障がい者制度改革推進会議
第19 回(H22.9.6) 追加資料
追加資料
第19回障がい者制度改革推進会議 意見提出書式
障害者基本法 各則(論点表、議論が不足している分野)
住宅
委員名 竹下義樹
1、住宅に関する基本的な考え方
(1)住宅問題をどう位置づけるのか(障害者にとっての意義など)
2、住宅を利用する上での問題点
(1)民間住宅利用における問題点としてどのようなものがあるか
(2)公営住宅利用における問題点としてどのようなものがあるか
4、グループホームやケアホーム
(1)グループホームやケアホームという観点から見た住宅に関する問題点としてどのようなものがあるか
5、行政による住宅施策
障害者基本法 各則(論点表、議論が不足している分野)
文化・スポーツ
1、文化やスポーツに対する基本的考え方
(1)文化やスポーツをどう位置づけるのか。その際、参加という視点のみな らず、享受という視点も必要ではないか。また、文化やスポーツの目的をどう 考えるか(例えば、リハビリ、楽しみ、競技、啓発など)
- 文化活動及びスポーツに参加し享受する権利を明文化する。それは、平等 な参加を意味するだけでなく、文化活動は個人の尊厳と人格形成にとっても 不可欠なものとして障害者といえども本質的に保障されなければならないこ とを意味し、スポーツに関しても単にリハビリテーションや平等な参加とい う位置づけにとどまらず、競技性や人格形成における修練という面からも保 障されなければならないことを意味する。
- スポーツに関しては、競技の種類により統合が可能な場合における平等な 参加を保障するとともに、その場合における合理的配慮義務をも明確にする ことが必要である。
- 文化活動やスポーツのいずれについても、分離ないし独自の位置づけが必 要な場合においても、健常者のそれとの共同開催を原則とする。
文化とスポーツは別途に議論することが望ましい。理由は以下のとおりである。
(3)レクリエーション、余暇、観光といったことに触れなくていいか
それらは社会参加の一場面として位置づけることでよいのではないか。ただ し、合理的配慮に関してはそれぞれにつき異なる視点からの内容が基準として 示されることが必要である。
2、文化やスポーツに関する問題点
(1)文化やスポーツを行う上での物理的な環境や社会的理解等について、 どのような問題があるか
- 国体において分離されていることは平等性に欠ける。
- オリンピック(あるいはパラリンピック)や国際競技に向けた選手強化に おける支援の体制ないし予算措置において不平等である。
- 障害者を対象とする大会における障害者の範囲についての再検討が必要である。
3、行政による支援
(1)文化やスポーツを行う上でどのような行政的な支援が必要とされるか
- 競技団体に対し、障害者をも念頭に置いた大会の開催(あるいは同時開催)を指導する。
- 競技団体に対し、障害者の参加ないしは障害者のための競技大会の同時開催を実現するための補助金の支給
- 選手強化における補助金等の増額と実質的平等の実現
4、一般の文化・スポーツとの関係
(1)障害に特化した文化やスポーツ育成の必要性をどう考えるか
たとえ「インクルーシブな統合」が理念として受け入れられ、可能な限りで の平等な参加が実現したとしても、障害に特化した文化活動やスポーツの促進 は必要である。そのうえで、独自の文化活動やスポーツが進化する過程で健常 者のそれと統合されることもあり得ると考えるべきである。
(2)一方、一般の文化やスポーツとの間で区別すべきではないという考え方 について、どう考えるか
文化活動であれ、スポーツであれ、その内容によっては統合することが障害 者にとって参加を不可能にしたり、危険性を増大させる場面が考えられる。し たがって、インクルーシブな統合を原則とした上で、例外的に分離開催が合理 性のある場合にはそれを認めるべきである。
(3)行政上、特にスポーツについて一般と異なる省庁が担当しているが、問題はあるか
障害者のスポーツには二面性があるとしても、スポーツとして位置づける限 りは文部科学省が所管すべきである。
- インクルーシブな統合を前提とする場面では一般のスポーツ行政を所管する省庁が 障害者に対する合理的配慮も含めて所管すべきである。
- 分離した開催の場合においても、原則的には一般のスポーツを所管する省庁が担当すべきである。
- リハビリテーションとしての位置づけでスポーツを考える場合は、 それ自身は競技性を持たないのであるから、リハビリテーションの一部として考えれば足りる。 したがって、その場合は狭義の「スポーツ」と呼ばなくてもよいと思う。
第19回障がい者制度改革推進会議 意見提出書式
障害者基本法 各則(論点表、議論が不足している分野)
障害の予防
委員名 竹下義樹
1、障害の予防に対する基本的考え方
(1)障害の予防について、どう考えるか(権利条約では障害の悪化、または 二次障害として触れている:第 25 条(b))
障害の予防という概念は否定すべきであるが、「失明予防」や「健康管理」 としての位置づけは公衆衛生として法制化すべきである。すなわち、障害の悪 化や障害の発生は健康権としてとらえるべきであり、障害の発生や悪化を社会 的価値において否定的にとらえた上で、「予防」として位置づけることは永久 に差別的意識を残すことになる。
(2)仮に、障害の予防自体を削除する場合、障害の予防にかわるべきものとして、 どのような項目立てが考えられるか、また「障害の原因」の予防については障害者施策ではなく 一般公衆衛生の中で考えるべき課題だとするかどうか
(なお、障害の予防という項目立てをやめる場合、項目の分類の仕方として、 障害者の権利条約では、健康とリハビリテーションは別の条項で規定されている。 他方、現行障害者基本法は、医療、介護、リハビリテーションについて、 一括して規定されているが、このような括り方でいいのか、 後記3の難病などをどこに入れるべきかも念頭に置いて、議論されたい)
障害の予防という言葉を排した上で、憲法25条に基づく健康権として障害 の発生や悪化をとらえるべきである(憲法25条2項)。
2、障害の予防と早期発見、早期治療
(1)障害の予防と早期発見、早期治療をどのように整理するか
前述したとおり、障害の発生や悪化は健康権として位置づけるべきである。 すなわち、社会保障としての医療や公衆衛生の充実によって障害の発生や悪化 を食い止めるための施策を実施することを法制化すべきである。
3、難病に関して
(1)難病に関する現行法の記載について、どう考えるか
難病に対する支援は医療と福祉の両面を含む社会保障によって実施されるべきである。 また、障害者としての位置づけもすべきである。たとえ、障害の内容が固定しなくとも、 社会的保障による支援が必要であり、社会的不利益を受け、差別の対象となるからである。
第19回障がい者制度改革推進会議 意見提出書式
障害者基本法 各則(論点表、議論が不足している分野)
ユニバーサルデザイン
委員名 竹下義樹
1、ユニバーサルデザインに対する基本的考え方
(1)ユニバーサルデザインは、障害者の権利条約でも規定されているところであるが、 ユニバーサルデザインという考え方の意義と効用をどう考えるか
ユニバーサルデザインはノーマライゼーションと一体的にとらえられるべきものである。 すなわち、障害者だけの問題だけではなく、すべての者にとって共通する理念として、 地域社会や共生社会を実現するための指導理念だからである。 高齢者にとっても、女性にとっても、子どもにとっても、外国人にとっても、 ユニバーサルな社会の実現が必要だからである。
(2)障害やそれに基づくニーズの多様性や差異の尊重という要請との関係を どう捉えるか
ユニバーサルデザインと障害の特性や差異を受け入れることは矛盾しない。 それどころか、そうした特性や差異を前提に平等の社会を実現させ、誘導する ための理念として位置づけられるべきものである。
2、ユニバーサルデザインが求められる対象、適用範囲
(1)ユニバーサルデザインの対象範囲についてどう考えるか
障害の範囲とユニバーサルデザインとは切り離して考えるべきである。障害 の範囲をどのようにとらえようとも、すべての人間にとって(高齢、こども、 外国人など)ユニバーサルデザインの理念は共通する指導原理である。
(3)知的財産権(特に著作権)による利用制限がある場合、ユニバーサルデ ザインの観点からどう考えるか
知的財産権の保障とユニバーサルデザインないしバリアフリー化は分けて考えるべきである。 一面においては、知的財産権の制限としてバリアフリー化やユニバーサル化を位置づけるべきである。
他方、その制限によって知的財産権に損害が生ずる場合には、補償金による補填を行うべきである。
3、当事者参画・意見の反映
(1)企業等がユニバーサルデザインの商品等を開発する際に、当事者参画や 意見の反映が、どの段階で、また、どういう仕組みで確保されるべきか
企業が商品を企画生産する過程で、障害者団体またはそれに代わる機関からのヒアリングを実施すべきではないか。 また、各メーカーや業界団体内に「ユニバーサルデザイン企画委員会」のような委員会を設置し、 その委員会に障害者の代表が参加するとともに、障害当事者団体からの要望やヒアリングの機会を実施すべきである。
4、行政による支援
(1)ユニバーサルデザインの普及に向けて行政の取り組むべき課題として どのようなものが考えられるか
1 市場調査
2 商品の開発(ユニバーサルデザイン企画)
に対する助成金の実施
平成22年8月19日
内閣府・障がい者制度改革推進会議構成員 久松三二
「言語・情報・コミュニケーション保障」に関する作業部会の設置の要望
平素はろう者を初めとする障害者のためにご尽力いただき厚く御礼申し上げます。
(1)「言語、情報保障およびコミュニケーション保障」を推進する立場からみた障害者制 度改革の推進のための基本的な方向(第一次意見)への評価について
バンクーバー2010
新しい時代 : ろう者の参加と協働
聴覚障害教育国際会議(ICED)実行委員会および、ブリティッシュ・コロンビア州ろうコミュニティは、共同で次の事柄を 基本方針として表明する。
「基本方針の表明」
したがって、すべての国家は、ろう者を含むすべての市民を認知し、参加を促進することが急務である。
1880年、ミラノで国際会議が開かれ、ろう者の教育が討論された。当時の参加者は、世界中のろう者の教育や生活 に影響を与えることになるいくつかの決議を行った。この決議によって、次の事項が生じた:
- 世界中のろう者のための教育プログラムで手話の使用が排除された。
- 世界中のろう市民の生活に不利益がもたらされた。
- 世界の多くの地域や国々の教育上の施策や立案における、ろう市民の排除につながった。
- 就業訓練、再教育などキャリア開発の分野で、政府の立案、政策決定、財政的援助にろう市民が参加でき なくなった。
- ろう市民がさまざまなキャリアで成功する能力を阻み、多くのろう者が自分の夢を追いかけることができ なくなった。
- 多くのろう市民が、自分の文化や芸術性を十分に発揮して各国の多様性に寄与する機会を阻んだ。
- ろうの児童生徒の教育プログラムにおける手話の使用を禁じた1880年ミラノ会議の決議をすべて退ける。
- ミラノ会議が及ぼした有害な諸影響を認め、心から遺憾に思う。
- 世界のすべての国家が、歴史を記憶し、すべての言語とあらゆるコミュニケーションの形式を教育プログラ ムが受け入れ、尊重することを要求する。
2010年7月19日、カナダ・ブリティッシュコロンビア州バンクーバーの第21回聴覚障害教育国際会議にて発表
「未来への協定」
- 国際連合の諸原則にもとづいて、特に、教育は言語や学問的、実用的、社会的知識の獲得に重点を置いて実施され なければならないとした、国連の障害者権利条約で述べられている原則を批准し、それらに従うことを、世界のす べての国家に要求します。
- 世界ろう連盟が2007年の第15回マドリッド会議で採択した決議、特に、多言語的/多文化的教育への平等で適切な 参加を促進し支持するとした決議を是認するよう、すべての国家に要求します。
- 国家が合法的に承認する言語に、自国のろう市民の手話を追加し、多数派である聴者の言語と平等に取り扱う ことを、すべての国家に要求します。
- ろう市民のあらゆる生活に影響を与える政府のすべての政策決定プロセスに、ろう市民が参加することを促進、 拡大、採用するよう、すべての国家に要求します。
- ろうの幼児、子ども、青年をもつ親たちがろうの文化や手話を理解するために、自国のろう市民を関わらせて援 助するよう、すべての国家に要求します。
- 教育プログラムでは子ども中心アプローチを、家族を構成するろう者や聴者の両方のためのすべてのサポートサ ービスには家族中心アプローチを支援するよう、すべての国家に要求します。
- ろうであることが確認されたすべての幼児を、早期教育による支援のため、地域や全国のろう者組織、ろう者 のための学校やプログラムに託すよう、すべての国家に要求します。
- 自国のろう市民が、自分たちの人権に関する情報を確実に得られるよう、あらゆる努力を行うことを、すべて の国家に要求します。
- すべてのろう市民が、誇らしい、自信に満ちた、生産的で創造的な、特別の能力をもった自国の市民であると認 め、また、それが可能になるよう、すべての国家に要求します。
署名:
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ICED 2010バンクーバー実行委員会
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ブリティッシュ・コロンビア州ろうコミュニティ
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カナダろう協会
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世界ろう連盟
定義:
子ども中心アプローチ-子どもたちの力と生来の学習能力を活用して、子どもたちの個人学習を促す教育プログラム
市民-国家による生来の立場、権利、特権、機会をすべて有する人
ろう-ろう、難聴、ろう盲者、および自己をろうであると認識する者を含む
軽視-多数派集団とは「異なり」、価値や能力が低いものとしてみなされた人々を劣ったものとして認知し、その結果、立場や権利、特権、機会を受けるに値しないとみなされること
障害-身体運動、視覚、聴覚、知覚などの能力のように、身体的属性が欠けているか限られている人々の集団 を、多数派集団が定義するために使う用語
障害観-「障害をもつ人」を、慈善や医療行為、社会的保護の「対象」としてみなす理解の仕方(国連障害 者の権利条約への導入)
平等なアクセス-ろう者が理解可能な、もっともアクセシブルで機能的に等価な手段を使ってコミュニケーシ ョンや情報を受信・発信する同質な機会
排除-多数派に与えられる立場、権利、特権、機会が、故意あるいは無知のために排除される行為
家族中心アプローチ-支援サービスの計画、実施、評価に対する革新的なアプローチを促進するサービスで、子どもや家族、支援サービス提供者、ろうコミュニティ間の相互に有益なパートナーシップを基礎とする
合法-国家法の見地で、法的に承認されていること
言語的文化的少数派-国家や社会において、人数が優勢な人々とは異なる文化や言語を有する少人数のグル ープ
多文化的-複数の異なる文化を有すること
多言語的-複数の異なる言語を有すること
参加-さまざまなサービスやプログラム、政府の政策決定プロセスに参加する行為