資料1
障害者差別解消法に基づく基本方針(原案)に関する意見募集の結果について
平成27年2月24日
内閣府
障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「障害者差別解消法」という。)に基づく基本方針(原案)について、平成26年11月26日(水)から12月25日(木)まで、国民の皆様から広く意見を募集したところ、以下のとおり、のべ1,097件(個人1,048件、団体49件)の御意見をいただきました。その概要を取りまとめましたので公表いたします。
なお、取りまとめの都合上、いただいた御意見を適宜整理集約していますので御了承ください。
1 経緯
政府は、障害者差別解消法第6条第1項の規定に基づき、基本方針を策定することとされています。
そこで、障害者政策委員会における議論を踏まえて取りまとめられた基本方針(原案)について国民の皆様から広く意見をお聞きするため、平成26年11月26日(水)から12月25日(木)までの間、意見募集を行ったところです。
2 意見募集の結果
お寄せいただいた御意見の結果概要は別紙のとおりです。
今回御意見をお寄せいただきました方々の御協力に、厚く御礼申し上げます。
【問い合わせ先】
内閣府政策統括官(共生社会政策担当)
障害者施策担当
TEL:03-6257-1458
FAX:03-3581-1074
別紙
意見募集結果概要
1 募集期間
平成26年11月26日(水)から12月25日(木)まで(30 日間)
2 応募件数
のべ1,097件(個人1,048件、団体49件)
(内訳)
区分 | 応募数 | 構成比 |
---|---|---|
個 人 | 1,048件 | 95.5% |
団 体 | 49件 | 4.5% |
計 | 1,097件 | 100.0% |
※ 提出された意見募集フォーム1通等を1件としてカウント
※ 個人、団体の別は、氏名欄から判別(匿名・空欄の場合は個人に計上)
(意見の内訳) | 内訳数 | |
---|---|---|
基本方針全体に関する意見 | 56 | |
Ⅰ 障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する基本的な方向 | ― | |
1 法制定の背景 | 5 | |
2 基本的な考え方 | 31 | |
Ⅱ 行政機関等及び事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する共通的な事項 | ― | |
1 法の対象範囲 | 275 | |
2 不当な差別的取扱い | 297 | |
3 合理的配慮 | 405 | |
Ⅲ 行政機関等が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項 | ― | |
1 基本的な考え方 | 2 | |
2 対応要領 | 15 | |
3 地方公共団体等における対応要領に関する事項 | 13 | |
Ⅳ 事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項 | ― | |
1 基本的な考え方 | 12 | |
2 対応指針 | 8 | |
3 主務大臣による行政措置 | 6 | |
Ⅴ その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項 | ― | |
1 環境の整備 | 39 | |
2 相談及び紛争の防止等のための体制の整備 | 51 | |
3 啓発活動 | 127 | |
4 障害者差別解消支援地域協議会 | 48 | |
5 差別の解消に係る施策の推進に関する重要事項 | 56 | |
その他の意見 | 284 | |
総計 | 1,730 |
3 主な意見の概要
基本方針全体に関する意見
- 評価できるのでこの案のとおり決定してほしい。
- 障害者が「差別」と認識できないがゆえに、差別として浮かび上がってこないこともある。
- 障害があっても、自分らしい生活を送ることができる社会を望む。
- 寛容の心が共生社会の実現には必要ではないか。
- 障害者の女性が困難になる前に、女性自身がのびのびと過ごしていける社会を作っていければよい。
- 基本方針を策定することで逆に差別を助長することがないように。
- 基本方針(原案)には環境依存文字が使われているので、章番号を理解できるよう代替すべき。
Ⅰ 障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する基本的な方向
1 法制定の背景
- 社会的障壁の定義とその除去に関する記述を必要不可欠なものとして評価する。
- 日本におけるこれまでの取組として、少なくとも平成 16 年の基本法改正で差別禁止の理念を明示したことに触れた方がよい。
2 基本的な考え方
(1)法の考え方
- 障害に伴う事情を理由として、社会参加等を妨げられないという基本的な考え方が理解できるものであってほしい。
- 合理的配慮に当たる行為は、既に精一杯対応しているのに、更に対応が求められるという国民感情を逆なでする印象・誤解を与えかねず、「既に」を削除すべき。
(2)基本方針と対応要領・対応指針との関係
- 地方公共団体における対応要領の策定は努力義務となっているが、積極的に作成することが望ましい。
(3)条例との関係
- 地域の特性や差別の実態に合わせた条例を定めないと差別はなくならないので、「条例を定めなくてはならない」と変更すべき。
Ⅱ 行政機関等及び事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する共通的な事項
1 法の対象範囲
(1)障害者
- 法の対象範囲に、障害児の保護者(障害者の家族)も含めるべき。
- 障害児は、障害に加えて子供であることにより、更に複合的に困難な状況に置かれている場合があることについても明記すべき。
- 女性である障害者が困難な状況に置かれている場合があることは大切な観点であり、当該記述を評価する。
(2)事業者
- 私立大学が努力義務で、公立大学が法的義務という立場が分からない。
- 競合企業が存在している場合とそうでない場合とでは、事業者の間でも公的性格が本質的に異なるものの、事業者として一括しているのはバランスを欠いている。
(3)対象分野
- 労働及び雇用の分野についても、障害者差別解消法の考え方、基本方針との整合性を図るべき。
2 不当な差別的取扱い
(1)不当な差別的取扱いの基本的な考え方
- 間接差別、関連差別の存在も明記してほしい。
- 障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置が不当な差別的取扱いでないとするのは、「本人が望む場合」に限定すべき。
(2)正当な理由の判断の視点
- 正当な理由は厳密に、制限的に判断されるべき。
- 正当な理由がある場合は差別が許されることになるため、全記述を削除すべき。
- 差別は当事者間の問題であり、正当な理由の判断の視点から、「第三者の権利利益」を削除すべき。
- 差別を拡大させる懸念があるため、正当な理由の具体例は記述すべきでない。
3 合理的配慮
(1)合理的配慮の基本的な考え方
- 合理的配慮の一例に、「日常生活や社会生活、学校などの場面における介助等を含む必要な人員配置」を加えるべき。
- 障害者の状況・状態が変化することもあるため、提供する合理的配慮については、適宜見直しを行い、より適切なものとなるよう努める旨を記述すべき。
(2)過重な負担の基本的な考え方
- 過重な負担の判断基準を厳しくすべき。
- 過重な負担の具体例は、それだけが一人歩きするので、記述すべきではない。
- 過重な負担にならない範囲で、合理的配慮を講ずるよう努める旨を記述すべき。
- 過重な負担と判断した場合でも、代替案を考えるようにすべき。
Ⅲ 行政機関等が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項
1 基本的な考え方
- 特に、警察や消防、救急に関わる職員への研修・啓発をお願いしたい。
2 対応要領
- 対応要領を作成・修正する際は、様々な立場の障害者が参画した場で議論すべき。
- 対応要領記載事項の「相談体制の整備」は「相談及び紛争の防止・解決のための体制の整備」とすべき。
3 地方公共団体等における対応要領に関する事項
- 地方公共団体等における対応要領についても積極的に作成されることが望ましい。
Ⅳ 事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項
1 基本的な考え方
- 事業者の合理的配慮の提供について、努力義務となっているが実効性のあるものになることを期待する。
2 対応指針
- 対応指針を作成・修正する際は、様々な立場の障害者が参画した場で議論すべき。
3 主務大臣による行政措置
- 主務大臣による行政措置の中に、行政措置に至る事案を未然に防止する趣旨を追加すべき。
Ⅴ その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項
1 環境の整備
- 「情報アクセシビリティの向上」に言及していることを歓迎する。
- アクセシブルな電子書籍の出版やホームページの作成を義務付けるべき。
- 公共機関や店舗でテレビを設置する場合は必ず字幕放送でも見られるようにしてほしい。
2 相談及び紛争の防止等のための体制の整備
- 紛争を解決する新たな第三者機関の設置が必要である。
- 行政が単なる仲裁ではなく、障害者の権利を保障するために尽力する責任を持つことを例示するなどすべき。
- 障害者差別解消支援地域協議会に、紛争に関する仲介・調停機能を盛り込むべき。
3 啓発活動
(1)行政機関等における職員に対する研修
- 障害者から体系的な指導や研修を受ける機会を設けるべき。
- 偏見や有害な慣行の実態を正していくという積極的な対応をすべき。
(2)事業者における研修
- 障害者から体系的な指導や研修を受ける機会を設けるべき。
(3)地域住民等に対する啓発活動
- 子供の頃から、共に生活し学ぶことが大切という趣旨を追加すべき。
- 当事者が率先してこの法律を広め、行政と一緒により良いものを作っていきたい。
- 一般の市民を含め誰にでも分かりやすい説明により広報すべき。
- 無知ゆえの行動や、行動しないことで障害者が差別されることをしっかりと啓発すべき。
- インクルーシブ教育システムの意味が不明確であるため当該記述を削除し、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現する趣旨であることを明確にすべき。
4 障害者差別解消支援地域協議会
- 協議会の設置を義務化または強く奨励すべき。
- 障害当事者、障害のある女性の参画を明記すべきである。
- 各地でモデル事業を実施すること。
- 協議会に、紛争に関する仲介・調停機能を盛り込むべき。
5 差別の解消に係る施策の推進に関する重要事項
(1)情報の収集、整理及び提供
- 差別、合理的配慮について十分に議論がなされておらず、事例を積み上げていく必要がある。
- 性別、年齢、障害種別等の観点に留意すべき。
(2)基本方針、対応要領、対応指針の見直し等
- 欠格条項については、その業務の核心を遂行する能力があるかないかを見るべきであり、採用試験を含む様々な資格取得等で不必要な欠格条項をなくす旨を明記すべき。
- 附則における法施行後3年後の見直しについては、見直しの主体者を明確にすべき。