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日時:2013年02月03日(10:30~16:00)
場所:戸山サンライズ 大研修室
 

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障がい者制度改革推進会議
第3回(H22.2.15) 資料1-1

障害者自立支援法・総合福祉法(仮称)に関する
意見一覧 ①

地域社会で生活する権利

障害の定義、適用範囲

法定サービスメニュー

支給決定プロセス

○地域社会で生活する権利
1.権利規定を明文化する必要性についてどう考えるか

【大谷委員】
権利条約19条は自立した生活及び地域社会へのインクルージョンを規定して いる。これを受け、障害者基本法に明記したうえで、個別法として自立支援法 (総合福祉法)にも加えて明記すべきである。

【大濱委員】
障害者自立支援法第1 条の規定を見直して、

  • どこで誰と生活するか(アパートで1 人暮らしするのか、家族と同居するの か、施設入所なのか、など)を選択する権利
  • 障害者が希望しないサービスの利用を強要されない権利(たとえば訪問系サ ービスの利用を希望しているのに、通所施設、短期入所、ケアホームなどの 利用を強要されない権利)
  • 24 時間など長時間の介護が必要な場合などであっても、必要な介護をすべて 受けられる権利
    について、はっきりと書き込むべきだと思います。

【尾上委員】
明文化することが必要である。条約第19 条に「他の者と平等な選択の自由を有 しつつ地域社会で生活する平等な権利」が規定されており、これを担保するた めには不可欠である。
障害者自立支援法では、地域社会で生活する権利は明記されず、キャッチフ レーズとして「障害者が普通に暮らせる社会に」ということが掲げられるに止 まっている。そのため、多くの自治体で重度障害者が必要とする長時間介護が 確保されていない。また、社会参加に不可欠な移動支援等については、地域間 格差が拡大し、障害者の地域生活を支えるためのサービス基盤の整備が進んで いない。
その結果、施設への新規入所を誘発し「特定の生活様式を義務づける」事態 が続く等々の問題が生じている。
こうした問題を解決し、条約19 条「自立した生活及び地域社会へのインクル ージョン」を実現していくために、地域社会で生活し必要とする支援が保障さ れる権利を明文化することが必要である。

【勝又委員】
必要。
人間らしい生活を求めることが特別なことではなく基本的人権であることを 人々に認識させる必要があるから。

【門川委員】
→ 明文化する必要がある。
一般的な権利規定を行うと同時に、下位カテゴリーの権利を規定する各論を 設ける。その各論では、それぞれの個別的な権利を規定しつつ、その権利の行 使により実現されるべき内容も示す。これにより、障害者が一般市民と等しく 享受できる事柄の内容が明示できる。

【川﨑委員】
権利規定の明文化は必要。自立支援法では第二条で市町村の責務を定めている が、権利の保障については国の責務とすべきと考える。不当に長期に精神科病 医に入院させられている人たちなどは、地域社会で生活する権利を奪われてい る。

【北野委員】
A.必要
(理由) それを規範づける法が現在存在せず、権利条約19条の権利性を担 保できないから。
例えばADAでは、その施行規則で「最も統合された環境で、本人が利用す るプログラムを提供しなければならない」と規定されており、1999 年のOlmstead 判決ではそれを使って、知的障害と精神障害を併せもつ障害者の不必要な施設 入所を不当であるとした。
ただし、「地域生活が可能で、そこから利益を得ることができる人でかつ、本人 が地域生活に反対しない人に対する施設入所」が「不必要な施設入所」という 最高裁の判決は、本人の同意を超えて地域生活を求めてはいるが、地域生活の 可能性や利益を誰が判断するのかと言う問題を内包しており、ベストとは言え ない。「すべての障害者が他の市民と同様に地域社会で生活する権利と、そのた めに必要な支援を提供する責務を国及び自治体に負わせる」べきである。

【佐藤委員】
障害者が地域の一員として共に生活できることを権利とし、明文化すること は必要である。

 旧政権も入所施設・精神科病院からの地域移行を推進しようとしてきたが、その 手法は主に、障害程度区分で入所できなくすること、障害程度区分の低い人や長期 入院者の報酬を下げて経営を困難にすること、などの「追い出し作戦」的なもので あった。つまり地域生活を権利としてでなく義務としてきた。したがって権利とし て明文化しただけでは、義務として運用される懸念が残る。
このため自立支援法第2 条の規定を改正し、障害者の「自ら選択した場所に居住」 する権利とその実現のための市町村の義務とをより明確にすべきである。そしてこの 障害者の権利と市町村の義務が実行されるよう、具体的に、長期の入所・入院中のす べての障害者が、市町村から、適切な地域生活の情報の提供を受け、どこで生活した いかの希望が聞かれ、その希望を形成するために必要に応じて地域生活の試行体験が 保障され、その希望を実現するための支援計画が作られて実行される旨の規定を設け るべきである。

【関口委員】
条約が「障害者の権利に関する条約」であることに鑑み権利規定は不可欠であ ると考える。総合福祉法においても、その為の給付は公の義務であり当事者の 権利であることを明記すべきである。なお、民民の契約においても、地域社会 で生活するために必要なものについては、形態は別としても、合理的配慮を促 す、権利性を持った規定が必要と考える。これは、条約3条 a,d,e,から来る 当然の帰結であり、そのため、4条d,があり、明示的に19条がある。

【竹下委員】
障害のある者も地域での生活が基本であって(ノーマライゼーション等の 理念の実践)、施設入所は例外的に本人が望む場合や入所が本人の安全と尊厳を 維持するうえで、合理性がある場合にだけ入所による支援を考えるべきである。 したがって、障害のある者も地域で暮らす権利を明確に位置づけ、その権利実 現として必要な支援を請求することができる体系が必要である。

【土本委員】
権利をはっきりさせて、国や地方じちたいのぎむ・せきにんをはっきりさせる ことが必要。

【堂本委員】
障害のある人が地域社会で生活する権利を有することについては、障害者基 本法や障がい者総合福祉法において明確に規定するのが妥当と考える。
障害者権利条約では、「この条約の締約国は、すべての障害者が他の者と平 等の選択の機会をもって地域社会で生活する平等の権利を認める。」と規定し ており(19条)、この趣旨を国内法でも明確にする必要がある。
なお、「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」の前 文には、「障害のある人もない人も、誰もが、お互いの立場を尊重し合い、支 え合いながら、安心して暮らすことのできる社会こそ、私たちが目指すべき地 域社会である。」と書かれており、基本理念を規定した第3条第1項で、「すべ て障害のある人は、障害を理由として差別を受けず、個人の尊厳が重んぜられ、 その尊厳にふさわしく、地域で暮らす権利を有する。」と規定している。

・精神障害者問題(精神保健福祉)
日本の精神医療は先進国において、最も長期に多数が入院しており、こうし た社会的入院は人権侵害を伴う重要な課題であることから、権利規定を明文化 し、多くの先進国が国家政策として脱施設化を展開したように、我が国におい ても徹底した脱施設化政策を打ち出すべきである。
第19 条は「地域社会支援政策(人的支援を含む)を障害者が利用することが できること。」と定めているが、昨年、出された改革ビジョンはこの点が不十分 なため効果を上げていない。7 万から15 万といわれる退院可能な精神障害者の 脱施設化政策を推進するためには、知的障害者の地域移行と同様に、地域のお ける支援体制を早急に整備、充実する必要がある。先進諸国は地域精神医療と してACT(当事者、家族、福祉、医療、行政関係者が参加しての取り組み、千葉 県市川市で実施、後述)を導入した。我が国においても各地で、ACT の導入を行う べきである。

・自立支援法との関係
現行の障害者自立支援法、第2条第1号においても、市町村の責務として、 「害者が自ら選択した場所に居住し・・・」とあり、各市町村において、こ れをいかに具体化するかが最も重要である。
このためには、権利の問題のみならず、住まいを確保する具体的な仕組み、 例えば空き家などをグループホームあるいは通常の住まいとして障がいのあ る方々のために資源として、どう活用するか、といった知恵が必要である。

【中西委員】
当然のことであり、自立支援法、総合福祉法で権利に関して言及するととも に、諸外国の例にあるように差別禁止法の制定による権利規定の明確化が必要 である。

【長瀬委員】
自立した生活と地域社会へのインクルージョンに関する、障害者の権利条約 の第19 条に基づいて、地域社会で暮らす権利を明文化する必要がある。同条柱 書は他の者と平等の「選択」を障害者が持って地域生活をする権利を認めてい る。

【久松委員】
権利規定を明文化する必要がある。
障害者権利条約、権利規定を明文化し改正する障害者基本法を踏まえて、障 害の程度や重複の有無に関係なく、全ての障害者が本人の希望する地域で生活 する権利を有することを明記すべきである。

【松井委員】
現行の各種障害者福祉関連法では、障害者の権利性については規定されてい ないため、地域で生活することを望みながらも、地域での適切な住まいやその 生活をサポートするために必要なサービスが受けられないため、施設や病院か ら地域生活への移行が困難な状況におかれている障害者が少なくない。
そうした実態を改善するためにも、総合福祉法で権利規定を明文化する必要 がある。

【森委員】
「障害者権利条約」第19 条を踏まえ、地域生活を営む権利を明文化すべきであ る。

2.自立の概念についてどう考えるか

【大谷委員】
自立とは、援助・支援を受けながら地域社会に受け入れられてその人らしく 自己実現すること、ととらえるべきである。
これは、どんなに障がいが重くても、すべての障がいのある人に保障された 権利である。この点につき、自立支援法1条の目的に「能力および適正に応じ、 自立した日常生活または社会生活を営むことができるよう」と規定されている が、自立が能力と適正に応じてしか保障されない如くであり、この文言は削除 すべきである。
また自立は自己決定と表裏のものであり、権利条約が「個人の自立および自 律(自己選択を行う自由を含む)」としていることからも明らかである。
なお、日弁連は2007 年3 月「障害を理由とする差別を禁止する法律」法案概 要(以下差別禁止法・日弁連案という)を公表したが、この第1 総則4 条「自 立生活・自己決定についての権利」について、以下の内容を提案していること を参考にしていただきたい。

4、自立生活・自己決定についての権利

何人も、次の権利を有するものとする。
(1)必要な支援を受けながら、地域において自立した権利を営む権利
(2)自分の選択に従って自己の最善の利益を追求する権利
(3)性を否定されることなく個人として尊重され、障がいを理由として、性、 生殖、婚姻および子の養育並びにこれらに関する教育、情報提供、保健サ ービスに関して不利益な取扱いを受けない権利
(4)(1)から(3)の権利行使に必要な説明および教育ならびに(1)から (3)の権利行使の前提となる意思決定に対する十分な支援を受ける権利

【大濱委員】
1 人1 人の障害者が、その特性を活かして自己決定できるようにエンパワメント することが「自立」であると考えています。

【尾上委員】
①条約第3「一般原則」(a)項に、「 固有の尊厳、個人の自律(自ら選択する自 由を含む。)及び人の自立に対する尊重」とある通り、障害者の自己決定(支援 を得た自己決定を含む)を核とした概念としてとらえるべきである。
国際的な自立生活運動の中で、「自立(生活)とは、そこに住むか、いかに住 むか、どうやって自分の生活をまかなうか、を選択する自由をいう。それは自 分が選んだ地域で生活することであり、ルームメートを持つか一人暮らしをす るか自分で決めることであり、自分の生活ー日々の暮らし、食べ物、娯楽、趣 味、悪事、善行、友人等々ー すべてを自分の決断と責任でやっていくこと…」 と確認されてきていることを活かすべきである。
②旧来的な「身辺自立」や「職業的自立」の考え方では、障害者個人の「障害 の治療・克服」への努力が強調され、「人の手を借りないこと、支援を要しない こと」が自立とされてきた。それに対して、「人の助けを借りて、15 分で衣服を 着、外出し社会参加できる障害者は、自分で衣服着るのに2 時間かかるために 家にいるほかはない障害者よりも自立している」との提起に示されるように、 「支援を得ながら自己決定をした生活」が自立であるとの考え方への転換が必 要である。
なお、以上の自立概念からすると、現行の障害者自立支援法・第1 条では「障 害者有する能力及び適性に応じた自立生活及び社会生活」との規定となってお り、根本的な見直しが求められる。

【勝又委員】
自己選択・決定の機会が保障されていること。責任の主体となること。 支援や援助を受けても自立は保障されるべき。

【門川委員】
→ 自立とは、根元的には人が尊厳をもってこの社会で生きること、それ自 体である。
その意味で、社会はすべての人の自立(イコール生存)を最大限の関心と努 力とともに保障すべきである。その上で、「障害者の自立」をより具体的に考え るならば、次のような内容になるだろう。
すなわち、障害者が自らの主体的な選択を基本としつつ、個人的・社会的双 方の文脈において、多様な活動に参加する自由が実質的に保障されている状態 である。また、自立とは個人内部に完結された閉ざされた概念ではなく、他者 との相互交流・相互支援などによって実現されるべきものである。したがって、 先の「主体的選択」も、狭い意味だけで把握されるべきものではなく、各種の 権利擁護の取り組みと密接に結びついたものである。
そして、こうした障害者の自立の実現のためには、障害者の抱える困難ゆえ に生じる支援の必要性(ニーズ)が充たされることが条件であり、たとえば、 移動の介助や通訳などの人的支援、IT等のテクノロジーの活用やその活用の ためのアクセシビリティの保障、施設・設備の最適化など、社会的な条件整備 が不可欠である。なお、こうした条件整備は、国・自治体を含めた社会的責務 にもとづいて実現されるべきだと考える。

【川﨑委員】
自立支援法においては、訓練、就労、自立の考え方が根底にある。相当の就労 能力が見込まれる障がい者でなければ、自立への道が閉ざされてしまう。
日常生活に必要なサービスは、自らの必要性に応じて、自らが選択するのでな く、区分認定されその範囲で提供される。主体的判断を基にする自立から程遠 い。当事者の積極的な参加、自己選択、自己決定が尊重され、必要な支援を利 用して、地域で独立した生活ができることを自立と考える。そのための所得保 障、住む場の確保、身近の相談サービスなど、支援施策が充実されなくてはな らないと思う。
ここにおいても国の責務として、自立を保障することが必要である。

【北野委員】
A.自立には、大きく分けて、支援を無用とする方向での自立と、支援を活用 しながらなされる自立がある。例えば、身辺自立や経済的自立は前者であり、 社会的自立や自立生活は一般的に後者をさす。一般に急性期等の医療場面では 前者が、長期ケアの生活場面では、後者が重要である。総合福祉法は、急性期 の医療・治療に関する法ではなく、長期的な生活支援に関する法であり、医療 モデルではなく、社会生活モデルが望ましい。
そのため、総合福祉法上の「自立(生活)」とは、「障害者等が自分でやりにく い時や分かりづらい時に、仲間や支援者等の支援を活用して、自分で選んだあ たりまえの市民生活を生きること」と定義できよう。

【佐藤委員】
「自立=自己決定」という定義を新しい障害者福祉の法律で設けることにより 障害者支援の質を高めるとは思われるが、他の福祉制度や社会一般では多様な 自立の概念が通用しているので、障害者福祉の世界だけの定義を設けても、自 治体レベル、サービスレベルでうまく活用されるかどうか疑問である。また自 己決定以外の自立を(も)ニーズとする障害者もいる。
そこで、単独での「自立」を使わず、「自己決定」、「日常生活動作の自立」な どを使うことにしたらどうか。

「自立=自己決定」が近年では障害者団体の共通理解となっており、サービス提 供者の間でもそのような理解が増えている。この考え方では、介護を受けて自分の 選んだ生活をするのは自立した障害者といえる。他方、「自立=他者の支援なしで ADL や職業生活を遂行すること」という考え方も伝統的に根強い。この考え方では 介護を受けている人は自立しているとはみなされない。
自立は日常生活動作や家事などの日常生活関連動作の自立、就労を含む社会生活 の自立、自己決定・主体性の発揮という意味での自立と、少なくとも3つの意味を 持つ多義的概念であり、それらが社会に通用している。「若者自立支援塾制度」、「生 活保護制度」などでもそれぞれの自立の考え方がある。自立支援法でも「自立訓練」 の事業は明らかに「日常生活動作などの自立を念頭においている。

【関口委員】
条約前文n、3条a,にあるようにオートノミー、自律が入った選択権をふくむ 概念と考える。手足が動かなければ、人の手を借りるように、頭が働かなけれ ば人の知恵を借りる。人の助けを求めるのも自立と考える。

【竹下委員】
まず、障害のある者にとって、「自立」と「自律」をどのように位置づけるかに ついての議論が必要である。障害のある者にとって、尊厳が保障されるために は、自己決定権が保障され、自己実現を図るための社会制度(システム)が必 要である。経済的支援や介護・介助を受けることがあるとしても、自立の概念 に矛盾するとは言えない。全ての人間は、社会生活を送っている限り、有形無 形の支援を受けていると見るべきであり、それが障害のために特別のニーズを 持っているに過ぎないと考えるべきだからである。

【土本委員】
「全国自立生活センター協議会」のホームページにある『障害者の自立とは』 の考え方に共感します。

『「自立(生活)とは、どこに住むか、いかに住むか、どうやって自分の生活 をまかなうか、を選択する自由をいう。それは自分が選んだ地域で生活するこ とであり、ルームメイトを持つか一人暮らしをするか自分で決めることであり、 自分の生活-日々の暮らし、食べ物、娯楽、趣味、悪事、善行、友人等々- す べてを自分の決断と責任でやっていくことであり、危険を冒したり、誤ちを犯 す自由であり、自立した生活をすることによって、自立生活を学ぶ自由でもあ る」
「リハビリテーションギャゼット」より
つまり、自分の稼ぎで暮らす”自活”や、自分の身辺のことを自分でする”リ ハビリ自立”とは違うということです。』

自分からのぞんで施設にはいった仲間はいない。
そちせいどから、ずっとはいっている。
おや、ぎょうせいがきめたこと。
自分たちからきめられずにいた。
自由をうばわれ、けいけんやたっせいかんもなくすごしているところもある。
施設いがいにくらしのけいけんしたこともない。
けいけんもしていないのに、どこですむかをえらべとゆわれても、えらびよう がない。
ちてきに、そうぞうすることにこんなんをかかえている。

【堂本委員】
「自立」の概念は、障害のある人が自己決定に基づいて主体的に生活を営む こと、障害があっても個人の能力を活用して社会活動に参加することであると 考える。
なお、平成16年7月に策定した「第三次千葉県障害者計画」では、「誰もが、 ありのままに・その人らしく、地域で暮らすことができる『新たな地域福祉像』」 の実現を計画の理念に据え、障害のある人を真ん中に置いて、どんなに重い障 害があっても、地域社会の中で、障害の克服を前提とせずに、ありのままの姿 で地域社会の当然の一員として暮らすことのできる社会環境づくりに取り組ん だ。そのための支援は、あくまでも「当事者のニーズ」を真ん中において考え なければならない。

【中西委員】
自己決定権や自己選択権を与えてこなかったことに反対して、障害の自己肯 定と自己尊厳の回復を、自らが福祉サービスの受け手から、提供者になること。 この理念は、障害は克服しなければならぬものとの価値観をこれまで植えつけ られてきた障害者にとって、180 度転換した思考方法を与えた。つまり、障害 は何ら更正する必要のないもの、変わるべきものは、車椅子者を配慮しない駅 の階段や障害者を受け入れない学校や企業であり、人の心である。障害は社会 が作り出したものであるとの、医療モデルから社会モデルへの発想の転換が根 底にある。

【長瀬委員】
必要な場合は支援を得て、自己決定を行うことであり、「身辺自立」や「経済 的自立」ではない。
自ら選択する自由を含む、個人の「自律」(自己決定)と人の「自立」は障害 者の一般原則である第3 条に掲げられている。

【久松委員】
成人障害者の生きる姿、あるべき姿を明確にして議論する必要がある。
本人の意思によらない施設入所等の差別、虐待を許さない担保が必要であり、 障害者権利条約第19 条の「他の者と平等の選択の自由を持って地域社会で生活 する」「特定の生活様式で生活するよう義務づけられないこと」を明文化し、個 人の生活場所の選択は自己決定によることを基本とする。
その上で、地域生活を可能にする在宅サービスの整備、通所施設やグループ ホーム・ケアホーム等の日中活動の場の整備、介護人材の確保等が、人として 自立した地域生活を可能にし、長期間入所する施設が不要になるよう努めなけ ればならない。
自己決定が困難な人の場合は、施設が暮らしの保障となるような仕組みづく りが必要であり、地域の中に施設があることが当たり前になるような地域こそ 求められる。

【松井委員】
自己選択および自己決定に基づき、必要に応じて、適切な支援を受けたうえ での「自立」と理解すべきである。

【森委員】
障害に基づくいかなる差別を受けることなく、自己の選択と決定により必要と する支援に受けながら、地域において自立した生活を営む権利を有することと 考える。

○障害の定義、適用範囲

1.障害の範囲についてどう考えるか

【大谷委員】
障害の定義、範囲については権利条約に沿って社会モデルとするべきであり、 手続きの入り口段階で排除されないよう、障害者手帳を要件とするべきではな い。
これに関し乳幼児の支援について指摘したい。乳幼児については、その特徴 として未だ障害が確定していず、また保護者がわが子の障害を受容しえず、か つ大きな不安を抱えていることにある。現在、障害のある乳幼児への支援は各 障害別通園施設と児童ディサービスで行われているが、この時期の支援は特に、 障害判定を必要とせず、乳幼児および保護者の必要に応じてなされるべきであ り、障害種別にこだわらず自己の住む地域で行われるべきである。ここでピア カウンセリングが保障され、情報へのアクセス等、障害のある乳幼児および保 護者への早期の支援を実現していくべきである。そしてその方向性はあくまで 地域で生きていくためのものであり、地域に返していくことが目標とされなけ ればならないのだが、現状は通園者が多ければ多いほど施設運営が安定するこ ともあって、地域にかえすことが必ずしも目標とされていない。
乳幼児通園施設および障害のある子のディサービスを、発達障害を含めて各 ニーズに応じて保障し、その内容を地域で生きるためのものとして明確に位置 づけるべきである。

【大濱委員】
専門部会で難病の当事者も交えて、身体障害者福祉法施行令第36 条の改正も含 めて、早急に対象範囲に含められるように議論するべきだと思います。
⇒特に難病患者については、自立支援法を国会で可決したときの附帯決議、民 主党の政策集INDEX2009 やマニフェスト、訴訟原告団と厚労省との基本合意な どで、再三にわたって言及されています。

【尾上委員】
①条約では障害を「種々の障壁との相互作用により社会に完全かつ効果的に参 加することを妨げる者を含む」と、社会モデルの考えを採用している。そして、 第2 回の推進会議においても、社会モデルの考え方に沿った意見が多くの委員 から出され、基本的な方向性として確認されてきたところである。この方向に そった検討が必要である。
また、条約19 条では、「障害のあるすべての人に対し、他の者と平等の選択 の自由をもって地域社会で生活する平等の権利を認める」とあり、この「障害 のあるすべての人」との規定をふまえることが必要である。
②その点から、障害者手帳所持を要件とせず、いわゆる発達障害、高次脳機能 障害、難病等も含めて、この法律の支給決定プロセスで福祉サービスの必要性 が確認された者を対象とすべきである。
例えば、今後検討される障害者総合福祉法では「身体障害者手帳、療育手帳、 精神保健福祉手帳の所持にかかわらず、身体的、精神・知的障害にともない、 他の者との平等を基礎として社会への完全かつ効果的な参加を妨げられている 者(児)であって、この法律のサービスが必要であると支給決定において認め られる者(児)を対象とする」とするべきである。
③また、必要な支援を得られずに危機的な状態におかれている当事者の深刻さ をふまえ、当面、現行の障害者自立支援法においては障害者手帳所持要件を外 す等の緊急措置で対応することも必要である。(総合福祉法という方向が、すで に示されていることからも、その方向に沿ったものである)

【勝又委員】
定義は設けるべきではない。範囲は社会の変化によって変わる。

【門川委員】
→ 現在のわが国の障害の定義は先進諸外国と比較しても限定的であるため、 より広く、より柔軟な定義に変更すべきである。
現行法では、身体、知的、精神という三つのカテゴリーをもって障害を分類 しているが、このカテゴリーの設定の妥当性自体も再検討されるべきである。
また、個別の障害認定においては、医学的診断に基づく画一的基準が過度に強 調されすぎていると思われる。
とりわけ、難病、発達障害、軽度障害、さらに従来「障害」とは認定されて いないものの、さまざまな心身のファクターの複合で実質的に社会生活上の不 利益を被っている人などを広く網羅する障害の定義を検討することが重要。

【川﨑委員】
基本法に則り、身体、知的、精神、発達障害、難病、高次脳機能障害とする。

【北野委員】
A.「身体障害者手帳等を制限の根拠とせず、精神的・知的・身体的障害に伴い、 障害のない市民と同様の活動や社会参加を妨げられている者であって、この法 に基づく支援を必要とするもの」を障害者総合福祉法の適用範囲とすべし

【佐藤委員】
課題は新しい障害者総合福祉法の対象者の範囲をどう規定するかである。この 法律の支援を利用して生活上の困難を軽減し、社会参加を促進できる可能性の ある人はすべて対象としたいところである。しかし家事援助は母子家庭・父子 家庭にも役立ち、就労移行支援などはニートの人々にも役立ち、足を捻挫した ので車椅子を1 ヶ月使いたいという要望には補装具制度が役立ちそうである。
「総合福祉法」ではなく「障害者総合福祉法」が問われているのであるから、 対象者は「障害者」とする必要がある。なお「障害児」を含めるかは別項で検 討。
したがって、日本障害者協議会が1997年に提案した「障害者福祉法への試案」 での、「この法律で障害者とは、身体的または精神的障害にともない、日常生活 または社会生活が制限されているため、この法による援助の必要な者をいう。」 (注:援助の必要性の判定は、援助の申請に基づいて援助の実施機関が行う。)が 適切であろう。なお今日ではICF(国際生活機能分類)や障害者権利条約に即してこ こでの「障害」を「機能障害」とし、さらに慢性疾患に伴う障害者を障害者とみな さない誤った習慣を正すために、「機能障害または疾患」とするのが適切である。 こうして、「機能障害に伴う生活の制限があり支援を要する人」(要旨)と、 単純で分かりやすい規定となる。「機能障害のために」という医学モデル表現は とらない。
なお、「機能障害」の範囲としてはICF の心身機能・身体構造分類が網羅的で ある。政令などでこれを掲げることもできる。政令などではICF に加えて、従 来谷間におかれがちであった発達障害、高次脳機能障害、難病・慢性疾患に伴 う症状・機能障害などを特に例示して示し、注意を促すことも検討されてよい。 ただし法律本文には一般的包括的な規定である「身体的又は精神的」を掲げ、 個別機能障害を列記しないほうがよい。(列記されない種類が除外される恐れが あるためである。)

<参考>ICF の心身機能分類(第1 レベル。第4 レベルまで含めると約500 項目)
1章 精神機能
2章 感覚機能と痛み
3章 音声と発話の機能
4章 心血管系・血液系・免疫系・呼吸器系の機能
5章 消化器系・代謝系・内分泌系の機能
6章 尿路・性・生殖の機能 7章 神経筋骨格と運動に関連する機能
8章 皮膚および関連する構造の機能

 これらの機能障害・疾患があるかどうか確認が必要とされる。サービスの申 請を受ける市町村窓口では、新しい統合的な障害者手帳又は社会サービス手帳 の提示によって、又は医師の診断書によって確認することが適切である。
障害者権利条約は「長期的な身体的・・・・機能障害」としているのみだが、 新たな障害者総合福祉法では、法律又は政令で「6 ヶ月(1 年?)以上継続的また は間欠的に生じている、又は生じると予測される身体的又は精神的機能障害又 は疾患」、と規定すべきであろう。
「谷間の障害」という表現で、しばしば難病、発達障害、高次脳機能障害な どがあげられる。これは非常に大きな問題である。しかし実は「谷間」は単に そうした機能障害や疾患の種類に伴って生まれているものにとどまらない。「谷 間」を生み出す根っこの考え方、発想があり、「種類の谷間」はその一つの表れ に過ぎない。この根っこは数々の「谷間」を生み出している。
例えば「程度」の谷間もある。聴覚機能の重度の障害のみを対象としている ために、中軽度の聴覚障害が除外され、知的機能の程度もIQ70 とか75 で限定 しているために軽度の知的障害が除外されているなど。
さらに「原因」の谷間がある。二分脊椎以外による排尿機能障害、脳起因性 の呼吸障害の除外など。
さらに機能障害の永続性要件による谷間(発作性頻脈の除外など。多くの慢 性疾患・難病もこの谷間に含まれる)もある。
さらに重要なのは、すでに手帳の対象とされ、谷間ではなく認定されている 人々も、ニーズそのものではなく機能障害や基礎的活動障害をみてニーズが推 測されるために、適切なサービスが利用できないという問題を抱える。例えば、 機能障害が「軽い」から職業上の障害も軽いはず、機能障害が「軽い」から所 得保障の必要は薄いはずだ、と。
こうした疾患・機能障害主義(医学モデル)がベースにあるから、いつまで たっても谷間が再生産される。機能障害と環境との相互作用という視点、そし て参加の障害が重要だという権利条約やICF の視点に立てば、機能障害の種類 や程度よりも重要なのは生活の支障であり、支援の必要性だということが理解 される。

<参考>
オーストラリアの障害福祉サービス統計(Australian Institute of Health and Welfare (AIHW), “Disability Support Services 2006-07”, 2008-11-09)によれば、 2006-2007 年次に障害福祉サービスを利用した全国の232,25 3 人を疾患・機能障害別 12 区分で見ると、「知的障害」33.0%、「精神障害」15.3%、「身体障害(内部臓器障害 含む)」13.3%、「自閉症(広汎性発達障害)」5.7%、「神経障害」5.3%、「後天性脳損傷」 4.4%、「特殊学習障害・注意欠陥障害」3.6%、「聴覚障害」3.1%、「視覚障害」2.9%、「発達 遅滞」2.1%、「言語障害」1.0%、「盲ろう」0.2%、「無回答・不明」10.0%となっている。 なお「後天性脳損傷」には事故、脳卒中、脳腫瘍、感染、酸欠、変性神経疾患によるも のが含まれ、「神経障害」は後天的な神経系の機能障害のことで、てんかん、器質性認 知症(アルツハイマー病など)、多発性硬化症、パーキンソン病などが含まれ、「発達 遅滞(Developmental delay)」は0-5 歳のみに使われる区分で、特定の診断がついて いない発達の遅れである。障害福祉サービスはグループホーム、介助者サービス、レス パイト、コミュニケーション、権利擁護、社会生活技術訓練などが含まれる。

【新谷委員】
現行の自立支援法では障害者を「第四条 この法律において「障害者」とは、 身体障害者福祉法第四条 に規定する身体障害者・・・」と規定しています。身 体障害者福祉法第4 条別表は典型的な医療モデルです。2 月2 日の推進会議では 障害の定義を社会モデルとする方向でした。社会モデルを個別サービス法に適 用していく場合、非常に複雑な問題が出てくると思いますが、聴覚障害の場合、 個別サービス法での実効性を確保するため、WHOの規定に従って40 デシベル 以下を聴覚障害者とするように身体障害者福祉法第4 条別表を書き改めてくだ さい。
参考までに身体障害者手帳の等級とWHOの規定との比較表を下記します。

聴力レベル(dB) 聴覚障害 聴こえの程度 身体障害者手帳等級 WHOの規定
0 聴者     0:No Impairment
10 ささやき声  
20  
25 軽度難聴     1.Slight Impairement (医師との相談、補聴器使用)
30  
40 普通の会話   2.Moderate Impairment (補聴器の常時使用)
50 中度難聴  
60     3:Severe Impairment (補聴器使用、手話・ 読話の習得)
70 高度難聴 大声 6級
80 4級 4:Profound Impairment (補聴器の部分的効 果、手話・読話必須)
90 怒鳴り声 3級
100 重度難聴 ガード下での電車の騒音 2級
110 地下鉄の騒音
120  
130 飛行機のエンジン音

【関口委員】
個人に帰着する要因だけではなく、社会や身の回りとの関係で生じる困難も障 害であり、その困難さが確認もしくは推認されるものを含むべきである。その 中には権利主張やコミュニケーションの困難さも含まれる。

【竹下委員】
障害の定義はいわゆる社会モデルによることが必要である。それは、差別禁 止の観点だけでなく、社会的支援の必要性や内容を考えるうえでも重要である。 したがって、障害の範囲は、人間としての尊厳を維持するうえで必要とする支 援が想定される限りは、そしてそれが身体的・精神的要素において発生した必 要性である限りは、障害者の範囲に加えるべきである。

【土本委員】
どんなこんなんをかかえているか、それでサービスをつかえるようにしていく べきです。
こまっていることに、だれもがサービスをうけられるようにすべきです。 スウェーデンでは、あしのほねをおった人も、ふくしサービスをうけることが できる。
だれもがあんしんしてくらせます。

【堂本委員】
障害の定義については、WHOの「国際生活機能分類」や障害者権利条約に 則し、現行の「医療モデル」から「社会モデル」への転換を図る必要があると 考える。
障害者権利条約では、障害は、「障害者と障害者に対する態度及び環境による 障壁との相互作用であって、障害者が他の者と平等に社会に完全かつ、効果的 に参加することを妨げられるものによって生ずる」(前文(e))とし、障害の 定義をWHOのモデルに準拠したものとしており、国内法においてもこの考え 方に基づき障害を定義することが妥当である。
また、適用範囲については、発達障害のある人、高次脳機能障害のある人、 難病の人なども含めて考える必要がある。現行の障害者基本法や障害者自立支 援法において規定している、いわゆる「三障害」による障害者の定義では、こ れらの支援を必要とする人が多数抜け落ちているからである。

【中西委員】
障害を限定列挙するのではなく、社会モデルに基づき何らかの社会的ハンディ キャップをもつものを障害者とし、サービスの適用範囲とする。

【久松委員】
障害の定義を社会モデルと規定し、障害の範囲及び程度を広げる。対象者の 拡大に伴いサービスの提供が図れるよう十分な財源の確保が必要である。
「障害の範囲」には「程度」も含めて見直す必要がある。身体障害者手帳を 交付されない中軽度の聴覚障害者にも要約筆記等コミュニケーション支援事業 の対象とすべきである。また、中軽度の聴覚障害者には高機能高価格の補聴器 の装用が必要である。現在、身体障害者手帳を交付されない中軽度の聴覚障害 者にも、日常生活において不便があり、コミュニケーション支援事業や補装具 等の利用が必要とされる場合は利用できるよう社会モデルに基づいて仕組みを 変える必要がある。

【松井委員】
障害の定義や適用範囲は、従来のような機能障害だけではなく、活動制限や 参加制約にも注目したものに改められるべきである。

【森委員】
「障害者権利条約」を踏まえれば、現行の法制度に準じるのではなく、「医学モ デル」から「社会モデル」と定義すべきと考える。

○法定サービスメニュー

1.現行規定にない社会モデルの視点に立ったサービスメニューは必要か

【大濱委員】
自分の介護に慣れた熟練ヘルパーでないと必要な介護が受けられない重度障害 者について、入院中でも熟練ヘルパーから介護を受けられるようにするべきで す。
⇒現在の訪問系サービス(居宅介護、重度訪問介護、行動援護)では、入院中 の利用が認められていません。
措置制度の時期(平成15年まで)では、東京都の全身性障害者派遣事業やそ れ以外の一部の市町村の事業によって、市町村が認める重度障害者については 入院中もホームヘルプサービスを利用できました。現在でも、東京都内では20 程度の区市で、それぞれの区市の単独事業として、入院中の支援を実施してい ます。
また、いくつかの市町村では、市町村地域生活支援事業のコミュニケーショ ン事業を活用し、重度障害者が入院中でも支援を受けられるようにしています (言語障害のある重度障害者を対象としている例や、普段は言語障害のない全 身性障害者であっても病状により声が出せない場合も対象としている例、病状 により介護者に対して細かい指示を出すのが困難な場合も対象としている例、 など)。
このように、訪問系サービスとは別のメニューとして入院中の支援が実施さ れているのは、

  • 病院側のルールとして、厚労省保険局の通知で「患者の病状により、又は治 療に対する理解が困難な小児患者又は知的障害を有する患者等の場合は、医 師の許可を得て家族等患者の負担によらない者が付き添うことは差し支えな い」とされている(平成20年3月5日保医発第0305002号 「基本診療料の施設 基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」)。

※ただし、「それらが当該保険医療機関の看護要員による看護を代替し、又は当 該保険医療機関の看護要員の看護力を補充」しないのであれば、という条件 が課されており、また、この通知は同時に、看護の内容として「身体の清拭、 食事、排泄等の世話等療養上の世話」などを挙げています。

  • しかし、現在の訪問系サービス(居宅介護、重度訪問介護、行動援護)では、 入院中の利用が認められていない。
    という事情があるためです。

一方、重度障害者は、たとえ障害種別が同じでも、1人1人の障害特性によって 介護内容が大きく異なります。このため、たとえば重度訪問介護の場合は、従 事資格は20時間研修で習得できる代わりに、個々の障害者の介護内容に応じて 必要な介護技術をOJT(現場での研修)によって習得します。

このように、熟練したヘルパーによる介護が不可欠な重度障害者は、言語障害 のある障害者ばかりとは限りません。言語障害のない重度障害者にとっても、 病気のせいで普段以上に緻密な介護を受けなければならないときに、自分の介 護内容を熟知していない熟練ヘルパーからの介護が受けられないと、さらに体 調が悪化し、睡眠不足や体力低下で命も危険な状態になります。病院の看護職 員にとっても、慣れない重度障害者の介護を行うのは大いに不安です。

そこで、

  • 病院側のルールとして、先ほどの通知の補則で「熟練ヘルパーからの介護を 不可欠とする重度障害者で、市町村が認める場合には、入院中の介護などを 行うために訪問系サービスのヘルパーなどが付き添うことは差し支えない」 という事務連絡を厚労省保険局から出してもらう。
  • 障害福祉サービス側のルールとして、「市町村が認める場合には、入院中の訪 問系サービスについて報酬算定の対象として差し支えない」という事務連絡 を厚労省障害保健福祉部から出してもらう。

などにより、入院中でも熟練ヘルパーから介護を受けられるようにするべきだ と考えます。

痰の吸引以外の医療類似行為についてもヘルパーが行えることを明示するとと もに、痰の吸引を含めて、その条件を緩和するべきだと考えます。 ⇒痰の吸引については、厚労省医政局の通知で、医師からの指導などの条件の 下で吸引を行うことは「当面やむを得ない措置」としています(平成15年7月 17日医政発第0717001号「ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の在宅療養の支援 について」、平成17年3月24日医政発第0324006号「在宅におけるALS以外の療 養患者・障害者に対するたんの吸引の取扱いについて」)。

しかし、重度障害者が生活していくうえで必要となる医療類似行為は、痰の吸 引だけではありません。代表的なものとしては、胃ろう、膀胱ろう、経管栄養、 褥瘡処置、摘便、浣腸、カニューレ、カテーテルなどが挙げられます。そもそ もこれらが医療行為に該当するかどうかは医師法などで明示されていないので、 いわゆるグレーゾーンです。

よって、これらの行為についてもヘルパーが一定の条件で行えることを明示す るべきだと考えます。

それと同時に、痰の吸引を含めて、ヘルパーが行うときの条件を、

  • 医師や看護師から直接研修を受けた場合に限定せずに、医師や看護師から研 修方法も含めて指導を受け、医師が研修講師としてふさわしいと認める先輩 ヘルパーから、体系的な研修を受けた場合。
  • 1人1人のヘルパーについて、吸引やその他の行為を安全に行えるかを障害者 本人が判断できる場合で、かつ、その研修体制を障害者本人がつくることが できる場合。

などの場合でも、吸引やその他の医療類似行為に従事することができるように 緩和することも必要です。

制度の間の継ぎ目のないパーソナル・アシスタンス制度をつくるべきです。

すなわち、労働分野の職場介助や通勤介助、教育分野の支援員などを、厚生分 野の障害福祉サービスに統合して、通勤、通学(高等教育を含む)、旅行など、 本人主体の生活設計のなかで切れ目なく支援を利用できるようにするべきです。

⇒ホームヘルプやそれに似たかたちの制度としては、

  • 自立支援法の訪問系サービス(居宅介護、重度訪問介護、行動援護)
  • 自立支援法の移動支援事業、コミュニケーション支援事業
  • 障害者雇用納付金による「職場介助者の配置又は委嘱助成金」「職場介助者の 配置又は委嘱の継続措置に係る助成金」「手話通訳担当者の委嘱助成金」「業 務遂行援助者の配置助成金」「第1号職場適応援助者(ジョブコーチ)助成金」 「第2号職場適応援助者(ジョブコーチ)助成金」「通勤援助者の委嘱助成金」
  • 普通学校に登校したあとの「特別支援教育支援員」 などが挙げられます。

このように省庁間や省庁内の縦割りになっていることによって、障害者は、生 活のなかで複雑な制度を使い分けなくてはならないのが現状です。

一方で、障害者権利条約第19条b項では、パーソナル・アシスタンスを含めた地 域社会支援サービスの整備の必要性が書いてあります。
そこで、

  • 障害者総合福祉サービス法の特別会計を新しくつくる(このとき、この特別 会計が誰にでもわかりやすいように透明性を高める)。
  • 障害福祉サービスに似たそれぞれの事業について、それに使われている予算 を抜き出し、この特別会計に編入する。
  • この特別会計から必要な予算を支出する

などによって、制度の継ぎ目のないパーソナル・アシスタンス制度を実現する 必要があると思います。

ただし、パーソナル・アシスタンス制度は、全国1800 市町村のどこでも、必要 であれば24 時間の介護が受けられる制度をつくるという優先課題がクリアして から取り組むべき課題であるとも思います。よって、当面は、訪問系サービス での外出先の要件の緩和で対応するべきだと考えます。

【尾上委員】
必要である。
①条約第19 条(b)項には「障害のある人が、地域社会における生活及びインク ルージョンを支援するために並びに地域社会からの孤立及び隔離を防止するた めに必要な在宅サービス、居住サービスその他の地域社会支援サービス(パー ソナル・アシスタンスを含む。)にアクセスすること」と規定されている。
 この中で、「パーソナル・アシスタンスを含む」と規定されている通り、障害 者が地域で自己決定に基づく自立生活・社会参加を実現していくためには、障 害者の主体性を認め、居宅内外を問わず、通勤や通学等の場面においても利用 可能で、「見守り支援」も含めた、パーソナル・アシスタンスの実現が不可欠で ある。
 また、後の項目にも関連するが、脱施設・地域移行を実現していくためにも、 地域でのサポート体制の整備が不可欠であり、その重要な項目としてパーソナ ル・アシスタンスを障害種別に関わらず提供できるようにする必要がある。 ②また、雇用の項目とも関係するが、現行制度では一般雇用と福祉的就労の二 元的な縦割りとなっており、さらに、障害者自立支援法では一般就労至上主義 的な形でサービス体系が再編された。それらのことを根本的にあらため、障害 者の多様な働く権利の実現という視点から、諸外国で行われている賃金補てん 制度や日本国内でも滋賀県や大阪・箕面市等先進的な自治体で行われている社 会的事業所(雇用)制度の創設も求められる。

【勝又委員】
必要 たとえば、障がい当事者で親となった者の子育ての援助、障がい当事者 が子ども以外の家族の面倒をみるときの援助など。

【門川委員】
→ 必要である。
特に、従来の障害の区分におさまりきらない障害者に対するサービス(支援) の提供にあたって、その要件とされる障害認定との関連で、重要である。
一つにはサービス提供の対象者(利用者)として認定される根拠として、従 来型の画一的な医学的診断のみが強調されるべきではなく、当該障害者の状態 に応じて柔軟に対応されるべきであるということ。
もう一つは、実際のサービスメニューの構築と提供においても、従来型の医 学的基準での切り分けにかぎらない、より現実のニーズに即したサービスメニ ューが構想されるべきであるということである。

【川﨑委員】
自己選択権、自己決定権が尊重され、自立意欲、社会参加の希望など、本人の 権利を擁護するサービス。

【北野委員】
A.問3と抱き合わせで、メニューの簡素化と社会モデルに基づくメニューと して、
①居宅支援としての、パーソナルアシスタンスサービス(普遍的介助サービス) と、
②日中活動支援としての、社会活動(支援) ― 社会的就労(支援)―
―般就労(支援)の切れ目のない3類型を、障害者本人の選択を基本として構 築し、
③夜間生活支援としての、多角的な支援付きホーム
と言った形での、普遍化・個別化が必要

【佐藤委員】
全国精神障害者地域生活支援協議会から次の意見が出されている。 在宅生活を送っている人たちの加齢や他疾患に伴う生活力低下に対応してい く支援システムの構築を。安易に入院させない形で、ナーシングケアも含んだ 重装備なホーム的事業(ナーシングケアホーム)として立ち上げる必要を感じる。
また、退院や、GH/CH からの地域移行を目指す人たちの一般アパートへの体験 的・トライアル的入居制度(当初は法人による物件契約、のちに個人契約への切 り替え)も必要。他にGH 入居者の当該地域への定着度を測りながら、GH 自体が 他へ転居する「モバイル型ホーム」(仮称)の制度化(転居費用保障)も考えられ る。
一方で、地域移行支援事業(退院促進支援事業)の法定化を進めるとともに、在 宅者の継続生活支援の観点からのACT 事業の普及を拡大していく必要性を感じ る。

【新谷委員】
(1)コミュニケーション支援事業は、自立支援法77 条第1 項の2で地域生活 支援事業に位置付けられていますが、聴覚障害者個人に対する支援ととらえら れており、コミュニケーションの本質に沿ったものとは云えません。
コミュニケーション支援は、聞こえない人、聞こえる人を問わず、コミュニ ケーションしようとしている人すべてが必要としています。もっといえば、人 が出会い、集まる場に、コミュニケーション支援は求められます。コミュニケ ーション支援は、字幕放送、文字表示なども含め、バリアーフリー、ユニバー サル・デザインと重なり合う部分が多い社会インフラという側面があります。
障害を「障害者と障害者に対する態度及び環境による障壁との間の相互作用」 (権利条約前文政府仮訳)と理解すれば、手話通訳・要約筆記者等のコミュニ ケーション支援は人的な社会インフラとして、必要とするだれもが、必要な時 に、必要な場所で利用出来る社会サービスとすべきと考えます。

(2)総合福祉法が視野に入っていますので、現行の自立支援法では扱ってい ない「電話リレーサービス(TRS)」についてコメントします。管轄省庁がお そらく総務省になると思いますが、総合福祉法は厚生労働省が扱う範囲に限定 されるのかという問題とも関連してきます。
ADAはタイトルⅣで電話事業者に電話リレーサービスの提供を義務付けて います。携帯電話の普及で、聴覚障害者も私人間のメッセージのやり取りは携 帯メールで対応できるようになりましたが、病院や市役所などと至急連絡を取 りたい場合、ファックスでは間に合わず、取り次いでくれる家族などが周りに いないと、手の施しようがありません。カリフォルニア州での年間の電話リレ ーサービスは500 万件を超えると聞いています。日本でも、早急なインフラ整 備が必要です。
当団体が委員参加しています「情報通信アクセス協議会」(オブザーバ とし て総務省、厚生労働省、経済産業省が参加)では企業等の研究者から「電話リ レーサービスは工業標準化法(製品単体を対象)に触れるから電気通信サービ ス(電話リレーサービス等)は除外した方がいい」といった発言が出ており当 団体は強くこれに反対しています。個別具体的な問題についての協議会、審議 会は独自の流れで動いています。障害者制度改革推進本部の設立趣旨を関係省 庁に徹底する必要があると思います。

(参考資料)
電話リレーサービスとは、耳が聞こえない、あるいは言葉が不自由などの理由で電話コ ミュニケーションが困難な利用者のために人間のオペレーターが介在して即時双方向 の会話を文字や手話などで中継支援する福祉情報サービスだ。1960 年代に米国でTTY (文字通信用端末)が開発され、欧米諸国やオーストラリアなどでは聴覚障害者のため の情報福祉政策として普及している。
米国ではTTY(Teletype)とよばれる文字通信専用端末同士で文字による通信(パソ コンチャットのようなもの)ができるほか、専用の電話番号「711」に電話をすれば、 オペレーターが聴覚・言語障害者と相手方との通話を中継支援している。TTY のキーボ ードで打った文字をオペレーターは相手方に声で伝え、相手方の音声メッセージをTTY 利用者に文字で外国語の逐次通訳のように伝えるのである。リレーサービスを運営する 費用は、サーチャージ(surcharge)という電話サービス利用者全員が少しづつ負担す る基金である。2002 年のカリフォルニア州のDDTP(Deaf and Disabled Telecommunications Program)報告書によれば収入は約5000 万ドル(約60 億円)。3600 万人の州民が1 年間にひとりあたり約1.4 ドル(約160 円)負担していることになる。
「近藤 則子(こんどう・のりこ)さんのホームページより引用」

【関口委員】
必要である。
ex.精神でいえば、24時間の緊急相談支援、即時に手軽に使えるシェルターや レスパイトのためのショートステイ、良質な病院の空床確保、高齢入院者のた めの永住できるケアホーム等があげられる。コミュニケーション支援、記録、 証人等のアドボケイトも含まれる。

【竹下委員】
障害のある人に対するサービスは固定的に限定すべきではない。社会の進歩、 社会構造の変化、障害のある人のニーズの変化によって必要とされるサービス も変化していくことが想定されるべきである。したがって、代表的なサービス やこれまで開発されてきたサービスを体系化し、その実施のためのシステムや 手続を法制化するとともに、それらは例示的であって、新たに必要とされるサ ービスについても障害のある人からの請求を検討する協議機関が設けられるべ きである。そして、その協議機関によって提案されたサービスを実施するため の制度化や手続が政省令等によって実現されていくことが必要である。

【土本委員】
必要です。
○仲間たちには、「こそだて」をしている人もいますが、じゅうぶんな支援が うけられません。(「第6条障害のある女性」「第7条障害のある子ども」) ○ちてきの仲間たちには、24じかんのこうてきサービスをうけて地域でくら している仲間がいますが、大切なのは「みまもり支援」「こえかけ支援」です。
○しゅわつうやくのように、かいぎやむずかしいはなしをするときに、いっし ょにいてせつめいしてくれる支援サービス。
○入院するときのてつづき支援や入院中のがいしゅつ支援、入院中の「みまも り支援」「こえかけ支援」サービス。
○入所施設から地域でくらすための、ばらばらではない、いっかつした支援。 (本人のきもちをたしかめる、かぞくや施設とのはなしあい、すむところをさ がしてけいやくする、ひっこし、せいかつするうえでひつようなものをそろえ る、やくしょのてつづき、じぎょうしょとのけいやく、きんせんかんりのほう ほう、こまりごとのそうだん、などなど)

【堂本委員】
中長期的には、障害は個人と社会環境の関係の中で生じると考える社会モデル への転換も必要と考えられることから、自立支援法の障害者の範囲を見直した 際には、それらの視点に立ったサービスメニューが必要と考える。

【中西委員】
社会モデルを前提に、自宅や外出先、勤務先、学校などで分け隔てなく使え るパーソナルアシスタンスサービスが必要。

【久松委員】
サービスメニューのあり方については、「医療モデル」から「社会モデル」ヘ、 また、「サービス受益者」から「サービス支援を受けて社会生活を主体的に営む」、 というように基本的な考え方を変え、すべてのサービスメニューを見直し、多 様な障害に応じた多様なサービスメニューが当然提供されなければならない。
聴覚障害者が社会生活を主体的に営むために必要なサービス支援を自ら選択 決定し利用するためにはコミュニケーション保障が必要である。どのようなサ ービスメニューを受けるにしても必ずコミュニケーションの保障が必要不可欠 となる。従って、聴覚障害者の場合は、サービスとコミュニケーション保障が 一体となったメニューを用意しなければならない。

【松井委員】
現行の法制度では、社会生活上の制約がきわめて大きいにも関わらず、機能 障害が比較的軽い障害者については、社会生活を維持する上で必要なサービス が受けられないという実態がある。そうした実態を改善するには、社会モデル の視点に立ったサービスメニューの提供が求められる。

【森委員】
地域生活を営む権利を保障した場合、例えば、全身性重度障害者の24 時間介護 サービス体制をはじめ、情報・コミュニケーション、政治参加等にかかる法定 サービスメニューは必要と考える。

2.自立支援給付と地域生活支援事業の区分けは必要なのか

【大谷委員】
自立支援給付と地域生活支援事業の区分けは、合理的ではない。特に地域生 活支援に位置付けられた移動支援は多くの問題がある。
地域社会に生きることを権利として認めるためには、移動のための介護は不 可欠である。しかし現行法はこれを、地域生活支援事業に含め市町村事業にし、 しかも実施要綱で「継続的に同じ場所への移動は対象外」とし、通勤・通学に は保障していないのが通例である。
通勤通学という自立した社会生活に最も重要なことが移動支援の対象外であ るということは、障がいのある人の権利の根幹にかかわる。
現在、地域の学校に就学する障がいをもつ子どもは、通学支援がほとんどの 自治体で移動支援として保障されていないため、親が送迎しているのが実情で あり、親が送迎できない場合には、ボランティアやヘルパーを活用している。 これが大きな負担となり、地域の学校への就学を諦めざるを得ないこ ととも なり、結果として障がいがある人(子ども)の学習権をも阻害しているのであ る。
自立支援給付として通学の保障をするべきである。

【大濱委員】
自立支援給付で、通年かつ長期にわたる外出、1 日の範囲を超える外出、障害者 が用意した自動車の運転などが全国ルールとして認められるのであれば、地域 生活支援事業との区分けは必要ないと考えます。

⇒現在の自立支援給付のなかでのガイドヘルプ関連のサービス(通院等介助、 重度訪問介護、行動援護など)では、

  • 通勤、営業活動等の経済活動に係る外出の介護
  • 通年かつ長期にわたる外出の介護(たとえば通学)
    ※市町村が必要性を認めた場合を除く。
  • 1日の範囲内を超える外出の介護(たとえば泊りがけの旅行)
    ※市町村が必要性を認めた場合を除く。
  • 障害者の用意した自動車(本人の自家用車やレンタカーなど)を制度利用の なかでヘルパーが運転すること

などが認められていません。

これに対して、移動支援事業のなかでは、通学支援や自動車運転が認められて いる市町村があります。

総合福祉法で訪問系サービスをつくりなおすときには、このような介護内容も 自立支援給付で認めるべきだと考えます。この場合、地域生活支援事業の地域 間格差の解消という意味でも、自立支援給付と地域生活支援事業の区分けは必 要ないと思います。

一方で、このような介護内容が自立支援給付で認められない場合には、自立支 援給付とは別に地域生活支援事業を残しておくことも必要だと考えます。

なお、通学や通勤の外出介護は非常にニーズが多く、この時間数を含めて支給 決定を行うと予算が大幅に足りなくなってしまうことから、

  • 当分の間、市町村が訪問系サービスを支給決定するときには、従来どおり通 勤や通学の外出介護を勘案せずに支給決定時間数を決める。
  • 一方で、そのように支給決定を受けた時間数の範囲内で、通勤や通学の外出 介護に利用するのは差し支えない(重度訪問介護、行動援護など)。
  • 市町村が通勤や通学の外出介護も含めて支給決定できるように、必要な予算 を急いで確保する。
    という取り扱いにするのが良いと思います。

【尾上委員】
①障害者自立支援法の自立支援給付と地域生活支援事業の区分けは、介護保険 との将来統合を念頭において、介護保険メニューに馴染むものと、馴染まない ものという視点からなされたものと考える。第1 回推進会議で報告のあった通 り、自立支援法訴訟に関して「基本合意」が結ばれている。その中には、「現行 の介護保険制度との統合は前提とせず」と明記されている。そうした点から、 ゼロベースで見直すべきである。
②とりわけ、社会参加に不可欠な移動支援が「地域生活支援事業」という統合 補助金の仕組みに組み込まれることにより、大きな地域間格差をもたらし、外 出目的や範囲等、様々な利用制限を課すことにより、障害者の社会参加を制約 する事態が生み出されてきており、根本的な見直しが必要である。
③また、当面、移動支援やコミュニケーション支援等、パーソナルな支援に関 連した事業で、これ以上の地域間格差をもたらさないために、これらの事業の 実績に対して国2分の1・都道府県4分の1の財政負担を行う等の緊急措置が 求められる。
④さらに、自立支援法の給付体系の中では、自立支援給付と(自治体任せの) 地域生活支援事業だけになり、障害者の地域生活を支える「基盤的施策」を国 としてどう進めていくのかが不確かとなってしまっている。障害者のエンパワ メントをはじめとした支援体制、権利擁護等を進めるための「基盤的施策」を どう展開していくのかを検討することが必要である。

【門川委員】
→ 基本的に必要ではない。ただし、現行制度の下では単純な賛否は述べら れない。なぜなら、双方のメリット・デメリットが錯綜しているためだ。
まず、地域生活支援事業は利用者負担が事実上導入されていない点は評価で き、また比較的少数の利用者が想定される支援事業の実施には適している面が ある。しかし、事業実施のための予算の絶対額が少ない(自立支援給付の10 分の1以下)ため、事業を事実上利用できない障害者も少なくない。そして裁 量的経費扱いである。
一方、自立支援給付は義務的経費であり、相対的に財源は充実しているもの の、たとえば、全身性の重度障害者への居宅支援が十分だとはとても言えない。
さらに事実上の国庫負担基準(シーリング)があるため、自治体はその財政状 態等の事情によって、給付に消極的になる傾向がある。
したがって、現行の二制度を単純に合体するだけではなく、すべての障害者 が量・質両面で、必要で十分な支援が受けられるような制度が構想されるべき である。

【川﨑委員】
地域生活支援事業は、地域の特性や利用者の状況に応じて柔軟に実施できるこ とが利点とされているが、自治体の裁量的任務とされ、その実施形態等が各地 方自治体の判断に委ねられていることが、地域間格差を生む原因となっている。
国の義務的経費として自立支援給付の対象を拡大することの検討が必要ではな いか。

【北野委員】
A.今後地域移行・地域定着支援を進めるに当たって、地域生活支援事業の中 の、相談支援事業及び活動支援センターⅠ型のような、個別給付だけでは、的 確な事業補助が困難なものは、個別給付と事業費補助との併用が必要

【佐藤委員】
移動支援・コミュニケーション支援の2事業は個別給付として位置づけ、他の 地域活動支援事業についてもナショナルミニマムとして地域間格差を解消する とともに、それを超えてサービス提供を行なう市区町村に対して、地域生活支 援事業で補助するという2階建ての制度とすべきではないか。

【新谷委員】
現行の自立支援法では、「地域生活支援事業とは何なのか」という定義規定がなく、 いきなり77 条で市町村の行う事業、78 条で都道府県が行う事業がリスト化され、その リスト化された事業が必須事業と裁量事業とに色分けされています。また、予算面にお いても理由を明示することなく国や都道府県の費用負担は「予算の範囲内において補助 できる」裁量的経費負担となっています。この結果生じていることは、市町村間での地 域格差の拡大と、都道府県と市町村間での事業の隙間です。
法の規定方向としては、自立支援給付・地域生活支援事業の区分を設けるのではなく、 実態調査に基づく必要なサービスメニューを明確にして、必要事業量に対する予算措置 は義務的経費とし、都道府県・市町村間の事業分担においては、都道府県の補充的役割 を明確にして、地域格差・事業の隙間を解消すべきと考えます。

【関口委員】
不要。むしろ、自治体が予算を出すついでに口も出すケースがある。地域間格 差をなくす観点からも地域生活が権利であるという観点からも、見直されるべ きである。

【土本委員】
区分けは、わたしたちにはわかりづらい。
もっともっと、せいどをつかうがわが、よくわかるようにしてほしい。
また、すんでいるところによってつかえるサービスがちがうのは差別です。

【堂本委員】
全国統一的に確保される必要があるサービスについては、法定給付事業とす べきであるが、地域の実情に応じて自治体の独自性を発揮することができる事 業類型も必要と考える。

【中西委員】
介護保険を前提とした区分けであり、前提とすべきではない。

【久松委員】
障害当事者団体の活動への支援、集団への派遣、遠隔地での利用、手話通訳 者等の人材養成など、契約にもとづく個別給付になじまないサービスがあるの で区分けは必要である。地域生活支援事業は、障害当事者団体の活動も含めて、 主体的な地域活動参加を行うことを支えていく性格があり身近で大切な事業で あると考える。ただし、財源については、個別給付も地域生活支援事業も同じ 義務的経費とすべきである。
地域生活支援事業が統合補助金であることから、自治体財源の乏しい地域で は、制限を設けたり、条件付きとしたり、未実施だったりなど地域間格差が拡 大している。必要な財源は必ず確保されるよう個別給付と同じ財源とするべき である。また、国と自治体の負担割合も見直す必要がある。
一方、個別給付も障害程度区分やサービス量上限設定、応益負担などによる 抑制政策により必要で十分なサービスを受けることができなくなっている。自 立支援法以前の状態にもどすことが必要である。

【松井委員】
サービス利用者本位で考えれば、自立支援給付と地域生活支援事業の区分け はすべくでない。サービスメニューを利用しやすいよう簡潔化するためにも、 これらは統合されるべきである。

【森委員】
地域間格差是正の上からも義務的経費にすべきであり、自立支援給付と地域生 活支援事業を区分けする必要はないと考える。

3.法定メニューの障害者の生活構造に沿った再編成とシンプル化についてど う考えるか

【大谷委員】
現行のサービスは、管轄する行政による縦割りで提供されているため、カバ ーされていないサービスを加え、再編成するべきである。
たとえば、近年、特別支援教育では、特別支援教育支援員が学内に配置され ることがあるが、支援員は学内のみの支援に限られているため、学校の送迎に かかわらない。
また、障がいのある子どもが、障がい児ディサービスなど障がい者専用のサ ービスへの参加はできるが、たとえば学童クラブなど地域の子ども用のサービ スを利用できていない。特別支援学校は都道府県立が大半であるため、特別支 援学校に在籍する障がいのある子どもは市町村立の学童クラブを利用すること ができず、放課後地域に居場所がないことも問題である。
さらに就学前の障害のある子(乳幼児も含む)、特に難聴の子どもは、難聴幼 児通園施設に通園するには保護者は負担金を払わなければならないのに、特別 支援ろう学校の幼稚部あるいは乳幼児のための教育相談に通園するときは負担 金もなくむしろ特別支援教育就学奨励費に関する法律に基づき交通費が支給さ れる等の格差が生じている。これも縦割り行政による格差である。
障がいをもつ子どもは、行政の縦割りにそって生活しているのではないのだ から、それぞれの生活にそったサービスの再編が必要である。

【大濱委員】
短時間型のサービス利用を前提とした、サービス量の少ない訪問系サービスの 支給決定に対して、事業者報酬が安い長時間滞在型サービスで支給決定を行う 悪質な市町村への対策として、長時間滞在型サービスを短時間型のように利用 する場合は短時間型サービスと同等の報酬水準に設定するべきです。

⇒全身性障害者が利用できる現在の訪問系サービスとしては、

  • いつも決まった時間に決まった介護を受ければ問題のない障害者むけの、介 護保険の訪問介護に似た、短時間型のサービス(居宅介護)
  • 短時間細切れのサービスでは生活ができなかったり命にかかわったりする重 度障害者むけの、長時間滞在型のサービス(重度訪問介護)
    の2つが挙げられます。

このうち、重度訪問介護は、見守り待機のなかで断続的に介護を受ける連続長 時間型のサービスであるため、1時間あたりの事業者報酬は、短時間に集中して 身体介護の提供を受ける場合(居宅介護)に対して、およそ半分に設定されて います。

しかし、一部の市町村では、短時間細切れのサービス利用を前提にしていなが ら、事業者報酬が安い重度訪問介護で支給決定するという悪質な事例が見られ ます。この結果、サービス提供を引き受けてくれる事業所が見つからずに、障 害者がサービスを利用できない事態が起こっています。

よって、長時間滞在型サービスを短時間細切れ利用する場合は短時間型サービ スと同等の報酬水準に設定することによって、上記のような悪質な支給決定が 行われないようにするべきだと考えます。

長時間滞在型サービスの対象を拡大するべきです。

⇒現在の制度では、知的障害者や精神障害者は、見守り待機を含む重度訪問介 護を利用することができません(障害児も原則として利用できません)。よっ て、総合福祉法で訪問系サービスをつくりなおすときには、短時間型サービ スでは生活できない重度障害者であれば、どんな障害種別であっても、障害 児であっても、長時間滞在型のサービスを利用できるようにするべきだと考 えます。

なお、長時間滞在型サービスが必要な障害者のなかでも、身体介護の頻度や介 護の密度は大きく異なります。たとえば、

  • 長時間滞在型サービスの支給決定を受けた障害者のなかでも、気管を切開し ている寝たきりの最重度障害者は、ヘルパー事業所から敬遠されてサービス が利用できない。

という現在の問題が深刻化する心配もあります。このような問題は、障害の種 別や程度に応じて報酬単価を設定することによって解決できると考えます。

居宅介護計画に対して、訪問系サービスの柔軟に利用できるように改める必要 があります。

⇒介護保険は、現役を退いて老後を自宅で過ごす高齢者をモデルに制度が設計 されています。これに対して、自立支援法は、障害者の生活を一生涯にわた って支援する制度です。ですから、

  • 特に若年の障害者は、就労したり社会参加したりするので、高齢者とは異な り、定型的な生活を送っているわけではない。
  • このような障害者の場合、健常者と同様に日々の予定は常に変動します。こ のため、ヘルパー事業所に居宅介護計画を「標準的なサービス内容」として 作成してもらうことはできても、毎日のサービス利用の時間帯を厳密に定め る居宅介護計画を作成してもらうのは非現実的。

などの点で、介護保険の訪問介護と自立支援法の訪問系サービスは大きく異な ります。

それにもかかわらず、自立支援法の訪問系サービスも介護保険と同様に「計画 に基づいてサービスが提供されなければならない」とすることは、障害者の生 活実態に合致していません。また、アクティブに社会参加する障害者は「計画 に基づくサービス提供」という制度によって日常生活を大いに阻害されてしま います。

たとえば、ある都道府県は法令を拡大解釈し、

  • ヘルパー事業所は、新規利用者の居宅介護計画を作成したときや、それを変 更したときは、そのコピーを市町村に提出し、承諾を得なければならない。
  • さらに、
    「明日だけ、サービス提供の時刻が30分前倒しする」 「明日だけ、1時間の予定だったサービス提供を1時間30分に延長する」 など、サービス提供の細かい変更についても居宅介護計画の変更が必要であり、 ヘルパー事業所は、その都度、市町村に居宅介護計画のコピーを提出し、承諾 を得なければならない。
  • ヘルパー事業所が市町村に毎月提出するサービス提供記録が、少しでも居宅 介護計画と異なっている場合は、その部分について報酬を算定できない。

という厳格な運用によって、
「外出して会議に出席するときも、365日、きっちり時間どおりに帰宅しなけれ ばならない」
「急に病院に行かなくてはいけなくなったのに、土日なので市役所がお休みで、 居宅介護計画の変更の承諾を受けてもらえない」
など、県内の障害者の日常生活が大いに阻害される事態に至っています(現在 は少し改善しています)。

介護保険の優先適用を見直して、介護保険のサービスを利用するのか、自立支 援法のサービスだけを利用するのか、1人1人の障害者が自由に選択できるよう にするべきです。

そのとき、要介護または要支援の障害者が介護保険のサービスを利用しない場 合は、相当額を介護保険会計から総合福祉法の特別会計(前述)に繰り入れる ようにするべきだと考えます。
⇒障害者が要介護認定の年齢に達すると、自立支援法よりも介護保険の方が優 先して適用されます。このため、自分の介護に熟練したヘルパーが2 級資格な どを持っていない場合は、介護保険では適切なサービスを受けられなくなって しまいます。

【尾上委員】
前項で述べた通り、現在の介護給付・訓練等給付・地域生活支援事業は、介 護保険との整合性を念頭においたものであり、障害者の生活構造やニードに基 づいた形での体系ではない。そのため、制度を利用する当事者にとっては使い づらく、事業者にとっては事務が煩雑になる事態が生まれている。
「障害のある全ての人」の地域生活を確立するという視点に立って、障害者 の生活構造・ニードにそって、ゼロベースで再編成すべきである。
その際、障害当事者の主体性を尊重するとともに、シンプル、かつシームレ ス(切れ目のない)支援の確保が必要である。
例えば、グループホーム・ケアホームの区分けはなくし一本化した上で、多 様な居住支援の一つとして位置づけ、さらに、借り上げ賃貸住宅等の住まい方 支援の選択肢を増やしていくことの検討等が必要である。

【勝又委員】
そうすることが、どのような影響があるかについて検討すべき。

【北野委員】
A.1に合体

【佐藤委員】
シンプルで、誰がみてもわかりやすい制度をめざすべき。機能障害別縦割りが 統合されシンプルになるはずだった自立支援法のサービス体系が複雑になった のは、裁量経費と義務経費の区分、介護保険との統合などの要素を加味したた めで、できるだけ純粋に目的・機能で体系化を計るべき。

【関口委員】
再編成とシンプル化は不可欠である。事業所の人員が請求事務に忙殺される事 態は簡素化によりなくすべきである。人の生活は、身体介護、移動、家事援助 等に分断されて存在していない。給付の時間を基本に総額を調整すべきである。

【竹下委員】
(1)障害者自立支援法の構造的欠陥ないし誤りの第1は、障害者福祉サービ スを「自立支援給付」と「地域生活支援事業」に2分したことである。 自立支援給付のうち、就労関係を除くメニューは、介護保険との統合を想 定(予定)していたことが推測される。これに対し、地域生活支援事業のメ ニューには障害の特性や障害ゆえに必要とする固有のサービスが多く含まれ ている。その点で、後者は障害者、とりわけ重度障害者にとって必要不可欠 なサービスがメニュー化されているにもかかわらず、それが市町村任せ(丸 投げ)にされていることは極めて不合理な制度であり、障害者福祉における 地域間格差を招いた最大の欠陥である。

(2)障害者に対する支援を以下の2類型で体系化すべきである。
①障害の種類や程度にかかわりなく必要とするサービス
この類型に属するサービスは従来の障害程度区分や支給量の判定に関係し てくることになる。
②障害の特性に応じて必要となるサービス
この体系に属するサービスは障害程度区分によって支給量が変わることはない し、個々の障害の種類や特性に応じて柔軟なサービスの創設や組み合わせが可 能となるものでなければならない。

【土本委員】
わたしたちの仲間たちは、いきていくうえでさまざまなひつようとするてきせ つな支援が必要です。

【堂本委員】
障害者が利用しづらく、事業者としても実施しづらいために広がらないサー ビスなどについては、再編成とシンプル化が必要となると考える。 なお、現行法では、新体系サービスへの移行は平成23年度末までと中途に あることから、利用者や事業者、市町村等に混乱を招くことのないよう、十分 な配慮が必要と考える。

【中西委員】
詳細な議論は緊急に自立支援法の制度改革委員会を立ち上げて議論する

【松井委員】
障害者のニーズを法定のサービスメニューにあわせるのではなく、個々の障 害者のニーズに応じて、さまざまなサービスを柔軟に組み合わせて総合的に提 供できるような仕組み、つまり、個々の障害当事者のニーズ本位で必要かつ適 切なサービスが提供できるような仕組みの構築が求められる。

【森委員】
「障害者権利条約」の基本理念は、障害者の権利主体性と差別のない社会の実 現であり、その視点から福祉サービスを整理・検討すべきと考える。

4.自己決定支援の必要性についてどう考えるか

【大谷委員】
必要であり、法定すべきである。
自己決定は、自己決定することができる情報へのアクセスの保障とともに、 それが困難な人のためには、そのための支援が保障されていなければならない。
この支援の具体的な方法は、障がい者自身のエンパワーメント事業、相談支 援等多角的に行われるべきである。
なお先述の差別禁止法日弁連案では、この支援を受けることを権利として保 障するべきことを提起したことを参考にしていただきたい。
また、子どもの権利条約及び障害者権利条約にあるように、障害のある子 ど もが自己に影響を及ぼすすべての事項について意見を表明する機会を保障 し なくてはならない。そのためには権利行使のために障害及び年齢に適した 支 援を提供されるような仕組み作りが必要である。これらについては、川西市等 のオンブズマン制度等の取り組みを参考にしたい。

【大濱委員】
「自立=エンパワメント」の観点から、1 人1 人の障害者がその特性を活かして 自己決定できるようにエンパワメントしていく環境の提供が必要だと思います。 そのために、当事者主体の支援機関がエンパワメントの手助けや自己決定のた めの情報提供を行う体制づくりを支援していく必要があると考えます。

【尾上委員】
障害者自身のセルフアドボカシー・エンパワメントという点から必要。
自立の概念で述べた通り、条約が規定し、また、国際的にも確認されてきて いる自立概念の核には、「障害者の自己決定」がある。
その際、先験的に「自己決定できる者」と「できない者」がいるわけではな いことに注意を払う必要がある。そうではなくて、ピアサポートや自立生活体 験等の体験的エンパワメントを経て、時には失敗もしながら、自らの生活イメ ージを確立していくプロセスが含まれなければならない。その意味で、自己決 定支援が必要である。

【勝又委員】
重要 (これは障がい者に限ったことではなく虐待をうけた人や児童などにつ いても重要)

【門川委員】
→ より拡充されるべきである。
障害者による十全な「自己決定」がなされるためには、少なくとも次の三つ の条件がみたされなければならないと考える。
第一は、何を決定するにせよ、決定の対象としての「選択肢」が十分に存在 しなければならないということである。そうでないと、その「自己決定」は空 疎なものになりかねない。なぜなら、「決定」とは「選択」を必然的に伴う行為 であり、「選択の余地がない」状態では、そもそも「決定」する意味がないから である。したがって、当該障害者が「自己決定」する際の対象となる内容(福 祉サービスや社会的参加の内容など)が充実していることが不可欠である。
第二は、「決定」にあたり、十分な情報が当該障害者に提供されなければなら ないということである。かりに決定の対象としての選択肢が抱負に存在してい たとしても、それらについての十分で適切な情報が与えられていなければ、そ の障害者の本来の意思を反映した決定はおぼつかないからである。
第三は、独力での「自己決定」に困難を伴う障害者の場合、本人の意思や利 益を実質的に代理できる権利擁護者や支援者の働きが適切に保障されることで ある。
第一の条件の整備のためには社会資源の拡充や福祉施策の充実が必要であり、 第二の条件を充たすためには、情報提供と「自己決定された内容」の表出に伴 うコミュニケーションの支援やその保障が必要だ。たとえば盲ろう者の場合、 特にコミュニケーションと情報入手の困難が大きいため、十分なサポートがな ければ、そもそも適切な「自己決定」が事実上行えない。また、第三の条件整 備のためには、専門ワーカーの他、家族による支援やピアサポートも含めた、 より柔軟な権利擁護の仕組みづくりが望まれる。

【川﨑委員】
精神障害者にとっては、自己決定支援は必要性が高いものである。自分の意見 などを言い表すことが困難になっている人が多いので、本人の気持ちに寄り添 い、本人が自分の考えを主張し、その実現に力を出せるように支援することが 必要だと考える。

【北野委員】
A.必要
(理由)本人中心支援計画や個別サービスの利用契約は、基本的に本人の自己 決定・自己選択を前提としているが、それが、本人の年齢や性別の一般的市民 の社会参加を前提とするのであれば、その選択にふさわしい経験の積み上げと、 選択し時には失敗してやり直す経験等を、各種の支援等を通じて行いつつ、且 つ、自己決定・自己選択時に、必要な情報等を本人の理解に馴染む形でサポー トする支援者等が必要。

【佐藤委員】
必要と思う。成年後見制度の活用支援とともに、サービス利用時の支援が必要

【関口委員】
基本的に自己決定は憲法および条約に保障された権利である。
支援には緊急性、補充性、それによるメリット・デメリットを勘案した、慎重 な取り組みが求められる。たとえば現行、成年後見では実質的に、後見を外す のは大変難しい。

参考意見:障害者権利条約12条の求める自己決定支援は必要です。
さらに支援を受けるための支援も必要です。
アドボケイトを制度化する必要がありますが、それのみならず、支援を求める ことに援助の必要な精神障害者が多いので、支援を求めるための支援が必要で す。スエーデンスコーネのパーソナルオンブート(すべてを拒否している人に こちらから出かけていき、信頼関係を作っていく、行政からも精神保健福祉そ の他のサービスから独立したシステム)も参考にしたアウトリーチが福祉サー ビスや医療サービス行政から独立して必要です。

スコーネのパーソナルオンブート
http://nagano.dee.cc/swedensd.htm
支援された自己決定を具現化するために、アドボケイトの制度化とともにヘル パーにもアドボケイト機能をサービス内容として認めていくことが必要です。 アドボケイト要請も必要であり、私どもは権利主張センター中野としてすでに 試行事業を開始しています。 全国「精神病」者集団 山本真理

【竹下委員】
理念として障害のある人の自己決定権を尊重(または保障)することは当 然のことである。しかし、現実には自己決定権を確実に、あるいは妥当性をも って実現するためには、自己決定そのものを支援するシステムが必要である。
また、自己決定権には限界があることも明確にしておくことが必要である。
(1)障害のある人が自己決定権を適正に行使するためには十分な情報が提供 されていなければならない。かつ、障害のある人が自己決定を行うための前提 条件として、自由な選択ができる条件(環境)が整っていなければならない。
この情報保障と自由な選択の条件は、自己決定権の不可欠の要件である。
ちなみに、障害のある人が自己決定権を自らの利益のために、あるいは自らの 自己実現のために行使するためには、発達保障あるいは教育が十分に保障され、 本人にとって可能な限りでの判断力が身についていることも必要であることは 言うまでもないことである。
(2)自己決定権の限界は、本人による決定(選択)が客観的に見て明らかに 危険であったり、不利益であったりする場合において、本人の自己決定権の行 使の名の下に放置することが社会正義に反する場合である。その場合は、その 保護者(または代理人)による補充(補足)ないし支援が必要である。したが って、そうした限界事例や明らかに意思決定が困難ないし不可能な障害のある 人にとっては、その保護者(または代理人)による意思決定(または支援)が 実質的には自己決定権の行使と評価すべきことになる。

【土本委員】
わかりやすいじょうほう、せつめいをうける支援サービス。
コミュニケーション(自分でえらんで、きめる)の支援サービス。

【堂本委員】
障害者が適切な福祉サービスの利用を自己決定するためには、支援が必要不 可欠と考える。
相談支援がその役割を果たすものと考えるが、市町村における現状は、必ず しも十分に機能していないことから、先ずはその充実のためのてこ入れが課題 であると考える。

【中西委員】
自己決定支援が必要な場合は、相談事業者によりカリフォルニアのPC-IPP(個 別相談支援)のように、マンツーマンの支援体制を作る必要がある。

【久松委員】
選択できる豊富な社会資源がありインフラが整備されていることが自己決定 支援の前提である。

【松井委員】
重度の知的障害者などについても極力自らの意思が反映した形でものごとが 決められるよう、必要な支援が提供されるべきである。そのためには、そうし た支援を確実に提供できるような仕組みが確保される必要がある。

【森委員】
権利の主体を個人とみれば、その自立は自らの選択・決定と考えるのが妥当で ある。従って、その選択・決定に沿って必要とする支援を提供するのは必然と 考える。

○支給決定プロセス

1.ニーズ把握の基本的視点をどこに置くか
(例えば、本人の障害の状況、本人の自己決定・選択、置かれた環境、及びそ れらの相互関係)

【大濱委員】
もちろん「心身の状態」と「環境要因」と「両者の相互作用」に基づいてニ ーズを把握するべきです。
その際、訪問系サービスの場合は、実際にサービスを利用することを想定し て市町村が必要な時間数を直接見積もるべきです。また、長時間滞在型サービ スの支給決定の場合は、見守り待機の時間も含めて必要な時間数を総合的に評 価するべきです。
⇒なお、家族と同居している場合や通所施設を併用している場合などは、1 人暮 らしを想定して必要な時間数を見積もり、そのなかから家族介護や通所介護の 時間数を差し引くことによって、アセスメントするべきだと思います。

【尾上委員】
障害者の自立・地域社会へのインクルージョンという視点から、基本は障害 者自身がどこに住みたいか、誰と住みたいか、どのような働きや活動をしたい か、どのように余暇を過ごしたいか等を記した「本人中心計画」を、セルフマ ネジメントや(必要な場合は)相談支援機関の支援を得て作成する。(その前提 に、後の項目のピアサポートやエンパワメント支援は不可欠)。
その「本人中心計画」をもとに自治体の担当者と協議・調整をしていくこと になるが、「本人中心計画」を基本に置き、そこで示された生活を実現していく ためには、その本人の障害の状況と置かれた環境の中でどのような支援が必要 かということが、支給決定の際の基本視点となるべきである。

【門川委員】
→ ニーズの把握は、医学的な基準のみで画一的になされるべきではなく、 本人や代理人により表明されたニーズを尊重する姿勢が大切である。
その際、特に次の二点の重要性を指摘したい。
第一は、「障害者のニーズ」の内容について、プライオリティ(優先順位)を めぐる社会的な合意形成を目指すということである。
第二は、ニーズの表明が積極的に、あるいは適切にできない障害者の存在を 想定することである。
第一について言えば、それは施策の実施においては予算の重点的配分のあり 方についての合意ということでもある。
より具体的には、まずは食事や排泄、呼吸の確保など、障害者の生存に関わる 生命維持をめぐるニーズ(生存の基本ニーズ)が最優先にあげられるだろう。
さらに盲ろう者の視点から言えば、「コミュニケーション」、「情報の入手」、「移 動」という三つの領域の活動に関わるニーズ(文化的基本ニーズ)も、「文化的・ 社会的存在」としての人間の生存にとって不可欠であることに留意したい。

【川﨑委員】
基本的視点は当事者本人にある。本人の意向を基にして、障害の状態、家族を 含めた環境、それらを総合的にとらえたケアマネジメントが必要。

【北野委員】
A.まず、本人は家族や支援者とそして何より相談支援者とともに、本人中心 支援計画を策定する訳だが、自己決定支援の際に述べたように、「本人の年齢や 性別の一般的市民の社会参加を前提とするのであれば、その選択にふさわしい 経験の積み上げと、選択し時には失敗してやり直す経験等を、各種の支援等を 通じて行いつつ、且つ、自己決定・自己選択時に、必要な情報等を本人の理解 に馴染む形でサポート」を受けながら、「本人中心支援計画」を策定する。
その際、それが、2の問との関係でどのようにサービス支給決定と結びつくの かといえば、その様にして立てられた「本人中心支援計画」が本人を通して、 自治体のアセスメントSWとの協議・調整に持ち込まれることになる。その際 自治体のアセスメントSWには、どのようなニーズ把握の視点が必要か?
本人の障害の状況と、人的・物理的・社会的環境との相互関係から一般的の導 かれる、基本的に必要な支援ニーズ(ここまでは、ガイドライン化可能)と、 本人の日常生活上のスタイル、例えば朝食のメニュー、整髪やファッション、 日中の仕事や活動スタイルとその移動手段・支援の必要度・移動に要する時間、 帰宅後の活動スタイル、飲酒・喫煙等の状況、トイレのスタイルと一般的に要 する時間・支援に要する時間、入浴のスタイルと頻度、就寝時間と就寝時の支 援スタイル等々 さらには、一般的パターンではない日(旅行・他者の訪問・ 冠婚葬祭等々)さらには、本人の精神的あるいは身体的調子(体調)等の変化 による支援度の変化や気候・天変地異等々、極めて個別的要因をもふまえなけ れば、個々人のサービス支給決定は成立しない。
その事もあって、3のセルフマネジメントとも関係するが、介護保険のケアマ ネジメントのように、ケアマネが細部まで仕切るのではなく、ある程度は本人 とパーソナルアシスタンスサービス(普遍的介助サービス)に任せて、柔軟な 支援体制を取らなければ、一人ひとりの市民生活上の社会参加・参画支援は成 立しない。

【佐藤委員】
①日常生活・社会生活の改善への本人の希望、②その希望を実現するための 必要な方策・支援についての本人の希望、③同年齢の障害のない市民の日常生 活・社会生活の水準の3点を把握する。①、②の希望が本音の希望かどうかを 理解・吟味し、②の方法が①の実現に効果的かどうかを検討し、障害者総合福 祉法によるサービスへのニーズとその他の多様な資源へのニーズを把握する。 ①と③を比べて、このサービス提供が権利条約のいう平等な社会参加のための ものであり、けして特別な贅沢のためでないことを明確にする。

【関口委員】
それらの相互関係と自己申告を基本として勘案すべきである。精神にとっては、 調子に波があること、服薬や状況によって違うこと等にも留意すべきである。

【土本委員】
いままでは、自分たちのいけんをきかずにやってきたのですが、こんどこそ自 分たちのおもいをとうしてわたしたちにかんすることをきめるときには、かな らずわたしたちのいけんをきいてからきめるように。

【堂本委員】
ニーズ把握の基本的視点の一番は、障害者本人の自己決定・選択と自己実現 に置くことと考える。
それが、当該障害者の自立した日常生活又は社会生活のために必要となる適 切なサービスと量の支給決定につながるものと考える。

【中西委員】
ニーズ把握は、あくまで本人のニーズを基本とし、身体機能や能力だけではな く社会参加の状況や、単身か家族同居かなどの環境要因を含むニーズ把握を行 う。

【久松委員】
ニーズに基づく制度を構築する際には本人の意向が反映されることを組み入 れること。
「社会モデル」を基本に、「社会生活をする上で困難」とする「ものさし」をど うするかについては、障害にかかわる専門家による決定機関を設置し審査する 必要がある。必要なニーズについては、サービス量の上限を設定しない。

【松井委員】
本人が地域で生活する権利を保障すること、そして、それを実現するために 必要なニーズおよび支援を総合的に把握する視点が重要である。

【森委員】
障害者一人ひとりの自立と社会参加を図るために必要なニーズに適正なサービ スが保障されるべきである。とするならば、本人の障害状況・置かれている環 境等を単に分けて考えるのではなく、それら相互関係から本人の選択と決定に よりニーズを把握することを基本として考えるべきである。

2.障害程度区分の廃止とそれに代わる協議・調整による支給決定プロセスの ための体制構築についてどう考えるか

【大濱委員】
旧改正法案のような、支給決定に先立って相談支援事業所が支給量を査定する アセスメント方式には反対です。

⇒なせなら、

  • 旧改正法案の作成段階で、内閣法制局は、支給決定プロセスのなかで指定特 定相談支援事業所によるサービス利用計画案を作成するのであれば、支給決 定は市町村にとって最も基本的な行政処分なので、特定相談支援事業所の指 定権者は市町村でないとおかしい、という見解を示しています。
  • しかし、そうすると、支給抑制を行っている市町村では、市町村の意向に従 順な事業所しか特定相談支援事業所の指定を受けられなくなってしまいます。
  • その結果、1日24時間の重度訪問介護が必要不可欠な重度障害者にさえ短時間 細切れのサービス利用計画案を作成してしまう、本人が望んでないのに通所 介護や短期入所の併用を盛り込んだサービス利用計画案を作成してしまう。

など、適切な支給決定が行われなくなってしまいます。

市町村審査会は廃止するべきです。

⇒現在の市町村審査会は、障害程度区分認定の二次判定と、非定型の支給決定 案(市町村が定めた支給決定基準を超える支給量の案)に対して意見照会を 受けることが、その役割になっています。

このうち、二次判定については、障害程度区分が廃止されれば必要がなくなり ます。

また、非定型の支給決定案に対する意見照会については、

  • 支給抑制を行っている市町村では、1日24時間つきっきりの重度訪問介護が必 要な重度障害者であっても、その状態を市町村審査会に詳しく正確に説明す ることなく、短時間細切れのサービス利用を前提とした時間数の足りない支 給決定案を提示する。
  • その支給決定案が必ず選ばれるように、市町村審査会の委員を人選する。
  • 市町村は障害者に対して「市町村審査会が承認したことだから、この内容に 関する市町村との協議は、今後一切応じません」などと言い放つ。

などの悪質な事例が全国的に生じています。よって、支給決定の内容に対する 責任の所在をハッキリさせる必要があります。

障害者本人が自己決定に基づいて申請内容(サービスの種類や量)を作成し、 本人の心身の状態や生活環境をきちんと把握できる当事者機関が、本人との協 議を踏まえて、申請内容が適切かどうかを判定し、その判定に従って市町村が 支給決定するのが良いと考えます。

⇒全国各地で障害者のエンパワメントが進んで、さらにその障害者が他の障害 者に対する支援を行うようになり、全国各地に当事者団体が整備された段階 で、支給決定プロセスをこのように見直すのが良いと思います。

なお、市町村が当事者機関の判定に不服がある場合は、当事者機関に再判定の 依頼し、再判定までの間、障害者本人は、当初の判定に基づいた支給量でサー ビスを利用できることとするのが良いと考えます。
支給決定の内容について障害者が市町村と直接協議・交渉する権利を、障害者 基本法または自立支援法のなかに明記するべきだと考えます。

【尾上委員】
障害程度区分は、「障害者等に対する障害福祉サービスの必要性を明らかにす るため当該障害者等の心身の状態を総合的に示すもの」(自立支援法第4条)と 規定されている通り、「一定の心身の状態がサービスの必要性と一対一対応をし ている」ロジックを前提としている。環境との相互作用等を捨象して「障害」 だけを取り出すことが可能であるかのような想定に立っているとも言え、障害 の社会モデルとは大きく異なる。また、介護保険の79 項目がベースとなってお り、ADL的な視点が強く、そのため知的障害や精神障害では半数(以上)が 変更しなければならない等の結果となっている。
そして、その障害程度区分が国庫負担基準と連動することにより、市町村の 支給決定の場面では事実上の上限として使われる等、多くの問題をもたらした。
そうした点から、障害程度区分を廃止し、協議・調整による支給決定プロセス への転換は、障害者の自己決定の尊重という点から、ぜひとも進めるべきであ る。
ただ、協議・調整による支給決定を行うためには、障害者のセルフアドボカ シーとエンパワメント支援・並びに本人中心計画の作成支援体制が必要である。
また、同時に自治体担当者の障害者の地域生活を基本にしたソーシャルワーク 的力量の構築も不可欠である。
「基盤的施策」として、地域エンパワメント事業(仮)や権利擁護機関、相 談支援機関を整備していくとともに、市町村担当者への条約や本障害者制度改 革の方向性に沿った研修等の実施が求められる。

【門川委員】
→ 現行の障害程度区分の指標は、医学的基準が過度に偏重されており、障 害者の現実のニーズをくみ取れているとは言えない。したがって「障害の程度」 は、「必要とされるニーズの程度」に実質的に置換されていくべきである。
協議・調整・支給決定のプロセスについては、本人およびそのニーズ充足に 共感的なメンバーも含めた委員会などの機関を設置し、丁寧な判断がなされる べきである。
その際、「自己決定」のところで述べたように、①支給される内容の「選択肢」 が十分であること、②情報が適切に提供されること、③必要に応じて権利擁護 の取り組みがなされることがそれぞれ重要である。
このうち、③については、より広くとらえられるべきである。すなわち、狭 義の「権利擁護」だけでなく、本人の立場にたって既存の社会資源や福祉施策 のメニューの水準なども勘案した助言のできる人、いわば「弁護人」の役割を はたす人を必要に応じて配置できるようにしたい。

【川﨑委員】
障害程度区分は精神障害者には適応しないので、廃止を提案する。障害者が地 域の様々なサービスを利用して自立した生活をするために、障がい者、家族の 参加,協労とともに、障害特性を理解し障害者それぞれに適切な支援ができる 人材が、身近なところにいることが望まれる。

【北野委員】
A.1に包摂

【佐藤委員】
障害程度区分は廃止するが、「支援の必要度」を評価する標準的な方法(ガイ ドライン)は開発される必要がある。それはホームヘルプなど、必要な時間数 が確保され、かつできるだけ公平にサービス提供がなされるためである。また、 グループホームや通所・入所施設などの利用にあたって、利用契約制度の下で 支援必要度の高い人が排除されないためであり、事業者に支援量に応じた費用 が支払われるためである。
「支援の必要度」の評価方式は、1次元の数段階で示す自立支援法障害程度 区分方式ではなく、2003-2005 年度に採用された、事業種別ごとの多次元3段階 の支援費障害程度区分を参考にすべきであろう。(その信頼度を高める努力が始 まってすぐに、介護保険との統合のために自立支援法障害程度区分が導入され た。)
また、症状・心身機能・基礎的レベルの活動の100 余項目の評価と実際に利 用しているサービス量との相関を用いて、個々人の「標準サービス量」の「参考」 にするという「統計平均方式」ではなく、食事介護、ガイドヘルプ、作業訓練、 見守り・促しなど必要とされる個々の支援を合計して必要量を導く「個別足し 算方式」が望ましい。
民主党・障がい者政策プロジェクトチーム「障がい者制度改革について」 (2009.4.8)では「サービス支給に係るガイドライン(仮称)」に基づいて「ソ ーシャルワーカー等調査専門員(仮称)」が支給内容案を作成し、それを「障が い者サービス委員会(仮称)」で決定して市町村等に指示するという案が示され ているが、おおむね妥当と思われる。現行では障害程度区分認定と支給決定・ サービス計画(ケアマネージメント)が2 段階、3 段階で実施されるが、ニーズ評 価と支給決定は一体のものとして進めるべきである。
これらのシステムに、市町村、都道府県、相談支援事業者、そして障害当事 者がどう関与するのか十分な検討が必要である。
全国精神障害者地域生活支援協議会から、本人、家族、支援職員の意向を汲 み取ることの重要性がつぎのように指摘されている。
精神障害の場合揺らぎの中で推移し、障害の程度は重いも軽いもその人の中に ある。よって現行のアセス尺度では測れないものも多い。当事者ニーズを基本 に、生活実態に基づいた家族・支援関係者の意見を最大限くみ取るべきではな いか。その中身として、身体介護の必要度は低くとも、服薬見守り、日常生活 での援助やうながし、対人関係調整等の支援の必要度は高いという認識に基づ いたくみ取りが大切。

【関口委員】
現行、精神では障害程度区分が他障害と比べてとても軽くでる。本人のニーズ に沿ったサービスを考えると、程度区分は廃止すべきである。また、手帳にせ よ程度区分にせよ、はなはだ侮辱的な質問があり、正直には答えにくい。私は 主治医の意見書には、「せいぜい悪口を書いてください」と言っている。
支給決定プロセスは、当事者とよく話し合い、サービスがなければ、創るとい う柔軟な対応が求められる。また、質問の目的は地域生活確立のためであるこ とは言うまでもない。

【竹下委員】
適正な支給量は、個人的要因と社会的要因と支援の限界とによって決せら れることになる。障害程度区分は支給量の基準としては不適切であり、廃止す べきである。
(1)支給量は必要にして十分なものでなければならない。それは個人の尊厳 の保障、あるいは生存権の保障という見地からして当然のことである。
問題は何をもって「必要かつ十分」と見るかである。この点については、原 則として本人のニーズ、あるいは本人の自己決定が第一次的な基準となる。し たがって、第一次的には障害の種類や程度は原則として支給量の基準とはなり 得ない。
(2)他方、支給量は社会的要因によって常に変化するものである。たとえ、 本人のニーズや自己決定を尊重するとしても、社会的評価として「無駄」と判 断される場合や「過剰」と評価される場合には、支給量の調整が図られること になる。これは、単に経済的(財政的)要因のみを指すのではなく、社会生活 や日常生活における行動範囲や「必要不可欠性」といった価値基準が持ち込ま れざるを得ないし、社会的認識(地域市民等の日常的な援助を含む)も関連し てくるものと言わざるを得ない。
(3)問題は、本人のニーズや自己決定とそうした社会的要因(社会的評価) との調整をどのようにして図り、支給量を決定するかである。この点について は、調整機関としての第三者委員会がその任に当たることになる。そして、第 三者委員会が本人のニーズや社会的環境を十分に斟酌したうえで裁定した支給 量に対し、本人に不服がある場合は、司法機関による審査の可能性(手続)も 準備されていなければならない。

【土本委員】
区分でつかえるサービスやりょうが、かってにきめられてしまうこともある。 本当は、どんなこんなんをかかえているか、それでサービスをつかえるように していくべきです。
てちょうのはんていくぶんやしょうがいていどくぶんで、つかえるサービスな どをわけて、せいげんするのをやめてほしい。

【堂本委員】
新たに、現行システムに代わる協議・調整による支給決定プロセスを構築しよ うとするのであれば、明確な基準づくりなど難しい課題が多くあると考えられ ることから、十分な検討が必要である。

【中西委員】
新しい体制の構築は必要であり、そこには障害者が必ず参加する。

【久松委員】
障害程度区分は、自立支援法が将来、介護保険制度と統合する構想もあった ため介護保険の要介護認定を元にしている。介護保険制度との統合がなくなっ たことから、障害程度区分を廃止し、障害者が必要とする福祉サービスを受け られる仕組みについてゼロから検討が必要である。聴覚障害または聴覚と他の 障害を併せ持つ重複障害に関しては、どのような福祉サービスを受けるのか、 聴覚障害の特性への配慮は何なのか、どのようなコミュニケーションを選択す るのか、社会的資源の整備が必要となるのか基本的な考え方を整理する必要が ある。
上記の整理のためにろう重複障害者施設と在宅の両方の実態調査を行い、支援 費制度の評価、外国の事例等も調査し論議していく必要がある。また、利用者 のサービス利用の決定を行うため、障害にかかわる専門家による決定機関の設 定が必要だと考える。

【松井委員】
本人の機能障害状況および生活環境などを総合的に考慮しながら、本人が望 む地域生活を実現するために必要な支援について本人およびその支援者(権利 擁護者)と市町村などのケアマネジメント担当者などが協議して個別支援計画 を決め、それに基づいて支援サービスを提供するという仕組み、ならびにその 支援計画の妥当性および有効性についてモニターし、必要に応じた修正ができ るような仕組みがあわせて構築される必要がある。

【森委員】
障害程度区分により全てのニーズとサービスを決定する現行の方法は、これま で指摘されているようにサービスの支給不可や制限等の重大な問題がある。個 人ごとの適切なサービスの支援を行うことを大原則に、障害者一人ひとりのニ ーズに細やかに応じた支給決定ができるシステムを構築すべきである。

3.セルフマネジメント・本人中心計画と相談支援機関、ピアカウンセリング・ ピアサポートの役割についてどう考えるか

【大谷委員】
これらすべてが必要であり、法定されるべきである。
特に相談支援事業については、ワンストップであるべきであり、包括支援セ ンターが必要である。これについては千葉県で取り組まれている中核地域生活 支援センターが参考になると思われるが、この内容については堂本構成員から 報告されると思います。

【大濱委員】
障害者本人を権利とエンパワメントの中心に据えた、社会モデルに基づく支援 へとパラダイム・シフトするために、相談支援専門員の実務経験を見直す必要 があります。

⇒相談支援専門員になるには、職務内容に応じた実務経験が課されています。
たとえば、入所施設の従業者の場合、相談業務であれば5年、介護業務であれば 10年の従事年数が必要です。しかし、現在の実務経験では、重度障害者の地域 移行や在宅生活の支援ノウハウを有する者を拾いきれていません。
たとえば、訪問系サービスの事業所の従業者の場合、相談業務のカテゴリがな く、介護業務で10年の従事年数が必要です。しかし、そもそも旧支援費制度の スタートからまだ7年しか経っていないので、誰もクリアできません。
また、長時間滞在型の訪問系サービスを必要とする重度障害者の地域移行や、 高位頸髄損傷者やALS 患者などの専門医療と連携した在宅生活支援では、指定 事業所よりもむしろ障害当事者団体の方が中心的な役割を果たしてきました。
ですが、障害者団体の活動は公的な支出に基づくサービスではないため、実務 経験にはカウントされません。このため、現在の実務経験では、多くの支援ノ ウハウを持っている障害当事者を拾えません。

【尾上委員】
前項で述べた通り、先験的にセルフマネジメントが「できる者」と「できな い者」がいるわけではない。相談支援やピアカウンセリング・サポート、自立 体験等を通じたエンパワメントが不可欠の前提である。
その点から、本人中心の立場に立った相談支援機関(例えば、障害当事者や 家族で過半数を占める運営委員会で運営される等、行政や事業者からの「中立 性」)と、ピアカウンセリング・ピアサポートの充実が求められる。
条約第26 条に、「特にピア・サポート〔障害のある人相互による支援〕を活 用し」と強調されている点からも、ピアサポートについては、今後の制度にお いて、メニュー事業ではなく基本事業として位置づける必要がある。

【勝又委員】
重要 障がい当事者のエンパワーメントが前提

【門川委員】
→ ピアカウンセリング・ピアサポートについては、原則としてその必要性 と重要性は認める。
しかし、「ピアサポート」が過度に特権化されることには問題もある。たとえ ば「ピアサポート」にあたる人はだれか、その人は適切な力量を所持している か、などは常に吟味されるべきことである。したがって、有効なピアサポート の実現のためには、ピアサポーターの養成や身分保障の仕組みづくり、不断の 研鑽を支える仕組みづくりなども必要である。

【川﨑委員】
ピアサポートについて、同じ病気、障害を持っているもの同士が一番の理解者。
また、同じ障害を家族に持つ家族もまた、当事者である。家族同士の支えあい は、家族に力を与える。ピアサポートの制度化と財政的措置が必要。

【北野委員】
A.1が成立するためにも、一人ひとりの障害者が、それぞれの人生経験を積 み上げながら、そのライフスタイルを形作っていくわけだが、そのためにも、 ロールモデルや人生モデルになるようなピア(仲間)のサポートが必要。特に 精神・知的・身体ともに重度の障害者の場合は、地域で自立生活するピアのロ ールモデルが無ければ、自分が施設・精神病院や親元を離れて、地域自立生活 ができるイメージが湧きようもない。そのサポートやカウンセリング・アドバ イス等があって始めて、それが可能となる。

【佐藤委員】
本人のみによるセルフマネジメントや、ピアサポートなどの支援者を活用し てのセルフマネジメントはできるだけ行うべきである。「支援関係(ラポール形 成と日常的接点)」を基にした共同作業としての支援計画作成という考え方もあ る。自分のニーズにあったものができやすいし、支援の活用によりより主体的 に社会参加がなされることになる。また、ケアマネージャーの負担を軽くし予 算の節約にもなる。ただし、「障がい者サービス委員会(仮称)」などによる評 価・承認が必要とされる。

【新谷委員】
中途失聴・難聴者は聞こえなくなったとき、心理的・病理的なサポートを必 要としています。とくに心理的に動揺している聞こえなくなった人を、地域で サポートする仕組みが必要です。地域での耳鼻科医、言語聴覚士、補聴器装用 技能者、ケースワーカー、カウンセラー、ボランティアなどと連携し、同障者 が参加する支援システムが必要です。高齢者には介護を中心とした地域のサポ ートシステムが構築されていますが、中途失聴・難聴に対するそ行政による取 り組みはなく、当事者団体が細々とやっているのが実情です。補聴器や中途失 聴・難聴者専門の支援知識を持った相談員事業、当事者による相談事業は非常 にニーズの高い、実効性のある事業と考えます。

【関口委員】
相談支援機関が相談指導機関になってはならない。ピアサポートというかアド ボケイト(支援者)が必須である。そのうえで、セルフマネジメントに必要な 知識を得たり、決断が出来る。カウンセリング以上に同行等のアウトリーチが 求められることも多い筈である。
参考意見:他のものと平等な地域生活確立のために本人が力をつけていくため にはアドボケイト(セルフアドボカシー及びシステムアドぼかしー双方)が必 要であり、カウンセリング活動では解決できないことが多い。
当事者団体がアドボケイト組織を運営しそれにより、相互支援活動をしていく ために障害者団体への予算措置が必要です。全国「精神病」者集団 山本真理

【竹下委員】
セルフマネジメントや相談支援(ピアカウンセリングを含む)は自己決定 権を保障し、あるいはそれを支える制度として構築されるべきである。
障害のある人の自己決定権が尊重されるとしても、適正な自己決定権を行 使するためには、十分なマネジメントができる情報やテクニックが必要である し、自己のために相談に応じてくれる第三者(カウンセラー)の存在は不可欠 である。

【土本委員】
本人が中心となった計画もひつようとおもうが、けいけんがすくなく、ほかの くらしをそうぞうすること、自分のきもちをことばでつたえることがむずかし い仲間たちには、計画的に地域のくらしをたいけん、けいけんできるよう支援 するひつようがある。
ちてきの仲間たちのピアカウンセリングは、必要とするときは支援(きろくや じょげん)をうけられるようにすること。

【堂本委員】
特に、重度障害の当事者によるセルフマネジメント・本人中心計画について は、相談支援機関やピアカウンセリング・ピアサポートが関わって、連携して 支援を行っていくことが必要と考える。
しかし、地域移行に伴って相談支援事業は非常に重要な役割を果たすことに なる。障がい者の支援は相談から始まり相談に終わり、相談の内容によってサ ービスが用意され、多様な社会資源が開発されこととなる。したがって、相談 支援専門職は本人主体のケースマネジメントを含む地域生活支援相談、人の暮 らしの「要」として必要なのであり、相談支援は障がい者制度の基盤事業のひ とつとして検討されるべきである。
人材検討部会の設置を求めるものである。

内容

  • 相談支援専門員(障害者ケアマネジャー)
  • 教育、研修内容の検討
  • 相談支援が事業として成り立つ経済基盤の検討
  • ソーシャルワーク専門職である社会福祉士・精神保健福祉士を基本と して研修を行い認定する
  • 障がい者ケアマネジャーの養成(本人中心支援計画、エンパワメント リカバリーについて学ぶ)

(注)自立支援法では、相談支援専門員が設置され、本人の生活の場で的確な アセスメントを行い、ニーズを明らかにして支援のケア計画を立てており、こ うした『相談支援』を行う専門職業が必要なのである。先進諸国には多数の相 談支援専門職がいて、障がい者の地域生活を可能としている。

【中西委員】
障害者の権利を守る前提として必要不可欠なものである。
今まで構築されてきた自立生活センターのノウハウを利用し、重要性を認識 すべきである。

【久松委員】
相談支援機関は本人中心の支援をおこなう有効な支援システムであり、障害 者の権利条約に照らし誰もがいつでも相談支援を受けることができるしくみが 地域生活の確立に結びつくためにも必要である。その中で当事者相談員の役割 が重要になる。聴覚障害の特性に配慮し、コミュニケーションについて心配す ることなく、本人の求める言語・コミュニケーションで直接、相談できるよう にするためには、相談支援する聴覚障害を持つ人材の養成・確保が必要である。 地域移行を本格的に進むために、夜間も含めて柔軟な相談支援体制の整備が 重要である。しかし、現状では低廉な委託料で研修費用の確保もできない中で、 相談支援にあたる個人の意欲の中で行われているのが実情である。専門的な相 談支援体制(手話による相談もできることを含む)確保のための法的な位置づ けと人材養成、財源確保が必要である。
地域活動支援センター事業を、市町村単位だけでなく都道府県でも広域実施す るという内容にする必要がある。集団での支援の場合は、コミュニケーション 方法が異なるろう者は、聞こえる他の障害者と一緒に支援を受けると集団の中 で孤立することになる。市町村単位でのろう者集団限定の支援事業も数的に限 りがあり、都道府県の単位での事業を実施する必要がある。

【森委員】
障害者本人のニーズと、それに対するサービスは本人が一番よく知っている。
そのためのセルフマネジメントの体制は必要である。また、相談支援機関は、 地域を中心として、地域の特性に鑑み、社会資源を活用したネットワーク体制 を構築することが必要と思われる。その上で、専門相談員の役割とは別に、法 的根拠のある障害者相談員の活用を図るべきと考える。

4.不服の場合の異議申立手続きについてどう考えるか

【大濱委員】
障害者が自立した生活を営むのに必要十分な支給決定を市町村が行っている か、支給決定の内容に踏み込んで審査するように改める必要があります。
また、都道府県審査会も障害当事者が過半数を占めるメンバーで審査するべき だと考えます。

⇒現在の都道府県審査会では、市町村の支給決定に瑕疵がないか(法令で定め られた手続きや基準などに違反していないか)しか審査しません。このため、 現在の制度では不服審査としての意味がほとんどありません。

たとえばサービスの支給量については、市町村自身が定めた支給決定基準を前 提にして審査することになっています。このため、そもそも支給決定基準その ものが不十分な内容だったとしても、不服審査の対象にならないのが原則です。

また、訪問系サービスの支給決定時間数に関する不服審査請求に対して認容の 裁決を都道府県が下した場合でも、市町村が支給決定時間数をたった30 分だけ 増やした内容で再処分する事例もありました。

【尾上委員】
協議・調整モデルに基づく支給決定を進めていくためには、すみやかに不服 申し立てができる仕組みが必要である。行政裁判所のような仕組みを、そのま ま導入はできないとしても、異議申し立て手続きの検討が求められる。

【勝又委員】
手続きはなるべく簡素で、異議申立が状況の改善につながることが重要

【門川委員】
→ 異議申し立てやそれに関連する相談を受けつける機関は必要である。
その際、当該機関には必ず当事者の立場を理解できる相談員が常駐すべきで ある。弁護士や障害者団体の職員など、その属性・立場は問わないが、不利な 弱い立場に置かれがちな当事者の権利を擁護できる相談員でなければならない。
また、障害者本人だけでなく、必要に応じて家族や支援者などからも、不服申 し立てができる仕組みにすべきである。

【川﨑委員】
不服申し立ての機会,手続きは常に用意されるべきであり、公正な第三者機関 の設置が必要と考える。

【北野委員】
A.市町村の決定に対して、市町村に不服申し立てすることは、原則的に不可。
タダシ、諸外国では、障害福祉課の決定に対して、民政局長にまず不服申立を して、それでダメなら、県レベルに不服申立をするシステムを取るところもあ る。(わが国で、課や局の裁量や権限がそれ程明確とも思われないが?)
県レベルの不服申立システムは、現在のような主に書類のやりとりによる不服 審査会ではなく、アメリカ型の行政法審判官(ARJ)型の専門的ジャッジを 擁する対面型の行政裁判的公聴会(Fair Hearing)のような双方を拘束する仲裁 権限をもつことが望まれる。
協議・調整モデルでは、すみやかに不服申立ができる、すみやかに採決がな されることが、双方の利害にかなう。問題は、サービス支給決定に対して異な る結論が出た場合、それを市町村に強制するのか、差し戻すのかである。

これは、その他の1.現行の障害程度区分に基づく国庫負担基準の問題につい てどう考えるか
2.障害者の地域生活のための財政負担の強化についてどう考えるか
3.地域間格差をどのようになくしていくのか
等とも関係するが、他市町村からの転入のケースや一定以上のサービス量を 超えるケースは、県にプールされた基金から支払われると言うことも考えられ る。(例えば、パーソナルアシスタンスサービスが週20時間を超えるケースは、 スエーデンのアシスタンス給付法では、国が全額費用負担している。)

【佐藤委員】
利用しやすい異議申立手続きが必要であり、その手続きの支援体制も必要で ある。法的裏付けを確保した上で自立支援協議会の中に位置づけるのも一案で ある。その際、自立支援協議会、審査機関に当事者の参画が認められることが 前提となる。また支給決定が市町村なので、異議申し立ては都道府県レベルに 第3 者的機関を設けることも考えられる。

【新谷委員】
一次的には行政窓口の適切な対応が大きいと思いますが、異議申し立てになれば障害者 差別禁止法に規定される救済機関の対応、最終的は司法機関による決着と考えます。

【関口委員】
現行、行政不服審査請求が出来るが、知らない人も多いし、請求及びその結果 が共有されていない。個人情報は伏せるにしても公開性、透明性を高めるべき だ。より簡便な斡旋委員会のようなものも考えるべきで、制度に乗らないニー ズについては制度の改変、創造、横断的利用も含めて柔軟に対応すべきである。
この際にも一定の知識を持ったアドボケイトが必須である。

参考意見:何らかのサービス法内部の不服申し立ても必要であるが、普遍的な 人権救済システムによる簡易で迅速実効性のある体制が必要です。
国内人権機関に期待します。 全国「精神病」者集団 山本真理

【竹下委員】
支給量、利用者負担、合理的配慮事項などの支援方法に関し、本人の意思(自 己決定)と合致しない支援が決定された場合には、その調整機関としての第三 者委員会の設置が必要である。第三者委員会は、障害のある人、専門家及び公 益代表者によって構成され、行政機関はオブザーバーないし情報提供者として の役割を担うべき存在として位置づけられるべきである。
第三者委員会の裁定に対し不服のある本人または事業者(時には行政機関)
は、司法機関に審査を申し立てることができるものとしなければならない。

【土本委員】
なっとくいかないときは、さいばんするしかないのは、時間もお金もかかって こまる。
必要とするてきせつな支援がうけられなくて、仲間たちはなやみ、くるしんで いる。

【堂本委員】
異議申立手続きは、当事者である障害者等にとって、分かりやすい簡便な手 続きとなるよう検討することが必要である。
現行の手続きにおいては、障害者が、あるいは代理人が行う場合でも、一連 の手続の意味・内容が分からないという意見が審査庁に寄せられることがあり、 障害者等の権利利益を保護するという不服申立て制度の趣旨を考慮すると、障 害者等にとって、できる限り分かりやすい簡便な手続きであることが求められ る。

【中西委員】
自立支援法訴訟で取り上げられた事項については、すべて対応すること。

【松井委員】
本人およびその支援者(権利擁護者)と市町村のケアマネジメント担当者な どによる協議により策定された支援計画に基づき提供される支援サービスにつ いて不服がある場合、その異議申し立てを受け付け、必要な是正措置を勧告す る第三者機関を整備する必要がある。