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シンポジウム 「もっと知ろう、デイジー教科書を!」
日時:2013年02月03日(10:30~16:00)
場所:戸山サンライズ 大研修室
 

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障がい者制度改革推進会議 第24回(H22.11.8) 資料2

新たに議論した分野についての推進会議の問題認識

1.住宅

(推進会議の問題認識)

 障害者は、どんなに障害が重度であっても、特定の生活様式を強いられるべきではなく、何処で、誰と住むかについての選択ができるための前提として、住居が確保できるようにすべきである。

【公営住宅利用における課題】

 障害者にとって利用しやすい公営住宅の提供は、十分になされているとは言えない。障害に配慮したアクセシブルな住宅の提供は、限られている。市街地から離れた場所に建設される公営住宅は、公共交通機関等を利用しにくい場合、社会参加が制限される。公営住宅法施行令には同居親族要件が必要となるいわゆる「相対的欠格条項」があり、重度障害者の単身入居については、一定の条件が附されていることにより、単身入居が制限されることもあった。

 このような観点から、以下を実施すべきである。

  • 公営住宅が地域生活を可能にし、地域移行を促進するための基盤の一つとしての役割を果たし得るものであることから、障害に配慮した公営住宅の数を増やし、障害者が利用できる公営住宅の整備を計画的に取り組む。特に、障害者の単身者用の公営住宅の整備を促進する。
  • 公営住宅の申し込みに当たり、常時介助が必要な障害者であっても同居親族が求められず、単身で入居申込みができる制度にする。

【国土交通省】

【民間賃貸住宅利用における課題】

 障害者が民間賃貸住宅を利用する際に、バリア(障壁)を除去するための改造を拒否されたり、退出時の原状回復が困難であることを理由に、入居拒否される等のトラブルが生じている。

 このような状況を改善するため、以下を実施すべきである。

  • 障害者の利用しやすい民間住宅の建築を促進するため、バリアフリー化が進んだ良質な住宅建設に対し、補助金や金利優遇措置等を講ずるとともに、バリアフリー改修工事に係る費用助成等の施策も促進する。
  • 公的な家賃債務保証制度は、基本約定締結の対象戸数に比べ保証引受件数が少ないことから、利用者に対する制度の周知を図るとともに、利用しやすい仕組みづくりの在り方を検討し、より利用しやすい債務保証制度となるように必要な措置を講ずる。
  • 住宅セーフティネット法に基づき居住支援協議会(地方公共団体や関係事業者、居住支援団体等で構成)を組織することができるが、有効に活用されていない実態を踏まえ、必要な支援を講ずる。
  • 賃貸契約の申込み拒絶等、民間賃貸住宅の利用にあたり生じる問題解決の仕組みの在り方について、差別禁止部会での議論を踏まえ、引き続き推進会議においても検討を進める。

【国土交通省】

【グループホーム、ケアホームに関する課題】

 グループホーム、ケアホームは、地域における多様な住まいの一つの形態としての役割を担っている。

 しかしながら、グループホーム等の建設に当たり、周辺住民からの反対がおき、中断されることがある。また、障害者が入居する時に限って、地方自治体によっては事業の実施主体に地域住民から建設の了解を取るように求めていることについて、障害者に対してだけ特別な条件を課すものではないかとの指摘もある。また、利用者に対して、居宅支援サービスの利用ができるようにすべきとの要望がある。

 このような観点から、以下を実施すべきである。

  • 公営住宅のグループホーム、ケアホームとしての利用が進むよう必要な措置を講ずる。

【国土交通省】

  • グループホーム等における支援の在り方について、居宅支援サービス等も含め、居住者のニーズに応じた多様な支援が可能となるよう、引き続き総合福祉部会で検討する。
  • グループホーム等の建設に際し、地域住民との間に生じたトラブルについては、差別禁止部会における議論も踏まえつつ、紛争を調整する仕組みの構築等必要な措置を講ずる。

【厚生労働省】

2.障害の予防

(推進会議の問題認識)

 「障害の予防」という表現には、「障害はあってはならず、治療しなければならないもの」という否定的な障害観が反映されているという印象を与えかねない一方、障害の悪化を防ぐことや、健康維持と適切な保健サービスの提供という観点から、疾病等の予防に資するものとして早期発見及び早期治療を推進することは必要なことである。

 これまでの早期発見、早期治療による「障害の予防」にかかわる施策の背景には、旧心身障害者対策基本法から現行の基本法にいたる法制化の経緯において、①優生思想に基づく障害を否定する考え方、②健康維持と予防医学の観点から障害の原因となる傷病の早期発見及び早期治療を推進する考え方、③障害の原因となる難病等の予防及び治療に関する調査及び研究を推進する考え方などが混在していたことにより、「障害の予防」という言葉をめぐって関係者の間で見解の相違が生じていたものと思われる。

 早期発見及び早期治療が優生思想や否定的な障害観に基づいて行われることなく、誰もが適切な医療を安心して受けられるようにしていかなければならない。

【「障害の予防」に対する基本的考え方】

 障害の原因となる傷病や疾病に対する予防対策は、障害者施策としてではなく、一般公衆衛生の中で行われていることから、「障害は不幸である」という差別や偏見を与えかねない「障害の予防」という表現は使わないようにする方が良い。必要な情報提供の下で快適な生活を送るための健康の増進に不可欠な条件整備の一部として、障害の原因となる傷病や疾病への対策を講ずるべきである。

【難病を始めとする疾患等に対する適切な理解の促進及び調査研究の推進】

 精神疾患や難病その他希少疾患等の疾患及び外傷等について、現状では家族や関係者、当事者にも適切に理解されていないことにより、これらの疾患等の早期発見及び早期治療が遅れる例もあることが指摘されている。

 このような観点から、当事者の人権にも配慮し、適切な理解を促進し定着させていくための施策を講ずるべきである。

 また、理解の促進だけでなく、障害の原因となる疾患等の予防や治療に関する調査及び研究も推進すべきである。

【「障害の原因」の予防と早期発見、早期治療】

 どのような障害があっても地域の中で育ち、学び、生活し、働くといった地域生活を実現していくためにも、障害の原因となる疾病等が早期発見されることによって、それ以前の生活が脅かされることなく、他の者と同じ地域で生活を送りながら、早期の段階から必要な支援を得ることができる体制づくりが重要である。

【厚生労働省】

3.文化・スポーツ

(推進会議の問題認識)

 健康で文化的な生活を送ることは国民の基本的な権利であるため、障害の有無に関わらず、自由にスポーツ・文化・レクリエーション・余暇等に参加し、又はこれを享受できるようにすることが必要である。文化やスポーツは贅沢品であり、その享受には制限があっても仕方がない、というような社会的通念は変えていかなければならない。

【スポーツについて】

 障害者がスポーツを楽しもうとする場合に、物理的バリアのため施設を利用できない、精神障害を理由に施設の利用が拒否される、車椅子利用であるために一般のマラソン大会への参加を拒否される等の実態がある。また、障害者スポーツのアスリートが海外等での長期の遠征に行く際に費用の問題や職場の理解を得られないなどのために、競技を断念せざるを得ないこともある。障害の有無に関わらず、スポーツに参加する機会は平等に与えられるべきであり、障害のある人もない人も共にスポーツを享受できるようにしなければならない。

 このような観点から、以下を実施すべきである。

  • 障害者が差別を受けることなく、自由にスポーツに参加できるように、官民の施設整備やスポーツ大会等の運営に当たって合理的な配慮が行われるようにするなど、必要な環境整備を行い、障害者スポーツの振興を図る。
  • 特に競技性の高い障害者スポーツについては、競技スポーツとしての一般への周知・理解を広め、これを育成するために必要な措置を講ずる。
  • 障害者がスポーツに触れる機会を増やし、スポーツを行う障害者の裾野を広げるために、障害者スポーツの指導者の育成等必要な措置を講ずる。

【文部科学省・厚生労働省】

【文化等について】

 障害者が文化、余暇、レクリエーション等を享受しようとする場合に、物理的バリアのため施設やその機会を利用できない、映画の字幕など情報保障の欠如のために文化等を享受できない、文化施設等までの交通アクセスが整備されていない等の実態があるため、障害のある人が障害のない人と同等に文化、余暇、レクリエーション等を享受できるようにする必要がある。

 このような観点から、以下を実施すべきである。

  • 美術館・博物館における、字幕や音声解説の普及、鑑賞しやすい展示への改善とともに、国内の文化的に重要な記念物及び遺跡、歴史的建造物への障害者のアクセスについて、どのような不都合が生じているかについての実態を把握し、可能な限り障害者の利用への配慮を行うなど、鑑賞しやすい環境整備が行われるように必要な支援を行う。

【文部科学省】

  • 映画、DVDへの字幕付与などについて、第一次意見における情報バリアフリーの一環として、障害のある人に対する情報保障が行われるように必要な環境整備を図る。

【関係省庁】

【スポーツ・文化等のいずれにもかかわる点について】

 障害のある人が障害のない人と同等にスポーツ・文化等を享受するためには、そもそもこれにアクセスする必要があり、これを容易にする必要がある。

 このような観点から、以下を実施すべきである。

  • 移動支援、身体介助、コミュニケーション支援などの福祉的支援は障害者がスポーツ・文化等を享受するために不可欠であることから、平成23年末を目途に進められている福祉的支援の在り方の検討に当たっては、こうした観点も踏まえた検討を行う。

【厚生労働省】

4.ユニバーサルデザイン

(推進会議の問題認識)

 私たちの日常生活や社会生活は、障害者には利用できない商品やサービス、様々な社会環境に囲まれていると言っても過言ではない。

 例えば、視覚障害のある人が、買い物やレストランに行くために、お金を引き出そうとしても、銀行のATMのタッチパネル使えないし、駅の券売機も同じように使えない。ドラッグストアーで風邪薬を買っても効能書きは点訳化されておらず、同時に買った胃薬も似たような容器であれば、風邪薬との違いも分からない。レストランに入ってもメニューはいちいち店員に全部読んでもらわなければ、中身が分からない。図書館で調べ物をしようとしても、点訳されている本は、ほんのわずかしかない。

 このように、障害者は日常生活において様々な不自由を感じていることから、障害者があらゆる分野において社会から分け隔てられることなく、日常生活や社会生活を営むことができるように、ユニバーサルデザインの普及が不可欠である。

 そして、調整又は特別な設計を必要とすることなく、最大限可能な範囲ですべての人が使用することのできるというユニバーサルデザインの考え方が、単に製品だけでなく、ひろく、環境、計画及びサービスの設計などについても、同じくなされなければならない。

 そのためには、ユニバーサルデザインに基づく製品、環境、計画及びサービスの設計がなされるための、研究開発における具体的な指針やガイドラインの策定、財政的支援、計画的普及のための措置を含む体制の整備をはかることが必要である。

 一方で、ユニバーサルデザインの普及とともに、障害者の補装具など、そもそも特定のニーズに応じることが求められるものや、障害者の日常生活や社会生活にとって障壁となるものを除去するためのバリアフリーのための措置も、同時に講じられなければならない。

 このような観点から、以下を実施すべきである。

  • ユニバーサルデザインに基づく製品の研究開発における具体的な指針やガイドラインの策定、財政的支援、計画的普及のための措置を含む体制の整備等必要な措置を講ずる。

【関係省庁】

  • 日常一般に使われる製品についてユニバーサルデザインの普及が重要であることから、これらのユニバーサルデザイン化のプロセスにおいて、可能な限り障害当事者が参画し、意見を反映する仕組みを検討し、当事者参画の一層の推進を図る。

【関係省庁】