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障がい者制度改革推進会議

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シンポジウム 「もっと知ろう、デイジー教科書を!」
日時:2013年02月03日(10:30~16:00)
場所:戸山サンライズ 大研修室
 

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障がい者制度改革推進会議 第7回(H22.4.12) 竹下委員提出意見

第七回障がい者制度改革推進会議 意見提出フォーマット
交通アクセス、建物の利用

○基本的な考え方

移動や建物を含む諸設備の利用の権利について、障害者基本法等に明文を置くことの是非について、ご意見を賜りたい。

バリアフリー新法は一定の社会開発を促進してきたが、あくまでも政策の基準を示すものにすぎないため、障害のある人が自らの社会生活をバリアフリー化しようとしても主体的な行動を基礎付けるものとはなっていない。障害のある人が自らの障害を踏まえ、地域の環境に即してバリアフリー化を求めることができる権利を障害者基本法において明文化することが必要である。そして、障害のある人がバリアフリー化を求めても、それを速やかに実現できない場合については、その要求の妥当性や実現可能性について検討するための委員会が設置されるべきである。

○「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(以下、バリアフリー新法)」のについて

1、旧法も含めてバリアフリー新法が果たして来た役割の中で、積極的に評価すべき点について、ご意見を賜りたい。

バリアフリー新法は、障害のある人の存在を社会的に受け止めることを目指したものであり、またハード面のバリアフリー化(ユニバーサルデザイン化)を促進することによって国民の意識にも働きかける契機となることからすれば、重要な役割を果たしてきたと評価することができる。しかし、現実には都会で、あるいは一定の基準を満たす地域や施設についての義務化が明文化されたものの、ペナルティは設けられていないために強制力が働かないし、義務化されていない部分についてはほとんどの場合改善がなされていない。また、ハード面のバリアフリー化は差別禁止法における考え方(とりわけ合理的配慮義務)に沿って改正されるべきである。

2、地方都市、農村における輸送機関の縮小やバリアフリー整備の遅れは、障害者及び高齢者の生活に与える影響が大きい。現行法適用対象外の既存建物、既存交通施設の段階的変更と支援策についてどう考えるか。

バリアフリー新法は、高齢者と障害のある人の双方を対象としていることからすれば、田舎や農村地域などにおいても都会と同様に速やかな義務化が必要である。それは田舎や農村地区の活性化にもつながるし、過疎化を防止することにも結びつく政策となる。

また、バリアフリー化された「コミュニティバス」などの地域性を考慮した交通手段がすべての地区において実現されるべきである。

3、地域間格差を埋めるために、「移動等円滑化のために必要な旅客施設又は車両等の構造及び設備に関する基準」等の各種基準をどのように策定し、個人にとって必要となる合理的配慮が提供されるような仕組みを構築するべきか、ご意見を賜りたい。

すべての車両がバリアフリー化されることが望ましいことは言うまでもない。それは単に障害のある人のためだけではなく、すべての利用者にとって有益だからである(ユニバーサルデザインの有用性)。しかし、現実には直ちにすべての車両をバリアフリー化することは困難であるから、電車については編成されている列車の一両を必ずバリアフリー化とすることを義務付け、バスとタクシーについては、その比率を年次計画を立てて高めていくべきである(イギリスにおいて伝統的な二階建てバスを原則として廃止したことを参照せよ)。

4、同法25条により策定される市町村の重点整備地区の基本計画の義務付け、ならびに障害者の参画について、ご意見があれば賜りたい。

すべての自治体、すべての地域において整備のための基本計画を義務化すべきである。そして、各地域ごとに居住する当事者が参加する協議会を設置し、十分な議論の下に改善計画が策定されるべきである。

5、障害者の権利に関する条約9条1項は、「施設及びサービス利用等の利用の容易さに対する妨げ及び障壁を特定し、及び撤廃する」ための適切な措置をとることを規定している。
一方で、乗車拒否、利用拒否があることを鑑み、実態調査を行い、改善をはかる仕組みについて、ご意見を賜りたい。

タクシーが障害のある人の乗車を拒否する理由は、採算性と知識不足から生じている場合が多いと思われる。そこで、タクシーについては、障害のある人を乗車させるための研修を義務付けた上で、乗車した場合の料金は割増料金を払う仕組みとすべきである。

電車における利用拒否は違法な行為として位置づけ、行政指導やペナルティを設けるべきである。交通問題を解決し、施設利用を推進するために、各分野ごと(または各施設ごと)に協議機関を設置することも必要不可欠である。

○その他

イギリスにおいてDDAが制定された時点で交通機関だけが例外的に適用を猶予されたことがある。しかし、そうした取扱いは障害のある人の社会参加を保障し、真の平等社会を実現しようとする理念からは誤った考え方である。たとえ、直ちにバリアフリー化が実現しないとしても、理念は一貫させるべきであるし、改善については計画的な実施を義務付けた上で、それが実現するまでの代替手段を講ずることが必要不可欠である。


第七回障がい者制度改革推進会議 意見提出フォーマット
情報へのアクセス

○情報へのアクセスの基本的な考え方

障害者の権利条約第21条は、「締約国は、障害者が、第二条に定めるあらゆる形態の意思疎通であって自ら選択するものにより、表現及び意見の自由(他の者との平等を基礎として情報及び考えを求め、受け、及び伝える自由を含む。)についての権利を行使することができることを確保するためのすべての適当な措置をとる」ことを明記している。

同条約が明記している表現の自由、知る権利、平等に情報サービスを受ける権利について、障害者基本法等に明文化することについて、ご意見を賜りたい。

当然のことであるが、情報に対するアクセス権を障害者基本法において明文化することは必要である。そのうえで、それを保障するためのシステムや手順もあわせて規定することが必要である。

憲法21条によって保障されている表現の自由(知る権利を含む)を障害のある人についても保障すべきことは当然のことであり、合理的配慮を含め、障害のある人が自由に意見を表明し、表現活動を行い、必要とする情報を入手するための援助を行うことは、権利条約による要請だけでなく憲法上の要請でもある。

○情報アクセスとサービスに関する法制化について

1.いわゆる「バリアフリー新法」(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)における基準の設定や基本計画の策定と同様に、情報アクセス分野のバリアフリー化を総合的に推進する法制化が必要であるかどうかについて、ご意見を賜りたい。

情報サービスの分野は日々進歩し、大きな変化をもたらしている。たとえば、アメリカにおいてADAの存在にもかかわらず、視覚障害者がインターネットへのアクセスを困難にしている状態を違法であるとして訴えたが、これを裁判所は受け入れなかったという事例がある。また、オーストラリアにおいてオリンピックが実施された際に、リアルタイムな報道を視覚障害者も享受できるシステムを要求し、人権委員会に申立をした事例もある。

そうした事例から学ぶべきことは、すべてのシステムが開発される段階で常に障害のある人がアクセス可能なソフトが用意されるべきであって、それを法的に義務付けておくことが必要である。そうした義務化や基準化については、独立した法律が必要である。

2.情報アクセス(例えばテレビ放送における手話や字幕、電話リレーサービスなど)の最低基準及び指針の必要性についてどのように考えるか、ご意見を賜りたい。

前述したように、情報サービスの分野については、ユニバーサルデザインを義務付けるための法律の制定が必要であり、その法律において基準設定の考え方を規定すべきである。そして、審議会のような機関を設置し、常に新たなシステムについて基準設定についての研究と論議が行えるようにしておくことも必要である。

3.情報アクセスのバリアフリー化に向けた最低基準及び指針の策定においては、どのような事項に留意することが必要か、とくに当事者の参画はどのようにあるべきか、ご意見を賜りたい。

1 障害の特性が十分に認識されたシステムにするためには、常に障害のある人の参加が不可欠であって、基準設定のための委員会にはそうした当事者参加を保障することが必要である。

2 常にシステムや媒体を選択することのできる制度とすべきである。障害のある人は、情報の内容や場面によっては異なる媒体による情報提供を望むことがあり得るからである。たとえば、視覚障害のある者にとって点字、拡大文字、音声などすべての手段(媒体)が複数提供されることが必要である。

○情報アクセスとサービスの実施にあたって

情報アクセスのバリアフリー化に向けた最低基準及び指針の実施において、その実施状況に対する監視を行い、必要に応じて改善を図ることができる仕組みについて、ご意見を賜りたい。

情報提供は国家権力による支配を排することが必要である。そのためには、国による直接的な是正命令やペナルティを設けるのではなく、国から独立した救済委員会による救済のための制度が創設されるべきである。

○著作権について

情報アクセスと著作権についてどのように考えるか、ご意見を賜りたい。

著作権は権利者と利用者の調整を図ることが目的である(現行著作権法参照)。その際、障害のある人が障害のために著作物の利用を妨げられている場合には、それを取り払うための権利制限やシステムは当然の規定として法定されるべきである。現在のように、個別的に権利制限を設けているだけでは本質的に解決することはできない。著作物の利用における合理的配慮とも言うべき一般条項を設けた上で、障害のある人が自ら著作物を利用するために必要な変形を容易にする制度を設けるべきである。

○その他

著作物を利用し自己実現を図ること、あるいは読書を楽しむことは、人間としての尊厳に関わる問題である。2010年は国民読書年として位置づけられているにもかかわらず、高齢者や障害のある人の読書権を保障するための法整備は遅れたままである。そこで、障害者及び高齢者の読書環境の改善に関する法律(読書バリアフリー法)(仮称)を制定すべきである。これは障害者権利条約の趣旨にも沿うものであるし、憲法13条、14条、21条、23条、25条、26条、障害者基本法3条、6条、文字・活字文化振興法3条にも沿うものである。


第七回障がい者制度改革推進会議 意見提出フォーマット
所得保障

○所得保障に関する基本的な方向性について

1.現在の障害のある人の所得保障制度の課題について、ご意見を賜りたい。

障害のある人の所得保障は以下の3段階で考えられるべきである。

1 第1は就労による所得保障である。障害のある人が就労するためのさまざまな条件作りが必要であるが、それによって障害のある人が自らの就労によって生活を支えるだけの収入を得ることができるようにすることが大事である。

2 第2は、年金を含む社会保険や社会手当によって所得保障が図られるべきである。この点は障害のある人に限らず、高齢者をはじめとする社会的弱者(ハンディキャップ)に共通する位置づけで考えるべきである。

3 第3は、生活保護を含む公的扶助による所得保障である。ここで問題となるのは、障害という不利益状態を考慮し、所得保障とともに「障害補償」という考え方を持ち込むことも必要である。

2.障害者権利条約はすべての障害のある人が地域で暮らすことができるようにすることを目指しているが、こうした観点から、どのような仕組みでどの程度の所得を保障するべきなのか、ご意見を賜りたい。

わが国の国民年金における障害基礎年金の額は、最低生活保障としては不十分であって、ヨーロッパ(フランスなど)に比較しても極めて低い年金額となっている。現在の年金額を大幅に増額することが困難である場合には以下のような仕組みが検討されるべきである。

1 就労が可能な障害のある人については、就労保障を確実にして、就労による所得保障を実現する。

2 たとえ就労が可能であるとしても、就労による所得保障が困難な障害のある人については、保護雇用(賃金の一部を公的に補填する)制度を創設すべきである。

3 就労そのものが困難な障害のある人については、現行の特別障害者手当の額を増額するとともに、適用範囲を拡大して年金とあわせた所得保障を実現すべきである。

○障害基礎年金について

1、現在の障害基礎年金の水準は生活保護基準にも満たないとして、改善を求める声が従前より上がっている。また、障害基礎年金2級の支給額を1級に、1級をそれ以上に引き上げるべきとの意見もある。以上のことを踏まえて、障害基礎年金の水準についてのご意見を賜りたい。なお、障害基礎年金は老齢基礎年金の早期支給とみなしているため、障害基礎年金2級が老齢基礎年金と同額になっていることも、念頭におかれたい。

現在の障害基礎年金の額は所得保障としては不十分であることは、フランスなどとの比較においても明白である。老齢基礎年金は、貯蓄という資産を前提としているため、老齢基礎年金に準じた年金額の設定そのものに妥当性はないと言うべきである。少なくとも、障害基礎年金を受給している場合には、生活保護基準と同額以上でなければ最低生活保障すら実施していないことにほかならないのである。そこで、障害基礎年金は可及的速やかに老齢基礎年金と切り離した上で、全国一律に(1・2級を問わず)8万円以上に引き上げるべきである。そして、重度障害を有し就労が困難な人については、特別障害者手当(またはそれに準ずる手当)を支給すべきである。

○無年金障害者について

1.現在の障害基礎年金は、以下のような要因で無年金となる「谷間の障害者」を生み出している。

  • 国民年金の任意加入時に学生、主婦が障害を負った場合。
  • 日本国籍をもたない人が障害を負った場合。
  • 海外に居住している日本人が障害を負って帰国した場合。
  • 所得保障による支援が必要であるにもかかわらず、障害等級が低い等のために年金が支給されない場合。
  • 保険料を未納としていたため、あるいは保険に未加入であったために年金を受けることができない場合。

このような現状についてのご意見を伺いたい。

学生無年金については、訴訟が提起されたことを契機として特別障害給付制度が創設され一定の解決が図られたものの、他の類型に属する無年金者については未解決のままとなっている。無年金となった者のうち、本人の責に帰すべき事情が存在する場合と外国人無年金者の場合のように本人には何らの責任もない場合とが存在するものの、たとえ本人の責に帰する事情が存する者にも憲法25条の趣旨に沿って最低生活保障が必要であることは言うまでもないから、特別障害給付制度をすべての無年金者に適用すべきである。

2.無年金障害者の問題を解消するためにはどのような手立てが必要か、ご意見を賜りたい。

国民年金が現在の保険方式を採用している限りは、無年金問題はなくならない。早急に「最低生活保障年金」を創設し、その財源は全額税金によって賄うとともに、保険料を納めた者については上積みとしての年金を支給する制度を開発すべきである。

○年金以外の手当について

1.障害者が地域での生活を安定的に継続するため、または地域生活に移行するために、家賃を保障する「住宅手当」の創設が必要であるとする考え方があるが、このことについてご意見を賜りたい。

住宅保障は社会保障の一要素ではあるが、住宅を現物給付によって保障するのか、金銭給付によって保障するかについては国によって異なっている。所得保障の内容として住宅保障を含めるのであれば、障害基礎年金とは別個に住宅手当を支給するべきであるし、所得保障とは別個に考えるのであれば、現物給付として住居を確保する制度を創設すべきである(スウェーデンなど)。

2.障害ゆえに特別に必要とする経費を補うためにどのような手当が必要だと考えられるか、ご意見を賜りたい。

所得保障の一要素またはそれに付加されるものとして「障害補償」という考え方がある。その場合に考えられる内容としては以下のものがある。

1 介護保障(生活保護における他人介護料を参照)

2 外出保障(ガイドヘルパーなどの現物給付に加え、タクシーなどの利用を可能にするための給付)

3 医療保障(医療費がすべて無償である場合は不必要であるが、一部の負担を伴う制度を存続させる場合に必要である)

4 ヒューマンアシスタント(就労可能な者に対しすべての場面でその必要に応じた介助者を配置する)

○財源について

1.所得保障を拡充するための財源について、ご意見を賜りたい。

財源はあくまでも現在の国家予算の中で組み替えによって捻出する努力がされるべきである。消費税を引き上げたり、消費税を目的税として社会保障費を確保することは慎重であるべきであり、仮に増税する場合には直接税の合理的課税率を検討し、所得再分配の機能が十分に発揮できる税方式を実現することを優先すべきである。

○その他

欧米における社会保障費または障害のある人の福祉のための予算がどのような考えの下に拡大されてきたかや基準設定がされているかについて十分な研究と報告をお願いしたい。


第七回障がい者制度改革推進会議 意見提出フォーマット
障害者施策の予算確保に向けた課題等

○障害者予算の意義について

1.日本の障害者関係の公的支出(対GDh3比)がOECD諸国の中でも低水準であるというデータもあることを踏まえて、障害者施策に財政を投入することの社会的意義や経済的効果についてご意見を賜りたい。

障害のある人の福祉に関する予算は、決して社会の「お荷物」として位置づけられるべきものではない。障害のある人の社会参加を活発に実現し、あるいは障害のある人の就労を促進することは、費用対効果においても十分に価値のあることである。

障害のある人の社会参加を実現し、あるいは生存を保障するための予算は、一方において社会連帯という理念に即して理解されるべきものであり、他方においては社会を活性化させ、経済活動を促進する効果をも持つことを理解すべきである。福祉従事者という就労の機会を創出し、障害のある人を含めた内需拡大ないしは活発化を引き出すことにつながるのである。現に、ヨーロッパにおいて(とりわけ北欧において)障害のある人の福祉を充実させても、国家予算の硬直化を招くとして否定されては来なかったし、国家予算の無駄遣いとして評価されていないのである。したがって、わが国においても、ヨーロッパと同水準の社会保障費、とりわけ障害のある人のための福祉予算が確保されるべきである。

2.財政措置の水準は広い国民的な合意・理解・支援があるかどうかによって左右されるといわれ、国でも自治体でも障害者施策への予算配分の強化には国民の障害者理解の程度が大きな意味を持つ。この点で、障害者理解を広げ高める取り組みの改善についてどう考えるか、ご意見を賜りたい。

内閣府がかつて実施した国民意識調査によれば、若い年代層ほどわが国において障害者差別が残存していることを広く認識していることが窺われる。そうした国民の意識を基礎として、障害のある人の社会参加を活発にし、わが国における差別を解消するために施策が実施されれば、障害のある人を含む社会ないし地域がより活性化され、活力が引き出されることになり、予算配分に対する国民のコンセンサスが得られるものと確信する。

○国と地方の財政負担について

1.スウェーデンでは個人が福祉サービスを利用した場合の費用を一定額までは地方が負担し、それを超える場合は国が負担するという仕組みを導入することで、長時間介護が必要な場合も必要なだけの支援を受けることができるようにしている。わが国において、地域間格差があるという現状を改善する上で、障害者施策に関する国と地方の財政負担の在り方はどうあるべきか、ご意見を賜りたい。

国と地方自治体の財政負担のあり方は、国によって大きな隔たりがあるため、わが国とスウェーデンをそのまま比較することにはならないと思われる。そこで、以下のような考え方が検討されるべきである。

1 障害のある人の福祉を実施するための予算は、原則として最終的にはすべて国の責任で確保されるべきである。それが憲法25条の要請である。

2 地方自治体は、住民自治ないし団体自治という地方自治の本旨に基づき、地域住民のために実施しなければならない施策に要する費用を地方税によって確保しているのであるから、障害のある人も地域住民として位置づけられる限りは障害のある人のための福祉に要する費用も、その範囲では他の住民に対する費用と同様に地方自治体が負担すべきである。

3 現実には地方自治体の財政力によって地域間格差が生じる事態が発生しているし、地方自治体の障害者福祉に対する積極姿勢の程度によって財政支出の内容も異なっている。しかし、障害のある人にとっては、どこの自治体に居住しているかによって格差が生じることを是認することはできない。そこで、障害のある人に対する福祉のあり方に関し、その基準を国が定立し、その基準を下回るサービスを実施している自治体に対しては、国が財政出動を促すための指導ができるようにするとともに、その基準に達するまでは国の負担で福祉を実施する仕組みを作るべきである。

○障害者施策の予算確保について

1.障害者施策の予算を確保するために、地域基盤整備の施策項目と達成期間を定めた総合的な福祉計画を、財源を明らかにした上で定めるべきという考え方について、ご意見を賜りたい。

最近の傾向としてあらゆる分野において長期プラン(あるいはグランドデザイン)が策定され、計画的に社会資源を充実させ、あるいは福祉サービスの内容を拡大している。障害のある人に関する福祉についても同様であるが、問題はそうした年次計画を立てた場合、個人のニーズを満たすことができない事態が発生した場合の救済措置がどのように講じられるかが問題となる。個人のニーズ(あるいは障害のある人の積極的な要求)の合計が年次計画を超える事態となった場合に、どのように対応すべきかが問題となる。そうした事態が発生した場合には、現在の推進会議のような組織を設置し、年次計画の見直しを行うのか、個人のニーズの調整を行うことが必要である。

○その他

障害者福祉の財源確保のために消費税の税率を上げるべきであるとか、消費税を目的税とすべきであるという意見がある。現時点ではそうした意見には反対である。現状のままで消費税率を上げたり、消費税を目的税に切り替えた場合、国民は障害のある人に対する福祉のために大衆課税が強化されるという矛盾を感じることになる。低所得者が福祉を支えるという矛盾を持ち込むことになるから、決して国民の理解を得ることはできない。