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障がい者制度改革推進会議

DINFのお知らせ

シンポジウム 「もっと知ろう、デイジー教科書を!」
日時:2013年02月03日(10:30~16:00)
場所:戸山サンライズ 大研修室
 

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第2回障がい者制度改革推進会議への意見

2010.2.2(1.22提出)
日本社会事業大学 佐藤久夫

1 全体の論点項目にさらに追加を

 1月12日の第1回推進会議での「たたき台」(東参与作成資料)はよく整理されていると思いますが、さらに次の諸点も重要と思います。

(1) 障害児福祉(「障がい者総合福祉法」に含める場合でも児童福祉法に戻す場合でも課 題の一つに掲げる方がよいと思います。)
(2) 障害者実態調査
(3) 国際協力                これらを基本法の改正項目に追加する。
(4) 政策・計画策定への当事者参加

2 障害者基本法の見直し

 障害者の権利法を基本性格としつつ、その権利を実現するために国・自治体の責務も明記することや、行政から独立した条約実施のモニタリング機関など、「たたき台」の視点に賛成です。 さらに次の点を強調したいです。

(1) 障害者の定義(第2条・修正)
(2) 総合的障害者実態調査(新設)
(3) 障害分野の政策・計画決定への当事者参加(修正・新設)
(4) 情報及びコミュニケーション(第19条・修正)
(5) 障害のある子ども(障害のある児童)(新設)
(6) 特別支援教育(第14条・修正)
(7) その他基本法全般

(1) 障害者の定義

現行障害者基本法(第2条):
「『障害者』とは、身体障害、知的障害又は精神障害(以下『障害』と総称する。)があるため、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者をいう」

第2条改正案

「『障害者』とは、身体障害、知的障害又は精神障害(以下『機 能障害』と総称し、発達障害、高次脳機能障害および慢性疾患 に伴う症状を含む)」があり、その機能障害と様々な障壁との相 互作用により、日常生活活動又は社会参加が相当に制限され る者をいう。」

理由・説明

★障害者権利条約の障害・障害者の概念(下記参照)を反映させる。 ★「機能障害と環境との相互作用により社会参加の制限を経験している人」という権利条約およびICF(国際生活機能分類)の骨格を採用する。

★障害者基本法(改正案)の障害者の定義の意義は、(1)実体法の対象範囲を導く(谷間をなくす)、(2)「障害=機能障害」という理解を改め、障害の中心はむしろ活動や参加の制限であることを教える、(3)障害(の発生メカニズム)についての適切な国民理解(特に今日の日本では環境の重要性の認識)を導く、(4)活動と参加の制限を克服する対応策を示唆する、という4つであり、上記案はそれを満たしている。

★「相当に制限」が修飾する対象は「日常生活活動又は社会参加」としており、(症状を含む)機能障害の重さではなく、活動や参加の困難度を基本としている。なお「長期にわたる」という側面は「相当に」に含まれており、「足をねんざして1か月お風呂介 助がほしい」などの一時的なニーズには(少なくとも今日の段階では)障害者施策では 対応しない。

★障害者権利条約では「機能障害」の定義を設けていないが、5年間の討議経過から明らかにICFを念頭に置いており、わが国でもその理解を採用すべきである。このことによって、従来「谷間」に置かれてきた(置かれがちであった)各種内部臓器機能の障 害(ICF のb4,b5,b6)が含まれることになり、また、「痛みの感覚」(b280)、「易疲労性」(b4552)、「皮膚及び関連部位の構造」(S8、火傷の痕などを含む),「運動に関連した構造」(s7、小人症などを含む)も含まれる。

★上記新定義によって実体法上の障害者の範囲は増えるであろうが、多様な機能障害を持つ人が自動的に対象となるわけではなく、活動や参加の障害があり、支援を必要とする人のみが対象となる。逆に言えば(主に)機能障害のみで(自動的に)対象となってきた人の一部は支援対象から除外される。

★「病気・疾患」と「障害」の関係は、かつては病人と障害者を切り離す(病人であれば制度的には障害者として扱わない)ものであったが、1980-90 年代の制度改正で精神障害者については「病人でありかつ障害者」(医療も福祉も併用できる)も認められるようになった。しかし慢性疾患・難病についてはこの理解が不十分で多くの「谷間」を生んできた。
上記提案はそれを改善する。下記図1参照。

障害者権利条約の障害・障害者の概念

 前文(e):障害の概念は次のとおり(2009.3 政府公定訳)。

(この条約の締約国は、・・・) 「障害が発展する概念であることを認め、また、障害が、機能障害を有する者とこれらの者に対する態度及び環境による障壁との間の相互作用であって、これらの者が他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げるものによって生ずることを認め、」

第1条(目的)の後段:障害者の概念は次のとおり(同)。

「障害者には、長期的な身体的、精神的、知的又は感覚的な機能障害であって、様々な障壁との相互作用により他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げ得るものを有する者を含む。」

図1 病気と障害の関係

障害は病気と環境の作用で生じた生活機能の問題。
その一部である機能障害は病気の症状を生活の視点で見たもの

図1 病気と障害の関係

病因
病理過程
症状
病 因
機能障害
活動障害
参加障害
障害

(2) 総合的障害者実態調査(新設)

機能障害種別の縦割りではない総合的な障害者施策、があるべき方向であり、障害者自立支援法もそれをめざしたはずであった。しかし対象の「谷間」を残した上に、障害者実態調査の統合はなされなかった。また、科学的な実態に基づかない政策立案が大きな混乱と当事者の苦痛を招いた。従来の施策評価は、政策対象者の生活・社会参加の変化によってではなく、事業の実施件数・カ所数によってなされてきた。したがって、今後は障害者の生活実態を計画・政策立案とその評価の基礎とすべく、総合的な障害者実態調査を実施すべきである。
 障害者基本計画が2003-2012 であることを考えると、2010 年度は新しい調査の準備、2011年度に新しい総合的調査、2012 年度にその結果を踏まえて次の10 年の計画づくり、というスケジュールとすべきである。その中で、重点施策実施5カ年計画を考慮して、5年間隔の定期的調査とすべきである。 障害者実態調査は、身体障害者福祉法など厚労省担当の福祉の法律でバラバラに規定さ れてきたので、今後は障害者基本法で規定すべきである。そうすることによって、(1)福祉、さらに厚労省事項のみならず、交通、情報、教育、法務など総合的な実態の把握が容易になる、(2)調査の対象者が厚労省の施策対象者のみならず、もれなく総合的になる(基本法による包括的定義での対象選択に移行する)、(3)(前項とも関連して)、福祉・雇用・教育など個別の支援の必要な人を障害者とする調査ではなく、個別の支援は必要はないが町にもっと多くのベンチがほしい、駅にエスカレーターを増やしてほしい、信号の青の時間を伸ばしてほしい、言語障害があるが信用できない人と思わないでほしい、等などの要望を持っている人も調査対象に含め、より総合的な政策に使える、などの利点がある。
 また、障害者権利条約は「障害のない者との平等な社会参加」を目標としているので、非障害者との比較ができるよう、国勢調査や国民生活基礎調査の活用などを工夫すべきである。
 なお、前述のタイムテーブルで準備期間が少ないことを考えると、当面の障害者実態調査の担当をノウハウのある厚労省とすることも考えられる。ただし従来の実態調査は福祉の法律での対象者がどのくらいおり、その要望(主に福祉サービスへの要望)はどうかを調べることが法的な課題とされてきたので、障害者権利条約での環境との相互作用を基本とした障害者概念での新たな展開に十分に対応できるかどうか、従来の経験がむしろマイナスにならないか、なども検討すべきであろう。

(3) 障害分野の政策・計画決定への当事者参加(修正・新設)

(ア)多様な機能障害のある人々の参加を地方でも
 現行基本法では、中央障害者施策推進協議会についての第25条で、「・・・委員の構成 については、中央協議会が様々な障害者の意見を聴き障害者の実情を踏まえた協議を行う ことができることとなるよう、配慮されなければならない。」とされているのみである。こ れを都道府県、市町村にも適用するため第4章にも規定すべきである。
 また、障害者基本計画において、「障害者団体や本人活動への支援」として、「知的障害 者本人や精神障害者本人の意見が適切に示され、検討されるよう支援を強化する。特に、 様々なレベルの行政施策に当事者の意見が十分反映されるようにするため、当事者による 会議、当事者による政策決定プロセスへの関与等を支援することを検討する。」としている。 しかし地方自治体において、知的障害や精神障害などの当事者の参加は、ほとんど進んで いない(内閣府障害者施策HP の「地方の取り組み」参照)。また参加した会議においても、 障害特性に応じた合理的配慮がなされておらず、形骸化の懸念もある。よって各種会議の 委員の任命方法や合理的配慮について、障害者団体と必ず協議すべきである。
 障害の特性にあわせた合理的配慮がなされなければ、参加は形骸化してしまう。特に知 的障害、精神障害、高次脳機能障害などコミュニケーションに障害をもつ当事者について は、事前の審議事項の通達や資料配布、支援者の参加、会議の進行スピードや休憩時間の 配慮、代理委員の参加など、きめ細かな配慮をする必要がある。

(イ)障害者団体への公的資金助成制度を
 国・地方での障害者団体の政策・計画決定過程への参加が制度・慣行として定着しても、 障害者団体にその力がなければ効果的な参加にはならない。そのために国連は政府に、障 害者団体の育成強化、財政的支援を求めている。例えば、1982 年の障害者に関する世界行 動計画や1993年の障害者の機会均等化に関する基準規則(下記参照)である。(なお、 2008 年発効の障害者権利条約では、前文(o)、第4条3,第33条3等で障害者・障害者団 体の意志決定・政策決定・計画決定への参加を強調しているが、財政支援までは明記して いない。)
 何かのサービス事業の受託団体として当事者団体も認める(サービス下請け)という日 本で一般的な「障害者団体への助成」ではなく、障害者運動そのものへの支援、政策提言 活動への支援、市民啓発活動などへの支援を、公的資金で応援し依頼するのが趣旨である。 弱い立場の人々の発言力を応援しより平等な社会を作ろうと言うことである。またサービ ス利用者がサービス提供者に苦情や要望を表明しやすいように、弱いサイドを補強しよう ということでもある。

 実際、1994 年の筆者の訪問調査の情報であるが、

  • カナダBC 州(330 万人)ではWCMHN という会員750 人の精神障害者団体が、州からの補助金で 3人を雇用。
  • 同州の障害者団体連合会は、州からの補助金やビンゴゲーム大会収益などをあわせて7千万円 以上の年間資金をもち10 人以上の職員体制で活動。
  • オランダ(当時1500 万)でも主に政府補助金で身障者団体連合会は38 人、知的障害全国6団体は 計75 人を雇用。精神障害5団体には年間1.4 億円。病院患者自治会運営等。
  • スエーデン(850 万)では視覚障害団体だけで90 人を雇用。

であった。やや最近のスエーデンでは、

「1960 年代以降、国は、障害者団体の一般的な活動を支援してきた。障害者団体に対する補助金 のレベルは1994 年まで徐々に拡大したが、それ以降は高くなっていない。この間に、障害者団体の 数は急速に増大した。障害者運動は、我々の民主主義を発展させる重要な一般国民運動である。 障害があるため個々の会員から個別に事情を聞くことは困難であるが、団体として聞くことは可能 である。障害者運動は、障害者の生活状況についてモニターしたり、報告することによって、ニーズ や不足に注意を向けることですべての人々のための社会を構築する解決策を提案し、討論や具体 的な活動に参加することで社会に大いに貢献している。」(日本社会事業大学社会事業研究所訳・ 発行、スエーデン政府「患者から市民へ:障害者施策に関する行動計画1999-2000 年」(2004)の p24-25、『障害者団体への政府補助金』)

との認識で、2001 年からは年間2800 万クローネ(5億400 万円)に増額されると記している。

障害者に関する世界行動計画 (1982 年国連)
「加盟各国は障害者の組織との直接の接触を確立し、それらの組織がかかわりのあるすべての分野 での政府及び決定に影響力を行使できる道筋を開いてゆかなければならない。加盟各国は、この目 的達成のために障害者団体に対して必要な財政的援助を行わなければならない。」(93 項)
障害者の機会均等化に関する基準規則(1993年国連) 規則14「政策形成と計画立案」で障害者団体代表の政策決定への参加の重要性を強調し、そ のために規則18「障害を持つ人の組織」で、
「1、政府は障害を持つ人、家族、権利擁護者の組織の結成と強化を経済的ならびに他の方法で奨励 し、支援すべきである。政府はこれらの組織が障害政策の発展に果たすべき役割があることを認識す べきである。」 「8、障害を持つ人の地元の組織が地域社会レベルでの決定に影響力を行使するのを保障するため に、障害を持つ人の地域の組織は強化されるべきである。」

(4) 情報及びコミュニケーション(第19条・修正)
 情報へのアクセスを確保するため大幅な改正を。その際下記意見を参照してほしい。

障害者基本法改正における意見

障害者協議会情報通信委員会 2010 年1月20 日

 障害者基本法改正にあたっては、障害者権利条約前文、第2条、第3条、第9条をふま えて、積極的な情報アクセス保障を位置づけるべきである。
「情報アクセス、情報発信は新たな基本的人権」(1995 年、郵政審議会)として位置づけ られた障害者とICT 施策は、その後の「IT 基本法」でも、すべての障害者の情報バリアフ リーとして発展してきた。また、日本のJIS 規格は、世界をリードする技術基準となってい る。障害者のための支援機器や支援技術も開発されてきた。
しかし、障害者一人ひとりの「利活用」面では、欧米とは異なり、強制力のある法制度や 施策がないために、なかなか普及しない現状がある。ICT 分野でも強制力のある立法化 が切望される。
具体的には、現行の「(情報の利用におけるバリアフリー化)第十九条」は、次のように 改正すべきである。

(情報及びコミュニケーション)
第**条(現第十九条)
障害者は、すべての人権及び基本的自由を完全に享有することを可能とするため、必 要な情報及びコミュニケーションが保障される権利を有する。 2 国及び地方公共団体は、障害者がすべての人権及び基本的自由を完全に享有する ことを可能とするため、自らが選択するコミュニケーション手段を使用することができるよう 必要な施策を講じなければならない。
国及び地方公共団体は、障害者がすべての人権及び基本的自由を完全に享有する ことを可能とするため、利用しやすい電子計算機及びその関連装置その他情報通信機器 や支援技術の普及、情報通信技術及び放送の利用の利便の増進、障害者に対して情報 を提供する施設の整備等が図られるよう必要な施策を講じなければならない。

 なお、「Information and Communication Technology」を「公定訳ひな祭りバージョン」は 「情報通信機器」と修正したが、この分野の研究者や関係諸団体内から「ソフトや人的な サービスが抜け落ちてしまいかねない」などの反論が噴出している。「文脈によって「機 器」と「技術」とを使い分けるべきである」との意見も一部にあるが、権利条約の文脈から は「Information and Communication Technology」は「情報通信技術」と訳すことが一般的 であり、「公定訳」は修正されるべきである。
 また、「Assistive Technology」は「支援技術」と訳すべきである。さまざまな「機器」だけで なく、ソフトウエアや人と人の「支援」の過程も大切にする概念を含むものとして、総務省 や経済産業省などの施策や関係する団体でも90 年代後半以降、積極的な意味をもつも のとして「支援技術」は位置づけられているからである。

以上

(5) 障害のある子ども(障害のある児童)(新設)
 障害児の施策がともすると軽視されがちであったので、項目を独立して設けるべきであ る。その際、次の意見を参照してほしい。

障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会の意見 2010 年1月20 日 障害者基本法改正にあたって、わが国がすでに批准している児童の権利条約第23 条 (障害児)、および障害者権利条約第3 条(一般原則)h項、第7 条(障害のある児童)の趣 旨を反映させるために、「第二章 障害者に関する基本的施策」において、「障害のある子 ども(障害のある児童)」の条項を新設すべきである。

障害のある児童
第**条(新設)
障害のある児童は、生命に対する固有の権利を守られ、自己の尊厳を確保し、自立を 促進し、かつ地域社会への積極的な参加を助長する条件の下で、発達しつつある能力が 尊重され、十分かつ人間に値する生活を享受する権利を有する。

2 国及び地方自治体は、障害のある児童が自己に影響を及ぼす事項について意見を 表明する権利を認め、障害のある児童に関する施策を講じるにあたって、児童の最善の 利益を第一次的に考慮しなければならない。

3 国及び地方自治体は、児童が教育、訓練、保健サービス、リハビリテーションサービ ス、雇用のための準備及びレクレーションの機会を実質的に利用し及び享受することがで きるよう、施策を講じなければならない。

(8) 特別支援教育(第14条・修正)
 障害者権利条約を踏まえた強化・修正が必要とされる。その際、次の意見を参照してほ しい。

障害者基本法改正に際しての「教育」に関する意見 全国障害者問題研究会 2010 年1月21 日 障害者基本法改正にあたっては、障害者権利条約前文、第1条~第5条、第6条~第7条、第 23 条~第25 条等をふまえて、次のJDF案をもとに削除、追加、修正(下線部分)を意見します。

(教育)
第**条(現第十四条)
障害者は、いかなる障害に基づく差別を受けることなく、教育を受ける権利を有し、その機会を 保障される。

2 国及び地方公共団体は、あらゆる段階におけるインクルーシブで質の高い教育を実現する ための必要な施策を講じなければならない。

3 障害者並びにその保護者は、本人の必要に応じた教育の内容・方法などを求める権利を有 する。(手話の習得及びろう社会の言語的な同一性を促進することを含む)。

4 国及び地方公共団体は、障害のある児童が、本人の生活している地域の小学校、中学校で、 同一世代の者たちと共に学べるよう必要な支援を行わなければならない。

5 国及び地方公共団体は、障害のある児童が、通級による指導における教育、または特別支援学級 における教育、または特別支援学校における教育を受けることができるよう必要な措置を講じなけれ ばならない。

6 国及び地方公共団体は、障害者並びにその保護者が、本人の必要に応じた教育の内容・方 法などを求めることができるよう、発達を最大にするための学習環境の整備その他必要な措置 を講じなければならない。

7 国及び地方公共団体は、障害者が、高等学校、大学、高等専門学校及び専修学校その他の教 育機関において教育(生涯教育を含む)を受けるための必要な支援と合理的配慮を行うとともに、教育 機関が必要な支援と合理的配慮を行うための措置を講じなければならない。

8 国及び地方公共団体は、障害者の教育に関する調査及び研究並びに学校施設の整備を促 進しなければならない。

(9) その他基本法全般

 見直しに際して次の意見を参照してほしい。

障害者基本法の抜本改正について
(2010.01.20 きょうされん政策調査委員会検討素案)

<抜本改正に当たっての基本視点>

  • 障害者権利条約の批准を視野に入れ、現行の障害者基本法は全面廃止し、新たに、障 害のある人の権利と自由を定義した、障害のある人のあらゆる人権と基本的自由、障害 のない他の者との平等の基本法として定める。
  • 新たな基本法は、障害者施策関連法規、その他の一般法令における障害関連法規の 原則規定として、その関連を明確に位置付ける。
  • 新たな基本法は、障害のある人のあらゆる生活、労働、情報、コミュニケーション等の社 会生活における権利と自由の保障ならびに差別撤廃の実施・推進の基本法として定め る。

<新たな基本法に不可欠な要素>

・障害についての定義
‥これまでの医学モデルを中心とした障害の定義ならびに等級等の判定を根本的に改 め、障害者権利条約及びWHOのICFの社会モデルの視点をもとに、環境との相互作 用としてとらえる新たな障害の定義を定める。

・権利と自由についての定義
‥障害者権利条約に定められた、あらゆる人権、基本的自由、障害のない者との平等 について、その基本概念を定義する。

・差別ならびに合理的配慮についての定義
‥障害権利条約に則り、障害に基づく差別には、あらゆる形態の差別を含むものとし、 直接的差別、間接的差別、ならびに、合理的配慮の欠如を差別として定義する。合理 的配慮とは、あらゆる場面において障害のない者との平等を確保するために、障害に 伴う不自由や社会的不利をおぎなうものとして定義する。

・国ならびに地方公共団体の責務
‥国及び地方公共団体が、新たな基本法に定める権利と自由の実現と差別撤廃の責 務を有するものとする。

・当事者参画による政策決定ならびに障害者施策実施・推進体制と計画策定
‥実質的な当事者参画を保障した、政策決定ならびに障害者施策実施・推進体制と計 画策定について定めるものとする。

・監視(モニタリング)機関の設置
‥差別や虐待の予防、保護・救済ならびに監視のための行政から独立した機関を設置 することを定め、具体的内容等は、差別禁止法・虐待防止法によるものとする。