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障がい者制度改革推進会議 第21回(H22.10.12) 資料2

障害者基本法(推進体制(地方モニタリング機関))意見一覧

1.地方の障害者施策の実施状況をモニタリングすることの必要性

2.地域主権の考え方との関係

3.モニタリングの具体的なイメージ


第21回障がい者制度改革推進会議 意見提出書式
障害者基本法における推進体制(地方モニタリング機関)について

現行の障害者基本法においては、内閣府に中央障害者施策推進協議会、都道府県に地方障害者施策推進協議会を置くことが規定されているところ。

中央障害者施策推進協議会及び障がい者制度改革推進会議を発展的に改組して設置する新組織(以下「中央委員会」という。)には、障害者権利条約第33条に定めるモニタリング機関として、国内の障害者施策の実施状況の監視(モニタリング)及び必要に応じた関係各大臣等に対する勧告等の事務の追加を想定しているところ。

他方で、地方障害者施策推進協議会については、これまで十分な議論がなかったところであるが、以下の事項について御意見を伺わせていただきたい。

.地方障害者施策推進協議会(以下「地方協議会」という。)が、障害者基本法第26条第2項に定める事務に加えて、地方の障害者施策の実施状況の監視(モニタリング)事務を担うことの必要性についてどう考えるか。

※ 障害者権利条約上、各都道府県等にそれぞれモニタリング機関を置くことについて義務とはされていない。

【大谷委員】

必要。

(理由)

全国レベルで、きめ細かい差別事案を受け止め、是正措置を講じることが、全体としての底上げにつながる。

障害者の権利に関わる重要な行政事務が地方分権によって自治体に委ねられている以上、地方公共団体における障害者施策に対するモニタリングを行わなければ、権利条約33条の趣旨を全うすることはできないと考える。

具体的には例えば障害者福祉(自立支援法含む)の大きな部分や、学校教育のほとんどが地方自治体により運営されている。

権利条約は、「地方自治体には地方自治体の監視機関を置く」などと明示的に規定していないが、それは地方分権の在り方も各国様々だからそこまで具体的な規定を置かなかっただけであると考えられ、現在の日本のように、障害者施策における地方分権が進んでいる国では、地方に地方の監視機関を置かなければ、地域格差を広げることになり、権利条約33条の趣旨に反すると言えよう。

【大濱委員】

制度施行後5年間は人材育成研修等を行い、制度施行5年後をめどに、都道府県に障害当事者が半数以上を占める地方協議会を設置し、障害者施策の実施状況の監視(モニタリング)事務を担うことが必要である。

それまでは、中央委員会が地方事務局(国の出先機関または都道府県で設置)の職員への指示・監督を行い、都道府県や市町村での障害者施策の実施状況を監視すべき。

なお、個々の都道府県の状況に応じて、中央委員会の判断により、5年を待たずに前倒しで地方協議会を設立できるよう臨機応変に対応する。また、当面の間、地方協議会の人選は中央委員会で決定する。

(理由)

地域間格差を解消するためには、障害当事者が半数以上を占める地方協議会を設置し、中央の障害者施策を都道府県、市町村に格差なく行き渡らせることが必要。同時に、地方個別案件を中央委員会に吸い上げる機能も必要である。

但し、各都道府県で適切な人材を確保することは、現時点では不可能である。従って、人材確保までの間については、中央委員会が各都道府県に設置した地方事務局(国の出先機関または都道府県で設置)の職員に指示・監督することとする。

【尾上委員】

(結論)

必要である。

(理由)

条約批准は、地方政府もその内容を守らなければならないことから、その履行を実務的に促進する効果が期待できるため。

特に、1990年代から、福祉や教育等の制度に関して、地方自治体に権限が委譲されてきており、本推進会議の第一次意見としてまとめてきた「地域で暮らす権利の保障とインクルーシブな社会の構築」「インクルーシブな教育制度」の実現には、地方自治体の施策が大きく関与することになる。そうした点から考えると、「地方の障害者施策の実施状況の監視(モニタリング)事務」は不可欠である。

なお、その実効性を担保するための措置(当事者参画、行政からの独立性の担保等)を検討し、今後検討される国レベルのモニタリング機関に準じた位置づけ・役割・構成に再編成した上で実施することが必要である。

【勝又委員】

地方自治体レベルで施策のモニタリングを行うことは重要なことだが、現行の地方協議会にモニタリングする力があるかどうか疑問。基本法でモニタリング事務を担わせたとしても、形式的なモニタリングに終始するようなら、行政コストがかかるだけで意味はない。

【北野委員】

必要である。

(理由)

障害者基本法26条第2項

一 都道府県障害者計画に関し、第九条第五項(同条第九項において準用する場合を含む。)に規定する事項を処理すること。

二 当該都道府県における障害者に関する施策の総合的かつ計画的な推進について必要な事項を調査審議すること。

は、もともとモニタリング業務を内包していたから。

さらにいえば、中央委員会のモニタリングを真に機能させるためには、都道府県・政令都市(希望によっては、26条4にあるように市町村)のモリタリング機能が欠かせないから。

【清原委員】

各自治体における障害者施策の実施状況をモニタリングすることの意義は理解できるが、自治体には事業執行を監視する仕組みとして、議会があり、また監査委員が設置されているところです。

さらに、行政が整理・公表した施策の実施状況について、当事者・関係者の皆さんが内容を確認し、意見を反映する仕組みは、計画策定等におけるパブリックコメントや審議会等への市民参加を推進するなど、多様な手段があり、すでに三鷹市では長年にわたり、「健康福祉審議会」や「三鷹市障がい福祉計画検討市民会議」等において実施し実効性をあげていることから、新たに条例により設置される「地方障害者施策推進協議会」において、実施状況の監視を行う事項として法律に位置付けることについては、慎重な検討が必要と考えます。

【佐藤委員】

必要である。地方自治体の責任が大きくなっていることや、地域格差が社会問題となっていることから、その必要性は従来以上に大きいといえる。

【新谷委員】

改正障害者基本法において、中央委員会が権利条約33条に規定するモニタリング機関と位置付けられたとしても、地方協議会の必要性はなくならないと考えられる。地方協議会は権利条約の実施状況に対する直接のモニタリング機関ではなく、改正障害者基本法が規定する地域レベルの障害者施策基本計画(?)や地域の障害者に関する条例に基づく地域の障害者施策をモニターする機能を有すべきである。また、締約国が4年に提出する「障害者の権利に関する委員会報告」作成に当たっては、地方協議会に基礎資料の提出を求めるシステムを構築すべきである。なお、地方協議会から中央委員会への報告頻度(年次報告?)など、両者の具体的な関係は検討課題である。

【関口委員】

必要である。とりわけ、結果を中央委員会に具申することにより地域間格差の是正が求められる他、地方協議会が直接に自治体に勧告する権限を持つことが必要。中央委員会は必要と判断したときのみ自治体に直接に勧告することが出来る事として基本的には地方協議会と情報交換し、その自治を尊重する事とする。

【竹下委員】

都道府県ごとに「地方監視委員会(仮称)」を設置すべきと考える。障害者施策の推進にあたっては、全国一律に統一すべき部分と地域性を考慮しなければならない内容が考えられる。その場合、中央委員会だけでは地方の特性を考慮することができない。

また、権利救済にあたっては、地域ごとに救済機関が必要であり、すべてを中央委員会で担うことは不可能である。

【土本委員】

障害者基本法における推進体制(地方モニタリングきかん)について

地方障害者施策推進協議会(地方協議会)

どこで やっているのか かんしを しようにも 会議のないようも こうひょう していないのに かんしを しろと いわれても どうすれば いいのか。

地方協議会に 生活じょうのこんなんを かかえている人たちが はいって はなしあって いるのか ゆうしきしゃ ぎょうせいが はいっても だれのための 地方協議会か かんしが やっていくのに そこに すんでいる人たちが かんしを やってもらいながら どうやって くらしやすくするか。

くらしに こんなんを かかえている人たちは もちろん、しょうがいしゃも はなしあっていく ことかと おもいます。

どうやって すんでいる ところが かわることです。

おたがいに りかいを していくことも ひつようです。

かわる ところは かわっていく ことだと おもいます。

だれの ための 地方協議会 なのか。

【中西委員】

モニタリングの事務を担うことは必要と考える。

(理由)

条約批准後の国内履行のためには、地方自治体の関与も必須である。

また、モニタリングを必要とする大量の案件があると思われる。

【久松委員】

各都道府県にモニタリング機関を設置することは必要である。

国レベルのモニタリング機関だけでは、各都道府県の障害者施策の詳細を把握できない、また各都道府県のモニタリング機関を設置することによって各都道府県の施策の実効性をより高めていくことの期待が大きい。

国レベルのモニタリング機関と地方モニタリング機関の二審制度を設けることに寄って障害者施策の精度を高めていく必要があると考える。

【松井委員】

地域間の障害者施策の格差を是正するには、都道府県および市町村が実態を踏まえた、かつ、実効性のある障害者計画を策定し、それを着実に実施するとともに、定期的にその計画を見直す必要がある。現在のところ、その設置が義務付けられていないことから、市町村で地方障害者施策協議会を設置しているのは全体の半数以下となっている。障害者計画の策定およびその実施状況のモニタリングは、障害当事者団体をはじめ市民社会関係者も委員として参加する地方障害者協議会が行うのが効果的であることを考えれば、同協議会の設置は、義務付けられてしかるべきと考える。

【森委員】

地方協議会は、都道府県障害者計画策定時に都道府県指定都市に意見を述べる等(障害者基本法第9条)、計画策定に主体的に且つ重大に関与し、その後の障害者施策の総合的且つ計画的な推進、関係行政機関相互の連絡調整などに関しても調査審議する事務(第26条第2項)をつかさどっている。そのようなことを踏まえると、地方協議会が地方の障害者施策の実施状況の監視(モニタリング)事務を担うことは当然のことと考えられる。

ただし、現行システムで十分な対応が可能なのかどうかについては点検・検討を行うべきであり、必要な場合には基本となる業務についてガイドラインなどを提示し、そのあり方について具体的に示す必要がある。

また、都道府県協議会のみならず、指定都市協議会も監視(モニタリング)事務を担うべきである。

次項にある地域主権という視点からも市町村自体においても、やがては監視(モニタリング)事務を担う必要がある。そのためには、現状では(指定都市以外の)市町村に地方協議会は義務化されていないが、今後の義務化についても検討をすすめ、住民にとって最も身近な市町村において、障害のある住民と障害のない住民の参画による障害者施策の策定と実施状況の監視(モニタリング)を行うべきである。

.仮に、地方協議会に新たにモニタリング事務を追加することとした場合には、国が法律により地方公共団体の事務を新たに創設することとなるが、このことについて「地域のことは地域に住む住民が責任を持って決める」という地域主権の考え方との関係においてどう考えるか。

【大谷委員】

「地域主権」は地域の独自性、自主性を発揮する場面を認める、と言う趣旨と理解すべき。

しかし、人権擁護・差別禁止という領域で「取り組むか否か」「どの程度取り組むか」について地域によって濃淡が認められる理由はない。

障害者施策の根幹に関わることは、完全な地方分権とせず、ナショナルミニマムが確保されるよう、法律による規制が必要な分野である。

法律が地方の事務を創設する例は他にもあるので、法体系上も問題はないと考える(児童福祉法8条の児童福祉審議会、同法12条の児童相談所等)。

また「地域のことを地域の住民が決める」のが原則だとしても、障害者施策の推進により障害者の福祉と権利擁護を進めるためには、地域格差をなくすことが重要な国家的課題であることから、地域に「モニタリング機関を置かない自由」はないと考えることに支障はない。

【大濱委員】

ナショナルミニマムの確保を前提とした地域主権は、今後の当然な流れとなる。従って、地域間格差が大きい現状では、中央の障害者施策を地域に定着させることを前提として、地方公共団体の事務を新たに創設するべきである。

この場合、障害者施策では、政策決定や政策評価を担いうる人材の育成を通じて、地域で暮らす当事者自身が参画できるようなスキームを構築することが不可欠である。

【尾上委員】

(結論)

問題はなく、地域主権の理念とも一致する。

(理由)

地方にモニタリング事務を追加することで、地域の障害者自らが、自らが暮らす地域の障害者施策の実施状況に対する責任を持つことがその効果として期待できる。「地域主権」の目的は、「身近なことは身近な地域で、地域住民自らが決められるように」ということにあり、その点からすると、地域の障害当事者自らがその政策決定に関与することは、形式的な国-地方間の権限争い的な議論よりも、本質的にその目的にかなっていると考える。

地域主権改革議論の中でも「人権に直結する事項」については「従うべき基準」等とされている。権利条約に基づくモニタリング機能は、障害者の人権を守るための機能であり、地域主権に相反するとはいえない。

なお、人権施策である障害者施策は、この間、課題として指摘されてきた地域間格差の解消やその機能の充実を図るために中央と各地方相互の情報交換等の機能を付与し、中央と地方の委員会が対等なパートナーシップ関係に基づき権利条約の国内履行に取り組むことが必要である。

【勝又委員】

地域主権の考え方には逆行していると感じる。本来、地方自治体が自主的にモニタリングを行い、政策の影響を把握していくのが望ましい。それが、地方自治体レベルで不可能ということであれば、国が出て行かざるを得ないかもしれない。しかし、それは望ましい姿ではない。

国レベルでもモニタリングの制度や手法が確立しているとは言えないと思うので、まず国レベルのモニタリングを確立し、そのなかで抽出の方法で地方自治体の評価も随時行っていき、そのなかで、地方自治体が自らのモニタリング制度を確立するように促していく、そのような段階を踏んだ進め方が必要だと考える。

【北野委員】

地域主権と、地方議会にモニタリング事務を課すことは、基本的に矛盾しない。

(理由)

障害者等の人権に関わるインクルーシブ社会の構成は、地域主権の守備範囲を超えた、普遍的なことだから。

【清原委員】

地域主権の考え方に立つのであれば、地域協議会に新たに「モニタリング事務」を追加することの是非も含めて、地域において決定されることが望ましいことから、これを法律を改正し規定することについては、慎重な検討が必要と考えます。

【佐藤委員】

権利確保が不十分であった分野について、国が法律で自治体の責務を新たに追加することは可能であり、必要なことである。

地域が自由に決めることは一般論として好ましいことであるが、最低限の確保はしなければならない。たとえば、地域の自由とは言っても、誰も義務教育を保障するかしないかまで地域の自由裁量とは考えない。障害者が他の市民と平等な社会参加をするために必要な支援は自治体の裁量事項ではない。

上記の基本を確保した上で、プラスアルファーの支援についてできるだけ地域の実情を生かして自由な工夫がなされてもよいし、住民参加の面からも好ましい。住民参加は住民理解促進の前提である。障害者計画や障害福祉計画、その他のメカニズムにおける住民参加を工夫すべきである。

【新谷委員】

障害者権利条約は普遍的な人権を実現するものであり、障害者権利条約を国内的に履行するシステムとして、国・地方の在り方を法律レベルで規定しても地域主権の考えに悖るものとは思えない。地域の自主性は、地域の障害者施策基本計画乃至条例の制定で担保することが可能と考える。

【関口委員】

他地域との比較可能な一定のモニタリング事項や調査権限を担保することは必要であるが、その調査の実施の在り方や地域独自のモニタリング事項の設定は条例に任されるべきであろう。

【竹下委員】

地域主権との関係では、中央委員会による基準を前提に、都道府県ごとの監視ないし推進体制が考えられるべきである。地域主権の下においても、権利条約や障害者基本法に矛盾する障害者政策はあってはならないことである。

【中西委員】

地域主権の考え方とは、相反しない。

(理由)

事務の創設は、地域の障害者施策を地域に住む障害者が責任を持って検証するために必要である。

一方、権利擁護に関する活動は国の責務として今後強化すべきである。

モニタリングの用件は、市、県、国と2審、3審すべき場合もありうる。

【久松委員】

障害者政策は人権問題が大きく関与してくるのでモニタリング機関の機能が地域によって格差が生じることは望ましくない。「地域のことは地域に住む住民が責任を持って決める」という地域主権の考えは、経済格差、住民サービスの質の低下を生じさせない一定の条件が担保されて初めて地域の特色が活かせるものと考える。

【松井委員】

地域主権の考え方は尊重する必要があるが、地域間の格差を是正し、障害者がどこに住んでいても少なくとも基本的な障害者サービスを等しく享受できるようにするには、地方協議会にモニタリング機能を付与するのが適当と思われる。そして、地方協議会が実効性のあるモニタリング機能を果たしうるようにするには、その体制強化のための財政的支援や技術的支援の確保も必要と思われる。

【森委員】

地域主権の考え方によれば、これまで以上に地域らしさが大きく問われ、地域住民の責任によって地域の特性を踏まえたビジョンを策定し、地域住民の合意のもとに地域施策が展開されることが大切になる。都道府県指定都市の障害者施策については、障害のある住民と障害のない住民の参画のもとに策定される都道府県指定都市障害者計画こそが、地域の特性を踏まえた障害者施策のビジョンとその実現のための計画を示すものである。

ひも付き補助金を廃し一括交付金によって、財源を確保して施策を展開することになれば、よりいっそう地域住民の主体的参画が必須になり、計画に基づいた施策展開に関する適確な監視(モニタリング)業務が大きな意義を持つ。住民の主体的な意思と責任をもとに地域の特性を踏まえた施策を策定し、やがて批准すると想定される障害者の権利条約の理念をもとに、人権の保護及び促進を踏まえた施策の展開を実現するためにも地方協議会が地方の障害者施策の実施状況の監視(モニタリング)事務を担う必要があり、地域主権の充実を図るためにも必須である。

.中央委員会(及びモニタリング事務を追加することとした場合の地方協議会)によるモニタリングの具体的なイメージについてどう考えるか。
(モニタリングの実施方法や、その実効性確保のための方策等)

【大谷委員】

まず関係機関に資料提出要求を行い、障害者施策実施状況を説明・報告させる。これを精査し、聞き取り調査なども行い、実態を把握する。

これとは別に、全国的な実態調査を行い、障害者施策の運用面も把握する。

これら調査結果を踏まえて、関係部署の長に意見を述べる。

重要な事項で改善が進まない分野については関係大臣に改善を勧告する。

さらに、権利条約の実施状況に関する政府の国連に対する報告書の内容についても意見を述べるべき。

これを具体的に実施するためには「実施基準」「施行細則」を個々の分野ごとに整理する必要があり、また担当者の養成も必要である。

以下消費者庁及び消費者委員会設置法(平成21年施行)を参考に具体的な条項案を提案します。

第●条(所掌事務)

1 中央委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。

①障害者基本計画について内閣総理大臣に対し意見を述べること。

②障害者施策に関する重要事項を調査審議し、必要があると認めるときは、関係行政機関の長に意見を述べること。

③障害者施策の実施状況を監視し、必要があると認めるときは、関係各大臣に勧告すること

④第1号から前号までに掲げる事務を行うために必要な実態調査及び研究を行うこと。

⑤本法●条に基づき、国民に対し広報・啓発活動を行うこと。

2 関係各大臣は、前項第3号の規定による勧告に基づき講じた施策について、委員会に報告しなければならない。

第●条(資料の提出等の要求)

中央委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認める時は、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。

第●条 (地方障害者施策推進協議会)

1 都道府県(地方自治法第252条の19第1項の指定都市(以下「指定都市」という。)を含む。以下同じ。)に、地方障害者施策推進協議会を置く。

2 都道府県に置かれる地方障害者施策推進協議会は、次に掲げる事務をつかさどる。

① 都道府県障害者計画に関し、意見を述べること。

② 当該都道府県における障害者に関する施策の総合的かつ計画的な推進について必要な事項を調査審議すること。

③ 当該都道府県における障害者に関する施策の推進について必要な関係行政機関相互の連絡調整を要する事項を調査審議すること。

④ 都道府県の障害者施策の実施状況を監視し、必要があると認めるときは、都道府県知事に対し勧告すること。

以上

【大濱委員】

日本の障害者福祉施策の多くは市町村が実施主体であるため、各市町村の制度実施状況を個別に詳しく監視する必要がある。

たとえば、特定の生活様式を義務づけられることなく地域生活を実現するのに必要な地域社会支援サービスとして、1日24時間の訪問系サービスが各市町村で適切に支給決定されているか否かについて継続して監視する必要がある。その際、市町村からの聞き取りだけではなく、利用者や障害者団体からも聞き取りを実施し、全国で市町村ごとのランキング表等にまとめる、一定水準以下の市町村には勧告を行う、マスメディアへの公表を行う、などの措置を講ずるべきである。

同様に、インクルーシブ教育やバリアフリーなどのモニタリングも同様に数値をランキング方式にして公表する。

【尾上委員】

(結論)

今後検討される国レベルのモニタリング機関に準じた位置づけ・役割・構成に再編成した上で実施することが必要である。

障がい者制度改革推進会議と同様に当事者を主体とした委員構成とし、中央と地方の委員会が対等なパートナーシップ関係に基づき相互の情報交換・連携を確保し、行政から独立した機関として設置されることが必要である。

(理由)

官・行政主導ではなく当事者や国民(市民)主権により進めることが、条約及び地域主権の基本理念と共通するものであり、効果・実効性がより期待できるため。

【勝又委員】

1)「実態調査」による、施策の進捗状況の把握。

2)目標値を設定して、それがどの程度達成されたかの点検。

3)新しいユニークな個別の施策の紹介。

4)苦情処理に関する点検。

1)「実態調査」は基本調査部分は継続して3年間隔で行う。そこでは権利条約で掲げられている課題の進捗状況がわかるような設問をたてる。また、実態調査と並行して、定期的に全国民を対象とした世論調査をおこない、障害者の権利擁護に対する世論の理解の度合いをはかりつつ、その普及を図る必要がある。

現在厚労省でおこなっている、障害者雇用実態調査や現在検討中の障害者実態調査と連携をとりながら、重複しない形で、必要なデータが収集できるように十分な検討が必要。

なお、ここで行われる「実態調査」は統計法に基づいて、二次利用に供することのできるようなデータでなければならない。

2)OECDでは加盟国の政策分野別の概要(例えば社会政策全般ではSociety at a glance)をまとめているが、それに準じた障害者政策にかんする報告書を定期的に作成し、設定した目標値がどこまで達成されているのかを明らかにする。この報告書は現在の障害者白書に代わるものとして位置付ける。

報告書作成においては都道府県別のデータも駆使しながら、政策を実施する基礎自治体においても自分たちの水準が客観的にわかるような工夫が必要。都道府県別データについては、総務省自治財政局調査課のまとめている行政調査「都道府県決算状況調」との連携を強化していくことが重要。

3)白書に代わる報告書のなかで紹介していく。

4)全国の障害者権利条約に違反する訴えがどのように処理されてきたか、苦情処理に関する点検を行う。

【北野委員】

①長期計画の策定 ②地方協議会等を活用した策定に係る情報収集と、各省庁・各審議会・各委員会等を活用した情報収集に基づく、制度政策に関する大きなモニタリング ③地方協議会を窓口とした、個別の苦情受付と、それに対する地方協議会の対応を踏まえた、制度政策改善にむけた小さなモニタリング ④それらすべてのシステムとプロセスにおいて、障害当事者主導を貫くための委員会構成やモニター構成や当事者モニター養成 等

【清原委員】

基本的には、法に基づき策定される「推進計画等」に関し、設定された数値目標等の達成状況(これは行政側で集計等を行う)について、内容を確認するとともに、特に未達成の状況があれば、その原因や対応策について、確認を行うことが考えられます。

また、「推進計画」の改定等にあたっては、中央委員会・地方協議会が提言等を行うことが考えられますが、大切なことは、これらの中央委員会・地方協議会のみのモニタリングとせずに、広く、当事者・関係者に、進捗状況が知らされ、その対応について、意見が出せる仕組みとすることが重要です。

そのような制度運用がなされることで、当事者・関係者と行政が、計画実施に当たって協働で実現を図ることが可能となると考えます。

【佐藤委員】

アメリカのNCDがよい例ではないか。ADAの提言、CRPDに則して見直すべき国内法の修正すべき事項の提言、など重要な政策韓国を政府にしてきたと記憶している。

モニタリングでは、非障害者との比較が重要である。そのために各種調査を活用し、その中に障害者であるか否かを区別できる設問を組み込み、比較分析ができるようにすべきである。

調査権を付与すべきである。

【新谷委員】

前述の通り、地方協議会は地域の障害者基本計画の策定、障害者施策また障害者に関する条例の実施状況のモニタリングを主要な業務とし、定期的に地域の障害者施策の実施状況を中央委員会に報告するシステムとする。

中央委員会の主たる業務は地域報告を踏まえた国全体の障害者権利条約の履行状況や障害者施策の実施状況のモニタリングであり、中央委員会には障害者施策の実施状況について国会への年次報告の権限と義務付け、国連「障害者の権利に関する委員会」への報告書作成の権限と義務付けが必要と考える。

(その他)

○中央委員会及び地方協議会のメンバーへの当事者参加はモニタリングシステムの根幹である。

○モニタリング機関とは別に人権機関が設置されると考えるが、人権機関についての議論は、障害者基本法改正議論では論点とせず、障害者差別禁止法の議論に委ねるか現時点でも一応話し合っておく必要がある。

【関口委員】

省庁の壁を越えた(各省庁の調査を生かした)定期的な統計的報告や聞き取り調査を求める他、抜き打ち調査権限を持たせる。また、常時パブリックコメントのような意見や苦情の具申窓口の設置が不可欠である。中央委員会はそれらを基に新たな調査項目を設定することが出来るものとする。

【竹下委員】

モニタリングは以下の2類型で実施されるべきである。

1 権利条約や障害者基本法をはじめとする障害者施策の実施状況を定期的に検証し、あるいは関係省庁からのヒアリングによって実施状況を確認すること。それによって、必要な勧告や政策提言を行う。

2 地方監視委員会に申し立てられた救済事例についての再審査期間としての役割。これは、再審査という機能とともに、救済内容が全国的に同一水準で実行されることを担保しようとするものである。

3 地方監視委員会も、都道府県ごとに障害者施策の実施状況を検証し、市町村からのヒアリングを定期的に実施するとともに、必要な改善を市町村に対し求める役割と差別事例や権利侵害などに対する救済や障害者施策をめぐる意見の衝突があった場合の調整を行う機能を担うべきである。

【中西委員】

地方協議会が設置されていない多くの市町村には自立支援法に基づく「不服審査会」があるので、それをモニタリング機関として機能させることができる。

また案件ごとに分科会を設けていくべきである。

障害を持つ委員の割合が現状ではあまりにも低すぎるので、障害者委員の割合を増やすとともに、障害のバランスにも配慮すべきである。官僚や行政ではなく、当事者である国民、地域住民が主体・主導的役割と責任を果たして実施することが必要である。

【久松委員】

中央委員会は現在の制度改革推進会議と同様の構成により設置され、各個別分野毎に審議される機能を設けることが望ましいと考える。

地方協議会を設置するにあたり、協議会メンバー選任は制度改革推進会議メンバー構成と同様にすることが必要である。

【松井委員】

中央委員会でカバーすべき障害者施策は多岐にわたることから、モニタリングを適切かつタイムリーに実施するには、主要な分野(教育や労働・雇用など)については分科会の設置も検討されてしかるべきであろう。もっともその場合、それらの主要分野を所管する省庁に設置されている審議会などとの調整のあり方などについても検討する必要がある。

【森委員】

モニタリングに関しては構成する委員総数の一定の割合以上(例えば、委員総数の半数以上)の当事者や家族等の参画が必須である。

モニタリングを行う対象としては、(1)地方の障害者施策に関する関係行政機関の実施状況、(2)障害当事者や当事者団体の生活実態、(3)障害当事者・当事者団体自体の地方の障害者施策の実施状況に関する評価、(4)障害のない住民による障害者施策の実施状況に関する評価、(5)地域住民による障害理解、(6)その他などが想定される。

地方協議会を担当する行政担当者に実施を任せるのではなく、地方協議会の委員自体が主体的にモニタリングを実施する必要がある。

地方協議会委員の中にモニタリングに参加できない委員もいるとすれば、地方協議会内にモニタリング部会などを設置することも考える必要がある。

また、自立支援協議会等との連携等についても十分に検討する必要がある。

モニタリングで得られた情報については、個人情報や人権に十分に配慮して、報告書を整理し、公表などを義務付ける。また、定期的に質的調査、量的調査を適宜行い、得られた情報について地域住民に公表する必要がある。