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DINFのお知らせ

シンポジウム 「もっと知ろう、デイジー教科書を!」
日時:2013年02月03日(10:30~16:00)
場所:戸山サンライズ 大研修室
 

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障がい者制度改革推進会議 第32回(H23.5.23) 資料1―1

第三十二回障がい者制度改革推進会議 意見提出フォーマット
災害と障害者

1、安否や被災状況の確認及び必要なニーズ把握の現状について

① 行政の対応

行政は、障害者に関する情報(障害者手帳に関するデータ、自立支援法上のサービスに関する個人データ、災害時要援護者名簿)を有しているが、これに基づく障害者の被災状況の把握はどの程度進んでいると考えるか。
行政自身も被災した中での取り組みについて、具体例をご存じであれば挙げていただきたい。

【大濱委員】

全国団体の障害者団体などが被災現地で救援活動に入っているが、団体に所属している者については、団体名簿で安否確認が出来るが、その他に付いては確認出来ない。従って、障害が重く避難所で暮らせない自宅避難障害者の自宅の場所や自宅以外への親戚等の自宅の場所がわからず、支援物資や支援の人手が届けられない、あるは対応が遅れた等の問題が起きている。

従って、一定の条件のもとで行政から障害者の名簿などの提供が受けられるような整理が必要。

団体会員を通じて、車イス障害者が避難所で使えるトイレもなく、ベッドもなくて困っている、役所に相談しているが反応がない。と言うことで、岩手の支援センターに手配してもらい大船渡の施設に避難した。

尾上委員

今回の東日本大震災は、地震、津波に加えて未だ見通しの立たない原発事故という複合的な状況で、かつてない被害をもたらしている。特に、地域によっては行政機能自体が一時喪失、あるいは、移転といった状況にあったところもある。

被害の状況も地域によって異なり一概に言えないが、1995年の阪神淡路大震災の時に比べても、行政による障害者等の安否確認、ニーズ把握など被災状況の把握は遅れている、または、そうした視点からの取り組みがなされていない状況と言える。

一方、ある市では、被災地の障害者支援センターと連携をして、障害者宅への訪問活動が開始されることになった。こうした好事例を参考に広げていくべきである。

【川﨑委員】

避難所の様子は刻々と変わってきており、物資輸送も整いつつあり、薬剤の不足状況は解決してきたようであるが、多くの精神障がい者に関しては、避難所にいけない人が半壊した自宅で避難していることも考えられ、いまだ支援が届かず、病状が悪化していることが危惧される。手帳や自立支援医療にもとづくデーターから、何らかの支援がされているとは考えにくい。

保健師からの情報によると、岩手県大槌町では、保健師OBが避難所に緊急開設された診察室の医師とともに、被災地支援をしている。役場が被災し、これまで保健師が積み上げてきた住民に関する情報がすべて流されてしまった今、できることは、残った職員と1戸1戸訪問し住宅地図を塗りつぶし、住民の情報を町の保健師に返していき、地区担当に生かすことをしたいと保健師OBが活動している。

【佐藤委員】

<高次脳機能障害関係者から>

高次脳機能障害者の被災状況については、まだ全容を把握しておりませんが、仙台の支援団体から聞いた話では、避難所にいられない当事者がいたとのことです。その理由は見かけなんでもない若者なのに、手伝うこともせず周りから何で何もしないのだとか家族に言われて家族がつらくなって、車の中などで過ごさざるを得なかったとのこと。また、年老いた家族と共に壊れかかった家の中にいて食料や救援物資も受け取れずにかろうじてしのいでいた人もいたそうです。

宮城県は保健所圏域ごとにネットワークを作って高次脳機能障害者の支援を始めようとしていた時でしたが、在宅障害者の人数などの把握はできていなかったと思います。

岩手、福島、青森、などにも行政が設置した支援拠点機関はありますが、高次脳機能障害についての被災状況などは調べてないと思います。家族会に入っているメンバーについては各地の家族会が安否確認を行っています。

なお青森県には家族会がありません。

盛岡のリハセンターはいち早く、リハセンのホームページにも被災状況把握のMSWなどの沿岸部派遣をUPして被災状況を把握しようと努力された様子が見られます。

宮城県の支援拠点である、東北大学病院ならびに東北厚生年金病院はどちらも病院自体が、損壊したり、回復リハ病棟が大きな被害を受けたりで、外来患者を受け入れることもやっと4月になったころからで、患者の安否確認どころではなかったようです。

まだまだ高次脳機能障害者は行政からも医療関係者からの視野にも全くはいっていない入っていない忘れられた障害者です。

<日本難病・疾病団体協議会(JPA)>

いわゆる難病のうち、特定疾患治療研究事業の対象とされる56疾患については県(保健所)が受給者証を発行していますが、市町村ではその名簿は要援護者名簿に登録されていません。岩手、福島ともに、市町村と県との連携がとれていないことを現地の難病連役員が述べていました。両県とも(宮城でも)、被災した難病者の実情は、未だにわからないというのが現状です。

保健所の機能が、県の保健所と市町村保健センターに分割されている現状とともに、身体障害者手帳交付事務は市町村であり、難病対策は県が所管ということから、日常のネットワークがうまくとれていない。また、生活保護受給者はまた別の担当であることなどから、こうした縦割り行政のマイナス面が、震災後の対応が遅れた原因の一つであると考えられます。

小児慢性特定疾患治療研究事業の対象者についても実態は把握されていません。身体障害者手帳取得者についても同様です。慢性疾患患者・内部障害者については、身体障害者手帳を所持していても在宅で過ごしている方が多く、家族介護の負担が大きい状況にあるにもかかわらず、支援の手が届いていないのが実態です。

【新谷委員】

居住地での災害時要援護者名簿へ登録は申請による形となっており、身体障害者手帳取得時には要援護者名簿に登録希望するかどうかの質問はなかった。要援護者名簿管理の担当部署は障害者福祉課など障害部門ではなく、危機管理課などの災害担当部門であり、要援護者名簿が行政内部で共有されて施策に活用されているか確認出来ない。

仙台市での協会員に対するアンケート調査では、行政が手帳保持者に安否確認を行っている様子はない。また、手帳を持っていない障害者に関する状況把握はないと考えられる。

【関口委員】

  • 初期の段階で行政は障害者の状況をほとんど把握してないのではないか。

むしろ、この混乱状態と人手不足のなかでは、多様にわたる障害者の問題に手を付けたくないのではないか。

自立支援法上の個人データはほとんど活用されていなかった、と考える。登録してあった災害時要支援者については、安否確認が済んでいるとの自治体が存在した。

また

  • 行政が避難所の内情まで把握していないことが多い。
  • 二次避難所についての情報提供がされないことがある。

【中西委員】

障害者の所在および被災状況に関する進捗状況は各行政まちまちで一概にいえない。特に、行政のサービスを利用していない障害者(要支援者)の被災状況把握は問題である。国や県による末端自治体への支援はすやかに実施されなければならない。

例)
福島県では、家族がいながら原発避難地域にひとり取り残されていた障害者がいた。見つけ出したのは警察官だった。その後連絡を受けた役所も手が回らず民間に支援を要請してきた。震災で新たに孤立化したり、家族と別行動をとったりした人も多く、個別状況を把握するのには多くの時間が費やされた。何でもかんでも市町村任せの住民・要災害援護者への危機管理が問題である。南相馬の桜井市長が米タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」にはいったのは、動画サイト「ユーチューブ」で原発事故後に物資が市内に入ってこない窮状を訴え支援を求めたからであり、そこに至った経緯は国、県の動きに課題があったとしかいえない。

【久松委員】

【岩手】

岩手県の行政レベルで、「障がい者相談支援センター」を県内3か所に4月中設置して被災地での障害者支援を行うとの事前情報を岩手県から受けたが、この件については岩手県のろうあ団体が中心になって関係団体と設置した「東日本大震災聴覚障がい者支援岩手本部(以下、岩手本部)」を設置し確認中であり、その内容または結果をまだ把握していない。近日中に確認できる予定。

【宮城】

現在、小職が所属する全日本ろうあ連盟を中心とした12の全国組織である関係団体で「東日本大震災聴覚障害者救援中央本部(以下、救援中央本部)」を立ち上げて、被災地や被災者への支援を実施している。

その支援活動の一環として、阪神淡路大震災のときに手話通訳が不足し、現地聴覚障害者救援本部が兵庫県や神戸市と連携し、全国の自治体に手話通訳の派遣を依頼して全国から手話通訳支援を受けた経験を活かして、今回の東日本大震災はそれを超える大震災であることから、厚生労働省(以下、厚労省)と交渉し、厚労省から全国の自治体に文書を発信してもらい、手話通訳者、ろうあ者相談員、要約筆記者等の派遣を全国自治体に募った。

岩手本部と同様に立ち上げている「東日本大震災聴覚障害者救援宮城本部(以下、宮城本部)」が被災した市行政と密に連絡を取り、宮城県につなぎ、前述の全国から募った手話通訳者が、宮城県内の5か所の市行政に派遣されている。

行政による聴覚障害者の被災状況の把握について具体的なことは把握していないが、前述のように宮城県内の市行政は積極的に手話通訳者を受け入れていることから、被災状況を把握していると思われる。

【福島】

上記、岩手本部・宮城本部と同様に「東日本大震災聴覚障害者救援福島県本部(以下、福島本部)」を立上げ被災者支援に取り組んでいるが、原発事故の関係で福島本部がまだ十分に動けず、行政との連絡を密にできない状況のために行政の動きについて十分に把握できていない。

② 行政と障害者団体との連携の現状

障害者の個人情報を保有している行政と障害者団体との連携が実際に行われているか、この連携的な取り組みについて具体的な状況を把握されているケースがあれば、お示しいただきたい。

【大濱委員】

前述のように連携が十分に取れているとは言えない。近々、陸前高田のA施設に「コンテナ式入浴カー」を設置する予定だが、陸前高田の福祉課に連絡したが回答がなかった。

岩手の支援センター経緯で設置が決まった。

【尾上委員】

①で述べたように、ある市では、現地の被災地障害者支援センターと連携をして、4月末から障害者の自宅訪問が開始され、実態とニーズ把握を進めてきている。

ただ、そうした取り組みは、未だ例外的であり、とりわけ、在宅で暮らしていた障害者の所在が不明な中で、避難所めぐりをはじめ、あらゆる可能性を探って、NPO団体が救援活動を進めている状況にある。

阪神淡路大震災では、震災発生後半月経った2月上旬には、神戸市等からNPO団体に対して支援要請文が出され、それに基づき、NPO団体が安否確認を進めていくことができた。行政として障害者等の安否確認、実態把握を進めていくこと、そして、それが行政だけで困難な場合はNPO団体へも支援要請を出して、連携できる仕組みをつくってほしい。

【川﨑委員】

現地入りした専門職によると、南相馬市などは原発のために閉鎖された現地の精神科病院のスタッフが、JDF(日本障害フォーラム)ふくしま支援センターのスタッフと家庭訪問や避難所訪問を行っている。

行政では、個人情報保護の観点で支援団体に個人情報を伝えられないという問題があり、個人情報保護も大事な観点だが、被災地では柔軟な対応が必要であると考える。

【佐藤委員】

<日本難病・疾病団体協議会(JPA)>

①と同様、この点においても、難病連側から安否確認のための情報の提供を求めても、県は個人情報保護法を盾に、情報を提供しなかったとのこと。阪神淡路大震災の時は、行政から障害者団体に対して、情報の提供と応援を求めたと聞いています。個人情報保護法がその妨げになっているのだとしたら、何のための情報保護なのか。個人を守るための法律ではないのか。

(総務省は、市町への特定疾患名簿の提供を連絡していますが、個人の同意を得て行うとしています、この手続きをとっていない県があることが今回分かったということなのかどうか、詳細は不明です)

日常的に患者・障害者団体と連携して、情報の交流、マニュアルの作成・共有、日常的な訓練など普段からの準備は患者の生命救済に不可欠です。

【新谷委員】

「個人情報を保有している」という位置付けでの行政と団体との連携はないが、障害者団体として行政との意見交換は行っている。また、一部地域では、災害時にボランティア協力する「防災協定」を行政と結んでいる。

【関口委員】

  • 宮城県のある市では、住民台帳を公開し、安否確認を行ったとの情報がある。
  • 宮城県のある市は、手帳の取得者に安否確認をしていた。しかし、ろう者及び精神障害者で、手帳を取得していない者の安否確認までは、及んでいなかった。その市は、民生委員が市の身障連の会長であるため、円滑に支援を進めているという。

【中西委員】

個人情報保護をたてに個人データを渡せないとする機関がほとんどであった。しかし一部現場保健師や行政ワーカーの裁量で「同行訪問」「本人確認依頼」の範疇で住所等の開示等がおこなわれたが、当該市町村の名前を公表してほしくないとの前提にたっていた。

【久松委員】

【岩手】

岩手県には、前述したようにろうあ団体、難聴者団体、盲ろう者団体を中心に「東日本大震災聴覚障がい者支援岩手本部(以下、岩手本部)」を設立して、聴覚障害者及び関係者の支援を実施しているが、岩手県と岩手本部との連携は十分にとれていない。岩手本部として、岩手県に「障がい者相談支援センター」との協同を提案したができないと断られたと聞いている。

【宮城】

前述のように、「東日本大震災聴覚障害者救援宮城本部(以下、宮城本部)」が宮城県、市行政と連携を取り合って状況把握とそれに伴う具体的な支援をしている。

ただ宮城本部としての被災者把握は会員及び会員以外の聴覚障害者、手話関係者の範囲にとどまっている。今後は行政に聴覚障害者の名簿の開示を求め、できるだけ多くの聴覚障害者の支援に広げていく予定である。

日本障害フォーラム(以下、JDF)が立ち上げた「障害者支援センター」からの情報によると、ある自治体が障害者名簿を障害者団体に開示したとのことだが、上記宮城本部にはその情報が入っていないので、その情報も含め、今後各自治体に名簿を入手する交渉をするよう助言していきたい。

【福島】

前述のように聴覚障害者の福島本部がまだ十分に動けていないので行政との連携が密にとれていないが、福島本部は県行政とのパイプはあるので、今後具体的な情報交換について助言を行うなど支援していきたい。

③ 属されている障害者団体の取り組みの現状

所属の障害者団体の救援活動において念頭に置かれた調査の対象を、下記の例示を参考にして示していただいたうえで、現状をどの程度把握できているのか、又は、把握が困難であるのかについて、ご報告いただきたい。

ア)入所関係
イ)通所関係
ウ)精神病院に通院していた障がい者関係
エ)在宅で訪問系のサービスを受けていた障害者
オ)在宅で訪問系のサービスを受けていない障害者
カ)障害関連団体に属する会員

【大濱委員】

カ)全員把握完了:宮城、岩手は医師が現地で確認。

【尾上委員】

●活動の概要は、後日提出する救援活動に関する情報提供に記載する。

●加盟団体なども属している被災地障害者支援センターでは、被災直後からスタッフ、ヘルパーなど自らが被災する中でも、事業の利用者をはじめ、避難所めぐりをして安否確認や救援物資の搬入等を行ってきた。

また、1チーム・調査ボランティア2~3名ごとに被災地の状況把握とし、避難所等を対象に調査を行ってきている。各避難所では、代表者、もしくはチームリーダーを中心に自治的な運営がなされている。そうした中で、かなり避難所の担当者によって対応が異なり、障害者自身との面談はなかなか厳しい状況がある。

●特に、上記の中の「オ在宅で訪問系のサービスを受けていない障害者」等の場合、その所在がつかめず、未だに孤立した状態にある。そうした点からも、行政とNPOが連携して、特に、在宅障害者に対する安否確認・実態把握の展開が進められるようにしていく必要がある。

【川﨑委員】

ウ)精神病院に通院していた障がい者関係

病院に通院していた人については、病院のワーカーにより救援活動がおこなわれているところがあるが、クリニックに通院していた人については、在宅者が多いことを考えると、現状では把握は困難である。家族会に所属している人に対しては、県連総会などである程度確認はできるが、多くはまだ所属していない人で、調査の対象者さえ、把握できていない状態である。

オ)在宅で訪問系のサービスを受けていない障害者

引きこもりの精神障がい者は、福祉サービスにつながっていない人が多いと考えられる。しかし、自立支援医療を利用している人は多く、その情報は行政が把握している。しかしそれが今回有効に使われているとは言い難い。

災害時には個人情報保護法の運用を柔軟にし、自立支援医療の利用者を開示し、必要な人へ救援が行われるようにすることは重要である。

カ)団体会員に関しては、被災県の理事会、総会などに出向き、会員の被災状況につき聞きとりそしている最中である。

【佐藤委員】

<日本難病・疾病団体協議会(JPA)>

難病患者は、現在では「障害者」の範囲に入らないため、この枠組みでの区分はできません。難病でも、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や重症の脳・神経患者、人工透析患者などは、身体障害者手帳の対象になっている者もいますが、多くは身体障害者手帳の対象にはなっておらず、また、特定疾患治療研究事業の対象にもなっていません。身体障害者であっても、在宅障害者に対する状況把握はたいへん遅れています。外見上はわからない障害であり、要望も多様である内部障害者には、きめ細かな現状把握のための努力が必要であると思います。

そういう人たちは、患者団体の構成員になっている場合以外には、現状の把握は困難です。患者団体に所属する会員の多くは、その団体のリストによってほとんどが震災後、一度は消息が確認できていますが、それでも、一度消息が確認できた人でも、その後どうしているかを継続的にはつかめていないのが現状です。また、地域には高齢者や妊婦、乳幼児を抱える家庭など、多くの要支援者がいるはずです。個々の民間団体による活動には限界があり、地域の偏見や理解不足などから病気を隠そうとする患者家族の心境にも十分配慮をしつつ、行政と民間団体、ボランティア、専門家集団による全戸の調査活動など、思い切った活動が必要であると思います。

<日本肝臓病患者団体協議会>

○会員の被災状況と患者会の対応

いわて肝友ネット(岩手県肝臓病患者会)では4月初旬から岩手県・青森県沿岸部の会員約30名に対してアンケート郵送・電話連絡をして被災状況、病気治療などについて尋ねました。また、連絡がとれた被災会員2名に対して3月下旬に支援物資の提供などもしております。

当会員については死亡・傷害などの人的被害はありませんでしたが、ご主人が行方不明1名、家屋の全壊・半壊5名となっております。

治療の継続ではC型肝炎のインターフェロン治療、B型肝炎の核酸アナログ剤治療を受けている方がいましたが、中断することなく治療を続けていました。津波被災後まもなく、日赤の救急医療班が到着し肝庇護剤の注射を打って頂けたと感謝していた会員もおりました。

しかし、肝炎患者の多くが受けている肝庇護剤の注射などは医療機関の被災、公共交通機関の不通などにより1カ月程度中断した方もおります。

被災者はもちろんですが、被災しなかった方でも、1カ月以上経っても水道が出ない地域もあり、避難生活、通院治療などのストレス、過労などにより体調が悪くなっている人もおり、今後、仮設住宅の建設、医療体制・ライフラインの復旧などが急がれます。

【新谷委員】

当団体は、入所・通所で把握できる会員構成ではないので、在宅という括りになり、また障害に対応した経常的なサービスは受けていないので、カ)という括りが中心になる。

今回の被災地3県についていえば、各県・市の協会が会員の安否確認を行ったが、完全ではないにしてもほぼ会員の無事が確認されたと理解している。因みに、宮城県に関してはアンケート調査を、協会員全員対象に実施し、郵送・Eメール・FAXで76名の会員のうち73名は無事を確認した。残る3名(気仙沼1名、南三陸3名)は他の方法で無事を確認した。

【関口委員】

ア)入所関係

入所の場合、施設自体が被災したケースがある。宮城県石巻市××町の施設で、職員3名が利用者20名程度を避難誘導し、助かったとの情報を得た。しかし、施設が流されたため、自宅や避難所での生活をする人もいた。

精神病院の入院病棟は、震災後に風呂が長期にわたり止まるなど衛生面に幾つかの支障をきたしたことがわかっている。それでも、訪問・面会をかたくなに断る精神病院が少なからずあった。加えて、福島県の某病院で、福島第一原発の事故による危険区域に患者を避難させず取り残した問題がある。

被災地以外でも被災地の患者の受け入れをした精神病院の実体等の調査も必要であると考えている。しかし、調査が追いついていない。

イ)通所関係

宮城県○○市の施設では、送迎にあたり、道が細く、途中地割れをしているところを通らなければならず、若干の不便があるとの情報を得た。通所の場合、安否確認は、登録者施設が行うため、いきわたっている印象を受けた。但し、施設自体が被災しているケースや職員が被災しているケースについては、一概に言えない。

ウ)精神病院に通院していた障害者関係

茨城県では、地震の最中にクリニックの精神科医師がひとりで逃げてしまい、患者が取り残される事件があった。

宮城県、岩手県、福島県は、こころのケアチームが入っているため、精神医療面については、薬も含め、それなりに行いき届いているという印象を受けた。むしろ、こころのケアチームが、人道的に非常に問題のある調査を実施するなどの問題が指摘されている。また、支援の押し付けや被災現地の医師の指示に従わないなどの苦情も入ってきている。(こころの問題の前に、住む場所、食べる物が先立つべきであるが、その点の認識に欠いた報道がいくつもされた。)

エ)在宅で訪問系のサービスを受けていた障害者

訪問系サービスをうけている障害者は、事業者が安否確認をしているため、事業者自体が被災しているケースなどを除いて、いきわたっている印象を受けた。しかし、ライフラインが復旧していない地区については、場所によって支援を受けられないこともあると聞いた。

オ)在宅で訪問系のサービスを受けていない障害者

在宅で訪問系のサービスを受けていない障害者(且つ、入所・通所もしていない障害者)については、その実態が不明である。一人だけご家族と接触をもてたが、津波のトラウマで、水を怖がり、風呂にも入らなくなったとしか、聞いていない。

カ)障害関連団体に属する会員

全国「精神病」者集団は、東北・関東地方の被災地を中心に安否確認を行い、全員無事であった。しかし、会員の仲間など、もう少し辿っていけば、被災して家が流された「精神病」者もいた。

また、青森県、宮城県、福島県の精神障害者団体及び関連団体も安否確認をしており、その情報も受け取っている。それによっても、とくに会員が被災したという情報は入ってこない。

【中西委員】

エ)在宅で訪問系のサービスを受けていた障害者

震災および原発事故の直後のガソリン等の燃料不足は避難の機動力のみならず、介助者等支援員の移動確保にも影響をあたえ、通信手段の遮断、孤立のなかで危機的な状況があった。

緊急課題として要請された、ガソリンや生活物資、医療品の配送が機動力のある自立生活センター各々で行われた。例えば、ALSの患者グループからカテーテルや経口栄養剤、脱脂綿や消毒液等の在宅医療物資の緊急支援要請があり、福井のALS協会が物資を調達し、滋賀のCILにより緊急輸送が組織され、3月18日から4便、郡山、南相馬、新地町に物資を届けた。南相馬は行政の福祉部に直接届け在宅福祉活用を確認した。必要とするところに直接配送というルートを切り開いた。

通常の避難所生活、特に体育館は障害者にとってはうるさく精神的安定が計られなかったり、荷物が多く車いすで移動ができなかったり、生活することが無理な環境である。ライフラインがなく物資が届かないリスク覚悟で自宅にいたり、縁故を頼って点々としたりする状況がいまだある。一部の障害者に対しては、他の手段がないからと入院や施設入所が推し進められていることを懸念している。

組織化した支援が徐々に可能となってきたので、物理的な支援に加えて、ただ来てくれるだけで自分たちは孤立していないと思えるのでという、精神的支援を求める声も上がってきた。現在ピアカウンセラー等、障害当事者が被災地を順次訪れている。

【久松委員】

ア)入所関係

聴覚障害者専用の入所施設が被災3県にはない。一般の施設に入所している聴覚障害者については把握していない。

但し、全国にある重複聴覚障害者施設・高齢聴覚障害者施設がそれぞれ全国団体を設立しており、2団体がまとめた入所受け入れ数を3県と前述聴覚障害者救援本部に情報提供している。

イ)通所関係

上記と同じ

ウ)精神病院に通院していた障がい者関係

中央救援本部が宮城本部と連携して、医療・メンタル班を現地に派遣して、実態把握と支援を進めている。宮城での実績を踏まえて、今後は岩手県や福島県にも支援を広げていきたい。

エ)在宅で訪問系のサービスを受けていた障害者

聴覚障害単独では訪問系のサービスは受けていない。重複障害者が在宅している可能性はあるが実態は把握していない。

オ)在宅で訪問系のサービスを受けていない障害者

3県とも会員に関しては把握できているが、会員以外の聴覚障害者は全てを把握している状況にない。

カ)障害関連団体に属する会員

3県とも会員に関してはほぼ100%実態を把握できている。

また、会員以外の情報も把握し、支援につなげているが、前述のようにまだ聴覚障害者すべてを把握するまでには至っていない。今後の課題である。