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シンポジウム 「もっと知ろう、デイジー教科書を!」
日時:2013年02月03日(10:30~16:00)
場所:戸山サンライズ 大研修室
 

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竹下委員追加提出資料

「障がいを理由とする差別を禁止する法律」要綱案
( 試 案 )

日本弁護士連合会

第1編 総論

1 目的

この法律は、障がいを理由とする差別の具体的内容を定めるとともに、国、地方公共 団体、個人及び事業者が障がいを理由とする差別を行うことを禁止し、差別を受けた者 が適正かつ迅速な救済を受けるための措置を講ずることにより、障がいのある人の自立、完全参加と平等、そして権利の確立を図ることを目的とする。

2 障がいの定義

(1) 「障がい」とは、身体的、知的もしくは精神的な傷害またはその他の疾患を有する ことを理由として、日常生活または社会生活において、不利益を受ける状態にある ことをいう。 (2) 過去にかかる状態にあったこと、及び将来かかる状態になる蓋然性があることも、 (1)の障がいに含めるものとする。

3 差別の禁止

何人も、障がいを理由として、差別してはならない。

4 自立生活・自己決定についての権利

何人も、次の権利を有するものとする。 (1) 必要な支援を受けながら、地域において自立した生活を営む権利 (2) 自分の選択に従って自己の最善の利益を追求する権利 (3) 性を有する個人として尊重され、障がいを理由として、性、生殖、婚姻及び子の養 育並びにこれらに関する教育、情報提供、保健サービスに関して不利益な取扱いを 受けない権利 (4) (1)から(3)の権利行使に必要な説明や教育を無償で受ける権利

5 手話に関する権利

(1) 国は、手話が音声語と同等の言語であることを確認する。 (2) 聴覚に障がいのある人は、あらゆる生活の場で手話を使用して生活を営む権利を有 するものとする。

6 政策等の立案及び決定への参画

障がいのある人の社会参加に関する国若しくは地方公共団体における政策又は方針の 立案及び決定においては、障がいのある人が参画する機会を確保するものとする。

7 施策の策定、実施等

国及び地方公共団体は、障がいを理由とする差別を解消するための施策を総合的に策 定、実施し、必要な法制上、財政上の措置その他の措置を講じるものとする。

8 差別助長の禁止

何人も、障がいについて正しい知識を持ち、偏見や誤解を誘発したり障がいのある人 の人権が侵害されることのないようにしなければならない。

9 差別を受けた者の救済

第2編の差別を受けた者は、別に法律で定める政府から独立した人権救済機関に対し、 救済の申立てをすることができるものとする。

第2編 各論
第1 教育

1 総則

(1) 教育を受ける権利
何人も、障がいを理由として、差別を受けることなく、教育への権利を有し、機会 を保障されるものとする。

(2) 統合された環境の中で特別なニーズ(必要)を保障されながら教育を受ける権利と国等の施策

① 障がいのある人は、地域社会において、統合された環境の中で特別なニーズを 保障されながら教育を受ける権利を有するものとする。
② 障がいのある人は、特別なニーズを適切かつ早期に理解され、同一世代の人と 同一の環境の中で、支援を受けながら各人に応じた成長を保障される権利を有 するものとする。
③ 国、地方公共団体は、①②の権利を実質的に保障するために、十分な援助を行 い、明確な方針を示すものとする。

(3) 手話教育に関する権利
聴覚に障がいのある人は、手話を習得し使用できるようになる教育を受ける権利及 び手話を用いた教育を受ける権利を有するものとする。

(4) 合理的配慮義務
国、地方公共団体、学校法人その他の教育に携わる団体又は個人(以下「教育機関」 という。)は、次の義務を負うものとする。
① 手話、点字、拡大文字、音声サービス、写真・図画、平易な表現による表記そ の他適切な情報伝達方法(以下「適切な情報伝達方法」という。)を用いて教 育をすること。
② 利用可能な物理的環境を提供すること。
③ 必要な人員を配置すること。
④ その他、障がいのある人の教育を受ける権利を実質的に保障するために必要な 合理的配慮を行うこと。

(5) 差別の定義
① 障がいを理由として、教育の機会を剥奪若しくは制限し、又は教育の機会につ いて不利益に取り扱うこと、および障がいのある人の意に反して分離教育を行う こと。
② (4)の合理的配慮義務に違反すること。

(6) 差別の推定
教育機関が、教育に関し、障がいのある人をそうでない人と比較して不利益に取り 扱ったときは、障がいを理由とするものと推定するものとする。

2 学校教育

(1) 小中学校
① 何人も地域社会の小中学校において教育を受ける権利を有するものとする。 ② 教育機関は、学校設備の改善、人員配置の適正その他の合理的配慮を行うもの とする。

(2) 特別支援学校及び特別支援教室
① 都道府県は、障がいを理由とする特別なニーズを保障することを目的とする学 校(以下「特別支援学校」という。)を設置するものとする。
② 市町村は、小中学校に、特別支援教室を設置することができるものとする。
③ ①②の設置では、小中学校の教育と同一の基準及び趣旨を保障するものとする。
④ 地方公共団体は、障がいを理由として、障がいのある子及びその保護者に対し、 遠隔地通学、付添その他の負担を課してはならない。
⑤ 国及び地方公共団体は、手話に習熟した教員の養成その他の合理的配慮を行う ものとする。

(3) 学校及び教育の選択権
① 保護者は、必要な情報を受けた上で、特別支援学校・特別支援教室における教育 を選択でき、またこの選択をいつでも変更することができるものとする。
② 障がいのある子は、①の選択及び変更にあたり、自己の意見を表明することがで きるものとする。この意見は、年齢及び成熟度に従って相応に考慮される。

(4) 個別支援計画
① 小中学校及び特別支援学校は、障がいのある子及び保護者との合意に基づいて、 個別支援計画を策定することができるものとする。
② 障がいのある子及び保護者は、個別支援計画の策定、見直し、変更を求める権 利、また策定を拒否する権利を有するものとする。
③ 合意が成立しないときは、別に定める共生教育推進委員会が調整するものとす る。

(5) 高等学校、大学、高等専門学校、専修学校等
① 障がいのある人は、これら中等教育機関及び高等教育機関において、教育を受 ける権利を有するものとする。
② 中等教育機関及び高等教育機関は、入学者選抜の方法等について配慮する。障 がいのある人に特別措置を講じることは差別と解釈されない。
③ (1)から(4)までの規定は、中等教育機関及び高等教育機関に準用する。

3 学校外教育

(1) 何人も就学前教育、学童保育、職業教育等の学校外教育を受ける権利を有するものとする。

(2) 国及び地方公共団体は、学校外教育の条件整備を積極的に行う責務を有するものとする。

4 共生教育推進委員会

(1) 都道府県は、障がいのある人に対し、障がいを理由として、いかなる差別を受けることなく、統合された環境の中で特別のニーズを保障されながら教育を受ける権利 を充足させるために、共生教育推進委員会を設置するものとする。

(2) 共生教育推進委員会は、障がいのある人と統合された環境の中で特別のニーズを保障されながら受ける教育に理解のある者により構成され、共生教育への移行につい て計画を策定、推進し、情報提供、相談、関係機関との連絡及び意見調整その他の 援助を行うものとする。

第2 労働

1 労働する権利

何人も、障がいを理由として、いかなる差別を受けることなく、労働する権利を有し、機会を保障されるものとする。

2 合理的配慮義務

(1) 事業主は、次の義務を負うものとする。
① 労働条件の設定又は変更の際、適切な情報伝達方法により説明すること。
② 労働条件及び就業環境における不利益の除去対策を講じること。
③ 障がいに対する偏見や障がいのある人に対するいじめの除去対策を講じること。
④ その他、障がいのある人の労働する権利を実質的に保障するために必要な合理 的配慮を行うこと。

(2) (1)の具体的内容は、別に定める障がいのある人の権利委員会が規則で定めるものとする。

3 差別の定義

労働における差別とは、次に掲げるものをいうものとする。

(1) 障がいを理由として障がいのある人を次のとおり不利益に取扱うこと。
① 募集、採用及び賃金その他の労働条件における不利益取扱い
② 労働契約締結拒否及び解雇
(2) 2の合理的配慮義務に違反すること。

4 適用除外

(1) 2(1)は、事業主において著しい困難又は出費がある場合は、適用しないものとする。

(2) 3(1)②は、次の場合、適用しないものとする。
ア 事業主が2(1)②の施策を講じても、その職務の本質的部分を遂行することが できない場合
イ 事業主が2(1)②の施策を講じることに著しい困難又は出費があり、かつ、こ れを講じなければその職務の本質的部分を遂行することができない場合

(3) 「著しい困難又は出費」の有無は、具体的な根拠及び資料に基づき、事業主の財務状況その他事業主側の事情、障がいのある人の被る不利益の内容及び程度を総合考 慮して判断するものとする。

5 差別の推定

事業主が、労働に関し、障がいのある人をそうでない人と比較して不利益に扱ったと きは、当該行為は障がいを理由として行われたものと推定するものとする。

6 広告による差別の推定

事業主が障がいのある人の採用を拒否した場合において、求人広告が障がいのある人 を募集対象から除外しているときは、障がいを理由とするものと推定するものとする。

7 不利益合意の無効と報復の禁止

(1) この法律に反する労働契約その他の特約で障がいのある人に不利なものは、その部分につき無効とするものとする。

(2) 事業主は、障がいのある人が裁判上又は裁判外の救済手続を申し立てたことを理由として、当該障がいのある人や協力者に対して解雇その他の不利益な取扱いをして はならないものとする。

8 医学的検査の禁止

事業主は、労働契約締結前に健康診断や障がいの有無等に関する調査を行ってはなら ない。事業主が労働契約締結の意思を表明した後、労働契約締結前に、全労働者に課せ られる場合でかつ機密性が保たれる場合に限り、健康診断を義務付けることができるも のとする。

9 職業リハビリテーション

障がいのある人は、職業リハビリテーションを受ける権利を有するものとする。

10 国及び地方公共団体の障壁除去等の責務

国及び地方公共団体は、障がいのある人が差別を受けることなく労働できるようにす るため、物理的障壁等の除去、援助器具の開発、通訳者及びジョブコーチ等の育成、拡 充及び派遣制度の確立、情報提供のための施設設置・制度拡充等の責務を有するものと する。

第3 不動産の取得・利用

1 不動産を取得し、利用する権利

何人も、障がいを理由として、いかなる差別を受けることなく、不動産を取得し、居 住し、利用する権利を有し、機会を保障されるものとする。

2 合理的配慮義務

(1) 不動産の売買、交換又は貸借(以下「不動産の売買等」という。)を行う権限を有する者及びその代理又は媒介等を行う者は、契約締結にあたり、適切な情報伝達方 法を使用する義務を負うものとする。

(2) 不動産管理者は、不利益除去に必要な限度で、不動産の改造を承諾する義務を負うものとする。

(3) 不動産の売買等を行う権限を有する者、その代理、媒介等を行う者及び不動産管理者は、その他、障がいのある人の不動産を取得し、利用する権利を実質的に保障す るために必要な合理的配慮を行う義務を負うものとする。

3 差別の定義

不動産の取得、利用における差別とは、次に掲げるものをいうものとする。

(1) 2(1)の者が、障がいを理由として、不動産の売買等につき、契約締結を拒否し、又は条件を付するなどの方法によって制限し、その他障がいのない人に比して不利 益な取扱いをすること。

(2) 2(2)の者が、障がいを理由として、不動産の利用及び付随的サービスにつき、不利益な取扱いを行うこと。

(3) 2の合理的配慮義務に違反すること。

4 適用除外

(1) 3は、① 不動産が小規模居住用建物である場合、② 人の生命、身体、財産の保 護のためやむを得ない必要がある場合は適用しないものとする。

(2) 3(3)は、① 2(2)の改造が不動産の構造上の安全性に影響を及ぼす場合、② 2

(1) (2)の者において著しい困難又は出費がある場合は適用しないものとする。

(3) 「著しい困難又は出費」の有無は、第2、4(3)と同じものとする。

5 差別の推定

不動産の売買等を行う権限を有する者、その代理又は媒介等を行う者及び不動産管理 者が、不動産の取得又は利用に関し、障がいのある人をそうでない人と比較して不利益 に扱ったときは、当該行為は障がいを理由として行われたものと推定するものとする。

6 準用

第3の規定は、不動産の売買等を行う権限を有する者、その者から不動産の売買等の 代理若しくは媒介を依頼された者又は不動産を管理する者と、障がいのある人の親族・ 同居人・支援団体その他の者との関係に、準用する(不利益取扱いに限る)。

第4 アクセス

1 建築物等へのアクセス

(1) 建築物を円滑に利用する権利
何人も、障がいを理由として、いかなる差別を受けることなく、不特定多数の者の 利用に供されている建築物(以下「建築物」という。)を円滑に利用する権利を有し、 機会を保障されるものとする。

(2) 合理的配慮義務
① 建築物の設置者及び管理者は、建築物が障がいのある人の円滑な利用を促進す るための最低整備基準に適合しない場合、これを是正する措置を講じるものとする。
② 最低整備基準は、障がいのある人の権利委員会が別に規則で定める。
③ 建築物の建築主、設計者、施工者、設置者及び管理者は、その他、障がいのあ る人の建築物を円滑に利用する権利を実質的に保障するために必要な合理的配 慮を行う義務を負うものとする。
④ 建築物が最低整備基準に適合していても、③の義務は免除されないものとする。

(3) 差別の定義
建築物等へのアクセスにおける差別とは、次に掲げるものをいうものとする。
① 建築主、設計者、施工者が、最低整備基準に適合しない建築物を新たに建築、 設計又は施工すること。
② 設置者、管理者が、障がいを理由として、当該建築物の利用につき拒否又は制 限し、不利益な取扱いを行うこと。
③ ①②の者が、(2)①③の合理的配慮義務に違反すること。

(4) 適用除外
① (3)は、人の生命、身体、財産の保護のためやむを得ない必要がある場合は、適 用しないものとする。
② (3)③は、(3)①②の者において著しい困難又は出費がある場合は適用しないも のとする。
③ 「著しい困難又は出費」の有無は、第2、4(3)と同じものとする。

(5) 差別の推定
建築主、設計者、施工者、設置者又は管理者が、建築物の利用に関し、障がいの ある人をそうでない人と比較して不利益に取り扱ったときは、当該行為は障がいを 理由として行われたものと推定するものとする。

2 交通・移動アクセス

(1) 公共交通機関を利用して移動する権利
① 何人も、障がいを理由として、いかなる差別を受けることなく、公共交通機関 を利用して円滑に移動する権利を有し、機会を保障されるものとする。
② 障がいのある人は、国、地方公共団体及び公共交通事業者等(以下「公共交通 事業者等」という。)に対して、移動につき必要な補助を求める権利を有する ものとする。

(2) 合理的配慮義務
① 公共交通事業者等は、旅客施設及び車両等(以下「旅客施設等」という。)が 障がいのある人の円滑な移動を確保するために必要な構造・設備に関する整備 計画(以下「整備計画」という。)に適合しない場合、これを是正する措置を 講じるものとする。
② 整備計画は、障がいのある人の権利委員会が別に規則で定めるものとする。
③ 公共交通事業者等は、その他、障がいのある人の公共交通機関を利用して円滑 に移動する権利を実質的に保障するために必要な合理的配慮を行う義務を負う ものとする。
④ 旅客施設等が整備計画に適合していることによっても、③の義務は免除されな いものとする。

(3) 差別の定義
交通・移動アクセスに関する差別とは、次に掲げるものをいうものとする。
① 公共交通事業者等が、次の行為を行うこと。
イ 整備計画に適合しない旅客施設等を新たに建設すること。
ロ 障がいを理由とする、旅客施設等の利用拒否・制限、不利益な取扱い
② 公共交通事業者等が、(2)①③の合理的配慮義務に違反すること。

(4) 適用除外
① (3)は、人の生命、身体、財産の保護のためやむを得ない必要がある場合は、適 用しないものとする。
② (3)②は、公共交通事業者等において、著しい困難又は出費がある場合は、適用 しないものとする。
③ 「著しい困難又は出費」の有無は、第2、4(3)と同じものとする。

(5) 差別の推定
公共交通機関等が、公共交通機関の利用に関し、障がいのある人をそうでない 人と比較して不利益に取り扱ったときは、当該行為は障がいを理由として行われ たものと推定するものとする。

(6) 国及び地方公共団体の移動補助者養成義務
国及び地方公共団体は、移動補助者を養成し、無償派遣体制を整備するものとする。

(7) 公共交通事業者等の職員研修義務
公共交通事業者等は、職員研修を実施し、研修を経た職員を相当数配置するものと する。

第5 サービス

1 サービスの提供を受ける権利

何人も、障がいを理由として、いかなる差別を受けることなく、あらゆる公共的又は 商業的サービスの提供を受ける権利を有し、機会を保障されるものとする。

2 合理的配慮義務

旅館業を営む者、レクリエーション施設を設置して営業を営む者、飲食業を営む者そ の他あらゆる商業サービス及び公的サービスを提供する者は、次に掲げる合理的配慮を 行わなければならないものとする。

(1) 適切な情報伝達方法の使用
(2) 補助者の付添いの承諾
(3) 補助機器、人的援助の提供
(4) サービス提供に関する運用、方針、手続における不利益除去対策
(5) その他、障がいのある人のサービスを受ける権利を実質的に保障するために必要な 合理的配慮

3 差別の定義

サービスに関する差別とは、次に掲げるものをいうものとする。

(1) 障がいを理由とする、サービス提供の拒否又は制限、不利益取扱い
(2) 2の合理的配慮義務に違反すること。

4 適用除外

(1) 3は、① 人の生命、身体、財産の保護のためやむを得ない必要がある場合、② 他の方法ではサービス提供できない場合、③ サービスの基本的性質を著しく損なう 場合は、適用しないものとする。
(2) 3(2)は、サービス提供者において、著しい困難又は出費がある場合は、適用しな いものとする。
(3) 「著しい困難又は出費」の有無は、第2、4(3)と同じものとする。

5 差別の推定

サービス提供者が、サービスの提供に関し、障がいのある人をそうでない人と比較し て不利益に取り扱ったときは、当該行為は障がいを理由として行われたものと推定する ものとする。

第6 医療

1 医療の提供を受ける権利

何人も、障がいを理由として、いかなる差別を受けることなく、医師、歯科医師、薬 剤師、看護師その他の医療の担い手(以下「医師等」という。)及び病院等の医療提供 施設(以下これらを総称して「医療提供施設等」という。)から、良質で適切な医療の 提供を受ける権利を有し、機会を保障されるものとする。

2 合理的配慮義務

医療提供施設等は、次に掲げる合理的配慮を行わなければならないものとする。

(1) 適切な情報伝達方法
(2) 補助者の付添いの承諾
(3) 補助機器、人的援助の提供
(4) サービス提供に関する運用、方針、手続における不利益除去対策
(5) その他、障がいのある人のサービスの提供を受ける権利を実質的に保障するために 必要な合理的配慮を行うこと。

3 差別の定義

医療に関する差別とは、次に掲げるものをいうものとする。

(1) 医療提供施設等が、次の行為を行うこと

① 障がいを理由とする、医療の提供の拒否又は制限、不利益取扱い
② 障がいを理由とする、自発的意思に基づかない医療行為、矯正治療その他の医 療に関連した行為の強制(他の法律に別段の定めがある場合を除く。)

(2) 医療提供施設等が、2の合理的配慮義務に違反すること。

4 適用除外

(1) 3(1)①と(2)は、人の生命、身体、財産の保護のためやむを得ないと認められる場合は、適用しないものとする。
(2) 3(2)は、医療提供施設等において、著しい困難又は出費がある場合は、適用しな いものとする。
(3) 「著しい困難又は出費」の有無は、第2、4(3)と同じものとする。

5 差別の推定

医療提供施設等が、医療の提供に関し、障がいのある人をそうでない人と比較して不 利益に取り扱ったときは、当該行為は障がいを理由として行われたものと推定するもの とする。

6 医療提供施設の医師等研修

医療提供施設は、医師等に対し、障がいに関する理解を深めるために必要な研修を行うものとする。

第7 情報

1 情報にアクセスする権利

何人も、障がいを理由として、いかなる差別を受けることなく、自らが選択する情報 伝達方法により、あらゆる種類の情報の提供を受け、これを利用し、及び自ら情報を発 信し伝える権利を有し、機会を保障されるものとする。

2 合理的配慮義務

(1) 国及び地方公共団体は、次の義務を負うものとする。

① 適切な情報伝達方法を使用して、公共的サービスを広報し、社会保障制度等を 周知すること。
② 適切な情報伝達方法を使用して、自然災害に関する情報を周知すること。
③ 障がいのある人の情報へのアクセスを確保するために必要な情報処理機器、電 気通信設備及び情報サービスに関する基準(以下「アクセシビリティ基準」と いう。)に適合する措置を講じること。
④ その他、障がいのある人の情報にアクセスする権利を実質的に保障するために 必要な合理的配慮を行うこと。

(2) テレビジョン放送事業者は、放送番組に、字幕放送を付し、手話放送、文字放送、音声解説放送その他の情報伝達手段による放送を付する義務を負うものとする。

(3) 電気通信事業者及び特定電気通信役務提供者は、高度情報ネットワークを利用して情報及びサービスを提供するにあたり、アクセシビリティ基準に従う義務を負うも のとする。

(4) テレビジョン放送受信装置の製造業者は、製品に、手話放送・文字放送等の受信が可能な装置を内蔵させる義務を負うものとする。

(5) 情報処理機器・電気通信設備の製造業者は、製造にあたり、アクセシビリティ基準に従う義務を負うものとする。

(6) アクセシビリティ基準は、障がいのある人の権利委員会が別に規則で定めるものとする。

(7) (2)に関する基準は、障がいのある人の権利委員会が別に規則で定めるものとする。

3 差別の定義

情報に関する差別とは、次に掲げるものをいうものとする。

(1) 事業として不特定又は多数の者に対して情報の提供又は発信を行う者が、障がいを理由として、情報の提供又は発信に関し、障がいのない人と異なる不利な取扱いを 行うこと。

(2) 2(1)から(5)の者が各々の合理的配慮義務に違反すること。

4 適用除外

(1) 3は、① 技術的に著しい困難がある場合、② テレビジョン放送事業者において 著作権者の許諾を得ることに著しい困難がある場合は、適用しないものとする。

(2) 3(2)は、各々の者において、著しい困難又は出費がある場合は、適用しないものとする。

(3) 「著しい困難又は出費」の有無は、第2、4(3)と同じものとする。

5 差別の推定

事業として不特定又は多数の者に対して情報の提供又は発信を行う者が、情報の提供 又は発信に関し、障がいのある人をそうでない人と比較して不利益に取り扱ったときは、当該行為は障がいを理由として行われたものと推定するものとする。

6 国及び地方公共団体の責務

国及び地方公共団体は、適切な情報伝達方法の無償利用制度を整備し、2の合理的配 慮に必要な施策を講じ、また障がいのある人の情報処理機器及び電気通信設備の利用を 支援するための必要な施策を講じるものとする。

第8 参政権

1 参政権

何人も、障がいを理由として、いかなる差別を受けることなく、選挙権、被選挙権、そ の他の参政権を有し、機会を保障されるものとする。

2 合理的配慮義務

(1) 国及び地方公共団体は、次の義務を負うものとする。

① 投票所への移動の保障その他投票の機会を現実に保障する措置を講じること。
② 選挙に関する事務を行う際、適切な情報伝達方法を使用すること。

(2) 選挙管理委員会は、次の義務を負うものとする。

① 投票所において段差解消等、物理的環境を提供すること。
② 選挙公報等において適切な情報伝達方法を使用すること。

(3) 選挙運動を行う者は、適切な情報伝達手段を使用する義務を負うものとする。

(4) 政見放送及び経歴放送を行う者は、適切な情報伝達方法を使用する義務を負うものとする。

(5) (1)ないし(4)記載の者は、その他、障がいのある人の参政権を実質的に保障するために必要な合理的配慮を行う義務を負うものとする。

3 差別の定義

参政権に関する差別とは、次に掲げるものをいうものとする。

(1) 障がいを理由として、1の権利の剥奪又は制限、不利益取扱いをすること。

(2) 2(1)から(4)の者が、各々の合理的配慮義務を怠ること。

4 差別の推定

2の(1)ないし(4)記載の者が、参政権の行使に関し、障がいのある人をそうでない人と比較して不利益に取り扱ったときは、当該行為は障がいを理由として行われたものと推定するものとする。

5 選挙管理委員会の職員研修義務

選挙管理委員会は、職員研修を実施し、研修を経た職員を相当数配置するものとする。

第9 司法

1 裁判を受ける権利等

(1) 何人も、障がいを理由として、いかなる差別を受けることなく、裁判所において裁判を受け、裁判外紛争解決手続を利用し、又はこれらを含む司法関係手続に参加す る権利を有し、機会を保障されるものとする。

(2) 何人も、障がいを理由として、いかなる差別を受けることなく、適正な刑事手続及び適正な処遇を受ける権利を有するものとする。

(3) 何人も、障がいを理由として、いかなる差別を受けることなく、弁護士その他適切な補助者を選任する権利を有し、機会を保障されるものとする。

2 合理的配慮義務

(1) 裁判所、検察庁及び警察署並びに裁判官等、検察官及び警察官等の司法機関は、適切な情報伝達方法を使用して、裁判の言渡し、裁判に関する事務、公判手続、令状の 呈示、取調べその他の手続を行い、その他障がいのある人の司法関係手続に参加する 権利を実質的に保障するために必要な合理的配慮を行うものとする。

(2) 刑事施設、少年院又は少年鑑別所等及び法務事務官等は、次に掲げる行為を行う義務を負うものとする。

① 適切な情報伝達方法を使用すること。
② 障がいの種類・程度に応じた処遇を行うこと。
③ 抑留又は拘禁に関する運用、方針、手続における不利益除去対策を講じること。
④ その他、障がいのある人の適正な刑事手続き及び処遇を受ける権利を実質的に 保障するために必要な合理的配慮を行うこと。

3 差別の定義

司法における差別とは、次に掲げるものをいうものとする。

(1) あらゆる司法機関、弁護士会及びそれらの職員が、障がいを理由として、1の権利 を剥奪又は制限し、不利益な取扱いを行うこと。

(2) 2の者が、各々の合理的配慮義務に違反すること。

4 差別の推定

あらゆる司法機関、弁護士会及びそれらの職員が、障がいのある人をそうでない人と 比較して不利益に取り扱ったときは、当該行為は障がいを理由として行われたものと推 定するものとする。

5 裁判の傍聴

裁判所は、障がいを理由として、裁判の傍聴を拒否してはならず、補助犬使用や、適 切な情報伝達方法の使用を妨げてはならないものとする。

6 裁判所等の人的設備充実義務

(1) あらゆる司法機関は、障がいに関する専門職員を養成するものとする。

(2) あらゆる司法機関及び弁護士会等は、裁判官等及び弁護士等に対し、障がいに関する理解を深めるために必要な研修を行うものとする。

7 準用

2ないし6は、裁判外紛争解決機関、検察審査会、保護観察所の行う保護観察などに、 その性質に反しない限り準用するものとする。

第3編 実施機関

1 障がいのある人の権利委員会の設置及び所轄事務

(1) 内閣府に、この法律の適正な実施を任務とする障がいのある人の権利委員会(以下「本委員会」という。)を設置する。

(2) 本委員会は、規則及び解釈指針の策定、提言、実施状況の調査、広報及び啓発、その他この法律を実施するために必要な事務を行う。

2 委員会の構成

(1) 委員15人で組織する。

(2) 委員は、障がいのある人の権利に関して高い識見を有する者であって、学識経験のある者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。但し、委員の うち8名は、障がいのある人を任命する。

3 事務局の設置

本委員会に事務局を置き、その地方機関として、都道府県に地方事務所を置く。