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シンポジウム 「もっと知ろう、デイジー教科書を!」
日時:2013年02月03日(10:30~16:00)
場所:戸山サンライズ 大研修室
 

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障がい者制度改革推進会議 第32回(H23.5.23) 資料1―2

第三十二回障がい者制度改革推進会議 意見提出フォーマット
災害と障害者

2、避難所での障害者の現状について

① 避難所で生活している障害者の現状について、具体的な状況を把握されているケースがあれば、お示しいただきたい。

【尾上委員】

●後日提出する救援活動に関する情報提供に記載する。

【川﨑委員】

精神障がい者にとっては、避難所生活は過酷で症状を悪化させ、大声を上げたりして、避難所から精神障がい者はでていってほしいと、差別されていることが報告されている。

大勢の見知らない人たちの中でプライバシーのない生活は、精神障がい者には耐えられないことである。見えない障がいのため気付かれることがなく、また、自ら言い出せない特性があり、必要な支援が届いていないことが考えられる。

【佐藤委員】

<日本難病・疾病団体協議会(JPA)>

宮城県亘理町の自宅が半壊し、少し前まで小学校の体育館で避難していた患者から話を聞きましたが、体育館での避難生活はトイレのことや底冷えなどで、とてもつらくて長期間居られる状況ではなかったとのことでした。

岩手県難病連との懇談では、オストメイト装着者が、トイレでの洗浄などの場所がなく、また周囲の人にも理解されず、居づらかったとの話も聞きました。

心臓機能障害者の場合、寒さに耐えられない、感染症への心配などがあり、避難所にいてもすぐに出ざるをえなかったという話を聞いています。また、常時服薬している薬によっては、利尿作用を引き起こすものもあり、そうした人にはトイレの不自由はたいへんなストレスであったということも聞きました。

新谷委員

避難所で生活している会員がいる報告はないが、会員外で避難所生活をされている聞こえに困っている人は多数おられると考えている。新聞報道だが、宮城県石巻市の避難所で補聴器装用の難聴者が「周りの人から補聴器のハウリング音がうるさいと言われ、終日避難所の外で時間を過ごし、寝るときだけ避難所に戻る」と報道されている。また、手話通訳のコーディネーションをされている方からは、「避難所で補聴器を装用されている高齢者が多くてびっくりしている」、また被災地の会員からは、「避難所ではハンドマイクで食事時間や入浴時間の連絡があるため、聞こえない方が食事・入浴出来なこともある」と報告を受けている。

【関口委員】

  • 多くの避難所では、「障害者はいない」「特別な支援はいらない」と門前払いであった。障害者といっても、避難所の世話役の方のイメージする障害者は、車椅子の重度及び重複の障害者などであることが多かったため、内部障害や難病、精神障害などを想定していない模様であった。
  • 宮城県内某避難所にて精神障害者の家族から聴取した内容
    自治体の保健師が、避難所で生活する障害者への支援と称して、施設や病院、よくても福祉避難所につなぎ、一般の避難所から排除してしまうケースが相次いでいるという。こうした実態を知る精神障害者は、自分の病状について誰にも打ち明けることもできず、不可視化されている。また、単純に支援に向かおうとすれば、医療モデル的な対応に陥った、一般避難所からの分離の可能性もあり、身動きが取れない状態であるという。

《関係する資料》

◆2011年3月31日 河北新報

200人以上が避難生活を送る陸前高田市内の公民館。重度の知的障害のある男性が、夜中に走り回ったり、所構わず排泄をしたりするなどの行為が続いた。ほかの避難住民から「安心して寝られない」との不満が相次いだ。

避難所の担当者が、地区の民生委員を通じて保健所や市役所に相談。当面、専門施設に移れるよう手配し、一緒に避難している母親や本人との話し合いを進めている。

【中西委員】

避難所である体育館を逃れ、行政が委託しているホテルや旅館、民間の空き家等情報人脈を駆使して障害者の集団避難所を積極的に確保しつつあるグループがいる。一方で情報人脈を持たず、又目につかない障害の状況から、自らが声をあげないので避難所で小さくなって孤立し生きている人たちもいまだ存在するのではないかとの懸念をぬぐいきれない。

【久松委員】

  • 情報がないことが一番大きい。被災当初は情報がなく、種々の支援が得られにくい状況があった。食事支援については情報が遅れて、残り物を少量しか食べられなかった事例があったと聞いている。
  • 補聴器の調整が悪く、音が出ているのに気付かず、避難所で肩身の狭い思いをしたとの報告がある。
  • 最近はテレビに字幕が付いている番組が増えているが、避難所では字幕ボタン付与のリモコンを使えないためにせっかくの字幕付き番組が見られない。リモコンには字幕付与ボタンのないものが多い。
  • 聴覚障害者の情報保障のためにCS障害者放送統一機構という団体が字幕や手話をつけた番組を作り流しているが、多くの避難所ではそれを見ることができない。(宮城では1か所だけ避難所に、字幕番組のみられる装置(アイドラゴン)がCS障害者放送統一機構寄贈により取り付けられた。

② 避難所に障害者はいない、又は少ないという報告もあるが、実態はどうか。実際にそうだとした場合、避難所を利用できなかった理由及び利用できない障害者はどこで生活しているのかについて、具体事例があれば、お示しいただきたい。

【大濱委員】

全身性障害者は体温調節に障害があり、暖房のない体育館や教室などの大部屋避難所では生活できない。また、排泄介助を必要とする障害等では大部屋では生活できない。

このため、ライフラインの途絶えた自宅や親戚の自宅等で避難生活している。遠方へ避難した人もいる。老人ホーム等にショートステイで入るケースも。

具体的には、宮城から山形の身体障害者保養所に3人避難し、その後現在、近くの借家で生活、秋田の親戚で生活、他の一人は入院中(避難生活で褥瘡が悪化したため)。

【尾上委員】

●被災した車いす利用者のあるケースでは、震災直後、家のエレベーターが止まり、避難所になっている体育館に行ったが、入り口に段差があったり、スペースも狭く、トイレも使いにくい状況だったために、避難所生活をあきらめざるを得なかった。そのために、自立生活センターの事務所を「自主的な避難場所」として、ヘルパーと一緒に寝泊まりして何とか生活をしてきた。

●実際に、現地入りした時に、避難所訪問をしようとしたが、使われている小学校の入り口には3段程の段差があり、電動車いすでは入ることはできなかった。最寄りの避難所になっている地域の学校などが障害者の通学などを考えていない構造になっていることが、避難所生活ができないことにもつながっている。

●また、行政による(行政だけでできない場合はNPOとの連携も含む)障害者への安否確認・実態把握が進んでいない中で、民間のNPO団体が安否確認に避難所に入ろうとしても、その時の対応に当たった人の判断で対応がされている。そのために、避難所で対応にあたる人の障害者に対する認識や理解に左右されている状況もある。

【川﨑委員】

避難所における精神障がい者の事態を把握することは困難であるが、精神障がいの特徴から、精神障がい者は、大勢の人との中で生活することは困難である。周りの声や物音で睡眠がとれず、状態が悪化することが懸念される。

そのために、避難所に行かない人や行っても自宅に帰る人も多いと考えられ、このような自宅避難者にはいまだ情報や支援が届いておらず、孤立化した困難な生活が続いていると思われる。

【佐藤委員】

■<宮城>Sさんの場合

  • 仙台市若林区、築30年の鉄筋10階マンションの2階。
  • 起床・就寝時に身体介護、週4回の家事援助受け一人暮らし。
  • 停電で地震後情報まったく入らず。
  • 近所の知人がおにぎりと懐中電灯差し入れあり。就寝時身体介護来訪できず。
  • 朝、ヘルパーに倒壊の恐れ有りといわれ、避難所に。
  • 避難所は知らない人ばかりで、介助体制、トイレ不安に相談できる人いない。
  • やむなく他県に住むきょうだいの家に避難。介助は甥が主に。
  • 「自分はひとりぼっち」という気持ちにさせない取り組みが必要と考える。

■<福島・相馬市>

  • かつて養護学校にいた時の教え子の親さんの話
    「避難所にきたのはいいが、2日目にして『帰ろう』と言われて。しょうがないよね、出歩けないし、うるさいし、眠れないから」。体育館は150人すし詰め。

■<青森・八戸市>で障害児学校の保護者の意見

  • 停電時の生活や肢体不自由児施設の状況、福祉施設の食事や送迎、暖房の対応、学校の対応、避難所を回った保護者の状況と、非常時の対応について、それぞれの経験を語り合いました。
  • 電気がない中での医療的ケアや発作・発熱、食材がない中での食事の提供、ガソリンがない中での送迎と、大人側の苦労も語られましたが、「子どもがまったく声を出せなくなった」「少しの物音でも敏感に怖がるようになった」「避難所での自閉症のお子さんの混乱は・・」など、強いショックや影響も指摘されました。

○「この子たちが通常の避難所で過ごすのはかなり難しい」「地域の小・中学校のように、養護学校や福祉施設が、障害がある方に配慮できる。公的な避難所として開設できないものか」

○「もしそういうことができるにしても、災害があってからでは遅い。事前にここでは災害時にこのように受け入れ可能です、などといった情報がわかるようにして、事前に準備をしておく必要がある」

■<東京都内の臨時避難所の場> Oさんの場合

  • 四谷中学校の体育館に介助者と共に避難。
  • 避難所は段差があって電動車椅子は大変。みんなが持ち上げてくれた。
  • 緊急地震速報が2回あり、そのたびに外に出なければなりません。
  • 「避難所はバリアフリーであってほしい」。

<日本難病・疾病団体協議会(JPA)>

前記同様、避難所には障害者、患者は居づらいのだと思います。とくに体育館などは、寒さの問題、感染症への不安が大きく、寒さにより体力が低下しやすい、また、ちょっとした感染症が疾患の重症化を招くおそれがありますので、慢性疾患患者には利用しづらい環境です。

結局、医者・薬・水・電気など患者・障害者ゆえの特別の要望をださなければならず「みんなも大変だ、みんなに迷惑がかかるのなら、在宅で我慢しよう、死ねば仕方がない」として避難所から退出した人がいたという情報が、患者会から入っています。

【新谷委員】

被災地の中で最も会員数の多い宮城県での調査でも、避難所生活の会員がおられないので、避難所生活を送っている会員がいない、又は非常に少ないのは事実と思う。しかし、軽中度難聴の方、高齢で聞こえに困っておられる方など会員外の方を広く見れば、かなりの聞こえに困っている方が避難所におられると推測される。(前述の「避難所で補聴器を装用されている高齢者が多くてびっくりしている」参照)中途失聴・難聴者は自分の聞こえの状態を説明することを非常に躊躇するので、避難所の中でも声を上げないことが多い。また、周りの人のことを非常に気にするので、避難所ではなく自宅生活、身内に身を寄せる方が多いと考える。

東京都の避難所を訪問した折、責任者から「避難所に聞こえに困っている方はいない」と聞かされたので、聞こえに困っている方の気持ちのありようを説明し、避難者一人一人に聞こえの状態を欲しいと依頼した。

【関口委員】

先に述べたとおり、自治体の保健師が、避難所で生活する障害者への支援と称して、施設や病院、よくても福祉避難所につなぎ、一般の避難所から排除してしまうケースが相次いでいる。こうした実態を知る精神障害者は、自分の病状について誰にも打ち明けることもできずにいる。それは、避難所にいながらにして、外部からはわからない状態ということになる。

肢体不自由などで外部から見てわかる障害者や精神障害者(発達障害を含む)が、自宅に隠れるように暮らしている話しや、車の中で隠れるように暮らしているという話しを聞く。

しかし、わかる範囲でも、避難所に障害者は、一定数以上いて、それぞれに困難を抱えている。排除されている事実はあるが、少ないとは一概に言えない。とりわけ、被害の大きかった地域の避難所には、重度の障害者もいることが多い。

具体例として精神と知的の障害がある50歳代の男性と80歳代の母親が小学校の体育館に避難していたが、薬も無く、何の薬を飲んでいたかも分からず避難所生活をしているうちに、障害による行動などで、他の避難所生活者との間で問題が起きて、避難所に居づらくなり、そこを出て近くの公民館に2人だけで居るところをJDFみやぎ支援センターのチームが尋ねていった。

ここには保健師とケースワーカーが週に1回たずねてくると言う話だったが食料、水など物資はほとんど無い状態だった。

【中西委員】

通常の避難所生活、特に体育館は大きすぎて障害者にとっては無理である。ライフラインがなく物資が届かないリスクを覚悟のうえで自宅にいたり、縁故を頼って点々としたり、そして一部入院入所が推し進められていることを懸念する。

【久松委員】

聴覚障害者について言えば、避難所に避難した聴覚障害者については、前述の3県の救援本部が聞き込み調査をして実態を把握しているが、現在はほとんどの人が自宅及び親類の家にいるとのこと。理由は前述のように避難所では情報が入らないためと避難所で孤立して避難所生活に疲れてきたためと思われる。