障がい者制度改革推進会議 第32回(H23.5.23) 資料2-1-7
災害救援活動の概要
資料提供団体名:全国児童発達支援協議会(CDS Japan)
1.被災状況の確認
(1) 被災した障害者の安否確認を(①行った〈一部〉)
(2) 確認状況
福島県 | 宮城県 | 岩手県 | |
---|---|---|---|
どのような人を対象に、調査したか | ①児童デイスを中心に事業所に電話をして、確認。 ②児童通所系施設・事業所に訪問し、お話を伺った。 |
①児童デイスを中心に事業所に電話をして、確認。 ②仙台市内2箇所、気仙沼の児童デイ2箇所に訪問し、お話を伺った。 |
①児童デイスを中心に事業所に電話をして、確認。 ②東北にボランティアとして入った関係者が訪ねた |
① 調査対象の総数 | |||
② 調査をした人数 | 46施設事業所中、27の施設事業所と契約している子どもを対象 | 61施設事業所(内、仙台市34)中、60(内、仙台34)の施設事業所と契約している子どもを対象 | 35施設事業所中、27の施設事業所と契約している子どもを対象 |
③ ②のうち不明 | 2(別途、15名が県外避難) | 0 | 0 |
④ ②のうち死亡 | 0 | 0 | 1 |
⑤ ②のうち、支援を必要とする人の人数 | 詳細不明 | 詳細不明 | 詳細不明 |
(3) 福祉施設等の事業所の被害状況の調査を(①行った)
(4) 確認状況
福島県 | 宮城県 | 岩手県 | |
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どのような施設、事業所を対象にしたか | ①ワムネットの児童デイのデータを抽出。電話をして、確認。 ②知的通園2箇所、肢体入所2箇所関係者から聞き取り。 |
①ワムネットの児童デイのデータを抽出。電話をして、確認。 ②仙台市内2箇所、気仙沼の児童デイ2箇所に訪問し、お話を伺った。 |
①児童デイスを中心に事業所に電話をして、確認。 ②東北にボランティアとして入った関係者が訪ねた |
① 調査対象の総数 | 46施設事業所 (知的通園2、肢体通園2、児童デイ42) |
61施設事業所(内、仙台市34) [知的通園5(うち仙台2)、児童デイ60(うち仙台32)] |
35施設事業所 (知的通園2、肢体通園1、児童デイ32) |
② 調査をした事業所数 | 27施設事業所 (7か所は原発にて避難) |
60施設事業所(内、仙台市34) | 27施設事業所 |
③ ②のうち被害のあった事業所数 | |||
全壊 | 0 | 4(うち、仙台0) | 3 |
一部損壊 | 13 | 20(うち、仙台13) | 6 |
その他 | |||
④ スタッフの被害状況 | 0 | 0 | 0 |
死亡 | |||
不明 | 0 | 0 | 1 |
⑤ その他の確認状況 |
2.被災者のニーズ把握と支援内容
(1) 被災した障害者のニーズ把握を(①行った)
(2) 被災した障害者への支援を(①行った)
(3) 震災直後から現在までの活動状況
ニーズ把握の概要 人数、内容の概要を県、市町村を明らかにしながら、ご説明ください。 |
支援内容の概要 人数、内容の概要を県、市町村を明らかにしながら、ご説明ください。 |
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① 震災直後~2週間まで | 元となる施設事業所リスト 宮城県は、県の障害福祉課より調査データを入手。当方が持つデータとの照合を行い、不足していた事業所に連絡確認を行った。 全域の障害児関連通所のデータとしては、肢体・知的・難聴の通園施設は、すぐに入手できた。しかし、2種の市町村事業である児童デイの事業所データがつかめなかった。ワムネットより入手して、施設事業所リストを作成した。 募金 関連施設事業所への募金の依頼発信 |
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② 2週間~1か月まで | 施設単位にて調査 ①メール配信による調査 サーバーのパンクにより配信に時間を要した。 ②電話等での調査 ③協議会のHPに携帯の掲示板を新設し、携帯から情報提供を呼びかけた。(ほとんどリアクションなし) 利用者リスト 在宅の障害児は、事業所単位でないと把握ができない。 契約による利用に伴い、事業所単位の契約児童リスト(安否情報確認のためのリスト)が入手困難であった。(緊急時であるにもかかわらず、個人情報保護の観点から国保連のデータも公開が困難である。) |
ニーズの多くはライフライン ガソリン、発電機用の軽油、電気、子どものおやつなど ただし、地域によって全く状況が異なる点がある。詳細の記載は、別紙参照していただきたい。 |
③ 1か月~現在まで | ①震災対応のスキーム「障害児・知的障害・発達障害関連・・・・・・・協議会」と合同に活動開始 ②役員にて福島県を中心に訪問 ③各施設事業所とその利用者から物資ニーズ票を郵送し、事業所ごとに利用者のニーズを聞き取っていただき必要であれば、調達する |
①ほとんど施設単位のニーズしか出てこない。 現地相談支援関係者からのニーズをもとに事業所とつなげるしかない。 ②ニーズが把握できたところには物資を提供した。 県庁担当者のニーズとして、原発で避難してきている会津若松等での児童デイの受け入れ先のキャパが不足。別途臨時で立ち上げる際の人的ニーズが上がっているとの情報あり。事務局にて真意と内容を確認中 ③現状では、物資支援に関して「必要なし」との返信が帰ってきている。 |
3.上記以外のその他の支援活動
ニーズが出てこないため、今後長期的に人的な後方支援等を必要とすることを加盟施設に確認。
4.支援での課題等
障害種別等による各団体の動きにより混乱をきたしていると強く感じている。
内閣、もしくは厚生労働省障害福祉課において、早々に団体を束ねる必要があったのではないか。
子どもに関し、特に在宅障害児に関してニーズの調査は今からであると感じている。
運営、配置の面から、職員派遣に即座に応じれる余裕がない施設事業所は少ないと思われる。
東日本大震災 被災地障害児関連の施設事業所訪問 記録
<4月18日訪問:いわき市>
・施設・事業所A
- 少しでも子どもたちがすごす場として機能できればと思い、3月28日から事業を再開している。本日より新学期を迎える。
- 人的・施設的には被害はなかった。
- 同法人の別の事業所も機能し始め、姫路からの応援で子どもたちのPTSDに対する支援が入っている。
- 初めの2週間は風評被害もあり、流通が途絶えた。ガソリンも不足している状態で動けなかったが、現在は支援物資も入ってきている。
- 経営的にも、厚生労働省通知があったのでなんとかやっていける。
- 避難地域から1名を受け入れた。
- 市行政からの指示も情報もない状態で、高齢者と障害児者は障害児は後回しになることが多いので、自力で再建するしかない。と感じた。
- 「何があるかわからない」という想定の時には、行政的には策を講じることができないことがわかった。
- 各事業所の連絡・連携の調整は市社協がやるべきだが、マンパワーが不足している状態である。
- 震災時に必要な、医師、銀行、検察などが不在となったり、機能しなくなっていて困っている。
・施設・事業所B
- 4月28日13時から再開する予定。人員的にヘルパーは半分の人数で稼働するしかない。
・施設・事業所C
- 子どもも職員も避難している者もいる。とくに地震の被害はない。
・施設・事業所D
- 内陸なので被害は少ないが余震が怖い。被害は地震・津波より原発によるものが大きい。
- 職員は全員無事だが親戚が亡くなった人もいる。夫が転勤(事業所が閉鎖による)になったため退職した職員がいる。海側にあった自宅が倒壊した者が1家族。
- 利用者は一旦半数以上が市を離れて避難していたが、2家族を残して帰ってきている。
- 避難所に入れず在宅になっている家族への物資供給に困っている(避難所に入らなければ物的支援を受け取ることができない状況でもあった)。障害者向け、子ども向けの対応がない。
- 発達障害の23歳の人とその家族は、避難所に入れずに県外の知り合いのところに避難する途中でガス欠となり、職員に連絡が入り、迎えに行った。最終的に本人は、茨城の入所施設に入れた。
- 医療的ケアが必要な子どもでは、避難先の医療機関の受け入れが悪く、元の医療機関に行くにもガソリンがなかった(現在はOK)。
- 開催できなかった卒園式は4月9日に改めて実施した。
- こういう事態では施設が在宅の子供たちと家族の物資の供給センターとして機能することになるので、水や紙おむつ1歳から4歳児用、大人のS~Mが5パックほどのストックが必要と感じた。
- 学校が始まり、子どもたちも家族とともに自宅に戻ってきている。
- 避難している子どもたちも多く、何らかの支援をしなければ、当施設・事業所としても収入がなくなるので、給与の保証ができないことが心配。
- 今後、訪問型の支援が必要になって来ると考えられる。
- 余震、原発は心配。
・施設・事業所E
- 利用児、職員ともに無事。1名のみ他県の養護学校に転校したがその後の状況は確認できていない。
- 契約児の状況は、被災直後からサビ管が5日かけて訪問等で調査して把握した。
- 原発の関係で避難した職員が2名退職した。
- ライフラインはOKで、4月の2週目から事業開始している。
- 建物は地盤沈下で損傷があるが、持ち主が避難していて連絡がつかないために修理ができない。
- 震災後まもなく、授産のパンを提供した。
- Ghが被害を受けたが、周辺の人達のカンパ、授産のパンの収益等で収入を得て稼動している。
・施設・事業所F
- 入所児は他施設に移っているが、余震が続くので何時戻ってもらうか悩んでいる。
- ショートステイが3枠あるが、震災後休止していたが先週から再開した。重心通園のB型を行っている。地域の在宅の方が必要としているのであれば、広く外来を開放していかなければならないのではないかということを本日スタッフと確認した。
- 外来で通っていた256名は消息がつかめているが4名は行方不明。
- 重症児通園利用児は直後から安否確認したが、人工呼吸器装着の2名のうち1名が津波にさらわれた。
- 原発20km圏内で避難はしたが、他の住民と一緒に動かねばならないので困っている家族がいる(成人のCP)。
- 経腸栄養剤が手に入らないことも問題となってきている。
- 固定電話は繋がらない。
- 放射能については、保健所を中心にスクリーニングのシステムはできている。
- 双葉郡といわき市はヨード剤を元々備蓄してあったので配布した(世界初!)。
- 職員は全員無事だが、5名辞めた。
- 障害福祉に関して別途考えることが難しく、町の保障や復興にのっかるしかない状況で、まさに高齢者と障害児者弱者となっている。
<4月18日訪問:福島市>
・施設・事業所G
- 新規採用職員が就職を辞退し、職員が足りない状況となった。配置基準上必要ということを言われたので、急遽求人を出し、現在では補充できた。職員も被災している状況において職員配置ありきなのか。
- 放射能量が増えてきている。子どもたちを部屋に閉じ込めて、砂遊びなどをさせないようにする対応しかない状況がつらい。
- 一日の放射能量はたいしたことはないかもしれないが、そこで暮らし成長していく子ども達のことを考えるとどうすればいいのだろうか迷う。
- 保育所や学校の放射能計測はされたが、障害児施設事業所に関して計測されなかった。子どもという観点から考えても差別ではないか。
- まさに原発問題の被害である。
- 他見からの職員の応援をお願いしたいところだが、旅費等に関しても施設事業所の負担といわれ、躊躇した。職員も被災している状況だが応援が頼めないと思った。
- 子どもたちが遊びの中で、放射能の計測ごっこを行なっている場面がある。
<4月19日訪問:郡山市・福島県庁・相馬市>
・施設・事業所H:問題なく通常通り運営
・施設・事業所I:問題なく通常通り運営
・施設・事業所J:問題なく通常通り運営
- 町ごと一括して避難している町村は住民の状況はつかみやすいが、避難準備地区においては個人の判断で、それぞれに避難してしまったので、所在がつかめない状況になっている。
- 沿岸部の被害がひどい。
- 南相馬市の障害児・者は計画避難の対象になって相馬市に避難しているらしい。
- 原発20km圏内の家族が内陸部の会津若松市などに避難し、その地域の施設・事業所を利用するため事業所側から定員オーバーの状況で進んでいるので悲鳴が上がっている。また、つなぐ施設がないことも事実。
- 被災者は元の地域に戻りたいと思っている。
- 原発地元について、入所は千葉県鴨川市へ、通所は相馬市に移った。
- 保健師をキーパーソンとして調査を開始している。支援のキーステーションを一本化したいが、ある支援団体が他の団体とうまく協調できていない。
- 対策本部、障害者の相談窓口が複数化することが最も困る。
・施設・事業所K
- 利用児の約半数(南相馬市在住)が他の地域へ避難した。受け入れた事業所から「個別支援計画」の問い合わせがあり、対応している。
- 家屋が全壊した家族には、市が住宅を借り受けて提供している。
- 子ども達が不安定で余震のたびに泣き叫ぶ。
- 震災前日にプール指導でひどいことをされた発達障害児が震災でさらにパニックとなり不登校になったらしい。
- 北の方へ避難したが、その地域を挙げて支援を開始しようとしている。
- 職員は5人だが、うち2人が実家に帰ったままPTSDで戻って来られない。法人内の職員の異動やシフトで対応している。
- 他施設から心理士が入って支援している。
・施設・事業所L
- 施設・事業所:被害はなかった。
- 同法人の障害者の福祉避難所として使用していたので、子どもたちの受け入れは実質先週から準備した状況。
- 同一法人の事業所で子どもたちの受け入れを始めた。
<4月19日訪問:宮城県仙台市>
・施設・事業所M
- 子どもの安否は確認済みで、無事。
- 駐車場は地盤沈下にて陥没している。
- 建物入り口から駐車場にかけて5センチ程度の段差ができている。
- 頑丈な建物であるが、4月7日の余震により、廊下の壁面はずれてクロスが破れている。
- 非常用の鉄の扉が建物のひずみで収納できなくなっている。
- 廊下やホールにひずみが生じて、ボールは勝手に転がる。
<4月20日訪問:宮城県気仙沼市>
・施設・事業所N
(現在、老人福祉センターの一角にて再開)
- 建物はすべて津波で流された。職員は全員無事。
- 津波警報が発令されて、近くの避難所の3階に保育所の子どもたちも避難させた。2階まで水が上がり怖かった。3月13日ヘリで救出された。3月17日から場所を探し、何とか子どたちを受け入れる準備を進め、3月20日から再開した。
- 近隣の高齢者の施設の一部を間借りして過ごしている。学校の教室などを使わせてもらうことをお願いしたが、できなった。
- 利用児の被害:幼児は13名中7名の家が流された。(避難所1、親戚の家5、転居1で過ごしている)、学童は24家族中6名の家が流された(避難所3名、親戚の家2名、転居1名)、死亡は利用児1人とその母親(避難中に車ごと津波にさらわれた)
- 父親の失業、すべてを流されてしまった現実がある。生活の建て直しのみとおしもない。
- 支給物資の受け取りに際して、多くの人が押し寄せるため10分間のうちに必要なものを探して手に入れなければならない状況があった。この状況下で子どもを連れて行くことができない。しかし、避難所でなければ支援物資を受け取れないこともあり、下着や靴など最低限の生活物資も手に入れていない家族もまだいる。障害児者のための物資供給方法の検討を行ってほしい。
・施設・事業所O
- 建物は流出して、倒壊した。
- 現在、理事長の自宅一階(グループホームとして利用する予定であった)の8畳間2部屋で、在宅学齢児童の受け入れをおこなっており、訪問した時は13名がすごしていた。
- 別室では成人の方の通所の受け入れもされていた。
- 生活物資の不足あり、かき集めている状況。
<4月20日情報確認:岩手県大船渡市>
・施設事業所P
- ネット環境が全く使えない。ファックスも使えない状況。
- 情報が取れないので、連絡関係を郵送でお願いしたい。(平成23年5月17日にネット情報が回復したとの連絡あり)
- CDSのホームページの携帯サイト紹介し、紙ベースの情報提供は随時郵送することをお伝えした。
<5月4日情報提供:宮城県石巻>
・施設事業所Q
- ライフライン復旧済み
- 津波による床上浸水(泥被害はなし)
- 利用児童父母(母?)行方不明 1名
- 利用児童家屋全半壊 多数
<5月4日情報提供あり:岩手県釜石>
・施設事業所R
- 近隣が大体1階部分まで浸水していて室内に泥が入り込み、がれきが散乱。
- ガラスがすべて割れていて、修理がすぐにできる状況とは思えない。
- 室内の備品はすべて流失または撤去されている。
- 近所の方からの情報では、別の所にて、仮部屋を用意して稼働させる準備をしているとのこと。
- ライフライン 電気のみ復旧。
- 津波により、RC7階建て1階部分天井まで浸水で半壊状態。
- 近隣はがれきが処理が行なわれていない。
- 人的被害は不明。
<5月4日情報提供あり:岩手県大船渡市>
・施設事業所R
- 建物の被害はなし。ライフライン復旧済み。
- 現在災害ボランティアセンターとなっていた。自衛隊の炊き出し基地にもなっている。
- 社協のスタッフの方の話では、「仮稼働し始めた」とのこと。
- 海岸沿いは被害があるが、この場所は津波被害は認められない。
<5月4日情報提供あり:岩手県陸前高田市>
・施設事業所R
- 市内全域が全壊流失していて、すべて流されている。該当の施設事業所の住所は「海沿い」にあり、相当の津波であったと想像され、建物は全くなし。
- 数キロ先の内陸部に津波が達しており、がれきは内陸部の山沿いまたは引き波で海に流れていると思われる。
- 所々で自衛隊などが不明者を捜索している状況です。
- 近くにあった5階建て?のマンションが外壁がすべてはがされ、鉄骨が折れ曲がった状態。