土本委員追加提出資料2
2009年4月14日
各政党国会議員・障害者福祉施策担当者 各位
障害者虐待防止法案に対する意見
ピープルファーストジャパン
代表 小田島 栄一
東京都東久留米市八幡町2-11-59
電話 042-476-5465
わたしたちピープルファーストジャパンは、現在、札幌の三丁目食堂事件、奈良の大橋製作所事件、広島県福山市の成年後見人事件など、全国各地で働いても給料を支払われず、さらに年金をうばわれる仲間、事件や犯罪にまきこまれる仲間たちの刑事告発・刑事裁判・民事訴訟を支え、ともに闘っています。
2004年12月の福岡県「カリタスの家」事件の時に、2度とこうした事件がおきないよう に厚生労働省と話し合いをしました。しかしその後も、障害者虐待事件はあとを絶ちません。これまでのような各都道府県・市町村まかせのやり方では障害者を救えません。障害者虐待防止法の制定は必要不可欠です。
自民・公明の両党が「障害者虐待防止法」の素案をまとめ、超党派の議員立法をめざし て早ければ今の国会に法案を提出すると3月10日の毎日新聞で報道されました。4月13日のNHKニュースでは、民主党が案をまとめ近日中に国会上程すると報じられました。
われわれピープルファーストジャパンは、「わたしたちは障害者であるまえに人間です」という思いをもとに、知的障害を持つ当事者の人権を問う裁判を共に闘う中から、現在論議されている障害者虐待防止法に対して、意見を発します。
1.独立した救済機関を常設する
札幌の三丁目食堂事件、奈良の大橋製作所事件でも、被害を受けている当事者みず からが「助けて欲しい」と訴えることはできませんでした。
「何かおかしい」という「虫の知らせ」を虐待と見抜き、現状をしっかりと調査し て救援に動かなければ虐待は放置されます。虐待を発見し、被害当事者を救済する為 には、これまでのように各都道府県・市町村任せにするのではなく、一般市民や公的 機関からの通報を受け救済活動を行う<独立した常設の救済機関>が必要不可欠で す。
2.救済機関は強制的な調査権を持つこと
この機関は法に定められた権限を持ち、問題が起こった時に迅速に動くことができ る経験豊富なスタッフが配置される必要があります。
虐待事件は現場に介入してはじめて実態が明らかになります。当初はわずかの情報 であっても、虐待が疑われる場合は救済機関が強制的に調査する権限を持っていない と被害者を助けることはできません。
3.通報の義務
障害者が虐待されている事実を知った者、あるいは虐待を疑うような事実を知った 者は、救済機関に通報する義務を課すことが必要です。
とくに現状で問題なのは、市町村やハローワークなどの公的機関です。虐待を疑う ような情報を得たとしても、まったく動いていません。「知りながら助けようとしな かった」ことは、公的機関の義務を果たしていないことです。これを明確にするため にも「通報の義務」を法に定める必要があります。
4.虐待を受けた人の保護と安心できる地域生活への復帰
被害者の迅速な保護が必要です。しかしショートステイなどの一時避難が地域の暮 らしへの復帰につながらず、施設入所で終わるケースもあります。避難場所の確保は もちろん、安心できる地域生活への復帰ができるまで救済機関が責任を持って支援す ることを明記すべきです。
5.通報や告発をした人に対する保護
被害当事者からの訴えは極めてまれであり、虐待の事実がわかるのは近隣の住民か らの通報や内部告発という形がほとんどであるといえます。どちらにしても事情によ っては勇気のいる行為です。
告発者を周囲の圧力から保護することが、虐待などの当事者の人権を無視した行為 を防止することにつながります。
以上のわたしたちの意見を検討してくださり、本当に役にたつ障害者虐待防止法ができ るようにしてください。