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障がい者制度改革推進会議 第34回(H23.8.8) 資料5-2

参議院 内閣委員会 会議録
【障害者基本法審議該当部分のみ抜粋】

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/kaigiselect.html

第177回国会 内閣委員会 第14号
平成二十三年七月二十八日(木曜日)

─────────────

○委員長(松井孝治君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。

委員の異動について御報告いたします。

昨日までに、斎藤嘉隆君、友近聡朗君及び中曽根弘文君が委員を辞任され、その補欠として平野達男君、蓮舫君及び衛藤晟一君が選任されました。

また、本日、小野次郎君が委員を辞任され、その補欠として桜内文城君が選任されました。

─────────────

○委員長(松井孝治君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。

障害者基本法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣府政策統括官村木厚子君外六名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(松井孝治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

─────────────

委員長(松井孝治君) 障害者基本法の一部を改正する法律案を議題といたします。

本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。

質疑のある方は順次御発言願います。

○岡崎トミ子君 おはようございます。民主党・新緑風会の岡崎トミ子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

障害者基本法として初めに審議されましたのは七年前の二〇〇四年のことでございました。そのときにも質疑をさせていただきました。その同じ年にニューヨークで、国連で権利条約のアドホック委員会が開かれまして、国会議員として特別委員会に参加をさせていただいて、関係者の皆さんともいろいろと懇談をさせていただいたり意見交換をさせていただきました。そして、この障害者権利条約の批准に向けて、障害者基本法、あるいは次の総合福祉法、差別禁止法と、いい流れをつくって批准をしていきたい、そんな気持ちで私はいるわけでございますけれども、今回の改正の中で、第三条で、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利が定められたことは大変その意義が大きいというふうに思っております。

時間の関係もございますので、できるだけ重複を避けながら確認をしていきたいと思います。

障害者権利条約を策定する段階から、また国内での締結に向けた議論の中で大きな論点の一つでありましたのが合理的配慮の問題でございました。今回の改正に向けて多くの障害当事者から、合理的配慮を位置付けること、合理的配慮を行わないことが差別であるということを明記することが求められてまいりました。

改正後の第四条で差別の禁止について定めてございます。そこで、第二項で、社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときには、それを怠ることによって前項の規定に違反することとならないように、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならないとされました。そして、障がい者制度改革推進会議の第二次意見では、障害者権利条約における直接又は間接的な差別や合理的配慮の定義を踏まえて、障害に基づく差別に係る規定を見直すことが求められております。

この改正四条二項の規定は、障害者権利条約の合理的配慮を踏まえたものだというふうに考えてよろしいでしょうか。

○国務大臣(細野豪志君) 岡崎委員におかれましては、長年にわたりまして障害者の皆さんの権利の回復そして向上に大変な御努力をされておりまして、心より敬意を表したいと思います。

また、今日は、蓮舫大臣時代から本当に努力されてきた関係者の皆さん、数多くこの委員会に出席をされておりまして、参議院の段階で私がこうして答弁をさせていただくというこの責任の重さを痛感をしているところでございます。二時間という限られた時間ではございますけれども、しっかりこの障害者基本法がこれまで議論されてきた経緯、そして皆さんの思いをこの委員会の場所で確認をできるような答弁してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

御質問をいただきましたとおり、合理的配慮をしないことが差別であるという障害者権利条約の趣旨を踏まえて、今改正案では四条二項でそのことを定めております。具体的には、障害者に対する差別その他の権利利益を侵害する行為を禁止する観点から、社会的障壁の除去の実施に伴う負担が過重でないときは、その実施について必要かつ合理的な配慮がなされなければならない旨を規定をしておりまして、まさに条約の趣旨を法令上反映をした形になっております。

この合理的配慮の具体的内容についてですけれども、今後、障がい者制度改革推進会議差別禁止部会におきまして、障害者に対する差別の禁止にかかわる法制を検討しているところであり、その中で、より前向きな形で進められるべきであると考えておるところでございます。

○岡崎トミ子君 社会的な障壁を取り除くためにこうした理念が入ったということはやはり大きな成果だというふうに思っておりますが、これが今の到達点として、これから更に批准に向けての歩みの中で当事者の参画を得て議論を進めていきたいというふうに思います。

今回の改正の柱の一つは、地域社会における共生でございます。改正三条の二号で、障害者が可能な限りどこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人と共に共生することを妨げられないことを定めておりますが、これも非常に重要な項目だと思っております。当然、全ての障害のある方にとって重要な内容ですが、特に自らの意思によらない入院を強いられてきた精神障害者にとって大変望んできたことだというふうに思っております。

この規定は、住居の選択の自由を定めました障害者権利条約第十九条を反映しているものというふうに思っておりますが、ただ、それなのになぜ「可能な限り」という制約が付いたのか。「可能な限り」という文言がありますと、非常に幅広いケースで入院が認められてしまう、正当化されてしまうということになってしまうのではないかと心配をいたしております。

この「可能な限り」という文言が要らなかったのではないかというふうにも指摘されているわけなんですが、この第十四条第五項について言えば、極めて限定的なケースを除いて身近な場所で受けられるように万全を期すことが改正の趣旨であるということを確認したいと思います。

○大臣政務官(園田康博君) お答えを申し上げます。

先生には本当に御指導いただいておりまして、ありがとうございます。私からも御礼を申し上げたいと存じます。

そして、今御指摘のありました今般の改正案三条、まず第二号でございますけれども、障害者が可能な限りどこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、そして地域社会において他の人々と共生すること、こういったことの基本原則を定めさせていただきました。これは大変重要なことである、権利条約でもそのような形で規定をされておりましたので、それをしっかりとこの改正案でも盛り込ませていただいたところでございます。

「可能な限り」という言葉でございますが、先生も御指導いただいておりましたけれども、御案内のとおり、例えば重症心身障害者の施設、これは適切な医療ケアというものが受けられるようにしていかなければならないというふうに私どもは考えておるところでございまして、こういった施策も併せてしっかりと地域において行っていく必要があるというふうに考えております。

したがいまして、そういった趣旨も踏まえて、身近な場所で医療あるいは介護等を受けられるようにするとの観点から、この第十四条五項を新たに設けさせていただいたということでございます。

○岡崎トミ子君 これまでには、精神障害のある方について医療保護ということで、本人が望まない場合でも、しかも医師の判断で強制的に入院させられるということが行われてきたわけです。しかも、一度入院いたしますと、退院につきましても本人の意思よりも医師の判断や家族の思惑が優先されまして、長期入院の結果、職業あるいは社会的な地位もなくなってしまうという、これからの人生において大変厳しいという状況があちらこちらで散見されております。

そこで、入院や退院の手続につきましては、今回の改正第十四条の中で人権を十分に尊重しなければならないということも踏まえまして、医師の判断だけによるのではなくて、司法や行政も責任を持って関与して、人権の視点から入退院が決定されるべきだというふうに思います。

そして、第二次意見の中でも、非自発的なというのは、本人の意に反したあるいは本人の意思を確認することができない状態で入院することを言いますけれども、こういう際に他の人との平等に基づく具体的な適正手続の在り方を明確化してください、そして第三者の機関による監視を含めて現行制度を大幅に見直して新たな仕組みを構築していただきたい、このことが求められておりますが、今回の改正でこの趣旨を踏まえて精神障害者の非自発的な入院について適正手続を保障する制度を整備すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(木倉敬之君) お答え申し上げます。

先生御指摘のように、精神障害者、精神障害のある方の自発的でない、非自発的な入院制度、今、医療保護入院それから措置入院というものがございます。これにつきましては、現行法におきましても、精神保健指定医による診察を受ける、それから退院の請求、処遇改善の請求ができる等の旨について本人へきちんと書面通知をする等が義務付けられております。また、入院されました後におきましても、その病院の管理者によりまして症状等を都道府県知事へ定期的に報告をする、それから患者御本人からの退院請求、処遇改善の請求について、第三者機関である都道府県の精神医療審査会の審査を義務付けておるところでございます。

しかし一方で、この入院制度につきまして、今御指摘のように、推進会議等の御議論を踏まえまして昨年六月二十九日に閣議決定がなされております。その中には、精神障害者に対する強制入院、強制医療介入等について、いわゆる保護者制度の見直し等も含め、その在り方を検討し、二十四年内を目途にその結論を得ることとされております。

これを受けまして、私ども厚生労働省におきましても、昨年来、厚生労働大臣政務官を主担当にして設置をしております新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チームにおきましてこの内容の見直しを進めておるところでございます。

○岡崎トミ子君 途中だということでありますけれども、今回の改正の趣旨、当事者の参画を得て、今後とも障がい者制度改革推進会議の意見の重さもしっかりととらえていただいて検討がされていかなければならないというふうに思っております。地域で暮らしたいという本人の意思を尊重するために、社会的入院を減らすための受皿、その整備をすることが欠かすことができないというふうに思っております。

そこで、衆議院の修正で附則二条二項が新設されまして、地域における保健、医療、福祉の相互の有機的な連携の確保その他の障害者に対する支援体制の在り方について検討を加えて、その結果に基づいて必要な措置を講ずるとされました。

こうした問題意識があっただろうというふうに思いますが、修正提案者にこの修正の趣旨をお尋ねすることと、もう一つ、改革全体の趣旨、とりわけ修正提案者の皆様のおかげで実現をいたしました修正の趣旨を踏まえれば、精神障害者の社会的入院を減らすために、まず削減目標、そして削減計画の策定、改正二十条でも規定されております住宅の確保、そして実際の入院についての理由の分析、調査研究の充実、実効性ある施策が必要ではないかというふうに考えておりますが、この点についての御意見を伺いたいと思います。

○衆議院議員(西村智奈美君) 御質問いただき、ありがとうございます。

附則第二条第二項でございますけれども、この修正の趣旨について答弁申し上げたいと思います。

この附則は、国に対して、障害者が自立した生活を営むことができるようにするため、障害に応じた施策の実施状況を踏まえ、保健と医療と福祉の連携の確保、その他の障害者に対する支援体制の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることを求めているものでございます。障害に応じた施策の実施状況については、特に精神障害者について社会的入院が依然多く存在しておりまして、地域社会への移行が進んでいないという現状も当然含まれております。

したがって、委員御指摘のとおり、この修正を受けて、国は精神障害者の社会的入院の問題について検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずることが求められております。

○岡崎トミ子君 具体的に一つ一つに対して実効ある施策が必要ではないかということを申し上げたんですけれども、厚生労働省としてはこういった、私が申し上げたことを共有しているかどうかを確認したいと思います。

もう一回、しつこいようですけれども、目標、計画の策定、そして住宅の確保、入院の理由の分析、調査研究、こういったことについて踏まえておられるかどうか、お願いします。

○政府参考人(木倉敬之君) 厚生労働省としても同じ認識に立っております。

これは、これまでも、いわゆる社会的入院につきましては、平成十六年から十か年のビジョンを示しまして、地域生活中心へ改革を進めていくということで取り組んでおりますが、具体的には、入院された段階から退院に向けた環境調整を行っていく、そのために地域移行や地域定着の支援を実施していく。それから、各自治体が今も障害福祉計画というもので具体的な整備目標を作って取り組んでおりますけれども、その中でも、今先生御指摘の住まいの場、しっかり確保しようということで、グループホーム、ケアホーム、あるいは日中活動の場をしっかり確保する、その具体的な目標を定めて取組を進めていただいているところでもございます。

さらに、昨年十二月に議員立法で成立させていただきました現行の自立支援法の改正法の中でも、新しく来年度から、地域移行、地域定着を個別の申請がありましたら給付を行っていくという事業としても位置付けていただきました。また、予算事業におきましても、入院に頼ることなく地域で生活するということで、精神障害者のためのアウトリーチの事業、訪問して支援をしていくという事業も実施をさせていただくようになっております。

先ほど申し上げました閣議決定の中におきましても、具体的に社会的入院を解消するため、退院支援や地域生活における医療、生活面の支援に係る体制の整備について結論を得ていくということも指摘をされております。これについても、先ほどの検討チームで具体的に当事者も入っていただきまして議論を進めているところでございます。

○岡崎トミ子君 ありがとうございました。

世界中の精神病床の六分の一が日本にあって、七万人以上の社会的入院者がいるということ、早くこうした状況を改善していかなければならないというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

次に、統合教育に向けた取組が大きな論点の一つになってきました。今回、衆議院の、改正案に第十六条で、可能な限り共に教育を受けられるよう配慮しつつ、教育の内容改善及び充実を図る必要な施策を講じなければならないというふうに盛り込まれました。私も野党の時代から、障害のある方たちの声を受けて共に勉強しながら長い間取り組んできましたけれども、今までよりも一歩前進であると。明るい未来の夜明けというふうに歓迎したいというふうに思っております。とはいうものの、道はこれからだというふうに思うんですね。社会も、総論は賛成ですけれども、各論になると大変難しいというふうに感じております。

一つは、共生の理念が浸透されていないのではないか。今回の大震災でも障害のある方たちが大変な思いをされたという話を聞くたびに大変胸が痛む思いをいたしました。この点につきましては、ほぼ基本法に盛り込むことができたというふうに思っておりますが、もう一つは財源がございます。障がい者制度改革推進会議第二次意見の取りまとめがされた際に障害者施策を担当しておりましたけれども、副本部長としてこの第二次意見を受け取らせていただきました。取りまとめには苦労されたことを目の当たりにしたわけでございますけれども、とりわけ共に学ぶインクルージョン教育に向けて大変な議論がされまして、それは財源が一番大きいんだなということを感じました。

そこで、この第二次意見の取りまとめた状況もきっちりと踏まえた上で、昨年、二十五人学級を基本として財源がどのぐらい掛かるか、その試算を推進会議に出されたんです。A案が十二兆一千四百八十五億円、B案が一兆三千四百七十一億円掛かるという数字が出まして、随分掛かると大変驚いたとともに、障害者団体から想定がおかしいというクレームもいただいた記憶がございます。ですから、このインクルージョンは大変難しいと思った方も多いのではないかと思います。

そこで、この数字の根拠、考え方をお聞きしておきたいと思います。

○大臣政務官(笠浩史君) 今御指摘ありました数字でございますけれども、まず二つのパターンで試算を行ったものでございます。

想定Aは、居住地域の小中学校の通常学級に就学することとし、保護者が希望する場合のみ特別支援学校へ就学すると想定し、小中学校で必要な条件整備について主に次の仮定を置いて試算をしております。

現在、特別支援学級に在籍している子供は通常学級に移動、通常学級は障害のある子供の在籍を考慮し、学級編制の標準は二十五人、そして特別支援学級に在籍していた子供が在籍する通常の学級は、担任に加えて教員を一名配置をいたします。特別支援学校に在籍する障害が比較的軽度な単一障害の子供は全て小中学校に移動し、重度の重複障害の子供は三分の一が小中学校を希望、特別支援学校から移動した子供は特別支援学級で対応、そして特別支援学級の学級編制の標準は六人、さらに不足する教室の増築やエレベーター等の設備を完備し、以上により、想定Aとしては、教員等の増員や施設設備の整備のために、合計、先ほどございました十二兆一千五百億円のコストが必要との試算結果でございます。

そして、想定Bにつきましては、保護者に十分な情報提供を行い、保護者の希望を踏まえつつ、教育委員会が就学先の学校について総合的に判断すると想定し、小中学校で必要な条件整備について、通常学級の学級編制の標準は四十人、そして特別支援学校に在籍する障害が比較的軽度の単一障害の子供の三分の一が小中学校を希望、特別支援学校から移動した子供は特別支援学級に在籍をし、特別支援学級の学級編制の標準は六人、不足する教室の増築やエレベーター等の設備を一校舎中心に整備をするということで、合計一兆三千五百億円のコストが必要という試算を二パターン出させていただいております。

○岡崎トミ子君 結局、現在の特別支援学校へ通う三分の一が地域の支援学級に行って、支援学級は全員通常学級へ行くという想定なんですね。でも、誰が考えましても、制度改正ができたから、さあ、来年からそれだけ掛かりますよというふうにはならないというふうに思うんです。しかも、二十五人学級もすぐに実現することは難しいと思うんですね。

そこで、現実的かつ第十六条実現に近づく想定で、三十五人学級を前提にしまして、B案の考え方を基に、教育メニューを作成する教師と通級教室に各一名を配置した場合にどのぐらいの財源が必要になるでしょうか。

○大臣政務官(笠浩史君) ただいま御提示いただいた仮定等を基に、国及び地方において必要となる教員、そして支援員及び看護師の人件費を試算いたしますと、単年度で約八千六百億円の経費が必要になると試算されます。教員は約九万六千人の増員が必要となり六千四百億円、そして支援員は約十八万三千人の増員で約二千二百億円、看護師は約八百人の増員で約十六億円で、計約八千六百億円と試算されます。

○岡崎トミ子君 そうですね、人件費関係で大体八千五百九十八億円ですから、まずは十三兆ではなく、また一兆何千億円でもなく、もう少し計画的にやっていくことが私は必要だというふうに思うんです。

その場合に、主に人的な予算が重要だと思いますけれども、仮に十年計画にした場合に、単年度に必要な予算につきまして、基本法が成立して一歩進んだという文科大臣の姿勢が必要だというふうに思います。今後、自治体の積極的な取組を誘導したり、基本法の初年度としての取組を是非求めていきたいというふうに思います。

その点について、いかがでしょうか。

○大臣政務官(笠浩史君) 障害者基本法においては、政府は、この法律の目的を達成するため、必要な財政上の措置を講じなければならないとされているところでございます。

本年四月に成立をいたしました義務標準法の一部改正法においても、教員の数を加配をする事項として、障害のある児童生徒に対する特別な指導が行われていること等への特別な配慮についても明記をさせていただいております。施設整備においても、従来より、教室不足の解消及びエレベーターあるいは障害者用のトイレ、スロープ設置等のバリアフリー化に係る施設整備について国庫補助を行っているところでございます。

本基本法の一部改正案に関する国会での御議論あるいは学校の状況等を勘案しながら、文部科学省としても、こうした取組に加えて、必要な人的あるいは物的な条件の整備にしっかりと取り組んでいきたいと思いますので、また御支援のほどよろしくお願いをいたします。

○岡崎トミ子君 この第十六条を受けまして、未来ある子供たちのために、保護者や本人の意思を尊重して、共に地域社会の中で学び、その環境をつくっていくということに努力を一生懸命私たちもしていきたいというふうに思っておりますが、まずできるところから始めるというのが大切だというふうに思うんです。

この「可能な限り」という文言なんですけれども、予算がないから不可能の範疇に入れてきた、しかし今回は、本人、保護者が特別支援学級を希望する場合にはというふうに衆議院の方の議論の中で決めていただきました。ですから、単純にお金がないからそれは無理だということは言えなくなるだろうというふうに思うんですね。

それで、今度は自治体の皆さんなんですけれども、ここのところを今までとは全然違うんだということについて徹底していただきたいというふうに思うんです。というのは、今までも文科省は取り組んでいらっしゃいました。しかし、そのことが地域で徹底されませんでした。ですから、その違いをはっきりさせるということについてどのように指導なさるのか、お答えいただきたいと思います。

○大臣政務官(笠浩史君) まさに、この「可能な限り」に関しては、まさに可能な限りということで、障害者がその年齢、能力、特性を踏まえた十分な教育を受けられるようにするため、どのような就学先が最も適切なのかという観点から総合的に決定する仕組みとする必要があると考えており、可能な限り共に教育を受けられるよう配慮しつつ、具体的に検討してまいりたいというふうに思っております。

なお、本人、保護者が特別支援学校やあるいは特別支援学級を望む場合や、特別支援学校や特別支援学級で学ぶことが総合的な観点から望ましい場合もあることから「可能な限り」と規定をした次第でございますので、文部科学省としては、本改正法案の内容について、今委員から御指摘あったように、しっかりと周知徹底を図り、教育現場も含む関係者の理解を深めることがインクルーシブ教育システムの構築に向けて最も重要なことだと考えておりますので、通知の発出や、あるいは各種様々な会議において説明などを通じて、この度の法改正の目的、そして今御指摘のあった内容の周知徹底に努めてまいりたいと思っております。

○岡崎トミ子君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

今回の東日本大震災の中で、本当に障害を持つ皆さんたちが大変な思いをされた。それで、私も障害者団体の皆さんと一緒に安否確認にも歩かせていただきました。残念ながら、リストが手になかったということもありまして、確実にそれぞれのところに行くことができなかったということがたくさんございます。

思いはたくさんありますけれども、時間がございませんのでストレートに質問に入りたいと思いますが、この要援護者リストの作成と活用につきまして、問題の指摘あるいは避難場所の確保の必要性、このことは今回大変明らかになったというふうに思っております。災害時要援護者の避難支援ガイドライン、これを見直していただきたい、自治体に周知するべきであるというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。

○大臣政務官(阿久津幸彦君) 障害者や高齢者などの災害時要援護者の避難支援対策は、防災上極めて重要な課題と認識しております。そのため、十七年三月に災害時要援護者の避難支援ガイドラインを制定し、市町村における避難支援計画の策定や要援護者名簿の作成等を推進してきたところであります。

ガイドラインに基づく要援護者名簿の整備状況については、平成二十三年四月一日時点において、調査団体のうち五二・六%が整備済みで、整備途中の四一・五%を合わせると九四・一%が整備済み又は整備途中となっております。また、名簿を整備済みの市町村のうち、九一・四%が平常時又は災害時に民生委員等他団体へ名簿を提供又は提供予定となっております。なお、三月十一日に大震災が発災いたしましたので、宮城県及び福島県内の全市町村並びに岩手県内の一部の市町村は含まれておりません。復旧に併せて整備されていくものと考えております。

さらに、ガイドラインにおいては、各避難所に要援護者用の窓口を設置して、要援護者からの相談対応、確実な情報伝達と支援物資の提供等を実施することと規定しているところであります。まずは、ガイドラインに示された具体的な方策の更なる周知徹底を図ってまいりたいと考えております。

今回の東日本大震災においては、多くの高齢者の方々とともに多くの障害者の方々も犠牲となられました。これらの実態を精査し、しっかりと把握した上で、見直しを含む必要な検討を確実に行ってまいりたいと考えております。

○岡崎トミ子君 ありがとうございます。

今回は、減災という考え方につきましては、子供や障害者や高齢者や外国の人たちや、そうした人たちに対して差別の格差のない社会をつくることが災害に強い町づくりである、それが減災の考え方だと、これが新しい考え方になったというふうに定着していきたいというふうに私自身も考えております。

もう時間になってしまいました。今回の制度改革の枠組みは世界的に大変珍しいというふうに言われております。というのは、障がい者制度改革推進会議の中に過半数以上当事者の皆さんに入っていただいて、意見を聴取して、そして障害当事者の参画が批准に向けての大きな作業になっていくということは国連の会議の中でも大変注目されておりまして、私は、他の国に例を見ない今回の我が国のこの改革におきまして、政府を挙げてこの取組を進めていっていただきたいと強く念願するものでございます。

そして最後に、障害者政策委員会の設置に当たっては、過半数の障害者の皆さんを当事者として入れてほしいという要望をいただいておりますので、その点強くお願いをして、質問を終わらせていただきたいと思います。

ありがとうございました。

○山東昭子君 自由民主党の山東昭子でございます。

一九七五年、私は、党の特殊教育プロジェクトチームの主査として障害児教育に取り組んでまいりました。当時と比べますと、障害者に対しての環境は大きく改善され、そして障害者自身の意識も、重度の方を含めて、社会の中で積極的に生きようとする意欲的な人たちが大変増えてまいりました。

しかし、障害者と一口に申しましても、障害の違いはもちろん、たとえ同じ障害であっても個人差があり、千差万別、非常に複雑であります。そこで、障害者の一生を考えるとき、教育、職業、老後、これをトータルで考えていかなければならないと思います。

まず、親が子の異常を感じた乳幼児の早期発見のため、子育てでの段階で、厚労省は各自治体での対応というもの、相談窓口など、どのように対応しておられるか、お聞かせください。

○政府参考人(石井淳子君) お答え申し上げます。

障害を持つ児童に対して、障害を早期に発見をし早期の支援につなげていくことは極めて重要でありまして、そのためには、子育ての早い段階からかかわっていくものとしまして、乳幼児健康診査の果たす役割が大変大きいというふうに考えております。

乳幼児健康診査につきましては、市町村に実施の義務が課されているところでございます。母子保健法第十二条におきまして、市町村は、満一歳六か月を超え満二歳に達しない幼児と、満三歳を超え満四歳に達しない幼児に対して健康診査を行うこととされております。

この健康診査でございますが、身体の発育状況とか、あるいは脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無とか、あるいは目の疾病及び異常の有無、四肢運動障害の有無、精神発達の状況等の項目について行うこととされておりまして、精神及び言語の発達や行動などの問題を早期に発見する機会となっているところでございます。

またあわせて、早期支援につなげていくことが重要でありますので、母子保健法の規定を受けまして健康診査等の母子保健事業によって心身の異常が発見された場合には、療育の指導などの適切な支援につなげるよう自治体に対して指導を行っているところでございます。

今後とも、各自治体における健康診査等の母子保健事業を通じまして、障害を持つ児童の早期発見を図り、適切な支援につなげてまいりたいと考えております。

○山東昭子君 また、文科省として教育面ではどのように対応しておられるのか。

○政府参考人(尾崎春樹君) 御指摘のとおり、障害のある子供の教育的ニーズに応じた支援を充実するためには、早期の支援が重要であると考えております。

このため、文部科学省の行います特別支援教育総合推進事業におきましては、教育委員会が保育、福祉、保健、医療等の関係機関と連携をいたしまして、本人、保護者に早期の段階で十分な情報提供ですとか教育相談の体制をつくること、あるいは幼稚園、保育所、小学校がこれまで以上に連携を深めまして、保護者や専門家とともに個別の教育支援計画を作成して活用することですとか、さらには幼稚園等への巡回指導を行うこと、こういった取組を促しまして、各自治体における乳幼児期からの特別支援教育の体制の整備というものを進めているところでございます。

取組の先進的な事例の中には、教育委員会、首長部局を通じまして所管あるいは窓口を一元化するような取組で、子ども課ですとか発達支援室といったようなもので横の連携を強めているというような先進的な事例も結構見られているところでございます。

文部科学省といたしましては、引き続き早期からの教育相談、支援の充実等に努めてまいりたいというふうに考えております。

○山東昭子君 自治体での相談の窓口の人材というものは非常に大切だと思います。親御さんは、大変大切なお子さんのことですからいろんな角度から勉強して、そして必死になって、真剣になって、この対応と申しましょうか、話をするわけですけれども、その人たちに対しての知識教育というものをきちんといたしませんと大変難しいんではないかと思います。中には、かわいいお子さんの将来にとって本当にプラスになるのかどうか分からないけれども、どうも親のプライドが高くて、何でも普通学級に入れたいというようなことは、何というんでしょうか、主張する親御さんが多いようでございます。

そこで、盲・聾学校から特別支援学校に変わりましてから、その成果とそして課題点、これをお聞かせをいただきたいと思います。

○政府参考人(尾崎春樹君) 平成十九年四月の学校教育法の改正によりまして、従来、今御指摘ございましたとおり、盲・聾・養護学校が障害種別を超えました特別支援学校として一本化をされました。

このときの大きな狙いというものは、もう当然のことながら、それぞれの学校の支援教育を一層推進することと併せまして、障害のある幼児、児童生徒が在籍する近隣の幼稚園、小学校、中学校、高等学校等の要請に応じまして特別支援学校が助言、援助を行うという、そういうセンター的な機能を付加するということが大きな狙いであったわけでございます。

今御質問のございましたその成果ということでございますけれども、こういうふうに特別支援学校という形で一本化したことに伴いまして、複数の障害種を対象とする特別支援学校が現実に増えてございます。その結果、障害の重度重複化への対応という体制が従来より進んでいるということがまずございます。

次に、特別支援学校のセンター的機能の定着が進みまして、地域の幼小中高等学校に対する支援が実質的にも充実をしてきているということもございます。

また、三点目には、特別支援学校における特別支援学校の教諭免許保有率、要は専門の、特別支援学校の免許の保有率が向上しておりまして、特別支援学校そのものの専門性が向上してきているといったようなことも言えようかと思っております。

こういったことを通じまして、結局、特別支援学校に対する保護者の方、地域の理解の高まりなどもございまして、特別支援学校における在籍児童生徒数というのは現実に増加をしてございます。

一方、課題といたしましては、今申し上げましたようなセンター的な機能あるいは教員の専門性の向上というものを更に進めていく必要があると思っておりますし、また加えまして、障害のある子供と障害のない子供の交流、共同学習というものを更に進める必要があること、また、冒頭御指摘ございましたけれども、教育、労働、福祉などの関係機関が一体となった職業教育ですとか就労支援、こういったものを更に充実していく必要があること、また在籍者が増加をしておりますので、その状況を踏まえまして特別支援学校そのものを計画的に整備する必要があるというふうにも考えているところでございます。

こういった成果と課題を踏まえつつ、特別支援学校の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。

○山東昭子君 やはり専門家の育成、教育ということ、特にこれからも力を入れていただきたいと思います。

さて、障害の中でも精神的なものに注目をしたいと存じます。それはアスペルガー症候群でございます。一九四四年、オーストリアの小児科医、アスペルガー博士が報告したこの病はアインシュタインやヒトラーなどいろいろな人が持っていたと言われておりますけれども、この病を持った人が、全てではないのですけれども、普通の子供が突然十七歳ぐらいになって凶暴になって事件を起こすというようなこともあります。そうした犯罪に結び付くということ、これが非常に心配でございます。

二〇〇〇年、愛知県の豊川市で主婦殺害、二〇〇三年、長崎での男児誘拐事件、また二〇〇四年、同じ長崎、佐世保の小学校六年の女子がクラスメートを殺害した。いずれもアスペルガーだったとのことでございますけれども、こうした発達障害や心神喪失に関しての法律はできても、日本ではこのアスペルガーや発達障害に関しての調査や研究が遅れていると思いますけれども、これに関して厚労省の現状をお知らせいただきたいと思います。

○政府参考人(木倉敬之君) お答え申し上げます。

御指摘のように、アスペルガー症候群の方々始め、この発達障害と言われます方々に対します法律、発達障害者支援法、これを議員立法で制定をいただきまして、十七年から施行されております。この法律の中では、発達障害のその特性に着目をしました支援、これを推進していくということが位置付けられているわけでございますが、その支援のノウハウというものはまだまだ十分に確立されているとは言えないというふうに認識をしております。

このために、的確な早期の診断、それからそのアセスメントの手法、それから先生御指摘のように、ライフステージ全体を通じた支援方法などについて調査研究を進めてその成果を共有していくことが今後更に重要な課題だというふうに認識しております。

このため、厚生労働省におきましては、これまでの研究事業等で、発達障害の的確な早期診断、評価に関する標準的な手法の確立、また激しく自分を傷つけられるような行為、あるいは物を壊すというような強度行動障害と言われますような支援の難しい困難な事例に対する支援方法の確立、また学齢期あるいは青年期におきまして、学校でありますとか職場への不適応を起こしやすい事例に対する支援の確立などに重点を置きまして調査研究事業を進めております。これらの成果といたしまして、これまでも、発達障害の特性があるかどうかを早期にきちんと評価するための標準的な評価指標の開発、それから親御さん等にも分かりやすく支援の手法を理解をしていただくためのリーフレット、あるいは学校や職場の方々にも分かっていただくためのマニュアルなどを作成してきておるところでございます。

これらのものを、国の設置をしております発達障害情報センターあるいは各都道府県で設置を進めていただいております発達障害者支援センター、こういうところでの研修等を通じて広く普及に努め、活用に努めてまいりたいと。また、今の文部科学省の取組等と連携をして更に施策の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。

○山東昭子君 これらに関しては、治療方法というものは何かあるんでございましょうか。

○政府参考人(木倉敬之君) 今までも、その障害、現れた障害に対する軽減といいますか、動揺しない、急にパニックに陥らないための支援方法というふうなことで、医学も含めた研究が進んできているというふうに思っております。しかしながら、根本的にそれを治療をしてということについてはまだまだ研究途上にあるんじゃないかというふうに考えております。

○山東昭子君 障害者の教育や施設など、現場におられる指導者の方々の御努力というものは、中に入れば入るほど頭の下がる思いでいっぱいでございます。

しかし、そうした障害者が学校を卒業後、これがなかなか仕事に就くということが難しいわけでございまして、施設が赤字で閉鎖され近くになくなってしまったり、あちこちで聞く話は大変暗いものがございます。

以前は、大分にある太陽の家が障害者だけで銀行から工場までを運営して完全にペイしていると言われておりましたけれども、現在は、私自身が見せていただいたところでは、姫路にある白鳥城というものが理想の職場ではないかなと思います。これは創設者の門口堅蔵さんの長年にわたる御努力でドイツの白鳥城の六分の一の規模で造られた観光スポットで、中のレストランや土産物売場などで全員障害のある人が、観光客や地域の人々との触れ合い、これを大切にしながら一生懸命働いている姿というものは本当にうれしい限りでございます。

この施設にいらした方も役所の方にいらっしゃるかと思いますけれども、この施設に関しての感想はいかがでございましょうか。

○政府参考人(木倉敬之君) お答え申し上げます。

先生御指摘のまず太陽の家、大分の太陽の家でございますが、これは大変に著名なものでございますが、この社会福祉法人、昭和四十年に創設以来、日本を代表されますような大きな企業と連携を図られまして、身体障害があっても当たり前に働ける職場づくりに積極的に取り組んでこられております。具体的には、車椅子の方でも作業をしやすいように作業環境、作業台設備等を改善を図る、あるいは手の不自由な人にはそれを補完できるような装置を組み合わせる、重度の方でもその機能を生かせるような機械と組み合わせての働く場を工夫をするというようなことで、現在では十一か所の就労関係のサービスの事業所あるいは特例子会社八か所というようなことを広く大分以外でも展開をされてきているというふうに認識しております。

また、先生御指摘の白鳥城、私自身はまだ拝見したことがございませんが、伺っておりますところを申し上げますと、この白鳥城は観光の施設でありますが、まさに障害のない方、一般の方々と障害のある方が当たり前に一緒になって働ける環境整備をなさっておられると。その障害者の方御自身も支える側に回っておられるという、経営の側にも回っておられるということで、地域社会の一員としての役割を果たせるような拠点として自信を持って働ける事業所が展開されているというふうに伺っております。

厚生労働省といたしましても、このように障害がありましても当たり前に働けるような環境整備、このようなものを、全国の取組を我々も集約をしながら、また御紹介をして広めていく必要がある、それを、そこで働ける訓練というふうなことも、今の就労継続支援、就労移行支援というふうなノウハウを持ち寄った中での訓練に生かしていく、広く就労の場を確保していくということで取組を進めてまいりたいというふうに考えております。

○山東昭子君 近年、各企業においても就業環境というものは大変良くなっていると聞いておりますけれども、厚労省に現状と今後の方針をお伺いしたいと思います。

○政府参考人(中沖剛君) お答え申し上げます。

障害者雇用につきましては、先生御指摘のとおり、年々雇用者数が増えております。昨年六月現在でございますと、実際の雇用率は一・六八%でございまして、過去五年間続けて過去最高を更新いたしております。また、特に千人以上の大企業におきましては実雇用率は一・九〇%と、法定雇用率の一・八を上回る水準まで到達したところでございます。

こうした障害者雇用拡大の背景でございますが、一つには、先生が最初に御指摘になりましたように、やはり障害者の方の意欲が非常に高まっているということ、これが一つございます。

それと併せまして、近年、企業において社会的責任、CSRというようなことが言われているわけでございますが、こうした考え方が浸透しておりますし、また法令遵守、コンプライアンスということが日本の企業にとって当然の条件になっているということから、企業がやはりその考え方を変えていると、意識が変化してきているということもあると思っております。

私どもは、このため、企業におけるそうした意識が更に高まりますよう、例えばでございますが、私ども大臣の名前で大変努力しているところには表彰するような形もございます。具体的な事例で申し上げますと、これはスーパーでございますが、個々の障害者の方につきまして目標を作っていきまして、それぞれ一人一人について作業プログラムを作って、うまくいけば昇給するというような形でインセンティブを与えるということで大変能力開発を進めている企業もございますし、また精神障害者の方など大変長く働けないものでございますから、大変緩やかなフレックスタイムを使ったりして非常に働きやすい職場環境をつくっている、こうした企業など、昨年は三十二社を表彰したところでございます。

こうした中、今後の方針でございますが、大事なことはやはりきめ細かな支援を更に強めていくということだと思っております。そのため、企業には現在ジョブコーチという名前の専門家を派遣しております。こうしたジョブコーチが企業と障害者の間に入りまして、なかなか知的障害の方ですとか発達障害の方は自分で意思疎通ができないものでございますから、こうした方が代わって事業主の方に話を通していくというようなやり方をやっておりますし、こうしたものを更に強めていきたいと思っております。

また、先ほど来話が出てきております教育あるいは福祉との連携も大変重要でございます。そうした観点から、ハローワークが中心となりまして、地域で特別支援学校ですとか福祉の機関と連携をしてチームで支援をしていくと、チームがそれぞれ個々の障害者の就職に当たる、あるいは就職後の職場定着まで行うというようなものをやっておりますし、障害者にとって身近な社会福祉法人などに就業あるいは生活の両面の支援をお願いするというような形もやっておりまして、こうした雇用、福祉あるいは教育と一体となった施策を更に充実強化して障害者雇用に努めてまいりたいというふうに考えております。

○山東昭子君 最近は障害を持つ人たちも大変長生きになってこられました。大変喜ばしいことだと思いますけれども、反面、知的障害者を持つ親御さんから、私たちが死んだら年を取った子供たちがどうやって生きていくのか、そうした専門家のいない施設ということ、大変危惧しておられる方もおられるんですけれども、障害者の老後についてどのようにお考えでございましょうか。

○政府参考人(木倉敬之君) 障害をお持ちの方でも安心して生涯を全うできる社会づくり、これは大変大事なことだというふうに認識しております。

今後、我が国で高齢化が更に進んでいく中で、そういうお持ちの障害の特性に配慮されたような環境をきちんと整備していくこと、これが今後の大きな課題だというふうに認識しております。そのためには、これまでも先駆的な取組、これ調査研究という形で進めておりますが、まだまだこれからの分野でございます。

例えばでございますが、今進めております中では、群馬県に国立の独立行政法人の施設として重度知的障害者ののぞみの園というふうなものも古くから設置をしておりますが、地域に出ていっても生活していただける、あるいはそこへ残っても生活していただけるという中で、この中での取組として、地域で生活する高齢知的障害者のサービスの利用ということの在り方の調査研究ということも具体的に進め、これを、成果をまた、国立施設でございますので、全国の自治体の施設、地域サービスに携わられる方にも研修の形で普及をさせていきたいというふうにも考えております。

また、各地域で自主的に取り組んでいらっしゃる先駆的な取組についても我々も収集をしていきたいということで、厚生労働省の私どもの障害保健福祉部の方で公募をして取組を進めております中の指定課題の一分野といたしまして、老年期の発達障害者への障害福祉サービス提供の現状とニーズ把握に関する調査というような枠も設定をして、この中で先駆的に取り組む方々の取組を支援をし、またその成果を普及させていきたいというふうに思っております。

いずれにいたしましても、親御さんの不安の中で御本人がきちんとした支援を受けながら、その障害に配慮した支援を受けながら御自分の人生を全うしていかれる環境づくり、しっかりと支えていくような施策を進めてまいりたいというふうに考えております。

○山東昭子君 できるだけいい環境をつくっていただきたいと思います。

これからの日本は障害者に対しての意識改革の時代だと私は思っております。欧米などを訪れますと、町中で本当に障害者と健常者というものがさりげなく触れ合っている。メイ・アイ・ヘルプ・ユーなんていうことで本当にお手伝いをしている姿というもの、何となく自然体であるということ、そうしたさりげなく優しく接するということ、これが大切だと思います。そして、障害者自身も特別な権利意識は捨てて社会に溶け込んでもらいたいと思います。

竹中ナミさん提唱のチャレンジドになること、つまり、国や自治体に全てサポートされるのではなく、自分たちも収入を得て税金を払う立場になる、立派なチャレンジドを目指していただきたいと思います。そして、健常者との共生社会をみんなでつくっていくことを私たちも努力をしていきたいと思っております。

最後に、この障害者制度改革に取り組む意気込みを細野大臣に伺って、私の質問を終わりたいと思います。

○国務大臣(細野豪志君) 非常に大事な御指摘を最後にいただいたと思っております。

私、学生のときに本当に短い期間だったんですけれども、障害を持っている方の外出のお手伝いをしていた時期がございまして、その方が非常にユニークで個性的で、前向きに人生を生きておられました。したがって、当時、私、二十歳前後だったんですけれども、非常にその方に触発をされて、自分も何かできるんじゃないかなと思ったのが実はこの世界に入るきっかけにもなりました。

そういった私なりの思いもございまして、この障害者基本法の中で書かれている一条の「目的」の規定というのは非常に大きな意味があるのではないかと思っております。全ての国民が、障害の有無にかかわらず、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会と、これこそまさに我々が目指すべき社会ではないかというふうに思いますので、これから数年、具体的な様々な制度が議論されることになるわけですが、その議論の中でこうした社会の実現に向けて努力をしていきたいと思っております。

御指摘ありがとうございました。

○衛藤晟一君 今、山東先生のお話をお聞きさせていただいていまして、実は私、数年前に、名古屋のある有名な福祉をやられている方とずっとお話をしていましたら、その中で、障害があろうがなかろうが、みんなお互いにすばらしい尊厳性を持った人間としての存在、それを認め合うことが福祉の原点じゃないでしょうかねなんというちょっと偉そうな話をしましたら、その方から、実は日本社会は、元々は、もっともっと日本人というのは優しくて積極的だったんですよというお話をいただきました。

それはいろんな書物に、各県ごとに全部言い伝えとして残っているけれども、障害を持った人は、ただ同じすばらしい存在だというだけじゃなくて、もっとすばらしい存在なんだよ、言わば日本のほとんどの地域に、全ての県の中に実は障害を持った子というのは徳を持って生まれた子なんだという言い伝えがあって、地域と完全に一緒になって暮らしているんですよ、それが日本の昔の考え方だったんですよというお話をいただきまして、ああと思って目からうろこが落ちた次第でございます。

どんな意味で徳を持って生まれたのか分かりませんが、それは日本人の考え方の中に、やっぱり自分たちのいろんな大変なものを背負ってくれた、あるいはこの子を中心にして一生懸命暮らしていってみんなが仲よくやれる、だから福を持った子なんじゃないのかなということを言われていましたけれども、そんな気持ちがちゃんとなければ、あなた、福祉を余り議論しちゃいけませんよという意味のことを言われまして、本当にある意味では目からうろこが落ちたという感じでございました。

障害問題を扱っていましても、やはり身体の方々もおられますが、知的の方々もおられます、あるいは重心の方もおられます。私も重心の施設やそういう家庭にもう何度も行ってみましたけれども、やっぱり本当に、そういう中で、障害を持った子供たちが同じすばらしい人間としての存在なんだと、そしてある意味では、また彼らこそがむしろ徳を持った、福を持った子なんだという具合に思うというのは、実は正直言って言葉で言うのは、大変ですけれども、そのことを本当にああそうだなという具合に思うまでというのは相当なやっぱり時間が掛かります。私も障害問題を三十七、八年ぐらいずっとやらせていただいておりますので、そういうところをたくさん見させていただいておりますけれども、四年前にその方から、名古屋のある方からそういうことをお話をいただいて、改めて障害者問題に本当に頑張らなきゃいけないなと思って今やっているところでございます。

そういう中で、今回、やっと昨年の十二月に障害者自立支援法の改正案が成立をいたしました。当初のスタートは非常にばたばたスタートであっただけに問題点も幾つかありましたけれども、その問題はすぐ何とかみんなで解決しようということで取り組み、やっとこの見直しにこぎ着けたということについては私はよかったんじゃないのかなという具合に思っています。

私どもも自民党の中で、元々、平成七年にノーマライゼーション七か年戦略、障害者プランというのを作ったときに、実はこの基本をどう変えるかということについて、これまで言わば、一九八一年の国際障害者年においては完全参加と平等という形で、むしろかわいそうだから一生懸命頑張らなきゃいけないというような措置タイプの福祉から、完全参加と平等という形で、一緒に暮らしていくのが、元々障害者も健常者も一緒に暮らしていく社会が当たり前の社会じゃないのという問いかけが国際障害者年の中で起こってまいりました。その言葉が完全参加と平等という形で起きたわけでありますけれども、それを受けて、私ども自民党の部会の中で大変な議論をしまして、プラスそれに共生と自立という言葉をちゃんと入れて障害者問題をやるべきではないのかという結論に達して今に至っているわけであります。そういう状況の中でやっと障害者自立支援法の改正ができましたが、障害者基本法、これは五年ごと議員立法で改正しようという形で取り組んでまいりましたけれども、いろいろな状況があって、政権交代等の話もあってなかなか、二年、三年という具合に遅れてきたところでございます。

そういう中で、各党各会派で十分に議論を重ねて、今まで議員立法として改正を重ねてきたという経過がありますけれども、今回は閣法として改正案を提出がされるということになりました。どうしたんでしょうかということをお聞きしたいと思います。

まず、障がい者制度改革推進会議が昨年まとめた第二次意見につきまして、私の一番最初にぱっと見た印象をちょっと申し上げたいと思います。

いきなり権利条約という話が出てきまして、私どもは五年ごとの見直しという中でずっとやっておりましたから、新しい要素が加わったということは分かりますけれども、やっぱり権利の問題なのかなということを一つ思いました。それからもう一つは、身体に非常にウエートが置かれているなということを思いました。

今、障害全体として抱えている問題としては、先ほどお話もございましたけれども、障害と分かったときの療育の問題、この学校前に、入るときの問題というのはまだ、厚生省に文句言ってもしようがないかもしれませんけれども、体制は非常に遅れています。今、ですから、障害者自立支援法の中でも、我々はもっと相談業務やこの体制を一気に進めたいということでそういうことを持ってきたわけでありますけれども、少なくともこの療育体制というのは極めて遅れていますし、あるいは重度心身障害者、我々は地域で一緒に暮らせると言いましたけれども、重度心身障害者の方の多数にとっては、地域で一緒に暮らせる方もおられます、何とかできる人もおられますけれども、やっぱり施設が圧倒的に足りなくて、また入れない方がたくさんいらっしゃるというような状況で、重度心身障害者に対する対策というのはまだまだ遅れているという具合に思います。

あるいは、今もずっと議論になっておりましたけれども、精神障害の方々の対策は私は入口に立ったところだとしか思えないというように思っています。一刻も早く、本当に地域の中で一緒に暮らせる社会をつくらないといけないと。病院は、精神病院はそういう過程の中でやっと長期入院が大分、ずっと短くなってきて、しかしながら社会の受入れ体制がまだ整っていません。この体制を一刻も早くつくっていかなきゃいけないし、あるいは今度、発達障害の方々にとってみますと、まだ対応をどうしていいか分からないという、研究段階というのが正直な今の実態ではなかろうかという具合に思います。

発達障害の方々に聞いても、政治ですから具体的にどうやっていいかあなた方も言ってくださいよということを何度もお聞きしますが、百人百様ですという言葉が返ってきます。百人百様のことをお聞きしますけれども、実は百人百様では政策にならない。これ幾つかのパターンに分けて、そしてどうやっていけばいいのかということを詰めていかないと政策にならない、具体的な政治にならないというところでございまして、今この定義付けをめぐってもまだまだちゃんとしていないという状況の中で、専門家の方々を一刻も早く育てて、育ってもらって、そして私ども、これをやっぱり引っ張ってもらわなきゃいけないというようなところで、大きな課題はそういうところにたくさんあるわけでありますけれども、そのときに、この最初の意見は、今申し上げましたように、身体に非常にウエートが掛かっているな、精神やあるいは発達については余り意見が出なかったのかなというような感じを持ったわけであります。

そういう状況の中で、私どもは各党集まって議論をしてきました。そういう状況でございましたので、私はやっぱりこの推進会議の中においては、この知的障害あるいは発達障害、精神障害の場合は教育の問題とかなんとかならないかもしれませんけれども、そういう問題が必ずしも十分反映されていなかったんではないのかという感じを持っています。

それから、最初申し上げましたように、権利論が中心となって、社会全体でお互いを尊重し合って共生していく社会を目指すという理念が、途中から共生という理念が強く盛り込まれましたけれども、出てきましたけれども、やっぱりちょっと希薄だったんではないのかなという感じを持っていました。

さらに、やっぱり理念法の性格を持つわけでありますから、具体的なサービス、これ基本法ですから、具体的なサービスの給付につながるような個々の問題についてはこれは個別法でちゃんと対応すべきだし、あるいは財政問題ですね、自治体の体制に大きく影響するような問題でありますので、必ずしも基本法の中に余り具体的なものを盛り込むということについてはどうかということもありましたので、そういう状況の中で今回は議員立法にならなかったという経過がありますので、これについて、どうして議員立法にならなくて政府として提案したのかということについてお示しをいただきたいと思います。

○国務大臣(細野豪志君) 衛藤委員御指摘のとおり、これまではこの障害者基本法は議員立法で出され、そして改正もなされてきたというふうに承知をしております。今回、政府として提出に至りました経緯を説明をさせていただきたいと思います。

一昨年十二月以降、政府では、障害者に係る制度の集中的な改革を行うため、閣議決定により内閣に設置した障がい者制度改革推進本部の下で、障害当事者を中心とする障がい者制度改革推進会議を開催をしてまいりました。この会議では、昨年六月に障害者制度改革を進めるに当たっての基本的な考え方を第一次意見として取りまとめをいたしております。恐らく衛藤先生もそれは御覧になったのではないかというふうに思います。

この一次意見の中では、障害者基本法の改正法案については政府が提出すべきというふうになされておりまして、政府としてはこれを重く受け止めまして、最大限尊重する形で昨年六月に閣議決定を行い、そして本改正案について政府として責任を持って取り組んでいくとしたものでございます。

○衛藤晟一君 次に、発達障害についてお聞きをいたしたいと思います。

平成五年に精神障害というものを正式に福祉として取り扱おうということにしました。精神障害の問題は医療の問題から抜け出すことはできないという状況の中で、やっぱり福祉としてもちゃんとやっていこうじゃないかということを、やっと平成五年にこのことの確認をしてやったわけであります。そのころからも、言わば発達障害の問題もずっと議論をさせていただきました。

私どもの戦後の福祉政策の中での区分けは身体と精神という具合に分けてまいりました。福祉においては精神イコール精神薄弱イコール知的障害ということでございました。でも、今度、医療法の中においては、精神衛生福祉法とかそういう中においては、精神障害の中にこの精神病に起因するところのものと、それから発達障害も、要するにいろいろ入れてずっと来たわけでございます、知的障害も入ってきたわけでありますので、そういう状況の中で、この発達障害の位置付けというのが非常にはっきりしていないという状況でございます。

障害者自立支援法のときに、やっと精神障害の中に発達障害と、含むという具合に入れました。というのは、戦後のずっと流れの中で、各法律の体系立った整理が済んでいないという状況の中で括弧付けをしたんです。今回はやっぱり、障害者基本法のこの改正に当たっては、是非明確に、私は、身体それから知的、精神それから発達という具合に四つきれいに分けて、その対応について基本的にどうするかということをやるべきであるという具合に実は思っていました。が、なかなかここからまだ私どもの整理が終わっていない、国の整理が終わっていないという状況でございます。

この、これからどうするかということについて、この際、やっぱり関連法令も含めて本気で整理をしなければいけないときが来ているんではないのかと。

でないと、私はやっぱり、身体と知的は大体方策が見えてきましたけれども、まだまだこれから、今方策は見えたけれどもこれから実行しなければいけない精神や、あるいは、やっと入口に差しかかったところの発達というものについて対応が決まっていかないんではないのかという具合に思っています。ですから、この定義規定を早急に改正して体制を整えるべきではないのかというように思っていますが、それについて質問を申し上げます。

○大臣政務官(園田康博君) ありがとうございます。

衛藤先生におかれましては、今般のこの障害者基本法の議員修正という形の中で様々な形で御指導をいただいたことに心から本当に私も感謝を申し上げたいと存じます。また、これまで、私も一議員の中においては衛藤先生から大変御指導をいただいたことに改めて感謝を申し上げたいというふうに思っております。

その上で、先ほど自民党の中での様々な御議論の経緯、経過、そして歴史的なものも含めて教えていただいたところでございます。そういった面では、御案内のとおり、これまでの発達障害におきましてはやはり精神障害の中に位置付けられている。これは現行の、改正前の基本法の中の位置付けでございましたし、また先ほどちょっと議論がありましたけれども、やはり発達障害者の支援法ができた当初からも、まだまだ私は、この分野における研究であるとか、あるいは治療であるとか早期発見、それに対する対応策、自治体の面も含めて国の政策としてもまだまだ不十分であるという意識を持たせていただいております。そういった面では、当然、私どもも政府の中で、これは直接的な所管は厚生労働省でございますので、厚生労働省とも相談をして更に知見を集めて検討をしてまいりたいというふうに思っております。

同時に、先ほど来先生からも御指摘がありましたように、議員立法でこの基本法ができてきたという経緯がございます。やはり議員の皆さん方、国会の中での議論というものは大変私は大切な、党派を超えて議論をなされてきたという経緯もございますので、やはり発達障害者支援法も議員立法でできた経緯がございます。是非国会の中でも御指導をいただければというふうに考えておるところでございます。

○衛藤晟一君 この度の障害者基本法の改正では、障害者政策委員会は非常に、実施状況を監視したり、あるいは勧告をしたりというようなことになっているわけでございます。また、そういう意味では、この障害者政策委員会は審議会として公平中立的な議論を行う必要があるという具合に思っているわけであります。

しかしながら、現在の障がい者制度改革推進会議、大変活発な意見が行われているわけではございますけれども、そしてまた大勢の障害者関係団体の方々も入っておられるわけでありますけれども、いま一つ発達障害者関係とか、あるいは福祉サービス事業の提供者というものが入っていません。これはやっぱり一つの問題じゃないのかなというふうに思っています。また、実際の福祉行政を担う地方公共団体の関係者がもうちょっと入っていただかなきゃいけないんじゃないのかなという具合に思いますので、この障害者政策委員会の立ち上げに当たっては、是非そういう点を考慮しながら構成すべきであるという具合に考えています。

また、この度の政府提出の法案は、与野党による大幅な議員修正を経てまとめられたという経過も、今お話ありましたように経過もございます。そういうことを踏まえますと、新たに設けられる障害者政策委員会の人選や構成につきましても、党派に偏らず公平公正で中立的な立場でもってちゃんとやるべきであるという具合に思いますので、それについて政府の見解を問います。よろしくお願いします。

○大臣政務官(園田康博君) 御指摘のとおり障害者政策について調査審議を行うに当たりましては、やはり障害当事者の委員については様々な障害種別に配慮した構成というものが求められるものであろうというふうに思っております。そして、その他の委員についても、地方公共団体関係者や障害者の生活の様々な場面にかかわる事業者等、やはりいろんな立場の方々に入っていただいて構成をされる、そしてまた、公平中立な、これは国連権利条約からも要請をされておりますけれども、国内のこの施策をしっかりと進めていく公正中立な監視機関というものが求められるわけでございますので、先生の御指摘を踏まえて、また政府の中でも十分に考慮させていただいて、最終的には任命権者である内閣総理大臣の判断という形になるというふうに考えております。

○衛藤晟一君 ちょっと最後に要望だけ。

これまでの障害者の芸術文化振興施策というのは、例えば障害者が美術館に行くときに入館料を減免するとか、障害者が文化を受ける立場としてということは大変多かったわけであります。それも、私どももいろいろ映画とか何かそういうことをずっとやったりしながらやっているわけでありますけれども、そういうものと同時に、今は障害者が文化の担い手として広く活動いたしています。例えば日本のアールブリュット作品は国際的にも高い評価をフランス等で大変いただいているわけでありまして、さらに、そういう意味では障害者の文化芸術活動を振興していく必要があるという具合に思います。今後、厚生労働省そして文科省は、是非そういうところに配慮していただきたいという具合に思います。

これ、作家が障害者であるということから、芸術作品を生み出す土壌となっている作家やそして家族や施設に対する支援というものが不可欠になってくるとともに、民間のいろんな取組に学びながらもこの作家活動が行われるため、この芸術活動について、やっぱり文科省の方も文化政策の中でその意義や価値をしっかり認めていってもらわなきゃいけないというように思っております。

そういう意味で、厚労省そして文科省共に、是非バックアップをお願いしたいというように思っております。もうこれは時間が過ぎましたので、要望に代えさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

○谷合正明君 公明党の谷合です。

まず、障害者施策の憲法と位置付けられますこの障害者基本法の改正につきまして、長時間議論を尽くされてこられました障害を持つ当事者の皆様、また法案の修正提案者、そして関係各位の皆様に敬意を表したいと思っております。

その上で、まず質問に移らせていただきますけれども、今回の東日本大震災におきまして、高齢者、障害者の所在把握が個人情報の保護の観点からなかなか進んできませんでした。消防庁や内閣府が要援護者名簿の作成や共有方法を周知しておりますけれども、これを更に進めて今回のような災害時に早期に対応すべきではないかと思いますが、消防庁の答弁を求めます。

○政府参考人(原正之君) 災害時の要援護者対策につきましては、あらかじめ市区町村とコミュニティーが一体となって避難支援体制を確立しておくことが重要であると考えております。

このため消防庁では、内閣府を中心に取りまとめましたガイドラインを参考にしまして、要援護者の対象範囲や対策の取組方針を示した全体計画、また要援護者名簿や個別計画を整備するように市区町村に要請をしているところであります。

平成二十三年四月一日時点において、東日本大震災の被災地の一部を除いて調査した結果、要援護者名簿を整備済みと回答した市区町村の割合は五二・六%、さらに整備中を含めますと九四・一%となりまして、前年度、一年前から比較して五・九ポイント増加をしております。また、その要援護者名簿を整備済みと回答した市区町村では、九一・四%の団体が民生委員あるいは自主防災組織等に名簿を提供するなどして情報共有すると回答しております。

私どもとして、こうした動きを加速化するために、関係省庁と連携して先進的な事例の周知などを図ることによりまして、要援護者名簿の整備、それらの情報の共有といった市区町村の要援護者対策を更に支援してまいりたいと考えております。

○谷合正明君 要援護者名簿の対象範囲につきまして質問いたしますが、要援護者名簿の登録要件を緩和し、重度障害者のみでなくて、避難所では暮らしにくいという軽度発達障害者も対象にすべきではないかと思いますけれども、その点はいかがでございますでしょうか。

○大臣政務官(阿久津幸彦君) 障害者や高齢者などの災害時要援護者の避難支援に当たって、あらかじめ要援護者名簿の整備をしておくことは防災の観点からも極めて重要と考えております。

災害時要援護者の避難支援ガイドラインでは、市区町村において要援護者名簿の対象者の範囲の考え方を明確にし、避難行動要援護者や被災リスクの高い者を重点的、優先的に進めることとされております。

ガイドラインでは、対象者の例として身体障害一、二級、知的障害療育手帳Aなどを示しておりますが、これはあくまで参考事例であり、登録要件を限定しているものではなく、各市町村において地域の実情に応じて対象者の範囲を明らかにすることが望ましいと考えております。

国としても、地方公共団体における上記以外の取組事例を紹介するなどして、その促進に努めているところであります。

○谷合正明君 是非推進をしていただきたいと思っておるんですが、実際に家族の方の本当に悲痛な叫びというものをたくさん聞いてまいりましたので、よろしくお願いいたします。

それでは、第三条に、可能な限り、地域社会においてほかの人々と共生することを妨げられないとありますが、二十四時間の介護が必要な障害者の場合、現状ではほとんどの市町村で必要な介護制度が提供されておらず、地域で暮らすことが困難な状況にあります。どんなに障害が重くても地域で自立して暮らせるよう、国、地方公共団体が具体的な施策を講じるべきと考えますが、いかがでございますでしょうか。

○政府参考人(木倉敬之君) お答え申し上げます。

先生御指摘のように、重い障害がありましても地域で安心して生活ができるようにその地域のサービス基盤の整備を進めると、これは重要な課題であるというふうに認識しております。このために、これまでも都道府県、市町村におきましては、これまでの自立支援法に基づきましても、地域のニーズの調査それから当事者の御意見を踏まえまして、その地域地域で自治体ごとの必要なサービスの量を定めていくという障害福祉計画を策定をいただきまして、その基盤整備を進めていただいておるところでもございます。

これを支援していく中で、例えば今年度の予算におきましても、障害者の地域移行・地域生活支援のための緊急体制整備事業という百億円の中でこれを計上いたしまして、地域生活のために必要となります住まいの場、その重点的整備、グループホーム、ケアホーム等の整備量も自治体では具体的に挙げておられます。これを達成するための整備を支援をする、あるいは今先生御指摘のように、夜間も含めました緊急時の対応ということが非常に大事でございます、あるいは緊急一時的な宿泊等の場も必要であろうというふうに考えております。これらを総合的に進めるような地域づくりの体制づくりを支援をしていくこととしております。

また、昨年の十二月に議員立法で成立をさせていただきました現行自立支援法の改正案におきましても、グループホームを利用する場合の家賃補助、こういうものを盛り込んでもいただきました。それから、そういう住まいとともに、地域で暮らすために一番大事な相談支援体制、そういうものの強化ということも盛り込んでいただいたところでございます。

厚生労働省といたしましては、このようなこれまでの施策、あるいは今回の基本法改正の理念をしっかり踏まえまして、重い障害のある方でも地域で安心して生活できる体制づくりを引き続き努力してまいりたいというふうに考えております。

○谷合正明君 次に、この基本法には選挙における配慮というものが盛り込まれております。

私は、この選挙に関して実は内閣委員会で何回か取り上げてきたテーマがありまして、それは公職選挙法と後見制度の問題でございまして、ちょうど一昨日も内閣委員会で成年後見制度を、後見類型に入ると公職選挙法の第十一条で選挙権及び被選挙権を有しないということの欠格条項に当たりまして、選挙権がなくなるわけですね。この点について法務省に質問したら、それを欠格条項として維持するのかどうか、どういう趣旨で欠格条項とする必要があるのかというのは、それぞれの法律を所管する省庁において責任を持って判断されると。

公職選挙法を所管する総務省として、この欠格条項を維持する必要があるのか、また今後も維持するのか、この点について答弁をお願いします。

○副大臣(鈴木克昌君) 御答弁させていただきます。

今議員おっしゃったように、公選法第十一条は、成年後見人について選挙権及び被選挙権を有しないとされておるところであります。

これは、以前は、繰り返しになりますけれども、民法改正以前、平成十一年でありますけれども、禁治産者についてはその要件が心神喪失の常況にある者であるから、行政上の行為をほとんど期待できないため、選挙権及び被選挙権を有しないこととされておりました。

平成十一年の民法改正により、禁治産者は成年被後見人と呼称が変わり、その定義は、心神喪失の常況にある者から、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者に改められたわけであります。その対象者は一致するものでありまして、選挙時に個別に能力を審査することも困難でありますので、従前の禁治産者同様、選挙権及び被選挙権を認めないこととされたものであります。

現行制度については一定の合理性があるものと考えておりますが、現在、成年後見人制度を利用することで選挙権を失うのは違憲だとして、選挙権があることの確認を求める訴訟が三件提起をされているところでもあり、総務省といたしましては、これらの訴訟の動向について注視しつつ、必要に応じて適切に対処してまいりたい、このように考えております。

○谷合正明君 これまでですと、事理弁識能力を欠く常況、常の状況にある者というのは当然投票できない、だから欠格条項として残ってもこれは仕方ないんだみたいなトーンだったと思うんですが、私が聞いているのは、なぜ欠格条項として残す必要があるのかと。選挙に行けないんであればそれは行けないでいいじゃないかと、なぜそれをわざわざ国民の選挙権という基本的な権利であるものを制限する必要があるのかというところでございまして、その明確な立法趣旨というのは今日まで示されてきておりません。そういうことを考えますと、私は、この公職選挙法の第十一条の一の成年被後見人のこの欠格条項というのはなくすべきであると考えます。

そこで、細野大臣にお伺いしますけれども、障害者基本法の理念、それは、障害者に対して、障害を理由として差別することそのほか権利利益を侵害する行為を禁止する観点から、社会的障壁の除去について必要かつ合理的な配慮がなされなければならないということに私は反していると、今の状況というのは反していると思っております。

まず、このように選挙権除外されていたことを御存じであったのか、また除外されていることに対してどう思われるのか、そして今後は人権の観点から改善すべきではないかといった点について御所見を伺いたいと思います。

○国務大臣(細野豪志君) 知っていたかどうかということについてなんですけれども、知的な障害を持っておられる方で投票しておられる方は私の周りにもたくさんおられたので、ちょっと整理ができていませんでした。どういう方ができていてどういう方ができていないのか、今回この法律を見て、そして御質問いただくということで勉強させていただいて、そこで明確に自分の頭の整理ができたということでございましたので、何らかのそこで線が引かれているというのは存じ上げておりましたけれども、はっきり認識したのは今回ということでございました。

問題は、必要かつ合理的な配慮、これが内容ということになろうかと思うんですけれども、まずは障がい者制度改革推進会議の差別禁止部会、ここはもう当事者の皆さんも入っておられますので、そこで御議論いただくことが必要ではないかというふうに思います。そういった中での御意見を踏まえて、あとは選挙制度の在り方に関する議論ですので、もちろん総務省も所管をしておりますが、何より議会の政治そのものにかかわる各党各会派の議論ということになろうと思うんですね。ですから、まずはこの差別禁止部会の方で様々なそういったことについての御意見をいただいて、それを踏まえて議会として判断をするということであれば、議会としてのアクションということも場合によっては期待をされるところなのではないかというふうに思います。

若干ちょっと奥歯に物挟まったような言い方で恐縮ですが、谷合委員のおっしゃっている問題意識は非常に重いものというふうに受け止めさせていただいております。

○谷合正明君 枝野官房長官も、直感的に変えられる余地があるんではないかと思ったと答弁されてはいるんですが、しかし、これは一段時限の超えたところでの検討が必要だとも言われておりまして、私もその辺は重々承知した上で質問させていただきますが、当然立法府としてこれはやらなきゃいけない課題だと思っておりますが、しかし、だからといってこの状況をそのまま放置していいというふうな政府の判断にはならないとも思っております。ですから、この点を改めて今日の質疑でも取り上げさせていただきました。

ちょっと時間がもう中途半端でございますので、今日はそのことの思いを述べさせていただきまして、私の質問とさせていただきます。

どうもありがとうございます。

○桜内文城君 みんなの党の桜内文城です。

この障害者基本法でありますけれども、この一条の「目的」規定にありますように、「全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有する個人として尊重される」、これは大変に重要な理念だと私も考えております。

今日は、そういった大前提がございますけれども、この法案として、法律論として、今回の法案について修正部分も含めて質疑をさせていただきたいと考えております。

まず最初に、せっかく提案者の方にも来ていただいていますので、修正部分の方から質疑に入らせていただきます。

二点ございまして、まず一つ目ですけれども、今回、二十三条の二項として「相談等」について、国及び地方公共団体が障害者及びその家族その他の関係者からの各種の相談に総合的に応ずることができるようにするということで、家族の支援体制を国又は地方公共団体が取るようにとの規定が盛り込まれました。確かに、障害者の御家族の方々、日ごろから大変な御苦労もされていらっしゃいますし、国としてきちんとそういった御苦労に報いていくといいますか、国としても支援していくというのは大変重要なことだと思うんですが、ただ、こうやって法律として、家族という、ちょっと定義がどこまでを含むのかというのもあるんですけれども、余りにも広がり過ぎるおそれがあるんではないのかと。

もちろん非常に重要な部分で、修正されたのは敬意を表したいと思うんですけれども、そういった国なり地方公共団体の負担という面からどこまでこれが広がっていくものなのか、そういった広がり過ぎる懸念はないのか、ここについてまずお尋ねいたします。

○衆議院議員(高木美智代君) 桜内委員にお答えをいたします。

ただいまお話ございましたとおり、障害者の自立及び社会参加を実現するためには、障害者本人に対する直接的な支援のみならず、障害者の生活に重要な役割を持つ御家族、また障害者の日常生活、社会生活にかかわっておられる関係者に対する支援を行うことも重要であると考えております。

政府の原案におきましても、第二十三条のこの「相談等」に関する規定を改正をしまして、第一項におきましては、「国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者に対する相談業務、成年後見制度その他の障害者の権利利益の保護等のための施策」云々と、時間のために割愛させていただきますが、このように規定をされております。

衆議院における私どもの修正によりまして、第二十三条に第二項を追加することとしたところでございます。家族その他の関係者、支援の重要性に鑑みれば過重な負担とは考えていないということが一つ。

ただいま御指摘ありましたように、家族の範囲につきましてということにつきましては、この法律は基本法でもありますので一律に線を引いてはいませんが、支援を必要とする方々に対して適切な支援がなされるよう、国及び地方公共団体におきまして適切な運用がなされるものと認識をしております。

有機的な連携、そしてまた家族に対するピアサポート、そしてまたそれを支える団体、社会福祉法人等の多くの方たちのお力をお借りしながら、一歩前進をさせていきたいと考えております。

○桜内文城君 ありがとうございます。

二点目についてお伺いいたします。

附則の二条二項で、「国は、障害者が地域社会において必要な支援を受けながら自立した生活を営むことができるようにするため、」というふうなくだりがございます。ここが修正で追加になったところなんですが、具体的にどういった意味なんですかと内閣府の方に尋ねましたところ、基本的には、精神障害者の方々がなかなか外に出られないケースとか、そういったことがあるのを改善したいということだとお伺いしました。それはそれで確かに、特に基本的人権という観点でいえば重要なことだとも思うんですが、先ほど自民党の山東議員からの御指摘にもありましたとおり、精神障害といいますか、精神異常によって犯罪も幾つか、こうやって重大な犯罪が起こったりしているところでもありまして、そういった犯罪予防的な観点からこの規定についてどのように考えればよろしいのか、お考えをお聞かせください。

○衆議院議員(高木美智代君) お答えをさせていただきます。

この附則第二条第二項につきましては、国に対し、障害者が自立した生活を営むことができるようにするため、障害に応じた施策の実施状況を踏まえまして、保健と医療と福祉の連携の確保、その他障害者に対する支援体制の在り方につきまして検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることを求めるものでございます。

委員御指摘の精神障害者の問題につきましては、受入先がない等の社会的な要因によりまして、入院による治療の必要性がないにもかかわらず引き続き入院生活を送ることを余儀なくされる、いわゆる社会的入院の問題等について検討し、そうした方々の地域生活への移行を進めることが想定されております。入院による治療が必要な方の入院まで否定するものではありません。

ただいま、また委員から犯罪というお話がありました。実は、今犯罪によりまして検挙されている人員のうち、精神障害者の占める割合は〇・六%でございます。また、精神障害者は今我が国では二百五十八万四千人、ですから、一億二千万人の人口のうち約二百六十万人というこの比率から見ますと、果たしてこの〇・六%が高いのかどうなのか。私は、こうした多くの誤解があることから、改めてこの数字に基づきまして考えていかなければならないと思っております。

ちなみに、私がお会いする精神障害者の方たち、本来であれば地域で暮らせる、しかし地域で支える保健や医療や福祉の連携がないということから、余儀なくこの社会的入院をされているという方も多くいらっしゃいますし、またその中には大変心優しい、また傷つきやすい、そういう方が多いということも、これは私の率直な実感として受けております。

以上でございます。

○桜内文城君 ありがとうございました。

修正部分については以上でございますので、御退席いただいて結構でございます。

さて、いよいよ政府の提案の部分に参りますけれども、まず今回のこの障害者基本法の全体のトーンといいますか、色彩の面で私が感じるところについてお尋ねいたします。

といいますのも、基本的には、障害者権利条約の批准に向けて国内法を整備するということで今回この法案が提出されてきたことだと理解しておりますけれども、今回これを機に、障害者権利条約ですとかあるいは関連する国連の関係の条約等々、私も、大変たくさんあるんですが勉強させていただきました。もちろん、条約ですので締約国の政府に対する義務を課すというのが基本ではありますけれども、今回のこの障害者基本法、全体のトーンとして私が感じましたのは、障害者権利条約に上乗せしている部分が相当にあるんではないかなというふうに感じております。

その上乗せの部分とは一体何かと申しますと、従来の改正前の障害者基本法ですけれども、一条の「目的」にもあったんですが、「障害者の福祉を増進する」ということが重要な目的として挙げられておったわけですけれども、今回の改正案ではその「福祉」という文言が一切取り去られております。

憲法上の基本的人権という考え方からしますと、福祉というのは国家に対する権利、社会権等を意味するものと思われるんですけれども、今回の法案では共生する社会ということが強調されておりまして、むしろ差別禁止条項と相まって一般私人に対して新たな義務といいますか、合理的配慮という言い方はされておりますけれども、そのような色彩が結構強いんじゃないのかなというふうに感じておるところでございます。

特に障害者権利条約の方では、差別されない、障害者が差別されない、障害を理由として差別されないと、権利を有すると、そういう言い方になっておりまして、ところが、これは別に今回の改正法じゃないんですけれども、四条一項では「何人も」ということで、一般私人に対して差別してはならないというふうな書きぶりになっております。

もちろん差別というのは世の中にあっちゃいけないことですのでそのとおりなんですけれども、やはりこうやって国会でもって法律にしていくという事項と、それから各人の心の中の倫理観に委ねるべき事項というものもあろうかと思うんですけれども、このように法律にしてしまいますと、特に共生という言葉でもって一般私人に対して差別禁止ということを余りに強く言い過ぎると、今度は他者の基本的人権ですね、例えば私人間の経済的活動の自由ですとか政治的活動の自由、合理的配慮という言い方がされておりますけれども、これを少なからず侵害するおそれというのもあるんではないかと考えております。

そういった点で、提案者について、トーンとして、言わばイギリス等にあります差別禁止法とかそっちにやや近いのではないかというふうに考えておるんですけれども、私人間の他者の権利を制限するんではないかということについてどのようにお考えなのか、整理されているのか、お聞きいたします。

○国務大臣(細野豪志君) 今、桜内議員の方から指摘された一条の部分なんですけれども、これは障害者の福祉というものをここで言葉として使わないということを言っているわけではなくて、他の法律はたくさん残っていますので、その理念は残しつつ、その具体的なありようとして共生社会というのを一条でこれは大きく打ち出しているということでございまして、この法律の改正自体は障害者ではない方々の個人の権利を制約をするという趣旨ではないというふうに考えております。

恐らく、そういった私人間の権利の問題が出てき得るとすれば、果たして四条二項で言っている合理的配慮とは何なのかという具体的な中身に入ってくると思われます。その際は、当然政府は最大限の配慮をするべきですし、公的な主体というのは当然配慮が行き届くものになるべきだと思うんですね。

問題は、私人の場合にどの程度の配慮をどういった形で考えるのかと、その部分に恐らくなると思うんですが、そこは現在、障がい者制度改革推進会議の差別禁止部会において、具体的な禁止をされる差別というものがどういったもので、どういった法制にしていくのかという議論が行われるという形になっておりまして、そこでの整理の中で、御指摘のような障害者以外の個人の権利とのバランスを配慮するということにしなければならないと思っております。

○桜内文城君 時間がないのでちょっとはしょりまして、最後、ちょっと細かい法律上のことについてお尋ねいたします。

二条の二号、「社会的障壁」の中に「観念」という文言が含まれております。一方で、今回の四条二項で「社会的障壁の除去」ということが、国、特に国だと思うんですけれども、に対してやらなければいけないということになっておりまして、素直にこれ解釈していけば、良くない観念を社会的障壁と認めてこれを除去しろというふうに国に命ずるような立て付けになっておりまして、憲法十九条の思想、良心の自由というものについてどうなんだろうと。もちろん、これは法制局で議論した上でお出しになっている法律なので、そこのところはしっかりと整理もされていると思うんですけれども、今言ったような点について最後お尋ねして、質問を終わります。

○国務大臣(細野豪志君) 憲法十九条で言う思想、良心の自由というのは、いかなる思想を抱こうとも、これは内心の領域にとどまる限りは絶対の自由という、そういう形のものでございますので、そこに国家権力が介入をするということはあってはならないというふうに考えます。これは当然のことであります。

御指摘の改正法の二条の二号に規定をされております「観念」なんですけれども、これは社会一般における障害者に対する差別的な意識などを想定をしておりまして、そうした障害者に対する差別的な意識や考え方が態度や言動といった具体的な形で表面化して初めてその観念というのは存在が明らかになるものでございまして、御指摘のような内面に介入をする規定というふうにはとらえておりません。

むしろ、四条二項で、障害者に対する差別的な態度や言動といった行為の原因となり得るような意識や考え方について、例えば政府の広報や啓発活動を通じてできる限りそういったものをなくしていく努力をするということでございますので、そういった観点での努力というのが政府としては求められるということでございます。

○桜内文城君 終わります。ありがとうございました。

○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。

まず、法案の中の「可能な限り」という文言についてでありますが、衆議院におきましては、質疑が行われた法案中にある「可能な限り」という文言についていろいろ出てまいりました。本法案には「可能な限り」という言葉が、政府原案において五か所、そして衆議院の修正において一か所、合計六か所出てまいりますが、障害者基本法はその名のとおり基本法であるわけですから、国の制度そして政策等の基本方針を示すものであり、通常、国民の具体的な権利義務に関する規定を設けないものであるというふうに考えるわけですが、本法案におきまして、第一条の「目的」に「全ての国民が、障害の有無によつて分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現する」ことを追加していますが、「可能な限り」という文言を入れることにより共生社会の実現に支障を来すことが懸念されるわけであります。

そこで、各条ごとに御説明いただきたいのですが、時間の関係もありますので、政府に対しては三条の二号、「全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと。」について、それから、修正案提出者については第十六条の二項についてお伺いをしたいと思います。

○委員長(松井孝治君) それでは、最初に内閣府村木政策統括官。

○政府参考人(村木厚子君) まず、私の方から改正法案の第三条の第二号についてお答えを申し上げます。

どこで誰と生活をするかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生ができるということは大変重要な課題というふうに認識をし、この新たな改正基本法に定めたところでございます。

御指摘の「可能な限り」という文言については、例えば障害が重度であって、必要な設備の整った施設で適切な医療的ケアを受けなければならない方々等は、必ずしもどこで誰と生活するかについて完全な選択の機会が確保できないということもあり得るといったようなことを勘案をいたしまして、このような規定としたところでございます。この条文の考え方に従って、できる限りこういう機会が確保をされるように努力をしていきたいと考えているところでございます。

○委員長(松井孝治君) 次に、修正案提案者は衆議院議員高木美智代君。

○衆議院議員(高木美智代君) 糸数委員にお答えいたします。

障害者である児童及び生徒がその成長過程におきまして適切な教育を受けられるようにすることは、障害者基本法の趣旨に鑑みて極めて重要でございます。この点、障害の状態は一人一人異なるものであり、教育に関しては、それぞれの子供の幸福を目的としてきめ細かい配慮をし、十分な情報の提供を行うとともに、本人等の意向を尊重する必要があります。

したがいまして、今回新たに第十六条に第二項を設ける修正を加えることといたしました。教育現場における体制は更に整備されるものであると考えますが、一朝一夕に実現できるものでもありません。修正におきましては、この点に配慮しつつも、国及び地方公共団体は可能な限り尊重しなければならないこととしたところでございます。

○糸数慶子君 改正案は、障害者の基本的人権を明記し、共生社会を実現する目的にするなどの点では現行法を前進させるものとなっていますが、この「可能な限り」という条項があるために、行政側が介助を必要とする障害者の地域生活を十分保障しない、その免罪符になるのではないかというふうなことを危惧しているわけです。障害者の基本的人権保障に制限を付けることのないように強く要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。

東日本大震災において多くの障害のある方々が犠牲となったと聞いています。政府として、亡くなられた方のうち障害のある方の数を把握されていないというふうに承知しておりますが、例えば障害福祉サービスを利用されている方の人的被害はどうなっているのか、厚労省にお伺いしたいと思います。

○政府参考人(木倉敬之君) お答え申し上げます。

東日本大震災により被災をされました障害福祉施設、これは入所の施設あるいは通所等の施設も含めてでございますが、三県から随時報告を受けておりますけれども、現在の直近の報告の中身といたしましては、全壊になった施設が四十三か所、半壊、一部損壊の施設がちょうど二百か所というふうなところでございます。

このような施設とか通所サービス等を受けておられました利用者の方々の状況でございますが、三県で把握できておりますところでは、御利用者のうちで二十七名の方がお亡くなりになっておられる、それから行方不明の方が二十二名おられるというふうな状況というふうに承知をしております。

○糸数慶子君 大震災で亡くなられた方々に障害者の方々の比率が高いというデータ、これ新聞などにも出ておりますけれども、政府としても、是非とも市町村と協力してデータを集めて施策に生かしていただくことを要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。

災害発生時における情報伝達に対する配慮規定の方でありますが、本法案の第二十二条二項に関して、災害の発生時におきまして情報伝達に関する配慮規定を追加するとしておりますけど、東日本大震災の発生した三月十一日の午前に開かれた障がい者制度改革推進本部で決定された案においてこれは既に盛り込まれておりまして、東日本大震災を受けての規定ではないというふうに考えますが、同規定の追加の趣旨についてお伺いをしたいと思います。

○国務大臣(細野豪志君) 災害時などにおきましては、生命、身体等の安全にかかわる情報の伝達が特に重要でございます。障害者の皆さんの中でも特に視聴覚障害等の方は、その障害の特性から、情報取得であるとかコミュニケーションが困難な状況になることから、その支援についてはやはり特段の配慮が必要であると認識しております。

政府案の第二十二条の第二項で、障害者のそれぞれの特性に応じた伝達手段を確保するという観点から、災害その他非常の事態において障害者に対しその安全を確保するための必要な情報が迅速かつ的確に伝達されるよう必要な施策を講ずる旨、これを新たに規定をしたものでございます。

○糸数慶子君 次に、衆議院の修正によりますと、第二十六条に防犯及び防災に関する規定が新設されておりますが、この規定を新設した趣旨について修正案提出者にお伺いをしたいと思います。同規定の新設を受けて、また政府としてどのような施策を講じるのか、お伺いいたします。

○衆議院議員(高木美智代君) それでは、まず趣旨につきまして申し上げさせていただきます。

御存じのとおり、障害者は、災害や犯罪に巻き込まれた際に情報の伝達不足や移動が困難であるなどの理由によりましてその被害が深刻化する傾向にあり、より一層手厚い対策や支援を必要とする場合が多いと考えられます。

そこで、本修正案におきまして防災及び防犯に関する規定を新設し、障害者が地域において安全に安心に生活を営むことができるよう、障害者の性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じて防災及び防犯に係る施策を講ずることを国や地方公共団体に義務付けることとしたところでございます。

今般の東日本大震災では、先ほど来お話ございますとおり、被災した障害者が周囲に障害を理解されずに避難所で孤立をしたり、安否確認が遅れ支援が十分に行き届かなかったりするなど、様々な課題が浮き彫りになったと認識をしております。

今後は、こうした東日本大震災における教訓等を踏まえ、本規定に基づき、障害者に対する防災、防犯に関する普及啓発、また非常用電源等の確保、災害等の非常事態を想定した支援体制の整備などが促進されることを期待をしております。例えば、要援護者名簿も市町村によっては重度の障害者しか登録できないというところもあります。この要件の緩和、また福祉避難所の不足に対する対応、在宅避難者の孤立に対する対応等々、多くの改善策をこれから求めてまいりたいと思っております。

○糸数慶子君 この障害者基本法が、性別そして年齢、障害の状態にかかわりなく、支援を必要とする全ての障害者に適切に医療そして介護、保健、あるいは生活支援等のサービスを受けられるよう、選択可能で普遍的な基本法となっていくよう強く要望するわけですが、本法案が衆議院において修正されて、そして現在こういう状況で今議論がされております。このことに対する感想と、この法案への思い、そして障害者施策、共生社会の政策に推進するために、細野大臣の御決意をお伺いいたします。

○国務大臣(細野豪志君) この障害者基本法の改正というのは、障害を持っている当事者の皆さんや御家族やそういうお仕事をされている皆さん、そういった方々にかかわるお仕事をされている皆さん、関係者の皆さんの声を受け止めてこれまで議論が行われてきたというふうに承知をしております。また、立法府におられる本当に多くの皆さんも修正作業ということでかかわられておられますので、皆さんの思いも非常にしっかり受け止めていかなければならないと考えております。

まだまだ障害者権利条約の具体的な手続に入るまでには課題も残っておりますし、この数年が集中的に取り組まなければならない期間ということになろうかと思いますので、そうした全ての関係者の皆さんの思いをしっかり受け止めて、引き続いて皆さんの声を聞きながらこの政策の推進にしっかり努めてまいりたいと考えております。

○糸数慶子君 ありがとうございました。

本日、多くの障害を持っていらっしゃる方、関係者の方、傍聴していらっしゃいます。是非ともこの法案がしっかりと成立をして、全ての人々に本当に基本的な人権がきちんと守られるような、そういう障害者基本法になっていくよう強く期待をいたしまして、終わりたいと思います。

ありがとうございました。

○委員長(松井孝治君) この際、お諮りいたします。

委員外議員田村智子君及び福島みずほ君から障害者基本法の一部を改正する法律案についての質疑のため発言を求められておりますので、これを許可することに御異議ございませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(松井孝治君) 御異議ないと認めます。

それでは、まず田村君に発言を許します。田村智子君。

○委員以外の議員(田村智子君) 委員外発言を御了解いただき、本当にありがとうございます。日本共産党の田村智子です。

障害者基本法の改正は、障害者を権利の主体として施策を前進させる一歩であると考えますが、障がい者制度改革推進会議での議論の途上で閣議決定の日程が優先されてしまった、これは大変遺憾です。当事者参加が大原則であると、この姿勢が政府に貫かれるよう、まず求めるものです。

第二条の障害者の定義についてお聞きをいたします。

「障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」、この法文について、例えば難病による心身機能障害も含まれる、断続的なもの、周期的なものも含んで幅広くとらえるものと、これまでの審議の中ではっきりとした答弁がありました。

それでは、今後制定される障害者総合福祉法、当然、改正される基本法の定義、そしてこの国会での答弁を踏まえたものとなると考えますが、厚労省、いかがでしょうか。

○政府参考人(木倉敬之君) お答え申し上げます。

昨年の六月に閣議決定をされております「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」の中におきましても、この新しい障害者総合福祉法におきましては、制度の谷間のない支援の提供、個々のニーズに基づいた地域生活支援体系の整備等を検討するということとされております。

それで、この具体的中身につきましては、現在、推進会議の下の総合福祉部会において、この障害の範囲、対象者についても御議論いただいております。この八月には御提言をいただけるというふうに伺っております。今回の基本法の改正の趣旨、これも踏まえて総合福祉部会において御議論がいただけるものというふうに承知しております。

○委員以外の議員(田村智子君) 内閣委員会での答弁では、断続的なもの、周期的なものを含むとはっきりとした答弁がありますので、これが基本法の法文の解釈であると、この理解で是非施策を進めていただきたいと思います。

続いて、第四条にかかわってお聞きをいたします。

改正案では、障害者に対する差別を禁止した現行四条に第二項を加えて、社会的障壁の除去を怠ることが差別禁止条項に違反すると明記がされました。また、この社会的障壁の除去に当たっては、合理的な配慮を行う義務が明記をされました。

この義務は誰に課せられるものなのか。この中には国や公共団体が含まれるのか。また、「合理的な配慮」という文言は障害者の権利条約にある合理的配慮の定義や解釈を踏まえて解釈されるべきだと考えますが、この点についていかがでしょうか。

○国務大臣(細野豪志君) 田村委員御指摘のとおり、今回の改正案では、合理的配慮をしないことが差別であるという障害者権利条約の趣旨を踏まえて、この第四条二項において御指摘のような規定が設けられております。したがいまして、必要かつ合理的な配慮がなされなければならない旨のこの規定というのは、まさに条約の趣旨が法文上反映をされたものということでございます。

そして、問題は、この合理的な配慮というのを誰がどのような配慮をすることまでを指すのかという具体的な内容になるわけでございます。当然、政府や自治体というのはその主体になるわけでありますが、問題は私人がどこまで、どういった形で配慮が求められるのか、ここが非常に難しい問題になってこようかと思います。

具体的な内容については、現在、障がい者制度改革推進会議差別禁止部会において、先ほど御指摘の点も含めて、障害者権利条約の趣旨に十分に鑑みながら、障害を理由とする差別の禁止にかかわる具体的な法制度を検討するということにしておりまして、その中で整理をされていくものというふうに承知しております。

○委員以外の議員(田村智子君) 最後に一言申し上げます。

この基本法は、理念法であるにもかかわらず、先ほども指摘があったとおり、「可能な限り」という文言が何度も出てきます。国民に直接かかわる基本法で可能な限りという文言が記されている法律はほかにはありません。是非、この改正から更に前進が図られる、基本法についても更なる前進が図られるということを強く求めまして、質問を終わりたいと思います。

発言の機会をありがとうございました。

○委員長(松井孝治君) 次に、福島君に発言を許します。福島みずほ君。

○委員以外の議員(福島みずほ君) 社民党の福島みずほです。

委員外の質問を認めてくださいまして、本当にありがとうございます。また、私はこの制度改革推進会議の初代担当大臣ですので思い入れが非常にありまして、その意味でも質問をさせていただくことに本当に感謝をいたします。

「可能な限り」というのが六か所あると。基本法の中には可能な限りというものはほかにはありません。男女平等を可能な限り実現するなんということはあり得ないわけで、可能な限りではなく男女平等を実現する、DVはなくすというのが単純な話であって、可能な限りとあることでできないことのエクスキューズに使われちゃうんじゃないか。いや、インクルーシブ教育、この学校に、普通学校に行きたい、いや、努力したけどやっぱりエレベーターが、いや、可能な限りで無理ですなんということが絶対起きないように。

大臣、衆議院の厚生労働委員会において村木内閣府政策統括官は、基本的な方向に向けて最大限の努力をするという趣旨でこういった表現を使っているという気持ちを酌み取っていただければと答弁をしています。「可能な限り」とは基本的な方向に向けて最大限努力することだという内容でよろしいでしょうか。

○国務大臣(細野豪志君) 福島議員はまさに初代大臣でいらして、推進会議そのものを設置をし、そして、それの議論をまさにしっかりと見てこられて、実現に向けて努力をされた方でございますので、重い発言としてしっかり受け止めたいと思います。

私も、「可能な限り」というこの文言がエクスキューズに使われることがあってはならないというふうに考えます。村木さんの方からも答弁が先ほどもありましたけれども、これは言い訳に使う言葉ではなくて、基本的な方向に向けて最大限努力をする、そのことをもって可能な限りやるということを言っているということでございますので、しっかりとその趣旨を踏まえて、今後様々な政策を実現をしていきたいというふうに思います。

○委員以外の議員(福島みずほ君) 大臣の言葉は重いと思いますので、その方向でしっかりお願いいたします。

二月二十五日に社民党として菅総理に要請し、枝野大臣が担当していただきました。「言語(手話を含む。)」とかいろいろ入れていただいたんですが、残念ながら今回入らなかったのが障害がある女性についての記述です。確かに性別、年齢、障害の状態というのがある条文は十条にあるんですが、複合差別の問題については国連からも指摘をされ、女性差別撤廃委員会からの勧告で複合差別についての実態調査をせよと日本政府は言われております。

この実態調査を是非し、障害のある女性についての調査、そして分析、対策をやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(細野豪志君) 改正法の十条一項におきまして、今回、障害者の年齢、障害の状態に加えまして、新たに障害者の性別及び生活実態に応じて施策が策定、実施されなければならない旨規定をしておりまして、これは新たな規定ということになってまいります。

御指摘のとおり、例えば女性の障害を持っている皆さんからしっかり声を聞いて、そしてそれを最大限反映をしていくということは極めて重要なことでございまして、DPIにも女性部会があるというふうに承知をしておりますので、そういった皆さんからしっかり声を聞くことで実態を十分把握をした上で政策に反映をしていく必要があると考えております。

○委員以外の議員(福島みずほ君) 実態調査をするという点についてはいかがですか。

○国務大臣(細野豪志君) もう既に様々な当事者の皆さんから話を聞かせていただく、そういう枠組みはございますので、そういった中で実際に当事者の皆さんから話を聞くことが一番実態を把握をすることにつながるというふうに考えます。

○委員以外の議員(福島みずほ君) 国連からは実態調査せよと言われていますので、話を聞くのはもちろんのこと、実態調査を是非お願いします。

障がい者制度改革推進会議の委員は、閣議決定によると、「本部は、当面五年間を障害者の制度に係る改革の集中期間と位置付け、改革の推進に関する総合調整、改革推進の基本的な方針の案の作成及び推進並びに法令等における「障害」の表記の在り方に関する検討等を行う。」とありました。障がい者制度改革推進会議は五年間と閣議決定されていたわけです。今回政策委員会となりますけれども、是非五年間は障がい者制度改革推進会議委員には引き続き基本法の実現に取り組んでもらいたいと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(細野豪志君) 委員の皆さんは、福島議員がいろいろこれまで議論をされてきた中で選ばれていて、そしてこれまでも非常に重要な役割を果たしていただいた方々だというふうに承知をしております。

障害者政策委員会というのが今回新たに設置をされることになりますが、そういった皆さんの声がしっかり把握をされるような委員は選んでいかなければならないというふうに考えます。最終的にはこれはもう内閣総理大臣が任命をされますので、しっかりと人選に当たっては、そういうこれまでの経緯を踏まえたものにしていきたいというふうに思います。

○委員以外の議員(福島みずほ君) これまでの経過ということで、ありがとうございます。

制度改革推進会議は、福島智さんが革命的だと言ってくれた、非常に情報公開やいろんなことをすごく工夫をしました。また、当事者が半数入って、有識者の半分は女性にしました。事務局も障害当事者の弁護士に入ってもらう、新しい仕組みだったんですね。これをきちっと生かしてやってくださるよう強く要望し、私の質問を終わります。

機会を与えてくださってありがとうございます。

○委員長(松井孝治君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。

これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。

障害者基本法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。

〔賛成者挙手〕

○委員長(松井孝治君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。

この際、山谷君から発言を求められておりますので、これを許します。山谷えり子君。

○山谷えり子君 私は、ただいま可決されました障害者基本法の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会、自由民主党、公明党及びみんなの党の各派並びに各派に属しない議員糸数慶子君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。

案文を朗読いたします。

障害者基本法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

一、国及び地方公共団体は、視覚障害者、聴覚障害者その他の意思疎通に困難がある障害者に対して、その者にとって最も適当な言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段の習得を図るために必要な施策を講ずること。

二、国及び地方公共団体は、子どもの発達に対して、障害の有無にかかわらず、将来の自立に向けて個の特性に応じた一貫した支援がなされるべきものであるとの観点から、障害に気付いてから就労に至るまでの一貫した支援を可能とする体制整備を行うこと。

三、国及び地方公共団体は、発達障害児について、将来の自立と社会参加のため、特性や能力に応じた中等・高等教育を受けられるよう、必要な環境の整備を図ること。

四、国及び地方公共団体は、障害原因の軽減や根本治癒についての再生医療に関する研究開発を推進するとともに、障害者が再生医療を受ける機会を確保するために必要な措置を講ずること。

五、国は、地方公共団体が実施する障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策並びに民間の団体が障害者の自立及び社会参加の支援等に関して行う活動を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとすること。

六、国は、この法律による改正後の障害者基本法の施行の状況等を勘案し、救済の仕組みを含む障害を理由とする差別の禁止に関する制度、障害者に係る情報コミュニケーションに関する制度及び難病対策に関する制度について検討を加え、その結果に基づいて、法制の整備その他の必要な措置を講ずること。

七、国は、東日本大震災による障害者に係る被害の実態等を踏まえ、災害その他非常の事態の場合において障害者の生命又は身体の安全の確保が図られるよう、障害者に対する支援体制の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。

八、障害者政策委員会の委員の人選に当たっては、障害者政策を幅広い国民の理解を得ながら進めていくという観点から、広く国民各層の声を障害者政策に反映できるよう、公平・中立を旨とすること。

右決議する。

以上でございます。

何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

○委員長(松井孝治君) ただいま山谷君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。

本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。

〔賛成者挙手〕

○委員長(松井孝治君) 全会一致と認めます。よって、山谷君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。

ただいまの決議に対し、細野国務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。細野国務大臣。

○国務大臣(細野豪志君) ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

○委員長(松井孝治君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(松井孝治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

本日はこれにて散会いたします。

午後零時十五分散会