障がい者制度改革推進会議 第32回(H23.5.23) 資料2-2-1
災害救援活動の概要
資料提供団体名:全国精神障害者地域生活支援協議会(あみ)
1.被災状況の確認
(1) 被災した障害者の安否確認を(①行った)
(2) 確認状況
福島県 | 宮城県 | 岩手県 | |
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どのような人を対象に、調査したか | グループホーム利用者 | 日中系事業所(6か所)・相談事業所(1ヶ所) | 地域活動支援センター、地域生活支援センター等(5か所) |
① 調査対象の総数 | 72人 | 201名 | 情報精査中 |
② 調査をした人数 | 72人 | 201名 | |
③ ②のうち不明 | 0人 | 無 | |
④ ②のうち死亡 | 0人 | 1名 | |
⑤ ②のうち、支援を必要とする人の人数 | 2名 |
(3) 福祉施設等の事業所の被害状況の調査を(①行った)
(4) 確認状況
福島県 | 宮城県 | 岩手県 | |
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どのような施設、事業所を対象にしたか | グループホーム・就労B・地域活動支援センター | 日中系事業所(6か所)・相談事業所(1ヶ所) | 地域活動支援センター、地域生活支援センター等(5か所) |
① 調査対象の総数 | 34か所 | 7か所 | 情報精査中 |
② 調査をした事業所数 | 17か所 | 7か所 | |
③ ②のうち被害のあった事業所数* | 6か所 | ||
全壊 | 0か所 | ||
一部損壊 | 12か所 | 5か所 | (天井が破損した事業所あり) |
その他 | 5か所(放射線避難指示) | 1ヶ所(施設前の駐車場に亀裂) | |
④ スタッフの被害状況 | 0名 | (スタッフの自宅が流された事業所あり) | |
死亡 | |||
不明 | 0名 | ||
⑤ その他の確認状況 | ◇職員自宅が津波被害1名(アパートに移転) ◇原発事故避難1名(仙台市に移転) |
*被害には、全壊、一部損壊、その他避難指示等により施設が利用できない状況等を含む。
2.被災者のニーズ把握と支援内容
(1) 被災した障害者のニーズ把握を(①行った)
(2) 被災した障害者への支援を(①行った)
(3) 震災直後から現在までの活動状況
ニーズ把握の概要 人数、内容の概要を県、市町村を明らかにしながら、ご説明ください。 |
支援内容の概要 人数、内容の概要を県、市町村を明らかにしながら、ご説明ください。 |
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① 震災直後~2週間まで | 福島市 精神障害者グループホーム事業所・就労B事業所2か所 70人
ガスの復旧が3月いっぱい掛かり大変だった。 ◇全般に亘って、電気の停電、燃料不足で寒かった。 角田市は、現在も下水道の使用制限があり、完全復旧には相当時間が、掛かりそうなので大変である。 ◇電話が通じず、利用者の安否確認が大変で、車(ガソリンがある範囲)で動きバイクや自転車を使って自宅まで確認に行った。 ◇角田市の近隣の精神科病院が閉鎖したことで精神薬を確保するのが大変で、市内に精神科クリニックもないので、精神科の薬を取り扱っている薬局もなく、色々な関係者のネットワークを使ってなんとか利用者の薬の確保を行った。 |
食糧品(米・インスタント食品・調味料・飲料水・クッキー等)を搬送した。 |
② 2週間~1か月まで | いわき市 東日本国際大学支援センターと連絡を取り合う
◇仙台市宮城野区の相談事業所は、余震で玄関先が壊れてフリースペースは閉鎖し、相談と訪問で支援をしている。 ◇授産所で、自主製品を作っているが、イベントが中止され、販売が出来ず利用者への工賃が払えずこの先の見通しが立たない。 |
食糧品(米・生鮮野菜・肉・インスタント食品・飲料水・クッキー・日用品等)を搬送した |
③ 1か月~現在まで | 福島市・郡山市・塙町
仙台市の8か所のグループホーム・就労B・地域活動支援センター 施設・設備の被害状況の把握 |
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相馬市・南相馬市
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浪江町
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双葉町
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3.上記以外のその他の支援活動
福島県「相双地区(浜通り北エリア)の地域精神保健医療福祉を構築する会」の結成のための会議に参加。
4.支援での課題等
○被災事業所、被災障害者のニーズはライフライン・食料供給・燃料供給事情により日ごとに変化しており、ニーズに即応した支援を提供するまでにタイムラグが生じた。
○グループホームが被災し避難所での生活を余儀なくされても、事業所としての集団避難が認められにくい。生活住居のある地域の避難所での生活を余儀なくされており、スタッフの円滑な支援に支障が出ていた。ライフラインの一部復旧により避難所から自宅への帰宅を促されていたが、グループホーム利用者にとってはより生活が困難になる事例があった。
○地震と津波によるライフライン・交通手段・情報手段等の途絶で、1週間は水・食料の支援もなく孤立無援の状態に陥った事業所があった。
○施設の一部損壊が生じても、利用者の生活を優先するために現状での事業再開をしている状態があった。
○広範な地域が被災した結果、内職・下請け等の作業の受注が激減または消滅し事業に支障が生じている。原発事故の風評被害を恐れたのか、発注元が貸与してくれていた機械と半完成品をすべて回収された事業所があった。
○医療が機能不全に陥り、診察・処方が不備となった。臨時応急対応により比較的早期に立て直しはされたが、診察の度に担当医師が異なることから、絶えず最初からの話しをしなければならずストレスフルという声が大きい。早くきちんとした医療対応のできる体制の整備が求められる。
○福島では風評により授産品目の皮細工など、販売出来ない物品が食品以外にも及び始めている。
○生存にかかる迅速な支援、避難所での安定した生活(医療を含む)を提供する支援、グループホームやケアホームなどの住まいや就労継続B型・地域活動支援センターなどの損壊に対する復旧支援、原発事故による避難指示地域内の事業所に対する支援など、被災からの時間的経過と被災内容に応じた支援が求められる。しかし、広範な地域が被災しているため個々の障害者や事業所の被害実態がなかなか把握し難く、必要に応じた支援が行き渡らない恨みがある。(県外避難した障害者の把握やその支援、避難所での生活上の困難性の改善など)
○また今後においては、自治体や防災センターなどによる災害前の障害者関係施設・利用者の把握と障害に応じた効果的対策が行われていたかの検証、対策の充実を講ずる必要がある。
○今後ますます風評被害が拡大する恐れがあり、非科学的な関連付けによる購買力低下を避けるためのプロパガンダの必要を痛感する。
○精神科病院の閉鎖や交通機関の遮断により、受診と薬の確保が困難になっている状況が各地にみられ、災害時のまずは薬の確保を出来る仕組みを考えておく必要がある。
○ホーム利用者が、一時的に避難する時、関連施設(通所系)に避難したようだが、関連施設を持っていない事業所の避難所の確保を,日常に中で検討して行く必要がある。
○相談事業所が地域の要請で、災害時の緊急用具等準備して、発電機や毛布などを貸してあげたようで、施設が地域の中での役割を考えた時に、収納場所の問題があるが災害用の備蓄倉庫を持つことも検討していく必要がある。
○電話の不通で連絡や情報が伝わらない状況で、無線を準備していた所があり、情報伝達の手段を検討して行く必要ある。
○自主製品を作っても売り場がなく、販売方法を考える必要がある。
○通所系事業所が、3月はほとんど機能していなく今後も平常時のように利用者が利用出来る見通しもないので、この間も介護給付は、平常時の保障をすべきである。
支援として必要なこと【岩手訪問から】
(1)現地の支援者が、安定して仕事ができる環境をつくること
●職員の給料の保障、運営費の確保
(2)現地における事業の実態を整えること
●施設・事業所の復旧や新たな確保
●職員の住まい
●応援職員の派遣
(3)安心して、福祉サービスができるような体制をつくること
●サービス利用が可能な場所での利用者・家族の住まいの確保
●送迎や訪問の強化←新たなサービス形態の創出ということも含め
●「仕事」「作業」の確保、「販売」の確保