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日時:2013年02月03日(10:30~16:00)
場所:戸山サンライズ 大研修室
 

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「司法手続き」追加意見 2010.3.30 佐藤久夫

○司法関係者に対する研修

権利条約第13条は司法関係者への適切な研修を求めており、「資料提出フォーマット」ではそのことを引用しつつ、最近の佐賀県で5人の警察官が知的障害者(安永健太さん)を取り押さえる中で急死させた事件を紹介して、司法関係者への研修の必要性についての意見を聞いている。

私はこれに対して当然「研修は必要」と答えた。安永さんが自転車を蛇行運転していたので薬物またはアルコール中毒だと判断したと警察が説明したとのことである。これは知的障害者理解の研修の必要性を示すばかりでなく、薬物やアルコール依存者への理解の研修の必要性も示すものであろう。

同時にこの事件は、「研修」で解決できない部分を示すものでもある。つまり、女子高生の「警官が殴っていた」という目撃証言を警察が把握していたにも関わらず調書に記載していなかったことや、佐賀地検が不起訴にしたことなどである。ようやく11万人にも及ぶ署名で付審判請求が認められ刑事裁判が始まろうとしている。

私は、社会的ルールを知らないなどのために商店の品物を落としたり壊したりする知的障害者や発達障害者が、商店との間でトラブルをおこし警察が呼ばれるような場合に、警官は商店主に「この人は悪意があってやったのではないので、今回は許してあげられないか。私からもよく指導します」と説得することが多いと聞く。

こうした理解のある警官も多いのであって、そうした警官も含めて犯した身内の過ちを認めようとしない仕組みを正す必要性をも、今回の事件は示している。この点は障害者理解の研修だけでは解決しないものと思われる。

○ホームレス問題と知的障害

「IQ69以下の受刑者」の項で、我が国の知的障害者への支援の対象者が狭くかつ支援利用のハードルが高いために、支援を必要としながら利用できず、社会生活の困難が生まれて犯罪に手を染める人が出てくることを指摘した。

全く同じ構図がホームレスの人々にも見られることを指摘する意見が、「HL(ホームレス)支援研究会ぼとむあっぷ」の奥田浩二氏より寄せられたので紹介する。

これは「2009 東京都都心部におけるホームレス状態にある人の知的機能に関する疫学調査」で、ホームレス状態にある164人(平均年齢55歳)の知能テストの結果、IQ70未満は53%であったという。言語を使う能力が十分なくテストができなかった人もこのほかに多数いたという。

氏は、これらの人々に共通して次のような課題があるという。

  • 言語表現や言語理解が十分ではない(様々な制度が理解できない)。
  • 読んだり書いたりすることが十分できない(一人で手続きをとるのが難しい)。
  • お金の管理や概念が十分理解できない(お金をあるだけ使ってしまう)。
  • 人間関係をうまくやることが十分にはできない(自己統制が難しい)。
  • 責任を持って役割を果たすことが十分できない。
  • 十分な自尊心が育ちにくい。
  • 騙されやすいことがある。
  • 規則を理解し守ることが十分にできない(規則が覚えられない)。
  • 日常生活を営む上で必要なことが十分できない(食事の準備、掃除や整理整頓、交通機関の利用、薬の管理、金銭管理、携帯電話の使用法)。
  • 職場で必要なことが十分できない。
  • 安全な環境を確保することが十分できない。

この結果などから氏は、ホームレス状態にある人に対して、支援者がよく理解して的確な対応を行うこと、情報の提供方法も工夫して理解できるようにする、該当する場合には障害者手帳を活用し障害者雇用制度などを活用する、日中活動の場などの活用、継続的な支援を行う、介護保険利用などでの権利擁護の支援を行う、などを提起している。

ホームレス状態になるのを防止するためには、これらに加えて職場でのトラブルへの対応、金銭管理支援などさらに総合的な支援が重要であるとしている。

日本の障害者福祉は、知的障害者に限らず、とくに困難度の大きな人々に対象を限定してきた。それ以外の人は自力か家族の支援に任せるという方針であった。農業中心、肉体労働中心の社会では十分能力を発揮できた知的障害者が、学歴社会、情報化社会の進行でそうはいかなくなった。心身機能レベル(知的機能)が高い人の方が社会参加できるだけに社会的レベルの問題を経験しやすく、知的機能が低い人は家族・グループホーム・入通所施設・障害年金などに「保護」されて社会的問題が少ない面もある。

心身の機能障害(の重さ)が社会参加の問題を生み出すというモデルは、社会と環境の変化で適合性を低めており、環境因子との相互作用をふまえた理解が必要になっている例の一つでもある。

(「司法手続き」からやや離れたが、相互に関連しているのでふれました。)


第6回推進会議 佐藤追加意見「医療」

「医療」に関するJPA要望書

2010年3月30日

日本難病・疾病団体協議会

代表 伊藤 たてお

私たちは、難病、長期慢性疾患、小児慢性疾患をもちながら社会生活を送り続ける障害者として、新たな障害者制度改革について、「医療」の問題について次の要望を行います。

1.障害者権利条約、ICFの理念にあわせて、現行の障害の範囲を広げて、難病、慢性疾患、小児慢性疾患のある人にも人権尊重の立場から、医療保障や障害者施策が受けられるよう制度を改革してください。

2.難病、長期慢性疾患、小児慢性疾患のある人のように、医療および医学的管理が必要な障害者における施策の検討は、病気や障害の進行に合わせた維持的な治療やケアへの支援策などが必要であり、当事者の実態をふまえて「谷間」ができることのないよう慎重に議論をすすめてください。

3.難病(難治性疾患)については、現在、厚生科学審議会疾病部会難病対策委員会において、患者団体代表を含むメンバーによる新たな対策にむけての検討が始まろうとしています。また厚生労働省内にも難治性疾患対策推進チームが作られようとしています。障害者制度改革推進会議での今後の障害者施策の検討は、これらの動きとの連携や調整もふくめて議論をすすめてください。

4.今後の医療保険制度の改革にあたっては、①一定の期間以上の長期にわたる治療・投薬を必要とする難治性疾患・長期慢性疾患の自己負担の軽減②高額療養費の限度額の引き下げを要望します。

5.当面、現在の障害者自立支援法における医療支援である自立支援医療制度は、次のような改善を早急に行ってください。

(1)「障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団と国(厚生労働省)との基本合意文書」において「当面の重要な課題」とされた自立支援医療の低所得層の利用者負担は早急に無料にしてください。

(2)育成医療は他の障害児支援と同様、児童福祉法に基づく制度に戻して、「児童の健全な育成」の理念の下、児童の発達を阻害する要因を除去するための治療における公費負担医療制度として、先天性疾患児、慢性疾患児の治療を対象に医療費の負担軽減をはかる制度として拡充してください。

(3)更生医療は、ICFおよび障害者権利条約におけるリハビリテーションの考え方を基本に、障害の除去、軽減だけでなく、疾病の進行や障害の悪化を防ぐための治療も対象とする公費負担医療制度として対象とする治療の範囲を大幅に拡充し、その医療費の負担軽減をはかる制度として下さい。当面、身体障害者手帳のとれない障害者もその状態に応じて適用し、年齢制限をなくしてください。

(4)都道府県で行われている重度障害児者医療費助成制度を国の制度とし、当面、身体障害者手帳のとれない障害者もその状態に応じて対象とし、医療費の負担軽減を行ってください。