音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ


WWW を検索 サイト内を検索 Google

メールマガジン登録

公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会

障害者情報ネットワーク

日本障害者リハビリテーション協会の活動にご支援をお願いします。(ご寄付)

JDF東日本大震災被災障害者総合支援本部

被災者生活支援ニュース(厚生労働省)

マルチメディアDAISY(デイジー)で東日本大震災に関わる情報を

障がい者制度改革推進会議

DINFのお知らせ

シンポジウム 「もっと知ろう、デイジー教科書を!」
日時:2013年02月03日(10:30~16:00)
場所:戸山サンライズ 大研修室
 

Enjoy Daisy 読めるって楽しい!

公益財団法人日本リハビリテーション協会は国際シンボルマークの取扱いを行なっています。

障害者福祉の総合月刊情報誌『ノーマライゼーション』発売中

マルチメディアDAISYのCD-ROM付き絵本『赤いハイヒール』発売中

障がい者制度改革推進会議 第31回(H23.4.18) 佐藤久夫委員提出資料

2月14日「障害者基本法の改正について(案)」についての意見

2011年2月28日 佐藤久夫

1 p1「定義」について

意見:

障害者の定義を次のように変える。

一障害者の定義を、身体障害、知的障害、精神障害その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、その心身の機能の障害及び社会的種々の環境の障壁により継続的または断続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいうものとすること。

参考 2月14日案

一 障害者の定義を、身体障害、知的障害、精神障害その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいうものとすること。

参考 改正したもの(修正記号なし)

一 障害者の定義を、身体障害、知的障害、精神障害その他の心身の機能の障害がある者であって、その心身の機能の障害及び種々の環境の障壁により継続的または断続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある者をいうものとすること。

理由:

眼目は「障害の定義」を設けないこと。

0214案では、「障害」は医学的な状態で、個人の内部にあるものという典型的な医学モデルである。権利条約の「障害」の考え方(機能障害と障壁との相互作用の結果としての社会生活の困難)と矛盾する。しかし権利条約をそのまま持ち込むと「心身の機能の障害」による差別が「障害による差別」に含まれないことになる。

定義を設けず、心身の機能の障害も日常生活又は社会生活の相当な制限も、すべて障害と考えることとするのが現状ではもっとも適当である。

「断続的に」の挿入は、病状やその生活への影響に波があり、そのため障害者手帳の対象から除外されてきた人々をふくめるために必要である。なお「周期的に」という表現がたびたび推進会議で提案されたが、(睡眠時にのみ酸素補給を要するなど)決まった周期で生じるという意味にとらえられる可能性があり、より広い意味を持つ「断続的に」に含まれると考えた。

環境の障壁の中で社会的なものがもっとも重要であることは間違いないが、自然環境も考える必要がある。たとえば雪、寒さ等の自然環境に伴う生活の制限で困っている障害者が配慮の視野から消えてしまうことは避けねばならない。

2 P2「(3)地域社会における共生等」について

意見:

第二、第三項の「可能な限り」を削除し、第一、第二、第三項の「機会が確保される」を「権利を有する」に修正すること。

理由:

2月14日案と推進会議の認識との「ずれ」は、障害者の生活実態を憲法13、14、25条などの基準に照らして、また障害者権利条約の視点に照らして、どう評価するかの認識のずれによると思われる。地域生活支援が不十分であるために20万人、30万人とも推測される障害者が社会的入所・入院を長期にわたって余儀なくされている現状など、明らかに上記基準・視点に反する事態が生じている。

戦後の障害者施策や科学技術の進展等に伴って生活状態の改善がなされた障害者もみられるものの、依然多くの障害者が平等で尊厳のある生活からはほど遠く、従来とおなじ政策理念ではこの改善が見込めないと多くの関係者が感じている。

健康で文化的な最低限度の生活を保障された障害者が、それ以上の豊かな生活を目指そうとするのであれば「可能な限り」の社会的支援を提供するのでよいかもしれない。その保障はおろか平等、自由、尊厳の面でも放置できない事態があるのであるから、明確な権利とすべきである。

3 p7「基本的施策」について

意見:

各則に福祉施策の根拠条文を独立させること。

理由:

障害者基本法は障害者に関わる基本的な考え方を示すとともに、国でも地方でも障害者施策を総合的かつ計画的に実施するために設けられている法律である。障害者施策の各分野の中で「福祉」は日常生活・社会生活を支える機能の面でも、法律面でも、予算面でもきわめて重要な位置を占めており、この現実を反映しない基本法改正案の各則の構成は大変疑問である。対個人への支援という性質上、「医療」と似た表現の条文が多くなるにしても、独立させるべきである。

これは、障害者施策の関係者が総合的な体系を共通理解として持つためにも、一般国民に障害者理解をわかりやすいものとするためにも、必要である。(障害者施策=障害者福祉という誤解が依然根強い。)

また、「福祉(障害者福祉)」の概念には歴史的経過もあって多様な支援が含まれているとはいえ、「医療」とは基本的性格を異にする。にもかかわらず1つの条文にまとめられることによって、あるべき福祉支援がゆがめられる危険性も存在する。


2011年2月22日

障がい者制度改革推進会議
議長 小川 榮一 殿
総合福祉部会
部会長 佐藤 久夫 殿

全日本国立医療労働組合
委員長 岸田 重信

重症心身障害・筋ジストロフィー・神経難病に関する要請書

貴職におかれましては、障害者施策の抜本的な改革にむけて日々ご尽力いただいていることに感謝申し上げます。

国立病院は、障害者自立支援法の対象となっている重症心身障害病床約7,500床(国全体の4割)、筋ジストロフィ―病床約2,000床(国全体の9割)を有しています。

制度改革の議論の中では、「脱施設化」が一つの焦点となり、施設の解体論まで出されていますが、病院・施設が在宅・地域生活支援の役割を果たすとともに、施設か在宅かの二者択一ではなく、その時々の状況にあわせて、必要な支援を選択できる体制が必要と考えます。

重症心身障害や筋ジストロフィー・神経難病の患者さんは、全面的な介助が必要で、自らの意思表示が困難であることも多く、超重症児や人工呼吸器装着者など、濃厚な医療的ケアを必要とする患者さんも増加しています。新法の制定にむけて、医療と福祉の両方の拡充が必要です。

しかし、日本の医師・看護師の配置は、諸外国に比べても非常に少ないにもかかわらず、公務員人件費削減や独立行政法人改革の中で、国立病院に対しても、人件費の一律削減やさらなる経営「合理化」が押し付けられています。夜間は数十人の患者さんをわずか2名で看護にあたる病棟が多く残され、病棟の大規模化(60床化)による効率追求など、障害者制度改革のめざす方向とは逆行する事態となっています。

また、介護職員に、医療行為を行わせる方向で検討が進んでいますが、医療機関において安易に医療行為の規制緩和を行うことは、患者さんの生命にもかかわる問題です。加えて、介護職員は、将来展望のもてない低賃金となっており、人材確保のためにも、処遇改善が求められています。

医療を必要とする重い障害のある児者が、安心して必要な医療・福祉サービスを受けられるよう、人員体制を中心に、次の事項を要請します。なお、参考資料として、重症心身障害・筋ジストロフィー・神経難病病棟に関する実態調査結果など資料(別紙)を添付致します。

1、現在入院されている患者さん・ご家族の意向を尊重し、療養を保障するとともに、退院後も必要に応じて適時入院できる制度として下さい。

2、政府方針で実施されている人件費の一律削減及び運営費交付金の一律削減の対象から、国立病院を除外し、重症心身障害、筋ジストロフィー・神経難病病棟の充実を図るとともに、短期入所や通園事業の体制を強化して下さい。

また、重症心身障害や神経難病など政策医療を支える一般医療の診療体制の強化と病院の安定した運営を図って下さい。

3、障害や疾病にみあった人員配置基準と報酬体系を整備し、人員体制の拡充を図ってください。

重症心身障害や筋ジストロフィー・神経難病の患者さんは、全面的な介助が必要で、自らの意思表示が困難であることも多く、身体の拘縮や変形、骨密度の低下もみられます。職員には、専門的な知識・技術と経験が求められ、重症心身障害の特性を十分理解した上で発達支援を行う職員配置も必要です。さらに、超重症児や人工呼吸器装着者の増加など、医療の必要性も高まっており、看護師による夜勤体制の強化が喫緊の課題です。

また、現在は、障害者自立支援法・療養介護事業への移行の経過措置期間中であり、移行にむけて生活支援員などの増員が進められてきましたが、同法の廃止後の体制が不明であることから、不安が広がっています。人材確保・育成には一定の期間を要することはいうまでもありません。支援法の廃止、新法制定にあたって、現行法制より人員体制を後退させないことを明確にし、人材確保・育成、事業の円滑な運営を図ることが必要です。

①自立支援法の廃止、新法制定にあたって、現行の人員体制の維持・改善を図ることを明確にし、現場を混乱させることなく、人材の確保・育成、事業の円滑な継続が行われるようにして下さい。

②生活支援や療育を担う職員として、指導員、保育士、介護職員など常勤・有資格者の配置を位置づけて下さい。

③看護師の夜勤体制は、準夜・深夜とも最低でも3人以上とし、人工呼吸器の使用台数に対して看護師配置基準を定めるなど、改善を図ってください。

④重症心身障害や神経難病の医療を担う医師を育成・確保して下さい。

⑤人工呼吸器の安全管理対策を抜本的に強化し、臨床工学技士の複数配置を行なって下さい。

⑥リハビリを充実するために、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理療法士の配置を位置づけ、増員を図ってください。

⑦介護労働者の教育・研修体制を充実するとともに、処遇の改善を図って下さい。

4、医療機関において、医療職以外の介護職員等に痰の吸引や経管栄養などの医療行為を行わせる規制緩和を行わないでください。

医療機関に入院されている重度障害の患者さんは、状態も不安定であり、医療的ケアは、専門教育を受けた有資格の医療職が行うべきです。看護師不足などを口実にした、医療行為の規制緩和は、患者さんのいのちを脅かすことになります。安易な業務委譲ではなく、看護師の増員を図って下さい。

5、病棟建替えにあたっては、患者・家族・職員の意見を尊重し、経営効率を優先した病棟の大規模化をやめ、病棟構造にみあった人員配置として下さい。

①国立病院における老朽病棟の新築・改築にあたっては、事前に、患者・家族・職員に対して、説明・懇談の場を設け、意見・要望を尊重して下さい。

また、患者・家族のニーズと地域の実情を踏まえた必要病床数を確保して下さい。

②経営効率を優先した病棟の大規模化をやめ、病棟構造にみあった人員配置として下さい。

自らの意思表示が困難で、発作もあり、呼吸器を使用している患者が多い中で、十分な人員を確保しないまま、ドアと壁で閉鎖される病室構造で大規模化(60床化)することは、安全上も重大な問題があります。ゆきとどいた医療・看護を行うため、病床数の規制を設けて下さい。また、日中活動の充実のため、十分な広さのデイルームなどを設けて下さい。

以上


資料①

重症心身障害・筋ジストロフィー・神経難病病棟実態調査果(概要)

全日本国立医療労働組合(2010年12月)

はじめに

国立病院は、重症心身障害病床約7,500床(国全体の4割)、筋ジストロフィ―病床約2,000床(国全体の9割)を有しています。重症心身障害や筋ジストロフィー・神経難病の患者さんは、全面的な介助が必要で、自らの意思表示が困難であることも多く、濃厚な医療的ケアを必要とする患者さんも増加しています。

しかし、ギリギリの人員体制のなかで、患者さんに我慢を強いている状況があり、夜間は数十人の患者さんをわずか2名で看護にあたる病棟も多く残されています。

こうした実態にもかかわらず、公務員削減や独立行政法人見直しの中で、病院に対してもさらなる人件費削減や効率化が求められており、障害者制度改革の方向とも逆行する事態となっています。

現場の実情をご理解いただき、障害者自立支援法の廃止と新法の制定にむけて、重症心身障害、筋ジストロフィー、神経難病など、日常的に医療が必要な障害者施策の充実が図られるよう要望するものです。

【調査日】2010年10~11月

【集約数】43病院・124病棟
(国立病院機構における重症心身障害病床、筋ジストロフィー病床の約4割に該当)

【呼吸器の使用状況など】

人工呼吸器を使用している患者さんの割合は、筋ジス病棟では7割を超え、20台以上の病棟が20病棟(87%)もある。経管栄養は、全体で3割強だが、神経難病では約7割に及ぶ。

人工呼吸器、経管栄養

  患者数 呼吸器 経管栄養
重症心身 2,775 191 7% 763 27%
筋ジス 890 629 71% 332 37%
神経難病 532 214 40% 361 68%
混合 447 128 29% 225 50%
合計 4,644 1,162 25% 1,681 36%

呼吸器台数別の病棟数

  4以下 5~9 10~19 20~29 30以上
重症心身 55 18 1 0 0 74
筋ジス 0 1 2 10 10 23
神経難病 4 4 6 1 2 17
混合 2 2 4 2 0 10
合計 61 25 13 13 12 124

【看護師の夜勤体制など】

看護師の夜勤体制(介助職含まず)別病棟数

  2:2 2:3
3:2
3:3 4:3
4:4
二交替 無回答他
2 3
重症心身 35 19 6 0 10 1 3 74
筋ジス 0 4 15 2 0 2   23
神経難病 4 3 6 2 0 1 1 17
混合 1 1 6 1 1     10
合計 40 27 33 5 11 4 4 124
32% 22% 27% 4% 9% 3% 3%  

※20床の神経難病病棟で、看護師1+介助職1の夜勤有り。

60床病棟の看護師の夜勤体制

2:2 2:3
3:2
3:3 4:3
4:4
二交替
2 3
2 2 3 5   1 13

※表中2:2は、準夜(夕方から24時頃まで)2人、深夜(24時ころから朝まで)2人。他も同様。

患者さんの重症化が進み、全面的な介助が必要で、呼吸器の使用も非常に多いにもかかわらず、看護師の夜勤体制は、いまだに2人夜勤が多く、準夜・深夜とも3人以上は、約3割に過ぎない。60床病棟でさえ、重症心身障害病棟では2人夜勤となっている病棟がある。

【食事介助】

人員不足から、時間に追われ、1人で複数の患者さんの食事介助を行う場合もあり、一人ひとりにあわせてもっとゆっくり介助できるようにしたいという声が非常多い。

【入浴介助】

入浴介助についても、呼吸器を装着している患者さんも多く、安全にゆとりをもって行うために、人員不足や設備の改善を訴える意見が多くあった。

食事介助・入浴介助で改善したい点(自由記載抜粋)

  • 患者さん1人1人のペースにあわせて楽しいと感じられるように行いたいが、スタッフの人数が少なく現実にはできていない。
  • ベッドサイドでの介助ではなく、プレイルームにて食事できるようにやっていきたい。毎回の車椅子移動が人員不足のためにできていない状態。
  • 時間に追われての食事、入浴であるため、危険。ゆっくり援助できるように改善を。
  • 昼食は車椅子上で食べるが、夕食時は全員ベッドの上である。摂食の観点とQOLの観点から車椅子移乗が必要。
  • もっとゆっくり時間をかけて行いたい。スタッフが足りないため、食事は1人が2~3人の患者を担当。
  • 呼吸器を使用している患者さんが多いが、看護師が不足している。
  • 人数が少ない土日は食事訓練ができない。
  • 3時間で52名を行っているが、ほとんどの人が全介助で、時間に追われ、いつ事故がおきるかもしれないと不安でいっぱい。呼吸器をつけながらの入浴には人員が足りない。
  • 入浴介助を、安全にゆとりをもって行うために、設備と介助者の充実が必要。
  • 浴槽には3人介助で入れるが、抱き上げが大変。機械浴で全員が入れるように設備の充実を。
  • 入浴介助は、週2回だが増やしたい。
  • 現状では、入浴時のプライバシーがとりにくい。

【排泄介助】

排泄介助についても、患者さんを待たせずに、必要な都度、対応できるように改善したいという声が多くあった。

排泄介助の問題点(自由記載抜粋)

  • 人手が足りず、患者さんに待ってもらうこともあり、転倒のリスクになっている。
  • 人員不足のため、尿意のある患者さんでも夜間は、おむつに頼らざるを得ない状況もある。
  • 深夜帯でのおむつ交換は4時30分からはじめて朝食の7時10分に間に合わせるのがやっと。
  • 患者さんの状況に応じた構造のトイレが必要。

【増員が必要な職種】

患者の重症化への対応、夜勤体制の強化(3人以上)など、増員が必要な職種として看護師をあげている病棟が多かった。看護師については、ギリギリの人員でバーンアウト寸前の現状を訴える記入が多くあった。

看護師に次いで介助職の増員要求が多く、現在の介助職の配置では、周辺業務で手一杯であり、看護師を減らさずに、ケアの充実、日中活動支援のために介助職の増員を求める意見が多かった。

また、看護助手の不在(政府の方針で、技能職である看護助手の常勤採用ができない)により、看護師が助手業務を行っている病棟もあり、看護助手の増員要求も多い。

この他、発達支援や機能維持のため、保育士やリハビリ職種の増員を求める意見、呼吸器の管理のため臨床工学技士の増員をもとめる意見があった。

【在宅支援】

短期入所用のベッドを確保しているのは、約半数であったが、専用のベッドを確保していない場合でも、空があれば、短期入所の受入を行っているところが多く、中には、患者の移動でベッドを確保しているケースもあった。

重症心身障害の通園は、国立病院機構のデータでは、A型4病院(南岡山・鳥取・香川小児・福岡)、B型24病院の合計28病院(全体の4割弱)である。このほかの在宅支援では、発達外来・相談、訪問診療・看護、呼吸器の講習などを行っている。

国立病院での在宅支援は、体制確保も含めて、今後の課題である。

【建替え整備】

病棟の建替え(予定含む)にあたっては、ほぼ全ての病院で病床規模の拡大が行われている。また、重症心身障害、筋ジス、神経難病、内科の混合化や重症心身障害病棟や筋ジストロフィー病棟をなくし、混合病棟としている病院もある。

大規模化など建替えの問題点

  • 大規模化で、動線が長くナースコールが聞こえにくい。呼吸器のアラームが聞こえにくい。夜間、痙攣発作があっても発見しにくい。
  • 看護ステーションからかなり遠い部屋がある。
  • 小児病棟を混合化(小児・内科・神経内科・障害者)、1階と2階の60床化しており、風呂も一箇所しかなく、エレベータで浴室に行っている。
  • 60床のため、入浴は1日がかりとなる。
  • 筋ジストロフィーとALS等神経難病の混合病棟となるが、それに見合ったマンパワーが必要。

【自由意見(抜粋)】

  • 日々ルーチンの最低限の業務をこなすのが精一杯で、受け持ちの患者さんとじっくりかかわる時間をもちにくい。
  • とにかくマンパワーが必要。ゆとりをもって患者さんとかかわりたい。
  • 患者さんも我慢している。いいたくとも言えない現状がある。
  • 重症心身障害病棟の専門医が不足しており、短期入所も呼吸器装着者など濃厚な医療を必要としている児者を受け入れることができない。在宅支援の充実を図る視点からも専門医が必要である。
  • 看護師や介助職の不足により入浴日は他の病棟から助勤してもらう日が多い。若い看護師が退職していく傾向があり、欠員状態が続いている。医師・看護師不足が様々な問題の要因となっている。
  • 朝の排泄介助が10時頃までかかり、昼の経管栄養の準備に40分くらいかかり、午前中に患者さんのバイタルすらとれないことがある。
  • 時間内に終わらせるのがやっとで、ゆとりがない。職員の増員が必要。
  • 人員不足で、患者を離床させる回数も減っている。腰痛の職員が多くリフトの使用が望まれる。
  • 重症化や呼吸器台数が増加し、看護師の増員が必要。
  • 環境が許せば、在宅でも可能な患者さんはいるが、両親も高齢化しており、家族の負担も大きい。環境が整わないまま、病院から追い出されるようなことがあってはならない。

以上


【資料②】

国立病院機構に対する運営費交付金

国立病院機構に対する運営費交付金は、もともと、過去債務(国期間分の退職給付等)に関するものが大半で診療事業にかかわる交付金はごくわずかでしたが、2011年度予算では、災害医療を除いて、結核や小児救急、周産期医療、精神科救急、医師確保など、民間施設にある補助を含めて全て削減されています。

国立病院機構に対する運営費交付金(予算)の推移 (単位:百万円)

  04年度 05年度 06年度 07年度 08年度 09年度 10年度 11年度
交付金 52,075 51,353 50,609 49,848 47,854 45,972 43,682 36,202
内診療事業 4,059 4,296 3,161 4,624 6,973 7,524 4,898 223

運営費交付金の推移(斜線は診療事業に対する交付金)
棒グラフ 運営費交付金の推移(斜線は診療事業に対する交付金)

(百万円)

04年度 05年度 06年度 07年度 08年度 09年度 10年度 11年度
52,075 51,353 50,609 49,848 47,854 45,972 43,682 36,202
4,059 4,296 3,161 4,624 6,973 7,524 4,898 223

「障害者基本法の改正について(案)」についての意見

平成23年2月25日

NPO法人 東京都発達障害支援協会
理事長 柴田洋弥

私たちは、東京都内において知的障害児者への支援を行う施設・事業所の団体です。

知的障害者福祉は、障害者自立支援法で三障害を統合するにあたり、「就労支援」以外の部分が「介護」の用語の中に含まれることとなりました。しかし知的障害者支援の主要な要素は日常生活における「意思決定支援」にあり、「介護」という概念に含めることはできません。そのため私たちは障害者自立支援法施行以後、その抜本的な見直しを求めてきました。また障害者権利条約第12条第2項に基づき「知的障害者への日常生活における意思決定支援」が法制度に明確に位置づけられることを願って、第30回障がい者制度改革推進会議に「知的障害者等の意思決定支援制度化への提言」を佐藤久夫構成員より提出していただきました。

しかし同日に内閣府より示された「障害者基本法の改正について(案)」においては、このことは明確ではありません。しかも、基本法第12条に新たに加える第2項では「医療若しくは介護の給付又はリハビリテーションの提供」という表現が用いられています。

知的障害者への日常生活や社会参加の支援の中では、時には混乱して複雑な行動として表現された意思の中にある本人の本当の願いを汲み取って、その本人の願いが実を結ぶような新たな意思が生まれるように支援をする必要がある場合があります。もちろん「本人の自己決定の尊重」や「本人中心支援」という支援者の姿勢を絶えず点検し正すことは不可欠ですが、このような本人意思の形成に深く関わる支援を「介護」という用語に含めることはできません。

私たちは「介護」の必要性を否定するものではありませんが、それはあくまでも障害者福祉支援の一部です。「知的障害者等への日常生活における意思決定支援」も含めた包括的な表現として、「福祉支援」「生活支援」のような用語を求めます。

例えば、障害者基本法第12条の表題を(医療、介護、生活支援等)とし、新しい第2項の「国及び地方公共団体は、医療若しくは介護の給付又はリハビリテーションの提供を行うに当たっては」の中に「生活支援」を加えること等を検討していただくよう提案します。