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障がい者制度改革推進会議

DINFのお知らせ

シンポジウム 「もっと知ろう、デイジー教科書を!」
日時:2013年02月03日(10:30~16:00)
場所:戸山サンライズ 大研修室
 

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障がい者制度改革推進会議
第7回(H22.4.12) 資料3

所得保障に関する意見一覧

所得保障に関する基本的な方向性について

障害基礎年金について

無年金障害者について

年金以外の手当について

財源について

その他

第七回障がい者制度改革推進会議 意見提出フォーマット
所得保障

所得保障に関する基本的な方向性について

1.現在の障害のある人の所得保障制度の課題について、ご意見を賜りたい。

【大久保委員】

現在、障害者への所得保障は、基本的には障害基礎年金であるが、無年金障害者への対応として特別障害者給付があるものの課題は多い。また、在宅の重度障害者への特別障害者手当があるが、限られた対象となっている。

まず、障害者の生活を経済的に最低限に支える所得保障としての障害基礎年金の水準が極めて低いという問題がある。特別障害者給付はさらに低い水準となっている。

現行の障害基礎年金の水準の考え方が、老齢基礎年金と生活保護がベースとなっており、2級年金を老齢基礎年金の水準とし、1級年金と特別障害者手当を合わせたものが生活保護の水準としている。つまり、「生活困窮者」と「著しく重度の障害者」を同様の水準とし、また、2級年金は稼得能力を補填するものとしている。

日常生活の困難性や支援の必要性を継続的に有する障害者の生活実態からしても、それら所得保障の水準についての考え方を再検討する必要があると考える。

なお、所得保障の基本的な考え方として、日常生活において、様々な割引制度による負担軽減ではなく、それらの費用も保障し、一般市民と同様の消費者となる水準であることが望ましいと考える。

【大谷委員】

障害者の権利条約28条では適当な生活水準及び社会的な保障を定めている。障害者基本法13条は「国及び地方公共団体は障害者の自立及び生活の安定に資するため、年金、手当等の制度に関し、必要な施策を講じなければならない」と定めている。

しかし現実は、障害のある人の就労は極めて限られ、就労できたとしても自立した生活を賄える所得にまで至らず、年金も低額である。よって全般にわたり所得保障がされているとは到底言えない現状であり、憲法25条が保障する健康で文化的な生活が保障されているとは言えない。

よって他のものとの平等原則にのっとり、就労の確保、最低賃金の適用と共に障害年金の底上げが必要である。

【大濱委員】

長期的には財源確保をして解決していくべき。

民主党マニフェスト(2009)より抜粋

18.一元化で公平な年金制度へ

○以下を骨格とする年金制度創設のための法律を平成25年までに成立させる。

○消費税を財源とする「最低保障年金」を創設し、全ての人が7万円以上の年金を受け取れるようにする。

民主党マニフェストの通りに年金が消費税を財源に大きく制度改正される場合、障害者への所得保障も年金の加算項目として制度化する(加算項目とは住宅手当や、医療関連経費やヘルパーを使うことで発生する経費や年金増額など)。

現在の年金額をもって「健康で文化的な最低限度の生活」を営むことは困難である。

従って、下記の憲法や権利条約の規定に則り、障害者に対する適切な所得保障並びに住宅支援を早急にすべきである。

日本国憲法

第25条 生存権

すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

権利条約

第十条 生命に対する権利

締約国は、すべての人間が生命に対する固有の権利を有することを再確認するものとし、障害者が他の者と平等にその権利を効果的に享有することを確保するためのすべての必要な措置をとる。

第二十八条 相当な生活水準及び社会的な保障

2 締約国国は、社会的な保障について

(c)貧困の状況において生活している障害者及びその家族が障害に関連する費用を伴った国の援助(適当な研修、カウンセリング、財政的援助及び休息介護を含む。)を利用することを確保するための措置

(d)障害者が公営住宅計画を利用することを確保するための措置

障がい者の所得が障害基礎年金が主な生活経費である時、障害基礎年金は

2級の月額66,000円
1級の月額82,500円

この低額の年金から食費・被服費、住居費・医療費等諸々の生生計費経費を賄うことは不可能。従って、

①家族等からの支援で、何何とか生活している。(家族に対する負い目等で精神的な負担が多く引き篭もりとなるケース)
②上記の家族支援が無理な状態のため家族の要望で施設入所。
③生活保護を受けて地域で一人暮らし。

というのが現状である。

【尾上委員】

現行の国レベルにおける、障害者に関する所得保障制度としては、障害基礎年制度、特別障害者手当が基本であり、どちらも1985年の年金制度改革時に創設されたものである。障害基礎年金制度は、幼い時から障害を持つ無拠出の障害者を対象とし、障害のない人と同程度の基礎的給付を保障したことは、当時の障害者運動の粘り強い取り組みとあわせて、障害者の所得保証の第一歩を踏み出したものといえる。

しかしながらこれらの年金制度ならびに手当制度の対象となる根拠ならびに一級年金、二級年金の区分けは、いずれも身体的な障害の重度、経度が判断基準となり、生活上の困難さ、あるいは稼得能力の有無等は判断基準となりえていない。その結果、本来年金、手当を必要とする障害者がその対象から除外されているという実態がある。

(2007年時点で、約155万人の障害基礎年金受給者、そのうち約138万人が障害基礎年金のみの受給)

【勝又委員】

障害基礎年金の創設により、生活保護から公的年金という前進はあった。しかし、公的年金が社会保険制度としてもっている限界によって障害を負うすべての人が所得保障を受けることができない現状がある。

社会保険としての限界とは、加入要件と受給要件により、受給者に認定されない人が出てくることを意味する。被用者保険としての障害厚生年金や労働者災害補償保険などは充実し、この制度において受給権を得た障害者の所得保障と、障害基礎年金の受給者とには給付水準に大きな格差が生まれている。また、障害種別でも民間生命保険等の受給が得られやすい身体障害とそれ以外の障害のあいだには保障の機会に差がある。

【門川委員・福島オブザーバー】

現在の障害者の所得保障制度の課題としては、その絶対的水準が低いということ、また、所得保障制度を構成する諸制度(年金・手当・生活保護・税制における控除・就労支援)の整合性がとれていないこと、が挙げられる。そして、これら二つの課題は、相互に深く関係しており、絶対的水準の引き上げと、諸制度の整合性のとれた形への再設計を同時に実現する必要性があると考える。とりわけ、所得保障制度を構成する諸制度が複雑に絡み合っており、対象者もそれぞれ少しずつ異なっているということが問題である。なぜなら、そのために、これら所得保障制度が実際に一人ひとりの障害者についてどの程度の水準の所得保障を実現しているかが極めてわかりにくいものとなっているからである。

そもそも、障害者の所得保障制度を構成する諸制度は、それ自体が障害者を対象とした制度として独立したものではなく、障害者以外も対象とする所得保障制度の一部として、特に障害者を対象としていることにすぎないということに鑑みれば、これら諸制度の整合性をとり、絶対的水準を引き上げるにあたっては、所得保障制度全体の再設計と絶対的水準の引き上げがやはり必要不可欠である。つまり、障害者を対象とした制度のみについて整合性をとる・水準を引き上げるということは極めて困難なのである。

ただし、このように全体的な制度の再設計が必要であるとはいえ、それには時間がかかる。一方、障害者の所得保障制度の絶対的水準の低さは切実であり、議論と作業に非常に多くの時間と労力が必要な全体的な制度再設計の推移を待っていられないという状況だと言えるだろう。

したがって、そうした全般的な再設計が終わるまでの間の時限的な措置として、所得が低いゆえに生活に必要な福祉サービスや日用品が入手できないということのないよう、特別給付を実施することも検討に値するのではないかと考える。

【川﨑委員】

障害のある人が地域で自立した生活をしようとするときに必要なのが、住居と所得とケアである。日本においてもどれも不足であるが、所得保障に関して言えば、生活できる水準の所得が保障されるのは生活保護のみである。しかし生活保護については、障がい者の所得保障に利用するのは不適切との考え方もある。では年金でというと、現在の年金法では多くの無年金障害者を生み出している現状がある。額についても、十分に生活できる金額とはなっていない。手当についていえば一部の障がい者に小額支給されているに過ぎない。したがって、生活保護を利用する以外、障がい者は親元を離れて自立することは困難である。加えて生活保護は受給者数がうなぎ上りに増え、水際作戦で保護申請を受けないような対処をしており、利用もなかなか困難な状況である。

【北野委員】

A.まずは、障害のない成人の所得補償制度について考えてみよう。一般の成人は、就労によって所得を得、失業時は雇用保険の基本手当等を受給し、さらにその後は生活保護を受給できることになっている。また一定年齢を超えれば、各種年金から、老齢年金が受給できる。

障害者の場合は、その障害者となった時期や障害の程度等で異なるが、一般就労によって所得を得ることが困難な場合には、障害基礎年金が、さらに重度の障害者には特別障害者手当が、さらには生活保護が存在する。

さて、生活保護を受けている障害者の場合は、障害者自立支援法で認められたサービスについて利用者負担がないのは、なぜなのか。それは、本人の受け取る生活扶助費が、それ自体で最低生活を満たすだけのものであって、そこから住宅費や医療費や介護保険料は出せないということで、生活扶助にプラスして住宅扶助や医療扶助や介護保険料加算がでているのだ。さらに介護保険の1割負担分は介護扶助として別建てで支給されている。

このことが意味していることは明白である。それは、生活扶助費と大差がない障害基礎年金2級をその主たる生計費としている人からは、費用負担などあり得ないだけでなく、アパートやGH等で自立生活をしている人には住宅手当(家賃補助)が不可欠だと言うことである。

衆知のように、障害基礎年金2級は老齢基礎年金と同額であり、老齢基礎年金は生活保護の生活扶助費を想定したこともあり、住宅扶助等を含んでいない。それは、高齢者の多くは資産形成によってそれをなし得ているという判断であって、資産形成がきわめて困難な、介助等の支援を必要とする障害者にはまったく当てはまらない。

もうひとつの問題は、障害基礎年金の1級の一部や特別障害者手当とは、何なのかである。生活保護の中に、他人介護料とは別個に障害者加算及び重度障害者加算が存在することを鑑みれば、それらは、障害者に対する介助や舗装具等の支出のための金ではなく、障害ゆえの一般的な生活のしづらさと出費のためと考えられる。それゆえ、障害基礎年金の1級の一部や特別障害者手当を含む最低生活保障費と住宅手当(家賃補助)が、その障害ゆえに別途必要となる介助費用や舗装具等費用とは全く別に、一般的生活者の生活費として必要である。

【佐藤委員】

(1)「国民皆年金」の理念が崩れてきており、その立て直しが必要。年金を基本とする所得保障制度の確立に向け、国籍理由等の無年金障害者解消を含めた抜本的な改革が必要である。

(2)生活保護制度は憲法に基づく重要な制度であるが、いろいろ制約があり一時的緊急避難の制度である。障害者ができる限り自由な選択での社会参加を目指すことを長期にわたって支えられるように、障害年金制度の改革が必要である。

(3)根拠・考え方を明確にした障害基礎年金額の改善。単に○○%アップなどとする政治的改善ではなく、適切な給付の水準の理由を明確にし、国民的理解が得られるようにすべき。

(4)障害(基礎)年金における障害の概念と認定基準を、「病気・機能障害・日常生活能力」から「所得保障の必要度」に変更し、これを受給権者の範囲・等級に生かす。

(5)障害者が必要とするのは、(a)働けないか働いても十分な賃金が得られないことによる「所得の保障」と、(b)障害による「特別な出費の補填」の2つであり、この区別を明確にすること。

(6)障害年金制度の運用実態に関する情報(機能障害種別受給者数や都道府県別格差など)がほとんど公表されておらず、適切な運営がなされているか不明で、国民からの信頼が得にくい。

(7)公平で民主的な不服申し立て制度が必要とされる。

【新谷委員】

現在の障害者対象の所得保障制度は、大きく2つの課題を持っていると考えます。

一つ目は、所得保障の対象となる障害者が限定されていること。何回も繰り返す論点ですが、聴覚障害の場合、固陋な医学モデルに基づく身体障害者福祉法の規定を受けて、国民年金法30条(国民年金法施行令第4条6別表)も厚生年金保険法47条(国民年金法施行令を準用)も障害基礎年金、障害厚生年金の支給対象となる障害者を非常に狭くしています。聴力レベル70デシベル、90デシベル、100デシベルで支給対象を区別する合理的な理由はありません。

二つ目は所得保障に関する考え方の混乱、未整理です。障害基礎年金は生活保護に近似したセーフティネット、障害厚生年金は障害による実質的な早期退職への補てんなのでしょうか?また、国・自治体による手当は、障害による特別な支出に対する補てんなのでしょうか?セーフティネットであれば、国民全体のセーフティネット整備の問題、国民全体の所得保障と連続性をもった制度を考える必要があると思います。また、障害に起因する特別な支出に対する補償であれば、医療・介護の問題と同様に現物給付か手当支給か、その併用かを整理する必要があると思います。

【関口委員】

障害による逸失利益(稼得能力の無い人は平均給与の7~8割を目途とする)にプラス障害にかかる費用を上乗せするという制度が望ましい。

理由

現行の年金制度ではこぼれてしまう障害が多く、疾病名によって排除されることも多い。また各地自体の積み上げの障害者手当てからも排除されている生活保護は最後のセイフティネットではあるが、丸裸にされる資産チェックあるいは親兄弟に知られてしまうなどの恐れ、烙印を押されて、就労強制をされるなど精神障害者にとっては屈辱的であり、バリアの高い制度でもある。

所得保障とは、給与所得、手当、相続、公的扶助、社会保障など、あらゆる収入を含めるものだが、多くの場合、いずれも、健康で文化的な生活をおくるために相当な金額とはいえない。

障害基礎年金が少なすぎる一方で、家賃補助などが無い。精神障害者にとっては、フルタイムで労働が出来るとなると、級が落とされ、年金すら貰えなくなる事がある。

稼得収入と何らかの社会保障等が所得となるが、貸し室等に住まざるを得ないときに、家賃だけで基礎年金を上回ることがある。このような場合には生活保護を申請せざるを得ない。

現行の生活保護は、障害加算はあるものの、最低限度の生活を保障しているものだ。たとえ、がんばって稼いでも自動的に家賃分に充当され、勤労所得控除は、実感出来るほどは無い。これは生活保護全般に言えることだが大きな問題である。

(下図生活保護者の生活困窮度調査参照)

Q生活保護の金銭に関して、生活状況をお聞きします。(各質問、該当事項に一つ○)

Q51.生活保護と金銭に関する生活状況

帯グラフ Q51.生活保護と金銭に関する生活状況

設問 大変困っている やや困っている 困っていない 楽になっている
①物価変動により、食品などを買うお金の支払いは、以前より 26.9% 46.7% 23.6% 2.7%
②物価変動により、ガス、水道、光熱費などの支払いは、以前より 23.0% 43.1% 32.8% 1.1%
③悩みの相談などの、病状を安定させるために必要な電話等の通信費用の支払いは以前より 17.2% 38.6% 39.6% 4.7%
④基本支給額(毎月の基本受給額)のもらう金額は、生活維持をするのに、以前に比べ 18.0% 51.2% 27.9% 2.9%
⑤収入認定の時に支払う金額 14.9% 29.8% 53.2% 2.1%


生活困窮度 大変困っている やや困っている 困っていない 楽になっている 合計
①物価変動によりを買うお金の支払いは、以前より 人数 49 85 43 5 182
26.9 46.7 23.6 2.7 100
②物価変動により、ガス、水道、光熱費などの支払いは、以前より 人数 40 75 57 2 174
23 43.1 32.8 1.1 100
③悩みの相談などの、病状を安定させるために必要な電話等の通信費用の支払いは以前より 人数 29 65 67 8 169
17.2 38.6 39.6 4.7 100
④基本支給額(毎月の基本受給額)のもらう金額は、生活維持をするのに、以前に比べ 人数 31 88 48 5 172
18.0 51.2 27.9 2.9 100
⑤収入認定の時に支払う金額 人数 21 42 75 3 141
14.9 29.8 53.2 2.1 100
生活困窮度 大変困っている やや困っている 困っていない 楽になっている 合計

引用文献:精神医療ユーザーアンケート「ユーザー1000人の現状・声」シリーズ

第四回 精神医療ユーザー調査報告書2009年度版 誰でもできる精神病の予防とその対策らくらく統計読本パート2

(母数回答:SA合計、回答者属性は地域生活をしている精神障害者)

実際、東京都で生活保護は税込みで27万の給与に値すると言われるが、最低賃金で週40時間働いても、12万に届かないのが実態だ。最低賃金以下の保護的就労で暮らしていける筈もない。

最低賃金が1000円で月16万である。このような倒錯した現実は労働条件の変化によって変えなければならない。

障害者の社会保障が機能していないため、障害者の生活を公的扶助に頼るような形式になっている。これが、公的扶助の役割を社会保障と一体化させ、結果的に公的扶助の機能に関する混乱を招いている。

帯グラフ

2.8%
5.2%
17.1%
27.5%
18.9%
10.4%
5.2%
2.8%
4.6%
5.5%

①-2 1年当たりの所得(SA)

選択肢 %
10万円未満 47 2.8
10万円から50万円未満 87 5.2
50万円から100万円未満 289 17.1
100万円から200万円未満 465 27.5
200万円から300万円未満 319 18.9
300万円から400万円未満 175 10.4
400万円から500万円未満 88 5.2
500万円から600万円未満 47 2.8
600万円以上 78 4.6
不明・無回答 93 5.5
全体 1,688 100.0

帯グラフ

25.2%
5.2%
3.9%
11.7%
7.0%
11.0%
7.3%
2.8%
2.0%
1.4%
2.5%
19.9%

①-3 1年当たりの所得のうち、就労による所得(SA)

選択肢 %
0円 426 25.2
1円から5万円未満 87 5.2
5万円から10万円未満 65 3.9
10万円から50万円未満 198 11.7
50万円から100万円未満 118 7.0
100万円から200万円未満 186 11.0
200万円から300万円未満 124 7.3
300万円から400万円未満 47 2.8
400万円から500万円未満 34 2.0
500万円から600万円未満 24 1.4
600万円以上 43 2.5
不明・無回答 336 19.9
全体 1,688 100.0

(母数は障害当事者)

【堂本委員】

多くの障害者の収入のほとんどは、障害年金や特別障害者手当等の公的制度に頼っている状況にある。

こうした状況にあって、障害年金については、現行の認定基準が、障害者の稼得状況を必ずしも反映したものとなっておらず、知的障害者や精神障害者のうち、稼得状況等により所得保障が必要な者に対して、適切な保障がなされていない。

また、精神障害者の多くは、低年金・無年金という現状があり、家族や親族に頼らなければ生活ができない状況にある。この背景としては、制度に対する周知不足や20歳前の初診日証明が困難なことが指摘されている。

さらに、現行の工賃水準を踏まえると、障害年金と併せても地域で自立した生活を送るには依然として厳しい状況にある。

【中西委員】

経済的な独立を図ることは、障害者の自立という観点から基礎的な条件の一つであるはずである。障害基礎年金や特別障害者手当は障害者の自立した生活づくりに向けて一定の役割を果たしてきた。今まで障害者の場合は、障害をもつこと雇用の対象として顧みられにくく、稼得収入を得ることが困難であった。何歳になっても、親や家族の庇護のもとでの生活にとどまらざるを得ない状況におかれていた。年齢に応じて家族に経済的に依存する度合いを減らしていくことが可能である非障害者は、最終的には親や兄弟とは別個の家計を営んでいる。そのため、欠くことの出来ない社会的条件として公的な所得保障制度を障害者の制度として改善することが必要である。

【長瀬委員】

この会福祉法人全国社会福祉協議会・障害関係団体連絡協議会の『障害者の「所得保障」に関する研究委員会』(岡部耕典委員長)の要望書(2008年2月)が今後の政策の指針となる。

具体的な要望事項

(1)年金制度

  • 障害基礎年金1級の給付額の引上げ。
  • 障害基礎年金2級の金額を現行の1級と同水準以上に引上げ。
  • 知的障害者、精神障害者とともに、難病や高次脳機能障害、自閉症などの「谷間の障害」にも適切な給付がなされるような支給基準の見直し。
  • 無年金障害者に対する特別給付金の給付範囲の拡大や給付額の改善。

(2)社会手当

  • 住宅手当の創設:(グループホームや入所施設だけでなく)地域での自立生活をおくる障害者に対して地域生活への移行を促進し自分の望む地域での自立生活を維持することを可能とする地域における住まいの場を確保するための手当(「住宅手当」)の創設。
  • 特別障害者手当の支給決定基準の見直し:(別表に基づく身体的な)機能障害(インペアメント)の程度のみではなく、個人の生活実態とその稼得能力を勘案し、知的障害者、精神障害者とともに、難病や高次脳機能障害、自閉症などの「谷間の障害」にも適切な支給がなされるような見直し。

(3)生活保護

  • (北九州事件等の)不適正事案等の検証を踏まえ保護基準や運用について漏給のないように見直す
  • 給付水準及び障害加算の維持・改善

(4)利用者負担における見直し

  • 所得を判断する範囲を「個人単位」とする。
  • 障害者の所得保障に関する施策と障害福祉サービスの利用者負担に係る施策を安易に接合させない。

【松井委員】

所得保障は、障害者だけの問題ではなく、国民全体の問題として議論する必要がある。つまり、障害の有無にかかわらず、何らかの事情で働いて収入を得ることが困難な人びとが、人間らしい生活を維持できる水準の所得保障制度を確立するには、その財源確保のための負担について国民的なコンセンサスづくりが不可欠である。この問題解決に向けて、与野党間での政策的合意づくりの実現が期待される。

【森委員】

我が国の障害者の所得保障制度は、“社会保険方式”と“社会扶助方式”の二方式からできあがっている。現在、所得保障で最大の課題である無年金者については、早急な対応必要である。例えば、特別障害者給付金制度の支給対象を拡充する等、対策を講じることが急務である。そして、将来の所得保障制度については、税制のあり方を含め、“社会保険方式”と“社会扶助方式”の統合等、抜本的に検討すべきである。

2.障害者権利条約はすべての障害のある人が地域で暮らすことができるようにすることを目指しているが、こうした観点から、どのような仕組みでどの程度の所得を保障するべきなのか、ご意見を賜りたい。

【大久保委員】

実態として、障害者の生計の主たるものは障害基礎年金であるが、既述したように障害基礎年金の水準が低いうえに、知的障害のある人たちの稼働収入は比較的に少ない現状がある。2級年金受給者は特に厳しい状況があるとともに、高齢化等によりリタイアした場合などは、医療費などの負担増と相俟って、地域生活の維持が困難な状況といえる。

障害基礎年金の水準を引き上げるとともに、家賃補助や医療費補助の仕組みも合わせて必要であると考える。

【大谷委員】

憲法25条は、健康で文化的な生活を保障し、これの最低限保証として生活保護法がある。よってどのような観点からみても、所得保障が生活保護基準を下回ることは許されない。

【大濱委員】

障害者権利条約「第十九条 自立した生活及び地域社会に受け入れられること」と上記「第二十八条 相当な生活水準及び社会的な保障」の2項(c)(d)の規定に則った所得保障は、生活保護費にプラス障害を理由とした個別の経費が必要となる。

但し、この議論を進める以前の基本的認識として、生活保護費に多額の予算が必要なために生活保護費の減額が、財政論として常に俎上にあがっている。しかし、現行の生活保護費が、憲法で保障されている「生存権」を保障しているか疑問である。このような状況下で、一部の動向として、生活保護費を引き下げ障害基礎年金受給者の不満を吸収するという施策は、避けるべきである。

障害のある人が地域で暮らすことができるようにするために、特定の生活様式である入所施設やグループホームではなく、中心市街地や商店街の中で地域の住民と同様に貸家やアパート等で暮らせるように、貸家やアパートの家賃に限って助成を行う仕組み(車いすの場合は広めの物件が必要なので加算も含む)を検討すべき。

【尾上委員】

障害基礎年金あるいは特別障害者手当という所得保障制度を活用しても、障害のある人が、地域で独立した個人として基礎的な生活を営むことは困難な状況にある。権利条約の障害のある人とない人の平等を基礎とするという原則からすれば、同地域に暮らす同年代の市民と同等の生活の基礎を賄うことのできる経済水準に達するまで、現行の年金、手当の水準の引き上げを図ることが求められる。

こうした基礎的保障が保障された上で、一定の条件のもとで、住宅確保にかかる経費を補てんする住宅手当等の創設が必要となる。

【勝又委員】

障害のある人だから、ない人と比較してこれだけ追加費用がかかるという指標をつくることは難しい。まずは、障害のある人もない人も区別なく、文化的な最低限度の生活がおくれない場合は、公的な保障をしていく必要がある。言い換えればインクルーシブな社会をめざして行くべきであり、障害のある人だけがよくなればよいという制度改正案はひろい国民の同意は得られないだろう。

【門川委員・福島オブザーバー】

障害者が地域で暮らすことができるようにするためには、障害者に特有のニーズを満たすための所得保障が不可欠である。すなわち、障害者は障害のない人ならば必要としないような様々な困難に直面しており、そうした障害者に特有のニーズを満たすために、必要充分な所得を保障する必要があるということである。それは言い換えれば、全国のどの地域に居住している障害者でも、そして障害がどれほど重くても、本人が希望すれば、施設ではなく地域で(かつ単身で)生活できるだけの所得保障がなされるべきだということである。

また、そもそも憲法で保障されている健康で文化的な最低限度の生活を営むためには、所得保障が必要不可欠である。そして、それと同時に、必要な福祉サービス及び特有なニーズを満たすための財が無料ないし低廉な価格で提供されるべきだということである。

しかし、現実には、必要な福祉サービス及び特有なニーズを満たすための財が無料ないし低廉な価格では提供されておらず、市場からの、場合によっては割高な価格での購入によってそうしたサービスや財を入手するしかないことの方が多く、それゆえに、地域生活を断念せざるをえないという現状がある。

以上のことから、所得保障の水準は、そうした、障害者であるゆえに必要となる様々な支出を勘案して、生活保護の給付レベルの所得よりも高い水準である必要があると考える。

【川﨑委員】

基本の生活費は生活保護費に障害者加算を加えた額、住宅手当、それに障がい者が積極的に生活していくための社会参加手当のようなものが加わった額があるとよい。この場合、医療費の無料化、国民健康保険などの保険料の免除、介護保険料等の免除など、周辺の福祉状況を固める必要がある。

【北野委員】

A.生活保護を受けている障害者の場合は、障害者自立支援法で認められたサービスについて利用者負担がないのは、なぜなのか。それは、本人の受け取る生活扶助費が、それ自体で最低生活を満たすだけのものであって、そこから住宅費や医療費や介護保険料は出せないということで、生活扶助にプラスして住宅扶助や医療扶助や介護保険料加算がでているのだ。さらに介護保険の1割負担分は介護扶助として別建てで支給されている。

このことが意味していることは明白である。それは、生活扶助費と大差がない障害基礎年金2級をその主たる生計費としている人からは、費用負担などあり得ないだけでなく、アパートやGH等で自立生活をしている人には住宅手当(家賃補助)が不可欠だと言うことである。

【佐藤委員】

非正規雇用が広がる今日、社会保険制度が揺らいでいる。違法にも従業員を社会保険で保護しない雇用主も多い。保険料の事業主負担分を払いたくないだけなのに「より多くの給料を現金で渡したいから君は保険には入れないよ」と、これを「親切」だとして恩を売る事業主もいる。

不安定就労をする労働者では、収入不足のため、そして理解不足のため、月々1万5千円ほどの国民年金保険料を納めない、納められない人もいる。国民健康保険の保険料すら納入できない、またはしない人が、どうして何十年も先の老齢年金に備えたり、自分には起こるはずはないと思っている「障害」に備えたりするだろうか。

こうして、社会保険方式を基本とする障害者の所得保障制度は破綻しつつあり、ますます多くの無年金障害者を生みつつある。保険制度は事故が起きる可能性があると思うから加入するものであり、障害者の所得保障の基礎に据えるべきではない。

税金による基礎的な所得を補償する制度を設けるべきである。そのうえに、プラスアルファの給付を期待する人が社会保険で上乗せするべきである。

【新谷委員】

「障害のある人が地域で暮らす」ということは、人として当たり前に(尊厳をもって)暮らすことを意味していると思います。そのための所得レベルは、必要な生活支出に加え、自分の好きなものを自分の判断で買う、食べる、見るなどの費用を含むことが必要です。そのどの部分までを年金がカバーすべきか難しい問題ですが、障害が本質的に保険制度と馴染まないことを考えると、年金制度と現物給付を含む手当で整備せざるを得ないと考えます。

【関口委員】

住居が自分持ちでない人には、満額の住宅扶助が必要である。さらに、家族に頼らないで生活出来るのに必要な額は支給されるべきと考える。

参考意見:大阪精神障害者連絡会 塚本正治

地域で暮らすことを具体化するものは、所得の保障であり、障害年金の充実・無年金障害者への救済・就労施策の確立が必須である。

年間300万の所得保障を設定すべきである。

【堂本委員】

障害者が地域でその人らしく生活するという視点に立って、障害者の具体的な生活実態に即し、余暇活動等も含めて積極的な社会参加が可能となる年金水準とすべきである。

【中西委員】

雇用・就労の対象となりにくい障害者も経済生活の安定が図られる仕組みを、障害基礎年金の大幅引き上げと新たな社会手当の創設により作り出すことが求められる。

年金制度が拠出性の老齢年金制度を基本として成り立っている現在の施策の枠組みの中では、障害者の年金のみを老齢年金とは別個の給付水準で支給することには問題があるという建前が強調され、大幅な引き上げは果たされないままになっていた。また学生無年金障害者や在日外国人障害者等や、精神障害者や知的障害者をはじめとする多くの障害を持つ人々が、年金の受給資格から排除されてきた状況も改善されないままになっている。このような制度的な無年金者や、経済的保障が必要であるにもかかわらず、身体機能障害・日常生活能力を判断基準とする資格要件により排除されてきた人々に対して、身体機能障害だけを判断基準にするのではなく、稼得能力の喪失状況に応じた所得保障の仕組み打ち出すべきである。

身体機能の欠損状況を主たる判断基準として年金や手当の支給を行う、現行の支給基準の根本的な見直しが必要である。また、特別障害者手当の対象範囲の見直しも実施し、これを経済に安定した生活が図れるためのものとする。さらに住宅手当をはじめとする新たな社会手当に対する具体的な検討をすすめることが求められる。

現在障害者は毎月おおよそ年金一級で約8万円、それに特別障害者手当て約2万6千円、東京都にいれば心身障害者福祉手当1万5500円と重度心身障害者手当6万円の所得がある。住宅手当て4万円の新設を図るほかに、生活費として軽度障害者に月20万円重度障害者22万円の金額が必要である。

【長瀬委員】

谷間を作らないという観点から、全員を対象とするベーシックインカムも含め、障害のみならず、総合的な観点からのユニバーサルな所得保障の制度構築があり、その一環に障害者も含まれるという観点が必要である。

【松井委員】

国民年金保険未加入者が、相当数にのぼることを考えれば、基礎年金部分は保険ではなく、税でカバーする必要がある。そして、基礎年金は、障害の有無にかかわらず、働いて収入を得ることが困難な人びとに人間らしい生活が維持できるような水準―必ずしも十分でないとしても、少なくとも最低賃金レベルまで引き上げるべきであろう。

【森委員】

障害者基本法に基づく定義に基づいて理解すると「障害者とは、継続的に日常的又は社会的に相当な制限を受ける者」である。そこで、社会環境における生活をしづらくしている具体的な状況を検討し、当たり前の生活を送るために必要となる経費について所得保障すべきである。その額については一律に算定できうるものでもない。

現行の障害者自立支援法においては、応益負担の考え方の導入により経済的な出費が増加したのみならず、食費、光熱水費の負担などは地域において暮らすことを極めて困難にしている。そこで、そのような状況について具体的な検証を行い、介護に重点を置く支援の支給のみならず、人間としての当たり前の生活の充実を図るための住環境の整備、食生活の充実、受療ならびに受療のための移動を含めた手段の確保、社会参加のための必要な経済的出費を可能にする所得を保障すべきである。その上で、各種サービスに対する利用者負担については、過度の負担にならないよう検討すべきである。

障害基礎年金について

1、現在の障害基礎年金の水準は生活保護基準にも満たないとして、改善を求める声が従前より上がっている。また、障害基礎年金2級の支給額を1級に、1級をそれ以上に引き上げるべきとの意見もある。以上のことを踏まえて、障害基礎年金の水準についてのご意見を賜りたい。なお、障害基礎年金は老齢基礎年金の早期支給とみなしているため、障害基礎年金2級が老齢基礎年金と同額になっていることも、念頭におかれたい。

【大久保委員】

現在、特に障害基礎年金2級(支給額 月額約66,000円)の受給者は約89万人、1級(同 約83,000円)の受給者は約73万人となっている。

特に、知的障害のある2級年金受給者は、地域生活においてケアホーム・グループホーム等を住まいとし、地域での活動や就労の場に通う人たちが今後さらに増えていくものと想定される。最も多い例として、基礎年金以外の稼働収入は福祉的就労における工賃(平均12,000円程度)であり、日常の生活費とケアホーム・グループホーム等の家賃を賄える収入とはなっていない。

また、1級年金受給者についても、特別障害者手当(約26,000円)が上乗される障害者は、約11万人(平成19年度末)と限定されており、中でも知的障害のある人たちへの支給は極めて少ない。知的障害のある人たちが今後、ケアホームで暮らし、日中活動の場に通う例がますます増えていくことを考えた場合、稼働収入は多くは期待できないところから、1級年金の支給額も増額する必要があると考える。

なお、障害基礎年金2級の支給額は、稼得能力の低下した者に対する所得保障として、老齢基礎年金との整合性が図られている現状があるが、ライフステージが異なるなかでの日常生活の困難性と稼得能力の不十分さに対しての所得保障という視点からすれば、支給額が同額である必要はないと考える。さらに、老齢基礎年金受給者は、受給前に資産形成がより可能であることも考慮する必要がある。

ちなみに、現行の障害基礎年金を25%増額(1級を10,3000円、2級を83,000円程度)した場合、約3,600億円の予算措置が必要との試算がある。

【大谷委員】

障害基礎年金の水準は引き上げられるべきである。

障がいのある人の障害基礎年金は1級で月額約8万2500円、2級で月額約6万6千円である。これでは住宅を借りて、自立して生活するには到底不足する金額である。

障害者の権利条約19条は、「地域社会で生活する平等の権利」を定める。

障がいのある人が地域社会で生活するには、住宅、介護、医療などの保障と共に、日常生活が他の人と同じくできる移動を容易にするための所得の保障も必要である。現在の障害基礎年金の額は住宅の費用が事実上含まれず、移動、介護、医療の保障の面でも不十分である。それゆえ、条約28条並びに19条の趣旨を、障がいのある人の日常の生活を保障するためには、せめて生活保護費の住宅扶助に障がい者加算をした金額に改訂する必要がある。いずれにしても、重度の障がいのために就労できない人は生活保護に依存せず、年金で暮らしたいと考えている。それは、生活保護にミーンズテストがあって保護費の使途についてケースワーカーから厳しいチェックがあるのに対し、年金にはそれがない。それゆえ、障害年金の充実こそ、障がいのある人が、今後、地域社会で生活するために不可欠である。

【大濱委員】

長期的には、命にかかわる介護の問題を解決決したのちに、財源を確保し、年金の引き上げを図っていくべき。

高齢者の場合、年金需給に至るまでに長期間の稼稼得能力により一定の貯蓄があるとの前提で老齢基礎年金は設定されている。従って、稼稼得能力の低い障害基礎年金2級が老齢基礎年金と同額になっていることは、適切でない。

従って、1級の基礎年金は、生活保護費にプラス障害を理由とした個別の経費が必要。

【尾上委員】

障害者基礎年金の水準が、生活の基礎部分を賄うものにはなりえていないということは、前述したとおりである。

障害基礎年金一級を生活保護の基本生計費プラス障害者加算の金額まで引き上げることを求める提言もなされたが、1985年の障害基礎年金設立以降は目立った改善はなされてこなかった。

一方で、民主党は政権公約で、すべての年金対象者に7万円の最低保障年金の考え方を出している。また、公明党は、障害基礎年金を1級、2級ともに現行水準の25%増額する案(他に無年金問題の解消等)を提起している。これを基礎として、一定の稼働収入以下の場合に、その3割程度を増額する方式とすることは、現実的に検討の余地がある。いずれにしても年金制度の抜本改革とあわせて実施されるよう準備をしなければならない。

障害基礎年金には、「社会保険原理」の建前にこだわりすぎて、障害者の生活実態にそぐわない点がいくつか見受けられる。後述の無年金障害者を生み出すこともそのひとつであるが、子の加算制度も、社会保険原理が壁となって、多くの障害者が(特に20歳前に障害認定された者)が利用できないものとなっている。

【勝又委員】

他の制度の基準(たとえば生活保護基準)と障害基礎年金を比較して議論することにどれだけの意味があるか、考えてみるべきだ。仮に生活保護基準が今後低くなれば、金額的に差は縮まる。それで問題は解決するのか。老齢基礎年金は保険料を納めた月数によって支給額が変わるから、実際に老齢基礎年金の受給者より高い障害基礎年金2級の受給者もいる。公的年金が所得保障として国民の何を保障するのかについて、障害基礎年金の支給水準の議論は国民基礎年金、ひいては公的年金の水準の議論と統合されて行われなければならない。

【門川委員・福島オブザーバー】

障害基礎年金の水準は引き上げるべきである。また、障害基礎年金が年金制度の枠内にあることから、老齢基礎年金の水準の引き上げと同時に実現する必要がある。

そもそも、障害基礎年金の水準が生活保護基準にも満たないということは、老齢基礎年金の水準も同様に生活保護基準にも満たないということであって、そうした事態は防貧政策としての年金制度の本旨からいってやはり望ましくないと考えられる。

ただし、障害基礎年金が年金制度の枠内にある以上、障害者特有のニーズに見合うレベルへの所得保障水準の引き上げを年金の枠内だけで実現することには困難があるとも考えられる。本来、障害者、とりわけ先天性や若年性の障害者については、過去の労働による貯蓄がないことや、新たな就労の機会が乏しいこと、障害ゆえの付加的な出費があることを勘案して、より高い所得保障水準が求められるわけだが、そうした所得保障水準が年金制度の枠内である障害基礎年金によってだけでは達成されない場合には、手当制度の対象者・支給要件・支給額を見直すことによって達成するという方向性を検討する必要があると考える。

【川﨑委員】

問題は障がい者の所得保障を年金でするのか、それとも福祉手当のように福祉の財源でするのか、保障のあり方を考える必要がある。また障害年金を引き上げたとして、家族同居の場合はよいが、年金と生活保護で単身生活している人の場合、生活保護費との関係はどうなるか。等級の低い地域の場合、保護費を上回り保護廃止といった事態が起こらないか。その場合現物給付であった医療費や介護費などが一気に負担が増えてくる。恩恵を受ける人がいても、不利益を被る人がいてはならない。細かい試算が必要である。また無年金障害者の問題はどうなるのか。ますます格差が広がる。所得保障は必要な障がい者すべてに保障されるものであってほしい。

【北野委員】

A.障害者の場合は、その障害者となった時期や障害の程度等で異なるが、一般就労によって所得を得ることが困難な場合には、障害基礎年金が、さらに重度の障害者には特別障害者手当が、さらには生活保護が存在する。

さて、生活保護を受けている障害者の場合は、障害者自立支援法で認められたサービスについて利用者負担がないのは、なぜなのか。それは、本人の受け取る生活扶助費が、それ自体で最低生活を満たすだけのものであって、そこから住宅費や医療費や介護保険料は出せないということで、生活扶助にプラスして住宅扶助や医療扶助や介護保険料加算がでているのだ。さらに介護保険の1割負担分は介護扶助として別建てで支給されている。

このことが意味していることは明白である。それは、生活扶助費と大差がない障害基礎年金2級をその主たる生計費としている人からは、費用負担などあり得ないだけでなく、アパートやGH等で自立生活をしている人には住宅手当(家賃補助)が不可欠だと言うことである。

衆知のように、障害基礎年金2級は老齢基礎年金と同額であり、老齢基礎年金は生活保護の生活扶助費を想定したこともあり、住宅扶助等を含んでいない。それは、高齢者の多くは資産形成によってそれをなし得ているという判断であって、資産形成がきわめて困難な、介助等の支援を必要とする障害者にはまったく当てはまらない。

もうひとつの問題は、障害基礎年金の1級の一部や特別障害者手当とは、何なのかである。生活保護の中に、他人介護料とは別個に障害者加算及び重度障害者加算が存在することを鑑みれば、それらは、障害者に対する介助や舗装具等の支出のための金ではなく、障害ゆえの一般的な生活のしづらさと出費のためと考えられる。それゆえ、障害基礎年金の1級の一部や特別障害者手当を含む最低生活保障費と住宅手当(家賃補助)が、その障害ゆえに別途必要となる介助費用や舗装具等費用とは全く別に、一般的生活者の生活費として必要である。

【佐藤委員】

「障害基礎年金2級の支給額を1級に、1級をそれ以上に」との提案は、勢いはいいが根拠がない。もともと「重度障害者」には介護その他の費用がかかるであろうからとのことで、(たいした根拠なしに)2級の額の25%増しを1級の額としたものであり、今度はその1級の額を2級の額にするのでは、正当性・妥当性に疑問が出てくる。

障害基礎年金の基本は2級であり、この2級の障害基礎年金の額を生活扶助基本生計費(1類プラス2類)に障害者加算を加えた額に引き上げることが必要である。生活保護の基本生計費は障害のない人々の個人および世帯としての(健康で文化的な最低限度の生活のための)必要経費を実態調査に基づいて計算しているものである。生活保護の障害者加算は障害のために必要なプラスアルファの出費をカバーするものとされるもので、障害年金制度の改革に際して、年金とは別枠でこの「障害特別出費」が手当てとして支給されるなら、この額を加えずに基本生計費=障害基礎年金2級、とすればよい。

基本生計費は年齢や地域による基準額の変化はあるもののほぼ一定であるのに対して「障害特別出費」は相当程度個人差が大きい。これを手当として別枠にし、その評価制度を確立するには時間がかかるので、当面「基本生計費+障害者加算」を提案したものである。

また、この提案は(障害者への)「住宅手当」の制度の創設を前提としている。「基本生計費」は住宅費用を含んでいないからである。

おたずねのように、障害基礎年金=早期老齢年金とされ、金額も障害基礎年金2級額=(満額)高齢基礎年金額とされ、介護等の出費がさらにかさむ人のための障害基礎年金1級の額=2級額の25%増し、とされた。

この根拠(その後の改訂でも使用された根拠)は、総務庁・全国消費実態調査での「65歳以上の単身無業の高齢者の月々の基礎的消費支出」であり、具体的には、「食料費、住居費、被服費、光熱費」のことである。

これを障害者にそのまま当てはめた発想に唖然とせざるを得ない。つまり、退職した高齢者の「衣食住の費用」を老齢基礎年金額=障害基礎年金額(当時月額5万円)としたわけで、交通・移動、学習・情報、余暇、交際、医療などは無視している。障害者は自宅でおとなしくお茶を飲んでいればよいかのようである。さらに、高齢者の多くは持ち家で、すでにローンも終えて「住居費」はあまりかからないにもかかわらず、こうした高齢者層の実際の「住居費」を障害者に当てはめようとしている。

従って、現在の障害基礎年金の金額をもとにしてその増額を考えることには一定の便利さはあるものの、基礎の根拠そのものがないので、国民的な信頼を得ることはできない。したがって、最低生活費を事実に基づいて計算している生活保護費の額を基本に制度設計するのが適切であろう。

【新谷委員】

障害基礎年金は老齢基礎年金の早期支給か、といった議論に陥るのではなく、正面からすべての人のセーフティネットとしての年金制度を構築すべきと考えます。生活保護も障害基礎年金制度も資力テストや障害判定を要件として、一般市民から一部の人を分離・区分けしています。共生社会の理念を現実化させるために、経済社会的な意味でも、倫理的な意味でも国民一律の最低年金を支給する仕組みを構築すべきと考えます。また、障害に起因する必要なサービスのためには、手当制度を整備するのが現実的と思います。

障害基礎年金は、国民全体の年金制度に解消すべきと考えますが、現在の障害基礎年金水準では生活できないことは、老齢基礎年金受給者がそれ以外の収入を加えて、老後の生活をおくっている事実から明らかです。

【関口委員】

基礎年金の水準は引き上げるべきである。

障害基礎年金は、公的扶助が採用する最低生活を超えている必要がある。

また、家族と同居する障害者であっても、あくまで社会保障であることを踏まえて、最低生活を超えている必要がある。

そうでなければ、家族に依存する、従来の生活様式の改善が見込めない。

そもそも、障害基礎年金と生活保護を比べるのには無理がある。生活保護では家賃扶助が入ることが多いからである。ただし、家賃扶助を除いても、地域差はあるが約9万5千円となるので、基礎年金2級よりは高い。したがって、働けない人に対しては、生活保護で対応することになるであろうが、いくらかでも働ける人にとっては家賃さえ掛からなければ、障害による所得となる。ところが老齢基礎年金は、文字通り老人になって受けるものである。多くの場合若い時には所得があったであろうから、それと比較すると、障害基礎年金を老齢基礎年金の早期支給とみなす考え方には問題がある。障害を負っているだけではなく、人生の若・壮年期の楽しみまでも老人と一緒でいいという考え方にしか思えない。本来、障害者の為のセーフティーネットが生活保護でよいのかも含めて議論すべきである。

参考意見:大阪精神障害者連絡会 塚本正治

「障害年金1級は月15万、2級は12万を水準とすべきである。」

参考意見:精神障害当事者

障害年金は、障害によって失墜された社会的信用を補うものとして機能すべきだと私は考えます。よって、医療モデルからの視点での現行の障害者年金制度では、生活は守られません。

永続的な障害者の所得保障の制度が必須の課題だと思います。

参考意見:精神障害当事者

障害者基礎年金の遡及の5年時効の撤廃と医師のカルテ5年まで保存を永久保存にして欲しい事と、震災で病院が焼けた事もあいまって、社会保険庁(旧)は死んだ医者からカルテを2つ取ってこい!そうすれば、平成12年から20歳までの年金遡及が出来ると言う無茶苦茶な論理を振りかざしました。障害者基礎年金の遡及の時効撤廃と障害者基礎年金等々の過去に遡っての無制限に遡及出来るように速やかにお願い申し上げます。

住居分離と非住居分離者の収入形態と生活困窮度比較:参考

対象者:全国の地域精神病者

*ここからは単身生活や住居分離をされている方にお聞きします。(施設入居者は除く)

Q37.現在の生活の資金で該当するところにすべて○をつけてください。

(該当事項に全て○)n=236(不明を除く)

就労が生活資金である人はわずか43人しかいなかった。


Q37.現在の生活の資金

棒グラフ Q37.現在の生活の資金

障害年金 142
生活保護 96
就労(アルバイト) 43
親の資産・親の遺産 22
仕送り受けている 16
施設工賃 13
配偶者の給料 12
貯金 7
遺族年金 5
国民年金・厚生年金 5
自営業 1
その他 12


Q37.現在の生活の資金 人数
障害年金 142 60.2
生活保護 96 40.7
就労(アルバイト) 43 18.2
親の資産・親の遺産 22 9.3
仕送り受けている 16 6.8
施設工賃 13 5.5
配偶者の給料 12 5.1
貯金 7 3
遺族年金 5 2.1
国民年金・厚生年金 5 2.1
自営業 1 0.4
その他 12 5.1
サンプル数 236 100

(その他の生活資金)

  • 失業手当。
  • 傷病手当て。
  • ピアカウンセリングに(PSWとして)従事し、小遣い稼ぎ程度の収入を得ている。
  • 資産収入。
  • 借金。
  • 彼氏の給料。
  • 休職中の賃金と貯え。
  • 母親の年金、兄からの生活費の一部。

Q38.今の自分の生活(経済状態)についてどう思いますか。当てはまるものにひとつ○をつけてください。

n=238(不明を除く)

住居分離者は余裕のある生活を送っている人は少ない。


Q38.今の自分の生活(経済状態)*

棒グラフ Q38.今の自分の生活(経済状態)

食べる方は心配ないが、あまり余裕のある生活とはいえない。 41.2%
普通なみの一般的な生活を送っている。 21.8%
やっとその日を送っている状態、明日のことが不安である。 18.5%
食べるのが精一杯で、余裕がなく文化的な生活とはとてもいえない。 13.0%
他の人より恵まれた生活を送っている。 3.4%
他の人より少し余裕のある生活ができている。 1.3%
その他の回答 0.8%


Q38.今の自分の生活(経済状態)* 人数
食べる方は心配ないが、あまり余裕のある生活とはいえない。 98 41.2
普通なみの一般的な生活を送っている。 52 21.8
やっとその日を送っている状態、明日のことが不安である。 44 18.5
食べるのが精一杯で、余裕がなく文化的な生活とはとてもいえない。 31 13
他の人より恵まれた生活を送っている。 8 3.4
他の人より少し余裕のある生活ができている。 3 1.3
その他の回答 2 0.8
合計 238 100

(その他)

  • 今はよいが将来が心配。
  • 恵まれた面と不安な(きつい)面がある。

**単身生活や住居分離をされていない方とは

現在の居住の状態が、両親、親族等と一緒に独身生活、両親親族等と一緒に結婚生活、施設生活を示す

**ここからの質問は単身生活や住居分離をされていない方にお聞きします。

Q43.現在の生活の資金で該当するところにすべて○をつけてください。

(該当事項に全て○)n=407(不明を除く)

非世帯分離者の収入源は障害年金が一番多い。


Q43.現在の生活の資金**

棒グラフ Q43.現在の生活の資金

障害年金 279
就労(アルバイト) 112
仕送り受けている(扶養等) 87
生活保護 38
親の資産・親の遺産 34
配偶者の給料 23
自営業 16
遺族年金 12
施設工賃 9
国民年金・厚生年金 4
貯蓄 1
その他 29


Q43.現在の生活の資金** 人数
障害年金 279 68.6
就労(アルバイト) 112 27.5
仕送り受けている(扶養等) 87 21.4
生活保護 38 9.3
親の資産・親の遺産 34 8.4
配偶者の給料 23 5.7
自営業 16 3.9
遺族年金 12 2.9
施設工賃 9 2.2
国民年金・厚生年金 4 1
貯蓄 1 0.2
その他 29 7.1
サンプル数 407 100

(その他の回答)

  • 親の共済年金で。
  • 職業訓練所。
  • 児童手当。
  • 特別障害給付金。
  • 老齢年金。
  • 親の年金。
  • 授産施設の賃室代。

Q44.今の自分の生活(経済状態)についてどう思いますか。n=415(不明を除く)

非世帯分離者は食べる心配がないひとが多い。


Q44.今の自分の生活(経済状態)**

棒グラフ Q44.今の自分の生活(経済状態)

食べる方は心配ないが、あまり余裕のある生活とはいえない。 42.2%
  26.0%
やっとその日を送っている状態、明日のことが不安である。 13.3%
  9.9%
他の人より少し余裕のある生活ができている。 4.1%
  3.1%
その他の回答 1.4%


Q44.今の自分の生活(経済状態)** 人数
食べる方は心配ないが、あまり余裕のある生活とはいえない。 175 42.2
普通なみの一般的な生活を送っている。 108 26
やっとその日を送っている状態、明日のことが不安である。 55 13.3
食べるのが精一杯で、余裕がなく文化的な生活とはとてもいえない。 41 9.9
他の人より少し余裕のある生活ができている。 17 4.1
他の人より恵まれた生活を送っている。 13 3.1
その他の回答 6 1.4
合計 415 100

(その他)

  • 親亡き後、不安を感じる。
  • 今はあまり心配ないが将来的に不安。

最低限の生活をしている精神障害者と生活に必要な資金


以下の調査からも、障害年金の見直しや、生活保護の算定は再度見直すべきである。

*ここからは引き続き、単身生活や住居分離をしている方にお聞きします。

Q39.現在の月当りの金銭収入(給料に限らずすべての収入)は、約いくらですか。n=207(不明を除く)

Q39-2.月当たりの金銭収入
条件:3万未満、3万以上5万未満と22万以上をはずし、再集計すると平均月当たりの金銭収入は11.3万円であった。


Q39.現在の月当りの金銭収入は、約いくら。*

棒グラフ Q39.現在の月当りの金銭収入は、約いくら。*

3万未満 4
3万以上~5万未満 8
5.0~5.9万 4
6.0~7.9万 35
8.0~9.9万 32
10.0~11.9万 51
12.0~13.9万 32
14.0~15.9万 15
16.0~17.9万 4
18.0~19.9万 5
20.0~21.9万 7
22万以上 10


Q39.現在の月当りの金銭収入は、約いくら。* 人数
3万未満 4 1.9%
3万以上~5万未満 8 3.9%
5.0~5.9万 4 1.9%
6.0~7.9万 35 16.9%
8.0~9.9万 32 15.5%
10.0~11.9万 51 24.6%
12.0~13.9万 32 15.5%
14.0~15.9万 15 7.2%
16.0~17.9万 4 1.9%
18.0~19.9万 5 2.4%
20.0~21.9万 7 3.4%
22万以上 10 4.8%
合計 207 100.0%

Q40.一ヶ月を生活するのには最低限、約いくら必要か?(*)n=206(不明を除く)

Q40-2.月当たりの最低必要な金銭収入

条件:3万未満、3万以上5万未満と22万以上をはずし、再集計すると平均月当たりの最低必要な金銭は12.7万円であった。


Q40 在一ヶ月を生活するには最低限、約いくら必要。*

棒グラフ Q40 在一ヶ月を生活するには最低限、約いくら必要。

3万未満 0
3万以上~5万未満 7
4.0~5.9万 7
6.0~7.9万 15
8.0~9.9万 28
10.0~11.9万 43
12.0~13.9万 34
14.0~15.9万 34
16.0~17.9万 3
18.0~19.9万 8
20.0~21.9万 13
22万以上 14


Q40 現在一ヶ月を生活するには最低限、約いくら必要。* 人数
3万未満 0 0.0%
3万以上~5万未満 7 3.4%
4.0~5.9万 7 3.4%
6.0~7.9万 15 7.3%
8.0~9.9万 28 13.6%
10.0~11.9万 43 20.9%
12.0~13.9万 34 16.5%
14.0~15.9万 34 16.5%
16.0~17.9万 3 1.5%
18.0~19.9万 8 3.9%
20.0~21.9万 13 6.3%
22万以上 14 6.8%
合 計 206 100.0%

Q45.**現在の月当りの金銭収入(給料に限らずすべての収入)は、約いくらですか。n=310(不明を除く)

月当たりの最低必要な金銭収入

条件:3万未満、3万以上5万未満と22万以上をはずし、再集計すると平均月当たりの金銭収入は12.7万円であった。


Q45.現在の月当りの金銭収入は、約いくら。**

棒グラフ Q45.現在の月当りの金銭収入は、約いくら。

3万未満 32
3万以上~5万未満 27
5.0~5.9万円 17
6.0~7.9万円 91
8.0~9.9万円 35
10.0~11.9万円 39
12.0~13.9万円 24
14.0~15.9万円 9
16.0~17.9万円 8
18.0~19.9万円 7
20.0~21.9万円 7
22.0万円以上 14


Q45.現在の月当りの金銭収入は、約いくら。** 人数
3万未満 32 10.3%
3万以上~5万未満 27 8.7%
5.0~5.9万円 17 5.5%
6.0~7.9万円 91 29.4%
8.0~9.9万円 35 11.3%
10.0~11.9万円 39 12.6%
12.0~13.9万円 24 7.7%
14.0~15.9万円 9 2.9%
16.0~17.9万円 8 2.6%
18.0~19.9万円 7 2.3%
20.0~21.9万円 7 2.3%
22.0万円以上 14 4.5%
合計 310 100%

**この質問は引き続き、単身生活や住居分離をされていない方にお聞きします。

Q46.現在一ヶ月を生活するには最低限、約いくら必要ですか。n=316(不明を除く)

月当たりの平均金銭収入

条件:3万未満、3万以上5万未満と22万以上をはずし、集計すると、最低必要な金銭は平均12.0万円である。


Q46.一ヶ月を生活するには最低限、約いくら必要。**

棒グラフ Q46.一ヶ月を生活するには最低限、約いくら必要。

3万未満 13
3万以上~5万未満 35
5.0~5.9万円 33
6.0~7.9万円 37
8.0~9.9万円 21
10.0~11.9万円 56
12.0~13.9万円 18
14.0~15.9万円 49
16.0~17.9万円 10
18.0~19.9万円 5
20.0~21.9万円 20
22.0万円以上 19


Q46.一ヶ月を生活するには最低限、約いくら必要。** 人数
3万未満 13 4.1%
3万以上~5万未満 35 11.1%
5.0~5.9万円 33 10.4%
6.0~7.9万円 37 11.7%
8.0~9.9万円 21 6.6%
10.0~11.9万円 56 17.7%
12.0~13.9万円 18 5.7%
14.0~15.9万円 49 15.5%
16.0~17.9万円 10 3.2%
18.0~19.9万円 5 1.6%
20.0~21.9万円 20 6.3%
22.0万円以上 19 6.0%
合計 316 100%

【堂本委員】

障害者が地域でその人らしく生活するという視点に立って、障害者の具体的な生活実態に即し、余暇活動等も含めて積極的な社会参加が可能となる年金水準とすべきである。

【中西委員】

稼得能力が低下した者に対する給付として、障害基礎年金の給付額は老齢基礎年金とのバランスに基づいて設定されていて、障害基礎年金2級の場合は老齢基礎年金の満額と同額となっている。しかし、障害を有することに伴って生じる種々の特別な出費という大きな経済的ニーズがあることを勘案すると、両者を同額とすることは合理性を欠いている。

障害基礎年金の多くは、その生活ニーズの多様さから重度障害者の場合年金一級を生活保護の障害加算、介助加算の額を加えた金額に設定すべきである。二級で12万円、一級で16万円に引き上げる必要がある。障害者手当てに準ずる制度を国も導入するべきであり、特別障害者手当てを増額してこれに充当させることが適切である。

【長瀬委員】

1986年の障害基礎年金の創設は日本の障害制度の発展の歴史の中でも特筆されるが、給付水準が低位のまま推移してきてしまったため、給付水準の向上が必要である。

【松井委員】

基礎年金は、基本的には障害の有無にかかわらず、働いて収入を得ることが困難なすべての人が人間らしい生活を維持できるだけの水準―具体的には少なくとも最低賃金レベルであるべきである。もちろんその実現には、消費税の引き上げも含め、財源の確保が不可欠である。年金問題はまさに国民的課題であるだけに、与野党が協力してその解決に取り組むべきである。

【森委員】

障害基礎年金の水準の引き上げが強く求められる。現行の障害者基礎年金2級の支給額は老齢基礎年金と同額となっているが、障害にもとづく受療、健康の維持のための出費や障害があるために当たり前の通常の生活実現に特別な経済的な出費が必要になったり、障害のあることによって公共交通機関が利用できなかったり、障害のない人に比べて特別な出費を伴うことが数多くあり、老齢基礎年金額と同じ額であるには合理性がないと思われる。

また、障害基礎年金の水準の引き上げに関して、老齢基礎年金額との関連性から抜本的な取り組みと多額の原資の確保が求められる。そこで、原資の確保なども含め、広く国民の理解と合意形成のために長期にわたる期間が必要とされると想定される。しかし、現行システムの中で今日、明日の生活にも大きな制限を抱え、将来への希望を持てない障害者が数多いことを考えると、障害基礎年金増額までの過渡的な取り組みが必要となり、住宅手当などを含めた諸手当の早期創設が求められる。

無年金障害者について

1.現在の障害基礎年金は、以下のような要因で無年金となる「谷間の障害者」を生み出している。

  • 国民年金の任意加入時に学生、主婦が障害を負った場合。
  • 日本国籍をもたない人が障害を負った場合。
  • 海外に居住している日本人が障害を負って帰国した場合。
  • 所得保障による支援が必要であるにもかかわらず、障害等級が低い等のために年金が支給されない場合。
  • 保険料を未納としていたため、あるいは保険に未加入であったために年金を受けることができない場合。

このような現状についてのご意見を伺いたい。

【大久保委員】

まず、現行の障害基礎年金の原則的な受給要件(初診日が20歳前は除く)となっている加入期間(3分の2)や保険料滞納期間(1年間)の緩和が必要と考える。また、初診日において、発症が判りにくい場合などへの対応についても改善する必要があるものと考える。

一方、平成17年度より、特別障害給付金制度が導入されているが、「日本国籍をもたない人が障害を負った場合」や「保険料を未納としていたため、あるいは保険に未加入であったために年金を受けることができない場合」についての対応が課題と考える。

特に、平成3年4月以後も国民年金に加入しなかった学生や保険料を滞納していた学生、平成12年4月以降、学生納付特例の承認を得ずに、保険料を滞納していた学生の場合は、特別障害給付金は支給されないという現状がある。

なお、当面の重要な課題として、年金支給に係る障害認定の問題がある。特に、知的障害にあっては、現在の認定基準(特に、平成14年の社会保険庁年金部長通達)と医師に委ねた認定の仕組みは、地域によって異なる対応がみられる。

ちなみに、知的障害のある人6名が、「認定者の主観で結論が大きく左右される」と主張し、年金の不支給処分の取り消しを求めた裁判で、本年1月に滋賀県大津地裁は、全員の不支給処分を取り消した。早急に、この認定基準の見直しが求められる。

この認定基準の問題は、就労に際して、支給停止、減額などのかたちで顕著にみられる。一方で、所得制限(本人のみの所得が3,604千円以上)による支給停止(半額または全額)の仕組みが設けられており、明らかなダブルスタンダードになっている。そもそも、稼得能力の補填とする基礎年金について、就労をもって、稼得能力を具備したとの判断は合理的とは考えられない。引き続き様々な支援が必要であり、その稼得能力による収入は一般に比べ明らかに低い状況が殆どといえるからである。したがって、就労にあたっての支給の基準は所得制限が妥当であり、客観的かつ公平でもあると考える。

【大谷委員】

これらの状況はそれぞれの人権上誠に憂慮すべき状態であり、速やかに解消されるべきである。

人権(自由権)規約2条は、国家の一般的義務として「その領域内にあり、かつ、その管轄のもとにあるすべての個人に対して」ひとしく権利を保障することを認め、同じく社会権に関する人権規約9条も社会保障を「全てのもの」に保障する、と規定し、いわゆる内外人平等原則を認めている。「日本国籍を持たない」という理由で障害年金を認めないことは、そもそもわが国が既に1979年に批准している人権規約に違反している。

また、障害年金の支給要件が「初診日」を基準としていること(初診日主義、国民年金法30条ないし30条の4、厚生年金保険法47条ないし47条の3)から、精神障害のある人の場合、とくに無年金となる場合が多い。「初診日」は、「疾病にかかり、又は負傷し、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下『傷病』という。)につき初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日」と定義されるが、①例えば、統合失調症の場合、初期の症状は不眠であったり、身体的な愁訴であることがまれではなく、内科や他の一般診療科を受診していることが少なくない。しかし、初診日の認定において、不眠と統合失調症の関連が認められない、身体的愁訴と統合失調症の関係が明確でないなどとして、初診日が認められないことが起こっている。②初診日主義が一定の合理性を持つのは、一般には人は障害の原因になる病気や傷害を負えば、すぐに医療機関を受診する(例えば交通事故で怪我をすればすぐに治療を受ける)ので、医療機関を受診した事実(初診日)を基準に障害を負った事実を認定しても大きな誤差は生じない(初診日≒障害の原因傷病を負った時期)し、初診の事実は医療記録などによって確認しやすいという点にある。しかし、精神障害の場合、発病当初は自覚されにくかったり、本人も周囲も精神的な病気であると理解できなかったり、社会的偏見からその事実を容易に肯定しにくいことなどがあり、発病から相当期間経過してから受診するということがどこの国でも共通の現象としてみられる(発病から数年たってから受診することはまれでない)。こうした障害の場合、初診日≒障害の原因傷病を負った時期という公式は当てはまらない。従って、実際には障害を負っていたのに、初診日がないのでまだ障害を負っていなかったという取り扱いをされてしまうことが起こりうる。とくに、20歳前に発症していながら初診日がないとされて、無拠出制障害基礎年金の受給資格が否定され、20歳後は本人は闘病生活で年金を拠出や免除申請もできず拠出制障害基礎年金の受給資格も失うという事態を生じる。③初診日は認定実務上「医証」あるいはそれに準じるような客観性のある証拠方法によって証明しなければならないとされているが、他方、診療録の保存義務は5年であるので、障害年金の申請をする際には初診日を証明する医療記録が失われており、初診日が証明できないために障害年金受給資格が認められない事例が多く発生している。

初診日は、障害を負った事実を認定するための手段にすぎず、本来は障害を負った事実そのものを認定すること(発病日主義)が本質である。昭和60年改正前の厚生年金保険法は発病日主義を採用しており、米国等の障害年金制度も同様である。障害を負った事実を初診日で認定しても大きな誤差や不都合を生じない場合には、便宜上、初診日をもって障害を負った時期と認定することを認めるとしても、他の方法で障害を負った時期を認めることができれば、その場合に「初診」がない、「医証」がないなどを理由として障害年金の受給資格を否定すべきではない。

【大濱委員】

基礎年金を消費税による徴収方式に変えるとともに無年金者を救済済すべき。

短期的には、生活保護を適切切に受けられるように、国が強く自治体を指導すべき。(過剰な扶養義務紹介や申請をなかなかさせないなどを国が強く規規制すべき)

【尾上委員】

無年金障害者問題は、早急に解決されなければならない課題である。

設問にあげられているような理由で、未だ多くの障害者が無年金状態におかれているが、それらのほとんどは、制度の不備、あるいは医療モデルに偏った基準の定め方に原因があるものが多い。

社会保険方式をとる以上は、保険からの脱退、保険料の未納、保険の未加入の場合も無条件というわけにはいかないが、それ以外は、理由の如何を問わず、年金制度の中に組み入れることで、無年金障害者の解消を図るべきである。

特に、国籍条項による在日外国人障害者の無年金者に関しては、2005年に始まった「特別障害給付金制度」においてすらも対象から外されており、大きな問題となっている。早急に解決の策を講じることが求められる。

【勝又委員】

現行の国民年金制度の改正によって解決できる問題と解決できない問題を分けて考えるべきだ。また、無年金の問題は障害のある人に限った問題ではなくこの国の所得保障に対する理念に関わる問題だ。

・国民年金の任意加入時に学生、主婦が障害を負った場合。
→旧制度の時代の問題をいかに現制度で反映させるかを法的・財源的に議論する必要がある。
・日本国籍をもたない人が障害を負った場合。
→旧制度で加入できなかった時の問題と現制度で加入できる今で対応は違う。定住外国人に対する差別はあってはならない。
・海外に居住している日本人が障害を負って帰国した場合。
→外国居住していれば、その国の社会保障に加入できる。年金通算協定を結んでいれば日本の年金の対象になる。また、外国に永住するつもりがないのなら、日本の年金に加入し続けることもできる。
・所得保障による支援が必要であるにもかかわらず、障害等級が低い等のために年金が支給されない場合。
→基礎年金はかならずしも所得保障の必要度合いに合わせて支給される制度ではない。必要に合わせて支給する制度に変えなければ解決しない。
・保険料を未納としていたため、あるいは保険に未加入であったために年金を受けることができない場合。
→社会保険方式(拠出を基本)とする国民年金制度では当然の帰結。

【門川委員・福島オブザーバー】

指摘のあるような様々な「谷間の障害者」については、それぞれの必要性に応じて個別に救済措置をとる必要があると考える。ただし、これらの救済措置については、障害以外の理由によって(とりわけ高齢者となってから)無年金状態となった人への救済措置とのバランスを十分に考慮する必要があるだろう。

【川﨑委員】

精神障がいの場合、上記の理由の他に、初診の証明が取れないための無年金障害者が存在する。精神障がいの場合、発症と初診の時期が同じではなく、受診までに長い時間がかかったり、初診のあと長い間病気を治そうと格闘する時期があり、そのために初診と、障害年金請求の時期が大きく離れていることが多い。そのために、障害年金を請求しようという時に初診時のカルテが破棄されていたり、受診機関が廃院になっていたりして初診証明が得られないことが生じている。発病の時期が現在の主治医の所見で明確な場合は、発病の時期を初診と同等にみなし、このような、精神障がいに特有の無年金者を解消するべきである。

また精神疾患の病名によっても障害年金の対象にされない。たとえば強迫性障害や不安障害など神経症圏のばあい、治る疾患であるからという理由で、治ってなくて生活することが困難であっても対象とされない。社会生活や日常生活上の困難がありながら、疾患の種類によって対象外とされるのは差別ではないか。

さらに、精神疾患は20歳前後に多く発症する。発症時は家族の中にさまざまな混乱をもたらし、急性期の治療には入院治療を要し家計の出費も多く、本人に届いた国民年金の支払いに気がつかず、数か月保険料を未払いであったという場合が多くあり、保険料未払いがあったための無年金者を生んでいる。未払いについての厳しい見方もあるが、疾病、障がいという大きな問題を抱えた場合は、未払い分の後納を認めるなど、無年金障害者の救済を行うべきである。

精神障がいの場合についてさらに言えば、就労、それがきわめて低賃金の就労であっても、障害状態が軽いとみなされて年金が不支給となる事例が相次いでいる。仕事は何とかできても十分でなく、給与も生活できる金額でなく、日常生活は家族に全部頼っている状況は、障がいが軽くなったとは言えない。精神の障がいをあまりにも理解していないと言わざるを得ない。

【北野委員】

A.障害があるがゆえに就労が困難な場合は、何らかの所得保障が必要である。無年金障害者が、20歳を超えて親に依存した生活を強いられないように、障害基礎年金の受給権が付与されるべきであろう。

【清原委員】

【佐藤委員】

これらすべてを含め、無年金となった理由ではなく障害のために所得が不足するという実態に即して、基礎的な所得保障を税金でおこなうべきである。

障害基礎年金受給者は国民年金の保険料が免除される。無年金障害者は保険料免除にならず、自分の収入はないので親が払っている例が多いと聞く。保険料を払うのは義務だからでもあるが、老齢年金のためである。しかし40歳を越えるころになると、親も高齢化または死亡し、その支払いが困難になる。しかも40歳から介護保険料の支払いも始まるがその支払いも困難となる。65歳になって老齢年金がもらえるのか、介護が受けられるのか、不安になる。乏しい収入から年金や介護保険の保険料を払い、そのために食費や健康管理の費用を節約し、65歳まで生きられなくなる人もいるのではないか、と考えると心が痛む。

在日外国人の無年金障害者が生まれた理由は、1959年制定の国民年金法がアメリカ国籍以外の外国籍の人を制度から排除したこと、難民条約批准にともない1982年の法律改正ですべての外国籍の人を加入対象としたものの、この改正時点ですでに20歳を越えていた外国籍障害者への経過措置を設けなかったこと、2004年に無年金障害者を救済するための「特別障害給付金」の制度ができた際に外国籍無年金障害者を対象とせず、附則で外国籍の人々の救済を検討するとしたものの、その検討がなされていないこと、などである。

国際社会の中で大変恥ずかしいことであり、これらの人々の高齢化も進んでいるので人道的問題でもあり、一刻も早く「福祉的な対応」をするべきである。

「保険料未納」も色々な事情がある。社会保険方式が中途障害者に不利な制度であることは、障害種別毎の受給率を見ても明らかである(日本障害者協議会、「障害者の所得保障と就労支援に関する2007年提言」参照)。

特に精神障害者の受給率が低いのは、障害の特性により、一定期間の保険料の納入を求める納付要件を満たせない場合が多いことと関係している。精神病を発病しても自覚しにくい場合が多く、閉じこもりなど、保険料を納付できない状況が続いていながら受診(初診日)が遅れると、結果として納付要件を満たすことができない場合があり、無年金障害者となってしまうのである。

緊急措置として、障害基礎年金及び特別障害給付金の適用範囲を拡大し、所得保障を受けられない障害者をなくすことが必要である。

【新谷委員】

障害基礎年金を保険と国庫補助を原資として制度設計したために起こっている問題と考えます。一部原資を納付保険料とする限り未納者や加入期間不足者を排除する実務処理が発生してしまいます。

また、無年金問題は、「初診日」という非常に曖昧な要件が原因ででも多く発生しています。例えば、20歳前に初診日があり障害が確定したものは、20歳と同時に受給資格が得られる(更に障害者は保険金の免除もある)にもかかわらず、平成3年度までは20歳以上である学生は20歳以降に初診日があるために国民基礎年金支給対象外となっています。当時はそのような説明を国民に幅広くしておらず「任意」ということで責任を個人に押し付けていました。平成4年度以降は「強制」になったため、それ以降に加入していなものは自己の責任といえますが、制度の未周知で「任意」と「強制」の狭間にいるものは、政府の責任で救済する必要があります。

また、聴覚障害の場合、原因が特定できず徐々に聴力が落ちる例が非常に多くあります。頻繁に病院に行って聴力検査結果を残しておれば、「初診日」の確定もできますが、そのような人はまれで、「初診日」が不明で年金が受けられない、年金支給が非常に遅れる例は頻繁です。年金制度の抜本的な仕組み変更には時間がかかりますので、とりあえず無年金が多く発生している項目については、暫定的な制度手当をすべきと考えます。

【関口委員】

いずれの場合も救済されるべきである。

精神障害者の場合、初診日のカルテが無い、手続きを知らずに、未加入、未納にしていた等が多く見られるところであり、改善・救済が望まれる。

所得保障による支援が必要な場合、精神では級が低いために受けられないという事態が多く見られるが、現状では生活保護を受けるしかないであろう。

さらに訴求請求については以下のような事例が報告されている。

心ある医療機関は法的保存期間移行もカルテを保存し訴求請求に対して準備しているが、以下の事例のように震災による被害の場合いかんともしがたく、この方は不服請求をしても却下されたそうです。

参考:手紙

全国精神病者集団御中

是非とも障害者制度改革推進会議にて、福島瑞穂様などに下記の内容を訴えて下さい。

パン屋さんに朝行ってパンの耳を分けてもらい、飢えをしのいでいます。

精神障害は2級です。身体障害もあります。

震災で病院のカルテが全焼し、また年金遡及時効が5年であり、カルテ保存期間が5年であるので絶対に遡及出来ないようになっています。

この障害者自立支援法で、家の家計がマイナスになった人の救済も込めて是非障害者基礎年金の遡及で無制限に過去に遡って遡及が出来るように福島瑞穂さん他に訴えて下さい。

そしてこの事案を第一項目の解決案にして下さい。

私たち障害者は年金なしでは死んでしまいます。

親も高齢化しております。ぜひとも長野英子様のお力添えでなんとか障害者年金の遡及無制限で過去に遡って遡及出来るようにお願い申し上げます。

また、国籍による差別はあってはならない。(国連の勧告に従うべきである)

精神病の発症年齢と発病年齢


・病状を記録するものはカルテとなっているが、もっと若年時に精神病は発症している。また発病年齢も若年層である。

従って、障害年金に関しては、年金をかけられない年齢にさかのぼるのは当然である。

むしろ、精神病を特殊な病と社会が置いたために発症した年齢10歳~19歳に目を向け、何なんらかの保障が必要である。

Q1.過去を振り返って、あなたが「心の病になり始めたとき」と感じたのは、何歳ぐらいですか。n=794(不明を除く)

病に気がついた(発症)34%は十代だった。(10~19歳)


Q1.「心の病になり始めたとき」と感じた年齢

棒グラフ Q1.「心の病になり始めたとき」と感じた年齢

単位(人)

0~4歳 7
5~9歳 15
10~14歳 91
15~19歳 179
20~24歳 179
25~29歳 113
30~34歳 81
35~39歳 52
40~44歳 34
45~49歳 20
50~54歳 17
55~59歳 2
60歳以上 4


Q1.「心の病になり始めたとき」と感じたときの年齢 人数 年齢 人数
0~4歳 7 0.9 35~39歳 52 6.5
5~9歳 15 1.9 40~44歳 34 4.3
10~14歳 91 11.5 45~49歳 20 2.5
15~19歳 179 22.5 50~54歳 17 2.1
20~24歳 179 22.5 55~59歳 2 0.3
25~29歳 113 14.2 60歳以上 4 0.5
30~34歳 81 10.2 合計 794 100
平均値 24.11
中央値 22
最大値 61
最小値 0

Q2.あなたが「初めて精神科の病院にかかった」のは何歳ぐらいからですか。(複数回答)n=808(不明を除く)

病院にかかった年齢は、発症より遅れている。


Q2.初めて精神科病院にかかった年齢

棒グラフ Q2.初めて精神科病院にかかった年齢

単位(人)

0~4歳 1
5~9歳 5
10~14歳 31
15~19歳 182
20~24歳 220
25~29歳 138
30~34歳 82
35~39歳 68
40~44歳 38
45~49歳 22
50~54歳 10
55~59歳 5
60歳以上 6


Q2.初めて精神科の病院にかかった年齢。 人数 年齢 人数
0~4歳 1 0.1 35~39歳 68 8.4
5~9歳 5 0.6 40~44歳 38 4.7
10~14歳 31 3.8 45~49歳 22 2.7
15~19歳 182 22.5 50~54歳 10 1.2
20~24歳 220 27.2 55~59歳 5 0.6
25~29歳 138 17.1 60歳以上 6 0.7
30~34歳 82 10.1 合計 808 100
平均値 25.94
中央値 24
最大値 63
最小値 3

【堂本委員】

国民年金に任意加入していなかったことにより無年金となった学生、主婦については、特別障害給付金の制度が創設されたが、給付金額が障害基礎年金と比較して低いことや、未請求の障害者が多く存在するなどの課題がある。

また、障害のある人の多くが収入のほとんどを年金等の公的制度に頼らざるを得ない状況において、無年金の障害者が生じないような仕組みとする必要があると考える。

【中西委員】

障害基礎年金は、障害を負った経緯、無年金となった経緯にかかわらずすべての障害者が受けることができる最低保障であるべきあり、無年金障害者問題解決に向けた抜本的な改正が必要である。

所得保障は障害者の生活の維持に欠くことができない重要なものとして位置付けられている。障害者権利宣言にも、障害者は、経済的社会的保障を受け、相当の生活水準を保つ権利を有するとし、その享受にいかなる例外も認めてはならないと謳われている。障害基礎年金(第30条四の①)は、障害によって生活の安定がそこなわれることを防止し、健全な生活の維持及び向上に寄与することを目的に、20歳前に障害を持った重度障害者に無拠出で支給されている。

「在日無年金問題関東ネットワーク」は以下のような主張を行っている。

現在、国籍条項削除以降に20歳に到達する20歳前重度障害者は世界のどこで生まれ、どこで障害をもち、どこで20歳の誕生日を迎えても、日本に在留資格を有すると障害基礎年金の受給権が発生し、外国人登録の翌月分から満額受給できる。軽度の障害をもって来日したものは国民年金加入後に重度化すれば事後重症で受給できる。来日してから障害をもった外国籍者であっても、外国人登録と同時に国民年金加入義務を生じるため、加入中に初診日があれば(滞納等がない場合)受給できている。

その一方で、自己の意思決定による未加入や保険料滞納等の自己の責任によらず障害基礎年金が支給されず、何ら合理的理由なく放置され、生活困窮を強いられている在日無年金障害者は、全国に約3千人程度(2002年坂口試案を参考にした推計)といわれており、その実数さえ明らかにされていない。

国民年金法の改正および「難民の地位に関する条約等への加入に伴う出入国管理令その他関係法律の整備に関する法律」附則第5項の削除による抜本的解決を進めるとともに、その間の生活を支えるため、福祉的措置による緊急救済が不可欠。

「特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律」の附則第2条を速やかに実現し、在日無年金障害者を支給対象とすることが最善である。

そのためには、年金者救済についてはその全ての項目で緊急に制度変更を行うべきである。

●学生だった場合、一応救済措置はとられたがその額は月間5万円と2級年金の額とされている。これは正当な所得保障とはみなされていないことを示している。ただちに障害程度に応じた支給額に変更すべきである。主婦の場合、年金加入をさせなかったのは国の責任であるので、当然一般の障害者と同等の扱いにして支給を開始すべきである。

●在日韓国人の場合支給対象から外されているが、日本で生まれ育ち、同じ教育を受けてきた人たちであり、当然日本国民と同等に扱われるべきである。その他の国の人も同様にすべきである。

●海外に居住している日本人の場合にも、年金支給対象から外される理由が何もないので支給されるべきである。

●これまでの年金支給は医療モデルの審査基準によって医師がおこなっており、その生活上の困難が勘案されてこなかった。その為に軽度の障害者や精神、知的障害者には不利な状況があった。この格差を是正し、障害による生活上の困難なものには、年金が支給されるようにすべきである。

●保険料の未納であったり、未加入であったりして支給が受けられない者については、その原因が障害があったり、所得があまりに低く支払いができなかったものが含まれている。国民基礎年金制度で低所得者の救済を行うか、ベーシックインカムの考え方を取り入れて、全ての国民が月収20万を保障されるという方法をとることが、優れている。

【長瀬委員】

こうした「谷間」を生み出さないような包括的な制度設計と、すでにそうした谷間に置かれている層への早急な対応が緊急の課題である。

【松井委員】

現在の基礎年金は、原則として一定期間以上の保険料の納入が条件となっているため、ここで指摘されたような問題が生じている。それらを快活するには、基礎年金は税で賄うようにするとともに、その額も人間らしい生活を維持できる水準―具体的には少なくとも最低賃金の水準にまで引き上げる必要がある。

【森委員】

障害があるために所得を確保するために大きな制限を受けている障害者への所得保障を行うことは必須のことである。無年金障害者が存在すること自体を大きな問題と捉え、その解消に向けた取り組みを行うべきである。

2.無年金障害者の問題を解消するためにはどのような手立てが必要か、ご意見を賜りたい。

【大久保委員】

障害基礎年金が基本的に社会保険の仕組みであるところから、無年金障害者を生じさせていると思われるが、一方では、現在の受給者の多くが無拠出であり、社会保険の性格を失わせている。

今後、財源の問題はあるが、仕組みを簡素化し、社会扶助としての制度としていくことが望ましいと考える。

【大谷委員】

①障害年金支給要件の基本を発病日主義(障害を負った事実を基準とする)とし、初診日はその証明方法の一手段であり、他の方法によって障害を負っていた事実を証明できる場合はそれを認めること、その際、医証等の証拠方法の形式による限定は加えず、疎明があれば反証がない限り認めること。

②社会保険方式を前提とすると、障害を負ってから保険料を納付して年金を取得することを防ぐために、障害を負った日と被保険者の資格要件、保険料納付要件などを厳格化せざるを得なくなる(逆選択の防止)。老齢は誰にでも訪れるので、予測可能であり全員が参加して保険方式をとることに一定の合理性はあるが、障害を負うかどうかは予測可能ではないにもかかわらず、社会保険方式は障害に備えることも拡張された自己責任主義によって保険加入者間で危険分散することを前提にしている。社会が合理的配慮をあまねく行きわたらせてはいない現状では、障害を負うことによって障害のある人は所得減少と支出増加のリスクを負担させられている。そのために所得保障が必要になるので、障害年金については社会保険方式から税方式に改め、障害を負った場合には被保険者資格や納付要件にかかわらず、所得保障をするべきである。

③人権規約に認められた内外人平等原則を徹底し、社会保障において国籍条項を外すこと。

【大濱委員】

基礎年金を消費税による徴収方式に変えるとともに無年金者を救済すべき。

短期的には、生活保護を適切に受けられるように、国が強く自治体を指導すべき。(過剰な扶養義務紹介や申請をなかなかさせないなどを国が強く規制すべき)

【尾上委員】

今後の年金制度改正の際に、無年金障害者の完全解消をすべく、将来的に無年金者を生まない制度的な仕組みとすることを検討すべきである。年金の基礎部分すなわち基礎年金部分を全額税財源で賄うことに制度変更を行い、老齢あるいは障害等の事由が発生した場合には、基礎年金部分はすべての市民がその対象となるという仕組みが望ましい形である。

【勝又委員】

まず、過去の制度改正によって受給権を認められないなどの在日無年金障害者については、速やかに現行制度において救済すべき。一方、障害のある人にとって公的所得保障の在り方について障害のない人も含めた国民レベルでの検討がなされ、どのような人にどこまで所得保障をするべきか、財源の議論もふくめて行うべきだとおもう。

【門川委員・福島オブザーバー】

様々な場合があるために、無年金障害者の問題を解消するための明確な手立てを示すことは極めて困難であるが、個別の救済措置の必要性が制度の想定範囲を超えている場合もあることを勘案して、所得保障制度全体の再設計の中で、たとえばそもそも年金制度を保険料納付を前提としたものとすべきかどうかも含めて検討しなければならないと考える。

【川﨑委員】

基本的に誰でもこの日本に暮らし、年金保険料を一定払っていれば年金が受給できるシステムにすべき。受給資格を保険料も25年から40年などという長い期間でなく、もっと短い期間にし、障害年金の場合の初診後の後納も認めるべきである。初診の認定も緩やかにし、主治医が認めた初診日もしくは発病の日を初診と同等に認めるべきである。精神疾患の病名によって受給できないこともおかしい。現在働くことができない状態であれば、病名に関係なく受給できるようにすべきである。障害は日常生活における不自由と、社会生活における就労できないなどの不自由の両面で判断されることが必要ではないか。

【北野委員】

A.障害があるがゆえに就労が困難な場合は、何らかの所得保障が必要である。無年金障害者が、20歳を超えて親に依存した生活を強いられないように、障害基礎年金の受給権が付与されるべきであろう。

【佐藤委員】

根本的には、障害者であるか否かにかかわらず、勤労所得が最低生活水準に満たないすべての者に対応する、基礎的で普遍的な所得保障制度を確立すること。

障害者雇用政策と職業リハビリテーションの進展は、障害をもちながらも働くことを可能にした。その一方で、ひきこもる若者、ネットカフェ難民、ホームレス、リストラされた長期失業者など、労働により経済的な自立ができない人々が大きな社会問題となっている。これらの人々の中には、現行法上は障害者と認定されないものの、病気やケガをきっかけにして生活能力が低下した者も含まれており、どこまでを障害者として認定するのかは、政治的な問題となり、客観的な線引きは困難であろう。とすれば、障害者であるか否かにかかわらず、これらの人々に共通するニーズに着目する必要があり、その場合の所得保障施策に対するニーズは、長期に失業していることにより発生しているというべきであろう。

障害者が労働できない者の言い換えであった時代であれば、障害者であることを理由にした所得保障施策に合理性がある。しかし、障害者の経済分野での社会参加が進展している現代においては、障害者であるか否かにかかわらず、労働にアクセスできない状況(失業)や低所得という状態に基づいた普遍的な所得保障施策に、基本的には統合化される必要がある。

なお、基礎的で普遍的な所得保障制度が確立されれば、生活保護制度や障害基礎年金制度は、新制度への統合が可能である。ただしその場合でも、生活保護の住宅扶助、医療扶助、教育扶助、介護扶助など、個別的な状況に対応する扶助は別制度とする必要がある。

また障害厚生年金の所得比例部分などは、障害による従前所得の減少に対応する補償システムであり、普遍的な所得保障制度とは、目的が異なるものである。よって普遍的な所得保障制度が確立されても、別制度として存続する必要がある。(日本障害者協議会、「障害者の所得保障と就労支援に関する2007年提言」参照)。

【新谷委員】

将来的には、年金制度を抜本的に見直し、障害基礎年金は国民一律のセーフティネットに統一すべきと考えます。

【関口委員】

根拠法の立法、申請主義による救済、情報の広報。

【堂本委員】

現在政府において新たな年金制度の創設に係る検討が行われており、連立政権合意においても、「最低保障年金」や「低年金、無年金問題の解決」が盛り込まれていることから、こうした検討の場において、障害者の生活実態を踏まえ、地域でその人らしく生活することができる水準を保障する年金制度について議論されるべきである。

【中西委員】

年金は拠出制であり、お金を払わなかった者には支給しないという原則がありながら、学生無年金者問題については所得保障の観点から救済措置を行った。しかしその額は普通の支給の半額に抑えられ、所得保障の意味をなさない中途半端な解決となっている。

この問題を年金問題として処理するよりは、障害者と低所得者の問題は、所得保障の問題としてとらえ、ベーシックインカムの考えを取り入れる方がよい。なぜなら世界中すでに経済成長による完全雇用の達成は無理な時代をむかえており、労働し対価を求めて全ての人が暮らすには、雇用の場が対応できなくなってきている。それゆえ、これまでの労働至上主義からの脱却が図らねばならない。対価を生み出さない社会貢献や社会参加の活動をする人たちにも所得保障をするベーシックインカム方式を採用する方が、障害者年金制度で谷間を作るよりもはるかに行政コストが選別費用としてかからないため有効である。

【松井委員】

前述したように、障害基礎年金の財源は税とすることで、国民年金保険未加入などによる無念金障害者の問題は解消しうる。

【森委員】

緊急的な対策として特別障害給付金による救済も一案ではないかと考える。その上で、将来的には、税制及び社会保障制度の抜本的改革と併せ、障害者手当制度の中で検討すべきである。

年金以外の手当について

1.障害者が地域での生活を安定的に継続するため、または地域生活に移行するために、家賃を保障する「住宅手当」の創設が必要であるとする考え方があるが、このことについてご意見を賜りたい。

【大久保委員】

既述したように、知的障害のある人たちにとって、地域生活においてケアホーム・グループホーム等が重要な暮らしの場となっている。しかし、所得保障が不十分ななかで、これらの家賃が大きな負担となっている現状がある。それは、いくつかの自治体で単独の家賃補助制度を設けていることからもわかる。

この負担軽減のため住宅手当が支給されることが望ましいが、その場合、障害者のみを対象とした手当制度とすることが可能どうか検討を要するものと思われる。最も現実的な対応としては、障害福祉施策のなかで、ケアホーム・グループホームに限定されるが、補足給付の仕組みを活用し、家賃補助制度を創設することであると考える。

【大谷委員】

必要である。

またただ手当だけではなく、現実に住宅が提供されなければならない。そのためには公共住宅の優先的入居も必要であるが、民間からの借り上げ方式、もしくは積極的なあっせん等のサポートも必要である。

【大濱委員】

障害のある人が地域で暮らすことができるようにするために、特定の生活様式である入所施設やグループホームではなく、中心市街地や商店街の中で地域の住民と同様に貸家やアパート等で暮らせるように、貸家やアパートの家賃に限って助成を行う仕組み(車いすの場合は広めの物件が必要なので加算も含む)を検討すべき。

障害者に公的な住宅供給がされていない現状では、住宅手当が必要である。

【尾上委員】

障害者権利条約・第19条の「自立した生活及び地域社会へのインクルージョン」の実現のためにも、社会手当として住宅手当は優先的に必要である。

親・きょうだい等の「保護者」との同居者以外の者を対象とし、賃料を支払って住宅確保をしている障害者を対象とするものとする。また、この手当は、グループホーム、ケアホームの利用者も対象とすべきものである。

その際の手当額は、生活保護制度の住宅扶助と同額程度にするのが妥当であると考える。

【勝又委員】

低所得者にとって住宅の保障は所得保障の一部ともいえる。現行の生活保護制度では「住宅扶助」があり、住宅の費用は支給額に積算されている。住宅手当を設けるとすれば、低所得の人に限定されるべきである。仮に所得に関係なく障害をもつ者だけが「住宅手当」を得ることができるとなれば、それには相当の理由が必要になる。高齢者、ひとり親家庭など、障害のある人がいなくとも必要な手当てといえる。

生活保護の住宅手当は、ミーンズテスト(資力調査)を要件としているので、自分の所有する持ち家では利用できない。所得保障の代替的な手当ては、低所得者に限定されるべきである。

【門川委員・福島オブザーバー】

住宅手当の創設は、障害者の地域生活を推進するために有効であると考える。とりわけ、公営住宅への入居が難しい地域や、家賃が高い地域、といったように、地域によって住宅事情は大きく異なっており、こうした住宅事情面での地域間格差を是正するためにも、一人ひとりの障害者の実情に応じた住宅手当の支給により、障害者の地域生活を推進しようという考え方は、従前、障害者入所施設整備に莫大な公費を投入してきたことと比較しても非常に有意義な考え方であるといえる。

ただし、実際に住宅手当を創設するにあたっては、その水準をどの程度のものとするのか、対象となる住宅をどのようなものにするかといったような点について十分な検討が必要となるとともに、障害者であることを理由に家主に入居を拒否されることや、障害者が生活をするうえで必要な住宅改造が拒否されるといったような、住宅手当の問題だけでは解決できない点も多いことに留意すべきである。なお、すでに住宅手当を導入しているスウェーデンにおいては住宅手当制度を障害者に限定せず、より広範な者(子育て世帯など)を対象とした制度として導入して大きな成果を挙げていることなども参考にすべきだと考える。

【川﨑委員】

生活する上で住まうところと家賃の保障は必要である。

【北野委員】

A.生活保護を受けている障害者の場合は、障害者自立支援法で認められたサービスについて利用者負担がないのは、なぜなのか。それは、本人の受け取る生活扶助費が、それ自体で最低生活を満たすだけのものであって、そこから住宅費や医療費や介護保険料は出せないということで、生活扶助にプラスして住宅扶助や医療扶助や介護保険料加算がでているのだ。さらに介護保険の1割負担分は介護扶助として別建てで支給されている。

このことが意味していることは明白である。それは、生活扶助費と大差がない障害基礎年金2級をその主たる生計費としている人からは、費用負担などあり得ないだけでなく、アパートやGH等で自立生活をしている人には住宅手当(家賃補助)が不可欠だと言うことである。

衆知のように、障害基礎年金2級は老齢基礎年金と同額であり、老齢基礎年金は生活保護の生活扶助費を想定したこともあり、住宅扶助等を含んでいない。それは、高齢者の多くは資産形成によってそれをなし得ているという判断であって、資産形成がきわめて困難な、介助等の支援を必要とする障害者にはまったく当てはまらない。

【佐藤委員】

必要であり、その根拠もある。

つまり、第1に、肢体不自由者、聴覚障害者、視覚障害者、精神障害者など機能障害の種類は違っても共通して住宅の確保に困難を経験しており、そのため一般より割高なアパートなどを探さねばならないことが多い。

第2に、障害基礎年金は多くが持ち家の高齢者の生活費を基礎に計算されているために、障害者が必要とする住宅の費用をカバーできない。

第3に、生活の場(住居)の確保が精神科病院・入所型福祉施設からの地域移行の前提であり、「住宅手当」はアパートやグループホームへの移行を促進する。

【新谷委員】

地域生活への移行のための特別措置として議論されていると理解しますが、社会にある様々な矛盾・問題の中で障害者の「地域生活への移行」のための「住宅手当」が国民的賛同を得られるか疑問を感じます。むしろ、地域生活実現のために公営住宅サービスの利用を考える仕組みを検討できないものかと思います。東京都では都心部でも公営住宅に多くの空きが見られます。また、民間の住居の活用可能性も広がっています。このような資源に、自治体が障害者に必要な設備を整備することによって、地域生活の実現に加え、地域社会の共生化、活性化を工夫する余地があると考えます。

【関口委員】

必要である。

生活保護を受給していない施設収容者や精神病院入院患者は生活保護によってアパート確保をすることが困難であり、またアパート探しのための交通費や自律生活体験のための費用も捻出できない実態があり、まず地域移行のために初期費用を補償する住宅手当は必須である。

【堂本委員】

障害者の現在の所得状況を踏まえると、民間住宅に入居する際の家賃補助が重要である。また、公的な保証人制度の創設、あるいは、民間の保証人をより確保しやすくするため、現在の居住サポート事業(現行は家主からの相談支援対応が中心)を市町村の必須事業に位置づけ、市町村に予算措置した上で、入居に係る援助(敷金、礼金、保証人紹介費用)や現状復帰費用、引っ越し費用の一部助成などの金銭的な援助の付加が考えられる。

【中西委員】

OECDの政府予算比較をみると各国とも住宅政策に応分の負担をしている。それにも関らず、日本政府は全く住宅制度をもたない唯一の国となってしまった。国民は一生で稼いだお金を全て住宅購入に投入し、さらに次世代の子たちと分担して一戸の家をもつ事に人生をかけている。欧米のように公営住宅を基本とし、障害者も安価にアクセス住宅に余裕をもって入居できるような住宅政策に切り替えるべきである。これは巨大な内需と雇用を生み出し、経済成長に寄与できる。

当面障害年金に住宅手当を付与する形での所得保障を行うべきである。

【長瀬委員】

住宅は生活の重要な基盤であり、住宅手当の創設は障害者の生活全般を支える仕組みとして非常に有効であると考える。日本でも、一部の自治体ではすでに実施例もあり、参考となる。

【松井委員】

家賃を保障する「住宅手当」の問題は、障害の有無にかかわらず、稼動収入が低い人びとに共通する問題であり、国の住宅政策の貧困からもたらされている問題でもある。その解決には、「住宅手当」の支給に加え、アクセシブルかつ良質で、安価な住宅の供給を増やすような政策が、実施されなければならない。

【森委員】

障害のために住む場所を確保できないことに関しては多くの事例がある。また、障害特性によって、バリアフリー化なども含めた住まいのための条件も多い。さらに地域生活移行を促進するためには、住まいの確保は必須であり、家賃を保障する「住宅手当」の創設が必要である。特に、要望の強いグループホームやケアホーム等に対する住宅にかかる手当といった制度の確立を早急に講じるべきである。

2.障害ゆえに特別に必要とする経費を補うためにどのような手当が必要だと考えられるか、ご意見を賜りたい。

【大濱委員】

障害を理由とする経費

1.移動に関わる経費

重度の障害者の場合、有償のリフト付付きの車両でないと移動できないことが、通常的に発生している。健常者常者なら自家用車でガソリン代のみで移動できるので、リフトタクシーとの差額の助成が必要。

重度障害でガイドヘルパー等を使って外出時時に公共交通の費用や入場料などが(ガイドヘルパーの交通費等も障害者が支払うため)2倍かかるなどの経費を実費助成する制度が必要。(ガイドヘルパーが出先で交代になるときの、仕事が終わったガイドヘルパーの帰宅のための交通費も含む)。

2.訪問介護等を使って長時間ヘルパーが滞在する場合にかかる経費

重度訪問介護を使って長時間ヘルパーが滞在する場合に、ヘルパーのために余計にかかる冷暖房(たとえば寝ている間の介護を必要とする障害者の場合は見守りするヘルパーのために1晩中暖房中暖房をする)・上下水道費(1人暮暮らしの障害者なら2倍かかる)や消耗品費(ティッシュ・トイレットペーパー)などを助成する制度が必要。

なお、生活保護の場合はこれらを収入認定除外にすることも同時に必要。

3.医療に付随して派生する経費

医療を受けるために医療機関で受受診診することに伴う介護者の費用。自立支援費・介護保険費のケアプランに乗らない、個別緊急の医療が必要。

例えば、ALS(筋萎縮性側索縮性側索硬化症)のカニュウレが外れたとき、脊髄損傷者が骨折したとき等など緊急事態対応の費用。(救急車は、病院まで行くが、帰宅できなくなる(リフトタクシーの費用など)。⇒強制入院したとしても介護者問題が残る。)

その他、医療保険で対象にならない消耗品や機器など。(例:ガーゼ・排尿用品・パルスオキシメーター・アンビュウ・外出用吸引器吸引器・呼吸器用外部バッテリーなどいろいろな障害に応じてたくさんある。)

ALSの在宅生活の場合は医療保険外で消耗品等が月々5~6万円かかる。それに加え、重度に対応する訪問看護ステーションがあまりないため、近隣の自治体から頼まざるを得ない患者が多く、たとえば径管栄養のために毎日3回の訪問を受けるだけで交通費が毎日数千円かかる例も。

4.文化的な生活を営む権利の観点から、障害者スポーツの振興、障害者の余暇活動の振興等の障害特有の文化的な活動費

【尾上委員】

現在、国レベルの手当制度としては、特別障害者手当があるが、この手当の支給基準も、重度の障害者という医療モデル的な判定基準のもとで、多くの障害者が排除されている。また、この手当の性格も介助保障的な性格を強めてはいるが、介助保障は、福祉サービスのなかでしっかり行うべきで、特別障害者手当てに介助保障という性格を持たせるべきではない。特別障害者手当は、障害の種別を問わずに対象とし、地域で独立して生活する者の生活の質の向上に資するためのものとする、地域自立手当というべきものにすることが望ましい。

障害故に特別に必要とする経費については、例えば、リフト付きタクシー等の利用等移動に伴うものや、衣服の消耗に伴う衣服費、歩行障害がある場合の靴の消耗に伴う費用、体温調整機能に制限がある場合のエアコンの電気代、人工呼吸器や環境制御装置等の利用時の光熱費、聴覚障害の場合の筆記用ノート等々、様々な生活場面でのものがあげられる。

諸外国ではこうした点に着目した調査が行われてきているが、日本ではこうした調査はなされていない。障害故に特別な支出が必要な状況について、障害当事者参画のもと丁寧な実態把握を行い、今後の制度設計の基礎データーとすべきである。

【勝又委員】

障害ゆえに必要な給付は、現金給付としての手当ではなく、サービスで支給されるべきだと考える。ただ、利用者の便利を考えて、パーソナルアシスタントなどの利用ではダイレクトペイメント制度の導入が必要だろう。

【門川委員・福島オブザーバー】

障害ゆえに特別に必要とする経費として、はじめに挙げられるのは、福祉サービスや特有なニーズを満たすための財であろう。これらサービスや財については、そもそも所得保障制度とは別の総合福祉法制度等において無料ないし低廉な額で提供されることが前提とされるべきであって、本来的には、手当制度を複雑化することによって対応するべきではないと考える。具体的には、新しい手当制度を創設するのではなく、現行の障害者の所得保障制度において実現されている所得保障の水準が低いことに鑑みて、障害基礎年金以外の現行の諸手当制度の対象者・支給要件・支給額を見直すことから始めるべきであると考える。

【川﨑委員】

家の中で暮らすことだけを考えれば、衣食住それに日常生活上の不自由を補う障害加算(手当)が必要であるが、積極的に社会参加するために必要とされるそのための身じまい、交通費、会費などの社会参加手当のようなものが必要と考える。精神障がいの場合は、入院医療費に対する助成も重要である。

【北野委員】

A.障害基礎年金の1級の一部や特別障害者手当とは、何なのかである。生活保護の中に、他人介護料とは別個に障害者加算及び重度障害者加算が存在することを鑑みれば、それらは、障害者に対する介助や舗装具等の支出のための金ではなく、障害ゆえの一般的な生活のしづらさと出費のためと考えられる。それゆえ、障害基礎年金の1級の一部や特別障害者手当を含む最低生活保障費と住宅手当(家賃補助)が、その障害ゆえに別途必要となる介助費用や舗装具等費用とは全く別に、一般的生活者の生活費として必要である。

【佐藤委員】

実態をまず調査し、交通費関係、食費・調理関係、被服費関係、冷房暖房関係、医療・訓練・教育関係、介護関係(介護用品を含む)、福祉機器・住宅改造関係、などについての「特別出費」の現状を明らかにすべき。

その上でそれらが「障害特別出費」であるかどうか、障害により追加的に必要とされる割合はどの程度か、などを判断する評価基準・ガイドラインを当事者参加の委員会で設ける。さらに所得制限などの事項の検討を経て「障害特別出費手当」の創設に進む。こうした各種の手当制度を開発しているイギリスやオランダの制度も参考にすべきである。

【新谷委員】

障害ゆえに特別に必要とされるサービスはあります。そのようなサービスが必要となるのは自己責任ではありませんが、老齢や疾患の多くも自己責任とはいえない面があります。障害者サービスと、医療・介護サービスとの大きな相違は、事前予測ができないため保険制度になじまない点と考えます。そのため、障害福祉サービスは公費で負担せざるを得ないところが多くなりますが、それを金銭給付型の手当とするか現物給付とするか細かな議論が必要と思います。現在の障害者対象の手当や現物支給には、障害ゆえに必要とされるサービスと所得の補てん的サービスが混在しているので、整理が必要と考えます。

【関口委員】

生活に係る基本的給付に含めるべき金額と、単独給付の制度新設との二段構えが必要。

食事手当

例えば、精神障害者の場合、炊事が苦手なことや体調のため困難なことが多く、外食やスーパーなどで総菜を買うことになる。従って、食費が多めに掛かる。

医療費

神障害者は長年の服薬により歯科、内科などさまざまな疾病について医療費の負担が増えている実態がある。

コミュニケーション手当

精神障害者は体調の波により、外出・社会参加することが困難な状況となることがあり、地域で孤立化する場合が多く、電話・メールは孤立化を防ぐ生命線である。ゆえにコミュニケーションを保障することは必要である。

その他

ショートステイにかかる水光熱費ほか費用(1日5千円以上取る施設もある)。

【堂本委員】

障害福祉サービスの利用に係る利用者負担の見直しと併せて検討すべきである。

【中西委員】

現在重度障害者手当が支給されているが、額は極端に少なく、障害があるがゆえに支出しなければならない諸費用に見合うものとはなっていない。重度障害者は常時介助者をつけて移動、外出、外泊、食事などをしなければならずその為には東京都が重度心身障害者に支給している月6万円の金額を重度障害者手当の支給額とすべきである。

【松井委員】

障害ゆえに特別に必要とされる費用を賄うには、障害基礎年金に加え、移動費や特別食などを賄うための手当が必要である。多くの市町村では、移動を支援するため、タクシー券の支給やガソリン代などの一部補助などが行われているが、必ずしも十分ではない。

【森委員】

住宅手当のほかには、障害ゆえに余儀なくされる特別な出費を想定すると、移動支援手当、コミュニケーション支援手当、食生活支援手当、光熱水費手当、医療手当などが考えられる。

障害があるために公的交通システムの利用に困難を伴うことが多いための移動支援手当、手話・要約筆記・点訳などを確保するためのコミュニケーション支援手当、障害があるために適切な食生活の維持に特別なニーズがあるための食生活支援手当、光熱水費手当、障害のゆえに受療と健康を維持するために特別なニーズがあるための医療手当などである。

財源について

1.所得保障を拡充するための財源について、ご意見を賜りたい。

【大久保委員】

本論点は、障害者施策の予算確保に含まれると思われるので、そこで言及したい。

【大濱委員】

民主党マニフェストの通りに年金が消費税を財源に大きく制度改正される場合、障害者への所得保障も年金の加算項目として制度化する(加算項目とは住宅手当や、医療関連経費やヘルパーを使うことで発生する経費や年金増額など)。

民主党マニフェスト(2009)より抜粋

18.一元化で公平な年金制度へ

○以下を骨格とする年金制度創設のための法律を平成25年までに成立させる。

○消費税を財源とする「最低保障年金」を創設し、全ての人が7万円以上の年金を受け取れるようにする。

【尾上委員】

市民全体を対象にした「積極的な最低限生活保障」とも関連した論点であるが、「最低限生活保障」という点からすると、障害者の多くが属する低所得者の階層ほど負担が重くなる逆累進的な負担は避ける必要がある。

税負担、企業負担、保険料等、総合的な検討が求められる。

【勝又委員】

拠出性の社会保険方式ではなく、租税一般からの財源を充てるべきだとおもう。

日本の所得税は、稼働世代にその負担を期待しすぎだと思う。引退世代にも応分の負担をさせるべき。年金給付課税の見直し、相続税の見直し、間接税(消費税など)の見直し、課税最低限の引き上げや、課税単位を世帯単位から個人単位化するなどの、課税ベースを広げる改革が必要と考える。

障害のある人でも、働ける人数を増やすこと、それらの収入(所得)を増やすことにより、納税者として社会に参画していく必要がある。社会保障の充実した社会では、失業者は納税者として貢献できないばかりか、失業手当などの給付を受ける存在として、社会的な負担と考えられる。失業者をひとりでも減らし、全員が納税者となる社会をめざすべきである。

【門川委員・福島オブザーバー】

所得保障を拡充するための財源としては、年金制度における保険料を財源とすることは適切ではなく、税収にその財源を求めるよりほかないと考える。ただし、所得保障の拡充といっても、それはこれまでにいわば「不当に」抑えられてきた所得保障水準の低さを是正するためのものであって、障害者の側から具体的にその財源を指摘する必要、指摘しなければならない理由はない。

それ以前に、どのような税がそうした所得保障の原資としてふさわしいかといった議論をすること自体が不適切であるともいえる。なぜなら、そもそも税とは使途を定めず国民から徴収するものであって、そのようにもともと使途が定められていない税のうちの一部をもってこれを障害者所得保障制度の拡充の財源に充てるというような説明は、本来の租税制度の趣旨に反するからである。所得保障を拡充するための財源は確かに必要ではあるが、それは租税制度が全体としてどのような税収をもたらすのかということによって「上限枠」がどうしても定められてしまうということ以上でも以下でもない。個別の歳出項目を増加させるために個別の歳入項目を一対一対応のような形で明示することはできないのである。

したがってここでは、今後、全体的な方向性として、社会保障制度並びに所得保障制度を充実させていくために歳出を増加させていく必要があるということに鑑みて、そうした全般的な歳出増に対応するための歳入確保のための税制改革を行う必要があることを指摘するとともに、そうした税制改革によって、とりわけ低所得の障害者がかえって不利な状況に追い込まれることのないようにすべきであるということのみを強調しておきたい。

【北野委員】

A.所得税の累進率のアップ及び、株式投信等の配当所得や家賃収入等の不労所得に対する課税の強化等がまず最初の財源である。

さらに、贈与税や相続税の強化が第2の財源である。

そして、それで足りない分は、消費税で補う他あるまい。ただし、消費税は、その対象に応じた消費税率の工夫が必要となろう。

【佐藤委員】

社会保険か税金かと言うことであれば、障害者のためのものは税金でなければならない。多くの人が自分は障害者になるはずがないと思っているので、保険制度はなじまない。

【新谷委員】

長期的には、民主党が提案している「最低保障年金」なり、ベーシックインカム実現に向けての税制改革での検討課題と考えます。方向としては消費税を上げて賄う考え方が出ています。また、ベーシックインカムの構想が提案されており、京都府立大学の小沢教授は、国民一律の月額8万円のベーシックインカム実現のために必要な所得税率を50%と試算されています。個人的には、消費税議論は、財源確保の議論が先立っており、共生社会の理念をどのように取り込んでいくのか不安な面があります。その意味で、共生社会の理念が主導するベーシックインカムの議論に親近感を持ちますが、いずれにせよ社会保障制度と税制改革という「国のかたち」を決める議論ですので大がかりなものとなりますが、その中に障害者問題をメインストリーム化すべきと考えます。

また、短期的には、当面必要とされる障害者福祉予算上乗せ額を早急にまとめて平成22年予算の優先費目に位置付けることが必要で、その財源については当面は予算配分の見直しによらざるを得ないと考えます。

【関口委員】

政府発行通貨の発行。(麻生元総理大臣が言及)

有価証券等に掛かる税金。(現行、外国人への配当は無税で国外に出ている)

累進的資産課税。(例えば総資産20億円を超える場合からかかる)

労働分配率を以前の65に戻して底上げされた賃金からの税収を見込む。

法人税の見直し。(大企業課税を以前の水準に戻す)

なお、障害者への所得保障は必ず消費に回されるものであり、地域経済に寄与するものとなる。

【堂本委員】

障害者が安心して生活を送ることができるような将来的にも持続可能な制度運営がなされるよう、安定的な財源が確保されるべきである。

【中西委員】

国の1990年代の税額負担に戻すべきである。そして所得1500万以上に限定しても2000兆円ある金融資産に3%の所得税を課せば、60兆円の財源がうまれる。金融資産は寝かしておいても好況時市場に出てこないため、国家の税収が増えない。現状の国家予算が毎年赤字なのは、減税を90年代から繰り返してきたためであり、国の執行予算を増額してきたからではない。

ただちに90年代の税制に戻し、それでも十分でない場合には、基本的生活物資に課税しないことを条件に消費税問題を論ずるべきである。

【長瀬委員】

障害基礎年金の1級と2級それぞれの25%増額の場合には約4000億円が必要という試算(厚生労働省第42回社会保障審議会障害者部会)がある。経済の動向を慎重に見極める必要はあるが、基本的には、所得税(1990年代を通じて下がり続けてきてしまった租税負担率の低下に歯止めをかけるための、高額所得部分の累進課税の1990年水準への復活など)と消費税の増税も財源として検討すべきである。なお、これは、所得保障の拡充のみならず、障害関係予算全体の増額にも当てはまる。

【松井委員】

その財源としては、よく議論されているように、消費税を含む、税制の改革が不可欠である。所得保障の拡充は、障害の有無にかかわらず、国民全体の課題であり、この課題を解決し、すべての国民が安心して暮らせるような社会づくりをすすめない限りは、わが国の将来展望はひらけない。

この問題は、国家財政の赤字解消とあわせ、わが国の政治のリーダーシップが問われる、まさに喫緊の国民的課題である。

【森委員】

福祉の充実を目的とした消費税の導入が大きな選択肢になると考えられる。

ただし、消費税の導入などに際し、低所得者層については、食料購入費などの生活必需品に関しては税を課さないような仕組みをつくる必要がある。

その他

【大久保委員】

所得保障の今後の検討にあたっては、特別児童扶養手当や障害児福祉手当についても勘案する必要があると考える。

【尾上委員】

日本社会でのセーフティネットが大きく揺らぐ中、積極的な最低生活を保障する制度の確率が求められている。その点から、ベーシックインカムも含めて検討することが必要な時期にきている。その際、前述の通り、障害故に必要な特別の支出等、障害者の生活実態をふまえた所得保障制度との組み合わせが必要である。

【勝又委員】

障害のある人は社会制度においては、保護されるべき立場として位置付けられている場合が多い。たとえば、障害年金であれば非課税。障害者や障害者のいる世帯に障害者扶養控除等があり、所得税の累進性を考えると逆進的(金持ちの障害者ほど多くに減税措置がある)な制度になっている。

これらの、障害者が保護された制度についても、公的年金全体の見直しにおいて平等で公平な所得保障を全国民として考えるなら、聖域にすべきではない。

所得保障を公的年金や各種手当などの現金給付に限定して考えるべきではないと思う。就労と所得保障が補完しあえるような税制にすべきである。最低賃金と年金の調整など、障害のある人が所得保障だけに依存するのではなく自分の稼ぎで社会に貢献して生きていけるように制度が支援すべきだ。

一方で、収入が低いからと言って障害のある人を「被用者保険」から除外するようなことはやめ、医療保険、年金保険、介護保険、雇用保険、すべての保険には加入させ、負担能力に応じて保険料も拠出させるべきである。

【門川委員・福島オブザーバー】

就労により障害者の所得水準を引き上げることは、差別を撤廃し、障害者の社会参画を推進するうえで非常に重要であるし、一人ひとりの障害者が、就労によってより多くの所得を得ることができるようになることは、やはり極めて望ましいことであると考える。

しかし、現実に多くの障害者は、差別をはじめとする様々な理由によって就労が困難な状況にあるということについて、十分に留意する必要がある。

したがって、所得保障制度を再設計するにあたっては、就労意欲を削ぐものにならないようにするという配慮も重要ではあるものの、それにもまして、就労することができない障害者であっても十分な所得を得ることができるようにするということをより重視するべきであると考える。

【佐藤委員】

○その他 1

障害者の所得保障制度の改革を検討するに当たって、「障害者生活支援システム研究会」が最近行った次の実態調査結果を参考にすべきである。ここでは重度知的障害者の消費生活を毎日記録するなどの調査により、「交通費」「教養娯楽費」が一般単身者を大きく下回り、エンゲル係数が非常に高いこと、生活費不足を家族が負担して支えていることなどが示された。

知的障害者の暮らしの実態調査の結果から見えるもの
NPO法人大阪障害者センター障害者生活支援システム研究会
「暮らしの場研究チーム」

□今回調査の意義

  • 個人のプライバシーの尊重という視点もある中で、自らがその家計の実態を可視化することに、なぜ協力したのか、「運動的に実態を明らかにしようとする、研究者と当事者・家族の思いの共有化」の持つ意味の大きさ。
  • 数量的には、少人数(162ケース)とはいえ、一ヶ月の長期にわたって、記録をとってきたことでの真実性が極めて重要。
  • 特に知的障害者とその家族の実態に特化した内容ではあるが、家族依存型介護の実態を持つ多くの障害当事者の実態として理解する必要がある。

□対象者

  • 平均年齢45.9歳、障害程度区分4.7で日中は障害福祉サービスを利用している重度の知的障害者。
  • 大阪府内。家族同居42人、単身生活5人、グループホーム・ケアホーム64人、入所施設51人、合計162人。
  • 2009年11月に実施。

□障害者の暮らしの豊かさの実態

  • 徐々に進行する、父母との死別(身内がおらず、帰省先がない人が約2割強)。
  • 家庭生活における自立度は低く、ごくたまに買物に行く人が約7割、スポーツ・趣味活動に参加していない人が約3割、地域の社会的活動への参加は少ないなど、通常の成人と比較して、その暮らしの内容は極めて「貧困」な状況。
  • しかし、福祉サービスの利用は低調。
  • 今後の希望について、本人と家族、支援者にズレ。
    グループホーム・ケアホームの受け入れ体制が不安、移動外出支援とお金、医療・健康に改善要求。
  • 生計中心者は高齢の父親で年金所得が収入源。
    約6割の人が生活にゆとりなし、家族の生活を削って障害者本人を支援、それでも現状を肯定せざるを得ない実態が。

※「活動」「参加」の状況は異常

生活形態としての「場」の問題だけではなく、障害者の暮らしを支える環境が全般的に貧しいことが大きな問題。幼児期から社会経験を積むことができるよう、余暇活動などにおける社会的支援システムの構築も緊急の課題。さらに、障害者本人と親の高齢化が急速に進行していることに対する社会的支援のあり方についても早急な対応が求められる。

□障害者の家計実態と消費生活実態

  • 障害者本人の収入の月額平均は97,609円、一般単身勤労者の3分の1
    収入の9割超が年金・手当で、工賃は収入源として機能していない、障害者本人・家族の収入額が暮らしの場を規定している。
  • 一般単身世帯・無職(高齢者が多い)を下回る総支出額
    一般単身者と比べて福祉サービス費が支出を圧迫している、エンゲル係数は一般単身者を大きく上回る、「家具・家事用品」「被服費」が一般単身者に比し多い、「交通費」「教養娯楽費」は一般単身者を大きく下回る。
  • グループホーム・ケアホームは支出の26.4%が「住居費」に当たる、家族同居は「被服費」「教養娯楽費」「交通費」が相対的に多い、医療費も家族同居が相対的に多い。
  • 55.1%が支出超過
    収支がマイナスの人では、家族の経済状況が障害者本人の支出状況を大きく規定している、収支がプラスでもマイナスでも多くが家族の経済・介護力に依存している、障害者本人の外出支出額は家族の月収に相関している。
  • 支出額の違いが生み出す生活の質の格差(通常生活範囲を超えた移動やルーティーンない生活は、ほとんど行なえない。)
  • 自由になるお金は家族の持ち出しに加え、障害による特別な出費、一人当たり年18万円の出費、公的制度、補助金等の不十分さを家族が補わされている出費、保健衛生費などの高額な特別出費。

※障害者の生活は収支共に同世代と比べて低水準で、GHや入所施設への移行は、親離れ・子離れにはつながらない(経済的依存と介護者的役割)実態がある。また「貧困」は障害者本人に先駆けて家族に生じるという、運命共同体的関係が温存されている。

□調査結果のまとめと所得保障への提言

1 絶対的に最低限必要な生計費を大きく下回る家計規模の解消のために

※最低生活費保障の考え方

第一に、社会的な生活機能も充足する、さらに社会的に、福祉サービス等が不十分なために作り出されている相対的貧困を補償するもの、障害ゆえに必要とする特別な出費を補償するもの、これらの調査等による「最低生活費」保障施策。

第二に、福祉サービスの抜本的な整備、福祉サービス職員体制等の抜本的充実、これらが、「最低生計費」補償に向けた抜本改善と並行する。

第三に、これらの抜本見直しは、あまりにも「異常に貧困な」生活実態から出発すべき。

2 重度知的障害者の生活の内容・場を規定する家族との関係の改善のために

※本人の生活が、家族の状況に規定され、家族から自立した自己決定等ができない状況にある状況を打開するために、本人支援だけではなく、家族支援も抜本的に充実。

3 重度知的障害者の貧しい地域生活を改善するために

様々な場で全般的に貧しい暮らし、どの生活形態であろうと、さらに、障害程度にかかわりなく全般的に地域生活支援体制の抜本充実などの対策を講ずる必要がある。少なくとも、入所施設、グループホーム・ケアホームでの地域生活支援サービスの利用制限は撤廃。

住んでいる場を取り巻く地域を変えていくために、地域の相談支援事業は福祉サービスを斡旋するだけではなく、こうした業務を担える体制を整備。

根本的には、地域生活を送るのに配慮を必要とする人たちが、「住みやすい」「社会資源が整備されている」地域を選べるような整備費補助(土地代購入費も補助体系に組み込んだ)体系に組み替えるべき。またグループホーム・ケアホームさらに家族同居、単身世帯についても、敷金や家賃補助制度を創設。

4 年金手当が9割超の家計実態の中で「暮らしをゆたかに」するための年金・手当の抜本的増額を

稼得能力の喪失・減退を補う、「最低生計費」に足る所得保障を行なった上で、基礎となる手当を全員対象に創設し、そのうえに個別の必要性判断による補償が必要。

(まとめ文責:大阪障害者センター 井上泰司)

報告書本文は下記参照。

大阪障害者センターホームページ:http://www.npo-osc.com/index.htm

○その他 2

所得保障制度の権利擁護システムの改善が必要である。

(1)各制度における不服申立て制度の健全化

社会保障制度利用において個人の権利を擁護し、不利益を救済するのが不服申立て(審査請求・再審査請求)制度である。しかし、障害年金、特別障害給付金、生活保護、特別障害者手当等における不服申立て制度は、十分に機能しているとは言えない現状にある。

社会保険(障害年金など)については、「審査請求」に対する都道府県の社会保険審査官による審理(単独制)では、権利擁護システムとして限界がある。さらに、「再審査請求」に対する社会保険審査会(合議制)の状況は、再審査請求が年々急増し、「公開審理」では1件あたりの審査時間が短縮化され、十分な審査が尽くされているとは言い難い事態になっている。再審査請求の急増に反比例して容認率は極端な減少を見せており、障害者の権利が十分に擁護されていないのではという疑いを持たざるを得ない。特別障害給付金の審査請求もこの社会保険のシステム(社会保険審査官、社会保険審査会)で行われているが、同様の問題を抱えている。

特別障害者手当、生活保護制度の不服申立ては、社会保険とは異なるシステムにおける二審制(都道府県知事、厚生労働大臣)をとっているが、特別障害者手当における不服申立て制度は非公開で行われており、透明性に欠いている。

以上の不服申立て制度に関する情報の開示は、制度の健全化を図り、障害者の手続的権利を保障する上で、欠くことができない問題であり、各制度における審理結果(件数、障害種別、却下・容認・棄却数、及び、却下・棄却の理由)を公開すべきである。

さらに地方裁定(都道府県)による国民年金の障害認定に格差が生じているという問題がある。「年金診断書」をもとに行う障害認定業務であるが、障害認定審査医員の意見調整を行う認定審査医員会議が中断したままになっている。抽象的な障害認定基準は同一であっても、個別の案件を具体的にどのように評価するかという運用が異なれば、結果は大きく変わってしまうであろう。

以上、不服申立て制度の情報公開をすると共に、運用の健全化をはかる必要がある。

(2)所得保障制度を利用する上での支援体制の整備

障害年金は度重なる制度改正により高度に複雑化し、障害をもつ当事者が制度を理解し、自らの受給権の状況を確認することが困難になっている。窓口で十分な相談支援が行われる必要があるにも関わらず、実際には、窓口の職員自身が十分に制度を理解できておらず、適切な利用支援が行われていない場合がある。社会保険事務所でも窓口には臨時職員が多く、市町村の国民年金課では一般職員が対応している。このことは、十分な利用支援が保障されていないばかりでなく、窓口職員による納付要件での見落としや判断ミスがなされると、申請の受理すら行われないという手続的権利の侵害が生じる。

障害年金を受給するにあたっては、納付要件を見るための「初診日」証明がカルテ保存期間などから困難な事例が少なくない。しかし、「初診日」証明が得られない場合でも、医師の事後的診断で発症を確定できる場合はそれを「初診日」として採用するなどの運用の改善をはかれば、相当の無年金障害者の受給が可能になる。

そのため、社会保険事務所や市町村の国民年金課の窓口職員については、十分な知識と相談技能を有した職員を配置し、障害者が所得保障制度を利用するにあたって適切な支援が受けられる体制の整備が急務である。

(日本障害者協議会、「障害者の所得保障と就労支援に関する2007年提言」参照)。

○その他 3

成人期障害者に対する家族の扶養義務制度を廃止すること

わが国の民法では、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」(第877条)と定めており、子供が成人したとしても親の扶養義務はなくならない。

しかし親は子供の扶養に関して、いつまでも義務を負わなければならないのだろうか。確かに、子供をこの世に生みだした以上、その子供の養育に親が一定の義務を負うことは社会通念として当然のこととされている。だが子供が成人しようとも、親が高齢になろうとも、家族に扶養義務を負わせ続けることは、家族にとっては過度な負担である。特にわが国は、戦前の「家」制度の問題もあり、家族の問題は家族で解決するべきであるという風潮が強い。その結果、障害者の問題は、家族が解決すべき私的な問題に位置づけられ、障害者に対する社会的支援は、家族の支援を二次的に補完するものと位置づけられてきた。しかし障害者の生活支援を、家族の私的な問題に閉じ込めることは、現代の家族の状況を考えれば限界に来ている。

少なくとも社会の構成員として社会に参加する主体となった成人期の生活支援は、家族から切り離し、社会全体で支援すべき問題と考えなければ、家族はその負担に耐え切れないであろう。さらに障害をもつ当事者が地域社会で主体的に生活するためにも、成人期障害者に対する家族の扶養義務は廃止されるべきであろう。

そして家族の扶養義務をどのように位置づけるかということが、障害者の所得保障政策を考える上で前提条件となっている。あくまで家族の扶養義務を重視すると考えるならば、所得保障政策は、障害者本人より家族の扶養負担の軽減(ex.特別児童扶養手当や障害者扶養控除など)や、家族が扶養義務を果たせないときのセーフティネット(ex.生活保護など)が主たるものとなる。しかし、もし成人期障害者の家族の扶養義務がなくなれば、勤労所得がない障害者に対して、その生活支援としての所得保障(ex.障害年金など)の整備がもっとも重要な課題となるのである。

このように障害者の所得保障政策を検討する上で、家族の扶養義務をどのように位置づけるかが前提条件となっており、少なくとも成人期障害者に対しては、その家族の扶養義務を撤廃し、そのことを前提とした所得保障政策が必要である。

(日本障害者協議会、「障害者の所得保障と就労支援に関する2007年提言」参照)。

【関口委員】

ベーシックインカムについては、前向きに検討する必要があるがそれには国際的な連帯も必要である。トービン税を含めた世界的な議論も必要となり、国民の理解が必須である。先決問題として必要な住宅保障が全国民になされるべきと考える。これは、公的扶助としてではなく、生活保護とは別の社会保障として支給されるべきである。すなわち、衣食住の住の部分の手当が必要。加えて必要なら衣食の公的扶助を支給すべきである。

本来、障害者が障害ゆえに公的扶助を支給されなければ生きていけないというのはおかしい。社会保障として考えるならば、制度は別立ての考え方にすべきではないか?

資料

スイス・ジュネーブにて行われた国連・自由権規約委員会の第5次日本政府報告書審議の結果、日本政府に出された総括所見(未編集版・抄)〈無年金問題のみ抜粋〉

CCPR/C/JPN/CO/5
2008年10月30日

規約人権委員会第94会期
2008年10月13‐31日、ジュネーブ

規約40条に基づき締約国によって提出された報告書の審査
日本

C.主要な懸念事項と勧告

30.委員会は、20歳から60歳までの少なくとも25年間、年金受給のための掛け金を払わねばならないという条件とともに、1982年の国民年金法からの国籍条項の削除の非遡及性の結果として、主に1952年に日本国籍を喪失した多くの国民でない者、主として朝鮮人が、事実上、国民年金制度の下での年金受給資格から排除されているということについて、懸念を持って言及する。委員会はまた、同様なことが、国民年金法の国籍条項撤廃時に20歳以上であった国民でない者は障害者年金の受給資格を有さないという条項のために、1962年より以前に生まれた国民でない障がい者に該当するということを、懸念を持って言及する。(2①、26条)

締約国は、国民でない者は国民年金制度から差別的に排除されることがないということを保証する見解の下、国民年金法に定められている年齢要件に影響を受ける国民でない者に対する暫定的な措置を講じるべきである。

【土本委員】

これから 入所施設から でてくる 仲間たちは しょうがいきそねんきん だけで ちいきで へやを かりて ひとりぐらしや グループホームで せいかつ することは むずかしい。

さぎょうしょなどの こうちん も いっぱい もらえる わけでない。

せいしんの ほうでは てちょうの とうきゅう や ねんきんの ときゅうを さげようと する うごきも でている。

ねんきんを もっと あげて ほしい。

せいかつ ほご もある という ことを もっと しらせて ほしい。

さいてい ちんぎん の じょがいも やめてほしい。

ちいきで せいかつ できる お金を きちんと していく べきです。

自分たちの お金のことを しっていくことです。

お金のことを もっと 仲間たちに わかりやすく つたえて ほしい。

お金の かんりに ついては ひつよう とする てきせつな しえんを してほしい。

【中西委員】

「ニーズ中心の福祉社会へ」の中で、上野・中西は福祉財源において以下のように触れている。

①福祉財源の確保

政策:高額所得者の累進課税、企業減税、税率を90年に戻す。相続税の強化、土地課税、金融資産性所得などに総合課税することによって、ニーズ中心の福祉サービスは実現できることは以下の改革で53兆円が生み出されるので可能である。低所得者に負担を強いる消費税は導入する必要はない。

高額所得者の累進課税 31%(90年)→17%→31% 13兆

企業増税 43%(85年)→30%→43% 9兆(現在の消費税は9.6兆円)

金融資産課税 1500万円以上に課税すれば1000兆円、それに3%課税すると30兆円

利子や配当などの金融所得課税、株式売却益10%→30%(金融資産課税(株式は証券保管振替制度で預金はペイオフのための名寄せをしているのでデータはそろっている。)

相続税75%(90年)→50%+土地課税の強化→1兆円

合計税収額 53兆円

(神野直彦・宮本太郎(2006)『脱「格差社会」への戦略』岩波書店、でのデータを基に試算)

②ニーズに基づく福祉サービスの実現

政策:社会サービス法の制定

介護保険、自立支援法の制度を統合し、長時間介助、社会参加のための移動介助を高齢、障害ともに享受できる社会サービス法を制定する。家族のための福祉と当事者のための福祉を区別し、ともに充実させる。公的な介助サービスを基本とし、ボランテイアは行政の政策としては組み込まない。社会サービス法には、高齢者、障害者の施設から域移行の計画実施も組み込む。グループホームやコレクティブハウス、施設を選んだ場合も、在宅サービスを分け隔てなく受けられるようにする。

③社会福祉サービスへ権利性をもたせる

政策:障害者権利条約の締結と差別禁止法・条例の制定

地域で介助を受けながら生活する権利を法的に保障する。

④所得保障制度の改善

政策:介護保険、障害者自立支援法、健康保険、年金、については中産階級・低所得層を減額または免除し、応益負担を求めない。これらの全て自己負担を求める場合はベーシックインカムが実施されなければならない。