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障がい者制度改革推進会議

DINFのお知らせ

シンポジウム 「もっと知ろう、デイジー教科書を!」
日時:2013年02月03日(10:30~16:00)
場所:戸山サンライズ 大研修室
 

Enjoy Daisy 読めるって楽しい!

公益財団法人日本リハビリテーション協会は国際シンボルマークの取扱いを行なっています。

障害者福祉の総合月刊情報誌『ノーマライゼーション』発売中

マルチメディアDAISYのCD-ROM付き絵本『赤いハイヒール』発売中

住宅に関する意見一覧

  1. 住宅に対する基本的な考え方
  2. 住宅を利用する上での問題点
  3. 公的保証制度
  4. グループホームやケアホーム
  5. 行政による住宅施策
  6. 現行障害者基本法
  7. その他

障がい者制度改革推進会議
第19 回(H22.9.6) 資料3

第19回障がい者制度改革推進会議 意見提出書式

障害者基本法 各則(論点表、議論が不足している分野)

住宅

1、住宅に関する基本的な考え方

(1)住宅問題をどう位置づけるのか(障害者にとっての意義など)

【大濱委員】

 地域移行のためには、公営住宅ではなく、民間の賃貸住宅を障害者が借りや すくする施策に重点を置くべき。次の施策として、市街地の交通の便がよい地 域に公営住宅を建設し、障害者が社会参加(就労も含め)しやすい環境の公営 住宅に、あらゆる種別の障害者と非障害者をバランスよく配置すべきである。

【小川委員】

 住宅問題は障害者の地域生活にとって最重要課題の一つである。
まず、成人障害者が障害のない人と同様に、親から独立して一人暮らしなど が非常に困難である。また、入所施設や精神科病棟に長期入院している障害者 が地域に移行して生活することも困難な状況である。これは、障害者に対する 差別や偏見によって住宅の確保が現実的に難しく、別案件を実質的に解決する 法的な枠組みも存在しない。
障害者が障害のない人と平等に、地域で生活できる社会作りのためには、福 祉サービスの充実や所得保障と並行して、あるいは一体的に、住宅問題に取り 組む必要がある。

【尾上委員】

  • 条約19 条の「地域社会で生活する権利」「居住地を選択し、どこで誰と生活 するか選択する機会を有していること」の確認の上に、そのことを担保する ために地域での住まいを確保する施策はきわめて重要である。
  • 障害者が住宅を確保するためには、車いす等の入居に対する設備や周辺の交 通アクセス、障害等に対する社会的偏見等から、障害のない者には、無い困 難性があることに留意した問題認識を確認する必要がある。
  • 障害者の住宅に関する諸課題を改善するための施策を実施する必要がある。 特に施設から地域移行における住宅確保の社会的な仕組みの確保は、重要で ある。
  • 具体的な施策としては、住宅改造及び現状復帰に関する経費への助成、福祉 機器の交付施策の拡充、住宅手当の創出、入居保証人制度の創設、公営住宅 の優先入居等。

【川﨑委員】

 障害者には、住宅の確保と住宅手当の保障を位置付けるべきと考える。 現 状での就労が困難な精神障がい者は、年金生活者であり、また無年金生活者で ある。
地域で生活している多くの精神障がい者は、親と同居し、親に経済的負担を かけざるを得ない状態である。また、退院できる状態でも地域での住む場の確 保ができないままに入院生活を強いられていることは、早急に解決されなくて はならない。
権利条約の地域で主体的に生きる権利、特定の居住体制で生活する義務を負 わないに照らし合わせ、障害者の住む場の確保の意義は大きいと考える。

【新谷委員】

 住宅の確保は、「健康で文化的な生活」を営む基礎的な条件であり、障害者に とどまらずホームレスや一時的に職を失い住居も失った派遣労働者の問題など も含め、すべての国民に対する施策として総合的に検討すべきである。そのよ うな総合的な施策の一部として、「障害者にとってバリアフリーな、利用しやす い住宅」の問題が出てくるが、 計画・設計・施行各段階での議論、費用負担問題(「障害者が暮らしやすい住宅」 として改造済み住宅を現物給付するか、改造費用を現金給付するか、その併用 を考えるか)の議論に当事者参加を保障すべきである。

 また、我が国の住宅施策は住居確保の視点が強く、共同体の形成や環境との 調和を含めた都市計画・地域計画の視点が希薄なので、住宅問題に障害者の視 点を入れることは住宅政策転換の大きな契機となると考える。

【関口委員】

 住宅とは、居住権が生じている空間のことである。たとえば、アパートは借 地借家法28条が適用され、悪質な家賃滞納がない限り、一方的に賃貸借契約 の解除をされることはないし、また、刑法が適用されるような私有空間として 認められる。すなわち、憲法35 条で保障されている住居不可侵権がある。しか し、グループホーム等の施設には、ある程度、私有空間としてではない側面も あり、居住権もない場合が多い。あくまで、生活空間も含めて、福祉サービス と言う位置づけになっている。極端な言い方をすれば、厚生労働省管轄ではな く、国土交通省管轄が住居である。仮に施設を残すにしても、共管でやる必要 がある。

【中西委員】

 障害を持つものが地域で生活をおくりたいと希望しても、住宅の確保が難し いために地域社会で障害の無いものと同等に生活していくことは困難な状況に ある。
 地域福祉を重視するなら、地域で生活する障害者に対する介助などのサービ スに加えて、公共住宅の提供をはじめとする住宅サービスもそのメニューに含 まれるべきである。

【松井委員】

 施設や病院から地域への移行、あるいは両親などとの同居から地域での自立 生活への移行をすすめるには、その受け皿となる、人としての尊厳を維持でき、 かつ、必要に応じて適切な支援が受けられる住宅の確保が不可欠である。

【森委員】

 障害特性にかかわらず、誰もが暮らしやすい住まいの保障は必要である。地 域生活を保障するための福祉サービスの充実や所得保障といったことと一体的 に住宅問題に取り組む必要がある。また、施設から地域への移行促進を図る上 でも、現実的に住宅の確保がなされるよう、法的な課題も含め、解決のための 取り組みを進めるべきである。

2、住宅を利用する上での問題点

(1)民間住宅利用における問題点としてどのようなものがあるか

【大濱委員】

 家賃滞納・車椅子で傷をつける、近隣トラブル、孤独死、火事などが貸主の 不安である。家賃滞納(保証人制度で対応)・車椅子で傷をつける(原状回復) 費用助成で対応)、近隣トラブル(トラブル駆けつけサービス)、孤独死、火 事(訪問系サービスや電磁調理器・自動消化器の給付)それぞれに対応可能。 このような問題点を解決すれば、民間の貸家を賃貸することが可能。 この他、1 階なのに道路から玄関までに段差があるなどが障害者が家を借り にくい大きな理由。

【小川委員】

 障害者の入居拒否などの問題は長年の課題である。差別禁止法などの解決の ための法的な枠の整備と同時に、公的保障制度の充実が求められる。

【尾上委員】

 上記とも重複するが、バリアフリー環境、偏見、経済的負担等があるが、入 居規程も検証することが必要である。
 また、最近にも、大手不動産チェーンが作成したアパート・マンションの賃 貸契約書の中には精神障害者であることが契約解除の理由として掲げられ、障 害者団体からの抗議・要望によって削除された経過がある。次の公営住宅にお ける欠格条項とあわせて、障害を理由にした制限は差別であることを明確にし た取り組みが必要である。

【川﨑委員】

 保証人問題がある。精神障がい者というだけで断られることがある。精神障 がい者に対する誤った認識の偏見の社会では、公的保証人制度が必要であると 考える。

【新谷委員】

  • 住宅利用に当たって障害者の利用を拒否するなどの差別は、法律をもって禁 止する必要がある。
  • 民間住宅の場合、障害者が暮らしやすくするための改造費費用等は家賃など に跳ね返り、利用者負担となる可能性が大きいため、行政の助成制度を導入 することが不可避である。

【関口委員】

 住宅市場という言葉が示すように、住宅は、生活に必要なものでありながら、 商品とされている。商品だから、生産側が拒否すれば、消費はできなくなる。 すると、その人は、生活に必要なものを失うことになる。それが、住宅市場と いう言葉が示す問題である。

 また、近隣住民とのトラブルがあり、障害者が不利益をうけることがある。 例をあげると、精神障害者だとわかった途端、近隣住民がことあるごとに不動 産屋を通じて苦情を言うようになった。酷いのは、夜12時頃まで電気がつい ている、カーテンがまがっている、いま部屋の中に居るのか、などである。直 接文句を言うのが怖いなどというのである。そして、最終的に障害者が悪いこ とになったりする。こうした場合、大家も不動産屋も、障害者の味方をして得 することはない。「あなたは悪くないし、あなたの言っていることは本当によ くわかるけど、謝ってください。」とかいわれる。

 相互理解という言葉があるが、理解を深める努力義務というのも無意味(か ざり)であることには違いないから、大家や不動産屋が障害者を不利益にしな いよう、何らかの政策を講ずることを省庁に求めるべきと考える。

【中西委員】

 賃貸人による、障害のある賃貸人の借用の拒否がある。

 せっかく条件にある賃貸住宅をみつけても、賃貸人に住宅改造が拒否される。

 改造が許されても、退出時に現状復帰が義務付けられ、余分な労力と出費が 必要となる。

 身体障害者用住宅が不足している。

 十分な改造の知識をもつ業者がなかなかみつからない。

【松井委員】

 比較的便利な場所にあり、人としての尊厳にふさわしい生活空間があり、障 害に配慮したアクセシブルで、かつ、手ごろな価額で利用できる民間住宅がき わめて限られていることが基本的な問題点である。一部の設備などを改造すれ ば比較的条件にあう場合でも、賃貸住宅については、そうした改造について家 主などの協力が得られないことが少なくない。それにくわえ、敷金や礼金、保 証人などを求められることも、障害者にとって賃貸住宅の利用を困難にしてい る要因といえる。

【森委員】

 現在の民間住宅利用に際しては、家主の障害に対する理解の不足はもとより、 借用できないこと、改造を認めないこと、また、その後の原状復帰に関する極 めて高いハードルの設定などを理由とした入居拒否といった問題もある。

 そのように考えると、障害者にとっての住宅整備は自治体の大きな責任でも あるので、民間住宅の借り上げにより公営住宅として自治体が住まいを提供す ること、民間住宅建設への公的助成など、さらには公的保証制度の充実が求め られる。

(2)公営住宅利用における問題点としてどのようなものがあるか

【大濱委員】

 地方では、公営住宅は市街地から遠く離れた場所にあることが多く、障害者 の社会参加(就労を含め)できない、あるいはしづらい状況である。利便性の 高い立地の公営住宅は空きが殆どない。辺鄙な利便性の悪い公営住宅などは空 きがあるなど、障害者の住宅として適切でない。

○結論としては

 公営住宅は通勤や社会参加の目的にあった場所にない事が多い。民間のアパ ート・マンション・借家ならば、そのような問題はないので、公営住宅よりは まず民間の賃貸住宅を借りやすくなる施策を優先するほうが「他のものとの平 等」の視点からも現実的である。

 但し、障害者の場合は、収入が明らかに低いので家賃補助の制度を、国と地 方の役割として積極的に行う必要がある。

【小川委員】

 公営住宅法施行令第6条に障害にかかる欠格条項(相対欠格)が存在し、こ れを廃止すべきである。

(入居者資格)
第六条 法第二十三条 に規定する政令で定める者は、次の各号のいずれ かに該当する者とする。ただし、身体上又は精神上著しい障害があるため に常時の介護を必要とし、かつ、居宅においてこれを受けることができず、 又は受けることが困難であると認められる者を除く。

【尾上委員】

 民間住宅利用で記したことに加え、公営住宅のあり方(入居基準や設置目的 等)に関する検証も必要である。特に、2000 年、2006 年の二度の改正を経た現 在においても未だなお、公営住宅法施行令・第六条には単身入居枠には障害に 基づく相対的欠格条項が存在し重度障害者の入居申し込みが制限されている状 況にある。早急に欠格条項の見直しを行い、廃止すべきである。

【公営住宅法施行令・第六条】
第六条 法第二十三条 に規定する政令で定める者は、次の各号のいずれかに 該当する者とする。ただし、身体上又は精神上著しい障害があるために常時の 介護を必要とし、かつ、居宅においてこれを受けることができず、又は受ける ことが困難であると認められる者を除く。

(略)
二 障害者基本法 (昭和四十五年法律第八十四号)第二条 に規定する障害者 でその障害の程度が国土交通省令で定める程度であるもの

【川﨑委員】

 公営住宅の利用には、障がい者に優先度のある制度が作られているが、単身 世帯ではなかなか入居できていない。単身生活を可能にする優先枠の拡大も必 要。

 また自治会の役員を引き受けることができない障がい者もいるが、断ること が難しく苦しむ例がある。

【新谷委員】

 「障害者が暮らしやすい住宅」の確保に当たって、公営住宅の利用は大きな 役割をもつ。とくに民間住宅の利用が困難な場合の代替機能は、公営住宅の重 要な役割と考える。

【関口委員】

公営住宅制度だけではなく、民間住宅を公費で借り上げるなど、居住制度を 多様化させる必要があるが、それがされていない。

【中西委員】

 障害の重度化に伴うニーズの変化があった場合には、個人の負担で改造しな ければならない。

 1 階にまとめ位置しているがために、他の住民との交流が阻害されている 単身用住宅の数が不足している。

 居住者が共同で行う掃除などの義務が果たせず、肩身の狭いおもいをする。

 当番で役員になっても、仕事をするために他の居住者の部屋を訪ねることができない。

【松井委員】

 公的住宅は、設置戸数が限られているうえ、障害に配慮したアクセシブルな 障害者住宅はそのごく一部であるため、利用できる障害者はきわめて限られる。

 また、たとえ入居できる機会があっても、職場やこれまで住み慣れた地域か ら遠いことなどで、利用をあきらめざるをえないケースも少なからず、見受け られる。

【森委員】

 新たな公営住宅の建設が極めて困難になっているように感じられ、建設され ても初期のうちには交通システムなどが十分に整っていない状況も考えられる。 十分に良質な公営住宅の供給が行われない状況下においては、民間住宅を借り 上げて、公営住宅として障害者にとっても使いやすい良質の住まいの提供を図 る必要がある。また、公営住宅の近くに、または公営住宅を利用した介助シス テムの設置が求められる

3、公的保証制度

(1)公的保証制度を利用する上での問題点としてどのようなものがあるか

【大濱委員】

 保証人代行業・信用保証業は民間会社でも数社で行われているが、家賃滞納 者の追い出しや過度な取立て等の問題が報道されている。

 障害者向けは、国が直接実施する方がよい。障害者の地域移行には賃貸アパ ート・貸家などを借りにくい問題(貸主は家賃の不払いを心配)を全国で解決 し、賃貸しやすい制度にする必要がある。

 現行では、高齢者向けの国土交通省の家賃保証制度(入居者の家賃滞納時に 代わりに保証サービスが大家に滞納家賃を支払う制度)があり、障害者向けに も対象拡大されているが、全国で17件しか実績がなく、実効性のある制度に なっていない。現行制度(家賃債務保証制度を国土交通相所管の財団に委託) の問題点として、広報が積極的に行われていない点や、大家に対して、「財団と 契約した物件では障害者の入居を敬遠しないという条件を受け入れたら、保証 制度を契約出来る」という縛りがありこのため不動産屋や大家がこの制度を敬 遠してしまう問題点があると思われる。(注「対象住宅 高齢者世帯または障害 者世帯……の入居を敬遠しないものとして、財団と家賃債務保証制度の利用に 関する基本約定を締結した賃貸住宅」(家賃債務保証制度の概要より)という文 言があるため、貸主が商業的な自由権を奪われ、その為この制度は普及しない。

 (貸主側にも商業的な自由権を担保しなければならない)

 例えば、東京23区内の場合ではこの制度を利用できる登録住宅は、全体と して、件数、戸数も少なく、家賃も高い場所が多いため、実質的にこの制度を 使える障害者も少ない。現状では、この制度は貸主側に魅力がなく、障害者側 が本当に利用したい市街地には、制度を使える住宅がほとんど無い。

 参考
財団法人 高齢者住宅財団 事業報告:家賃債務保証利用状況より
平成13年度~平成21年度累計

高齢者円滑入居賃家賃債務保証 貸住宅 登録件数大家との基本約定 の締結 高齢者障害者等の利用 件数 件数 戸数 世帯種別 戸数 高齢 者・障害 者等の 家賃保 証契約 の件数 戸数 高齢者・ 障害者等 の家賃保 証契約の 件数 履行件数 高齢者 2,275 36,645 941 5 障害者 684 15,146 17 0 子育て 685 14,882 9 0 外国人 670 14,528 11 1 12,551 182,172 解雇等 78 2,400 0 0

○結論としては、
 国直営または国が委託する方法で、全国のすべての民間アパートを障害者が 容易に借りられるように保証人サービスや家賃保証の仕組みを充実強化。

 貸主の心配するほかの項目である、火事・水漏れ・騒音・孤独死などは、 ヘルパー制度や、緊急駆けつけサービスを地域生活支援事業の必須事業で行うなどで個別対応する。

【尾上委員】

 公的保証人制度を実施している自治体が少ない現状にあり、全国どの地域で も利用できるようにするため国レベルの仕組みが必要である。

【川﨑委員】

 公的保証といった場合の、責任体制をどうするかが問題ではないか。 自治体の保証の方法など、検討されなくてはならないと思う。

【関口委員】

 実際、生活保護+精神障害者では、多くの民間債務保証制度を使うことはで きない。公的保証制度は、手帳の等級で制限がある(1級、2級のみが対象) ため、3級の場合、完全に制度の谷間に落ちることになる。これは、1~3級 を対象にすれば、それでいいということではなく、そもそも、手帳を所持して いるものだけが対象と言うことが、間違っているということである。実際、精 神障害者で、手帳を所持してなくて、生活保護を受給している人も、少なくな い。そうした場合の公的保証が整備されていないため、保証人を探す運動など、 運動に多くの負担がかけられている実態がある。

【森委員】

 家主の障害に対する理解の促進と家主・障害者双方への支援が求められる。

4、グループホームやケアホーム

(1)グループホームやケアホームという観点から見た住宅に関する問題点と してどのようなものがあるか

【尾上委員】

 グループホーム・ケアホームを「ミニ施設」ではなく多様な地域の住まいの 一形態として位置づけた施策が必要である。消防法などの関連法律でも一般住 宅と同等の取り扱いとするとともに、居宅支援に関するサービスもその他の住 宅に住んでいる障害者と同様な内容を保障する必要がある。

【川﨑委員】

 住宅(住まいの場)は、本人が望む限り安心して住み続けることができる場 であるべきである。現在グループホームは、一人生活をする前の生活訓練の場 として機能しているところがある。また問題点としては、増えてきている高齢 化した障がい者への対応ができていない。

【関口委員】

 グループホームやケアホームは、必ずしも住宅とはいえない。居住権がなかったり、 私有空間として認められなかったりなどしている。ヘルパー利用の制限もあるし、制限が付きまとうのだ。 その意味で基本的に施設なのでグループホームとケアホームには原則反対の立場だ。 ただ、それを必要としてる人がいて、仮にグループホームやケアホームといった施設体系が制度に残るとしても、 居住権の確保や私有空間として認められる必要がある。

【中西委員】

 周辺住民の反対もあり、利用できる物件がすくない。

 改造制度を利用するなら10 年の賃貸期間が必要であるが、 10 年契約を認めてくれる賃貸人が見つからない。

 契約終了後の現状復帰に多額の費用を要する。

【松井委員】

 グループホームやケアホームには、個別の部屋があるとはいえ、小集団での 生活を基本とする、小規模施設の一種であり、それらは、個々の障害者に対し てそれぞれの生活リズムやスタイル、ならびにニーズなどに応じた住まい方を 確保することは困難である。したがって、グループホームやケアホームは、あ くまで地域における通常の住まいへのステップ的な居住形態と位置づけられる べきであろう。つまり、それらは、障害者が、障害のない人たちと同様、地域 において当たり前の暮らしができるよう、支援サービスを提供することもその 役割として期待されよう。

【森委員】

 グループホームやケアホームの場合には、火災や地震、水害等に対する十分 な対応可能な支援が必要である。世話人等だけでなく、民生委員・障害者相談 員といった地域と密接に関係している者や地域住民による何かの際の支援体制 の構築が求められる。また、グループホームやケアホーム利用者にとって近く に利用しやすい商店街があることや商店街や隣近所の理解も必須である。グル ープホームやケアホームが人里離れた場所に設置されるようでは、入所施設と 何ら変わらない。

5、行政による住宅施策

(1)公営住宅に関する住宅施策として必要とされるもの

【大濱委員】

 家賃助成の制度。特に都市部に於ける制度の確立は急務である。

 公営住宅についても、市街地に建てられているような立地条件の良い公営住 宅については、各階に各種の障害者が優先的に入居できるような施策を講じる。

 同時に、一箇所の公営住宅に障害者が集中するようなことがなく、他の非障 害者と同様な生活が営めるような配慮が必要。

【尾上委員】

  • 施設等から地域に移行するときの住宅とする。
  • 障害を理由として住宅の確保が困難な者の優先入居。
  • 住宅費に関する軽減措置の確立。

【川﨑委員】

 空き住宅には、障害者を優先的に入居できるようにすべきであり、公的保証 人制度を確立すべきである。公的保証人制度を行っている自治体の報告では、 障害者の利用が少ないとされており、問題視されるべきと考える。

【関口委員】

 第一に、優先入居である。くじを3回まで引く権利をもつなどの制度が妥当 と考えるが、公営住宅入居希望者と公営住宅の部屋数では、圧倒的に需要の方 が多いわけだから、公営住宅整備が先立つべきと考える。これは、国土交通省 及び地方自治体が責任をもって、施策を講じるべきである。

 第二に、公営住宅における掃除当番、(雪国では雪かき当番)などの共同作 業があるが、これらの作業を協力してできるような環境があった方がいい。た とえば、ヘルパー利用を認めたり、町内会で協力したり、などである。福祉サ ービス(介護の時間数)が不十分であることもあるため、必要な福祉サービス も講じるべきだし、町内会にも合理的配慮として求めるべきことがあると思う。

【中西委員】

少なくとも10%は障害者用にわりあてる。
単身者用住宅の数を増やす。
障害者が他の住民と交流できるように、一箇所にまとめて建築しない

【松井委員】

 公営住宅、民間住宅に共通する問題としては、比較的手ごろな価額で利用で きる、基準的な居住空間が、欧米諸国とくらべ、きわめて狭いことである。居 住空間が十分にあれば、障害者向けの特別仕様の住宅でなくとも、ごく一部の 改造で障害者も比較的不自由なく住めるようになる。

 その意味では、わが国の住宅施策として求められることは、障害の有無にか かわらず、国民一人ひとりが住みなれた地域において、人としての尊厳のある 暮らしができるような生活空間のある住宅を、手ごろな価額で入手できるよう にすることであろう。また、住宅が様々な人びとによって住み継がれることを 前提して、ユニバーサルな構造をもつ住宅の普及を積極的に推進すべきであろ う。そのためには税制上の優遇措置や住宅補助制度などの拡充が期待される。

【森委員】

 地域住民と交流できる街中における公営住宅の建設または民間住宅の借り上 げによる公営住宅化。耐震構造の劣化や老朽化した公営住宅の建て替えまたは 改修、そしてそのときにバリアフリー化やユニバーサルデザイン化を図ること。

(2)一般住宅に関する住宅施策として必要とされるもの

【大濱委員】

  • これから建設される賃貸住宅へのバリアフリー義務化(エレベーターがない 建物は1階のみ対象に)。車椅子用にバストイレ等を広くした場合、容積率・ 建ぺい率の優遇など。
  • 障害者の暮らす賃貸住宅への住宅改造と現状回復工事への助成制度
  • 共用部分のスロープ化等改造の助成
  • 家賃保障(万が一滞納した時、貸主に賃料を支払う保証人を国が行う(障害者に貸付として処理)
  • 騒音・ゴミ等近隣トラブルには貸主に変わって近隣ヘルパー事業所が駆けつける仕組み(訪問系サービスとは別途予算化) 生活福祉資金の貸付事業と同様に、国直営または国が委託する方法で、 民間アパートを障害者が容易に借りられるように保証人サービスや家賃保証の仕組みを充実追加。
    貸主の心配するほかの項目である、火事・水漏れ・騒音・孤独死などは、 ヘルパー制度や、緊急駆けつけサービスを地域生活支援事業の必須事業で行うなどで個別対応する。

【尾上委員】

  • 障害を理由とする経済的、心理的負担に関する軽減施策の実施。
  • 福祉機器等の支給等に関する施策の拡充。

【川﨑委員】

公的保証人制度。住宅手当。

【関口委員】

 近隣住民とのトラブルがある。相互理解という言葉があるが、理解を深める 努力義務というのも無意味(かざり)であることには違いないから、大家や不 動産屋が障害者を不利益にしないよう、何らかの政策を講ずることを省庁に求 めるべきと考える。

 具体的には、大家や不動産屋が不利益をもたらした場合に、行政に通報でき るなどの制度を創設し、大家や不動産屋が住生活に関わる事業者としての責任 を自覚できるようにすべきである。

【中西委員】

 アパートにおいては、一定の割合でバリアーフリー住宅の設置をぎむづける。

【松井委員】

 住宅は、基本的には様々な人びとによって住み継がれることを考えれば、 公共財として位置づけられてしかるべきであり、その意味でも従来のように住宅確保を自助努力に委ねるべきではない。 障害者や高齢者などを含む、様々な人が居住することを前提としたユニバーサルな構造を持ち、 かつ、長期間の利用に耐えうる良質な住宅が、地域のなかに安定的に供給されるような条件整備をすることが、 住宅施策として求められる。

【森委員】

 耐震構造の劣化や老朽化した住宅の建て替えまたは改修、そしてそのときに バリアフリー化やユニバーサルデザイン化を図ること。一定の基準に適合する 良質な住宅に対する補助金制度や金利の優遇制度など。

(3)居住支援にかかわる地域のネットワーク形成に関して行政に求められるもの

【大濱委員】

 過疎地でも利用者の近所のヘルパー事業所などがトラブル発生時の駆けつけ などを実施できるよう都道府県指定で事業所を決めて個別給付で行ない、事業 所は利用者が選択できるようにして全国すべての市町村で一斉に実施すべき。

 特定の団体にしか委託しない現状の方法では、障害福祉に熱心な一部の市町 村でしか行われない上、委託費が一定のため、仕事が増えるほど赤字になるた め、積極的な事業実施も期待できない。指定事業として個別給付で行うべきで ある。

 居住サポート事業は全市町村で使える事業でないと意味が無い。過疎地でも 利用者の近所のヘルパー事業所などがトラブル発生時の駆けつけなどを実施で きるよう都道府県指定で事業所を決めて個別給付で行ない、事業所は利用者が 選択できるようにして全国すべての市町村で一斉に実施すべき。

 (特定の団体にしか委託しない現状の方法では、障害福祉に熱心な一部の市町 村でしか行われない上、委託費が一定のため、仕事が増えるほど赤字になるた め、積極的な事業実施も期待できない。指定事業として個別給付で行うべきで ある。)

【尾上委員】

  • 本人の希望と同意のもとに、必要に応じて町内会、相談支援センター、相談 員等の活用による人的ネットワークの構築に関する支援

【川﨑委員】

 まず行政は障がい者から求められた場合、居住に対する相談を受ける体制を 作るべきである。次に障がい者が安心して生活できるよう、行政として責任を 持つこと。障がい者の同意のもとに、民生委員、障害者相談員、大家、自治会 などに対して、障がい者への理解を深め、障がい者の生活が円滑に行われるよ う調整する機能を持つことが必要である。

【関口委員】

 なぜ、居住支援に「地域のネットワーク形成」が必要なのかが理解できない。 たとえば、精神障害者が夜中に出歩けば、だれかがそれを見て(監視して)、地 域ネットワークと言う名の監視網による民間管理が徹底され、精神保健福祉法 と相まって行われるようであれば、それは、もはや「自分の住む地域」ではな い。地域に監視ネットワークを形成するのではなく、住んでいる障害者の支援 者がいればいいわけである。たとえば、アドボケイトでもいい。ネットワーク は本人を中心とした本人の為のネットワークでなければならない。 行政が行えることは、例えば障害者を受け入れてくれる大家のネットワーク 形成・整備など、実利に即したものが挙げられる。東京などの場合、大家がそ の地域に住んでいるとは限らないが重要な課題である。

【中西委員】

 地域での生活に慣れていない障害者に対してアドバイスできる地域の担当者 を任命する

【松井委員】

 障害者の多様なニーズに対応すべく、様々な非営利の民間団体や組織が連携 しながら、地域ベースの居住支援ができるようにするうえで、行政に求められ ることは、それらの団体や組織が活動しやすいようにするための財政支援など も含む、条件整備であろう。

【森委員】

 地震や水害、そして火災防止等に関する地域の支えあいのネットワークの形 成が求められるとともに、普段から孤立化や無縁化のない信頼と支えあいの地 域生活を構築する必要がある。そのためには、災害時の要援護者に対する個別 支援プランなどの充実を図るためにも、個人の了承のもと個人情報の開示の検 討を含めた取り組みが求められる。

(4)日常生活に適した住宅の整備として必要とされるもの

【大濱委員】

  • これから建設される賃貸住宅へのバリアフリー義務化(エレベーターがない建物は1階のみ対象に)。 車椅子用にバストイレ等を広くした場合、容積率・建ぺい率の優遇など。
  • 障害者の暮らす賃貸住宅への住宅改造と現状回復工事への助成制度
  • 共用部分のスロープ化等改造の助成
  • 家賃保障(万が一滞納した時、貸主に賃料を支払う保証人を国が行う(障害者に貸付として処理))
  • 騒音・ゴミ等近隣トラブルには貸主に変わって近隣ヘルパー事業所が駆けつける仕組み(訪問系サービスとは別途予算化)

【尾上委員】

 住宅改造及び福祉機器の活用等に関する施策の充実と住宅情報及び関係業界 への啓発等の促進に関する施策等の創設と見直し

【川﨑委員】

 精神障がい者の場合、状態の悪い時に周囲のことに気がつかないことがある。 安全装置付きのガス台、火災報知機は必要である。

【関口委員】

 設備など、個別具体的には様々を要するが、どのように施策を講じて実現するかとなると、 個別具体的ケースに合わせて、設備をするための資金を個別に給付する制度等であり、国土交通省に求めたい。

【中西委員】

 草むしりや雪かきなど季節に応じた特別な仕事は障害者の負担となり、それ に対する支援サービスがない。

【森委員】

 室内移動用リフト、エレベータ、冷暖房、車いす対応キッチンユニットなどというハード面の整備とともに、 必要な場合には食料品や日常生活用品の配達や停電時、故障時や修理時の迅速な対応といった支援システムの構築が必要である。

6、現行障害者基本法

(1)現行障害者基本法について、上記のほか、問題点があればご指摘をお願いしたい。

【尾上委員】

 1.に記した通り、障害者基本法の抜本改正の在り方、構成にも関連してくるが、 障害者の地域で暮らす権利やどこで誰と住むかの選択といったことが記されておらず、 住宅分野の施策の意義が不鮮明である。

 地域で暮らす権利、どこで誰と住むかの選択の機会の保障のために住宅施策を展開していくことが 分かるような規定とすべきである。 また、当事者のニード把握と個別課題への対応策の検討及び実施を盛り込む。

【新谷委員】

 現行法17条の規定は全面的に改訂し、当事者参加のもとに施策の実効性を 担保できる規定とする。

【関口委員】

 (相談等)
第二十条 国及び地方公共団体は、障害者に関する相談業務、成年後見制度そ の他の障害者の権利利益の保護等のための施策又は制度が、適切に行われ又は 広く利用されるようにしなければならない。

成年後見制度は、障害者の権利利益の保護等のための施策ではないし、障害者 権利条約第12 条第2 項の法的能力の平等は、行為能力の平等を含むとするのが 通説であるため、履行するうえでも、あらかじめ削除されるべきである。

第三章 障害の予防に関する基本的施策

予防の章立てを削除し、第二章 障害者(の福祉)に関する基本的施策に規定すべきである。

7、その他

委員からの提出意見なし