音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ


WWW を検索 サイト内を検索 Google

メールマガジン登録

公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会

障害者情報ネットワーク

日本障害者リハビリテーション協会の活動にご支援をお願いします。(ご寄付)

JDF東日本大震災被災障害者総合支援本部

被災者生活支援ニュース(厚生労働省)

マルチメディアDAISY(デイジー)で東日本大震災に関わる情報を

障がい者制度改革推進会議

DINFのお知らせ

シンポジウム 「もっと知ろう、デイジー教科書を!」
日時:2013年02月03日(10:30~16:00)
場所:戸山サンライズ 大研修室
 

Enjoy Daisy 読めるって楽しい!

公益財団法人日本リハビリテーション協会は国際シンボルマークの取扱いを行なっています。

障害者福祉の総合月刊情報誌『ノーマライゼーション』発売中

マルチメディアDAISYのCD-ROM付き絵本『赤いハイヒール』発売中

今後の取組に関する各府省の見解

1)労働及び雇用
(推進会議の問題認識)

障害者が地域において自立した生活を営み、より一層社会参加ができるようにするためには、他と等しく障害者が職業等を選択でき、働く機会が確保されるとともに、多様で利用可能な労働条件・環境が整備されることが不可欠である。
【障害者の雇用の促進】
現状において障害者の雇用状況は、障害者雇用促進法に基づく法定雇用率を達成している企業が全体の半数に満たないなど、厳しい状況にあり、また、障害の種別・程度によって職域や雇用義務の有無、さらには雇用の機会等に格差がある等、障害者の雇用の促進を図るために大幅な改善が求められている。
このような観点から、以下を実施すべきである。
  • 現行制度における「障害者」の範囲については、就労の困難さに視点をおく社会モデルの観点に立ち、その認定に係る制度の仕組みを含め見直す方向で検討する。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 「社会モデル」の具体的内容が不明であるが、「障害者」の範囲については、法的公平性及び安定性が確保される必要がある。
  • 労働政策審議会の審議を経る必要あり。
  • 障害者雇用率制度(法定雇用率の水準、ダブルカウント制、特例子会社制度等)、障害者雇用納付金制度(納付金の額、助成金の対象と期間等)等については、雇用の促進と平等な取扱いという視点からその在り方を検証した上で、積極的差別是正措置としてより実効性のある具体的方策を検討する。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 現行の障害者雇用率制度(ダブルカウント及び特例子会社制度を含む。)及び障害者雇用納付金制度は、障害者及び重度障害者の雇用促進に大きく寄与してきた実効性の高い制度である。
  • 労働政策審議会の審議を経る必要あり。
(実施時期・検討期間)
  • 法定雇用率については、平成24年度までに見直しの検討を行う。
  • ダブルカウントの有効性については、平成22年度中に、その影響を検証する。
  • 精神障害者は雇用義務の対象となっていない等の障害種別による雇用義務の格差を是正し、すべての障害者がその種別にかかわらず同程度に雇用機会や労働条件が確保されるよう、必要な措置を講ずる。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 精神障害者は、雇用管理上のノウハウが蓄積されていないことから雇用義務の対象となっておらず、現在その蓄積に努めているところ。
  • 労働政策審議会の審議を経る必要あり。
(実施時期・検討期間)
  • 精神障害者の雇用管理上のノウハウが蓄積された後、精神障害者を雇用義務化することについて、必要に応じて検討。
【厚生労働省関係】
【福祉的就労に従事する障害者に対する支援】
福祉的就労に就いている障害者の月額工賃は平均して約一万二千円程度であり、地域で自立した生活を送るには困難な低水準にあるほか、労働法規で定められているような措置の対象とならない場合がある等の問題がある。このような状況を改善するため、以下を実施すべきである。
  • 福祉的就労の在り方について、労働法規の適用も含め、雇用施策における位置付けを検討するとともに、いわゆる「最低賃金減額特例措置」については、賃金補填等の所得保障に係る新制度との整合性を図った上で、重度障害者の雇用の確保に留意しつつ、当該措置の適用の在り方について検討する。また、就労継続支援や就労移行支援の対象となる「障害者」の範囲や利用者負担等の問題については、総合福祉部会等において検討する。
【福祉的就労について】
(実施・検討に当たっての留意点)
  • これまでの議論における「福祉的就労」の定義が明らかでないことから定義を明らかにした上で検討をすべきである。
  • いわゆる「福祉的就労」については、現行の各制度においても労働法規の適用の有無、賃金(工賃)の額などに差があることから、「福祉的就労」として一括りに検討することの妥当性についても留意が必要である。
(実施時期・検討期間)
  • 検討が必要であり、明示できない。
【減額特例・賃金補てんについて】
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 御指摘の新制度の内容が明らかではないが、一案として、減額特例制度を撤廃し、減額特例が適用されていた者の使用者に対し、以前の減額された最低賃金額と最低賃金額の差について賃金補てんを行うことが考えられる。
  • この場合、「賃金補てん」が、使用者が負っている賃金支払債務を国が肩代わりし、その分使用者責任を減じることを意味するのであれば、使用者の責任の在り方の根本に関わる問題となり、最低賃金制度と矛盾が生じることとなる。
  • 障害者も障害のない人も対等な立場で一緒に働くことができる形態の職場を設置している者に対し、その運営に要する賃金を含む経費の一部を補填するいわゆる「社会的事業所」について、地方公共団体における先進的な取組を参考にしつつ、その一層の普及がされるよう必要な措置を講ずる。併せて、障害者に多様な就労機会を提供するため、「協同労働の協同組合」等の仕組みの構築等必要な措置を講ずる。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 既に、就労継続支援A型サービスとして、雇用型の福祉的就労サービスを提供している。
  • 「社会的事業所」の具体的内容が不明であるが、少なくとも雇用対策としては、障害者雇用納付金制度における経済的負担の調整などの現行の支援の枠組みを超えて何らかの支援を行うことは困難。
【厚生労働省関係】
  • 国等の物品、役務等の調達に関し、障害者就労施設等の受注の機会の増大を図るため、国等が障害者就労施設等から物品等を優先的に調達することも含め、具体的方策を講ずる。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 国の物品役務等の調達契約は、税金などの国民の負担を原資とし、適正で効率的な調達の実施が求められるものであり、価格その他の条件が調達サイドである国にとって最も有利な者を相手方として行い、それ以外の理由により特定の者を優先することは行わないことが基本的考え方となっている。
    このような基本的考え方の下で、どのような対応が可能か検討する必要がある。
  • なお、政府の雇用戦略対話の議論に留意する必要がある。
(実施時期・検討期間)
  • 具体的方策の内容が明らかでないため、判断できない。
【厚生労働省・財務省・総務省関係】
【職場における合理的配慮や必要な支援の整備】
障害者が自らの能力を最大限に発揮し、障害のない者と同様に安全かつ健康的な労働環境を確保するためには、障害を理由とする差別が禁止され、職場において必要な合理的配慮や支援がなされる必要がある。
このような観点から、以下を実施すべきである。
  • 厚生労働省において、現在検討中である障害者雇用促進法の見直しの議論の中で、障害を理由とする差別の禁止、事業主への合理的配慮の義務付け及びその取組を容易にするための助成や技術的支援、合理的配慮に関する労使間の紛争解決手続の整備等の職場における合理的配慮を確保するための具体的方策について引き続き検討を行う。
(実施時期・検討期間)
障害者権利条約の締結と合わせて、障害者雇用促進法を改正することができるよう、引き続き労働政策審議会において検討を進める。
  • 障害者に対する通勤支援、身体介助、職場介助、コミュニケーション支援(手話通訳、要約筆記等)、ジョブコーチ等の職場における支援の在り方については、既存の助成制度も含め、障害者雇用促進法の見直しの議論及び平成23年末を目途に得られる総合福祉部会等の検討結果を踏まえ、法制化を含めた必要な措置を講ずる。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • これらの支援に要する費用については、既に障害者雇用納付金・障害者雇用調整金において必要な経済的調整が図られている。加えて、事業主の義務とまでは考えられないものも含め、助成金の対象としている。
  • 労働政策審議会の審議を経る必要あり。
(実施時期・検討期間)
  • 必要に応じて、労働政策審議会において検討を行い、結論を得る。
【厚生労働省関係】

(政府に求める今後の取組に関する意見)

(P)

2)教育
(推進会議の問題認識)

障害者権利条約においては、あらゆる教育段階において、障害者にとってインクルーシブな教育制度を確保することが必要とされている。
障害の有無にかかわらず、それぞれの個性の差異と多様性が尊重され、それぞれの人格を認め合う共生社会の構築に向け、学校教育の果たす役割は大きい。人間の多様性を尊重しつつ、精神的・身体的な能力を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加するとの目的の下、障害者と障害のない者が差別を受けることなく、共に生活し、共に学ぶ教育(インクルーシブ教育)を実現することは、互いの多様性を認め合い、尊重する土壌を形成し、障害者のみならず、障害のない者にとっても生きる力を育むことにつながる。
また、義務教育だけでなく、就学前の教育、高校や大学における教育及び就労に向けた職業教育や能力開発のための技術教育等についても、教育の機会均等が保障されなければならない。
【教育の機会均等】
現行の教育基本法の第4条第1項においては、教育上差別されないものの例示として、「人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地」が明記されているが、「障害」が明記されていない。
したがって、教育基本法の第4条第1項について、「人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地」と同様に、「障害」によって教育上差別されないことを明文化するため、平成23年常会に提出することを予定している障害者基本法の改正に関する法案の附則において改正することを検討すべきである。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 憲法第14条に列挙された事例は例示的なものであって、必ずしもそれに限るものではないと解されており、このことを踏まえ、教育基本法第4条第1項において列挙されていない「障害」についても、その趣旨には含まれていると解されている。
  • また、教育基本法第4条第1項は、憲法第14条及び第26条の趣旨を繰り返して規定したものである。現行の憲法に列挙されていない 「障害」を明示するために、法律改正を行う必要性等については、憲法を含めた法体系全体にわたる議論と国民的な合意が重要である。
  • なお、平成18年に、制定以来約60年ぶりに全面的に改正された教育基本法の文言は、教育関係者を中心として、広く各界各層による6年にわたる深い国民的議論を経て規定されているものであり、その改正を検討するにあたっては、前記の議論と合意を踏まえた、教育関係者その他各界各層による、教育基本法全体の在り方を見据えた国民的議論が重要である。
(実施時期・検討期間)
  • 上記のような理由から、現時点で実施時期・検討期間を明記することは困難である。
【文部科学省関係】
【地域における就学と合理的配慮の確保】
我が国における障害者に対する公教育は、特別支援教育によることになっており、就学先や就学形態の決定に当たっては、制度上、保護者の意見聴取の義務はあるものの、本人・保護者の同意を必ずしも前提とせず、教育委員会が行う仕組みであり、本人・保護者にとってそれらの決定に当たって自らの希望や選択を法的に保障する仕組みが確保されていない。
また、特別支援学校は、本人が生活する地域にないことも多く、そのことが幼少の頃から地域社会における子ども期にふさわしい生活の機会を奪ったり、通常にはない負担や生活を本人・保護者に強いる要因ともなっている。
障害者が地域の学校に就学し、多大な負担(保護者の付き添いが求められたり、本人が授業やそれ以外の教育活動に参加しにくいまま放置される等)を強いられることなく、その学校において適切な教育を受けることを保障するためには、教育内容・方法の工夫、学習評価の在り方の見直し、教員の加配、通訳・介助者等の配置、施設・設備の整備、拡大文字・点字等の用意等の必要な合理的配慮と支援が不可欠である。
このような観点から、以下を実施すべきである。
  • 障害の有無にかかわらず、すべての子どもは地域の小・中学校に就学し、かつ通常の学級に在籍することを原則とし、本人・保護者が望む場合のほか、盲人、ろう者又は盲ろう者にとって最も適切な言語やコミュニケーションの環境を必要とする場合には、特別支援学校に就学し、又は特別支援学級に在籍することができる制度へと改める。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 現行の就学先決定の考え方(学校教育法施行令に基づき、就学基準に該当する場合、原則特別支援学校に就学、特別の事情がある場合、地域の小学校に就学)については、障害者権利条約の理念を踏まえつつ、障害の状態・教育的ニーズ、保護者の意見、専門家の意見、学校・地域の状況等を総合的に判断し、教育的ニーズに最も適切に対応できる学校を就学先として決定する仕組みに改めるべきとの文部科学省調査研究協力者会議の提言(H21.2)を受け、見直しを検討中である。
  • その際、具体的な見直しの方向性として、就学移行期における個別の教育支援計画の作成等を通じ、体験入学等の機会も活用した保護者への十分な情報提供、より早期からのきめ細かい相談・支援の実施、就学先検討プロセスへの多様な外部関係者・専門家(例:地域の障害当事者団体・親の会など)の参画等を通じ、保護者との共通認識を醸成していくことが重要と考える。
  • 就学先に係る選択を保護者に全面的に委ねることについては、例えば以下のような場合には、本人の精神的・身体的能力を可能な最大限度まで発達させることが難しくなる等の可能性があり、慎重な検討が必要である。
    • 就学前健診の受診や個別の教育支援計画の作成を認めないため、障害の状態や教育上のニーズの把握・対応が不可能な場合など、保護者の障害受容が得られない場合
    • 重度の障害等により児童生徒が日常的に必要とする医療的ケア等の提供が物理的に困難な場合
    • 行動・情緒面の障害等により、他の児童に重大な危害等が及ぶ恐れが強い場合
    • 保護者の児童本人への虐待が疑われる場合
  • なお、障害のある児童生徒の指導に係る教員の専門性の確保・充実等の人的体制や施設・設備の整備が必要であり、国・地方を通じた財政措置を行うことが必要である。
  • 本件については、教育制度全般に関わることから、中央教育審議会等の場において、学校関係者、教育委員会関係者その他の関係者の意見を十分に踏まえ検討することが必要である。
(実施時期・検討期間)
  • 現時点で実施時期・検討期間を明記することは困難である。
  • 特別支援学校に就学先を決定する場合及び特別支援学級への在籍を決定する場合や、就学先における必要な合理的配慮及び支援の内容の決定に当たっては、本人・保護者、学校、学校設置者の三者の合意を義務付ける仕組みとする。また、合意が得られない場合には、インクルーシブ教育を推進する専門家及び障害当事者らによって構成される第三者機関による調整を求めることができる仕組みを設ける。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 就学先における必要な合理的配慮及び支援の内容等について、三者による合意を形成し、その具体化を図っていくためには、その前提として、前述の就学先決定プロセス等との関連において、障害のある児童生徒の指導に係る専門性ある教員の確保・充実等の人的体制の整備、所要の施設・設備の充実等の環境整備、並びにそれらを実現するための国・地方を通じた財政措置を行うことが必要不可欠。
  • 合理的配慮の内容等について合意が得られない場合の第三者機関については、障がい者制度改革推進会議における教育以外の施策分野を含めた議論を踏まえた検討が必要。なお、「インクルーシブ教育を推進する専門家」の定義が必ずしも明らかではないが、第三者機関を設置する場合には、中立的かつ地域の実情等を踏まえた議論・検討が可能となるような構成とすることが重要と考える。
  • 本件については今後、学校関係者、教育委員会関係者その他の関係者の意見を十分に踏まえ検討することが必要である。
(実施時期・検討期間)
  • 現時点で実施時期・検討期間を明記することは困難である。
  • 障害者が小・中学校等(とりわけ通常の学級)に就学した場合に、当該学校が必要な合理的配慮や特別な支援を確実に実施することができるよう、当該学校の設置者が追加的な教職員配置や施設・設備の整備を行うために必要な措置を計画的に講ずる。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • インクルーシブ教育については、理念のみならず人的・物的条件整備とセットでの議論が必要であり、同時に現下の財政状況や人材養成の現状を踏まえた現実的な議論が必要である。条件整備を伴わないインクルーシブ教育は「子どもの能力を最大限度まで発達させる」との障害者権利条約の目的を損なう恐れがある。
  • 推進会議の問題認識において、設置者が追加的な教職員配置等の必要な措置を講ずるよう求めているが、教職員の人件費、施設・設備費については、義務教育費国庫負担法等により、国と都道府県等が負担していることから、国・地方を通じた財政措置を行うことが必要である。
  • 本件については今後、学校関係者、教育委員会関係者その他の関係者の意見を十分に踏まえることが必要であるほか、地方自治体及び財政当局を含めた政府全体として検討することが必要である。
(実施時期・検討期間)
  • 現時点で実施時期・検討期間を明記することは困難である。
【文部科学省関係】
【学校教育における多様なコミュニケーション手段の保障】
障害者の人格、才能及び創造力並びに精神的及び身体的な能力を可能な限り発達させるためには、教育が本人にとって最も適当な言語並びに意思疎通の形態及び手段によって行うことが確保されなければならない。
このような観点から、以下を実施すべきである。
  • 手話・点字・要約筆記等による教育、発達障害、知的障害等の子どもの特性に応じた教育を実現するため、手話に通じたろう者を含む教員や点字に通じた視覚障害者を含む教員、要約筆記者等の確保や、教員の専門性向上に必要な措置を講ずる。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 手話・点字に通じた教員の確保をはじめとする教員の専門性の確保・向上を図ることは重要な課題である。これらは教育課程及び教員養成全般に関連する事項であり、今後、中央教育審議会等の場において、学校関係者、教育委員会関係者その他の関係者の意見を十分に踏まえ、検討することが必要である。
(実施時期・検討期間)
現時点で実施時期・検討期間を明記することは困難である。
  • 教育現場において、あらゆる障害の特性に応じたコミュニケーション手段を確保するため、教育方法の工夫・改善等必要な措置を講ずる。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 多様なコミュニケーション手段を活用した指導について、教育方法の工夫・改善を図ることは重要な課題である。これらについては、国立特別支援教育総合研究所において、都道府県の指導的立場にある教員等を対象とした専門的研修や指導法に係る研究・成果普及を実施しているほか、各都道府県及び大学等においても各種の研修プログラムを実施している。これらの取組を通じて、指導内容・方法の工夫・改善や教員の専門性の向上に努めることが必要と考える。
  • 視覚・聴覚等に障害のある場合の教育については、特別支援学校におけるICT機器・支援技術の活用の有効性も確認されていることから、今後、小・中学校を含め、これらの取組を更に推進することが必要と考える。
  • コミュニケーション手段を確保するための教育方法の工夫・改善等は、教育課程に関連する事項であり、今後、中央教育審議会等の場において、学校関係者、教育委員会関係者その他の関係者の意見を十分に踏まえ、検討することが必要である。
(実施時期・検討期間)
  • 現時点で実施時期・検討期間を明記することは困難である。
【文部科学省関係】

(政府に求める今後の取組に関する意見)

(P)

3)所得保障等
(推進会議の問題認識)

障害者は、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有しており、障害者が地域で自立した生活を営むためには、一定水準の所得を保障することが不可欠である。
【公的年金制度改革における検討】
厚生労働省において平成25年常会に法案提出を予定している新たな年金制度創設に向けた議論の中で、障害者が地域において自立した生活を営むために必要な所得保障の在り方について、給付水準と負担、並びに稼働所得との調整の在り方を含めて検討を行うべきである。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 今後の新たな年金制度の創設に向けた議論の中で、給付水準と負担の在り方を含めて、検討を進める必要がある。
(実施時期・検討期間)
  • 所得比例年金と最低保障年金の創設を骨格とする新たな年金制度に関する法案を、平成25年に国会に提出することとしている。
【厚生労働省関係】
【無年金障害者の所得保障】
国民年金制度の発展過程において生じた特別な事情等により、障害基礎年金の支給対象から除外されている無年金障害者(20歳以前の初診日認定ができない者、国籍条項撤廃時(1982年)に20歳以上の在日外国人障害者等)が、現在多数存在している。
このような現状を受けて、学生無年金障害者等を福祉的措置によって救済するために設けられた「特別障害給付金」の給付対象範囲の拡大を含め、無年金障害者の困窮状態の改善を図る措置を早急に講ずるべきである。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 特別障害給付金法の附則において、給付金の支給対象とならなかった在日外国人障害者等に対する福祉的措置の検討規定が設けられている。
(実施時期・検討期間)
  • 法律附則の検討規定に基づき、立法府その他の関係者の議論を踏まえつつ検討する。
【厚生労働省関係】
【住宅の確保】
障害者が地域において自立した生活をするためには、住居の確保が不可欠であるが、家賃等の負担が大きく、地域での生活が困難になっているという現状がある。
したがって、住宅確保のための支援の在り方について、引き続き総合福祉部会における議論と整合性を図りつつ検討を行うべきである。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 5月28日に衆議院厚生労働委員会で採決された、「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案」において、グループホーム・ケアホーム利用の際の助成が盛り込まれているところ。
  • 上記を踏まえた上で、検討が必要。
  • 当該事項の実施に当たっては、財源の確保が必要。
(実施時期・検討期間)
  • 検討が必要であり、明示できない。
(厚生労働省・国土交通省)
【厚生労働省・国土交通省関係】

(政府に求める今後の取組に関する意見)

(P)

4)医療
(推進会議の問題認識)

障害者が地域において安心して自立した生活が送れるためには、障害者が障害に基づく差別なしに可能な限り最高水準の健康を享受できるよう、必要な医療やリハビリテーション等が提供さなければならない。
【精神障害者に対する強制入院等の見直し】
現行制度では、精神障害者に対する措置入院、医療保護入院、裁判所の決定による入院、強制医療介入等については、一定の要件の下で、本人の同意を必要とせずに、強制的な入院・医療措置をとることが可能となっており、自由の剥奪という観点から検討すべき問題がある。
このため、現行の精神障害者に対する強制入院、強制医療介入等について、いわゆる「保護者制度」の見直し等も含め、その在り方を検討すべきである。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 入院制度の見直しについては、自傷他害のおそれがある精神障害者や、病識がない精神障害者等への医療保護の方策を検討する必要がある。
  • 保護者制度の見直しについては、精神障害者の医療保護及び人権擁護を確保する制度の在り方や、民法の監督義務者の責任規定等との関係について検討する必要がある。
(実施時期・検討期間)
  • 5月10日に行われたヒアリングにおいてもお示ししたとおり、入院制度等については、人権に配慮した手続きを定めているなど「自由の剥奪」とは考えておらず、検討時期等については未定。
【厚生労働省関係】
【地域医療の充実と地域生活への移行】
精神科病院においては、入院治療の必要がないにもかかわらず、長期入院による自立生活の困難等の問題により入院せざるを得ない、いわゆる「社会的入院」患者が厚生労働省の統計から推定される人数でも約7万人いるといわれている。
このような現状を改善するため、入院中の精神障害者に対する退院支援の充実を図るべきである。退院支援や地域生活への移行後における医療、生活面からのサポート(医療付きショートステイ等を含む)の在り方については、総合福祉部会で検討を進める。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 精神障害者に対する退院支援や地域生活の支援の在り方等については、厚生労働省において設置している「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」における検討も踏まえる必要がある。
(実施時期・検討期間)
  • 「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」において検討を開始。(平成22年5月31日第一回会合)
【厚生労働省関係】
【精神医療の一般医療体系への編入】
現行制度においては、精神疾患のある患者は、臨時応急の場合を除いて、原則として精神病室以外の病室には入院できないこととなっており、このことが精神障害者とって一般医療サービスを受けることを困難にしている。また、精神科医療の現場においては、いわゆる「精神科特例」により一般医療に比して医師や看護師が少ない状況にある。
このような状況を踏まえ、以下を実施すべきである。
  • 精神医療の一般医療体系への編入の在り方について、総合福祉部会での今後の議論を踏まえ、推進会議において検討を進める。
(実施・検討に当たっての留意点)
精神保健福祉法は、精神障害者の福祉の増進や人権の保護を目的として、一般医療とは区別して特別に定められているところであるが、これを見直し、精神医療を一般医療体系に編入することとした場合、精神保健福祉法そのもののあり方を検討するとともに、一般医療について定める医療法の在り方についても検討する必要がある。
(実施時期・検討期間)
検討が必要であり、明示できない。
  • 特に精神医療の現場における医師、看護師が一般医療より少ない現状を改善し、その体制の充実を図るため、「精神科特例」の廃止を含め、具体的な対応策を講ずる。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 「精神科特例」の廃止に関しては、医療従事者が有限であることを踏まえ、精神医療の中でも重点的に医療従事者を確保する分野についての検討を併せて行っていく必要がある。
(実施時期・検討期間)
  • 「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」において、地域の精神保健医療施策の在り方について検討を開始。(平成22年5月31日第一回会合)
【厚生労働省関係】
【医療に係る経済的負担の軽減】
障害者は健康面における特段の配慮や対応を必要とする場合が多いが、継続的な治療等に要する費用負担が大きいため、必要な医療を受けることが困難な状況がある。
このような状況を改善するため、障害者がその健康状態を保持し、自立した日常生活等を営むために必要な医療を受けたときに要する費用負担については、本人の負担能力に応じたものとする方向で、総合福祉部会において引き続き検討する。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 実施にあたっては、財源の確保も含め、検討が必要。
(実施時期・検討期間)
  • 障がい者制度改革推進会議総合福祉部会の議論を踏まえて検討。
【厚生労働省関係】
【地域生活を容易にするための医療の在り方】
日常生活における医療的ケア(たん吸引、経管栄養(注入開始から終了まで(胃ろう含む))、摘便、褥瘡の処置、人工呼吸器の操作や着脱等)等についても、一部はホームヘルパー等によって行われているが、原則として医師・看護師等のみに限定されているため、単身での在宅生活の途が閉ざされ、また同居の場合その家族にとって重い介護が負担となっている。
このような状況を改善するため、以下を実施すべきである。
  • たん吸引や経管栄養等の日常生活における医療的ケアについては、その行為者の範囲を介助者等にも広げ、併せて必要な研修や手続の更なる整備等を行う。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 医療行為は、医学に関する専門的な知識や技術を習得した者が行わなければ、人体に危害を与えるおそれのある危険な行為であり、行為の範囲や条件について十分な検討が必要。
(実施時期・検討期間)
  • 有識者や関係者等で構成される検討会を今後早急に立ち上げる予定。
  • 平成22年度中検討・結論
  • 障害のある人や児童に対する受診拒否の実態を把握し、改善のための措置を講ずる。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 平成20年度厚生労働省障害保健福祉事業において発達障害等の方々の医療機関受診を支援するための研究が行われ、研究成果等を自治体へ周知しているところ。
(実施時期・検討期間)
  • 今後とも、障害児・者の受診に役立つ情報の更なる普及に努める。
【厚生労働省関係】

(政府に求める今後の取組に関する意見)

(P)

5)障害児支援
(推進会議の問題認識)

障害児は、一人の子どもとして尊重され、すべての人権、基本的自由を享受しているという観点から、障害児の最善の利益を考慮した施策が講じられる必要がある。
【障害児やその保護者に対する相談支援】
相談支援については、障害児の出生直後又は「気になる」・「育てにくい」段階から、医療及び福祉関係者からの適切な情報提供、心理的サポートが不足しており、障害児を含め、その家族に対する十分な支援が提供されていない。
このような現状を改善するため、以下を実施すべきである。
  • 子どもの障害について、地域の身近なところで第一次的に相談対応を行い、必要に応じて適切な専門機関へとつなぐ仕組みを構築する。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 「障害児支援の見直しに関する検討会」報告書(平成20年7月提出)においても提言されているところ。
  • 5月28日に衆議院厚生労働委員会で採決された、「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案」において、身近な地域で支援を受けられるようにするため、現在、障害種別に分かれている障害児の施設について一元化し、一元化後の児童発達支援センター等において第一次的な相談支援を行う仕組みが盛り込まれているところ。
  • 上記を踏まえて、検討が必要。
(実施時期・検討期間)
  • 検討が必要であり、明示できない。
  • 障害児及びその保護者に対する相談や療育等の支援が、障害の種別・特性に応じた言語環境により、かつ可能な限り身近な地域で提供されるよう必要な措置を講ずる。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 「障害児支援の見直しに関する検討会」報告書(平成20年7月提出)においても提言されているところ。
  • 5月28日に衆議院厚生労働委員会で採決された、「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案」において、身近な地域で支援を受けられるようにするため、現在、障害種別に分かれている障害児の施設について一元化しつつ、個々の障害種別や特性に応じて支援を行うことが盛り込まれているところ。
  • 上記を踏まえて、検討が必要。
(実施時期・検討期間)
  • 検討が必要であり、明示できない。
  • 障害の専門機関の者が地域に出向き、保健センターや地域子育て拠点における保健師、保育士等と連携した効果的な相談支援を提供できるよう、必要な措置を講ずる。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 「障害児支援の見直しに関する検討会」報告書(平成20年7月提出)においても提言されているところ。
  • 5月28日に衆議院厚生労働委員会で採決された、「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案」において、障害児のための施設スタッフが保育所等を訪問する保育所等訪問支援事業を実施することが盛り込まれているところ。
  • 上記を踏まえて、検討が必要。
(実施時期・検討期間)
  • 検討が必要であり、明示できない。
【厚生労働省関係】
【児童福祉における障害児支援の位置付け】
障害児支援は、早期に必要な専門的支援が求められる反面、その支援が障害児のみに注目した形でのサービス提供になりがちであるため、その家族への支援や地域社会との関係が置き去りになっている場合がある。また、障害の軽減のみが重視されがちであり、そのことが本人の障害に対する否定的な認識を助長してしまうという問題もある。
このような現状を改善するため、障害児支援については、家族への子育て支援や一般児童と共にする「育ち」が地域において保障されるよう、一般の児童福祉施策の中で講じられるようにすべきである。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 「障害児支援の見直しに関する検討会」報告書(平成20年7月提出)においても提言されているところ。
  • 5月28日に衆議院厚生労働委員会で採決された、「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案」において、障害児のための施設スタッフが保育所等を訪問する保育所等訪問支援事業を実施することを盛り込まれているところ。
  • 上記も踏まえて検討が必要。
(実施時期・検討期間)
  • 検討が必要であり、明示できない。
【厚生労働省関係】

(政府に求める今後の取組に関する意見)

(P)

6)虐待防止
(推進会議の問題認識)

入所施設や家庭内、労働現場や精神科病院等の医療現場等において障害者に対する虐待の例もみられるところであり、虐待の防止やその救済等に関する法整備が急務となっている。立法府においては、障害者の虐待防止に係る制度の法制化に向けた検討がなされているが、今後の法整備に当たっては、政府が行う場合も含め、次の方針に沿って検討されるべきである。
(防止すべき虐待行為)
  • 防止すべき虐待行為は、身体的虐待、精神的虐待、性的虐待、放置、経済的搾取の五つの場合とする。
(虐待行為者の範囲)
  • 障害者の生活場面に日常的に直接かかわりをもつ親族を含む介護者、福祉従事者、事業所等の使用者(従業員を含む。)に加えて、外部からの発見が困難な学校や精神科を始めとする病院等における関係者についても範囲に含める。
(早期発見・通報義務)
  • 虐待の事実を早期に発見できるようにする観点から、障害者の生活に関連する者等に対し、早期発見を促す仕組みとする。
  • 虐待の発見者に対して、救済機関への通報義務を課すとともに、当該通報者の保護のための措置を講ずる。
(救済措置の在り方)
  • 実効性のある救済を行うためには、事実確認、立入検査、一時保護、回復支援等のほか、必要な場合には、強制力を伴った措置を講ずる。
(監視機関の在り方)
障害者権利条約の趣旨を踏まえ、虐待を未然に防止するため、効果的な監視が可能な体制を整える。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 現在、国会議員提出法律案が提出されていると承知しており、その動向に留意する必要がある。
(実施時期・検討期間)
  • 検討が必要であり、明示できない。
(厚生労働省)
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 虐待行為者の範囲に学校関係者を含め、学校内における障害のある児童生徒に対する虐待に限定して「通報」という法的義務を課すことは、以下の理由により困難かつ不適切と考える。
    • 学校においては障害のある児童生徒と障害のない児童生徒が在籍しており、発達障害など障害の状態によっては明確に障害の有無を判断することが困難な場合があること。
    • およそ学校においては、障害の有無にかかわらず児童生徒に対する虐待を防止すべきであり、障害のない児童生徒に対する通報義務がない中で障害のある児童生徒のみを保護対象として通報義務を課すことの是非について慎重に検討する必要があること。
  • なお、これらの理由等を踏まえ、一連の議員立法案(昨年の通常国会に提出された民主党案及び今通常国会等に提出された自由民主党・公明党案)においては、学校は通報義務の対象施設には含めないこととし、学校長に対して虐待防止等のための責務を課すこととした経緯があると承知している。
(実施時期・検討期間)
  • 現時点で実施時期・検討期間を明記することは困難である。
(文部科学省)
【厚生労働省・文部科学省関係】

(政府に求める今後の取組に関する意見)

(P)

7)建物利用・交通アクセス
(推進会議の問題認識)

障害者が、日常生活又は社会生活において、公共的施設・設備、交通機関等を円滑に利用できるようにすることは、障害者の社会参加を促進する観点から不可欠である。
平成18年に制定された「高齢者、障害者等の移動の円滑化の促進等に関する法律」(バリアフリー新法)の制定等により、バリアフリーの取組においては、一定の進展はみられるものの、地方部より大都市部におけるバリアフリー整備が優先されてきたことにより、地方における整備の遅れが顕著となっている。また、障害者が公共交通機関を利用するに当たって、乗車拒否や利用拒否等の不当な対応もみられるところであり、障害者にとって、円滑かつ安全に公共的施設・設備、交通機関等を利用できる環境が十分に整っているとはいえない状況がある。
このような状況を改善するため、以下を実施すべきである。
  • 国土交通省において平成23年常会への法案提出を検討している「交通基本法」(仮称)の中で、移動の権利等について明文化する。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 交通基本法については、関連施策の充実とセットで検討されるべきもの。特に、移動の権利については、その位置付けや効果等について、法制面や費用面も含めた検討・調整が必要。
(実施時期・検討期間)
  • 平成23年通常国会への法案提出を目指して、交通基本法の制定と関連施策の充実について現在検討中。
  • 地方における公共施設や交通機関等のバリアフリー整備の遅れを解消するため、整備対象施設の範囲の拡大や時限を付した数値目標の設定等も含め、必要な具体的方策を講ずる。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 現行の目標の期限は今年末に設定しているが、次期の目標の設定に関する検討に当たっては、1日当たり利用者数5,000人未満の施設のバリアフリー化も重要な課題と認識。
  • 次期10年間の目標の対象とする施設については、可能な限りその範囲を拡大し、その結果、地方部における整備も実質的に進むよう検討を進めて参りたい。
(実施時期・検討期間)
  • 次期の目標については、本年度中を目途に検討を行う予定。
  • バリアフリー新法に基づく市町村の重点整備地区の基本構想の作成・改定に当たっては、当事者参画の一層の推進を図る。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 現行のバリアフリー新法により、当事者の意見反映措置は義務化されているほか、当事者を含む協議会を組織すること、当事者が基本構想の作成を提案することができることとされているところ。(バリアフリー新法第25条第6項、第26条、第27条)
(実施時期・検討期間)
  • 基本構想の内容の充実等のためにも当事者参加の一層の充実は重要であり、基本構想の提案制度の活用促進など、当事者参画の一層の推進方策について、今後検討して参りたい。
  • 障害者に対する乗車拒否や施設及び設備の利用拒否の実態を把握した上で、合理的配慮が確保されるようにするため、苦情処理の対応を行う第三者機関の設置等も含め、必要な措置を講ずる。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 「合理的配慮」に関しては、その概念や内容について政府全体における共有認識も確立している状況ではなく、また、具体的な法制化の内容も示されていない段階であり、まずは認識の共有等が行われるべきではないか。
  • 第三者機関の設置については、法務省や弁護士会等による人権擁護活動が既に実施されているところであり、交通機関や施設利用の分野に限らず、これらの制度との関係も含め、政府全体で幅広く議論されるべきものと考える。
(実施時期・検討期間)
  • 合理的配慮について認識が共有され、具体的な内容が確定した段階で、政府全体としての対応の中で検討を行うべきである。
【国土交通省関係】

(政府に求める今後の取組に関する意見)

(P)

8)情報アクセス・コミュニケーション保障
(推進会議の問題認識)

障害者は、すべての人権及び基本的自由を完全に享有することを可能とするため、必要な情報及びコミュニケーションが保障される権利を有する。
障害者も、障害のない人と同様に、表現の自由や知る権利の保障の下で、情報サービスを受ける権利を有しており、自ら必要とする言語及びコミュニケーションを選択できるようにするとともに、障害者が円滑に情報を利用し、その意思を表示できるようにすることが不可欠である。
国及び地方公共団体は、障害者が選択するコミュニケーション手段を使用することができるよう必要な施策を講じなければならない。
【情報バリアフリーの取組】
我が国においては、情報や考えのやりとりに必要なサービス(手話通訳者、要約筆記者等)を利用できないことや、障害に配慮した情報提供(点字化、字幕を付ける、ルビを振る等)を受けられないこと等、障害者は、生活の様々な場面で情報へのアクセスやコミュニケーションにおける困難に直面している。
この十年間、日本は高度な情報・コミュニケーション技術(ICT)を発展させてきたが、障害者がそれを十分に利用できないという事態も生じている。
このような状況は、障害者に不利益を負わせるだけでなく、障害者と交流する障害のない人にも不利益を生じさせるものである。
このような観点から、以下を実施すべきである。
  • 手話・字幕付放送、電話リレーサービス等、あらゆる障害の種別・特性に配慮した方法による情報提供が、関係事業者等により日常生活や社会生活のあらゆる場面において行われるよう必要な支援を行うとともに、時限付きの数値目標を伴った情報バリアフリー化のための指針の策定を始め、必要な環境整備を図る。
【総務省関係】
  • 手話・指点字・触手話通訳者や要約筆記者等、障害者と障害のない人のコミュニケーションを支援する人材について、その養成の一層の拡充を図るとともに、公的機関への配置をするための必要な措置を講ずる。。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 関連する人材の養成等の実情を踏まえて検討する必要がある。
(実施時期・検討期間)
  • 検討が必要であり、明示できない。
【厚生労働省関係】
【災害時における緊急情報等の提供】
災害時における緊急情報等は、生命に関わる極めて重要性の高いものであるが、現状では、被害情報や避難情報等の提供が障害者に配慮された形で行われているとは言い難く、市町村によってもその対応にはばらつきがみられる。
このような状況を改善するため、以下を実施すべきである。
  • 放送事業者等が災害に関する緊急情報等を提供するに当たっては、手話や字幕等の障害者が必要な情報を迅速かつ的確に入手できる方法が講じられるよう、必要な措置を講ずる。
【総務省関係】
  • 災害等の緊急事態における国・地方公共団体による避難勧告等に当たっては、あらゆる障害の種別・特性に対応した伝達手段が確保されるよう、具体的方策を講ずる。
(実施・検討に当たっての留意点)
市町村において関係者、関係団体等による要援護者避難支援連絡会議を開催し、障害者の特性に応じたきめ細かい支援活動を実施する必要がある。
(実施時期・検討期間)
政府において障害者福祉担当部門を所管する部局が中心となり、関係省庁や障害者団体とも連携して市町村の支援方策の検討を進める必要がある。
(内閣府)
【総務省・内閣府・厚生労働省関係】

(政府に求める今後の取組に関する意見)

(P)

9)政治参加
(推進会議の問題認識)

民主政治の健全な発達を期するためには、すべての国民が自由な意思の下で、公明かつ適正な選挙等の実施を確保されることが不可欠である。
そのため、障害者についても、選挙等に関する情報における「知る権利」の保障の下で、障害のない人と平等に自己の自由な意思により政治参加の機会が実現されるべきである。
しかしながら、現状では、障害者の選挙権や投票権の保障が、制度の運用において、障害のない人と同等程度に保障されていない問題が多々あり、早急に必要な改善措置を講ずるべきである。
【選挙等に関する情報へのアクセス】
選挙等に関する情報の提供においては、点字及び音声による選挙公報等の発行が十分にはなされていないことや、政見放送において字幕・手話の付与が十分にはなされていない等、障害のある人が情報を得ることが困難な状況がある。
このような状況を改善するため、以下を実施すべきである。
  • 選挙等に関する情報の提供に当たっては、障害の特性に応じて適切な提供方法がとられるよう早急に改善を図る。
  • インターネットを活用した選挙活動の解禁に係る制度が施行される場合には、障害者の便宜に配慮した運用がされるよう必要な措置を講ずる。
【総務省関係】
【投票所へのアクセス】
地域によっては、投票所へ移動する際の困難なアクセスや投票所における物理的バリア等により、障害者の投票機会の確保が容易でない状況がある。
このような状況を改善するため、以下を実施すべきである。
  • 投票所への移動支援の充実や、投票所の設置及び設備に関するバリアフリー化(エレベーターのない2階以上の室への設置を避けること、スロープ設置による段差解消 等)等の障害者の便宜に配慮した措置がすべての地域において講じられるようにする。
  • 投票所において、障害者がその障害に応じた必要な合理的配慮や支援を受けられるようにする。(知的障害のある人や、文字を書くのが困難な人への人的支援や、他の容易な投票方法への変更、筆談や手話通訳による支援等)
【総務省関係】
【選挙活動における配慮等】
障害者による選挙活動への必要な配慮等についても改善を図る必要があるが、選挙制度の在り方については、議会政治の根幹にかかわる問題であり、各党各会派における議論に委ねられるべきものであることから、以下の事項について、立法府においても真摯な検討を期待する。
  • 障害者が選挙活動を行う際の必要な支援の充実が図られるよう、例えば、選挙運動員とは別に手話通訳や移動介助者等の介助者を公的に保障する等の具体的方策を実施する。
【国会関係】
  • 選挙権、被選挙権に関する成年被後見人の欠格条項については、後見人が付いているかどうかで差別化する人権侵害の側面が強いことから、廃止も含め、その在り方を検討する。
【法務省・総務省・国会関係】
  • 国会中継、国会会議録等の国会審議に関する情報の提供に当たっては、手話・字幕・点字等の媒体で障害の種別・特性に応じた適切な提供方法がとられるよう改善を図る。
【国会関係】

(政府に求める今後の取組に関する意見)

(P)

10)司法手続
(推進会議の問題認識)

刑事訴訟手続や民事訴訟手続を始めとする司法手続において、障害者がその手続上の権利が保障され、他と平等に参加できるようにするためには、障害の特性に応じた手続上の配慮の提供が不可欠である。
しかしながら、特に、適正手続として保障される刑事訴訟法上の各種の権利行使において、そもそも法制度自体が障害者の存在を想定していないとの指摘があり、また運用の実態においても大きな問題が存在している。さらに、刑事被拘禁施設内における処遇においても、障害特性が理解されていないが故の不利益取扱いについて指摘がある。
【刑事訴訟手続における配慮】
(捜査段階)
障害の特性に配慮した適切な方法による情報の提供等が確保されていないため、令状主義の趣旨がいかされず、弁護人選任権や黙秘権の告知が告知としての機能を果たしておらず、さらには、取調べの適正を欠くといった事態を招いている場合がある。
このような現状を改善するため、以下を実施すべきである。
  • 刑事訴訟手続においては、手話通訳者、要約筆記者、知的障害者の支援者等の立ち会い等を含め、障害の特性に応じた情報伝達とコミュニケーション確保の保障がなされるよう必要な措置を講ずる。
  • 捜査段階における適正な手続を担保する観点から、被疑者取調べの全面的な可視化を検討する。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 被疑者の取調べを録音等の方法により可視化することについては、国家公安委員会委員長の主催する研究会において、部外有識者の委員により、治安水準の維持という観点も踏まえ、取調べの高度化と可視化、捜査手法の高度化等について幅広く検討しているところである。
(実施時期・検討期間)
  • 上記のとおり、本年2月から捜査手法や取調べの高度化を図るための研究会を開催し、幅広い観点から着実に検討を進めている段階である。
(警察庁)
【法務省・警察庁関係】
(公判段階)
手続的な保障がないままに自白がなされた場合には、証拠として採用されないような仕組みが検討されるべきである。
また、障害者が被告人や証人として、質問や尋問を受ける場合には、障害の特性に対応した適切な情報提供やそのために必要な手話通訳者、要約筆記者、知的障害者に対する支援者等の支援がされるよう必要な手続上の措置を講ずるべきである。
【法務省関係】
【被拘禁中の処遇】
受刑中の障害者の処遇に関して、障害の状況に応じた合理的配慮がなされていない状況がある。
このような状況を改善するため、被拘禁者の有する外部交通権等の諸権利の行使及び刑務作業を含めた施設内の生活全般について、物的な設備や情報提供におけるアクセス、医療面での配慮等がされるよう必要な措置を講ずるべきである。
【法務省関係】
【コミュニケーション確保に係る費用】
司法手続が適正になされるためには、障害を理由とした特別な負担を要することなく、当事者のコミュニケーションが十分に確保されることが不可欠である。
このような観点から、民事訴訟手続や刑事訴訟手続等における障害者のコミュニケーションの確保のために必要な人的、物理的支援に係る費用については、原則として公的負担とすべきである。
【法務省関係】
【司法関係者(警察官及び刑務官を含む。)の研修】
司法関係者の障害についての無知・無理解による様々な問題が指摘されており、これを改善するため、障害の特性、手話言語や障害に配慮したコミュニケーション、生活支援の基本などについての理解等を深める研修の一層の充実を図るべきである。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 警察では、警察学校や警察署等の職場において、有識者による講話、手話講習、障害者施設への訪問実習等、障害の特性や障害に配慮したコミュニケーション等への理解を深める研修を行っている。
    また、障害のある者の取調べに関する研修を実施している。
(実施時期・検討期間)
  • 上記研修を継続的に実施する。
(警察庁)
【法務省・警察庁・裁判所関係】
上記の他、判決が知的障害者に対してなされる場合に本人に理解できる内容や言葉遣いでなされていないことや、それが視覚障害者に対してなされる場合にも点字による判決が交付されないこと等の問題がある。また、裁判傍聴に当たっては、パソコン要約筆記による全体投影や磁気ループの設置がなされていない等障害者による傍聴に際しての配慮がなされていない。さらに、民事訴訟手続においては、障害者の稼働能力が低く認定される結果、逸失利益の認定が低くおさえられるという指摘がなされており、これらの在り方について裁判所における真摯な検討が望まれる。
【裁判所関係】

(政府に求める今後の取組に関する意見)

(P)

11)国際協力
(推進会議の問題認識)

障害者施策における国際協力は、日本が国際社会の一員としての責務として諸外国・地域における障害者の地位の向上に寄与し、併せて国内の障害者施策の推進にも資するものである。こうした観点から、障害当事者の権利を尊重した国際交流の推進に当たっては、障害者の能力構築、自立生活技能の提供、アクセシビリティの確保等を重視した取組を進めることが重要である。
日本は、第1次及び第2次アジア太平洋障害者の十年(1993-2002、2003-2012)の提唱国として、NGO等と協力しつつ、「びわこミレニアム・フレームワーク(BMF)」の採択等に積極的に貢献してきている。
他方で、現在、政府開発援助大綱においては、社会的弱者の状況を考慮する旨が規定されているのみで、障害者については明確に位置付けられておらず、援助が障害者の地位の向上に資するものになっているとは言いがたい。
今後、障害者権利条約の締結を見据え、我が国の障害者施策分野における国際協力について法律等において明確に位置付けた上で、より一層の推進を図る必要がある。
このような観点から、以下を実施すべきである。
  • 政府開発援助が障害者の地位の向上とバリアフリー化に資するものとなるよう、政府開発援助大綱において障害者を明確に位置付けることを含め、必要な措置を講ずる。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 政府開発援助における障害者の位置付けについては、政府開発援助大綱において社会的弱者として既に明確に位置付けている。政府としてもご指摘の問題については、引き続き大綱に従って積極的に取り組み、必要な措置を講じる。
  • 第3次アジア太平洋障害者の十年に向けて、ESCAPを中心とした、アジアにおける障害分野の国際協力に更に積極的に貢献する。
(実施・検討に当たっての留意点)
  • 第3次アジア太平洋障害者の十年に向けた国際協力については、障害者分野におけるESCAPとの連携は有益と考えており、ESCAP事務局の方針、各国の動向及びODA事業見直しの結果も踏まえつつ、政府としての対応を検討して参る所存。
(実施時期・検討期間)
  • 現行のアジア太平洋障害者の十年が終了する平成24年に向けて検討を行う。
【外務省関係】

(政府に求める今後の取組に関する意見)

(P)