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シンポジウム 「もっと知ろう、デイジー教科書を!」
日時:2013年02月03日(10:30~16:00)
場所:戸山サンライズ 大研修室
 

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障がい者制度改革推進会議 第5回(H22.3.19) 資料2

政治参加に関する意見一覧

選挙に関する情報の保障

選挙の仕組み

政治活動

公的活動

その他

第五回障がい者制度改革推進会議 意見提出フォーマット
政治参加

選挙に関する情報の保障

1.選挙広報などの行政の提供する情報についてどう考えるか

【大谷委員】

障がいのある人が社会の一員として、すみやすい社会にするために発言していく上で、障がいのある人の政治参加の機会を保障することは重要である。

従って「選挙公報」において候補者がどのような主張を持っているかを知ることは投票の前提として保障されなければ意味がない。

障がいのある選挙民のニーズに応じた広報がなされなければならない。知的障がいのある選挙民に対しては、理解可能な程度に表現を工夫する必要がある。

【大濱委員】

■大前提として、「障害を理由として政治を含むあらゆる分野」からの排除を差別と捉え、「意思疎通のためのあらゆる形態が保障されなければならない」という観点観点から、検討するべきだと考える。

■行政等の公的機関が提供する情報は、当然「意思疎通のためのあらゆる形態の保障」が義務付けられるべきである。また、全身性障害者向けの意思伝達装置や、視覚障害者がパソコンで選挙の情報を読めるように、すべての行政広報はホームページ等でも告知されるべきである。

■たとえば点字による選挙公報については、自治体の裁量ではなく、法律に基づく義務として作成・配布するべきだと考える。また、視覚障害者や盲ろう者に対して郵送によって配布する等により、確実に情報保障を行うべきだと考える。併せて、選挙公報のホームページに掲載されるべきだと考える。

【尾上委員】

参政権の行使に関わる非常に重要な課題である。基本的には、障害者が必要とするコミュニケーション手段による情報保障がされるべきである。

点字による公報は法制度で保障されておらず、その実施は自治体の裁量で行われているため、地域格差等、点字を使用する視覚障害者は候補者などの情報を得ることが著しく困難な状況に置かれている。

権利条約では第2条でコミュニケーションを定義している。また、第9条でアクセシビリティを規定し、条約の交渉過程でアクセシビリティは権利保障の基礎となる重要なものである、とされている。第29条(a)の「他の者と平等を基礎として、政治的および公的活動に効果的かつ完全に参加することができることを確保する」という条項に規定されている。

しかし、現在はこの権利が保障されていない状況にある。

【勝又委員】

当然、手話、点字などで提供することを義務付けるべき。

【門川委員】

選挙に関する広報活動一般について、特に視覚障害者や聴覚障害者に対する情報保障が不十分である。とりわけ、候補者や政党についての不可欠な情報である「選挙公報」については、本来、行政が責任をもって点字版・音声版等を作成する必要がある。

点字版について言えば、総務省は法律の規定を根拠に点字版を作成できないとしているようだが、法律の規定にある「原文のまま選挙公報に掲載しなければならない」という規定の趣旨は、その内容を恣意的に変更することを禁じたものであり、点字版の提供を妨げるものと解釈することはできない。

たとえば、点字投票が認められていることからも、点字は参政権を行使するうえで「文字」として認められているのであって、点字広報の作成に関する行政(選挙管理委員会)の責任を明確化するべきである。

なお、短時間に点訳するためには、候補者等に点訳等に配慮し掲載文にはルビ付けを義務付けるといった措置を検討する必要もあるだろう。

<参考>公職選挙法第169条第2項都道府県の選挙管理委員会は、前条第1項の申請又は前項の掲載文の写しの送付があつたときは、掲載文又はその写しを、原文のまま選挙公報に掲載しなければならない。

【川﨑委員】

精神科病院や1人暮らしの人には情報が伝わりにくい。施設や精神科病院などでは、情報が偏って伝えられる危険もある。情報の公正性と、わかりやすい情報提供の在り方が検討されるべきである。

【清原委員】

紙媒体の広報紙である「広報みたか」に、選挙前には投票案内を掲載しており、それについては点字版と音声版がある。貴重な一票を投じる判断材料となる立候補者の政策などを記載した各選挙の「選挙公報」については、現状では、東京都や三鷹市では、通常の紙面によるもののほか、点字や音声によるものを「選挙のおしらせ」として発行している。

また、昨年の衆議院議員選挙では、衆議院議員選挙や国民審査の投票方法などについて説明した点字版の説明資料(パンフレット)が作成されている。

現在、各選挙の告示日の翌日から期日前投票が可能となり、その投票率が高まる傾向にあるが、選挙公報については制度上投票日の2日前までに有権者に届くこととされており、実際に告示日に選挙広報用の原稿が提出されることもあって、印刷及び点字化や音声化には時間がかかることが、有権者に候補者の政策等に関する情報取得にとって課題となっている。障がい者との関連だけでなく、改善されるべき課題と言える。

現代社会ではインターネットが普及しており、有権者からは選挙や候補者に関する情報をホームページ等によって入手したいとの意向が強まっている。電子媒体であれば、視覚障がいのある方でも音声読み上げ装置等により情報入手の可能性も高まることから、今後、インターネットを利用した選挙に関する情報提供の検討が必要となると考える。

【佐藤委員】

点字の選挙公報が義務付けられていない点が問題である。点字の「選挙のお知らせ」が出されるが、少ない情報しか得られないことが多いようである。

【新谷委員】

広報内容をテレビ放送などする場合には、必ず字幕を付けることを義務つけてください。

【竹下委員】

選挙広報は、その全文を原則として障害の特性に応じた媒体に可変して提供されるべきである。たとえば、視覚障害者に対しては、点訳、録音、拡大文字に変換して提供されるべきである。告示(公示)から投票日までの期間が短い場合に、点訳や音訳のための時間が不足しその変換が困難な場合があるが、そうした場合においてもあらゆる社会資源を活用して、選挙権者に情報として提供されなければならない。この情報提供は、国民主権の根幹とも言うべき選挙権の行使には必要不可欠であることを念頭に置いた最善、最大の努力がなされるべきである。それが実現されない場合は、視覚障害者の参政権(選挙権)が侵害されていることにほかならないのであって、法の下の平等に反し、条約2条の合理的配慮義務が履行されないことにほかならない。

【堂本委員】

(結論)すべての有権者に必要な情報を行政として提供できることが重要である。しかし、現実には運用しにくい点が多々あり、改善が必要である。

(行政サイドの運用上の事情)

選挙公報は、投票に当たっての重要な情報となるが、印刷された活字であることから、視覚障害のある人に対し、選挙公報の点字訳や音声化したものを提供するなどの配慮を義務付けるべきである。

現在、衆議院議員選挙や参議院議員選挙、都道府県知事選挙では、点字訳のほか、音声テープやCD、音声コードを添付したものなどが作成されているが、法制度で保障されておらず、自治体の裁量で行われているため、地域格差があり不十分な状況にある。

また、都道府県の議会の議員、市町村の議会の議員又は市町村長の選挙については、選挙公報の発行は任意とされており(公職選挙法第172条の2)、発行する場合には、立候補者数や選挙期間の問題から、視覚障害のある人への配慮が行われていないことも多いという問題がある。

さらに、知的障害のある人については、平易な言葉に置き換えないと理解が困難であるが、選挙公報の発行回数は1回とされていること(公職選挙法第167条第1項及び第2項)、「掲載文又はその写しを、原文のまま選挙公報に掲載しなければならない」(同法第169条第2項)ことから、知的障害のある人向けに別に選挙公報を発行することはできない現状にある。

【中西委員】

条約に基づき、手話、音声文字、点字などわかりやすい表現、障害者が必要とする方法によって情報提供を実施することが必要である。これは国政選挙のみでなく、地方選挙においても適応される。また弱視者や高齢者にも見やすい文字の大きさや字体を使用せねばならない。

【長瀬委員】

障害者の権利条約の第29条(政治的及び公的活動への参加)(a)に基づいて、政治的活動への参加の前提として、選挙公報をはじめとする選挙に関する情報のバリアフリーが必要である。

【久松委員】

選挙に関する情報はほとんどが日本語の音声または文章で提供されているために、手話を母語とし、かつ、日本語の読み書きが不得手なろう者には分かりにくいものとなっている。国および自治体が提供する選挙公報等の情報については、手話による情報提供が必要であり、テレビでの選挙公報(政見放送)には必ず手話・字幕をつけることを義務づける必要がある。

また、選挙管理委員会の責任で、選挙公報の内容を手話で説明する者を用意すること、選挙公報を手話化したビデオを制作し貸出を行うこと、日本語の読み書きが不得手な障害者のために選挙公報にルビをつけること、よりわかりやすく説明する者を用意することが必要である。

【松井委員】

障害者が障害のない者と平等に政治に参加できるようにするには、選挙広報など、選挙に関する情報が手話や点字で提供されるよう保障される必要がある。

現在のところそうした情報提供がきわめてかぎられていることから、障害者が選挙などの政治活動に対等に参加することを困難にしている。

【森委員】

(1)障害を有するゆえに、実質的に投票の機会が奪われ、選挙権の行使が妨げられてはならないことを前提として考えるべき。

(2)どの候補者、どの政党に投票するかについて、正確な判断情報(政見放送、政党の公約等の情報)が必要であり、そのためには、障害の特性に対応した情報提供の保障がされるべきである。

例えば、視覚障害者に対する選挙公報についての点字や音声化による提供や、盲ろう者への公報の音声読み上げのための通訳派遣制度の創設等といった情報の保障や、知的障害者や精神障害者に対して、分かりやすく、伝わりやすい情報の保障。

障害者本人が選択する情報伝達方式により情報の提供を要求し、情報の受領及び利用、並びに自ら情報を発信することが権利として認められることであり、国や地方自治体については、その機会を保障すべきである。

2.政見放送などの選挙に関する情報についてどう考えるか

【大谷委員】

どのような政見放送を流すかは、個々の候補者に最終的編集権があり、国が無断で編集し変更することはできない。しかし、点字に翻訳したり、知的障がいのある選挙民にとって判りやすく説明し直すことは、候補者が行うのではなく、公的機関が公正に実施する制度に改めるべきである。

【大濱委員】

■「意思疎通のためのあらゆる形態の保障」の理念を踏まえ、公職選挙法を改正し、国政選挙と地方選挙の両方で、法律に基づく義務として、すべて手話通訳や字幕などの情報保障を行うべきだと考える。

【尾上委員】

これも1と同様に参政権に関する重要な課題である。これも実質駅に保障さえていないのが現状である。全ての政見放送に手話、字幕を付与すべきである。

現在、例えば、字幕つき政見放送は非常に限られている。参議院議員選挙区選挙と都道府県知事選挙には手話通訳を付けることができない。全ての政見放送が政党の任意であるため、手話通訳を付けるか否かも政党の任意となっている。

このように、聴覚障害者は手話、字幕のつかない政見放送を理解する方法が全くなく、事実上政見放送の利用から排除され、国民の一員として平等に選挙に参加する機会を制限されている。公平を旨とすべき公職選挙においてこのような不公平な状況を放置することは、日本国憲法14条及び条約第4条、第29条(a)の規定に違反していると考える。

周知の通り、当推進会議では、第2回目から情報公開として会議当日の内に手話と要約筆記付きの動画が内閣府のサイトから閲覧できるようになっている。そのことにより、聴覚に障害のある人々も情報にアクセスできるようになっている。この推進会議の情報公開の例に習って、手話通訳と要約筆記を付けた形での政見放送がスタンダードな形として実施されるよう、関係法規を改正すべきである。

【勝又委員】

当然、手話、点字、口述筆記、字幕などで提供することを義務付けるべき。

【門川委員】

政見放送については、すべての政見放送について、手話及び字幕をつけ、情報保障を十分に行う必要がある。また、すべての街頭演説等において手話等の情報保障がなされることが理想ではあるが、それが物理的に困難だということであれば、インターネットを用いた選挙活動を一定程度解禁し、インターネットを通じて候補者や政党や政策についての情報をきちんと得られるような体制を整えるべきである。

【清原委員】

衆議院議員選挙、参議院議員選挙及び都道府県知事選挙では、政見放送の制度があり、聴覚に障がいがある選挙人のために、参議院議員選挙や衆議院議員選挙の候補者の政見放送には、手話通訳がつけられている。

しかし、市町村長及び市町村議会議員の選挙には政見放送は保障されていない。したがって、映像や音声による政見放送はないので、代替として、インターネットを利用した選挙に関する情報提供の検討が必要となると考える。

【佐藤委員】

参院比例区選挙では手話通訳が認められ、衆議院選挙では持ち込みビデオで政党が任意で手話と字幕をつけることは許されたが、それ以外では認められない。すべての政見放送に手話と字幕を公費でつけるべきである。

電話での投票依頼は認められているのに、ファックスは禁止され、インターネット・形態などのメールでの活動は禁止されている。話し言葉でコミュニケーションできる人とそうでない人との間で選挙活動の自由をめぐる大きな差別が存在する。諸外国のように、電話、文書、ファックス、インターネットなど、選挙活動の自由を保障すべきである。

すでに国連自由権規約に基づく第5回日本政府報告の審査(2008年10月)で、日本の公職選挙法が国民の政治活動・選挙活動(戸別訪問、文書配布)を厳しく禁止していることについて、総括所見で日本政府に「委員会は市民の表現の自由や、政治に参加する権利が制限されていることに懸念を抱く。・・・・そのような不合理な制限を課している法律を撤廃すべきである。自由権規約第19条、25条はそれを求めている」と指摘している。

【新谷委員】

人が話す姿は一つの人格を表します。それを真に理解するために、話の内容と話す姿(身振り手振りも含む)が必要です。聴覚障害者は話の内容が分からないので、字幕付与が無ければ、候補者の話の内容及び人格の理解が不十分です。聴覚障害者にとって政見放送理解は参政権の一環であり、政見放送に字幕が付かないことは参政権行使が十分履行できないといわざるを得ません。参政権行使は基本的人権です。放送局は時間的に準備ができない、技術的問題ありと言っていますが、抵触する法律、規則を変えれば出来ないことはありません。すべての政見放送に候補者・政党からの字幕付き政見放送テープの持ち込みを認めるべきです。これに対して、総務省選挙部は規則等を変える前に、政党間の不公平な申し合わせ事項(少数政党に政見放送をさせない)の撤廃が必要と言っています。政見放送の字幕付与に必要な選挙規則等改正を阻む既成政党の申合わせ事項は、意識する、しないに関わらず、聴覚障害者に対して差別を行っているといえます。

また、政党間申し合わせとは別に、総務省よりは「候補者等の発言内容を要約することについては、政見放送が選挙運動であるということにかんがみ、候補者等の発言の趣旨を正確に反映することが求められるところであり、いずれの方法によるかは、選挙の公正確保の観点に十分に留意しながら検討を要すべき課題である」と回答がありました。手話通訳については昨年衆議院比例代表にも付与が拡大されました。上記回答の趣旨は、手話通訳については「候補者等の発言の趣旨を正確に反映する」ことの確認は出来たが、字幕についてはその正確性を確認が出来ていないということでしょうか?そうであれば、字幕製作者を含めて、事実を正確に検証したいと考えます。

なお、現在の政見放送の場合の字幕・手話の付与状況は下記の通りです。

  衆議院
小選挙区
衆議院
比例代表区
参議院
選挙区
参議院
比例代表区
知事選
手話 × ×
字幕 × × × ×

【竹下委員】

近年はメディアが発達しており、紙媒体による選挙広報以上に政見放送の果たす役割が大きくなっている。それだけに全ての障害のある者に対して、政見放送が理解できる形式で提供されなければならない。聴覚障害者に対しては手話や字幕による配慮が、視覚障害者に対しては副音声による配慮が必要不可欠であり、知的障害者などに対しても副音声などによる解説や置き換えが必要である。今後インターネット(またはホームページ)を使った政見放送やメールを活用した宣伝、広報活動が予測(予定)されるのであって、そうした場面においても障害の特性に応じたアクセスないし情報処理(情報入手)が可能となる合理的配慮が実行されなければならない。

【堂本委員】

(結論)政見放送についても、可能な限り障害のある人にも情報が伝わるよう改善と工夫がなされるべきである。しかし、行政側の運用では、まだ難しいものがある。

(必要な改善点)

政見放送も、投票に当たっての重要な情報となるが、主に音声で伝えるものであることから、聴覚障害のある人が情報を得られるよう、政見放送は、衆議院(小選挙区選出)議員選挙で認められている収録ビデオ持ち込み方式に統一し、ビデオを作成する政党や候補者に対し、手話通訳や字幕を付けるなどの配慮を求めるようにすべきである。

現在、政見放送の手話通訳は、衆議院議員選挙及び参議院(比例区選出)議員選挙で認められているものの、参議院(選挙区選出)議員選挙及び都道府県知事選挙では認められていない。また、政見放送の字幕は、衆議院(小選挙区選出)議員選挙で収録ビデオを持ち込む場合のみ認められており、それ以外の選挙では認められていない。このため、聴覚障害者団体等が、独自の取組として、放送された政見放送を録画し、手話通訳や字幕を付け、それを見る会を開催するなどしているが、そうしたことをしなくてもよいように、法制を整備すべきである。

手話通訳を認める対象となる選挙の拡大ができない理由として、手話通訳士の数の問題とその地域間格差、字幕を認める対象となる選挙の拡大ができない理由として、放送技術上の問題が挙げられている。手話通訳士の確保については、手話通訳士の養成を一層推進すべきであり、字幕の放送技術上の問題については、スタジオ収録に限定せず、収録したビデオの持ち込み方式に統一すればあらかじめ字幕を入れることもできる。

【中西委員】

テレビの政見放送については、手話通訳、字幕を付けて放送することを義務化する。

【長瀬委員】

1と同様、障害者の権利条約の第29条(政治的及び公的活動への参加)(a)に基づいて、政治的活動への参加の前提として、選挙公報をはじめとする選挙に関する情報のバリアフリーが必要である。

【久松委員】

衆議院議員・参議院議員・都道府県知事選挙の全ての政見放送に、政党や候補者の任意ではなく、国および自治体の責任で手話通訳、字幕をつけることを義務づけるべきである。

選挙に立候補したろう者が利用する政見放送では、手話により政見を語る場合は、読み取り通訳をつける必要がある(無言の政見放送事件)。

また、音声を発する器官の障害者のために、代読等他の代替方法を選択できるようにする必要がある。

【松井委員】

1でも触れたが、政見放送などではごく一部を除き、手話などによるコミュニケーション保障がないため、とくに聴覚障害者が政見放送などの内容を理解することはきわめて困難である。

したがって、とくに聴覚障害者が選挙などに対等に参加するには、政見放送などに手話通訳者をつけるか、字幕スーパーをつける必要がある。

【森委員】

政見放送、経歴放送といった情報は、選挙権行使の重要な判断基準となる。障害者の選挙権行使を容易にするためは、適切な情報伝達方法を確保するための義務化が必要であると考える(合理的配慮)

3.国会での議論に関する情報についてどう考えるか

【大谷委員】

国会での議論は「官報」で、広く国民に広報されている。しかし、障がいのある人にとっては、個々の障害のために、本人一人では情報を受け取ることができず、支援者の支援(手話通訳、点字翻訳、朗読など)に頼るしかない。しかし、このような支援については公的費用負担がなされず、ボランティアか、障がいのある人自身の負担となっており、改善すべきである。

【大濱委員】

■「意思疎通のためのあらゆる形態の保障」の理念を踏まえ、テレビやインターネット(衆参両院のホームページ)で国会審議を中継する場合には、特に手話通訳や字幕などの情報保障を行うべきであることを、法律で規定するべきだと考える。

【尾上委員】

基本的には上記2と同様に、生中継においても手話通訳、字幕を付けて放送すべきである。少なくとも、当面、録画放送では早急に義務化すべきである。

【勝又委員】

当然、手話、点字、口述筆記、字幕などで提供することを義務付けるべき。

【門川委員】

国会で行われている議論は議事録として公表されているほか、すべての審議がインターネット中継・ビデオ配信されるようになっているが、障がい者制度改革推進会議で実践しているような要約筆記(字幕)及び手話通訳による情報保障の導入も検討すべきである。

【川﨑委員】

テレビ放送では手話や字幕を入れるべき。

【新谷委員】

国会中継や記者会見の生中継に対しては100%字幕を付けるべきです。これらの番組は画像情報ではなく音声情報に依拠しています。この音声情報に字幕が付かないのは情報の遮断であり、聴覚障害者に対する差別を通り越した権利侵害、虐待ともいえます。本件に関するNHKの聴覚障害者団体への回答では、「内容の正確さに万全を図る必要があることは他の番組と同様ですが、政治的議論は、声の大小、高低、間など、微妙なニュアンスも含めて伝えないと公平さが図られないという側面があります。これらを生字幕で表現することは、不可能に近いといえます。」となっています。この回答は情報へのアクセスの制限に止まらず、政治参加への公平を冒し、聴覚障害者の政治参加を拒む明確な差別と云えます。

【竹下委員】

国会における審議が国民全般に対して十分に広報されていないことがまず問題である。民主主義の貫徹のためにも、インターネットなどを活用したり、デジタル放送を踏まえて、いつでも誰でもが審議の内容を知ることができる環境(条件)づくりが必要である。その際、障害のある者に対しても、その特性を踏まえた情報へのアクセスが保障されていなければならない。たとえば、視覚障害者の場合、容易にアクセスができ、その内容を十分に閲読できる配慮がされていなければならない。

【堂本委員】

(意見)国民にとって、国会での議論を知ることは、政治に参加するための重要な権利であるが、現在、国会中継は、手話通訳や字幕が付いていないため、聴覚障害のある人がリアルタイムに情報を得ることが難しい。

そこで、テレビやインターネットによる国会中継では、聴覚障害のある人に対する配慮として、手話通訳や字幕を付けることを検討すべきである。自治体においても、東京都議会など、手話通訳付きで同時中継放送しているところもある。

会議録については、例えば衆議院では、会議後概ね1週間から10日で公表されているが、国会中継に聴覚障害のある人への配慮がないと、このタイムラグは大きい。

【中西委員】

可能なかぎり、生中継において、手話通訳、字幕を付けて放送するよう努めるとともに、録画放送においては、これらを義務化することが必要である。

【長瀬委員】

単に障害に関するバリアフリーとしてのみならず、政治に関する情報公開、適切に情報提供という観点からも、字幕や手話をはじめとする情報保障が必要である。

【久松委員】

テレビ放送やインターネット放送等による国会中継などの情報には手話通訳・字幕がついていないため、聴覚障害者は疎外されている。手話通訳・字幕をつけることを義務づける必要がある。

また、都道府県議会や市町村議会で傍聴するときに手話通訳をつけられる制度を導入している地域が増えているが、国会、都道府県議会、市町村議会のすべてにおいて、手話通訳または要約筆記を聴覚障害者の依頼に応じて配置する制度が必要である。

音声を発する器官の障害をもつ議員のために、代読等他の代替方法を選択できるようにする必要がある(中津川議会事件)。

【松井委員】

1と同様、とくに聴覚障害者が国会での議論に関する情報を得るには、手話通訳者をつけるか、あるいはパソコン要約筆記などの提供が必要と思われる。

【森委員】

等しく情報が提供されるような情報伝達方法(手話、副音声、代読等)と、全ての障害者が理解できる適切な伝達方法の義務化が必要と考える。

選挙の仕組み

1.選挙権、被選挙権に関する欠格条項(成年被後見人であること)をどう考えるか

【大久保委員】

選挙権は国民の最も重要な基本的権利であり、成年被後見人の選挙権の剥奪は、その基本的権利を損なうものであり、公職選挙法を改正すべきと考える。

【大谷委員】

現在の公職選挙法では、後見審判を受けた成年被後見人について選挙権、被選挙権が認められていない。障害を理由とした欠格条項については、障害のみを理由に一律欠格とするのではなく、個々の制度趣旨に従い、資格を認めることができるか否かを実質的に判断する方法を採用すべきこととされている。

選挙権、被選挙権についても、同様の制度に改めるべきである。

【大濱委員】

■成年後見制度が主に財産管理を目的としていることに対して、選挙権や被選挙権まで制限することは不合理であるので、欠格条項を早急に見直すべきだと考える。

【尾上委員】

選挙権及び被選挙権は、市民の公民権であることから限定すべきではない。

そもそも成年後見制度は契約行為における後見制度であり、その是非はともかく、選挙権等の権利行使に流用することは大きな誤りであり、早急に、この欠格条項はなくすべきである。

同様に、成年後見人制度が、様々な欠格条項に流用されていることは大きな問題である(最後の『その他』の項目参照)。

【勝又委員】

なくすべき

【門川委員】

選挙権、被選挙権に関する欠格条項について、成年被後見人であることをもって欠格とすることは不適切である。選挙権については、成年後見人が成年被後見人の意思を十分に尊重したうえで成年被後見人の選挙権行使を支援する(あるいは代理記載する)ということも考えてよいと思う。また、被選挙権についても、成年被後見人であるからといって一律に欠格とする必要はなく、日常生活及び社会生活を通じた適切な支援が常になされることを前提としたうえで、成年被後見人であっても被選挙権を認めるべきであろう。

【川﨑委員】

成年後見制度は、本人の財産管理や契約など、法律行為に関することで、本人の判断能力の不十分さを保護、支援するものであり、成年被後見人であることで、選挙権、被選挙権に欠格条項があることは見直されるべきと考える。

【清原委員】

重要な論点であり、丁寧な検討が求められる。

【佐藤委員】

成年被後見人となるのは、主に財産管理に関する判断力が著しく低下している場合であるが、そのことがすなわち選挙での投票能力がないことを意味するものではない。WHOのICFでは、マイナス・できないことだけを見るのではなく、プラス・できることも、総合的に見ようと促している。できることを活かし、できないことは環境で補って平等な社会参加をというのが障害者権利条約にもあらわれている。

実際には多くの有権者は、家族が応援しているから、年が若いから、女性だから、同じ市の住民だから、などで投票先を決めている場合も多く、必ずしも厳密に政策や理念を分析して決めているわけではない。もし成年被後見人の選挙権を剥奪し続けるのであれば、「投票に必要な判断能力」とは何か、政府は明確な説明をしなければならない。

【新谷委員】

財産権に関する成年被後見人制度を基本的人権である選挙権、被選挙権の制限に使うことは許されません。

【竹下委員】

現行の成年後見制度のうち、後見人が付された場合に、障害のある人から参政権を奪う結果となっており、その範囲で違憲違法である。たとえ、知的障害を有していたとしても、あるいは成年後見が付されている場合であったとしても、被選挙権及び選挙権は保障されなければならない。そうした人たちに対しては、適正なあるいは的確な判断に至るための情報提供や補助者が準備されることが必要であるとしても、選挙権そのものを奪うことは誤りである。

知的障害を有する者が自らの利益を確保し、あるいは同一障害を有する仲間の声を反映するためには、選挙権の行使(場合によっては被選挙権の行使)は絶対に保障されなければならないのである。

【堂本委員】

(結論)成年被後見人の選挙権の欠格条項は、見直すべきである。

(意見)

成年被後見人に選挙権を認めない理由について、従前の禁治産者が成年被後見人の制度に変更されたもののその対象は一致すること、選挙時に事理を弁識する能力を有しているかを審査することは実務上困難であることが挙げられている。

しかしながら、選挙権は、国民固有の権利であり(憲法第15条第1項)、民主主義社会における最も基本的かつ重要な権利であることから、その制限については必要最小限のものに限定しなければならない。成年後見制度は、主に本人の財産保護のための制度であり、財産の管理処分の判断能力がなくても選挙で誰に投票するかを認識できる場合もある。また、投票時に他人に迷惑をかけるわけでもなく、選挙権を否定してまで守るべき公益はない。したがって、欠格事由とする合理的な理由はないと考える。

一方、被選挙権の欠格条項については、合理的な理由があると考える。公職の候補者になるには、財産の管理処分の判断能力があることが必要と考えるからである。

【中西委員】

市民の公民権であることから限定すべきではない。特に知的や精神障害を理由として公民権を制限することは、主権在民とする憲法及び障害を理由とする差別禁止を掲げる条約違反といえることから、その改善が必要である。

成年後見制度は、障害者本人が金銭管理できない状況にある時に本人の意思をうけて代わって管理をしたり、不利な契約をしてしまった場合に取消ができるなど、単独では適切な判断をすることが難しい人の財産や契約を保護するものである。成年後見のそのよう側面と、障害者本人が選挙で投票する判断力をもっているか否かは、本来関係がない。いろいろな社会的活動ができるかとは、さらに別の問題である。誰にでももっている能力が発揮される状態とそうでない状態が混じっているはずである。必要なのは、その人に何か難しいことがあり、そこについて支援することなので、いかに本人の判断や行動をサポートしていくかが第一の課題となる。

日本で選挙制度が始まってから1945年まで、選挙権・被選挙権は男性のみであり、かつ、発足当時は一定の資産をもつ人に限られた。その歴史を、今も引き継いでいるため、財産の管理と選挙権とが結びついていて、しかも、本人の判断や行動を支援する適切な人的サポートが不足しているので、選挙権・被選挙権を制限する結果になっている。

既に愛知県内では「知的の障害のあると言われる人」の投票が選挙候補者の広報に○付けという方法で認められている。権利行使を認める気持ちがあれば、許容範囲を広げることは容易である。

【長瀬委員】

後見人を付けることで、選挙権、被選挙権を失う現在の公職選挙法第11条

(1)の規定は明確な差別条項であり、至急、撤廃が必要である。

【久松委員】

欠格条項は削除すべきと考える。

【松井委員】

現在のところ成年被後見人は、選挙権、被選挙権ともないが、少なくとも選挙権については、必要な支援があればその権利を行使することは可能であることから、選挙権の欠格条項については、見直す必要がある。

【森委員】

選挙権、被選挙権の欠格条項は、成年被後見人、被保佐人を除いて、禁固刑以上の刑罰に処せられその執行を終えるまでの者等の他、選挙に関する犯罪を犯した者のみである。

成年後見人制度は、本来、障害者等を支援するための制度であるが、本人の意思に関係なく一方的に人権をはく奪することは許されるべきでない。しかも重度の障害者でも後見開始の審判を受けない限り、選挙権等ははく奪されないという矛盾があり、見直すべきである。

2.投票所への移動支援をどう考えるか

【大谷委員】

投票所の中はバリアフリーに改善されていても、自宅から投票所まで、障がいのない人が徒歩で向かうのと同様の努力で移動することは困難で、結局家族かボランティアに頼るか、若しくは介助費用を負担することになる。

しかし、投票は障がいのある人にとって主権者として重要な意思表示であることを考えれば、投票所への移動に対しては、公的保障制度を創設すべきである。

【大濱委員】

■投票所への移動は勿論のこと、移動支援全般を義務的経費とし、障害者の移動の権利を保障するべきである。また、選挙(期日前投票を含む)に行くための時間は別途上乗せて支給をすべきである。

■自立支援法/総合福祉法で移動支援の支給決定を受けていない場合にあっても、国の責務として、投票所への移動の支援を保障するべきだと考える。

■地域の交通事情や選挙が行われる時期により、必要な場合には、ドアツードアによる個別の移送なども実施すべきだと考える。

【尾上委員】

別枠で移動支援等の障害福祉サービスを利用可能とするべきである。

選挙権公使は、国民の権利及び義務であることから、重度訪問介護や移動支援等の障害福祉サービスを利用している場合は、障害当事者の求めに応じて、投票に際して、必要に応じて、(普段の生活に使っている利用時間が不足しないように)別枠でサービス利用を可能とすることが必要である。

【勝又委員】

これは、日常の生活支援の中で行われるべきであり、アセスメントの時に予定される投票については行くことを前提にプランをたてるべき。使わなかった(投票に行かなかった場合)時はサービスは提供されない。

【門川委員】

投票所への移動支援は、投票という場面に限定した支援として提供されるべきではなく、通常の支援の一環として提供されるべきである。その場合、投票にかかる移動支援については特に(通常の移動支援が一定程度の自己負担を前提とした制度に基づいている場合でも)無償とする必要性が高いと思われる。

【清原委員】

投票所に行けない重度の障がいのある選挙人のために、郵便投票の制度があるが、郵便投票に該当しない方で介助等が必要な選挙人は、現状では家族等あるいは福祉移送サービス等の利用で移動している。

国が移動支援をする場合については地域格差があってはならない。支援をするならば、財源と政治的に公正中立な立場での支援が保障されなければならない。

【新谷委員】

投票は公務の執行という側面がありますので、一般人が通常負担する以上の移動手段・支援を必要とする場合は、公的な援助も必要と考えます。

【竹下委員】

現行選挙制度は投票所における投票を原則としているが、これにこだわるべきではない。デンマークで実施されているように、選挙管理者が選挙権を行使しようとする障害のある選挙権者の下に出向いて投票させるという制度も考えられるのである。投票所に出向くか、移動が困難な障害のある者の居住場所において投票する機会を保障するかは、選挙権者の選択に委ねられるべきである。もちろん投票所での投票を選択した場合には、そのための移動に関する支援は公的責任において実施されるべきことは当然のことである。

【堂本委員】

公職選挙法は、「選挙人は、選挙の当日、自ら投票所に行き、投票をしなければならない。」と規定している(第44条第1項)が、盲ろう者、視覚障害のある人、肢体不自由の人などは、移動支援がないと、自力で投票所へ行くことが難しいことから、盲ろう者の通訳介助員、視覚障害のある人のガイドヘルパーなどが投票所への移動支援と同時に投票行動に必要な支援ができるようにすべきである。

また、投票所に障害者用駐車スペースを確保することも、たいへん重要である。

【中西委員】

別枠で移動支援等の障害福祉サービスを利用可能とするべきである。

選挙権行使は、国民の権利及び義務であることから、重度訪問介護や移動支援等の障害福祉サービスを利用している場合は、障害当事者の求めに応じて、投票に際して、必要に応じて、別枠でサービス利用を可能とすべきである。

【久松委員】

移動支援は参政権保障のために必要である。

【松井委員】

移動支援があれば投票所に行ける障害者については、障害のない者と対等に投票所で投票ができるよう、必要な移動支援が提供されてしかるべきであろう。

【森委員】

公職選挙法第44条第1項“選挙人は選挙の当日、自ら投票所へ行き、投票しなければならない”が原則である。従って、選挙人となる障害者本人の投票所への行き帰りと投票所内での行動についての介助支援(手話通訳派遣等を含む)の確保が必要であり、それができない場合は、本人の意思の確認のもと、代替措置制度を取り入れることが必要と考える。

3.投票所の物理的バリアーをどう考えるか

【大谷委員】

全国の現状は把握していないが、物理的バリアフリーは保障されているものと承知している。もし、個々の障がいのある選挙民から投票できない現状が指摘されれば直ちに改善する体制が取られるべきである。

【大濱委員】

■そもそも投票所になるような公的施設は、すべてバリアフリーであるべきである。

【尾上委員】

投票所はバリアフリーな環境とすべきである。参政権行使の基礎である。

【勝又委員】

バリアフリーができていない場所があれば点検をおこない指導すべき。都市部でも小学校の体育館を利用するときに、出入り口に臨時のスロープをつけたりすることがある。それらは臨時につけるのではなく、建物の構造をバリアフリーにしておくことにで、投票以外にも施設を使う人にバリアフリーの条件をえるように改善すべきだ。

【門川委員】

多くの障害者が安心して投票できるように、投票所内の環境を整える必要がある。投票所は小学校の体育館等の公共施設であることが多く、バリアフリーであるべきだが、投票所として使用する際に必ずしも万全の環境を整えることができないことも想定され、そのような場合には、選挙事務従事者が個別の有権者に対して適切な支援を行う必要がある。

【清原委員】

自治体では、たとえば、投票所で段差がある場合には、スロープを設置するなど、必要に応じて物理的バリアーの対策を講じているので、その有効性を担保したい。

【佐藤委員】

東京都選挙管理委員会の調査では、投票所の30%で段差があり、車椅子利用者がひとりでは入れないとのことである。全国的にはアクセスはさらに深刻と思われる。早急な改善が必要とされる。

【新谷委員】

障害者が投票するために障壁となるバリアーは、投票所設置側で除去すべきです。

【竹下委員】

投票所がバリアフリー化されるべきことは当然のことである。仮に、一般向けの投票所のバリアフリー化が困難である場合には、車いす使用者などが投票できるための特別の投票所が別個に準備されなければならない。

【堂本委員】

入口の段差をはじめ、投票所の物理的バリアーがまだ多く存在することから、国及び地方公共団体は、その解消に努力すべきである。

具体的には、投票所を設置する市町村においては、高齢者や身体障害者等にも配慮して、投票区の中で最も適切な施設を選定して投票所を設けるとともに、必要な設備(簡易スロープ、手すり、車いす、車いす用記載台、点字器、拡大鏡、補助照明、簡易筆談器など)を備えることとし、国及び都道府県はそれを支援すべきである。

(参考)

総務省の調査によれば、平成19年の参議院議員通常選挙のときに、入口に段差のある投票所は55%にのぼり、投票所を入口と同一フロアに設置できないところも2%あった。

【中西委員】

投票所は役所や小学校、公民館、市民センターなど公的な場所で、避難所に指定されている施設であることが多い。早急にバリアフリー法の整備と実施を行い、すべての投票所のバリアフリー化を実施しなければならない。

【長瀬委員】

物理的バリアーの解消は欠かせない。

【久松委員】

投票の秘密が保障されることを基本に、物理的バリアーは一切なくすべきである。

【松井委員】

2と同様、障害者が障害のない者と対等に投票所で投票ができるよう、投票所は基本的には、バリアフリーにすべきであろう。

【森委員】

投票所における物理的バリアフリーについては、段差解消用のスロープや身障者用投票記載台、特設照明、点字による候補者の掲示等が各自治体の便宜供与に任されているが、今後は、障害の特性に対応した整備を整えることは合理的配慮として義務化するべきである。

4.投票所内での障害に応じた必要な配慮をどう考えるか

【大久保委員】

知的障害のある人たちの中には読み書きが不得手で、自書し投票することが困難な人たちがいる。また、候補者について、本人と氏名が同一人物であることを判断することも困難な場合がある。

現在、これら知的障害のある人たちへの対応については、地方選挙においては記号投票あるいは代理投票、衆参議院選挙では代理投票が行われているかと推測するが、各市町村や投票所の対応に開きがあり、知的障害のある人が投票しづらい状況がある。

ついては、次のような配慮が求められると考える。

①現行の代理投票の仕組みや知的障害のある人たちへの補助者の対応の在り方などについて各市町村に周知徹底を図ること。

②衆参議院選挙においても記号投票を導入する。その際、○印が明瞭に記入されないことも配慮し、併せて補助者の活用も考慮すること。

③候補者氏名と併せて同候補者の顔写真を掲示あるいは示すなどにより、候補者本人を特定できるように配慮すること。

【大谷委員】

全国の現状は把握していないが、投票所内での配慮は保障されているものと承知している。もし、個々の障がいのある選挙民から適切な配慮がなされていない現状が指摘されれば直ちに改善する体制が取られるべきである。

【大濱委員】

■現在の自署式は、文字を書くのが困難な人にとってはハードルの高い投票方法であることから、最高裁判所裁判官の国民審査のようなリストにマルをつける方式など、あらゆる人にとって容易な投票方法へと変更するべきだと考える。

■自署式投票については、文字を書くことが困難な障害者のプライバシーを保護するため、投票所の係員による代筆に加えて、障害者が連れてきた介護者による代筆を認めるように変更するべきだと考える。

【尾上委員】

全身性障害者等、介護が必要な者については、本人の希望に応じて介助者の投票所内への同行及び代筆を認めるものとする等の配慮が必要である。

公正性を危惧するのであれば、選挙管理員が、投票に関する介助等の状況を確認することは可能とする。なお、現行では、選挙行為時は、介助者の動向と介助が認められていないことから、当該障害者の投票所内での車いす移動等における対応や、言語障害のある障害者は、選挙管理員とのコミュニケーションに不安や問題をかかえていることからも介助者の動向と代筆を認めることが必要である。

「事例 障害者男性・40代」

投票所に行くと、介助者は入り口で待機しなければならない。選挙管理委員の人が車椅子を押して投票の書くとこに行く。テーブルが小さいところだと足がぶつかる恐れがあるため、大変危険が伴う。次に、投票用紙に書くときに聞いてくるが言語障害があるため、選挙管理委員の人が分からないということがある。そのため間違う可能性がある。なぜ介助者が一緒について来れないのか疑問に思う。公平性を保つためなら選挙管理委員の人が一緒についてくれば公平性が保てるのではないか。

【勝又委員】

介助者が同行する場合はとくに問題ないが、介助者がいなくて必要な配慮がある場合は、積極的に配慮をするようにすべき。ただ、どのような配慮がしてほしいのかについては、当事者が表現するか、または代わりの人が伝えなければわからない。選挙管理委員会に対して、役に立つ配慮の例などを周知するように政府が指導する必要があるのではないか。

【門川委員】

障害者のニーズに即した支援や配慮を提供できるように、選挙事務従事者に対して事前に研修を行うことによって、障害者がきちんと権利を行使できる体制を整えるべきである。

【川﨑委員】

障がい者に応じた、丁寧な案内ができる、投票所内の人員配置が求められる。

【清原委員】

自治体では、現状、いろいろな配慮を行っている。たとえば、三鷹市では、選挙人の要望により、投票所内での介助をはじめ、各投票所には車いすを配置している。視覚に障がいがある方のために、拡大鏡(ルーペ)や点字器(台つき式や懐中式)を用意している。また、立っては文字が書きにくい方のために最低1台は座って書ける記載台を設置している。

通常の投票記載台にも投票中に杖をおける器具を設置している。

ただし、すべての投票所に手話通訳のできる職員の配置をするなど人的支援は現状では困難な面もあるので、検討が求められる。

【佐藤委員】

投票所の段差の解消、照明を明るくすること、車椅子利用者用の投票台、点字器の設置、手話の分かる係員の配置などの改善が必要である。

点字投票での裁判官国民審査は、不信任の場合その裁判官名を点字で書かねばならない不自由なものであり、投票しやすいものに改めるべきである。

「名前を書く」が投票の基本となっているが、人の名前の上に丸をつけるとか、人の名前と写真の上に丸をつけるなどの、投票しやすい方式にすべきではないか。手で書くことが困難な場合、ワープロで表現することも認めてよいのではないか。

障害者権利条約第29条a-iでは「投票の手続、施設〔設備〕及び資料が適切であること、アクセシブルであること並びに理解し及び利用しやすいことを確保すること。」(川島・長瀬仮訳)と、多様な障害を念頭に合理的配慮を求めている。

【新谷委員】

投票行為に本来的に必要とされる配慮・支援は、無条件で準備すべきです。これは合理的配慮ではなく端的な「配慮・支援」義務です。

聴覚障害者の場合、本人確認において口頭で「○○さんですか」と云われますが、受付等に「耳が不自由な人は申し出てください」という看板等を提示すべきです。

【竹下委員】

今日においてもある程度の支援(配慮)がなされているが、今後は当該選挙権者の個別的なニーズに応じた支援が準備されるべきである。たとえば、選挙権者としての障害のある者から、事前に配慮してほしい条件や補助者などについて申し込むことができる制度を創設すべきである。

【堂本委員】

3に記した設備を活用して障害のある人への配慮を行うのと併せて、投票所に移動介助員を配置し、必要なときに介助を行えるようにすべきである。

また、弱視の人や高齢者に配慮した拡大文字による候補者一覧などを準備することが望ましい。

さらに、盲ろう者が代理投票する場合に投票事務従事者とコミュニケーションが取れない場合(盲ろう者が口語で話せず手話を使う場合など)には、投票管理者は、盲ろう者通訳介助員の入場を認め投票への立ち会いを認めることを検討する必要がある。

【中西委員】

投票所では、介助者の同行及び代筆を認めることが必要である。

全身性障害者については、本人の希望に応じて介助者の投票所内への同行及び代筆を認めるものとする。また、公正性を危惧するのであれば、選挙管理員が、投票に関する介助等の状況を確認することは可能とする。なお、現行では、選挙行為時は、介助者の動向と介助が認められていないことから、当該障害者の投票所内での車いす移動等における対応や、言語障害のある障害者は、選挙管理員とのコミュニケーションに不安や問題をかかえていることからも介助者の動向と代筆を認めることが必要である。

【長瀬委員】

合理的配慮として必要である。

【久松委員】

投票所の受付担当者は、事前に、障害者への対応について研修を受けるべきである。

また、手話通訳者や手話のできる職員を配置するか、筆談での対応に応じられるようにする配慮が必要である。

理由

投票所の受付担当者が、聴覚障害者が来て「聞こえない」と言ったところ、もういい、という態度を示して投票用紙を渡したという事がある。

また、投票所に一番目に並んだにも関わらず、投票箱の点検を二番目に並んだ人に強制的に変えられたことがある。

【松井委員】

障害者が、他の者と対等に投票所で投票できるようにするには、投票所内で障害に応じた必要な配慮がされてしかるべきと思われる。

【森委員】

憲法の参政権保障を受けて、公職選挙法等により障害者に対する一定の配慮がされ、選挙権特に投票権を中心に一定の制度的保障がされているが、十分とはいえない。障害の特性に応じた必要な配慮は必然であり、障害者権利条約29条に定められている、「選挙人としての障害者の意思の自由な表明を保障すること。このため、必要な場合には、障害者の要請に応じて当該障害者が選択する者が投票の際に援助することを認める」とすることが実効性を伴うものとなるような環境をつくることが必要である。

5.投票所内で投票できない場合の現行の代替措置(郵便投票など)をどう考えるか

【大谷委員】

郵便投票制度は、かつて、身体障害者手帳1級、2級の場合に限定されていたところ、ALSの患者、要介護5以上の在宅の高齢者については、郵便投票が拡大適用されるようになった。しかし、このような個別要件で拡大適用しても、少数の類型の障がいのある人々が漏れてしまう。たとえば、身体障害はないが強迫神経症で自宅から出られない事例も裁判で争われたことがあり、最高裁はこのような事例について法改正の必要を認めている。

国は、早急に郵便投票などの制度を整備して、障がいのある人々が、それぞれのニーズに応じて投票の機会を保障できるよう合理的配慮を実施するべきである。

【大濱委員】

■障害者に対する権利保障と、選挙の公正性の維持を両立させるため、係員が障害者の自宅を訪問して投票を受け付ける制度を創設するべきだと考える。

■郵便投票については、本人の意に反して他人が記入することの防止策を十分に検討したうえで、郵便投票や代理記載制度の対象範囲の拡大、手続きの簡素化、制度の周知などを実施するべきである。

■閉鎖的な入所施設での不正投票事件が発生していることから、不在者投票施設の指定制度は廃止すべきである。

【尾上委員】

郵便投票については、多くの障害者が知らないことから投票用のハガキ、選挙放送時等のあらゆる場面で、郵便投票に関する広報が必要である。しかし、郵便投票は、本人の希望に基づき実施するもので、強制的な措置としてはならない。そのためにも、前述した投票所のバリアフリーや必要な配慮を確保するなど、どんな障害があっても投票所で投票できる条件整備を行うことと平行して進めるべきである。

また、郵便投票の実施については、その範囲やあり方についても障害者に特定すべきかどうか、別途、検討し、期日前投票と同様にその内容を障害者に特定しないように緩和することも必要と思われる。

現在、投票所では、介助者の代筆等は、認められていないが、入所施設や病院によっては、施設職員等の直接処遇職員が、対応している。特に障害者の入所施設では、生活者としての障害者の人権やプライバシー保護の視点から、このような仕組みは、廃止し、選挙管理員の同席等、障害者の投票の秘密が、施設職員に明らかにならないように配慮することが必要である。

「事例 障害者 男性 30代」

ケガをして病院に入院している時、ちょうど選挙の時期にぶつかり入院しているから選挙には参加出来ずにいました。その時、病院で期日前投票が病院の中でも出来ると看護師から聞き、病院で出来ると思い病院側にお願いをしました。僕はてっきり選挙管理委員の人が来ると思い、楽しみに病院の中の選挙はどうゆうものかと思いました。僕のイメージと離れて病院の事務員が腕章をつけ、病室に病棟の婦長と何人かの職員がチームを組み、選挙をお願いした患者のベットを回ってきました。ただ紙を渡され、候補者の名前が書いた紙をみせられ、僕は書くことが出来ないので病棟婦長に代筆をしてもらいましたが何人かで回ってきてベットを囲まれて、まるで病棟回診みたいな気持ちになりました。

また別な病院では会議室を臨時の投票所になり、事務長を始め職員の方々が数名見ているなかでの投票でした。その時思ったのは、はたしてこの投票が各区の住んでいる所の区役所に届いているかと思っていました。選挙は国民1人1人が立候補者を選ぶ大事な権利であるのに、この投票が選挙管理事務所に届くのか不安になりました。

【勝又委員】

社会参加のもっとも重要なことの一つなので、投票が可能になるように最善の方法をとるべき。

【門川委員】

郵便投票制度及び代理記載制度が十分に認知されているとは言えない状況であり、選挙についての一般的な広報活動を行う際に、併せて十分に周知する必要がある。

【川﨑委員】

投票所に行きにくい精神障害者(入院中、引きこもり)には、代替制度は必要だが、現行の郵便投票は手続きなどが複雑であり、利用しにくいのではないか。簡潔にして利用しやすくする必要がある。

【清原委員】

将来を考えると、投票の秘密や選挙権の確実な行使を保障し、重複投票を回避し、訴訟にも耐えるなどの点を考慮した、公正さを担保した電子投票の検討が求められる。

現行の自書主義についても検討課題となると言える。

【佐藤委員】

郵便投票は合理的配慮の一つとして有効なものだが、自分で書くこと(自書)しか認めていないが、手が不自由で書けない人の投票権が保障されない。日本ALS協会の会員が提起した国家賠償裁判では、東京地裁がすでに2002年11月に「この状態は憲法違反」との判決を出している。

また郵便投票は要介護4以下の人には認められていないが、介護者がいなければ投票所まで行けない人も多い。介護保険はこうした社会参加のためのサービスを認めていない。

「障害を持つ人の参政権保障連絡会」では、巡回の選挙管理委員などによる「動く投票所」など投票権の保障をもとめており、制度化を検討すべきである。

精神病院、入所型の介護保険施設、障害者の入所施設、救護施設などでの選挙権行使の保障がどのようになっているか、早急に実態を調査し公表すべきである。これらの場所で生活している人々は、もっとも政治が注目しなければならない状態にある人々であり、本来一般の投票率を上回って当然である。

入所型施設等では「不在者投票所」の指定を受けて施設内での投票を行うこともできるが、都道府県による指定の実態は、36都道府県では定員50人以下の施設でも指定しているが、その他は50人以上に限っている、という(法学館憲法研究所のウエブページより)。老人福祉施設を含めて、地域密着型の小規模施設が増えている現状と矛盾している。認知症高齢者などなれない投票所に出向いてパニックを起こし投票できずに帰ってきた例もあるという。上記ウエブページでは、国光哲夫氏が「『たとえ寝たきりでも、ベットの上からでも、社会とつながっていたい、1票を投じたい』そんな普通の願いに応えてくれる社会であってほしいと思います。」と書いている。

【新谷委員】

認めるべきと考えます。

【竹下委員】

現行の郵便投票制度は不完全であり、新たな不平等を持ち込んでいる。郵便による投票を利用できる障害のある選挙権者の範囲を医学的ないし形式的基準によって定めているが、個別的な事情やそれぞれの障害の特性に応じて、投票所に出向くことが困難である限りは郵便投票制度を利用できるようにすべきである。ましてや点字による郵便投票を認めていない点は明らかに不備であり、差別である。

【堂本委員】

現在、投票所内で投票できない場合の代替措置としては、都道府県選挙管理委員会が指定した病院や老人ホーム等に入院・入所している人が利用する不在者投票と、重い身体障害のある人や介護保険の要介護5の人などが利用する郵便投票などがある。

指定病院等における不在者投票については、法改正時の附帯決議にあるとおり、選挙の公正確保に配意する必要がある。

郵便投票については、平成16年3月1日から、対象者が拡大され、介護保険の要介護5の人などが利用できることとなり、併せて自ら投票の記載をすることができない上肢、視覚の障害1級の人は郵便投票の代理記載をすることが認められた。これは、たいへん意義のあることであるが、難病の人や対人恐怖症、パニック障害の人などは、投票所に行くことが困難な人もいるので、対象者の範囲の拡大について検討すべきである。

【中西委員】

郵便投票は例外的な措置として残しておく。

しかし、指定病院等における不在者投票においては不正が報告されることがある。投票用紙などは病院長等を通じて請求することができ、投票は病院長等の管理する場所で行うことになっている。このような場合、代筆は施設職員となり投票の秘密がまもられなかったり、欲しない投票を強いられることもある。選挙管理委員の立ち合いが難しい場合には、個別の郵便投票は必要である。

【長瀬委員】

2003年の改正公職選挙法により導入された代筆による郵便投票制度の対象のさらなる拡大の検討が求められる。

【久松委員】

郵便投票などの代替措置は必要である。

【松井委員】

種々の配慮をしても投票所に行けない障害者については、本人に事情を十分説明し、その納得を得た上で、代替措置をとることもやむをえないと思われる。

【森委員】

投票について、公職選挙法上限られてはいるが、障害者の活用できるものとして、郵送による在宅投票、入所施設における投票、点字による投票、代理投票の制度があるが、投票所内で投票できない障害者のニーズに充分に応えているかという視点から見直し必要がある。

6.点字投票の場合における投票の秘密をどう考えるか

【大谷委員】

点字投票がどのような方法で実施されているかは、明らかではありません。

選挙管理委員の前でなされているなど、投票の秘密を侵害する方法で行われているのであれば、直ちに改善されなければなりません。

【尾上委員】

点字投票は視覚障害者にとって権利行使のための必須の投票方式である。

これを前提として、小規模自治体選挙等において、点字投票を行った視覚障害者の秘密投票の権利が侵させる恐れがあるため、何らかの対策が必要である。

【勝又委員】

守秘義務がある者が開票にあたれば問題ない。

【門川委員】

投票の秘密は当然守らなければならない。点字投票が少数であるが故にその秘密が害されれば、それは秘密選挙の原則に反するものとなるが、秘密を守ることこそが選挙事務従事者の責務であることは明確であり、また、点字によって投票を行う際に、白票であるかどうかを含めて他の選挙人にも「わかってしまう」可能性が否定できないため、ついたてや書記台といったハード面での配慮をするほか、必要に応じて別室で投票(用紙への記入)ができるようにすることも検討すべきであろう。

【清原委員】

現状では、開票の際には各投票所の投票を混ぜるようにしており、投票の秘密を保つようにしている。なお、選挙従事者には守秘義務がある。

【佐藤委員】

点字投票を当該選挙管理委員会の関係者以外の複数の担当者(守秘義務など特別に義務付けられた特別職)が墨字に訳し、一般の投票箱にいれるようにしたらどうか。

【新谷委員】

点字投票というのはどのような仕組みか理解しておりません。

【竹下委員】

現行制度の下においても、点字による投票の秘密は守られているはずである。しかし、点字による投票が1票ないし少数である地区において、投票した者が特定されてしまうために、結果的に投票の秘密が保障されない場合が生じている。そうした弊害は、点字投票を普通字に置き換える際に非公開などの措置によって配慮すれば解決できる問題である。

【堂本委員】

点字投票が特殊であり少数であることから、投票の秘密が守られるように、開票の際、点字投票用紙を読む人を守秘義務の課される自治体職員にすべきである。点字を読める職員がいない場合、外部の人に解読を委嘱することになるが、守秘義務を課し宣誓書を提出するなどの措置をとるようにすべきである。

【中西委員】

電子投票の実施、介助所の同行など、点字投票以外を視覚障害者が希望する場合選択肢をもうけ、個人の秘密が守られるようにすべきである。

【長瀬委員】

障害者の権利条約の第29条(a)(iii)に認められている秘密投票の権利が確保されなければならない。

【久松委員】

投票の秘密は守られるべきである。

【森委員】

点字投票の場合の問題は、①点字を打つ音で誰に投票したか判る場合があること。②点字投票が少ないと、誰に投票したか特定される場合も考えられる等、投票の秘密を規定した憲法第15条第4項の規定に抵触すると思われることからも、緊急に障害当事者・団体等と検討する必要があると思われる。

政治活動

1.障害者が候補者としての選挙活動や政党の活動等に参加する際に必要な支援をどう考えるか

【尾上委員】

学校への通学の際に介護制度が利用できないことが教育という基本的権利にかかわる大きな問題であるのと同様、選挙、制度等において、障害者が、障害のない人々と同様の機会が保障されるための支援は、合理的配慮として考えるべきであり、行われない場合は障害に基づく差別に該当すると考える。そして、制度と予算を確保することが必要であり、実施に際しては、サービス利用者である障害者の生活を中心とした制度として設計し、行政等の縦割りにならないがシームレスな制度とすることが必要である。

【勝又委員】

個人の生活援助としてニーズに基づくアセスメントを行い、支援を行うべき。パーソナルアシスタントやダイレクトペイメントの導入により可能になる。政治活動を特別に考える必要はない。

政党が構成員のためとして、自らの資金で上乗せで支援をすることは自由、むしろ何らかの方法で奨励することができれば、障がい当事者の政治参加の促進に役立つと思う。

【門川委員】

障害者が候補者として選挙活動や政党の活動等に参加する際に必要な支援は、通常の支援の一環として提供することができれば望ましいが、通常に比べて一時的に多くの支援を必要とする状態となると考えられることから、選挙活動等のために要した支援については、通常の支援とは別枠で提供されるべきであろう。なお、日常的な政党の活動等に参加する際に必要な支援は、通常の支援の一環として提供されるべきである。

【新谷委員】

聴覚障害者の政治活動(討論、会議、演説等の活動に対して)通訳手段を十分に保障すべきです。なお、選挙活動ではありませんが、議員活動に対して、議会にも情報保障の準備が必要です。

※数年前ですが、イギリスでは貴族院に難聴者がいて、国会内にパソコン通訳があり議員座席に液晶モニターが設置されていました。

【竹下委員】

1 障害のある者が、自由に政治活動ができるようにしなければならないことは当然のことである。かつて、和歌山県において発生した言語障害を有する者の公選法違反事件は、その点で大いに参考としなければならない。障害の特性に応じた方法によって選挙活動や政治活動が認められるべきであり、それは表現の自由としても保障されるべきであるし、自由な選挙活動や政治活動という観点からも保障されなければならない大原則である。

2 これに対し、障害のある者が政治活動や選挙活動を行う場合に、障害ゆえに発生する負担(補助者を必要としたり、特別の宣伝のための媒体を準備するなど)を公的に補うことの妥当性が検討されなければならない。この点は、今後十分な論議が必要であるし、諸外国の先進例などを参考に研究されるべき課題である。私は、障害のある者に対し、十分な所得保障が実現している限りは、個々の障害のある者の負担において(あるいはその者の努力によって寄付などの支援を得て)政治活動や選挙活動が行われるべきものと考える。公的支援による政治活動や選挙活動は民主主義の理念に矛盾ないし反することになるからである。ただ、表現の自由を基本に考えた場合、合理的配慮がなければ障害のある者は障害のない者と同等の表現(宣伝)を実現することは不可能であるから一定の支援を制度化することは必要である。

3 障害のある者が政党や政治団体の一員として活動する場合には、所属政党や団体に合理的配慮義務が生じると考えるべきであり、したがって、障害のある者の活動に要する費用負担等は政党や団体において負担すべきものと考える。

【堂本委員】

障害のある人が立候補した場合には、政見放送ならびに演説会や街頭演説における政策発表の支援が必要である。

政見放送については、「選挙に関する情報の保障」の2で述べたとおり、収録ビデオ持ち込み方式に統一した上で、ビデオを作成する政党や候補者に対し、手話通訳(この場合、候補者の手話を音声に通訳する。)や字幕を付けるなどの配慮を求めるようにすべきである。

演説会や街頭演説については、手話通訳を付けるか、演説内容を文字情報で配布しなければ住民に伝えることができないが、現在の公職選挙法では、手話通訳者は政党や候補者の「選挙運動に従事する者」として以外認められておらず、また、演説内容を文字情報で配布することは法定外の文書図画の頒布に当たり認められていない。手話通訳者の取扱いは見直しが必要である。

また、文書図画の頒布・掲示については、インターネットのホームページ等を利用した選挙運動を解禁すべきである。

一方、政党の活動及び運営への参加については、障害者権利条約でも政治への参加の内容に含むとされていることから、必要な支援を検討する必要がある。

【中西委員】

コミュニケーションなどにおける必要な支援は当然提供されけばならない。それと同時に、各政党は障害をもつ当人がその活動に平等に参加できるように、コミュニケーションや物理的環境におけるバリアフリー化を行わなければならい。

【長瀬委員】

他の障害のない候補者と同等に活動できるための支援が必要である。

【久松委員】

参政権には、候補者に投票して国政に参加する「選挙権」と自ら立候補する権利である「被選挙権」があり、当然、障害者が候補者として選挙活動する場合も保障するべきである。ろう者を含む聴覚障害者が立候補する場合、手話通訳、要約筆記の保障が必要である。また候補者がどの言語、どのコミュニケーションを選択するかも保障すべきである。

個人演説会などの場面においても手話通訳、要約筆記が必要となるが、現状では公的な制度がなく候補者の負担となっている。また、政党の演説会等の活動に参加する場合でも、現行制度では、手話通訳者派遣の派遣範囲から政治活動が除外されているため公的保障がない。

現行の公職選挙法では、手話通訳者は政党や候補者の選挙運動員という位置づけをしているが、手話通訳者は候補者を応援するために通訳しているのではなく、候補者の話す内容を手話にして表しているのであって、手話通訳者は公正かつ中立の立場でなければならない。手話通訳者は運動員であるとの解釈は問題があるので早急な改正が必要である。今後、選挙管理委員会の責任と費用で手話通訳者を派遣するという形が必要である。

また、手話通訳者は上述のとおり候補者のための運動員と位置づけられており、手話通訳士(者)資格を有していても、その人が公務員であった場合は手話通訳を担当することができないという問題がある。

【松井委員】

障害の有無にかかわらず、候補者としての選挙活動や政党の活動等には一定の公的支援が受けられるが、障害があるがゆえに、余分にかかる選挙活動費用などについては、政治活動への対等な参加を保障するという意味から、障害のない候補者以上の支援が与えられてもよい、と思われる。

【森委員】

障害者が候補者としての選挙活動や政党の活動等に参加する際にその障害によって特別なコミュニケーション支援が必要になる場合がある。そのような支援自体が公職選挙法などの法制度に抵触するおそれがあるときには、公職選挙法などの改正なども含めて、十分な検討を行い、障害者の政治参加の機会を保障すべきである。

公的活動

1.障害者が福祉や教育、人権等の公的活動を行う障害者の組織を結成し、参加する際に必要な支援をどう考えるか

【尾上委員】

上記と同じ

【勝又委員】

個人の生活援助としてニーズに基づくアセスメントを行い、支援を行うべき。パーソナルアシスタントやダイレクトペイメントの導入により可能になる。とくに公的活動を区別する必要はない。

【門川委員】

障害者の組織を結成し、参加する際、多くの支援が必要となることが予想されるが、何をもって公的活動とするのかということを確定することが難しいことなどを勘案すると、そうした公的活動への参加のために仮に支援が追加的に必要となったとしても、そうした支援を別枠で提供するような制度を作ることはあまり現実的ではないと考えられる。むしろ、通常の支援を利用することができる場面についてできる限り制約を外したうえで、通常の支援の範囲内で個々人の障害者の裁量によって、公的活動を行うことがより使いやすい制度となるのではないだろうか。

【川﨑委員】

活動の場、活動に必要な用具備品の提供、活動資金の提供が必要。その他障害に応じた配慮が必要とされる。

精神障がいの場合、当事者たちが集まれる場所や、仲間の相談を受ける電話、活動資金、支援者が必要である。

【北野委員】

A.ICF(国際生活機能分類)の社会参加領域のひとつ(D9)に、コミュニティライフ・社会生活・市民生活=レジャー・宗教活動・人権活動・政治活動等がある。やや難儀なのは、ICFが一般市民の社会参加・参画との相対比較による参加制約を障害と定義しているために、我が国一般国民の公的活動の脆弱さに足を引っ張られがち。

しかしながら、障害者や人権侵害を受けやすく、また、障害者問題は極めて政治問題であり、これらの問題に一般市民以上に取り組まざるを得ないし、取り組むべきなのが、障害者自身である。

そのために、障害者のそのような人権及び政治的活動に対する支援は、その介助やバリアフリー環境やコミュニケーション保障や活動費や人件費等にもっと公的サポートがあってもよい。ちなみにスウェーデンでは、大きな公的助成金が全国団体に出ており、それと、ベンクト・リンクビストの国際的活躍とは無関係ではない。

【佐藤委員】

国レベル・地方レベルで、障害者団体の結成とその活動を公的に支援することは次のような点で大きな意義がある。

第1に、政策・計画立案と評価の過程に障害者の意向を反映させることによって、(話し合いに時間はかかるが)より効果的な政策・計画が可能となり、障害者の満足度を高めるだけでなく、政策・計画への国民全体の信頼度も高まる。これは障害者権利条約前文(o)、第4条3,第33条3等が求めていることでもある。このような政策・計画への参加を可能にするためには、障害者団体がメンバーのニーズを把握し、政策のあり方を調査討議し、関係者との競技も行うなど、その足腰を強くすることが求められる。

第2に、障害者問題についての市民理解を高める活動を行ううえで、障害者団体の役割は非常に大きい。国・自治体、専門家・事業者、マスメデイアなども障害理解教育にそれぞれの役割を果たすべきであるが、当事者の生の声や姿が特に大きな教育力を持つ。したがって障害者団体は、義務教育や専門職教育などの諸学校に出向き、また地域や企業などでの障害理解プログラムに出向いて、教育活動に参加することが期待される。障害理解教育を行う関係者は、教育のテーマに沿って適切な障害者団体に問い合わせて、気楽に講師派遣を依頼できるべきである。こうして障害者団体は有効な教育資源となる。

第3に、福祉などサービス提供事業者と利用者の力のバランスを保つことが必要である。「措置から契約へ」の流れの中で、自治体による事業者へのチェックがより間接的なものとなりつつある。第三者評価、成年後見、苦情解決制度、情報公開などこの流れに対応する制度の工夫もなされて入るが、これらに加えて自治体レベルでも通所・入所施設など事業運営レベルでも、障害者団体の権利擁護活動が非常に効果的である。ヨーロッパの障害者団体の常勤職員の一定数は「オンブツマン」として権利擁護活動に従事している例が多い。このバランスを欠くと、力の強い事業者中心の福祉となり、しばしばスキャンダルが生じて政府が批判されることになりかねない。

【新谷委員】

障害者権利条約は、第4条一般原則3項で当事者団体の積極的な役割を認めています。障害を持たない人の集まりに伍して活動することのできるような支援は、積極的差別是正措置として認めるべきと考えます。

【竹下委員】

障害のある個人が教育や福祉に関する社会的活動を行ったり、人権擁護に関する活動を行う場合は、自らの責任と負担においてそれらを行うことが基本である。これに対し、公益性を有する団体(法人)が不特定多数の人たちに対する支援を行う場合には、それが本来国や自治体によって実行されるべきサービスを、それに代わって行っているという位置づけが可能な範囲において公的支援が実行されるべきである。

【堂本委員】

障害のある人又は子どもに対する福祉、教育を充実させ、人権を守ることはたいへん重要であり、これらを目的とした活動を行う障害当事者の組織が果たす役割は大きいことから、これらの組織が行う事業に対して国や地方公共団体が積極的に支援していく必要がある。

【中西委員】

障害者基本法、自立支援法、バリアフリー法など関連法において、障害者が自らを組織化し政治活動を行う権利を挿入し、それに必要な支援を規定すべきである。

【長瀬委員】

障害者の社会参加の促進という観点から必要である。

【久松委員】

障害をもつ当事者が組織として活動することは、同じ障害者としてのアイデンティティとコミュニティを確保し、それを基盤にして、積極的に社会参加、社会活動をするための大切な役割がある。

聴覚障害者が公的活動を行う組織としての活動に必要な手話通訳・要約筆記の保障は、その組織の負担とするものではなく、障害当事者団体の活動を支援する公的制度が必要である。

具体的には都道府県コミュニケーション支援事業を必須事業として用意し、障害当事者団体の活動を対象に派遣する必要がある。

【松井委員】

障害者団体のうち、一定の条件を備えた団体として認定されているものが実施する公的活動の一部については、すでに地方自治体などから、必ずしも十分でないにしろ、一定の支援が行われていると思われるが、そうした活動がさらにしやすくなるよう、支援が拡充される必要がある。

【森委員】

障害者が公的活動を行う場合には、障害による制限を解消するためのすべての支援を行うべきである。それらの活動が現行法制度などに抵触すると考えられる場合には、それらの改正なども含めて、十分な検討を行い、公的活動参加の機会を保障すべきである。

その他

【尾上委員】

政治活動、公的活動における差別禁止法制度が必要である。

また、被成年後見、被補佐人であることが、公務員法の欠格に当たる等、様々な欠格条項に流用されているのは大きな問題である。

例えば、自治体の公務員募集試験では、「地方公務員法(昭和25年法律第261号)第16条の各号(①成年被後.見人又は被保佐人②禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を.受けることがなくなるまでの者等)のいずれかに該当する方は、受験できません」等と記されている。そのため、知的障害者で公務員試験を受けたくても、後見人制度を使うことで、受けられなくなってしまう。

また、公務員以外にも、様々な公的活動・公職の欠格事由とされていて、社会参加の大きな制限となっており、早急に見直しが必要である。

【門川委員】

自書が困難な障害者等に配慮し、よりプライバシー(投票の秘密)が守られるようにするため、制度としての電子投票制度を整備するとともに、電子投票システムが障害者等にとって使いやすく安全性の高いものとなるように技術開発を進める必要があるのではないか。

【佐藤委員】

投票所や情報のバリアフリー、投票方法の合理的配慮など、障害者の参政権の拡充は、高齢者を含めた市民全般に及ぶことになり、社会全体の参政権の拡充につながる。社会保障が進んでいる国では一般に選挙の投票率も高い。暮らしやすい社会を確実につくる近道の一つは投票率を高めることであり、選挙や投票に参加しやすくすることである。そのために国と地方の選挙を3年に1回、同じ日にする原則を持つ国もある。

【新谷委員】

1「公職選挙法第143条選挙運動のために使用する文書図画は、次の各号のいずれかに該当するもの・・・選挙運動のために、アドバルーン、ネオン・サイン又は電光による表示、スライドその他の方法による映写等の類を掲示する行為は、前項の禁止行為に該当するものとみなす。」とあり、選挙演説をOHPなどを使って文字表示することが禁止されています。この法律を撤廃すべきです。

2.障害者が不利にならないようネット選挙活動の方法を早急に検討すべきと考えます。

【竹下委員】

現在選挙広報は、それ自体としては点訳や音訳が保障されていない。各選挙管理委員会の任意的な配慮として「選挙のお知らせ」という形式で一部の選挙広報が音訳ないし点訳されて配布されているに過ぎない。あくまでも全ての選挙において、全ての選挙広報が技術的に可能な限り(写真などを除く意味で)点訳、音訳、拡大文字版などのあらゆる媒体によって保障されるべきである。そのための体制づくりは不可能ではないはずである。

【土本委員】

せんきょ の とき かくとうから マニフェストがだされるが ふりがながなく むずかしいことが いっぱい かかれていて わからない。

せんきょのとき はがき いちまいきて ふりがなもなく こまかくかかれていて どこに とうひょうじょ が あるのかわらなくて いけないこともありました。

せんきょ は すべての 仲間たちが いどうしえんを つかえるように べつに サービスが ひつようです。

おおきな じで かいていくべきです。

しょうがいがある人も こうれいの人も みおとして しまうので はいりょが ひつよう です。

成年後見になると せんきょけん が なくなるのを やめてほしい。

入所施設に はいっている仲間たちは ゆうどう されて せんきょに いかされる 事件も おきている。

とうじしゃ だんたいの かつどうに たいして、国は おかねを だしてほしい。

いろいろな しょうがいのある人たちが 国会ぎいんになれば かわると おもう。

アイキュウーで8才2ヶ月と はんてい された なかまが さいばんではさいばんする のうりょく がないと いわれ。せんきょ では おとな とされる。かってな つごうで いいように あつかわれて しまっている。

【長瀬委員】

(電子投票への移行とアクセシビリティ)

世界でも唯一とされる現在の日本の自筆投票方式から、電子投票をはじめとする投票者の負担が少ない方式への移行がその移行に当たっては、当初から障害者が円滑に投票できるように設計すべきである。

【久松委員】

選挙期間中、聞こえる人は電話による候補者への支援依頼ができる。しかし、電話のできない聴覚障害者は、電話に代わる方法としてFAXやPCメール等を使うことが「図画」扱いとなり認められていない。聴覚障害者が国民の一員として聞こえる人と同様に、選挙に参加する権利を保障する必要がある。