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障がい者制度改革推進会議 第32回(H23.5.23) 資料2-1-2

災害救援活動の概要

資料提供団体名:岩手県難病・疾病団体連絡協議会

1.被災状況の確認

(1) 被災した障害者の安否確認を(①○行った)

(2) 確認状況

  岩手県
どのような人を対象に、調査したか  
① 調査対象の総数  
② 調査をした人数 約4,000人(全会員対象)
③ ②のうち不明 1人
④ ②のうち死亡 4人
⑤ ②のうち、支援を必要とする人の人数 10人

(3) 福祉施設等の事業所の被害状況の調査を(①行った)

(4) 確認状況

  岩手県
どのような施設、事業所を対象にしたか 老人保健施設
① 調査対象の総数
② 調査をした事業所数
③ ②のうち被害のあった事業所数

全壊

一部損壊
その他  
④ スタッフの被害状況

死亡

(ALS協会岩手県支部長)

不明  
⑤ その他の確認状況  

2.被災者のニーズ把握と支援内容

(1) 被災した障害者のニーズ把握を(①行った)

(2) 被災した障害者への支援を(①行った)

(3) 震災直後から現在までの活動状況

  ニーズ把握の概要
人数、内容の概要を県、市町村を明らかにしながら、ご説明ください。
支援内容の概要
人数、内容の概要を県、市町村を明らかにしながら、ご説明ください。
① 震災直後~2週間まで 陸前高田市
多発性硬化症 50歳代 男性
当日は施設で、デイケアを受けていた。施設は、被害は軽微で3日ほどお世話になったが、このまま療養は不可と。避難先を探すようにと言い渡された。知人宅に家族4人で避難した。そこには、もう2家族が避難していた。
18日に、奥さんからでんわがあった。秋田県赤十字支援隊の衛星通信電話を借りて、症状が悪化しているので入院させたいとSOSを発信してきた。
電話の内容を、的確に把握出来ず困惑した。岩手県の赤十字社の災害支援本部を訪問し、救援を依頼した。しかし患者さんの詳しい所在が不明な上、連絡がとれなかった。
なんとか医師の診察を受け、入院の要が判明すれば、緊急で受け付けると2箇所の病院から内諾を得た。
しかし、本人の避難先が把握出来なかった。
② 2週間~1か月まで 自衛隊のヘリコプターで、県内難病基幹病院に搬送され、入院したとの連絡を受けた。 基幹病院は、盛岡市にある。早速見舞ったところ、やっと安心できたと夫妻共々涙して喜んでいた。
③ 1か月~現在まで この入院は1週間ほどで、療養病院に転院の必要があるが、手配してくれるとのことであった。 基幹病院の難病専門相談員を紹介し、精神的支援を受けた。更に療養病院を探し、ゆっくり療養できるように手配してくださり、現在も入院中である。

3.上記以外のその他の支援活動

① 網膜色素変性症 : 被災し家は流された。公営アパート入居が決定したが寝具がない。有志の方の寄付があり、搬送し家族に届けた。(寝具類など大きな荷物は、宅配便は扱わなかった。)

② 多発性硬化症 : 被災し家が流失した。個人宅に避難したが救援物資が届かない。当難病連の震災支援基金から、パジャマLLや靴など購入し、搬送して届けた。

③ IBD : IBDの方から人工肛門のパウチがない。業者は受け取りにきてはしいと。
ガソリンがなく、移動不可。患者会の方で手配され手元に届いた。事後に当該役場に在庫があったとの情報が入った。

④ 脊髄小脳変性症 : 老人保健施設に入居していたが、建物の損傷がひどく、寒い野外で2晩も過ごした。自衛隊に助けられ同法人の病院に収容された。その病院も損傷を受けているが、そのまま利用していた。生活物資は十分とのこと。お見舞いに果物を届け、喜ばれた。

⑤ その他 震災後2,3日して被災地に灯油を届け、被災後寒い日が続いていたので大変喜ばれた。有志の寄付による歯ブラシ、タオル、下着類、石けんなどの日用品も届けた。
岩手県難病連として、支援基金を募り、被災者に見舞金をお渡ししている。

4.支援での課題など

① 通信手段が乏しい。
衛星電話が唯一の手段であったというが、殺到していて情報を十分に相手に伝えられなかった。

② 車のガソリンが極端に不足し、機動力に欠けた。

③ 人工透析患者が燃料不足で通院が難しい状況にあり、当局に依頼したが対応がおくれ難渋した。

④ かかりつけ医が機能しなかったことから医師に診察して欲しいと言う患者がいたがなかなか難しい状況であった。

⑤ 各市町村では津波に対する対策は十分に訓練されていたと考えるが想定範囲を遙かに超えていたために身障者・難病患者等の生活弱者の対応が極めて厳しい状況にあった。

⑥ 各市町村には難病患者の情報がなく被災後の訪問がなされていない。

⑦ 避難所においても施設、設備が十分な状況になく障害者・難病患者にとっては厳しい環境にあった。従って縁者、知人を頼り肩身の狭い生活を余儀なくされているかたもあった。


震災状況調査回答

団体名称 岩手県難病・疾病団体連絡協議会

代表者名(回答者)千葉健一

<震災による問題点>

1、震災直後、療養上の多様な課題が山積していた。薬切れ、病気悪化に伴う診察不能、停電による人工呼吸器利用者、酸素吸入者、人工透析患者等に多様な問題が発生した。対処が遅れ、救出後に死亡した方もおられた。

○50分歩いて避難場所にある1個の衛星電話でようやくSOS、けれど、通話時間は30秒ほどですぐ切れてしまった。

○釜石市の呼吸器利用者は、ALSの患者は、停電により、救急車を依頼約100キロの重量を移動し、乗車中に車ごと全員が津波にさらわれた。

○人工透析の方で自家発電のある病院のおかげで助かったが、ガソリンがなく、通院に困難をきたした。

○電動車いすの充電ができず、移動が困難であった。

2、難病患者、身体障害者などは、避難所での生活が困難であり、多くの人は、縁者等を頼って肩身の狭い暮らしをしている。

○避難所の和式トイレは、難病患者、身体障害者には不便で使えなかった。

3、ALS会長始め、今日も行方不明の方々がおられる。難病患者の安否がなかなか把握できず情報をつかみきれないでいる。

○個人情報保護法案以降、難病患者の個人情報が入手できず、患者数は特定できないでいる。

4、難病連では、これまで4度現地を訪問し、消息を尋ねているが、市町村でも実態が不明である。

5、生活物資の支援についても、大きな避難所には物資が届いているが、個人宅に身を寄せている方々には、療養上必要な物品が届いていない。難病連では、連絡を受け次第、必要な物品を揃え配達支援している。

6、在宅療養者は、避難所優先で受診が難しい状況にある。病状の悪化によりヘリコプターによる緊急輸送をしていただいた例もあった。

<必要な取組案>

1、避難所におられる難病患者、自宅や縁者等に身寄りしている方々の実態把握を行い、確実な状況把握に努める必要がある。

2、早急に難病患者、障害者が安心して療養できる避難施設を設置し、疾病に即した早急な対処を行っていくべきだ。

3、在宅難病患者及び知人宅で療養している方々に対して巡回保健指導を行い、個々のニーズに対応した措置をとっていただきたい。

4、震災から今日に至るまで医薬品不足は深刻であり、医薬品の供給体制を確立すべきだ。

5、難病・長期慢性疾患患者の医療確保の観点から、専門医療機関の紹介、患者の受け入れ体制など組織的に情報発信していくことが大切である。

6、療養所や在宅難病患者に対する支援物資の供給、特に難病患者のQOLの向上のための生活必需品の配布等の生活支援が求められている。

7、停電時に対応した緊急自家発電機を避難所に整備していくべきである。

8、医薬品の不足による不安が大きかった。震災対策の一つとして特定疾患患者の薬品のストック等を考えていかなければならない。

9、ガソリン不足により、通院を必要とする患者の足が奪われた。生命維持のためにも透析患者等に対する優先的な給油が出来るような制度の導入をはかっていただきい。

<その他>

1、難病患者の支援に向けて、当協会でもできうる限りの支援体制の確立に努力してきている。連絡いただいた一人ひとりに支援体制をとってきたが、改めて、行政と患者団体との日頃からの密接な連携の確立が重要である。

2、災害時における要援護者のリストは、有る程度作成されていたと思うが余りにも想定外の大震災であったため市町村業務が円滑に進められず、安否確認すら容易でない。きめ細かな援護対策を各市町村が見直していく必要を感じる。

3、今後策定されるビジョン策定にあたっては、難病・慢性疾患患者を含めた総合的な危機管理体制と関係者による支援ネットワークの確立が望まれる。

4、支援に関わる経費は、すべて自己負担であり限界がある。行動範囲を拡大できるように財政的な支援もお願いしたい。

5、当協会では、「大震災難病患者支援基金」を募り、継続した難病患者支援を進めていく。