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障がい者制度改革推進会議

DINFのお知らせ

シンポジウム 「もっと知ろう、デイジー教科書を!」
日時:2013年02月03日(10:30~16:00)
場所:戸山サンライズ 大研修室
 

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障がい者制度改革推進会議
第19 回(H22.9.6) 追加資料

追加資料

竹下委員提出資料

久松委員提出資料


第19回障がい者制度改革推進会議 意見提出書式

障害者基本法 各則(論点表、議論が不足している分野)

住宅

委員名 竹下義樹

1、住宅に関する基本的な考え方

(1)住宅問題をどう位置づけるのか(障害者にとっての意義など)

 障害者が地域において在宅生活を送ることができるための権利の1つとして 「地域生活居住権」といった権利を明記する。この権利規定は障害者の地域生 活、あるいは施設から地域へという社会進歩を実現するためには必要不可欠で ある。

2、住宅を利用する上での問題点

(1)民間住宅利用における問題点としてどのようなものがあるか

  1. 民間住宅に対する賃貸借契約の締結における差別の禁止
  2. バリアフリーのための請求権
  3. 賃貸借契約の申込を拒絶された場合やバリアフリー化のための調整機関の設置
  4. 住宅扶助の支給

(2)公営住宅利用における問題点としてどのようなものがあるか

  1. 公営住宅に対する優先入居権
  2. バリアフリーのための請求権
  3. 住宅扶助の支給

4、グループホームやケアホーム

(1)グループホームやケアホームという観点から見た住宅に関する問題点としてどのようなものがあるか

  1. 障害者と健常者による共同生活化の実施
  2. 定員を設けないこと(2名以上であれば足りるとすること)
  3. 利用者負担の軽減ないし住宅扶助の支給

5、行政による住宅施策

(1)公営住宅に関する住宅施策として必要とされるもの

  1. 既存の公営住宅のバリアフリー化
  2. ケア付き公営住宅の実現

(2)一般住宅に関する住宅施策として必要とされるもの

  1. 住宅扶助(住宅手当)の支給
  2. バリアフリー化のための補助金の支給
  3. 賃貸借契約の申込拒絶された場合の調整及びバリアフリー化に関する調整機能

第19回障がい者制度改革推進会議 意見提出書式

障害者基本法 各則(論点表、議論が不足している分野)

文化・スポーツ

委員名 竹下義樹

1、文化やスポーツに対する基本的考え方

(1)文化やスポーツをどう位置づけるのか。その際、参加という視点のみな らず、享受という視点も必要ではないか。また、文化やスポーツの目的をどう 考えるか(例えば、リハビリ、楽しみ、競技、啓発など)

  1. 文化活動及びスポーツに参加し享受する権利を明文化する。それは、平等 な参加を意味するだけでなく、文化活動は個人の尊厳と人格形成にとっても 不可欠なものとして障害者といえども本質的に保障されなければならないこ とを意味し、スポーツに関しても単にリハビリテーションや平等な参加とい う位置づけにとどまらず、競技性や人格形成における修練という面からも保 障されなければならないことを意味する。
  2. スポーツに関しては、競技の種類により統合が可能な場合における平等な 参加を保障するとともに、その場合における合理的配慮義務をも明確にする ことが必要である。
  3. 文化活動やスポーツのいずれについても、分離ないし独自の位置づけが必 要な場合においても、健常者のそれとの共同開催を原則とする。

(2)文化とスポーツは項目を分けて議論すべきかどうか

 文化とスポーツは別途に議論することが望ましい。理由は以下のとおりである。

  1. 文化活動については、分離が例外的でなければならない。 これに対し、スポーツにおいては、競技の種類により分離が例外とまでは言えない。
  2. 合理的配慮の内容や調整方法が本質的に異なると思われる。

(3)レクリエーション、余暇、観光といったことに触れなくていいか

 それらは社会参加の一場面として位置づけることでよいのではないか。ただ し、合理的配慮に関してはそれぞれにつき異なる視点からの内容が基準として 示されることが必要である。

2、文化やスポーツに関する問題点

(1)文化やスポーツを行う上での物理的な環境や社会的理解等について、 どのような問題があるか

  1. 国体において分離されていることは平等性に欠ける。
  2. オリンピック(あるいはパラリンピック)や国際競技に向けた選手強化に おける支援の体制ないし予算措置において不平等である。
  3. 障害者を対象とする大会における障害者の範囲についての再検討が必要である。

3、行政による支援

(1)文化やスポーツを行う上でどのような行政的な支援が必要とされるか

  1. 競技団体に対し、障害者をも念頭に置いた大会の開催(あるいは同時開催)を指導する。
  2. 競技団体に対し、障害者の参加ないしは障害者のための競技大会の同時開催を実現するための補助金の支給
  3. 選手強化における補助金等の増額と実質的平等の実現

4、一般の文化・スポーツとの関係

(1)障害に特化した文化やスポーツ育成の必要性をどう考えるか

 たとえ「インクルーシブな統合」が理念として受け入れられ、可能な限りで の平等な参加が実現したとしても、障害に特化した文化活動やスポーツの促進 は必要である。そのうえで、独自の文化活動やスポーツが進化する過程で健常 者のそれと統合されることもあり得ると考えるべきである。

(2)一方、一般の文化やスポーツとの間で区別すべきではないという考え方 について、どう考えるか

 文化活動であれ、スポーツであれ、その内容によっては統合することが障害 者にとって参加を不可能にしたり、危険性を増大させる場面が考えられる。し たがって、インクルーシブな統合を原則とした上で、例外的に分離開催が合理 性のある場合にはそれを認めるべきである。

(3)行政上、特にスポーツについて一般と異なる省庁が担当しているが、問題はあるか

 障害者のスポーツには二面性があるとしても、スポーツとして位置づける限 りは文部科学省が所管すべきである。

  1. インクルーシブな統合を前提とする場面では一般のスポーツ行政を所管する省庁が 障害者に対する合理的配慮も含めて所管すべきである。
  2. 分離した開催の場合においても、原則的には一般のスポーツを所管する省庁が担当すべきである。
  3. リハビリテーションとしての位置づけでスポーツを考える場合は、 それ自身は競技性を持たないのであるから、リハビリテーションの一部として考えれば足りる。 したがって、その場合は狭義の「スポーツ」と呼ばなくてもよいと思う。

第19回障がい者制度改革推進会議 意見提出書式

障害者基本法 各則(論点表、議論が不足している分野)

障害の予防

委員名 竹下義樹

1、障害の予防に対する基本的考え方

(1)障害の予防について、どう考えるか(権利条約では障害の悪化、または 二次障害として触れている:第 25 条(b))

 障害の予防という概念は否定すべきであるが、「失明予防」や「健康管理」 としての位置づけは公衆衛生として法制化すべきである。すなわち、障害の悪 化や障害の発生は健康権としてとらえるべきであり、障害の発生や悪化を社会 的価値において否定的にとらえた上で、「予防」として位置づけることは永久 に差別的意識を残すことになる。

(2)仮に、障害の予防自体を削除する場合、障害の予防にかわるべきものとして、 どのような項目立てが考えられるか、また「障害の原因」の予防については障害者施策ではなく 一般公衆衛生の中で考えるべき課題だとするかどうか
 (なお、障害の予防という項目立てをやめる場合、項目の分類の仕方として、 障害者の権利条約では、健康とリハビリテーションは別の条項で規定されている。 他方、現行障害者基本法は、医療、介護、リハビリテーションについて、 一括して規定されているが、このような括り方でいいのか、 後記3の難病などをどこに入れるべきかも念頭に置いて、議論されたい)

 障害の予防という言葉を排した上で、憲法25条に基づく健康権として障害 の発生や悪化をとらえるべきである(憲法25条2項)。

2、障害の予防と早期発見、早期治療

(1)障害の予防と早期発見、早期治療をどのように整理するか

 前述したとおり、障害の発生や悪化は健康権として位置づけるべきである。 すなわち、社会保障としての医療や公衆衛生の充実によって障害の発生や悪化 を食い止めるための施策を実施することを法制化すべきである。

3、難病に関して

(1)難病に関する現行法の記載について、どう考えるか

 難病に対する支援は医療と福祉の両面を含む社会保障によって実施されるべきである。 また、障害者としての位置づけもすべきである。たとえ、障害の内容が固定しなくとも、 社会的保障による支援が必要であり、社会的不利益を受け、差別の対象となるからである。


第19回障がい者制度改革推進会議 意見提出書式

障害者基本法 各則(論点表、議論が不足している分野)

ユニバーサルデザイン

委員名 竹下義樹

1、ユニバーサルデザインに対する基本的考え方

(1)ユニバーサルデザインは、障害者の権利条約でも規定されているところであるが、 ユニバーサルデザインという考え方の意義と効用をどう考えるか

 ユニバーサルデザインはノーマライゼーションと一体的にとらえられるべきものである。 すなわち、障害者だけの問題だけではなく、すべての者にとって共通する理念として、 地域社会や共生社会を実現するための指導理念だからである。 高齢者にとっても、女性にとっても、子どもにとっても、外国人にとっても、 ユニバーサルな社会の実現が必要だからである。

(2)障害やそれに基づくニーズの多様性や差異の尊重という要請との関係を どう捉えるか

 ユニバーサルデザインと障害の特性や差異を受け入れることは矛盾しない。 それどころか、そうした特性や差異を前提に平等の社会を実現させ、誘導する ための理念として位置づけられるべきものである。

2、ユニバーサルデザインが求められる対象、適用範囲

(1)ユニバーサルデザインの対象範囲についてどう考えるか

 障害の範囲とユニバーサルデザインとは切り離して考えるべきである。障害 の範囲をどのようにとらえようとも、すべての人間にとって(高齢、こども、 外国人など)ユニバーサルデザインの理念は共通する指導原理である。

(3)知的財産権(特に著作権)による利用制限がある場合、ユニバーサルデ ザインの観点からどう考えるか

 知的財産権の保障とユニバーサルデザインないしバリアフリー化は分けて考えるべきである。 一面においては、知的財産権の制限としてバリアフリー化やユニバーサル化を位置づけるべきである。

 他方、その制限によって知的財産権に損害が生ずる場合には、補償金による補填を行うべきである。

3、当事者参画・意見の反映

(1)企業等がユニバーサルデザインの商品等を開発する際に、当事者参画や 意見の反映が、どの段階で、また、どういう仕組みで確保されるべきか

 企業が商品を企画生産する過程で、障害者団体またはそれに代わる機関からのヒアリングを実施すべきではないか。 また、各メーカーや業界団体内に「ユニバーサルデザイン企画委員会」のような委員会を設置し、 その委員会に障害者の代表が参加するとともに、障害当事者団体からの要望やヒアリングの機会を実施すべきである。

4、行政による支援

(1)ユニバーサルデザインの普及に向けて行政の取り組むべき課題として どのようなものが考えられるか

1 市場調査
2 商品の開発(ユニバーサルデザイン企画)
に対する助成金の実施


障がい者制度改革推進会議
担当室長 東 俊裕様

平成22年8月19日
内閣府・障がい者制度改革推進会議構成員 久松三二

「言語・情報・コミュニケーション保障」に関する作業部会の設置の要望

 平素はろう者を初めとする障害者のためにご尽力いただき厚く御礼申し上げます。

 表記の件、「言語・情報・コミュニケーション保障」について、第二次意見書に反映され るよう法制度の整備について審議するための作業部会を設置する必要があると思います。 ご審議いただきますよう宜しくお願いいたします。作業部会設置の必要性についての理由 は以下の通りです。

(1)「言語、情報保障およびコミュニケーション保障」を推進する立場からみた障害者制 度改革の推進のための基本的な方向(第一次意見)への評価について

 視覚障害者、聴覚障害者、盲ろう者、言語障害者などの障害者の完全な社会参加を実現 し真に自立した生活を営むうえで重要なのは、「言語・情報・コミュニケーション」のバリ アフリー問題である。この「言語・情報・コミュニケーション」の言葉が、障がい者制度 改革推進会議の第一次意見書に盛り込まれた。具体的には、「基礎的な課題に対する改革の 方向性」の8つの項目の中の一つとして、「障害の定義」や「差別の定義」と並んで「言語・ コミュニケーションの保障」が入り、さらに「個別分野における改革の基本的方向と今後 の進め方」の11の項目の一つに「情報アクセス・コミュニケーション保障」が入った。

 「言語・コミュニケーション保障」では、「これまで、手話、点字、要約筆記、指点字等 を含めた多様な言語の選択やコミュニケーションの手段を保障することの重要性及び必要 性は省みられることが少なかったため、それらの明確な定義を伴う法制度が求められる。」 と記載されている。また、「情報アクセス・コミュニケーション保障」では、「障害者は、 すべての人権及び基本的自由を完全に享有することを可能とするため、必要な情報及びコ ミュニケーションが保障される権利を有する。障害者も、障害のない人と同様に、表現の 自由や知る権利の下で、情報サービスを受ける権利を有しており、自ら必要とする言語及 びコミュニケーション手段を選択できるようにするとともに、障害者が円滑に情報を利用 し、その意思を表示できるようにすることが不可欠である。国及び地方公共団体は、障害 者が選択するコミュニケーション手段を使用することができるよう必要な施策を講じなけ ればならない。」とまとめている。

 これまでの国や地方公共団体の施策は、障害者自立支援法の下でコミュニケーション支 援事業が市町村の必須事業として位置づけられているものの、手話通訳者派遣事業、手話 通訳設置事業、要約筆記者派遣事業の三つの事業のうち一つでも実施していればコミュニ ケーション支援事業を実施したことになるので、全国の市町村において未実施の事業が多 く地域格差問題の代表的な事例としてこれまでにも度々指摘されている。また予算措置で も、コミュニケーション支援事業の総額が移動支援事業の総額の十分の一程度という地域 が多く十分な予算措置がとれていない状況にある。国や地方公共団体においてコミュニケ ーション支援事業への理解が絶対的に不足している中、第一次意見書にて権利として保障 すること、法制度として整備すること、義務として必要な施策を講じることをとりまとめ 提言したことの意義は極めて大きく画期的なことである。

 (2)多様な言語、多様なコミュニケーションについて

 欧州や米州では「公用語」あるいは「言語」はなじみのある言葉として定着しているが、 日本人にはなじみがない。学校で日本語は国語として、従来は、少数民族の存在を顧みる ことなく、日本は単一民族国家として教えられてきたために多くの日本人にはなじみがな く言語感覚が薄いのである。欧米諸国は多民族国家なので国内に多くの民族語があり公用 語政策がその国の重要な施策となっている。そういう背景もあって手話を公用語の一つと して法制度を整備している国は多い。国連・障害者権利条約の立役者であるドン・マッケ イ元議長が、自身の出身国であるニュージーランドの障害者制度の特徴を「手話言語法 (2006 年制定)」であると明言したように、その国の障害者施策を語るうえで障害者差別禁 止法と同じように手話言語法の制定を大きな特徴としてあげることができる。日本ではろ う学校が口の形を読み取る「口話法」を採用し「手話」を排除したために、「手話」は「手 真似(てまね)」と呼ばれ蔑まれていた時代が長く続いた。手話を言語として認知し国語(日 本語)と同じように法制度(公用語政策)を整備することが今後の大きな課題になる。

 また、コミュニケーションについても障害者権利条約での政府仮訳では「意思疎通」と 訳されているが、日本では意思の伝達という狭い意味に解釈される傾向が強い。本来のコ ミュニケーションは、意思の伝え合い、双方向性という性格をもつものであり、この特徴 を理解しないと、手話通訳はろう者を支援するために必要なのではなく、ろう者とコミュ ニケーション(会話)をする相手にも必要なのだとの意識を持つことが難しい。欧米では そのコミュニケーションの特徴をよく理解しているので、裁判所、病院、学校など公的機 関にて手話通訳を配置することが当然のこととして整備されている。

 また、耳が聞こえにくい人のコミュニケーションの手段は、その聞こえの度合い、聞こ えにくくなった時期によって様々であること、目が見えにくい人も同様に、見えなくなっ た時期、見え方の度合いによって点字を必要とするのか、拡大文字を必要とするのか、拡 大機器を必要するのか様々であること、盲ろう者に至っては、盲ろう者一人ひとりによっ てコミュニケーション手段のニーズが異なることを理解している人は少ない。 このように、多様な言語、多様なコミュニケーションがあり、それを必要とする人がい ることを理解することは、権利として保障し、法制度として整備し、義務として必要な施 策を講じることを進めるうえで大切なことである。

 (3)第二次意見書への期待

 今後、障害者基本法の抜本的な見直しを行うにあたり、総則にて、障害者権利条約にあ るように言語やコミュニケーションの定義を盛り込み、自ら必要とする言語やコミュニケ ーション手段を選択できないことは合理的配慮をしないこと、すなわち「差別」であるこ とを明記することが必要である。

 障害者基本法、差別禁止法を含めた法制度を整備する際に、ろう者、難聴者の場合に限 れば(1)手話を言語として定義し、日本語と同等の地位(公用語)とする。(2)障害者 があらゆる生活の場で使用するコミュニケーション手段を障害者権利条約のコミュニケー ションの定義と同じように定義化する。(3)言語およびコミュニケーション手段を選択す る権利を有する。(4)言語およびコミュニケーションの形態、手段、様式による情報の保 障と、政治、司法、選挙、医療、生活、教育、放送等あらゆる場面での必要な情報および コミュニケーションを保障する。(5)通訳士(手話・筆記)資格を国家資格レベルに格上 げする。(6)専門性が求められる分野での通訳業務は通訳士(手話・筆記)の独占業務と する。(7)市町村レベルでの通訳養成、通訳派遣、通訳設置を義務化し制度化を図る。(8) 手話を言語として認知しその言語文化を守り啓発活動を行っていくことなどを第二次意見 書に反映されることを期待したい。

 情報・コミュニケーションに関する法制度を整備することは、ろう者や難聴者、盲ろう 者だけでなく、言語障害者、視覚障害者、知的障害者、発達障害者にも必要ではある。障 害者権利条約に明記されている情報アクセス権や平等に情報サービスを受ける権利は、障 害者全体の権利として広く認知されなければならない。わかりやすく伝える、わかりやす い言葉を用いる、図記号を使用してコミュニケーションの円滑化を図ることも情報提供に 必要なことであり、国民の権利として認識されるようにしなければならない。そのために は第二次意見書に向けて積極的な提言が行えるよう、障がい者制度改革推進会議の下、「言 語・情報・コミュニケーション」に関する作業部会の設置が必要である。


バンクーバー2010
新しい時代 : ろう者の参加と協働

聴覚障害教育国際会議(ICED)実行委員会および、ブリティッシュ・コロンビア州ろうコミュニティは、共同で次の事柄を 基本方針として表明する。

「基本方針の表明」

世界的に、多くのろう市民は、「ろう」であることを障害の一種ととらえる一般人の理解に直面している。このよ うな「障害観」は、ろう者をはじめ「異なるもの」としてみなされたすべての人の排除や軽視の一因となっている。 その結果、今も、多くの国々で、より広い社会へのろう市民の参加が妨げられ、排除されている。大勢のろう者が、 意思決定、雇用機会、質の高い教育へ平等に参加することができないでいる。

このように「障害観」があるにもかかわらず、ろう市民は、多様性と創造性を受容する諸社会に積極的に貢献し ている。教育、経済活動、政治、芸術、文学の分野で、自国の価値を高めている。ろう者にとって、すべての社 会に必要不可欠な、言語的・文化的少数派として認知されることは、不可譲の権利である。

したがって、すべての国家は、ろう者を含むすべての市民を認知し、参加を促進することが急務である。

1880年ミラノでのICED会議の決議

1880年、ミラノで国際会議が開かれ、ろう者の教育が討論された。当時の参加者は、世界中のろう者の教育や生活 に影響を与えることになるいくつかの決議を行った。この決議によって、次の事項が生じた:

ゆえに、私たちは:

 2010年7月19日、カナダ・ブリティッシュコロンビア州バンクーバーの第21回聴覚障害教育国際会議にて発表


「未来への協定」

私たちはここに宣言し、署名します。

署名:

------------------------------
ICED 2010バンクーバー実行委員会

------------------------------
ブリティッシュ・コロンビア州ろうコミュニティ

------------------------------
カナダろう協会

------------------------------
世界ろう連盟


定義:

子ども中心アプローチ-子どもたちの力と生来の学習能力を活用して、子どもたちの個人学習を促す教育プログラム

市民-国家による生来の立場、権利、特権、機会をすべて有する人

ろう-ろう、難聴、ろう盲者、および自己をろうであると認識する者を含む

軽視-多数派集団とは「異なり」、価値や能力が低いものとしてみなされた人々を劣ったものとして認知し、その結果、立場や権利、特権、機会を受けるに値しないとみなされること

障害-身体運動、視覚、聴覚、知覚などの能力のように、身体的属性が欠けているか限られている人々の集団 を、多数派集団が定義するために使う用語

障害観-「障害をもつ人」を、慈善や医療行為、社会的保護の「対象」としてみなす理解の仕方(国連障害 者の権利条約への導入)

平等なアクセス-ろう者が理解可能な、もっともアクセシブルで機能的に等価な手段を使ってコミュニケーシ ョンや情報を受信・発信する同質な機会

排除-多数派に与えられる立場、権利、特権、機会が、故意あるいは無知のために排除される行為

家族中心アプローチ-支援サービスの計画、実施、評価に対する革新的なアプローチを促進するサービスで、子どもや家族、支援サービス提供者、ろうコミュニティ間の相互に有益なパートナーシップを基礎とする

合法-国家法の見地で、法的に承認されていること

言語的文化的少数派-国家や社会において、人数が優勢な人々とは異なる文化や言語を有する少人数のグル ープ

多文化的-複数の異なる文化を有すること

多言語的-複数の異なる言語を有すること

参加-さまざまなサービスやプログラム、政府の政策決定プロセスに参加する行為