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障がい者制度改革推進会議 第17回(H22.7.26) 資料1-1

文部科学省への質問事項に対する回答

(総論)

障害のある子どもの教育については、6月29日に閣議決定された「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」の中で、「障害者権利条約のインクルーシブ教育システム構築の理念を踏まえ、体制面、財政面も含めた教育制度の在り方について、22年度内に(中略)制度改革の基本的方向性についての結論を得るべく検討を行う」との方向性が示されたところ。これを踏まえ、文部科学省としては7月12日の中央教育審議会初等中等教育分科会において審議要請を行い、「特別支援教育の在り方に関する特別委員会」の設置を決定し、7月20日の同委員会第1回会合を皮切りとして、障害者権利条約の理念を踏まえた特別支援教育の在り方について専門的な調査審議を開始いただいたところ。

そのため、現時点において、同特別委員会の審議検討に予断を与えるような今後の教育分野における障害者制度改革の方向性に係る文部科学省の見解を示すことは差し控えることとしたい。ここでは、文部科学省への質問事項のうち事実関係に係るものについて、以下のとおり回答させていただく。

(質問3-1)
想定A、Bともに、コストを試算するうえで、毎年必要となる維持管理コストと、施設・設備整備のための初期投資コストとが明確に弁別されずに単純加算されているので、必要なコストの全体像が分かりにくくなっている。
「施設・設備の整備のために必要なコスト」の試算において、どのような条件設定の下で試算されたものであるのか、その前提についてご教示願いたい。併せて、試算された数値に、維持管理・減価償却など、建設・設置の直接的費用以外のものが含まれているかどうかもご教示願いたい。

(回答)

想定A、Bともに、平成21年度の学校基本調査による児童生徒数及び標準学級数等に基づき、4月26日に提出した「ヒアリング項目に対する意見書【文部科学省】」の別添②「障害のある児童生徒への十分な教育に必要な人的体制・物的条件整備について(義務教育段階)」において「基本的な考え方を踏まえた想定・必要な条件整備」に示した条件に基づいて積算したものである。

「施設・設備の整備のために必要なコスト」とは、想定A、Bの条件をすべて満たすために必要となる教室等の増築及びバリアフリー設備の設置に係る工事費の総額であり、ご指摘の維持管理費など、直接的費用以外の費目を含むものではない。

なお、想定A、Bの試算は、別添②でも述べているように、今後詳細な検討を要するものである。

(質問7-1)
「特別支援教育資料(平成21年度)」によれば、特別支援学校の教員数は、全体で58,006人であり、そのうち免許状保有者数は40,333人(全体の69.5%)(平成21年5月1日現在)であるが、
① このうち手話による教育が可能な教員は、何人か。免許状保有者及び非免許状保有者のそれぞれについてご教示願いたい。
② このうち点字による教育が可能な教員は、何人か。免許状保有者及び非免許状保有者のそれぞれについてご教示願いたい。
③ 盲ろうの児童生徒が必要とするコミュニケーションに対応できる教員は何人か。免許状保有者及び非免許状保有者のそれぞれについてご教示願いたい。
④ ①~③について、過去5年間における推移を示していただきたい。

(回答)

文部科学省が毎年実施している「特別支援学校教員の特別支援学校教諭等免許状保有状況調査」では、特別支援学校教員について、担当している学級の主となる障害種の特別支援教育領域に対応した特別支援学校教諭免許状を有している者等の数を調査しているものであり、そのうちで、手話や点字による教育、又は盲ろうの児童生徒が必要とするコミュニケーションに対応できる教員の総数については調査していない。

なお、手話による教育が可能な教員の数に関連するデータとして、平成19年の時点では、聾学校小学部で教員全員が指導中に手話を使用している学校の割合は69.6%であり、聾学校中学部では71.8%という調査結果がある(別表参照)。この数字は、平成14年に行われた同様の調査結果からみると増加している。

    平成14年 平成19年
小学部 回答校数 78 79
半数以上が手話使用 75.6% 88.6%
全員が手話使用 41.0% 69.6%
中学部 回答校数 75 71
半数以上が手話使用 77.3% 93.0%
全員が手話使用 46.7% 71.8%

出典:聾学校におけるコミュニケーション手段に関する研究
「聾学校における手話使用の調査」上越教育大学 我妻敏博氏による調査

また、点字による教育や盲ろうの児童生徒が必要とするコミュニケーションに対応できる教員の数に関連するデータについては、現時点では把握していない。

中央教育審議会 初等中等教育分科会
特別支援教育の在り方に関する特別委員会の設置について

平成22年7月12日
初等中等教育分科会決定

1.設置の目的

障害者の権利に関する条約(以下「権利条約」)の理念を踏まえた特別支援教育の在り方について専門的な調査審議を行うため、初等中等教育分科会に「特別支援教育の在り方に関する特別委員会」(以下「特別委員会」という。)を設置する。

2.委員等

(1)特別委員会の委員は、初等中等教育分科会長が指名する。

(2)特別委員会に委員長を置き、特別委員会の互選により選任する。

(3)委員長に事故があるときは、委員長が特別委員会に属する委員のうちからあらかじめ指名する者が、その職務を代理する。

(4)特別委員会においては、必要に応じ、特別委員会の委員以外の者の協力を得ることができる。

3.主な検討事項

(1)インクルーシブ教育システムの構築という権利条約の理念を踏まえた就学相談・就学先決定の在り方及び必要な制度改革

(2)(1)の制度改革の実施に伴う体制・環境の整備

(3)障害のある幼児児童生徒の特性・ニーズに応じた教育・支援の実施のための教職員等の確保及び専門性の向上のための方策

(4)その他

4.設置期間

本特別委員会は、3.の主な検討事項に関する審議が終了したときに廃止する。

5.その他

ここに定めるもののほか、議事の手続その他特別委員会の運営に関し必要な事項は、委員長が特別委員会に諮って定める。

中央教育審議会初等中等教育分科会
特別支援教育の在り方に関する特別委員会 委員名簿

青山 彰 東京都立竹台高等学校長、全国高等学校長協会長

安彦 忠彦 早稲田大学教育・総合科学学術院教授

○ 石川 准 静岡県立大学国際関係学部教授、NPO法人全国視覚障害者情報提供施設協会理事長

大久保 常明 社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会常務理事

太田 裕子 品川区立鈴ヶ森小学校長(前・東京都教育庁指導部副参事)

大南 英明 全国特別支援教育推進連盟副理事長

岡上 直子 全国幼児教育研究協議会副理事長、練馬区立光が丘さくら幼稚園長(前・全国国公立幼稚園長会会長)

尾崎 祐三 都立南大沢学園特別支援学校長、全国特別支援学校長会会長

乙武 洋匡 作家、前杉並区立杉並第四小学校教諭

貝谷 久宣 社団法人日本筋ジストロフィー協会理事長、医療法人和楽会理事長

河本 眞一 中野区立桃園小学校長、全国特別支援学級設置学校長協会会長

北住 映二 心身障害児総合医療療育センターむらさき愛育園長、一般社団法人日本小児神経学会 社会活動委員会副委員長

木舩 憲幸 広島大学大学院教育学研究科教授

清原 慶子 三鷹市長

齋藤 幸枝 特別区教育長会会長、全国心臓病の子どもを守る会会長

佐竹 京子 全国肢体不自由特別支援学校PTA連合会事務局長、全国障害種別PTA会長連絡協議会世話人

品川 裕香 教育ジャーナリスト、発達性ディスレクシア研究会理事

新藤 久典 新宿区立西戸山中学校長、全日本中学校長会会長

杉山 登志郎 あいち小児保健医療センター心療科部長・保健センター長

髙橋 健彦 茨城県東海村教育長、全国町村教育長会長

中澤 惠江 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所企画部上席総括研究員

中村 文子 NPO法人若駒ライフサポート理事、NPO法人東京都自閉症協会前理事(元・全国知的障害特別支援学校PTA 連合会会長)

久松 三二 財団法人全日本聾唖連盟事務局長

◎ 宮﨑 英憲 東洋大学文学部教授

向山 行雄 中央区立泰明小学校長、全国連合小学校長会長

山岡 修 日本発達障害ネットワーク副代表、全国LD親の会理事

山口 利幸 長野県教育委員会教育長

(◎:委員長、○:委員長代理)
(平成22年7月20日現在)

特別支援教育の在り方に関する論点(例)

1.総論

○ 障害者権利条約に掲げられた、教育に係る目的(①人間の潜在能力等に係る意識の発達、人権・基本的自由・多様性の尊重の強化、②人格、才能、創造力、能力の可能な最大限度までの発達、③自由な社会への効果的参加)の達成を目指す上で重要な教育制度の要件は何か。

○ 日本的なインクルーシブ教育システムの構築を図る上で、現行の特別支援教育(特別支援学校、特別支援学級、通級指導、通常学級での指導・支援)をどのように位置付けるべきか。

2.就学相談・就学先決定の在り方及び必要な制度改革について

○ 移行期の個別の教育支援計画の作成を通じて、障害の状態・ニーズ、保護者の意向等を総合的に勘案し、就学先を判断する制度とした場合のメリット、デメリットは何か。

○ 障害の有無にかかわらず、すべての子どもが地域の小・中学校に就学し、かつ通常学級に在籍することを原則とする制度とした場合のメリット、デメリットは何か。

○ 保護者と学校・教育行政サイドの共通理解を醸成し、適切な就学先及び教育・支援の内容等の決定をスムーズに行うためのプロセスとして、どのようなことが考えられるか(例、より早期からの教育相談・支援、体験入学、就学委員会への多様な委員の参画、都道府県・市町村の連携強化等)。

○ 聴覚障害等のある子どもにとって、最も適切な言語・コミュニケーションの環境に係る判断をどのように行うのか。

○ 就学先決定において、保護者の理解が得られない場合にどのように調整することが適切か。

○ 就学後の継続的な就学相談、就学先の見直し等の柔軟な対応として、何が重要かつ有効な方策か。

3.2.の制度改革の実施に必要な体制・環境整備について

○ 障害のある子どもが地域の小・中学校に就学する場合、障害の種類やその状態に応じて必要な体制・環境整備として、どのようなものが考えられるか。

○ 障害のある子どもが地域の小・中学校に就学する場合、障害の種類やその状態に応じて必要な教育課程上の配慮(特に知的障害について)として、どのようなものが考えられるか。

○ 障害のある子どもが幼稚園、小学校、中学校、高等学校等に就学する場合、必要な合理的配慮として支援を講ずることができないケースとして、どのようなものが考えられるか。

○ インクルーシブ教育システム構築のための漸進的取組として、居住地校との交流及び共同学習を更に進めていくためにどのようにすればよいか(副次的学籍の在り方の検討を含む。)。

○ 必要な体制・環境整備における国、地方公共団体の責務・役割分担をどのように考えるか。

○ 必要な体制・環境整備における都道府県と市町村等の連携及び役割分担をどのように考えるか。

4.障害のある幼児児童生徒の特性・ニーズに応じた教育・支援のための教職員の確保及び専門性の向上のための方策

○ 障害種毎の専門性の確保に必要な教職員の適切な配置はどのようなものが考えられるか。

○ 障害のある子どもを受け入れる場合、幼稚園、小学校、中学校、高等学校等の教員に必要な専門性として、どのようなものが考えられるか。

○ 障害のある教員を積極的に受け入れるための方策及び学校側の環境整備として、どのようなものが考えられるか。

○ 通常の学級において、障害特性に応じた多様なコミュニケーション手段その他の適切な支援を確保するための教育方法として、どのようなものが考えられるか。

5.その他関連事項

○ 進路指導

○ 職業教育・就労支援

「特別支援教育の在り方に関する特別委員会」当面の進め方(案)

平成22年7月20日
特別支援教育の在り方に関する特別委員会

(当面の予定)

8月中旬 就学相談・就学先決定の在り方に係る事例紹介及び討議

9月上旬 合理的配慮の在り方、必要な体制・環境整備等に係る事例紹介及び討議

これ以降も関係団体からのヒアリング等を適宜行いつつ審議検討を実施し、平成22年内に中間的な取りまとめを行う。

(留意事項)

○ 審議の効率化を図る観点から、委員には事務局より原則として2日前までに会議資料を電子メール等により送付することとする。

○ 資料作成・提出に当たっては、原則としてテキストファイル(WORD版及びEXCEL版等)の形式にて行うこととする。

障害者虐待防止法の通報義務対象施設に学校を含めることについて

○ 障害者虐待防止法について、虐待行為者の範囲に学校関係者を含め、学校内における障害のある児童生徒に対する虐待に限定して「通報」という法的義務を課すことは、以下の理由により適当ではなく、学校は対象施設から除外すべきと考える。

  • ① 学校においては障害のある児童生徒と障害のない児童生徒が在籍しており、発達障害など障害の状態によっては明確に障害の有無を判断することが困難な場合があること。
  • ② およそ学校においては、障害の有無にかかわらず児童生徒に対する虐待を防止すべきであり、障害のない児童生徒に対する通報義務がない中で障害のある児童生徒のみを保護対象として通報義務を課すことの是非について慎重に検討する必要があること。

○ さらに、学校における虐待行為(行き過ぎた指導を含む)が決して許されるものではないことは当然の前提として、学校現場において指導上や安全確保上必要な行為ができなくなるといった過度の萎縮効果を招くことのないよう留意することが必要である。

○ なお、児童生徒間の虐待行為を通報対象とするかについても慎重な検討が必要である。