くの当事者や家族の参 画を得て、「こころの健康政策構想会議」(座長:岡崎祐士氏(都立松沢病院院 長))が発足しており、精神保健医療改革について提言をとりまとめ、厚生労働 大臣に報告される予定となっている。(5月末予定)

○ 今後は、これらの動きを踏まえつつ、障がい者制度改革推進会議と連携しなが ら、検討してまいりたい。