第22回障がい者制度改革推進会議(H22.10.27) 川﨑洋子委員提出資料
2010年10月25日
障害者基本法に関する意見
特定非営利活動法人全国精神保健福祉会連合会
理事長 川﨑洋子
「差別禁止」について、現存する差別(「制度間格差」「障害間格差」)の是正を最優先課題として「障害者基本法抜本改正の検討事項」にして下さい。
「制度間差別の是正」を基本法抜本改正の検討事項に
要望の趣旨
精神障害者と家族はハンセン氏病同様、偏見と差別、隔離政策という苦渋の歴史を余儀なくされ、医療や福祉の面でも大きく立ち遅れてきました。
第一次意見は、基本的方向として「障害者雇用促進法の雇用義務化」「保護者制度の見直し」「精神科特例の廃止」などが盛り込まれ、家族・当事者は今後の議論の進展に大きな期待を寄せております。
今後の障害者基本法抜本改正の議論の方向性について意見を述べます。
現存する差別(「制度間格差」「障害間格差」)を解決しないまま「差別禁止法」をつくっても、それは「生きた法律」にはなっていかないという点であります。
一つの例として、多くの地方公共団体では、障害者医療費助成制度(身体や知的は「中度」まで全科無料)から精神障害者を適用除外しています。まさに、行政による「直接差別」であり、憲法14条(法の下の平等)や障害者基本法の理念及び制度改革推進会議や総合福祉部会の議論にも反しています。
このような格差が医療費以外にも放置されており、家族・当事者の生活を困難にしているという「不幸な現実」を直視して頂きたいのです。
障害者基本法(国及び地方公共団体の責務)を改正し、このような格差を禁止(「格差を是正する責務」)しなければ、差別は温存されてしまいます。従って、この問題は、基本法抜本改正の重要な検討事項であることを意見として述べます。
障害者基本法 第4条 改正案
(国及び地方公共団体の責務)
第4条 国及び地方公共団体は、障害者の権利の擁護及び障害者に対する差別の防止を図りつつ障害者の自立及び社会参加を支援すること等により、障害者の福祉を増進する責務及び障害者間の施策格差を是正する責務を有する。
※ 「太字部分」を第4条に追加する