第26回障がい者制度改革推進会議(H22.11.22) 大谷恭子委員提出資料
障がい者基本法改正要綱(大谷私案)
(前文)
本法は,昭和45年に心身障害者対策基本法として制定されて以来,6度の改正を経て,障がいのある人の自立と社会参加の支援のための施策に関し基本的事項を定めること等によって,障がいのある人の福祉の増進に寄与してきたものであるが,障がいのある人に対する差別偏見は根深く,自立と社会参加を推進することに幾多の困難があり,いまだ完全参加ということに程遠い現状にある。
全て障がいのある人は権利の主体であり,社会を構成する一員として日本国憲法及び既存の複数の人権規程から導かれる全ての基本的人権を完全かつ平等に享有することを確認し,これらの権利は国及び地方公共団体を名宛人とすることはもとより,社会を構成する一人ひとりの国民にも向けられたものでもある。そしてまた,わが国は未だ経験したことのない高齢化社会を迎え,地域社会で生活しているだれもが障がいを持ちうることを共通の認識としてきている。
このような状況にかんがみ,障がいの有無にかかわらず,地域社会にあってそれぞれの個性と人格を認めあい,差異と多様性を尊重する差別のない共生社会の構築が,障がいのある人の自立と社会参加に不可欠なだけではなく,障がいのない者にとっても重要な課題であることを認識し,
ここに,あらためて基本理念を明らかにしてその方向性を示し,将来に向かって国,地方公共団体及び国民がそれぞれ共生社会の形成に関する取り組みを総合的かつ計画的に推進し,かつその実施状況の監視をはじめとした権能を担う機関を創設するために,本法を抜本的に改正することとする。
第1章 総則(既に10月27日提出済み)
第1条(目的)
この法律は,障がいのある人が,障がいのない者と等しく,すべての基本的人権の享有主体であることを確認し,個別の権利内容を確定し,かつ,我が国社会が障がいの有無にかかわらず,分け隔てなく相互に個性と人格を認め合い,差異と多様性を尊重する共生社会を実現することを目指し,共生社会を構築するための施策を推進することを目的とする。
第2条(定義)(略)
第3条(基本的理念)
1 尊厳の保障等
すべて障がいのある人は,権利の主体であって,個人の尊厳が重んじられ,自己の心身の状態を侵襲されることなくその尊厳にふさわしい生活を保障される。
2 法の下の平等等
すべて障がいのある人は,人として法の下に平等であり,障がいを理由に差別され又はその他の権利利益を侵害されることなく,社会,経済,政治,文化その他あらゆる活動に参加する機会が保障されなければならない。
3 地域社会で生活する権利
すべて障がいのある人は,他の者と等しく,必要な支援を受けながら地域社会で生活する権利を有し,特定の生活様式を強制されるなど,本人の意思に反して,社会から分離もしくは排除されてはならない。
4 自己決定の権利
すべて障がいのある人は,自己の意思決定における十分な情報提供を含む,必要な支援を受け,かつ他からの不当な影響をうけることなく,自らに関わる事柄に関し,自己決定の権利を有する。
5 言語並びに意思及び情報伝達手段を用いる権利
すべて障がいのある人は,自ら選択する言語並びに意思及び情報伝達手段を用いる権利を有し,これは生活,表現,伝達等あらゆる領域において保障される。
6 施設,設備,制度等の利用可能性
障がいのある人が自立して生活すること及び生活のあらゆる側面に完全に参加し,社会の対等な構成員としてともに生活することを可能にするため,社会のあらゆる部面における施設,設備,制度,技術,サービス等は,障がいのある人に利用可能なものでなければならない。
第4条(差別の禁止)(略)
第5条(障がいのある女性)
国及び地方公共団体は,障がいのある女性が複合的な差別を受けていることを認識し,障がいのある女性が完全かつ平等にすべての人権及び基本的自由を享有するため,女性の完全な発展,地位の向上等の確保に必要な施策を講じなければならない。
第6条(障がいのある子ども)(略)
第7条(国際協力)(略)
第8条(国の責務)
1 権利保障及び合理的配慮
国は,障がいのある人の権利を保障し,障がいのある人に対する差別の防止を図り,障がいのある人に対し合理的配慮を行うこと及び障がいのある人に対し合理的配慮を行うべき者に対し必要な支援を行うことが国の責務であることを踏まえ,これを制度的に保障するための適切な施策を講じなければならない。
2 共生社会構築
国は,障がいのある人の置かれた状況に対する国民の意識を向上させ,障がいのある人の権利及び尊厳に対する尊重を促進し,あらゆる生活領域において障がいのある人に対する固定観念及び偏見をなくし,かつ,障がいのある人の能力及び貢献に対する意識を促進し,もって障がいのある人の自立と社会参加を支援すると共に,共生社会を構築するための適切な施策を講じなければならない。
第9条(地方公共団体の責務)
1 権利保障及び合理的配慮
地方公共団体は,障がいのある人の権利を保障し,障がいのある人に対する差別の防止を図り,障がいのある人に対し合理的配慮を行うこと及び障がいのある人に対し合理的配慮を行うべき者に対し必要な支援を行うことが地方公共団体の責務であることを踏まえ,これを制度的に保障するための適切な施策を講じなければならない。
2 共生社会構築
地方公共団体は,前条の国の責務を踏まえ,それぞれの地域において,障がいのある人の参画を得て,各地域における施策を推進し,障がいのある人の置かれた状況に対する意識を向上させ,障がいのある人の権利及び尊厳に対する尊重を促進し,あらゆる生活領域において障がいのある人に対する固定観念及び偏見をなくし,かつ,障がいのある人の能力及び貢献に対する意識を促進し,もって障がいのある人の自立と社会参加を支援すると共に,共生社会を構築するための適切な施策を講じなければならない。
第10条(事業者等の責務)
事業者等は,障がいのある人もない人も共に同じ社会の一員として事業活動に関わっていることを認識し,障がいのある人の権利を実現するために合理的配慮を行うことは事業者の義務であることを踏まえ,共生社会の実現に寄与するよう努めなければならない。
第11条(国民の責務)
国民は,障がいの有無にかかわらず,分け隔てられることなく相互に個性と人格を認め合い,差異と多様性を尊重する共生社会を実現するため,障がいのある人の人権が尊重され,障がいのある人が,差別されることなく,社会,経済,文化その他あらゆる活動に参加することができるよう努めなければならない。
第12条(国民の理解)
1 理解を深める施策
国及び地方公共団体は,障がいのある人の置かれた状況に対する国民の意識を向上させ,障がいのある人の権利及び尊厳に対する尊重を促進し,あらゆる生活領域における障がいのある人に対する固定観念及び偏見をなくし,かつ,障がいのある人の能力及び貢献に対する意識を促進し,もって障がいのある人について正しい理解を深めるよう適切な施策を講じなければならない。
2 施策内容
前項の施策は,次の事項を含むものとする。
(1) 次の目的ために,効果的な啓発活動を行うこと。
① 障がいのある人の権利を受容する態度の育成
② 障がいのある人に対する肯定的認識及び一層高い社会的意識の促進
③ 障がいのある人の技能,功績及び能力並びに職場及び労働市場への貢献に対する認識の促進
(2) すべての段階の教育制度,特に幼年期からのすべての子どもの教育制度において,障がいのある人の権利を尊重する態度を育成すること。
(3) すべての媒体が,本法の目的に合致するように障がいのある人を描写するよう奨励すること。
(4) 障がいのある人及びその権利に対する意識を向上させるための計画を促進すること。
3 障がい者週間
国は以下のとおり障がい者週間を設ける。
(1) 障がい者週間は,国民の間に広く障がいのある人の福祉についての関心と理解を深めるとともに,障がいのある人が社会,経済,文化その他あらゆる分野の活動に積極的に参加する意欲を高めることを目的とする。
(2) 障がい者週間は,12月3日から12月9日までの1週間とする。
(3) 国及び地方公共団体は,障がい者週間の趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めなければならない。
第13条(施策の基本方針)
1 総合的施策
障がいのある人に関する施策は,障がいのある人の性別,年齢,障がいの状態及び生活の実態に応じて,かつ,有機的連携の下に,総合的に,策定され,また,実施されなければならない。
2 自立と社会参加
障がいのある人に関する施策は,障がいのある人の社会参加を阻害する障壁を除去し,障がいのある人の自己決定を保障し(支援を受けた自己決定を含む),かつ,障がいのある人が,地域において自立した日常生活を営み,社会に参加をする機会が確保及び促進されるよう講じられなければならない。
3 自己決定支援
国及び地方公共団体は,障がいのある人の自己決定を支援する施策を講じなければならない。
4 当事者参画
国及び地方公共団体は,障がいのある人に関する施策の策定,実施においては,障がいのある人又は障がい者団体の参画を保障しなければならない。
5 生活実態調査
国及び地方公共団体は,障がいのある人に関する施策の策定,実施においては,一般国民と比較可能な障がいのある人の生活実態調査に基づいて行わなければならない。
6 職員研修
本法において定められる,国及び地方公共団体が行うべき必要な施策には,教育,医療など当該分野に携わる教員,医師などの職員に,障がいのある人の人権,尊厳,及び自立に対する尊重,並びに障がいに対する意識及び理解,コミュニケーション,支援の方法などについての専門的知識及び専門的技術を習得させるための研修を含むものとし,国及び地方公共団体は,事業者がその職員に対し十分な研修を行うのを援助するための必要な施策を行わなければならない。
第14条 (障がい者基本計画等)
1 障がい者基本計画の策定
政府は,障がいに関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため,障がいのある人のための施策に関する基本的な計画(以下「障がい者基本計画」という。)を策定しなければならない。
2 都道府県障がい者計画の策定
都道府県は,障がい者基本計画を基本とするとともに,当該都道府県における障がいのある人の状況等を踏まえ,当該都道府県における障がいのある人のための施策に関する基本的な計画(以下「都道府県障がい者計画」という。)を策定しなければならない。
3 市町村障がい者計画の策定
市町村は,障がい者基本計画及び都道府県障がい者計画を基本とするとともに,地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第四項の基本構想に即し,かつ,当該市町村における障がいのある人の状況等を踏まえ,当該市町村における障がいのある人のための施策に関する基本的な計画(以下「市町村障がい者計画」という。)を策定しなければならない。
4 障がい者政策委員会の意見等
内閣総理大臣は,関係行政機関の長に協議するとともに,障がい者政策委員会の意見を聴いて,障がい者基本計画の案を作成し,閣議の決定を求めなければならない。
5 地方障がい者政策委員会の意見
都道府県又は市町村は,都道府県障がい者計画又は市町村障がい者計画を策定するに当たっては,地方障がい者政策委員会の意見を聴かなければならない。
6 国会への報告及び公表
政府は,障がい者基本計画を策定したときは,これを国会に報告するとともに,その要旨を公表しなければならない。
7 議会への報告及び公表
第2項又は第3項の規定により都道府県障がい者計画又は市町村障がい者計画が策定されたときは,都道府県知事又は市町村長は,これを当該都道府県の議会又は当該市町村の議会に報告するとともに,その要旨を公表しなければならない。
8 計画の変更
第4項及び第6項の規定は障がい者基本計画の変更について,第5項及び前項の規定は都道府県障がい者計画及び市町村障がい者計画の変更について準用する。
第15条(年次報告)
政府は,毎年,国会に,障がいのある人のために講じた施策の概況に関する報告書を提出しなければならない。
第16条(法制上の措置等)
1 政府は,この法律の目的を達成するため,必要な法制上及び財政上の措置を講じなければならない。
2 国及び地方公共団体は,障がいのある人に対する差別を禁止するために,救済の仕組みを含む法制上の措置を講じなければならない。
第2章 障がいのある人の権利及び福祉に関する基本施策
第17条(地域社会における自立生活)
1 権利
障がいのある人は,障がいのない者との間で分離又は,差別されず,必要な支援を受けながら,地域社会において自立した生活を営む権利を有する。
2 自立生活支援等
国及び地方公共団体は,前項の権利を実現するため,障がいのある人の地域社会における生活の支援並びに地域社会からの孤立及び隔離を防止するために必要な施策を講じなければならない。
3 住宅の確保等
国及び地方公共団体は,障がいのある人のための住宅を確保し,及び障がいのある人の日常生活に適するような住宅の整備を促進し,適切な利用ができるよう必要な施策を講じなければならない。
4 福祉用具等
国及び地方公共団体は,福祉用具及び補助犬の給付又は貸付その他障がいのある人が日常生活を営むのに必要な施策を講じなければならない。
5 災害時の安全確保
国及び地方公共団体は,災害等の緊急時において,障がいのある人の生命,身体の安全が十分確保されるよう,総合的な施策を講じなければならない。
第18条(自己決定)
1 権利
障がいのある人は,どこで誰と生活するかを含め,自己に関わる全てのことを自由に決定する権利を有し,生活のあらゆる場面において,その権利能力,行為能力及び訴訟能力等の法的能力を行使するため,必要かつ適切な支援を受ける権利を有する。
2 相談事業等
国及び地方公共団体は,相談事業,自己決定への支援その他の障がいのある人の権利利益の保護等のための施策又は制度が,適切に行われ又は広く利用されるよう必要な施策を講じなければならない。
3 個人情報の保護等
国及び地方公共団体は,障がいに関する個人情報,健康情報,リハビリテーションに関する情報の秘匿性が保護されるよう必要な施策を講じなければならない。
4 職員の育成
国及び地方公共団体は,第2項及び前項の施策を講ずるために必要な専門的技術職員その他の専門的知識又は技能を有する職員を育成するよう必要な施策を講じなければならない。
5 成年後見等
国及び地方公共団体は,成年後見等の障がいのある人の権利利益の保護等のための施策又は制度が濫用されることを防止し,これらの制度が適切に利用又は運用されるよう,必要な施策を講じなければならない。
第19条(公共施設等の利用可能性)(略)
第20条(意思及び情報の受領等)(略)
第21条(家庭及び家族の尊重)
1 権利
障がいのある人は,両当事者の自由かつ完全な合意に基づいて婚姻をする権利,家族を形成し,子どもを養育する権利,子どもの数及び出産間隔を自由に決定する権利,その年齢に適した方法で生殖,出産及び家族計画に関する情報及び教育を受ける権利,並びに,生殖能力を保持する権利を有する。
2 適切な支援
国及び地方公共団体は,前項の権利を実現するため,障がいのある人が,性を否定されることなく個人として尊重され,性,生殖,婚姻,家族,親子関係,親族関係及び子どもの養育に関して,並びにこれらに関する教育,情報提供,保健サービスに関して,適切な支援を受けられるよう必要な施策を講じなければならない。
第22条(教育)
1 権利
障がいのある人は,あらゆる年齢段階において,尊厳及び自己の価値に対する意識を十分に育成し,人権及び人間の多様性を尊重し,その能力を可能な限り発達させ,社会に効果的に参加することを目的とする共生教育を受ける権利を有する。
2 制度の構築
国及び地方公共団体は,前項の権利を実現するため,障がいのある人が自己の住む地域社会において,必要な支援を受けながら,障がいのない者と共に学ぶ教育制度を構築し,生涯学習を整備するために必要な施策を講じなければならない。
3 必要な支援及び整備
国及び地方公共団体は,障がいのある人が十分な教育を受けられるよう,学級人数の調整,教職員及び支援員の配置,学校施設の整備を促進する等教育上必要な支援及び整備を確保するために必要な施策を講じなければならない。
4 手話等の保障
国及び地方公共団体は,盲ろう者及びろう者が十分な教育を受けられるよう,手話等個人にとって最も適切な言語並びにコミュニケーションの形態及び手段を確保するために必要な施策を講じなければならない。
5 特別支援学校における教育
国及び地方公共団体は,保護者もしくは障がいのある人が特別支援学校における教育を選択した場合,第1項の権利を実現するために,障がいのある児童及び生徒と障がいのない児童及び生徒との交流を積極的に進めることによって,その相互理解を促進しなければならない。
6 教員の研修等
国及び地方公共団体は,教育のすべての段階における教員養成課程で,障がいに対する意識,コミュニケーション,支援の方法や授業方法等について研修を行うなど,教員の資質を向上させるために必要な施策を講じなければならない。
第23条(労働及び雇用)
1 権利
障がいのある人は,他の者と等しく,労働についての権利を有し,障がいのある人に開かれ分け隔てのない,利用しやすい労働市場及び労働環境において,障がいのある人が自由に選択し,引き受けた労働を通じて生計を立てる機会を保障される。
2 労働条件等
国及び地方公共団体は,前項の権利を実現するため,公正かつ良好な労働条件及び安全かつ健康的な労働環境を確保するよう必要な施策を講じなければならない。
3 雇用の促進等
国及び地方公共団体は,障がいのある人の雇用を促進し,障がいのある人がその意欲と適性に応じた適切な職業に従事することができるようにするため,障がいのある人に対して,職業相談,職業指導,職業訓練及び職業紹介等の必要な就労支援施策を講じ,かつ優先雇用,障がい者雇用率制度等の必要な施策を講じなければならない。
4 事業主への助成等
国及び地方公共団体は,障がいのある人を採用しようとする事業主及び障がいのある人を雇用する事業主に対し,障がいのある人が雇用され,継続して働くことができるよう,障がいのある人の雇用に伴い必要となる施設又は環境等に要する費用の助成その他必要な支援をするために,必要な施策を講じなければならない。
5 職種等の調査研究
国及び地方公共団体は,障がいのある人に適した職種及び職域に関する調査及び研究を促進しなければならない。
第24条(医療,健康等)
1 権利
障がいのある人は,十分な説明に基づいた自らの選択(支援を受けた選択を含む。)にしたがい,良質かつ適切な医療,保健,リハビリテーション等(以下「医療等」という。)を受ける権利を有し,本人の意思に反して医療等を強制されない。
2 地域医療
国及び地方公共団体は,前項の医療等を当該障がいのある人の属する地域社会又はこれに可能な限り近い地域で提供するために必要な施策を講じなければならない。
3 医師等の育成及び研修等
国及び地方公共団体は,障がいのある人に対する医療につき他の者と同一の質のものを保障するために,医師,歯科医師,薬剤師,看護師等医療従事者,に対し,障がいのある人の人権,尊厳及び自立の尊重を促し,障がいに対する理解を深めるように育成し,必要な研修研鑽を行うよう医療機関等に対して指導助言し,かつ倫理規則を普及させるよう必要な施策を講じなければならない。
4 研究,開発及び普及等
国及び地方公共団体は,医療等の研究,開発及び普及を促進し,難病等の調査及び研究を推進するよう努めなければならない。
第25条(所得保障)(略)
第26条(司法の利用等)(略)
第27条(政治参加)(略)
第28条(文化活動等への参加)(略)
第29条(国際協力のための施策)(略)
第3章 施策及び基本計画の推進及び監視等(既に10 月12 日提出済み)
第30条(障がい者政策委員会の設置)
1 障がい者政策委員会の設置
内閣府に,障がいのある人に関する施策を推進し,監視する機関として,障がい者政策委員会(以下,「委員会」という。)を設置する。
2 省庁間調整
委員会は,政府内の省庁間における障がいのある人に関する施策の実施に関連する活動を容易にするための調整を行う。
3 当事者参画
障がいのある人及び障がいのある人を代表する団体は,委員会による推進及び監視の過程に完全に関与し,かつ,参加するものとする。
第31条(所掌事務)
1 所掌事務
委員会は,次に掲げる事務をつかさどる。
① 障がい者基本計画案の作成に関し,調査審議し,必要があると認めるときは,内閣総理大臣に対し意見を述べること。
② 障がいのある人に関する施策に関する重要事項を調査審議し,必要があると認めるときは,関係行政機関の長に意見を述べること。
③ 障がいのある人に関する施策の実施状況を監視し,必要があると認めるときは,内閣総理大臣又は関係各大臣に勧告すること
④ 第1号から前号までに掲げる事務を行うために必要な実態調査及び研究を行うこと。
⑤ 本法12条に基づき,国民に対し広報及び啓発活動を行うこと。
2 報告
関係各大臣は,前項第3号の規定による勧告に基づき講じた施策について,委員会に報告しなければならない。
第32条(職権の行使)
委員会の委員は,独立してその職権を行う。
第33条(資料の提出等の要求)
委員会は,その所掌事務を遂行するため必要があると認める時は,関係行政機関の長に対し,資料の提出,意見の表明,説明その他必要な協力を求めることができる。
第34条(組織)
委員会は,委員30人以内で組織する。
第35条(委員の任命)
委員会の委員は,障がいのある人,障がいのある人の権利及び福祉に関する事業に従事する者並びに学識経験者の中から,内閣総理大臣が任命するものとし,過半数を障がいのある人によって構成するものとする。
第36条(委員の任期)
委員の任期は,3年とする。
第37条(地方障がい者政策委員会)
1 都道府県障がい者政策委員会
都道府県に,地方障がい者政策委員会を置く。
2 所掌事務
都道府県に置かれる地方障がい者政策委員会は,次に掲げる事務をつかさどる。
① 都道府県障がい者計画に関し,意見を述べること。
② 当該都道府県における障がいのある人に関する施策の総合的かつ計画的な推進について必要な事項を調査審議すること。
③ 当該都道府県における障がいのある人に関する施策の推進について必要な関係行政機関相互の連絡調整を要する事項を調査審議すること。
④ 都道府県の障がいのある人に関する施策の実施状況を監視し,必要があると認めるときは,都道府県知事に対し勧告すること。
3 組織及び運営
都道府県に置かれる地方障がい者政策委員会の組織及び運営に関し必要な事項は,条例で定める。
4 市町村障がい者政策委員会
市町村に,地方障がい者政策委員会を置く。
5 準用
第2項及び第3項の規定は,市町村に置かれる地方障がい者政策委員会に準用する。
6 構成
地方障がい者政策委員会の委員は,障がいのある人,障がいのある人の権利及び福祉に関する事業に従事する者並びに学識経験者の中から,都道府県においては都道府県知事が,市町村においては市町村長が任命するものとし,過半数を障がいのある人によって構成するものとする。
以上