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障がい者制度改革推進会議 第32回(H23.5.23) 資料1 中西由起子委員参考資料

中西由起子委員 提出資料1

2011年4月25日版

避難所などでの障害がある人への基礎的な対応

あなたのまわりにこんな方がいたら

肢体不自由
視力障がい
聴覚障がい
知的障がい
精神障がい
内部障がい

イラスト

・障害がある人は、「かわいそう」な人や、自分では何も判断ができない人ではありません。その人の年齢にふさわしい態度で接して下さい。

・障害がある被災者は、一般的な情報があっても、危険に対して理解・判断しにくく、危険に対して適切な行動が取りにくい状況に置かれがちです。

・外からみても分からない障害もあります。不思議と思われる行動をしている人がいたら、正面から「困ったことはないですか」等、話しかけて下さい。そして、その人の希望とペースに合わせた手助けをして下さい。

・障害のある女性は、ふだんから情報が届きにくく、声をあげることがさらに難しい、ニーズを出しにくい立場におかれています。

・介助や補助が必要な人や呼吸器をつけている人などのなかでも、特に女性は、生きる優先順位を自分でも低めがちです。平時の社会でも、人工呼吸器の装着が必要になった場合、女性のほうが男性より、呼吸器をつけて生きることを選ぶ人の割合が低いというデータがあります。

・女性の身の回りの介助、とくに着替え・トイレ・入浴は、女性による支援を徹底して下さい。

(1)障害のある人に共通して望まれる支援
~施設内は、できるだけバリアフリーにし、見やすい案内標識等を表示する~

  1. 移動しやすい環境の整備(段差の解消、通路の幅の確保、障害物を置かない等)が必要。
  2. 車いすが通れる通路(直線で)の幅は90cm以上必要。
  3. 案内所・物資配布所・トイレ等の表示は、大きい表示板・色別テープなどでわかりやすく。
  4. 集団生活に適応しにくい人々には二次的避難所を設ける。
  5. できるだけその人の事情が分かっている人と共に過ごすことができるような配慮。
  6. 盲導犬、聴導犬、介助犬は、使用者の移動や生活にとって、必要なので、使用者とともに避難し、避難所内で一緒にすごし、必要な食事や給水を受けられるようにする。
  7. 混乱の中で支援が効果的に実行できるよう、障害当事者及び支援者(介助/介護者)は分かりやすい名札などで識別・表示も考えられる。ただし表示を希望しない人へは強要しないように。
  8. 情報伝達機器のうち、テレビは「字幕付き」、電話は「ファックス付き」を設置する。
  9. トイレには「手すり」等を取り付ける。
  10. 大人用紙オムツ、尿取りパットは、各サイズ別に多く備える。
  11. 非常食として「おかゆ(パック用)」を用意する。またトロミ剤、ストローを用意する。
  12. 簡易な医療器具を設置する。(酸素吸入器及びボンベを設置する)
  13. 避難生活のなかでのトイレや着替え等女性のプライバシーを確保し、安全対策をとることが必要。
  14. 避難生活のなかで性暴力がおこるおそれがあり、とくに障害をもつ女性は暴力から逃れるのが困難なことがある。性暴力の防止対策、被害があった場合の相談・支援体制を用意する。

(2)障がい別に必要な支援者、支援器具等

イラスト

  1. 視覚障害者…介護者(ヘルパー等)、白杖
  2. 聴覚障害者…手話通訳者、筆記者、手旗(黄色)、補聴器、筆記具
  3. 精神障害者…当事者をよく知る友人、知人、介護者(ヘルパー等)、二次的避難所、飲料水
  4. 知的障害者…介護者(ヘルパー等)、二次的避難所
  5. 肢体不自由者…介護者(ヘルパー等)、車いす、歩行器、つえ、車いす用トイレ、ポータブルトイレ、カーテン、ベッド(※カーテン、ベッドは特にトイレ介助に必要)
  6. 高齢者(認知症・寝たきり)…介護者(ヘルパー等)、歩行器、呼び出しベル、杖、ポータブル式トイレ、カーテンベッド(※カーテン、ベッドはとくにトイレ介助に必要)
  7. 心臓病・喘息患者等…加湿器、マスク、AED(自動体外式除細動器)、のど湿布薬
  8. 透析・人工肛門患者等…二次的避難所、透析可能施設の情報提供と移送
    参考URL「日本透析医会災害情報ネットワーク」透析の受け入れ施設の状況。http://bit.ly/hodlEu
  9. 1型糖尿病患者等…インスリン製剤、ポンプ用カニューレ、シリンジ、ペン型注射器、注射針、血糖自己測定器、測定チップ、穿刺器具、ブドウ糖、砂糖、アルコール消毒綿
    参考URL「糖尿病がよくわかるDMTOWN」http://bit.ly/e5pOTJ
  10. 妊婦…看護師又は助産婦、消毒済み布(ガーゼ他)
  11. 乳幼児…保育士、空気清浄機、加湿器、哺乳瓶、粉ミルク、離乳食(ベビーフード)、乳幼児用オムツ、乳幼児用歩行器
  12. 必要な介助者がいない場合、派遣要請ができるシステムを早急に設ける。

障害についての具体的なこと

イラスト
障害ごとに書いていますが、同じ障害であっても、障害の状況やその時の体調によって、必要な支援は一様ではありません。そして、障害のある人も、人によって、個性、言語、国籍、セクシュアリティ、宗教など、一人ひとり異なっています。そのことを十分に念頭において下さい。

(1)肢体不自由のある人

*移動手段を車いすにしている人たちも多く移動に制約が生じることを理解すること

*電気が止まった場合、エレベーターが止まったり、電動車いすの充電に問題が生じたり、人工呼吸器に問題が生じたりするため、それらを必要としていない人以上に生活に大きな制約を受ける。そのため、停電の影響が大きく、不安感も大きい。

*日常生活に介助をいれている人は、介助者の交通手段がたたれることで、介助者が確保できなくなる恐れもあり、不安が大きい

*移動を介助する時は、車いすも歩行も、段差やでこぼこ、傾斜に注意すること

*歩行の手助けは、手をつなぐ、腰に手を回す、ベルトをつかむなどの方法がありますが、どうするのが良いかは、直接、本人に尋ねてください。

(2)視覚障害のある人

イラスト

*視覚からの情報が得られないため、読み書きや慣れない場所での歩行が困難、命の危険にさらされることが少なくない。避難や移動のおりに取り残されることのないように配慮が必要。

*歩行を手伝う人の腕につかまり、段差の上り下り等を言葉で説明してもらいながら歩けば、安全に移動できる。

*言葉で分かりにくい場合は、目的のものに手で触れると理解しやすい。

*一見不自由がないようでも、色覚に特性がある、視野狭窄、まぶしい所や暗い所が見えにくい等、弱視の人もいることを理解する。

(3)聴覚・言語障害のある人

☆ 聴覚障害のある人

*まず、音情報を得られていない状態であることを理解すること。放送が流れるなどしても伝わらない。したがって、音情報はかならず文字や掲示でも伝えること。

*音情報については、個別に文字や掲示を見せて、きちんと伝わっているか確かめること。

*コミュニケーションの方法は手話、筆談等がある。口のかたちでは言葉が正確に伝わらないだけでなく強い疲労を招くことを十分に認識し、口のかたちに依存せずに、必ず、手話か筆談を。どちらかの人または双方が手話ができない場合も、筆談でやりとりできる。

*筆談は、たくさんのことを長い文章で伝えようとせずに、短い文章で伝わりやすく書くこと。

☆ 難聴の高齢者

*一度に大量の情報を伝えようとせず、ゆっくりと一言ずつはっきり話す/筆談する。

☆ 言語障害のある人

*言語障害で相手が言っていることが聞き取れない場合は、中途半端な返事はせず、分からない時ははっきりその旨を伝える。相手が言っていることを聞き取れないことは悪いことではない。

(4)知的障害のある人

イラスト

*言語・記憶・抽象的思考等が苦手だったり、社会の仕組みや流れに上手に適応しにくい人たちがいることを理解する。

*自閉傾向の人は他者との関係について苦手だったり、特定のものに強い関心を示すことがある。話しかけて伝わりにくい場合は、ゆっくり話したり、身振り手振りや絵を書く、実物を見せる等すれば理解しやすい。

(5)精神障害のある人

*見た目ではわかりづらい障害を正しく理解すること。

*睡眠障害のある人や、夜中に落ち着かない人もいる。そのため、昼夜逆転して昼間は寝てしまうことがある。疲れやすさから休息が多く必要な人もいる。

*食事や対人関係等、日常生活や社会生活に著しい制限を受けていることを理解する。

*常時使用している処方薬があり、それらの確保を迅速にできるようにする。薬の副作用から水を多く飲む必要がある人もいる。薬の足りない状況からは病状の悪化も懸念されるので、当事者が安心、信頼して話のできる人や休める場所の確保が重要。

(6)難病、慢性疾患のある人

*状態によっては健康そうに見えることがありますが、体調に波があり体力的な制限があるので、様々なことについてその人のコンディションとペースに対応する。

*常時使用している処方薬があり、それらの確保をできるようにする。

*日常的な医療行為として、たとえば、インスリンを継続的かつ確実に入れられる状況を必要とするので、避難所に多目的スペース(二次的避難所)等があれば周知し、なければ作る。

参加と支援を!福島・宮城・岩手の被災障害者支援センターやJDF等と連携して活動中

東北関東(東日本)大震災障害者救援本部

ブログ: http://shinsai-syougaisya.blogspot.com/
クレジットカードからの寄付窓口 http://www.dpi-japan.org/bokin_k/dpijp.html

代表:中西 正司(全国自立生活センター協議会) 副代表:牧口 一二(ゆめ風基金)

東京事務局 〒192-0046 東京都八王子市明神町4-11-11 シルクヒルズ大塚1F JIL内
TEL:042-631-6620 (救援本部専用) FAX:042-660-7746

大阪事務局 〒533-0033 大阪市東淀川区東中島1-14-1 NPO法人 ゆめ風基金
TEL:06-6324-7702 FAX:06-6321-5662 メール:yumekaze@nifty.com
サイト: http://homepage3.nifty.com/yumekaze/
ブログ(東日本大地震緊急ニュース) http://yumekaze21.blog39.fc2.com/

これって、避難所じゃなくても、ふだんから大切なこと。そしてこれからの再建に活かしたい。そんな思いをこめて、ご意見や情報をいただきながら、時々改定しています。どうぞよろしく!

2011年4月25日版
DPI女性障害者ネットワーク
東京都千代田区神田錦町3-11-8-5
メール: dpiwomen@gmail.com
ブログ: http://dpiwomen.blogspot.com/
サイト: http://dpiwomennet.choumusubi.com/


中西由起子委員 提出資料2

災害避難に関連する米国法1 内容紹介

一般の避難所における機能的ニーズ支援サービスの統合を立案する際のガイダンス

(Guidance on Planning for Integration of Functional Needs Support Services in General Population Shelters)i

米国土安全保障省(U.S.Department of Homeland Security)ii

2010年11月

内容

第1項 目的

第2項 放棄事項

第3項 範囲

●FNSSを必要とする子供と大人は、支援なしに自立して動く能力に影響をあたえる身体、感覚、精神保健、認識、知的の面からの障害を持つ

●これが意図しているのは、個々人が一般の避難所から追い払われたり、不適切にその他の環境(特別ニーズ避難所、施設、老人ホーム、他の支援サービスから切り離されたホテルやモーテル)に置かれたりすることがないように保障することである。

●連邦法でいうところの非差別とは

  1. 自己決定
  2. 万人共通の一定サイズの禁止(No“One-Size-Fits-All”)
  3. 均等な機会
  4. インクルージョン
  5. 統合
  6. 物理的アクセス
  7. 平等なアクセス
  8. 効果的コミュニケーション
  9. プログラムの変更
  10. 無料

第4項 機能的ニーズ支援サービスの立案(FNSS)ガイダンス

4.1.避難所開設準備にあたっての主要配慮事項
4.1.1.FNSSのための事前の立案
4.1.2.関係者のコーディネーション
4.1.3.避難所定員の立案
4.1.4.避難所の場所/設備の認定
4.1.5.避難所の評価
4.1.6.避難所の選択
4.1.7.避難所の整備と物品供給
4.1.8.サービスの提供
4.1.9.避難所の職員配置
4.1.10.アセスメント・チーム
4.1.11.避難所のレイアウト
4.1.12.避難所の受け入れ
4.2.避難所運営の立案における主要考慮事項
4.2.1.食事
4.2.2.補助犬
4.2.3.コミュニケーション
4.2.4.入浴とトイレの必要性
4.2.5.静かな場所
4.2.6.精神保健サービス
4.2.7.医療と歯科のサービス
4.2.8.医薬品
4.2.9.輸送サービス
4.3.過渡期/復興のための計画にあたっての主要配慮
4.3.1.地域社会への帰宅
4.3.2.避難所の閉鎖

第5項 略語

第6項 用語解説

第7項 作業手段

第8項 付記

―――――――――――――――

i  http://www.fema.gov/txt/about/odic/fnss_guidance.txt

ii 2001年9月11日に起きた同時多発テロ事件を契機に創られた、22の国内組織を統合した巨大組織。


中西由起子委員 提出資料3

災害避難に関連する米国法2 内容紹介(抜粋訳)

ADAタイトルIIのプログラム、サービス、活動、施設に関する国及び地方公共団体のための技術支援文書

国及び地方公共団体のためのADAベストプラクティスのツールキット

第7章(ADAタイトルII)

障害を持つ人々を含む誰もがアクセスできる、緊急管理プログラム、サービス、活動に関する次の質問に答えるものである。

  • 危機管理とは何をカバーするのですか?
  • どのようにADAは緊急事態管理に適用されますか?
  • どのようなものが、障害を持つ人々が直面している緊急と災害関連のサービス、プログラム、活動、設備へのアクセスに関する問題ですか?
  • どのようなものが、障害を持つ人々がアクセスできる緊急や災害に関連するサービス、プログラム、活動のために取ることができる州および地方政府の手順ですか?

危機管理とは―緊急事態や災害などに関連する活動

  • 準備-緊急事態や災害に対する事前の計画
  • 対策のテスト
  • 通知
  • コミュニティ避難と交通
  • 緊急避難所のプログラム
  • 一時的な宿泊施設と住宅
  • 社会サービスと緊急災害関連給付プログラム
  • 救急医療サービス
  • 移転プログラム、アクティビティ、サービス
  • 過渡期とコミュニティに戻る交通手段
  • 緊急時および災害復旧プログラム、サービス、および
  • 事故と災害による損傷の修復