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障がい者制度改革推進会議 第34回(H23.8.8) 資料5

衆議院 内閣委員会 会議録
【障害者基本法審議該当部分のみ抜粋】

http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm

第14号 平成23年6月15日(水曜日)

○荒井委員長 これより会議を開きます。

内閣提出、障害者基本法の一部を改正する法律案を議題といたします。

趣旨の説明を聴取いたします。蓮舫国務大臣。

―――――――――――――

障害者基本法の一部を改正する法律案

〔本号末尾に掲載〕

―――――――――――――

○蓮舫国務大臣 障害者基本法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

障害者の権利に関する条約の発効等の障害者の権利の保護に関する国際的動向等を踏まえ、すべての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、障害者の自立と社会参加の支援等のための施策を推進することを目的として、本法律案を提出する次第であります。

次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

第一に、障害がある者にとって日常生活または社会生活を営む上で障壁となるような社会における一切のものを社会的障壁と定義し、障害者とは、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものであることをその定義において明示しております。

第二に、すべての国民が共生する社会の実現は、すべての障害者が、障害者でない者と等しく基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提としつつ、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと、手話を含む言語その他の意思疎通の手段についての選択の機会が確保されること等を旨とし、また、国際的協調のもとに図られなければならないことを定めることとしております。

第三に、障害者に対して、障害を理由として差別することその他の権利利益を侵害する行為を禁止する観点から、社会的障壁の除去について必要かつ合理的な配慮がされなければならないことを定めることとしております。

第四に、障害者の自立及び社会参加の支援等のための基本的施策として、障害者が医療、介護の給付等を身近な場所で受けられるよう必要な施策を講ずること、障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒とともに教育を受けられるよう配慮すること、障害者の多様な就業の機会を確保するよう努めること、災害その他非常の事態の場合に障害者に対し必要な情報が迅速かつ的確に伝えられるよう必要な施策を講ずること等を定めることとしております。

また、障害者である子供が身近な場所において療育その他これに関連する支援を受けられるよう必要な施策を講ずること、選挙等において障害者が円滑に投票できるよう投票所の施設または設備の整備等必要な施策を講ずること、司法手続において個々の障害者の特性に応じた意思疎通の手段を確保するよう配慮すること、施策を国際的協調のもとに推進するための国際協力等の規定を新たに設けることとしております。

第五に、内閣府に置かれた中央障害者施策推進協議会を障害者政策委員会へと改組し、同委員会は、新たに障害者基本計画の実施状況の監視等の事務をつかさどることとしております。

以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

○荒井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

―――――――――――――

○荒井委員長 この際、本案に対し、西村智奈美さん外二名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の共同提案による修正案が提出されております。

提出者から趣旨の説明を聴取いたします。高木美智代さん。

―――――――――――――

障害者基本法の一部を改正する法律案に対する修正案

〔本号末尾に掲載〕

―――――――――――――

○高木(美)委員 ただいま議題となりました障害者基本法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

第一に、目的規定において、「等しく基本的人権を享有する個人として尊重される」という表現を「等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重される」に改めることとしております。

第二に、定義規定において、精神障害に発達障害が含まれる旨を括弧書きで明記いたします。

第三に、医療、介護等については、障害者の自立のための支援の例示として、「保健」を明記いたします。

第四に、教育については、まず、国及び地方公共団体は、第十六条第一項の目的を達成するため、障害者である児童及び生徒並びにその保護者に対し十分な情報の提供を行うとともに、可能な限りその意向を尊重しなければならないものとすることとしております。さらに、障害者の教育に関して促進しなければならない環境の整備の例示として、「適切な教材等の提供」を明記いたします。

第五に、療育については、国及び地方公共団体は、療育に関し、研究、開発及び普及の促進、専門的知識または技能を有する職員の育成その他の環境の整備を促進しなければならないものといたします。

第六に、公共的施設のバリアフリー化については、バリアフリー化の推進が図られるべき交通施設に車両、船舶、航空機等の移動施設が含まれていることを括弧書きで明記いたします。

第七に、情報の利用におけるバリアフリー化等については、障害者が他人との意思疎通を図ることができるようにする等のために国及び地方公共団体が講じなければならない施策の例示として、「障害者の意思疎通を仲介する者の養成及び派遣」を明記いたします。

第八に、相談等については、障害者の権利利益の保護等のための施策または制度の運用に際しての配慮事項として、障害者の意思決定の支援に配慮することを明記することとしております。また、国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者からの各種の相談に総合的に応ずることができるようにするため、関係機関相互の有機的連携のもとに必要な相談体制の整備を図るとともに、障害者の家族に対し、障害者の家族が互いに支え合うための活動の支援その他の支援を適切に行うものとすることとしております。

第九に、文化的諸条件の整備等については、「文化」という表現を「文化芸術」に改めることとしております。

第十に、防災及び防犯の規定として、国及び地方公共団体は、障害者が地域社会において安全にかつ安心して生活を営むことができるようにするため、障害者の性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じて、防災及び防犯に関し必要な施策を講じなければならないものとする規定を新設いたします。

第十一に、消費者としての障害者の保護の観点から、国及び地方公共団体は、障害者の消費者としての利益の擁護及び増進が図られるようにするため、適切な方法による情報の提供その他必要な施策を講じなければならないものとすることとし、事業者についても、障害者の消費者としての利益の擁護及び増進が図られるようにするため、適切な方法による情報の提供等に努めなければならないものとする規定を新設いたします。

第十二に、附則に検討規定を加えることとし、まず、国は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律による改正後の障害者基本法の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとするとともに、国は、障害者が地域社会において必要な支援を受けながら自立した生活を営むことができるようにするため、障害に応じた施策の実施状況を踏まえ、地域における保健、医療及び福祉の相互の有機的連携の確保その他の障害者に対する支援体制のあり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることとしております。

第十三に、その他所要の規定の整理を行うこととしております。

以上が、本修正案の趣旨であります。

何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

○荒井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

―――――――――――――

○荒井委員長 この際、お諮りいたします。

本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官村木厚子君、総務省自治行政局選挙部長田口尚文君、消防庁国民保護・防災部長佐々木克樹君、法務省大臣官房審議官甲斐行夫君、文部科学省大臣官房審議官徳久治彦君、厚生労働省大臣官房審議官石井淳子君、厚生労働省大臣官房審議官今別府敏雄君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長木倉敬之君、国土交通省総合政策局次長瀧口敬二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○荒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

―――――――――――――

○荒井委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑に入ります。

質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大島敦君。

○大島(敦)委員 第二条第一号では、「身体障害、知的障害、精神障害その他の心身の機能の障害」を障害と総称していますが、これは障害者手帳上の障害に限定されないということでよいでしょうか。

○園田大臣政務官 お答えを申し上げます。

今般の改正案では、障害につきまして、「身体障害、知的障害、精神障害その他の心身の機能の障害」と規定をさせていただきまして、障害者基本法における障害にはあらゆる心身の機能の障害が含まれることを明確化したところでございます。

先生の御指摘のように、いわゆる障害者手帳制度といった個別制度の障害の範囲につきましては、それぞれの目的に応じて定められるものでありまして、障害者基本法におきます障害の範囲は障害手帳の交付者に限定されるものではございません。

○大島(敦)委員 障害者の定義について、発達障害は条文上明示されたところでありますが、明文がなくとも、高次脳機能障害、難病に起因する障害も障害に含まれるのでしょうか。

○園田大臣政務官 お答えを申し上げます。

改正案につきましては、障害につきまして、「身体障害、知的障害、精神障害その他の心身の機能の障害」と規定をさせていただいた、これは先ほど御答弁をさせていただいたところでございます。

御指摘のございました高次脳機能障害につきましては、第二条の第一号の「精神障害」にまず含まれるというふうに解釈をさせていただきます。そして、難病に起因する障害につきましては、やはり同条の同号、二条第一号の「その他の心身の機能の障害」に含まれ、いずれもこの一号の「障害」に含まれるというふうに思っております。

○大島(敦)委員 今般の改正において新設されております第十四条第五項では、障害者が医療、介護等を可能な限り身近な場所で受けられるよう必要な施策を講ずる旨が規定されております。この改正趣旨についての御説明をお願いいたします。

○蓮舫国務大臣 今般の改正案では、まさに障害者が、可能な限り、どこでだれと生活するかについて選択の機会が確保され、地域社会においてほかの人々とまさに共生することを基本原則として位置づけることにしました。

このような趣旨を踏まえまして、可能な限り、障害者がみずからの意思に反して施設や病院での生活を強いられることなく、地域社会で生活するために身近な場所で医療、介護等を受けられるようにするとの観点から、委員御指摘の本規定を設けたところでございます。

○大島(敦)委員 このような改正趣旨を踏まえ、障害者が施設や病院での生活から可能な限り地域社会で生活できるよう、医療、介護等の施策が障害者の地域移行と地域生活の支援に向けられなければならないと考えております。

厚生労働省としては具体的にどのように取り組んでいくおつもりでしょうか。

○木倉政府参考人 お答え申し上げます。

障害者の地域移行あるいは地域生活の支援ということは重要な課題と考えております。これまでも、自治体の障害福祉計画に基づきまして、住まいの場であるグループホーム、ケアホームの整備を進めるなど、支援の充実を進めてきているところでございます。

また、昨年の十二月には、議員立法によりまして、障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律、題名が長いんですが、そういう法律が成立しておりまして、その中では、特に、地域移行や地域生活の支援のための相談支援体制の強化、それからグループホーム、ケアホーム利用の際の助成の創設など、障害者の地域移行や地域生活の支援の充実を図ることとされておるところでございます。

さらに、現在、障がい者制度改革推進本部等におきまして、制度の谷間のない支援の提供等を内容とする総合福祉法へ向けての検討が行われているところでございます。

今回の基本法改正の趣旨も踏まえまして、引き続き地域移行、地域生活支援に努めてまいりたいと考えております。

○大島(敦)委員 また、十四条第五項では、障害者への医療、介護等の提供に当たってはその人権を十分に尊重しなければならない旨規定されておりますが、この関係で、精神医療における課題をどうとらえ、厚生労働省としては具体的にどのように取り組んでいくつもりなのか、御説明をお願いします。

○木倉政府参考人 お答え申し上げます。

昨年の六月二十九日でございますが、障がい者制度改革推進会議の議論を踏まえて閣議決定をされております「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」の中では、今先生御指摘のような部分に触れられておりまして、社会的入院を解消するため、精神障害者に対する退院支援や地域生活における医療、生活面の支援に係る体制の整備について、平成二十三年内にその結論を得る、また、精神障害者に対する強制入院、強制医療介入等について、いわゆる保護者制度の見直し等も含め、そのあり方を検討し、平成二十四年内を目途にその結論を得る等が盛り込まれているところでございます。

これを受けまして、厚生労働省におきましては、昨年五月から、私どもの厚生労働大臣政務官のもとに有識者にお集まりいただきまして新たな地域精神保健医療体制の構築に向けたチームを設置しまして、この閣議決定を踏まえました内容として、まず昨年九月からは、認知症患者に対します精神科医療の役割を明確化して、認知症患者でありましても地域の生活の場で暮らせるようにするための社会的入院の解消の観点も含め、認知症と精神科医療のあり方についての検討を開始し、また昨年十月からは、保護者制度、入院制度のあり方についての検討を開始するなど、このような検討課題について順次検討を進めているところでございます。

今後とも、この閣議決定や今回の基本法改正の趣旨を踏まえまして、さらに精神保健医療改革の推進を図ってまいりたいと考えております。

○大島(敦)委員 政府案第十六条第一項では、ともに教育を受けられるよう配慮する旨が規定され、第二項では、障害者である児童及び生徒と障害者でない児童及び生徒の交流及び共同学習による相互理解の促進が規定されておりますが、第一項と第二項の関係はどのように理解すればよろしいのでしょうか。

○末松副大臣 まず、十六条の趣旨から御説明申し上げますが、この法律の第一条の「目的」のところで共生社会の実現というのが書いてございまして、読みますと、「全ての国民が、障害の有無によつて分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現する」と書いてございます。これが十六条の趣旨でございます。これを教育の場で具現したのが十六条でございます。

そこで、十六条第一項で、可能な限り障害者である児童生徒が障害者でない児童生徒とともに教育を受けられるよう配慮する旨の規定を置きまして、具体的には、障害者である児童生徒が障害者でない児童及び生徒と一緒に同じ学校の通常学級に在籍しながら教育を受けられるようにするという、この基本的方向性を示したところでございます。

一方、障害者本人、保護者が特別支援学校や特別支援学級などにおける教育を受けることを希望する場合もございます。こういうともに学ばない場合であっても、目的の趣旨を踏まえて、互いの交流や共同学習を通じて相互理解を促進しなければいけないという趣旨から、この同二項を規定しているところでございます。

○大島(敦)委員 修正案提出者に質問をいたします。

修正案では新しく第十六条第二項が加えられておりますが、これを追加した趣旨について御説明をお願いいたします。

○西村(智)委員 お答えいたします。

障害者がその成長過程において適切な教育を受けられるようにすることは、障害者基本法の趣旨にかんがみて極めて重要なことと思います。この点、極めて細かい配慮をし、十分な情報の提供を行うとともに、本人等の意見を尊重する必要がございます。これは、昨年末取りまとめられました中教審の特別支援教育の在り方に関する特別委員会の論点整理でも明示されているとおりです。したがって、今回、新たに第二項を加える修正をすることといたしました。

新第十六条第二項においては、情報の提供及び意向の尊重について「前項の目的を達成するため、」と規定しております。この文言は、第一項における「障害者が、その年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにするため、」という部分を指しておりまして、それ以降の部分にはかかっておりません。

○大島(敦)委員 第二項の追加という修正を受け、文部科学省としては具体的にどのように取り組んでいくおつもりでしょうか。

○徳久政府参考人 文部科学省におきましては、平成十九年以降、障害のある子供の就学先の決定に際しまして、保護者の意見聴取を義務づける等の取り組みを行ってきているところでございます。

一方、今、西村委員の方から、修正提案者の方からお話ありましたように、障害者の権利に関する条約の理念を踏まえた特別支援教育のあり方について、文部科学省といたしましても検討を行ってきました。

中央教育審議会の特別支援教育の在り方に関する特別委員会の論点整理、昨年十二月でございますが、それにおきましては、就学先の決定のあり方につきましては、障害の状態、本人の教育的ニーズ、本人、保護者の意見等を踏まえた総合的な観点から決定する仕組みとすること、その際、本人、保護者に対し十分情報提供をしつつ、本人、保護者の意見を最大限尊重し合意形成を行うことを原則とし、最終的には市町村教育委員会が決定する仕組みとすること、このような仕組みに変えていくため、速やかに関係する法令改正等を行い、体制を整備していくべきなどの提言がされているところでございます。

文部科学省といたしましては、障害者基本法の改正や中央教育審議会の議論等も踏まえながら、障害のある子供の就学先決定の仕組みについて速やかに検討してまいりたいと考えてございます。

○大島(敦)委員 改正案において、「障害者の特性」と規定した趣旨について御説明をお願いいたします。

○園田大臣政務官 お答えを申し上げます。

これまでの障害者施策の中におきましては、やはり、どちらかといいますと、機能に着目をし、そして医療的な、いわゆる医療的なモデルというふうに言われておりましたけれども、むしろ、そちらの方が主体的に強く、色濃く出ていたところがございました。

今般の改正におきましては、障害者が日常生活であるとかあるいは社会生活において受ける制限というものは、障害によるものだけではない、社会におけるさまざまな障壁の中において生ずるものであるという、いわゆる社会モデルという考え方を基本認識とさせていただいたところでございます。

このような趣旨から、各分野の施策を講ずるに当たりましては、単に障害の種別及び程度のみならず、障害者が日常生活等において有する多様な困難を踏まえるという社会モデルの観点を明確化するという観点から、「障害者の特性」という文言を用いさせていただいたところでございます。

○大島(敦)委員 第三十一条第二項、修正案では第三十三条第二項後段の規定の趣旨は、単に政策委員会がさまざまな障害者の意見をヒアリングできる体制にすべきということではなく、政策委員会の委員自体が多数の障害者を含む構成にすべきであると理解してよいでしょうか。

また、三十四条第二項そして第五項、修正案では第三十六条第二項そして第五項も同趣旨と理解してよろしいでしょうか。

○園田大臣政務官 お答え申し上げます。

障害者政策委員会の委員につきましては、政府案の第三十一条第二項前段におきまして、障害者、障害者の自立及び社会参加に関する事業に従事する者、学識経験者のうちから、内閣総理大臣が任命する旨を規定させていただいておりまして、また、同項の後段におきましては、委員の任命に当たっては、さまざまな障害者の意見を聞き、障害者の実情を踏まえた調査審議を行うことができるように配慮する旨を規定させていただいたところでございます。

障害者施策につきましては、調査審議等を行うに当たりまして、障害者の意見を聞き、そして障害者の実情を踏まえた審議ができるようにすることは私どもも大変重要であるというふうに考えておるところでございまして、この目的が達成されますように、委員の任命に当たりましては、御指摘の観点を踏まえまして、委員の選定や委員の構成のバランスを含めて考慮した上で、任命権者である内閣総理大臣が総合的に判断していくことになると考えております。

また、地方公共団体に置かれます合議制の機関につきましても、これまた同様でございまして、政府案第三十四条第二項及び第五項に基づいて、任命権者である地方公共団体の長が判断するということになっております。

〔委員長退席、村井委員長代理着席〕

○大島(敦)委員 以上で質問を終わります。

○村井委員長代理 次に、山崎誠君。

○山崎(誠)委員 こんにちは。民主党の山崎誠でございます。

本日は、貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

今回のテーマであります障害者基本法の一部を改正する法律案、私も、地元でいろいろな障害者の方々と接する機会を持っております。常日ごろから、本当に、まだまだ日本の障害者の皆さんに対する福祉の考え方、もっと精緻なものにしていかなければいけない。例えば、条約の締結のお話もございます。国際的なレベルに早く日本も到達しなければいけないんだろうと。そういった意味で、今回のこの基本法の改正、非常に重要なまず第一歩であろうという認識でおります。そういった意味で、期待も込めまして、質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

まず、私は、今回の質問に際しまして、精神障害の方々をケアしていますグループホーム、あるいは生活支援センターを運営しているNPOの皆さんにちょっと話を聞いてまいりました。そこでお話を聞いたことを少し御紹介して、スタートさせていただきたいと思っています。

横浜市では今、障害者の親亡き後に備えて、将来にわたるあんしん施策を進めております。私は横浜出身ですので横浜のお話から入りたいんですが、その中で、担当者の方々がこのようなことをおっしゃっている。身体障害、知的障害者の親は、一人でも多くの人に自分の子供がここにいるということを知ってほしいと。身体あるいは知的の障害の子供を持つ親は、多くの人たちに自分の子供のことを知ってほしいと思っています。ところが、精神障害者を持つ親の方はどういうことを言うか。子供がここにいるということを知られたくないとおっしゃっています。なぜか。見えないところで差別だとか偏見をやはり受けているのが今の日本の現状である。

例えば、事例を幾つかいただきました。グループホームを建設したいと。すると、近隣の皆さんからこういう声がかかった。近くに小学校があるから、そんな人が六人も住んで何かがあったら大変だと反対をされた。一部の方ではありますが、そういう声が届いてきてしまう。生活支援センターの開設。そんな人がたくさん集まって何かがあったら大変だ、そんな声が上がってしまう。

また、自立をしてひとり暮らしをしようとアパートを探して回りますが、例えば、十二店の不動産屋さんを回って十店断られて、物件を紹介していただけなかった。また、入居の申込書、我々にとっては当たり前かもしれませんけれども、勤務先だとか収入を書く欄がある。精神障害の方々、年金を頼りにしている方々はそういったところに書くこともできない。不動産屋さんがオーケーを出してくれても、大家さんのレベルに行くとまた断られ続けてしまう。大変苦労されています。

例えば、講演会の中でこういう意見があった。母親は自分が精神障害であることをいまだ親戚に伝えていない、親が亡くなった後、自分はどのように伝えたらいいのか。こういう事例が私の耳にも飛び込んできました。

私は、出発点として、こういう大変厳しい状況にある、特に精神障害の方々は三障害の中でもまだまださまざまなところで差があるということですので、その辺をちょっと私は中心に聞くことになりますが、これは別に精神に限ったことではなくて、知的障害の方あるいは身体障害の方、その他障害を抱えている方にはやはり共通のいろいろな思いの一端だろうと思っております。

まず、本基本法の改正の意義について、そして障害者権利条約を締結するために今後どのような対応を進めるべきなのか、そこからスタートさせていただきます。よろしくお願いします。

○園田大臣政務官 ありがとうございます。

委員御指摘のように、これまでの日本の障害者施策と言われるものは、戦後すぐに議員立法から始まったわけでございますけれども、最初はやはり身体障害者から始まりました。そして、多くの期間と、多くの方々が苦しみやあるいは困難を乗り越えながら、今日まで日本の政府やあるいは政治の中においてこの対策がなされてきたというふうに思っております。

しかしながら、精神あるいは身体、知的ともに、障害者と言われている方々は社会の中においてはまだまだ大変な困難の中にあるものだというふうに私どもは考えておるところでございます。そして、委員も御案内のとおり、党の中でもこれまでずっとそれに携わって御議論をしていただいて、あるいは障害者団体、当事者の団体の方々からもヒアリングをさせていただきながら、そのような意見を何としてでも解消していきたいという思いで各省庁に対しても働きかけをしてきたものだというふうに私は理解をさせていただいたところでございます。

その上で、私どもにおきましては、現在、平成二十六年末を目途といたしまして、障害者権利条約の締結に向けて、しっかりと国内法の整備を初めとする制度の集中的な改革を政府としてはしていかなければならないという形で今般の議論を進めてまいったところでございます。

昨年の六月になりますけれども、「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」ということで閣議決定を行わせていただきました。その中におきましては、まず横断的課題といたしまして、今般の障害者基本法の改正に続きまして、障害者の地域生活支援体系の整備等を内容といたします障害者総合福祉法、これは仮称でございますけれども、自立支援法も含めて総合的な福祉施策を考えていかなければいけないということで、この法整備であるとか、あるいは障害を理由とする差別の禁止に関する法律の制定を行うといったことのほか、雇用であるとか教育であるとか医療であるとか、各個別の分野におきましても改革の工程表を定めさせていただきまして、必要な検討を進めていこうということを考えているところでございます。

○山崎(誠)委員 ありがとうございます。

障害のある皆さんは本当に期待している部分ですので、期限を切って一つ一つ前に進めていただきたいと思います。

細かいお話で、ちょっと条文に入ります。質問が一部ダブりますが、私も、大変大事なところですので、繰り返しになりますがお聞きをしてまいりたいと思います。

まず、二条の、障害者の定義についてというところです。

考え方として、これは基本法ですから、できるだけ広く、本当に谷間をつくらないで、いろいろな方々をお救いできる制度にしなければいけない、そういう規定にしなければいけない、そのように考えます。この規定の仕方、「身体障害、知的障害、精神障害その他の心身の機能の障害」。「その他」を入れているというのが、多分、先ほども御説明がありました、より広くしているんだということのあらわれであると思います。それはすごく前向きに評価できる。

そして、さらにその先に「障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態」というような記述もございます。例えば、細かいお話ですが、この「継続的」というような意味も、これはとり方によっては断続的であったり周期的であったり、いろいろな症状の出方もあると思います。そういったものも含めて、この定義をどのように解釈されているのか、もう一回重ねてお聞きをしたいと思います。

○村木政府参考人 お答え申し上げます。

今回の改正案では、障害について、先ほど先生もおっしゃってくださいましたとおり、「身体障害、知的障害、精神障害その他の心身の機能の障害」と規定をしたところでございます。この基本法における障害にはあらゆる心身の機能の障害が含まれる、これは幅広いものであるということを明確化するためにこのような規定にいたしました。その他の心身の機能障害には、例えば難病による心身の機能障害なども含まれるということでございます。

また、今、「継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける」という条文も引用くださいましたが、この「継続的に」ということの意味の中には、断続的なもの、周期的なものも含んで、幅広くとらえるものというふうに考えているところでございます。

○山崎(誠)委員 ありがとうございます。

続いて、これも少し重なるんですが、修正案の方で提出者の方にもお聞きをしたいんですが、発達障害の扱いを精神障害に含まれるとした括弧の中の記述の仕方なんですが、これについてお考えをもう一回お聞きしたいと思います。

これはいろいろな考え方があると思うので一概に言えませんが、例えば発達障害を外出しにして四つにする、そのような規定の仕方もあり得るのではないかなと。より具体的にそういう形で定義をしていくメリットもあるのではないかなという意味を込めて、ちょっとお聞きをしたいと思います。

○西村(智)委員 ありがとうございます。

発達障害については、平成十六年に発達障害者支援法が制定され、定義規定も置かれまして、近年、その重要性に対する認識は高まっているところであると思います。

従来、障害は、身体障害、知的障害、精神障害の三つに大別されてきましたが、発達障害については、概念的には精神障害に含まれるものの、これまで障害者基本法においてはそのことが明確にされてきませんでした。そこで、本修正により、精神障害に発達障害が含まれることを明記することとしたものであります。

なお、昨年成立した障害者自立支援法の改正においても、精神障害者に発達障害者が含まれることが括弧書きで明記されております。

そこで、山崎委員御指摘の点なんですけれども、発達障害をどのように位置づけるかについてはさまざまな議論があると私も承知をしております。精神障害や知的障害との関係の整理も含めて、今後の検討課題であるというふうに認識しております。

○山崎(誠)委員 ありがとうございます。

難しいですね。個別に挙げていくのがいいのか、あるいはその他みたいなことでくくったらいいのか。いずれにしても、社会の状況も変わってくる、例えばいろいろな障害もまた見つかってくる、そういうこともあると思います。そういったところをやはり広く拾える基本法であってほしいと思いますので、よろしくお願いいたします。

では、次のポイントなんですが、大事な条文で、第三条の条文、どこでだれと生活するかの選択の機会、あるいは地域社会において他の人々と共生することを妨げられないというような内容。あるいは三条の三号では、意思の疎通の手段。あるいは十四条、医療、介護給付、リハビリテーションの提供を身近な場所において受けられる。それから十六条は、教育の場面ですね。障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と教育が受けられる。あるいは十七条の、療育に関する規定。

これらの規定に「可能な限り」という文言がついている。これはほかの場面でも議論になっていると思うんですが、この「可能な限り」という文言をつけている趣旨、理由をお尋ねしたいと思います。

○村木政府参考人 御指摘の「可能な限り」という文言でございます。個別に条文を挙げていただきましたが、条文ごとに御説明をしたいと思います。

まず、第三条の第二号、第十四条第五項あるいは第十七条につきましては、例えば、障害が重度であって必要な設備の整った施設で適切な医療的ケアを受けなければならない方、こういった方々は必ずしもその身近な場所では適切な支援を受けられない場合もあり得るということも考えまして、「可能な限り」という表現を入れたところでございます。

また、第三条第三号につきましては、企業、個人等を含む社会を構成するあらゆる主体において、必ずしも常にあらゆる障害者の意思疎通手段の選択の機会を確保することができるというわけではないということも考慮をいたしまして、「可能な限り」という規定を入れたところでございます。

また、第十六条第一項につきましては、例えば聴覚障害のある児童生徒など、本人にとって最も適切な言語、コミュニケーションを習得するために、本人、保護者が特別支援学校や特別支援学級等における教育を受けることを希望する場合などもあることを考えまして、「可能な限り」というふうに規定をしたところでございます。

〔村井委員長代理退席、委員長着席〕

○山崎(誠)委員 ありがとうございます。

大きく大別すると、その本人の状況に応じて、本人のためを思うと身近なところでサービスを提供するだけではないよ、あるいは健常な方と一緒に教育をするだけではないよ、いろいろな選択肢があり得るというお話と、それからもう一つは、やはり状況としてそういうサービスを提供することがまだまだ難しい場面もあるよということだと思うんですね。

私は、この二つの理由は納得できる理由なので、これは理由としてはいいんですが、この表現が、今さらかもしれませんけれども、「可能な限り」という表現でその内容を表現するというのはちょっと無理があると。やはり、個別の事情に応じて必要な処置をしながら、でも、原則は可能な限りこういうサービスを提供する、こういう社会をつくっていくんだ、それがこの基本法の趣旨でなければいけない、大事な肝だと思うんですね。

この「可能な限り」という文言を、こういう大事なところでこういう形で使ってしまうことには非常に私は問題があると思うんですが、いかがでしょうか。

○村木政府参考人 「可能な限り」という表現については、議論の過程でもさまざまな御意見がございました。「可能な限り」と書くことで、基本的な方向に向けての努力が少しそがれてしまうのではないかという御懸念もありました。

この表現が一番よかったかどうかという問題はございますが、私どもが込めた思いとしては、基本的な方向に向けて最大限の努力をするという趣旨でこういった表現を使っているという気持ちを酌み取っていただければというふうに存じます。

○山崎(誠)委員 ぜひそういう形で運用を、今後、次の立法などでも生かしていただかないといけない大事なポイントだと思いますので、お願いをいたします。

では、次のポイントで、先ほど精神障害の皆さんの話を少しさせていただいた中で、まだまだ実は精神障害の皆さんに対するサポート支援というのには差があるよ、三障害の中で一体ではないということで、強く皆様から要望いただいている点にちょっと触れさせていただきます。

まず、公共交通機関の運賃割引制度なんですが、これが精神障害の皆さんというのは後発なんですね。手帳の例えば写真の貼付などがおくれていたので、そういう制度から外れてしまっていた。でも、平成十八年ですか、厚労省から国交省に依頼も出ていますが、その後、まだ十分ではないのではないか。私の地元の横浜でも外れているままなんですね。その辺の現状それから今後の対応について、これは国交省の方にお尋ねします。

○瀧口政府参考人 一般に、障害者の方々に対します運賃割引につきましては、各交通事業者の自主的な判断に基づき、割引による減収を他の利用者の負担で賄うという形で行われているところでございます。

先生御質問の精神障害者に対する運賃割引でございますが、先生今御指摘ございましたけれども、平成十八年十月に、本人確認を容易にするため精神障害者保健福祉手帳に本人の写真を貼付するという制度改正が行われておりますが、このような機会をとらえまして、私ども、また厚生労働省の要請を受けまして、精神障害者に対します運賃の割引について、各事業者などに対しまして理解と協力を求めるということをやってきたところでございます。

この結果でございますが、私どもの手元にある数字でございますけれども、精神障害者に対する割引を実施している交通事業者の数でございますが、平成十三年の時点では、全国で三百四十七事業者でございました。これが、今、手元の数字の最新のものは二十二年の四月現在でございますが、その後、タクシー、特に個人タクシーの事業者などが導入を実施したということもございまして、二十二年四月現在では、鉄軌道事業者五十社、乗り合いバス事業者二百八十八社など、全国で二万四千七百八十五社ということになっております。

ただ、先生御指摘のように、これで十分かというとまだまだというような御指摘もいただいているところでございます。今後とも、引き続き、各事業者や事業者団体等の関係者に対しまして理解と協力を求めてまいりたいと考えております。

○山崎(誠)委員 ありがとうございます。

経営が厳しい中で御協力いただいている皆さんには、本当に感謝を申し上げます。ただ、知的と身体と精神で、精神だけ外れているという現状はいかにもおかしい。この基本法の趣旨にもやはり合わないものですので、ぜひ国交省の皆さんからも再度いろいろと働きかけをお願いしたいと思います。

それから、一問ちょっと時間の関係で飛ばさせていただいて、教育の現場の話をお聞きしたいと思います。

インクルーシブ教育、これが今回の改正の一つの大きな目玉になっていると認識をしております。現状と課題、そしてこれを踏まえて今後どのように推進をしていくのか、文科省の方にお尋ねをしたいと思います。

○徳久政府参考人 文部科学省におきましては、インクルーシブ教育システムの確保に関する取り組みといたしまして、これまで、幼稚園、小学校、中学校、高等学校の新学習指導要領等に、各学校における障害のある子供と障害のない子供の交流及び共同学習について、まず明記をいたしました。また、障害のある子供の就学先の決定に際しまして、平成十九年以降、保護者の意見聴取を義務づける等の取り組みを行ってきたところでございます。

課題ということでございますが、先ほど御答弁いただきました昨年十二月の中央教育審議会の特別支援教育の在り方に関する特別委員会の論点整理におきまして、次のような点を指摘しております。

まず、インクルーシブ教育システムの理念とそれに向かっていく方向性には賛成である。また、学校教育においても、共生社会の形成に向けた理解の促進を図る教育の一層の充実を図っていく必要がある。就学先の決定のあり方につきましては、就学基準に該当する障害のある子供は原則特別支援学校に就学するという従来の就学先決定の仕組みを改めて、新たに、障害の状態、本人の教育的ニーズ、本人、保護者の意見、専門家の意見等を踏まえた総合的な観点から決定する仕組みとする。その際、本人、保護者に対し十分情報提供をしつつ、本人、保護者の意見を最大限尊重し合意形成を行うことを原則とし、最終的には市町村教育委員会が決定するなどの仕組みとすることなどの御提言をいただいたところでございます。

文部科学省といたしましては、障害者基本法の改正や中央教育審議会の議論等も踏まえながら、障害のある子供の就学先決定の仕組みについて速やかに検討するなど、可能な限り障害のある児童生徒が障害のない児童生徒とともに学ぶことに配慮しつつ、障害のある児童生徒の教育的ニーズに最も的確にこたえる指導を提供できる教育システムの構築に努めてまいりたいと考えてございます。また、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒との交流、共同学習を積極的に進めることによって、その相互理解を促進し、障害のある児童生徒への偏見をなくすよう努めてまいりたいと考えてございます。

○山崎(誠)委員 ありがとうございます。

インクルーシブ教育の現場、私も、地元の小学校で、普通のクラスで障害のある方が一緒に暮らす姿を見てまいりました。非常にそのクラスはうまくいっていまして、普通の健常の子供たちがその子を本当に温かく見守っているんですね。

エピソードを一つ御紹介すると、体育の着がえの時間にその子がいなくなっちゃったんです。いなくなっちゃって、姿が見えなくなった。先生が○○ちゃんがどこにいるのか捜してこいと声をかけたら、子供たちがばあっと捜しに行きまして、五分か十分でしょうか、いたよと言って連れて帰ってくるんですよね。そういう自然の中に、その子をどうやって自分たちは守っていけばいいのか、一緒に暮らすというのはどういうことかというのを本当に体感している場面を見ました。

これはうまくいっている事例だと思うんですけれども、私は、これを原則にするんだという姿勢は、今回の基本法ではぜひ徹底していただきたいなと思っている次第です。

一つの事例で、先ほどあった論点整理の表を見ているんですが、これは障害のある児童生徒の就学先決定についての手続の流れという図なんですが、最後にどちらに行くか、特別支援学校に行くのか普通の小中学校に行くのかという図を見ると、上が特別支援学校なんですね、下が普通の小中学校なんですよ。これは、前回、修正をする論点で、こういうのがいいということになっているんですけれども、私は、これはやはり逆にしなきゃいけないと。

原則、小中学校、普通のクラスにとにかく通うことができないか、最大限の努力をして。でも、先ほどありました、個別の子供たちのニーズやあるいは状況に応じて特別支援も必要でしょう。そういう流れに変えていくのが今回の基本法の改正だと思っておりますので、ちょっと答弁をいただく時間がありませんけれども、ぜひ進めていただきたいと思います。

では次に、今まで少し精神障害の皆さんについてのお話を中心にしてきたんですけれども、見えない偏見をなくす、社会的障壁というお話がありました。その中に、例えば観念という言葉も出てきます。こういうものを取り除いていくことというのが実は一番難しくて、一番大仕事で、でもこれをやらなければ本当にいい社会にはならないと私は思います。

この見えない偏見をなくすために今後どのように具体的な施策を展開していくのか、お尋ねをいたします。

○蓮舫国務大臣 この見えない偏見におきましては、冒頭、山崎委員がまさに現場で見聞きをしてくださった貴重な声を御紹介いただき、ありがとうございました。聞いていて、とても重く受けとめているところでございます。

今般の改正においては、障害者が日常生活や社会生活において受ける制限は、その障害によるものだけではなく、社会におけるさまざまな障壁によっても生ずるものとの、いわゆる社会モデルの考え方を基本認識としています。

御指摘のような障害者に対する偏見についても、条文でいいますと第二条第二号に規定をします「社会的障壁」に含まれるものでありまして、これは取り除いていく必要があると考えています。

こうした観点から、今般の改正案では、第四条第三項において、障害者に対する差別の防止に関する啓発及び知識の普及を図るため、必要な情報の収集、提供等の国の取り組みに関する規定、これを新たに盛り込んでいるところでございます。

また、現在、障がい者制度改革推進会議のもとに差別禁止部会を開催しています。障害者に対する障害を理由とする差別の禁止に係る制度のあり方をまさに検討しているところでありまして、障害者がさまざまな場面で直面する困難の実態を踏まえながら、丁寧に慎重に議論を進めていきたいと考えています。

○山崎(誠)委員 ありがとうございます。

ここは非常に時間もかかると思いますし、ぜひ発信力のある蓮舫大臣もどんどん発信をして、やはり国民に訴えていくことが大事ではないかなと。

それからもう一つ、先ほどのインクルーシブ教育というのは、私は絶対にそういった意味でも力がある制度だと思います。本当に、心がやわらかくて柔軟で、いろいろなものをしっかりと受け取っていただける子供の時代にそういう障害のある方々も一緒に暮らすことが、どれだけ偏見をなくすことに役立つか。

このインクルーシブ教育というのは、障害のある方だけの教育ではなくて、むしろ障害のない我々であったりあるいは子供たちであったり、そのために大事な制度だろうと。だから、ぜひそういう方々を受け入れる教育、それが偏見をなくすために大事な取り組みだと私は思っておりますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

時間となりましたので、最後、ちょっと一問飛ばしまして、今後の障害者福祉施策の改革の進め方。

特に、先ほど来からお話があります、当事者の方々が参画をしていく。今回、障がい者制度改革推進会議には本当に当事者の方々をたくさん入れて、これは画期的なことで、私、民主党が胸を張って言えることだと思うんですが、これをさらに、ただ議論で終わらない、実際に制度に落としていく。その部分がやはり最後の肝になるところ、そこをぜひ当事者の方々あるいは関係者の方々に納得いただけるように酌み上げていっていただきたい、私の役目でもあると思うんですが、そのように思う次第です。

最後に、今後の進め方、それから当事者の皆さんの意見を取り入れる点についてどのようにお考えか、お聞きをしたいと思います。

○蓮舫国務大臣 委員御指摘のとおり、障害者制度改革の推進に当たりましては、まさに、障害当事者の御意見、そして障害者の実情を踏まえて行っていくことが大変重要であると私も認識をしております。

こうした観点から、障がい者制度改革推進会議につきましては、障害当事者が全体の過半数を占める構成としているほか、今般の改正により新たに設置します障害者政策委員会につきましても、その構成については、障害者の実情を踏まえた調査審議を行うことができるよう配慮されなければならないとしているところでございます。

委員の御指摘も踏まえつつ、障害者制度改革をしっかりと推進してまいりたいと思っております。

○山崎(誠)委員 本当に障害者の皆さんが待ち望んでいる改革ですので、私も力を尽くしてまいりたいと思います。

ありがとうございました。

○荒井委員長 次に、松本純君。

○松本(純)委員 自由民主党の松本純でございます。

早速質問に入らせていただきたいと思いますが、まず蓮舫大臣にお尋ねをいたします。

障害者基本法の改正に当たっては、障害者の権利を強調するような意見も出されていましたが、それぞれが権利を主張し合うということよりも、相互に助け合う方が、障害の有無にかかわらず共生する社会を実現するという改正案の理念に沿うのではないでしょうか。

このたびの政府案では、障害者の権利を明確にしてほしいという障害者団体からの要望をどのように受けとめられ、整理していられるのか、大臣の見解をまずお伺いいたします。

○蓮舫国務大臣 すべての国民が、障害の有無にかかわらず相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現することは、障害者施策を講ずる上で極めて重要であると認識をしております。

こうした社会の実現に向けて、政府の障がい者制度改革推進会議の議論におきましても、さまざまな意見が出されました。その中には、障害者の自立あるいは社会参加を促進するという観点から、障害者の権利について基本法の中で確認すべきとの御意見もいただいたところでございます。

こうした当事者の思いを受けとめまして、今般の改正案では、まず第一条の法律の目的規定におきまして、「全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有する個人として尊重される」と規定をしまして、憲法で保障される基本的人権を確認した上で、「全ての国民が、障害の有無によつて分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現する」ことを新しく法の目的として掲げたところでございます。

なお、具体的なサービスの給付につながるような個々の具体的な権利につきましては、個別法で定められる事項であることから、施策の理念あるいは基本方針等を定める障害者基本法において規定することは困難であったところでございます。

○松本(純)委員 現行の第一条の「目的」の条文から「障害者の福祉を増進する」を削除する理由をお伺いしたいと思います。

○園田大臣政務官 お答えを申し上げます。

今般の改正案につきましては、委員御指摘のとおりでございます。その目的においては、すべての国民が、先ほどの質疑にもありましたけれども、障害のあるなしにかかわらず、分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら、先ほど大臣も申し上げましたけれども、共生する社会を構築していこう、こういう目的のもとでつくらせていただいたところでございます。

障害者の幸福を追求するという意味で、これは自民党さんの中でも広く御議論をいただいたというふうに私も伺っておるところでございますけれども、そういう意味での「障害者の福祉を増進する」という文言、これをさらに今般の改正案については、すべての国民が共生する社会の中で包含していくんだ、そういう意味の中で盛り込ませていただいたということでございます。それによって、事実上、この「福祉を増進」という言葉は削除させていただいたということでございまして、すべてを含んだ観念の中で今般の改正案が行われたということで御理解いただければというふうに思っております。

○松本(純)委員 政府提案の改正案第十六条第一項では、「可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつ、」と規定していますが、これは特別支援教育をなくすという趣旨ではないということでよろしゅうございますね。政府の見解をお伺いしたいと思います。

○末松副大臣 第十六条一項で、可能な限りともに教育を受けてもらうのが望ましいということでございますが、先生御指摘のように、特別支援教育をなくすという趣旨ではございません。

○松本(純)委員 それでは次に、修正案の提出者にお伺いをしたいと思います。

修正案では新しく第十六条第二項が加えられていますが、これはまさに、特別支援教育を選択したいという希望があれば、それが可能な限り尊重されなければならないという趣旨として理解をしてよろしいでしょうか、お伺いいたします。

○高木(美)委員 御趣旨は御指摘のとおりでございます。

御存じのとおり、障害者である児童生徒がその成長過程におきまして適切な教育を受けられるようにすることは、基本法の趣旨にかんがみて極めて重要でございます。

障害の状態等につきましては一人一人異なるものでありまして、教育に関しては、きめ細かな配慮をし、十分な情報の提供を行うとともに、本人、保護者の意向を尊重する必要があります。したがいまして、今回、年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育を受けられるようにするという第十六条第一項の目的を達成するために、新たに第二項を加える修正をいたしました。もちろん、特別支援教育を受けたいという希望も、可能な限り尊重されるべきであると考えております。

一部に、特別支援学校を廃止すべきだというような極端な議論があることも承知をしておりますが、多くの団体からは、むしろ、将来の自立と社会参加のために、なくさないでほしいといったお声も承っております。

○松本(純)委員 それでは、文部科学省にお伺いをしたいと思いますが、このような修正案の趣旨を受けて、文部科学省としては具体的にどのように取り組んでいくおつもりなのか、お伺いをいたしたいと思います。

○徳久政府参考人 先ほども御答弁させていただいたように、特別支援教育に関しまする中央教育審議会の論点整理におきましては、就学先決定のあり方について、子供の障害の状態、本人の教育的ニーズ、本人、保護者の意見、専門家の意見等を踏まえた総合的な観点から決定をするということ、その際、本人、保護者に対し十分情報提供しつつ、本人、保護者の意見を最大限尊重し合意形成を行うことを原則とし、最終的には市町村教育委員会が決定する仕組みとすることとされております。

また、同論点整理におきまして、個別の教育的ニーズのある子供に対し、その時点で最も適切な指導を提供できる多様で柔軟な仕組みを整備することが重要ということも提言をされているところでございます。

障害者基本法の改正や中央教育審議会の議論、また国会での議論も踏まえまして、特別支援学校を含めまして、多様な学びの場の確保に取り組んでまいりたいと考えてございます。

○松本(純)委員 次に、政府提案の改正案第十七条として「療育」の条項を新設している趣旨をお尋ねしたいと思います。

○園田大臣政務官 お答えを申し上げます。

今般の政府案、改正案におきましては、障害者が、可能な限り、どこでだれと生活するかにつきましての選択の機会がまず確保され、そして、地域社会において他の人々と共生することをまず基本原則として位置づけさせていただいたところでございます。御指摘の、障害者である子供が地域社会において生活するためには、可能な限りその身近な場所において保育であるとかリハビリテーションの必要な支援が受けられるようにするということがやはり必要ではないかというふうに考えております。

こういった観点から、今般の改正案においては、可能な限り身近な場所において障害者である子供が療育その他これに関する支援、親御さん、保護者の方々が例えば講習を受けたりとか、お子さんがさまざまな、健康診断を受けたり、そういった関連した支援もございますので、そういったことが受けられるような必要な支援を講ずるという旨を規定させていただいたところでございます。

○松本(純)委員 それでは次に、蓮舫大臣にお尋ねをしたいと思いますが、政府提案による障害者基本法改正案では、「地域社会」という言葉や「身近な場所において」という表現が多く使われております。地域社会や身近な場所では必ずしも必要な医療的ケアを受けることが難しい重症心身障害児への配慮は考慮されているのかどうか、お尋ねをいたします。

○蓮舫国務大臣 松本委員まさに御指摘のように、必ずしも身近な場所では適切な医療的ケアが受けられない場合も想定はしております。

そこで、改正案では、こうした場合も考慮して、第十四条第五項で「可能な限りその身近な場所において」と規定しているところではございますが、本法の施行に当たりましても、御指摘の観点から、重症心身障害児への適切な配慮がなされる必要があると考えております。

○松本(純)委員 それでは、厚生労働省にお尋ねしますが、このような改正趣旨を踏まえまして、厚生労働省としては、重症心身障害児への配慮を具体的にどのように行っていくおつもりなのか、お聞かせいただきたいと思います。

○木倉政府参考人 お答え申し上げます。

重症心身障害児の方々に対する支援といたしましては、これまで、例えば常時医学的管理が必要という方で重い重症心身障害児の方の場合には、入所施設に入られまして、その施設は病院機能を持った施設ということで、医療と福祉の両面から総合的に支援を提供するという重症心身障害児施設の整備を進めてきておるところでございます。

他方で、在宅で暮らし続けたいという方もいらっしゃるわけでございまして、在宅で生活をされる方々に対します支援といたしましては、そのような専門の施設に通園をしていただきまして、そこで日常生活の動作の訓練、運動機能の訓練等々を行っていただく、そういう重症心身障害児、また大人の者の方もいらっしゃいますが、こういう方に対する通園事業ということを進めてきております。

さらに、御家族の方々がお疲れのときなんかもありますし御用のあるときもありますので、家族のレスパイトのために、短期間このような施設等に入所をいただきまして日常生活のお世話などを行う短期入所などの仕組みも整備を進めてきておるところでございます。

このように、重症心身障害児の方々、施設と在宅、通園というような仕組みを組み合わせまして、しっかりと支援を充実させてまいりたいというふうに考えております。

○松本(純)委員 それでは、次の問題でありますが、政府提案の改正案第二十六条を新設している趣旨を政務官からお答えいただきたいと思います。

○園田大臣政務官 お答えを申し上げます。

第二十六条は、「選挙等における配慮」という規定でございます。

もう皆さん御案内のとおりでございますけれども、選挙等において投票を行う際に、障害者であることによってその円滑な投票の実施が妨げられるということがあってはなりません。そういったところから、投票所におけるバリアフリーの確保であるとかあるいは投票所へのアクセス、こういった支援等、障害者に配慮した必要な施策というものが講じられるということは極めて重要なことではないかというふうに考えた次第でございます。

このような観点から、この改正案におきましては、選挙等において、障害者が円滑に投票ができるようにするため、投票所の施設または設備の整備等を講ずる旨の条文を新たに設けさせていただいた次第でございます。

○松本(純)委員 それでは、総務省にお尋ねします。

このような改正趣旨を踏まえまして、投票所内における段差の解消等バリアフリーや投票所へのアクセスに係る支援、あるいは政見放送や選挙公報における配慮といったものが積極的に行われるべきであると思いますが、総務省としては具体的にどのような取り組みをしていくつもりなのか、お答えをいただきたいと思います。

○田口政府参考人 お答えいたします。

総務省におきましては、昨年、障がい者に係る投票環境向上に関する検討会を設けまして検討を行いまして、その検討結果をできる限り本年の四月の統一選から反映させるように努めてきたところでございます。

具体的には、投票所のバリアフリーにつきましては、支障となる段差がないか、あるいは設置したスロープの勾配が適正か、すぐに職員が対応できる体制になっているか等々につきまして、障害者の方々の視点に立って再度点検を行って必要な措置を講ずるとともに、中山間地域の高齢者や障害者の方々の投票所への移動確保という観点から、巡行バスの運行についても十分配慮するよう全国の選管に要請したところでございます。

また、政見放送につきましては、国政選挙に加えまして都道府県の知事選挙につきましても手話通訳を付与するということをいたしまして、ことしの四月の統一選におきましては、すべての知事選挙、十二都道県で手話通訳を付与いたしたところでございます。

また、点字によります選挙のお知らせにつきましても、その内容を選挙公報の全文を掲載するとともに、音声版につきましても必要数準備するよう全国の選管に要請したところでございます。

さらに、政見放送の字幕の付与につきましては、次回の参議院の通常選挙の比例代表選挙における政見放送から字幕を付するということで、関係者がこれに向けまして必要な取り組みを進めることといたしているところでございます。

今後とも、改正法案の趣旨を踏まえまして、関係各方面と十分連携をして、障害者の方々の投票環境の向上に努力してまいりたいと考えてございます。

○松本(純)委員 大変大事な権利でありますので、しっかり行使できるように今後とも御配慮を賜りたいと思います。

次に、司法手続について園田政務官にお伺いをしたいと思いますが、政府提案の改正案第二十七条を新設している趣旨及びその理由についてお伺いいたします。

○園田大臣政務官 お答えを申し上げます。

司法手続が適正に行われるということのためには、まず、当該手続の対象となる方々のさまざまな権利が円滑に行使されるということが必要不可欠であるのは当然のことでございます。

特に、障害者の方々がその特性、この条文上は「特性に応じた」というふうに書かせていただいておりますけれども、目の不自由な方、耳の不自由な方、さまざまな特性の方々がいらっしゃいます。そういった方々が司法手続の対象となった場合、その権利の行使に当たっては、障害者でない方との比較においてやはり不利なことにならないようにする必要があるのではないかというふうに考えております。

例えば、手話通訳者であるとかあるいは要約筆記者、これは国会でもお取り組みをいただいているところでございますけれども、盲聾通訳者やあるいは知的障害者等への説明の立ち会い、そういったところも示すわけでございますけれども、意思疎通の手段をやはりきちっと位置づける必要があるのではないかというふうに考えております。

この改正案におきましては、個々の障害者の特性に応じた意思疎通の手段が確保されるよう配慮するとともに、司法手続の関係職員に対する研修、こういったところも含めて必要な施策を講ずる旨を条文の中に新たに設けさせていただきました。

○松本(純)委員 このような御説明をいただいた改正趣旨を踏まえまして、法務省は具体的にどのように取り組んでいかれるおつもりなのか。

特に、ことし一月に、大阪地検堺支部で知的障害のある男性の自白を誘導したということが問題となりました。再発を防ぐためにどのような取り組みを具体的に行っているのか、お尋ねいたします。

○甲斐政府参考人 障害をお持ちの方が権利を円滑に行使できるようにするということが大変重要でございまして、これまでも司法手続、刑事手続、民事手続において配慮がなされてきたところでございます。

刑事手続に関して申しますと、例えば、検察当局におきまして障害者の方からお話を聞くというときに手話通訳をお願いするというようなこと、あるいは、裁判員裁判の際に裁判員の方に障害のある方がいらっしゃるというような場合には、十分に裁判の内容が理解できるように点字の資料を用意するというようなことをしているものと承知をいたしております。

今回、障害者基本法の改正がなされました場合に、その趣旨を踏まえまして、今後とも、被疑者あるいは被告人、あるいはそのほかの関係者の障害の内容、状況等に応じて適切な対応をとってまいりたいというふうに思っております。

また、研修等の点でございますが、各地検におきましては、知的障害がある方に対する配慮に関して、精神医療関係者とか福祉団体等の講義でありますとか意見交換会を実施しております。

加えて申し上げますと、先ほど先生御指摘の件等もございまして、本年四月に、法務大臣から検察当局に対しまして、知的障害によりコミュニケーション能力に問題がある被疑者等の取り調べにつきましては、必要な機器の整備を行った上で、専門家の意見を十分に伺って、三カ月以内をめどに取り調べの録音、録画の試行に着手するということを指示されたところでございます。検察当局においては、この指示を受けて、積極的かつ柔軟な試行を行うように努めるものと思っております。

また、民事手続におきましても、障害をお持ちの方が適切に訴訟追行を行うことができるようにするという観点から、民事訴訟法において各種の制度が設けられているほかに、裁判所においても種々の意思疎通を図ることができるようにする措置が講じられているというふうに認識しておりまして、今後とも、特性に応じたきめ細やかな配慮ができるように検討されるものというふうに考えております。

○松本(純)委員 修正案提出者にお伺いをしたいと思いますが、修正案では新しく第二十六条が加わっております。防災、防犯に関してでありますが、これを新設している趣旨についてお尋ねをしたいと思います。

○高木(美)委員 お答えいたします。

障害者は、災害や犯罪に巻き込まれた際に、情報の伝達不足や移動が困難であるなどの理由によりまして、その被害が深刻化する傾向にあります。より一層手厚い対策や支援を必要とする場合が多いと考えられます。

そこで、本修正案におきまして防災及び防犯に関する規定を新設し、障害者が地域において安全にかつ安心して生活を営むことができるよう、障害者の性別、年齢、状態及び生活の実態に応じまして、防災及び防犯に係る施策を講ずることを国や地方公共団体に義務づけることとしたものでございます。

今般の東日本大震災におきましても、被災した障害者が周囲に障害を理解されずに避難所で孤立したり、壊れた自宅で生活を余儀なくされたり、安否確認がおくれ支援が十分に行き届かなかったりするなど、さまざまな課題が浮き彫りになったと承知をしております。

今後は、こうした東日本大震災における教訓等を踏まえまして、本規定に基づき、障害者に対する防災、防犯に関する普及啓発、非常用電源等の確保、また災害等の非常事態を想定した支援体制の整備。いわゆる要援護者名簿につきましても、重度でなければ登載できないといった市町村も多くあります。見直しも必要と思います。また、福祉避難所も数が足りない等々、そうした整備などが促進されることを期待いたしております。

○松本(純)委員 このような修正案の趣旨を踏まえて、防災担当としては具体的にどのような取り組みをされていくおつもりなのか、お尋ねしたいと思います。

○阿久津大臣政務官 お答えいたします。

まず初めに、障害者や高齢者など災害時要援護者の避難支援対策は防災上の重要な課題と認識しております。そのため、平成十七年三月に災害時要援護者の避難支援ガイドラインを制定し、市町村における避難支援計画や要援護者名簿の作成などを推進してきました。

避難支援計画は二つから成ります。市町村の要援護者支援に係る全体計画と、要援護者一人一人に対して、避難支援者、避難所、避難方法等について具体的に定める個別計画から構成されます。発災時に、市町村はこの個別計画を活用し、避難に関する情報等を要援護者及び避難支援者に確実に伝えること、それが大事というふうに考えております。

また、要援護者への情報伝達については、ガイドラインの中で、要援護者の特性を踏まえた適切な伝達手段を選択することとしており、インターネット、電子メール、携帯メール、テレビ放送等の手段が例示されています。

平成二十二年三月三十一日時点において、ガイドラインに基づく市区町村の全体計画の策定状況は六三・一%、個別計画の策定状況は七二・七%、要援護者名簿の整備状況は八八・七%となっております。

まずはガイドラインに示された具体的な方策のさらなる徹底を図り、障害者の性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じて防災施策を講じていきたいと考えております。

○松本(純)委員 それでは、蓮舫大臣にお尋ねします。

改正案では、地方公共団体は必要な施策を講じなければならないと規定をされていますが、規模の小さな市町村もあることから、過重な負担とならないよう配慮する必要があるのではないかと思っております。蓮舫大臣はこの点についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、お答えください。

○蓮舫国務大臣 障害者基本法は障害者施策のまさに理念ですとか基本方針等について規定しているものでありまして、具体的にどういった施策を講ずるかにつきましては、基本的には、個々の地方公共団体がその規模ですとか実情に応じて決めていくことになり、判断することになると思っています。

ただ、今回、六条において規定しているように、地方公共団体は施策を計画的に実施していくことにしておりまして、本法の施行によって直接に地方公共団体の負担が重くなることではないと考えております。

いずれにしましても、本法の施行に当たりましては、委員御指摘の点を踏まえながら、地方公共団体においても円滑な事務の実施が可能となるよう配慮していきたいと考えております。

○松本(純)委員 ありがとうございました。予定をしておりました質問についてはすべてお答えをいただきました。

いろいろな観点から十分な対応ができるような体制づくりのために、政府ばかりか我々国会議員も全体が一致をして対応できるよう、これからも努力を重ねていきたいと思います。どうぞ頑張っていただきたい、そんなエールをお伝えして、私の質問を終了します。

ありがとうございました。

○荒井委員長 次に、遠山清彦君。

○遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。

障害者基本法は、昭和四十五年、議員立法によりまして制定をされました。障害者施策の憲法と位置づけられておりまして、国会議員と障害者の皆様の協議と意見交換と判断でこれまで改正が行われてきたわけでございます。

今回の改正に当たりましては、国連障害者権利条約の批准のための法整備を進めるという趣旨で、障害者当事者の方からも三十回を超える長時間の議論を重ねて、この第二次意見にその主張を明らかにされてきたと理解をしております。まず、関係者のその御尽力に、この場をおかりして、冒頭、敬意を表したいと思っております。

しかし、先ほど来、この委員会でもありますとおり、本改正案は、閣議決定に基づきまして、政府提出の法案となりました。政治主導と民主党政権がおっしゃっている中で、省庁間の調整が大変だったということも仄聞をしているわけでございますが、この内容につきましては、国連の障害者権利条約を踏まえて、新たな方向性を志向していると理解をしておりますが、一方で、「可能な限り」という表現が六カ所に見られること、あるいは、合理的配慮の規定やインクルーシブな教育の定義がはっきりしていないということ、あるいは、「障害」の表記などに関しまする議論など、今後の課題は残されていると理解をしております。

これからの差別禁止部会等での議論をまた見据えながら、我が党としても、修正案の附則に書かれたように、また三年後の改正というものも目指して議論を深めてまいりたいと思っております。

公明党におきましては、この基本法の改正につきまして、二年前に福島豊前衆議院議員を中心に、そして今は、きょう議案提出者で答弁側におります高木美智代議員を中心に、障害を持たれている当事者の方々と議論しながら素案を作成いたしました。そして、今回政府が提出した案と比較をしながら修正案をまとめさせていただいたところでございます。

そのさまざまな方からの御意見をもとに修正案も出ているわけでございまして、きょうは、確認の意味で幾つか質問をさせていただきます。

まず、蓮舫大臣に改めてお伺いをいたしますが、なぜ今回、議員立法ではなくて閣法としてこの改正案を出されたのか、簡潔な御答弁をいただきたいと思います。

○蓮舫国務大臣 委員御指摘のとおり、障害者基本法は、昭和四十五年に議員立法として制定をされ、その後も、議員立法によって複数回にわたって改正が行われてきた経緯は、そのとおりでございます。

一方、一昨年の十二月以降、政府では、障害者に係る制度の集中的な改革を行うために、閣議決定で内閣に設置をした障がい者制度改革推進本部のもとで、障害当事者を中心とする障がい者制度改革推進会議を開催してきているところでございます。この会議は、昨年六月、障害者制度改革を進めるに当たっての基本的な考え方を第一次意見として取りまとめていただきました。その第一次意見の中で、基本法の改正法案については政府が提出するべきであるとされたところでございます。

そこで、政府としては、この第一次意見を大変重く受けとめさせていただき、最大限尊重する形で、昨年六月に閣議決定を行い、基本法の改正についても政府として責任を持って取り組んでいくものとしたところでございます。

○遠山委員 よくわかりました。

そこで、今回修正案が出ているわけでございますが、公明党としてどのような点を中心に盛り込んだのか、修正案提出者でございます高木委員の方からお答えをいただきたいと思います。

○高木(美)委員 お答えをさせていただきます。

先ほど修正案の趣旨説明をさせていただきましたが、その十三項目のうち、実は十一項目は、多くの障害者団体からの意見をもとに公明党が提案をさせていただき、民主党、自民党の御賛同を得て反映させていただいたものでございます。

まず、ポイントの第一点目は、「障害者の意思決定の支援」を二十三条に明記したことでございます。

重度の知的、精神障害によりまして意思が伝わりにくくても、必ず個人の意思は存在をいたします。支援する側の判断のみで支援を進めるのではなく、当事者の意思決定を待ち、見守り、主体性を育てる支援や、その考えや価値観を広げていく支援といった意思決定のための支援こそ共生社会を実現する基本であると考えております。

この考え方は、国連障害者権利条約の理念でありまして、従来の保護また治療する客体といった見方から人権の主体へと転換をしていくという、いわば障害者観の転換ともいえるポイントであると思っております。

さらに、日常的に障害者を支える家族への相談支援、また家族同士のサポート、家族への差別防止の支援なども盛り込ませていただいております。

二点目は、インクルーシブな教育を進めるため、就学先決定等に当たりましては、文科省中教審の特別支援教育の在り方に関する特別委員会での論点整理に基づきまして、これまでの、就学基準に該当する障害のある子供は特別支援学校に原則就学するというこの基準を改めまして、障害の状態、本人の教育的ニーズ、学校、地域の状況等を踏まえた観点から就学先を決定する仕組みとすることが適当であると考えております。

その際、本人、保護者に対しまして十分な情報提供がされ、意向を最大限尊重した上で教育委員会が最終的に判断をするとした方向性を修正案により明確にさせていただきました。

いずれにいたしましても、DAISY教科書等の適切な教材提供、地域の学校でも必要に応じて手話や点字を学ぶことができるなど、環境の整備が必要と考えております。

三つ目には、発達障害児、障害者への支援を進めるため、定義に明記をいたしまして、第十七条では、療育の研究開発、普及の促進、また専門人材の育成を盛り込みました。そのほかに、先ほど来ありました、東日本大震災を踏まえまして防災、防犯を、また、消費者被害の多くを障害者が占めていることから、その保護を、また、車いす等での移動の円滑化を図るために、整備がおくれています新幹線を初めとする車両、船舶、航空機等を例示いたしまして、さらに、精神障害につきましては、附則の第二条二項になりますが、医療と保健と福祉の連携の確保と支援体制のあり方について検討するということを書かせていただきました。

いまだ修正といたしましても不十分でございますが、差別禁止部会の議論を見守りながら、三年後の見直しでこの基本法を完成させていただきたいと考えております。

ありがとうございました。

○遠山委員 ありがとうございます。

民主党を初め自民党さん、また我が党の主張も盛り込んでいただきまして、修正案で合意をされたことを大変高く評価しているところでございます。

さて、蓮舫大臣に再びお伺いをしたいと思います。

第一条の目的に福祉の増進という表現がもともとあったわけでございますが、これは、平成十六年の改正時に、広義の福祉、国民全体の福祉を増進していこうという目的を明確にするため全会派一致で加えたものと理解をしておりますが、この福祉の増進という言葉が今回の改正案では削除されております。この理由について御答弁をいただきたいと思います。

○蓮舫国務大臣 今般の改正案では、その目的において、すべての国民が分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指しております。

障害者の幸福を追求するという意味の、委員御指摘の「障害者の福祉を増進する」との文言なんですが、これにつきましては、今般の改正において、障害の有無にかかわらず、すべての国民が共生する社会を実現する、これを包含した新たな大きな目的を掲げることに伴いまして、この文言を削除することとしたものでございます。

○遠山委員 よくわかりました。その方向性、考え方については、私も個人的に妥当であるというふうに思っております。

さて、先ほど来同僚議員からも話題になっておりますが、教育の問題につきまして、中には特別支援学校をなくすべきという極端な御意見もあるわけでございますが、やはり、障害の特性あるいは個人の能力、志向等によりまして選択できることが大事だというふうに理解をしております。

今回の法改正では、先ほど来出ておりますインクルーシブな教育について、文部科学省としても進める方向でかじを切ったというふうに理解をしておりますが、それに間違いはないか。また、あわせまして、そうなっていく中で、就学先のあり方はどのように変わるのか。そしてもう一つ、現場からは、高校、大学などの中等、高等教育課程におきまして職業訓練もしっかりとやってもらいたい、そういう御意見が大変多いというふうに私ども感じているわけでございます。

インクルーシブな教育を進めていく中で、将来的な就学先、そしてまた職業訓練、就職、こういったところをにらんだ方向性について文部科学省としてどのような御見解をお持ちか、御答弁をいただきたいと思います。

○笠大臣政務官 まず、今委員御指摘のように、私どもとしても、インクルーシブな教育を進めていくという方向でしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。

先ほど、修正案の提案者、取りまとめに御苦労いただいた高木議員の方からもお話ありましたように、これまで、現場の皆さんや専門家の皆様方とインクルーシブな教育について、あるいは特別支援教育というもののあり方について、中教審等々で議論を進めてまいりました。

昨年十二月の論点整理においては、インクルーシブ教育システムにおいては、同じ場でともに学ぶことを追求するとともに、個別の教育的ニーズのある児童生徒に対して、その時点で教育的ニーズに最も的確にこたえる指導を提供できる多様で柔軟な仕組みを整備することが重要であり、子供一人一人の学習権を保障する観点から、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった、連続性のある多様な学びの場を用意しておくことが必要であるというふうにされたところでございます。

また、今御指摘のように、就学先の決定のあり方については、就学基準に該当する障害のある子供は原則特別支援学校に就学するという従来の就学先決定の仕組みを改めて、障害の状態、本人の教育的ニーズ、本人、保護者の意見、専門家の意見等を踏まえた総合的な観点から決定をする仕組みとし、その際、何よりも大事なのは、本人、保護者に対し十分情報提供をしつつ、本人、保護者の意見を最大限尊重し合意形成を行うことを原則とし、最終的には市町村教育委員会が決定をする仕組みとすることとされたところでございます。

文部科学省としては、本法案の改正、そしてまた中教審の議論等も踏まえながら、障害のある子供の就学先決定の具体的な仕組みについて速やかに検討をしてまいりたいというふうに思っております。

そして、御指摘のように、高等学校あるいは高等教育においての体制のおくれでございますが、まず、高等学校においては、特別支援教育に関する校内委員会の設置、特別支援教育コーディネーターの指名等の校内体制整備が近年進んできているものの、小中学校と比較をすると大変おくれております。キャリア教育、職業教育についても、生徒一人一人の障害の状態等に応じた指導、支援の充実が必要であるというふうに認識をしております。

また、大学等については、現在、日本学生支援機構において障害学生修学支援ネットワークを構築して、全国の大学等からの障害学生に対するさまざまな相談に応じる取り組み、あるいは教職員向けの障害学生修学支援ガイドブックの作成、配付等を行っております。

今後とも、障害のある学生そして生徒に対する職業教育も含めた適切な支援に努めてまいりたいというふうに考えております。

○遠山委員 政務官、ありがとうございます。

特に、就学先決定のところは、政務官がおっしゃったように、本人と御家族への情報提供、これは本当にしっかりやっていただきたいのと、やはり最終的な決定に際して、本人と家族の同意あるいは希望先の合意、ここがしっかりと重視される仕組みをつくっていただきたいと思っております。

また、職業訓練等につきましては、私は地元の一つが沖縄なわけでございますが、そこで、三つの障害を抱える方々、これは自立支援として行っているNPOがありまして、そこが、私が驚くほど、障害を持たれた若い人たちの就職先、それも正規雇用として確保するのに成果を上げておりまして、私も以前参議院の厚生労働委員会の理事をやっておりましたときに、厚生労働省の本省から担当の方に来ていただいて、実際に現地を見ていただいて、どういう訓練をして、しかも九割ぐらいの方々が、半年間そこで訓練されるとどんどん正規の雇用で就職をしていくと。

私が一番驚いたのは、ダウン症の男の子がスポーツショップに正規雇用されまして、中に入ったら、あいさつがだれよりもできるということで社長から表彰を受けたということが地元の新聞に載ったり、あるいは、沖縄にはデパートというと三越が一軒しかないんですが、そこに知的障害を持たれている若い女性の方が就職できたりとか、大きな成果を上げております。

私もそこの施設の皆さんからお話を伺ったら、障害を持たれていても、やはりマナーとかあいさつとか、基本が大事だということでかなり厳しくやっておりまして、実は三回以上遅刻するとそこの職業訓練から外されてしまうという非常に厳格なことをまず朝からやっておりまして、それは要するに、障害を持ちながら正規雇用として会社で働くためにはそういうところがまずきちんとしていなければだめだということで、徹底して厳しくやることによって成果を上げているんですね。

ですから、高等教育等で障害を持たれているお子さんたちに職業訓練する際にも、当然、コンピューターができるようになるとか、技術とか資格の問題もあるんですが、私が気づかされたのは、そういう中身の、あいさつとか時間におくれないとか、そういった基本的なところもしっかりやるということで、逆に、社会に出たときに周りの模範になっていくということで障害者の雇用の拡大につながっていくというふうに私は感じたこともあるものですから、ぜひそういった観点からもお取り組みをしていただきたいと思います。

続きまして、蓮舫大臣に情報バリアフリー化のことについて伺いたいんですが、報道もされておりますので、これは大臣よく御存じのとおり、大震災の際でも、避難所の視覚障害者の方々が、視覚障害ですから生活便りを読めないので情報が入らなかったという問題ですとか、あるいは、非常に混乱した状況の中だと思いますけれども、薬の飲み間違いが起こったというような事例があるわけでございます。

これは、平時も含めて、障害者や高齢者に情報が確実に届くように総務省や内閣府でバリアフリー化をもっと推進しなければならないと思いますが、この基本法の改正案の審議に際してどういう方針で臨まれるか、御答弁をいただきたいと思います。

〔委員長退席、岡島委員長代理着席〕

○蓮舫国務大臣 委員御指摘のとおり、情報バリアフリー化の大切さ、重要さというのは、全く同じ認識でございます。障害者にとって必要な情報の取得あるいは意思疎通のための手段、これが確保されることは、あらゆる分野で、どういう行動を行うにとっても、必要最低限、とても大切なことになっております。特に、今御指摘の東日本大震災の場合には、命、体の安全に直接かかわることがありますので、まさに進めていかなければいけないと私も認識をしています。

こうした観点から、今般の改正案では、第三条の第三号において、可能な限り手話等の意思疎通や情報取得等のための手段が確保される旨を基本原則として位置づけたところでございます。また、第二十二条の第二項におきましては、災害その他非常の事態の場合について、障害者に対しその安全を確保するために必要な情報が迅速かつ的確に伝えられるよう必要な施策を講じる旨を新たに規定しているところでございます。

本法律案の成立の上は、新たな障害者基本法のもとで、関係府省が本当に密に連携をしながら、情報バリアフリー施策の一層の推進に努めていきたいと考えています。

○遠山委員 大臣、ぜひよろしくお願いいたします。

次に、厚生労働省に伺いますが、この改正案におきましては、障害者の医療に関して、可能な限りその身近な場所でという表現、また、人権を十分に尊重する、そういう医療を行うことと規定をされているわけでございます。

特に、関係者の皆様の関心が最も高いのは精神科の医療の見直しについてでございますが、厚生労働省としては、今回の改正を機に、精神科医療の見直しについてどのような検討をされていくのか、簡潔にお答えをいただければと思います。

○木倉政府参考人 お答え申し上げます。

先生御指摘の特に精神の面でございますが、精神保健医療福祉の改革につきましては、これまでも、平成十六年の九月、おおむね十年間を見通しました改革のビジョンということを示して進めてきておりますが、そのときにも、入院医療中心から地域生活中心へという方針を掲げて取り組みを進めてまいりました。

さらに、昨年の六月二十九日の閣議決定、障がい者制度改革推進会議等の議論を踏まえて閣議決定をされました障害者制度改革の推進のための基本的な方向の中におきまして具体的に示されておりますのは、一つには、社会的入院を解消するために、精神障害者に対する退院支援や地域生活における医療、生活面での支援に係る体制の整備について、平成二十三年内にその結論を得る。次に、精神障害者に対する強制入院あるいは強制医療介入等について、いわゆる保護者制度の見直し等も含めてそのあり方を検討して、二十四年内を目途にその結論を得る。さらに、精神科医療の現場におきます医師や看護師等の人員体制の充実のための具体的方策について、二十四年内を目途に結論を得るということが示されております。

これを受けまして、厚生労働省におきましては、昨年来、政務官のもとに新たな保健医療体制の構築に向けた検討チームを設置して、まず、障害がありましても在宅で生活できるように、多職種のアウトリーチのチームでの支援を行っていくことについての検討を行いました。さらに、昨年は、認知症患者に対します精神科医療の役割を明確にして、できるだけ地域の生活の場で暮らせるようにしていくということについてのあり方について検討を進めました。さらに、昨年からは、今現在進めておりますが、保護者制度あるいは入院制度についての見直しの検討を進めております。

今後とも、閣議決定あるいは今般の基本法改正の趣旨を踏まえまして、全般の見直しを進めてまいりたいというふうに考えております。

○遠山委員 木倉部長、精神科医療の見直しについては、二十四年度の中でいろいろと検討して、末を目途にいろいろな提案をしていく、改善を実施していくということでしょうから、私の方から、ぜひ、精神科医療に直接かかわっている当事者の皆さんからしっかりと意見を聞いていただいて、それをまた尊重して、その仕組みをつくっていただくように強く要望を申し上げたいと思います。

次の質問、きょう厚生労働委員会を同時にやっておりまして、政務の方が来られていないのは残念なんですが、蓮舫大臣はおられますから、よく聞いておいていただきたいと思います。

今回の改正案では、障害者の所得保障の条項は改正されておりません。しかし、障害者の地域での生活保障を考えたときに、私ども公明党といたしましては、マニフェストに明記をしております、障害年金の額を引き上げるべきと主張をしているわけでございます。

もう少し具体的に申し上げますと、公明党として、二級は現在六万六千円でございますが、これを一級八万三千円並みに上げる。また、一級については十万円前後を目途に引き上げる。ですから、障害年金二級を一級並みにする、一級をもう一段上げて十万円にするという内容を盛り込んだ障がい者所得保障法案というものを参議院で提出させていただいているわけでございます。

この障害年金の引き上げについては、恐らく、厚生労働省の中あるいは政府全体の中で議論する際には、国民年金の基礎年金、ここも引き上げる必要があるという議論があると思いますし、我が党も、こちらは年金改革の中でそれを明示しているわけでございます。

こちらのいわゆる年金改革の中での基礎年金の引き上げ、大体二五%ぐらい上げるべきだという議論の背景には、地域によっては生活保護費よりも年金が低いということにつきまして非常に強い声が国民の中からございます。そして、私どもは、同時にやはり障害年金も、この基礎年金と同様に大体二五%、今申し上げた額は上げるべきだというふうに考えております。

繰り返しになりますが、今回の改正案にはその所得条項の改正はないわけでございますが、ぜひこれは、きょうは便宜上、厚労省の方から答弁いただきますが、やはりこういうことこそ政治主導で与党にやっていただかなければならないと思っておりますので、その点も含めて、まずは厚労省から、こういった我が党の主張に対して、今どのような立場か、答えづらいかもしれませんが、お答えいただきたいと思います。

○今別府政府参考人 お答えいたします。

去る六月二日に集中検討会議で社会保障改革案というのが取りまとめられましたが、その中で、年金につきましては、年金制度改革の目指すべき方向性に沿って、当面、最低保障機能の強化を含む現行制度の拡充をやるべきだ、こういうふうに提言をされております。その中で、今先生お話しされた低所得者への年金の加算とあわせて、障害基礎年金の加算、これも提言をされておるところでございます。

現在は、税の一体改革とあわせた成案を六月二十日を目指して得るということをやっておりますけれども、私どもとしましては、今、障害基礎年金の加算をどういうふうにするのかということにつきまして、これらも踏まえながら、財源を初めとする観点から総合的に議論を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。

○遠山委員 今別府審議官、もう一回確認で伺いますが、今おっしゃった答弁の中で、六月二十日、税と社会保障の一体改革で成案を出す、その文脈、その内容の中に、国民年金の基礎年金の部分と障害基礎年金の部分の加算について、これは明記される方向なんですか。そういう意味ですか。それとも、書くかどうかも含めて今検討しているんですか。それとも必ず明記するんですか。その確認の答弁です。

○今別府政府参考人 お答えいたします。

六月二日の社会保障改革案には明記をされております。先ほど御答弁をしましたとおりであります。

二十日を目指してやっておりますのは、社会保障改革の歳出の方とあわせて、歳入、税の方の議論を一体として議論するということで、今これはまさに議論をしておる最中でございますので、中身については現段階ではお答えをいたしかねますが、いずれにしても、基礎年金、障害基礎年金の加算については総合的な検討を進めてまいりたい、先ほど御答弁したとおりでございます。

○遠山委員 よくわかりました。

私の持ち時間はほぼなくなりましたので、最後に蓮舫大臣に要望だけ申し上げて、今のやりとりを伺っていただいたと思いますので。蓮舫大臣の所管の立場からいえば、障害年金についてだけ発言権があるのかもしれませんが。

いずれにしても、私ども公明党としては、昨今の社会情勢、大震災後またいろいろな変化があるわけでございますが、この国民年金、基礎年金部分、それからあわせて障害者年金の部分は、やはり障害者の生活保障の根幹は所得保障だというふうに考えておりますので、ぜひともこの加算について必ず明記をしていただいて、当然、財源についてはまた税の議論になりますから、いろいろな党で、いろいろな立場の方がいらっしゃいますので、なかなか合意を簡単に得られないと理解をしております。

しかし、ここは与野党でしっかり協議をして合意を得て、本当に困っている方々、特に低所得者の方々の所得保障、生活保障については国会が一致団結して実現していかなければならないということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

ありがとうございました。

○岡島委員長代理 次に、塩川鉄也君。

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

障害者基本法の改正案について質問をいたします。

この法案の中身に入る前に、こういう障害者に係る立法過程において障害者の声がどのように反映をされているのか、その手続の問題について申し上げたい。

私たち抜きに私たちのことを決めないでというのは、今回の法案などの国内法の整備を求めている障害者権利条約の基本的な精神であります。ところが、障害者基本法改正に係る今回の国会審議において、その障害当事者の方の意見を聴取する機会もない、このまま採決に至ろうとしている、このこと自身が極めて重大ではないでしょうか。また、関連の委員会、例えば厚生労働委員会とか文部科学委員会などとの連合審査を行うべきなのに、こういうことも行われないということであります。

さらには、東日本大震災や福島原発事故といった未曾有の大災害に当たって、障害者の皆さんがどのような状況に置かれていたのか、こういう実態についてつぶさに現場で把握をし、あるいは当事者の方のお話を聞くような地方への視察、委員派遣や地方公聴会なども当然行われてしかるべきなのに、そのことも行われないまま、わずかな審議時間で質疑を終了しようというのは極めて不十分であり、法案の性格からいっても極めて問題だと言わざるを得ません。荒井委員長がいらっしゃいませんので、岡島理事が委員長代理でありますけれども。

〔岡島委員長代理退席、委員長着席〕

ぜひ荒井委員長に一言御発言いただきたいんですが、こういう委員会運営でいいのか。障害者の方の意見を聞く、権利条約に基づいて、私たち抜きに私たちのことを決めないでということが問われている、まさに障害者基本法の委員会審議に当たって、その障害者の方の参考人質疑も行わないような委員会運営でいいのか。こういうことについて、委員長として一言御発言をいただきたいと思います。

○荒井委員長 昨日の理事会で先生からの御指摘がございました。

できるならば、そういう時間をとって、参考人として意見をお聞きする機会をつくれればというふうに思いましたけれども、国会会期末であるということから時間的な制約があること、それから、政府及び各政党が修正案を議論する過程で参考人から、各団体から十分意見を聴取した、そういう証言もございましたので、今回は、各党と議論をした結果、大勢が、この委員会では、きょうじゅうの審議、決定をしようということになった次第でございます。

その件に関しては、理事会の中でも御承認いただいたというふうに理解をしてございます。

○塩川委員 私は、意見を申し上げて、承服しているわけではありません。

その上で、障害者関連の法案の審議の際には、それぞれの委員会審議において、障害者の方の意見聴取の機会というのは設けられてきているわけであります。ましてや障害者基本法ですから、障害当事者の方の意見を聞くというのは当然行われなければならないのに、法案提出そのものは四月ですから、国会においての十分な期間もあったわけです。

各党での御議論は御議論で結構でしょう。それぞれの各党各会派が障害者団体からお話を聞く。我が党もお話をお聞きしました。こういうことをやっていただくのと同時に、国会の場においてしっかりとした障害者の方の声を聞くということは大前提だ、このことを強く申し上げ、このような委員会運営について厳しく指摘をしておくものであります。

その上で、あわせて、政府の対応がこの点でどうだったのかということについても一言指摘をしておきたいと思います。

政府が障害者基本法の改正案を準備する過程も、この権利条約を踏まえた精神が貫かれていなければならないはずであります。

政府は、障がい者制度改革推進会議を設置し、推進会議は精力的な議論を行ってまいりました。昨年六月には障害者制度改革の推進のための基本的な方向(第一次意見)を取りまとめ、十二月の第二十九回の会議では、障害者制度改革の推進のための二次意見を取りまとめました。二月十四日の三十回の会議では、障害者基本法改正の改正要綱のイメージが提出をされ、この三十回の会議では、二月二十八日に引き続き議論を続けるとされたわけであります。ところが、政府は、引き続き議論を行うことなく、三月十一日に本法案の原案を障がい者制度改革推進本部で了承してしまいました。

こういう肝心な要綱が出されるときに障害者の皆さんを中心とした推進会議が意見を表明する場をつくると言っていたにもかかわらず、それすらもやらずに骨格について本部決定を行ったというあり方について、問題だと思いませんか。

○蓮舫国務大臣 お答えいたします。

先生御指摘のように、障害当事者の声をしっかりと聞くということは、私どもも、大切であるし、重要だと考えております。

そこで、障害当事者が過半数を占めます障がい者制度改革推進会議、三十回会議をしていただいて、それぞれの立場から、まさに闊達な御議論をいただきました。そして、昨年の十二月十七日に、同会議としての障害者基本法改正に向けた考え方を示した第二次意見を取りまとめていただきました。この意見をもとに、政府においては障害者基本法の改正作業を行ってきたところでございます。

推進会議の意見をさらに酌み取るためにも、政府案の決定に至る前の二月十四日の推進会議を開きまして、この時点までにおける政府の、各省との調整状況も踏まえて、素案を提示させていただきました。

結果として、三月十一日、地震があった日ではございますが、この障がい者制度改革推進本部決定よりも前に推進会議は開催はされておりませんが、既に、今述べたように、推進会議の意見を十分に聞いて改正案の検討は行ってきておりまして、改正案にも推進会議の意見を十分に反映させることができたと私どもは考えているところでございます。

○塩川委員 要するに、イメージが出されて、意見を聞いた、それを踏まえて各省との調整に入ったわけですよ。そこが問題なわけじゃないですか。各省との調整の上で出されてきた法案の要綱そのものがどんなものかということについて、やはり当事者の皆さんが聞きたいと。その要綱について推進会議の意見をしっかりと聞くことこそ必要だったんですよ。

推進会議の皆さんからたくさんの要望が出されて、意見が出された、それが本当に法案に反映をされているのかということをしっかりとただす機会がもたらされなかったということにおいても、この政府の対応が極めて重大だということを言わざるを得ません。

今回の基本法の対応もそうですけれども、今国会では、障害者に係る立法措置について障害当事者の声を聞かずに進められたものがほかにもあります。

例えば、これは総務委員会にかけられた案件ですけれども、第一次地域主権改革法案などは、障害者運動の成果により厳格になった身体障害者療護施設の居室定員に関する国の基準が、この法案により、緩和された基準で定められることになりました。そのため、障害当事者の人権侵害のおそれが大きいと障害者団体から批判の声が上がっていたものであります。それなのに、この法案についても、閣議決定前に障害者の方の声を聞くことなく国会に法案が提出をされました。国会においても、総務委員会で障害当事者の意見を聞くことなく審議が進められ、可決、成立となったわけであります。

さらには、今、第二次の地域主権改革の法案が出されていますが、ここには市町村における計画の策定について住民の意見聴取の義務規定があるものを、努力義務に変える、そういう法案の変更が行われています。障害当事者の意見について聞くという規定を、いわば努力義務、聞いても聞かなくてもいいという規定に変えるというものであり、この点でも極めて重大な中身であるにもかかわらず、この法案の閣議決定前には障害者の方の意見の聴取も行われないまま国会に提出をされている。

重ね重ね障害当事者の声を聞かないままでの法案提出が行われてきたという点でも、極めて重大であります。こういうことはやはり繰り返してはならないということを強く申し上げたいと思います。そういう障害当事者の方の意見が十分に反映されていないということが、今回の法案の不十分さにもあらわれている。

法案の中身でお尋ねしたいのが、今回の障害者基本法の改正では、第一条の目的規定の中に、「全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有する個人として尊重されるものであるとの理念にのつとり、全ての国民が、障害の有無によつて分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため」との規定が入りました。

この共生する社会の実現に向けて、第三条が全面的に書きかえられております。第三条では、「第一条に規定する社会の実現は、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提としつつ、次に掲げる事項を旨として図られなければならない。」となっています。

第三条は、第一条の目的を実現する上で不可欠の条項となっているわけですが、その第三条の二号の規定を見ると、「全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと。」となっています。

そこで、大臣にお尋ねしますが、共生する社会を実現する上で、地域生活についての選択の機会を「可能な限り」という形で制限、制約するような規定というのはそもそも不必要なんじゃありませんか。必要ないんじゃありませんか。

○蓮舫国務大臣 お答えいたします。

改正案では、まさに法の目的におきまして、「全ての国民が、障害の有無によつて分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会」の実現を掲げておりまして、第三条において、そのような社会の実現を図る上で基本となる事項を規定しております。

御指摘いただいたこの第三条の第二号ですが、「地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと。」を規定しておりますが、ここに「可能な限り」という文言を入れておるのは、例えば、障害が重度でありまして必要な設備の整った施設で適切な医療的ケアを受けなければならない者等は、必ずしも、どこで、だれと生活するかについての選択の機会が確保できない場合もあり得ることから、こうした規定をしているところでございます。御理解いただければと思います。

○塩川委員 いや、そもそも基本法ですから、選択の機会が確保されるように努めるというその方向こそ基本法で示すべきなんだ、このことがまさに問われているんじゃありませんか。「地域社会において他の人々と共生することを妨げられない」としている、住みたいところに住むという当然のことを規定しようとしたにすぎない規定であり、それなのに、「可能な限り」という規定を入れる必要があるのか、このことが厳しく問われるわけであります。

そもそも、権利条約の十九条は、この条約の締約国は、すべての障害者が他の者と平等の機会を持って地域社会で生活する平等の権利を認めるものとし、障害者が、この権利を完全に享受し、並びに地域社会に完全に受け入れられ、及び参加することを容易にするための効果的かつ適当な措置をとるとしております。

大臣にお尋ねしますけれども、障害者権利条約には、当然のことながら、「可能な限り」という文言などはないわけです。ですから、この障害者権利条約を本当にこの日本で具現化していく、そのいわば土台となる障害者基本法に「可能な限り」という規定を入れる必要があるのか、このことが厳しく問われるわけですが、いかがですか。

○蓮舫国務大臣 御指摘の「可能な限り」においてでございますが、先ほど来、私ども、園田政務官からも御答弁をさせていただきましたが、できればすべての皆様方が、どこで、だれと生活できるか、障害を持っている、持っていないにかかわらず、分け隔てなく共生する社会を実現すること、それを私たちは障害者基本法の法理念と考えているところでございますが、現実問題として、医療的な部分でその理念において生活できない方たちもおられるということを考えて「可能な限り」という文言を入れさせていただいたことについては、ぜひ御理解をいただきたいと思っております。

○塩川委員 四月十八日の推進会議では、地域で重度の障害者の方の生活を進める実践が進んでいることが紹介されていたと承知をしております。まさに、重度の障害を持っていても、限定なく、どこに住むか、選択の機会が確保されることを宣言することによってそうした実践を促進することが権利条約に基づく障害者基本法の改正だ、そここそ問われている、このことを申し上げたい。

障害者権利条約の規定との関係でも、地域での共生を進めている障害者や、その支援を行っている方々の実践から見ても、「可能な限り」という規定はない方がいい、これが多くの方の声であります。障害者権利条約や推進会議の二次意見をより反映した法案こそ求められているということを求め、障害者基本法の改正に当たって、障害者団体の意見がより反映される、そういう審議こそ行われるべきだったということを改めて指摘をし、時間が参りましたので、質問を終わります。

○荒井委員長 次に、浅尾慶一郎君。

○浅尾委員 みんなの党の浅尾慶一郎です。

この法案は、議員による修正がなされております。この修正案については議員立法という形になりますけれども、ここでの論議が立法者の意図ということになりますので、修正案について、その立法者の意図を明確にさせていただく上で、幾つか質問をさせていただきたいと思います。

まず第一に、障害者基本法の一部を改正する法律案に対する修正案の第一条におきましては、「等しく基本的人権を享有する個人として尊重される」という表現から「等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重される」ということで、「かけがえのない」という語が入っております。

その「かけがえのない」という語が入ることによって、どのように法的な効果を生むことができるのか、その点についてお答えいただいて、それが立法者の意思だということをぜひ議事録に残していただきたいと思います。

○高木(美)委員 ありがとうございます。お答えいたします。

政府提出法案の「等しく基本的人権を享有する個人として尊重される」という表現は、障害者基本法の目的規定であります第一条におきまして、法律全体を貫く理念を明らかにしたものでございます。

この表現を「かけがえのない個人」と修正することにしましたのは、社会の中において、各個人が、障害の有無にかかわらず、それぞれ本質的価値を有することを一層明確にするためでございます。これによりまして、障害者基本法の理念が国民にとってわかりやすい言葉で示されることになると考えております。

この基本法で示された理念は、関係法令の運用や整備の指導理念となることは御承知のとおりでございます。したがいまして、今後の障害者施策におきましては、国民一人一人がかけがえのない存在であるということを基本とした運用等が要請されることとなります。

この結果、障害者基本法が目指している共生社会、すなわち、すべての国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現が促進されることになることを期待いたしております。

○浅尾委員 そういたしますと、今後、この障害者基本法の改正に伴う関係法令の改正が行われる段階で、よりきめ細かく、一人一人が尊重される共生社会が実現されるという意味で入れられたということでよろしいでしょうか。

○高木(美)委員 むしろ、政府の関係法律、また、これからの議員立法におきましても、そのような方向で進めてまいりたいと思っております。

○浅尾委員 次に、今回、修正案では、精神障害の後に、括弧つきで発達障害が含まれるようになりました。

この発達障害は、現段階で、いわゆる障害者として認定がなされるものと、なかなかその認定が難しいものとがありますが、括弧つきで発達障害が入れられたことによって、その範囲が広がることを想定しているのかどうか、そのことについてお答えいただきたいと思います。

○高木(美)委員 この発達障害につきましては、もう御承知のとおり、議員立法によりまして平成十六年に制定をされ、定義規定も置かれております。また、近年、その重要性に対する認識は高まっております。

従来、障害につきましては、身体、知的、精神の三つに大別をされてまいりましたが、この発達障害につきましては、概念的には精神障害に含まれるものの、これまでの障害者基本法、またその他の法律におきましては、そのことが明確にされておりませんでした。そこで、本修正によりまして、精神障害に発達障害が含まれることを明記することとしたものでございます。昨年、議員立法で改正をいたしました障害者自立支援法、いわゆるつなぎ法案におきましても、このことを括弧書きで明記したところでございます。

したがいまして、今回追加した括弧書きは確認的なものでありまして、障害者の範囲を変えるものではありません。しかしながら、多くの議論もありました。精神、知的、身体、そこにもう一つジャンルとして発達障害ということを別途つくってはどうか等の議論もありました。例えば、知的障害は今は別途に立てられておりますけれども、以前は精神薄弱ということで、いわゆる精神障害の一つと言われておりました。

というように、これから、またさらに、障害の立て分けにつきまして、本来であれば、まさにその社会的障壁、社会的モデルといった観点に基づいて、機能そしてまたそれぞれの置かれている状況等を含めて幅広く考えていくことが必要かとは思いますが、今のこの状況下におきまして、このことを明記させていただいたということを申し上げさせていただきます。

○浅尾委員 そういたしますと、立法者の意思としては、書いていないことを長々聞いてもしようがないんでしょうけれども、現段階では、精神障害の中に発達障害を確認の意味で含めるという趣旨で入れたという理解でよろしいでしょうか。

○高木(美)委員 そのとおりでございます。

○浅尾委員 将来的には、他の関係する法律においても、この発達障害、現状そこを法律でカバーしていない部分もあろうかと思いますから、その議論が出てくるだろうというふうに思いますし、基本法の修正案を立法した立法者の意思としても、その議論を喚起したい意味で入れたということでよろしいですか。

○高木(美)委員 そのとおりでございます。

○浅尾委員 では、次の質問に移らせていただきたいと思います。

修正案第十六条で、「可能な限りその意向を尊重しなければならない。」というふうにありますが、「可能な限り」というといろいろと幅があろうかと思いますので、もし具体的に例示ができるのであれば、どのようなことを指しているのか、御教示いただきたいと思います。

○高木(美)委員 恐らく、この解釈は文科省にゆだねるのが最も的確かと思いますが、立法者の意思としてということでございますので、お答えいたします。

御存じのとおり、障害者がその成長過程におきまして適切な教育を受けられるようにすることは、基本法の趣旨にかんがみて、極めて重要でございます。この点、障害の状態は一人一人異なるものでありまして、教育に関しては、きめ細かな配慮をし、十分な情報の提供を行うとともに、本人や保護者等の意向を尊重する必要があります。したがいまして、今回、新たに第十六条に第二項を設ける修正を加えました。

しかしながら、教育現場におきます体制はさらに整備されるべきものであると考えておりますが、一朝一夕に実現できるものではないとも思っております。修正におきましては、この点にも配慮しつつも、国及び地方公共団体は可能な限り尊重しなければならないこととしたところでございます。

○浅尾委員 現場現場でいろいろと考え方があるところもあろうかと思いますので、なかなか具体的な例示が難しいのかなというふうに思いますが、立法者としてはその中で可能な限り尊重するというふうに理解をさせていただきます。

では、最後の質問に移ります。

修正案第二十五条で、それまで「文化」というふうに表現されておりましたのが、「文化芸術」というふうに改めております。

「文化芸術」というふうに変えることによる法的効果、「文化」と書いてあるのとは異なって、「文化芸術」と書くことによってどのような法的効果があるのか、お答えいただきたいと思います。

○高木(美)委員 「文化」という表現を「文化芸術」と改めましたのは、文化という言葉は多義的であることから、芸術、つまり美術や音楽等が含まれることを明記したものでございます。美術、音楽、また映画も、バリアフリー映画等も推進されておりますが、含まれるかもしれません。この分野におきましては、障害者の作品や演奏が鋭い感性に基づくものと世界的にも高い評価を受けておりまして、そうした演奏家の方々、皆様御承知のとおりでございます。

また、これはヨーロッパにおきましても、正規の美術教育を受けずに、自分の内側から生まれる衝動のままに創作された作品は、フランス語でアールブリュット、生の芸術というふうに呼ばれておりまして、社会に広く普及をしております。実は、我が国の精神障害を持つ方たちの作品を集め、美術展として開催されたものが昨年好評を博しまして、パリで何と十二万人の方が鑑賞し、しかも、中には、美術学校の学生がデッサンをしながらそれを写し取るといったような光景も見られたところでございます。

我が国におきましても、そうした障害者の芸術活動に関する諸条件の整備、また助成などの施策を積極的に推進する必要があると考えております。この障害者基本法によりまして、自立及び社会参加の支援のためのさまざまな施策の基本となる事項を定めた法律でございますので、これを修正することによりまして、「芸術」を障害者基本法に明記し、芸術活動に関する諸条件の整備、また助成などの施策が障害者施策の中に明確に位置づけられ、こうした施策が積極的に推進されることを期待したものでございます。

○浅尾委員 確認ですけれども、文化という言葉の中に文化芸術が含まれるだろうけれども、しかしながら、「芸術」ということを入れることによって、今御指摘がありましたような、例えば知的障害がある方がさまざま内面を発露する芸術活動をする、それが社会的にも評価されている、そのことに対して政府としてもより積極的な支援をしていく、そのためにこの文言を入れたという理解でよろしいでしょうか。

○高木(美)委員 そのとおりでございます。

○浅尾委員 確認したいことがすべて確認できましたので、時間より前でありますけれども、質問を終わらせていただきます。

○荒井委員長 これにて原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。

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○荒井委員長 この際、本案に対し、塩川鉄也君から、日本共産党提案による修正案が提出されております。

提出者から趣旨の説明を聴取いたします。塩川鉄也君。

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障害者基本法の一部を改正する法律案に対する修正案

〔本号末尾に掲載〕

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○塩川委員 ただいま議題となりました障害者基本法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

原案は、共生する社会を実現するなどの目的規定の整備、社会的障壁概念による障害者の定義の拡充など、この間の障害者運動により、現行の障害者基本法を一定程度前進させるものです。その一方、多くの障害者が求めてきた障害者権利条約の趣旨を徹底させるという点で極めて不十分であり、また、障がい者制度改革推進会議の第二次意見を十分に反映したものとは言えません。

本修正案は、主として、総則に関連して以下の修正を求めるものです。

本修正案は、第一に、原案第三条二号、三号、第十四条五項、第十六条、第十七条における「可能な限り」との規定を削除するものです。

第三条二号についての質疑でも明らかにしたように、障害者権利条約は、無限定に地域社会で生活する平等の権利を認めております。その精神を徹底するために、他の条文も含めて、「可能な限り」との規定は削除すべきであります。

第二に、原案第二条の定義規定に、障害者権利条約の合理的配慮の定義に基づく定義規定を追加し、合理的配慮を否定することを差別とする規定を追加することです。障害者基本法改正に引き続いて、差別禁止法の制定が予定されており、障害者権利条約に基づいて、差別の規定をより明確にすべきです。

第三に、原案第二条一号の障害者の定義規定に「周期的に若しくは断続的」という規定を追加することです。これにより、難病などの障害がより明確に基本法に位置づけられることになります。

以上が、本修正案の趣旨であります。

何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願いします。

○荒井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

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○荒井委員長 これより原案及び両修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

内閣提出、障害者基本法の一部を改正する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。

まず、塩川鉄也君提出の修正案について採決いたします。

本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

〔賛成者起立〕

○荒井委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

次に、西村智奈美さん外二名提出の修正案について採決いたします。

本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

〔賛成者起立〕

○荒井委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。

次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

これに賛成の諸君の起立を求めます。

〔賛成者起立〕

○荒井委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

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○荒井委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、西村智奈美さん外三名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党及びみんなの党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

提出者から趣旨の説明を聴取いたします。西村智奈美さん。

○西村(智)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明いたします。

その趣旨は案文に尽きておりますので、案文を朗読いたします。

障害者基本法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

一 国及び地方公共団体は、視覚障害者、聴覚障害者その他の意思疎通に困難がある障害者に対して、その者にとって最も適当な言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段の習得を図るために必要な施策を講ずること。

二 国及び地方公共団体は、子どもの発達に対して、障害の有無にかかわらず、将来の自立に向けて個の特性に応じた一貫した支援がなされるべきものであるとの観点から、障害に気付いてから就労に至るまでの一貫した支援を可能とする体制整備を行うこと。

三 国及び地方公共団体は、発達障害児について、将来の自立と社会参加のため、特性や能力に応じた中等・高等教育を受けられるよう、必要な環境の整備を図ること。

四 国及び地方公共団体は、障害原因の軽減や根本治癒についての再生医療に関する研究開発を推進するとともに、障害者が再生医療を受ける機会を確保するために必要な措置を講ずること。

五 国は、地方公共団体が実施する障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策並びに民間の団体が障害者の自立及び社会参加の支援等に関して行う活動を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとすること。

六 国は、この法律による改正後の障害者基本法の施行の状況等を勘案し、救済の仕組みを含む障害を理由とする差別の禁止に関する制度、障害者に係る情報コミュニケーションに関する制度及び難病対策に関する制度について検討を加え、その結果に基づいて、法制の整備その他の必要な措置を講ずること。

七 国は、東日本大震災による障害者に係る被害の実態等を踏まえ、災害その他非常の事態の場合において障害者の生命又は身体の安全の確保が図られるよう、障害者に対する支援体制の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。

以上でございます。

何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

○荒井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

採決いたします。

本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

〔賛成者起立〕

○荒井委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。蓮舫国務大臣。

○蓮舫国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

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○荒井委員長 お諮りいたします。

ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○荒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

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〔報告書は附録に掲載〕

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○荒井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

午後零時五十一分散会