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資料3-3

ワーキング・セッションⅢ:インクルーシブ教育システム、雇用など議論の概要

○基本計画該当項目:「3.教育、文化芸術活動・スポーツ等」「4.雇用・就業、経済的自立の支援」

○コーディネーター:佐藤委員、柘植委員、辻井委員

○参考人:
大南英明(全国特別支援教育推進連盟)
田中伸明(名城法律事務所)
永野仁美(上智大学)
村上由美(ボイスマネージ)

○出席委員
第1回 5月22日:
 佐藤委員、柘植委員、辻井委員、阿部委員、石川委員長、伊藤委員、 大河内委員、大濱委員、大日方委員、加野委員、河井委員、玉木委員、松森委員

第2回 6月 5日:
 佐藤委員、柘植委員、辻井委員、阿部委員、伊藤委員、大日方委員、加野委員、河井委員、松森委員

■第1回 (5月 22日)教育

【参考人意見】

○落合氏(大南参考人代理)
・インクルーシブ教育システムの構築について、教育支援資料を全国に配付し、就学に関する理解を深めた点は効果的だった。(3-(1)-2)
・インクルーシブ教育システム構築モデル事業を実施し、都道府県、市町村、学校等の協力を得て大きな成果を上げている。特に早期からの教育相談、支援体制事業や特別支援学校機能強化モデル事業は評価している。(3-(1)-2)
・ 多様な学びの場の充実を図るために、教員定数の改善、特別支援教育支援員の配置や増員についても評価している。(3-(1)-3)
・ 教育環境の整備については、教育的ニーズに応じた教材の提供、拡大教科書や教科書のデジタルデータ等々、特に発達障害関係の方々の読み上げの教材等について、もっと推進してほしい。(3-(2)-1)
・ 多様な学びの場を全国で展開するには、どうしても更なる教員の定数改善が必要。平成25年4月の教育振興計画で指摘された 4,633の教室不足の課題も、まだ大きな課題として残っている。(3-(1)-3)
・ 教育的ニーズに応じた適切な指導を進めるため、公立の場合は個別の教育支援計画が78.7%の学校でつくられているが、実態から言うと、作成の段階から活用を推進することが求められているのではないか。(3-(1)-5)
・ 平成25年の高等部等の卒業生の企業就労者の数が約5,000人、文部科学省の調べだが、昭和55年の中学校特殊学級や、特殊学校の高等部の卒業生の企業就労者は6,531人いた。今は人数が増えているにもかかわらず、企業就労の数が減っている。どうしてこうなってしまったのか、是非考えてほしい。(3-(1)-8)
○村上参考人
・ 学校にいられるための配慮が必要。授業を考えがちだが、まず学校に通うための下準備の配慮が少ない。持ち物の管理や時間を守って行動するということが求められるが、それが難しいお子さんも発達障害の中には多い。授業を受けるに当たっても、授業内容の設定の仕方や、カリキュラムの内容をわかるための前提がよくわからないお子さんも、発達障害の中には多い(3-(1)-2、3)
・ 最近は拡大教科書やデジタル教科書は出てきているが、ディスレクシアのお子さんにとって読みやすいのかというと、疑問が残るものもある。また、通常級の先生はそういう教材があることすら知らない方が多い。そして、ディスレクシアの人にも使えるのだという知識がなければ、当然子供たちはそういうものを使う機会がない。(3-(2)-1)
・学校現場ではコミュニケーション能力を上げようと努力されるかもしれないが、物の管理や時間の管理、お金の管理ができていないと、現場では信用されない。そういうことを意識した上で、学校生活をより快適に過ごせるような合理的配慮というものを根本から考えていただけると、とても嬉しい。(3-(1)-8)

【質疑・議論】

○阿部委員
・ 特別支援教育支援員について地方財政措置を講じているということだが、この方々のかかわりの成果はどうか。また、これは小学校から中学校までずっと続けて利用できるものなのか。これから検討すべき課題もあるのかどうか。(3-(1)-3)
・ 支援計画でもなかなか100%までにはなれない。それができないのはどういう理由なのか。様々な関係分野の方々の協力、連携のもとに個別の教育支援計画ができている成果というのは本当に大事なこと。(3-(1)-5)
→作成が必要な子供については作成する方向で取り組んでいきたい。現在、次の学習指導要領の改訂に向けた作業を進めているところ。その中でどれだけもう少し積極的に書き込むことができるかがポイントだと考えている。また、必要な子供について作成するよう、各教育委員会に働きかけていきたい。(文部科学省)
・ 災害時に避難所となることについて、東日本大震災のときには特別支援学校が県であり、災害対応は市町村が考えていたために、なかなか支援学校の活用ができなかったということを聞いている。(3-(2)-2)
→設置者である県と市町村が連携をして、実際に避難訓練をして備えている地域がある。少しずつ改善されていると考える。(文部科学省)

○落合氏(大南参考人代理)
・ 個別の教育支援計画は学校が策定するものであり、実際に幼少のときから卒業後までを見通した上での中身は、かなり難しい。話し合いの場が部分的にはできているのだが、全体的になかなか進んでいかないというのが実態。作成をして、さらにその上で個別の指導計画とタイアップしながらやっていかなければならないので、実態としては各学校の中でそれぞれの先生方が苦労している。(3-(1)-5)

○松森委員
・大学等で授業における情報保障やコミュニケーション上の配慮ということが明記されているのに対して、教育支援資料の聴覚障害の部分では、情報保障という言葉が明記されていない。それはなぜか。(3-(3)-1)
・聴覚障害のある児童生徒の一人一人の教育ニーズに応じた教科書をはじめとする教材について、情報通信技術(ICT)と書かれている。この部分の充実について、既に音声認識や遠隔通訳による支援の事例が増えてきている。このような事例にも着目しているか。また、こうした支援を充実させていくことを考えているか。(3-(2)-1)
・ 特別支援教育に関する教職員の専門性の確保とある。しかし、人事異動が短期化されていることによって、例えば手話や点字などのできる教員の確保が困難になっていると聞いている。特に手話は、日常会話が可能になるためには約3年かかると言われている。さらに、授業のような専門的な内容になると、さらに約5年かかると言われている。この現状を解決するための施策を考えているかをお聞きしたい。(3-(2)-4)
・ 教育においては、地域の手話通訳士養成事業とは異なる枠組みが必要になると思っている。例えばろうあ連盟が、大学の授業で手話通訳士養成を行うコースを設置してはどうかという話をしているとも聞いている。こうしたことを積極的に推進してほしい。(3-(2)-4)
→(6月 5日資料2-1第1回における質問への回答1~3 文部科学省)

○玉木委員
・ 以前は就学前教育相談の就学指導委員会の中で、一度、あなたは特別支援教育ですよ、あなたは通常教育ですよと決まってしまうと、ほぼ変更のないままきたというのがあった。今もなお、教育相談に行ってみると結論ありきの相談になっているとよく聞かれる。確認作業をいつの段階で、誰がどのようなプロセスを用いてしているのか。(3-(1)-1)
・ 障害児の通所支援利用計画やサービス利用計画を立てるに当たっては、障害児相談支援と個別の指導教育計画と関係を密に持ちながら計画を立てていこうという目標が挙がっていると思うが、今回の説明の中にはそういう文言が一切出てきていない。(3-(1)-4、3-(1)-5)
・ 特別支援教育地域連携協議会を都道府県や、市町村の教育委員会に設置することにもなっているはず。地域連携協議会の設置率や効果がどういう形で出てきているのか。(3-(1)-4、3-(1)-5)
→(6月 5日資料2-1第1回における質問への回答4、5 文部科学省)

○大濱委員
・ 教育委員会では、特別支援教育支援員の配置は地方交付税交付金を含めた一般財源で予算が組まれている。交付金の額もそれほど大きくはない。そこで新たに特別支援教育支援員を配置しようとしてもなかなか難しい。従って、交付税措置ではなく、文部科学省の国庫補助金で組んでいただきたい。(3-(1)-3)
・通学支援も含めて考えないと、障害を持った子供はなかなか普通学級に通うことができない。そのあたりをきちんと考えていただきたい。(3-(1)-3)
→(6月 5日資料2-1第1回における質問への回答6、7 文部科学省)

○大日方委員
・ 個別の教育支援計画作成率は78.7%とあるが、100%というのは何を対象としているのか。発達障害の方々を全員把握するということはできないと思うので、仮にこの数字が 100になればそれでよしなのか、その考え方をお示しいただきたい。あるいはもう少しわかりやすく書いていただくことをお願いしたい。(3-(1)-5)
・ 特別支援ではなく、普通学級に通っている障害のある子供たちに対する施策という取組のところが、もう少し書きぶりがないだろうか。特に学校外の活動であったり、体育の授業といったところに対する現状の取組のことがわかる推進状況のようなものがあるのであれば、そういうことも書いていただければと思っている。(3-(1)-1)
→(6月 5日資料2-1第1回における質問への回答8、9 文部科学省)

○伊藤委員
・ 入院されている、あるいはそれを繰り返す方々の教育の支援はどういう状況にあるのか。
・ 学校保健師の配置が現状どうなっているのか。
・ 教育と保健と福祉のような地域連携が大事だと書いてあるが、それが具体的にどう進められているのかがわからない。病気や障害を持った子たちは、中で疎外されがち。それを防ぐために、教育の中での思いやりや友情を育てることが非常に大事。教育の中ではそれがどのような位置づけになっているのかを知りたい。(3-(1)-4、3-(1)-8)
→(6月 5日資料2-1第1回における質問への回答10~13 文部科学省)

○石川委員長
・ 学校教育法の施行令の改正が一昨年に行われたが、権利委員会の政府報告においては、法律や施行令を改正したことだけをもって、日本はインクルーシブ教育に精いっぱい取り組んでいると主張をしても説得的にはならない。本人及び保護者の意思の尊重という観点からこのような実績になっている、地域の学校への就学について、初等教育、中等教育においてこのように着実に前へ進んでいる、といったことが言えるといい。そういった方法での現状分析、データがあれば、提供いただければありがたい。(3-(1)-1)
・30ページの教科書等教材の提供推進の責任主体というのは政府あるいは文部科学省ということになる。標準拡大教科書以外の拡大教科書については、ボランティアグループがやっていて、それを支援している。マルチメディアデイジー教科書についてはボランティアグループがやっていて、文部科学省としても調査研究を進めているという書きぶりになっている。この点についても、基本計画の5年間の中で、さらに一段、二段と、提供・推進の責任主体としての実施の準備などについて報告をいただけるとありがたい。(3-(2)-1)
→(6月 5日資料2-1第1回における質問への回答14、15 文部科学省)

○加野委員
・ 知的の障害のある子供に対する学習支援というのは、特別支援教育支援員については想定をされていないのか。(3-(1)-3)
・ 保護者が地域の通常学級に知的障害のある子供を通学させたいと考えて、就学相談に臨んだ場合に、特別支援教育支援員は付けられません、個別の支援が必要な場合は、支援学級、支援学校に行ってくださいと言われるケースが多いと聞いている。保護者の意思を尊重するというインクルーシブ教育への推進となっているが、実際に子供のことを考えると、地域の学校を選ぶことが難しい。支援員をつけてもらえないという状況があるように聞いている。そういう状況についてどのようにお考えか。(3-(1)-1)
→(6月 5日資料2-1第1回における質問への回答16 文部科学省)

○佐藤委員
・ 学校教育法の施行令が改正され、総合的な判断で就学先を決める仕組みになった。1月31日までに就学通知を出すということで、1月31日までに就学通知が出ていない人は、就学先について調整が必要な人となるが、そういった人はどれぐらいいるのか。(3-(1)-1)
・インクルーシブ教育システム構築モデル事業の詳細の資料を提供していただきたい。(3-(1)-2)
・ 国連の権利委員会はこれまでの総括所見の中で、教育の場を分けずに同じ場でということに結構こだわって出しているが、同じ学校、同じ場で実際にどういう合理的配慮をされている好事例があるのか、その事例を教えていただきたい。(3-(1)-2、3-(1)-3)
→(6月 5日資料2-1 第1回における質問への回答17~19、資料2-2 インクルーシブ教育システム 文部科学省)

■第2回 (6月 5日)教育

【質疑・議論】

○伊藤委員
・ 医療的ケアを行う看護師は、親や、利用する側からの要望で配置していただけるのか。どういう具合で配置するのか。(3-(1)-4)
→学校に配置されている看護師については、就学する前の段階で、医療的ケアが必要なお子さんが入学してくるというところから、市町村教育委員会、学校、そして保護者、本人と十分に話合いをした上で就学先の学校に必要な看護師を配置するのが一番多い。(文部科学省)

○松森委員
・ 都道府県教育委員会に対して、連携の強化、厚生労働省からの事業の活用等について周知しているとすれば、それによる聴覚障害における早期支援体制の現状改善はどうなっているか。理由は、聴覚障害において、新生児聴覚スクリーニングが全国的に普及しているが、医療、療育関係者主導で行われており、聴覚特別支援学校をはじめとする教育機関等との連携が構築されていないという現状がある。(3-(1)-4)

○河井委員
・東京都においては副籍、他の県などでは支援籍などという言い方があるが、特別支援学校に学籍のある児童・生徒が地域の学校に行ってともに学ぶということがある。校長先生の裁量で、受入体制に温度差がある。インクルーシブ教育のシステムの実効性を持たせるために文部科学省として具体的にされていく予定があるのかないのか伺いたい。(3-(1)-1)
→交流及び共同学習ということで、学習指導要領にも位置づけられている。可能な限り共に学ぶということで取り組んでいく必要があると考えている。文部科学省としても実践事例等も周知しながら推進に取り組んでいきたい。(文部科学省)

○阿部委員
・個別の教育支援計画について「必要な子どもさんには」とあった。これは特別支援学校に在籍しているだけでなく、(小中学校にいる)子供も含めるのかどうか確認したい。(3-(1)-3)
→特別支援学校に限らず、特別支援学級や通常学級に在籍する児童生徒も含めた全体の実施率をあげていかないといけないという認識。(文部科学省)
・ 支援学校の職業教育、進路の指導の先生による定着支援。連携の取組をしている先生が存在するのは大きな意味がある。(3-(1)-8)
→特別支援学校には進路指導部という分掌部がある。進路指導主任、進路指導を支える部員の方々が複数名所属している。高等部卒業後も進路先を回ってアフターフォローを行うことは各特別支援学校がしっかりとやっている。そこで進路先を支えている労働機関等とも連携をしながらやっていく。(文部科学省)

○加野委員
・ 知的障害のある児童・生徒に対しても特別支援教育支援員を配置できないということではないというお答えだったが、やはり消極的と言うか知的障害のある子の支援は特別支援教育支援員の支援対象ではないというように理解した。知的障害のある子の場合、特別支援学級等において特別な教育課程の編成を含むより包括的な支援を行うことが適当である場合もあることは理解しているが、発達障害の児童・生徒に対する学習支援は特別支援教育支援員の支援対象であるのに、知的障害のある子は対象ではないというのは、第3次障害者基本計画の28ページ3-(1)-3で合理的配慮を含む必要な支援を受けながら同じ場で共に学ぶことを追求するという点に反するのではないか。
・障害者権利条約でも個別の支援の前提としてまずインクルーシブというのがある。現在、個別の支援を望む保護者も増えており、特別支援学校に進学する子どもの数が増加し、例えば東京では特別支援学校を増設してもすぐいっぱいになってしまう。特別支援学校でも交流等の努力をされていることは理解しているが、やはり自分が生活する地域で学ぶというインクルーシブの理念からは遠いと思っている。個別の支援を求めて特別支援学校に進学する子どもが増えるという、インクルーシブとは逆の流れになることを懸念している。
・ 障害者権利条約の締約国としてインクルーシブ教育を実現するためには、まずは地域の学校で受け入れることができないか、そのためにどのような支援が可能かということを第一に考えるべき。このような立場で考えた場合に知的障害のある子の学習支援が支援員の支援対象でないというのはおかしいのではないか。インクルーシブ教育実現のためには予算配分のバランス等も検討し、保護者本人が希望すればできるだけ地域の学校で受け入れるという体制づくりが必要だと考える。(3-(1)-1、3-(1)-2)

○辻井委員
・ 例えば通常学級に在籍していて、あるいは手帳を持っていない、ということで、特別支援学校の高等部を希望してもなかなか受け入れづらい状況が生じ得る。逆に特別支援学級にいる子が昼間定時制の高校を受験しようとすると、内申その他の仕組みの中で不利になる事例もある。機会均等は重要である。その辺りのことに関連して、課題をどのように乗り越えていくのか明確にする必要もあるし、逆にどういう課題があるのか、明記していただけるといい。障害種別概念で規定されていないところで排除が起こる。特に選抜の場で起きるということは、合理的配慮の実現からすると一番まずいことになると思う。(3-(1)-1、3-(1)-2、3-(1)-3)

○松森委員
・ 通常の学級に在籍する障害のある児童・生徒への指導方法に関する実態調査があれば資料として出していただきたい。(3-(1)-1)
・ 実施状況にはセミナーを通して啓発に努めているとあるが、大学における情報保障やバリアフリー化、相談窓口の設置状況等については日本学生支援機構の詳細によりもっと具体的な実態が明らかにされているはず。実施状況にはこうした調査に基づき、より具体的な実態を記載していただきたい。また、文部科学省としてはこうした調査の結果をどのように評価しているのかを記載した資料が追加されるとよい。それをもとにして、どんな施策につなげていくか課題を出せると考える。(3-(3)-1)
・ 障害のある学生の平等な参加には、この支援を行う専門的人材、例えば専門性のある専任教職員、コーディネーター、相談員、手話通訳等の技術を持つ支援者の存在が不可欠である。この養成については、ここに書かれている文科省報告の第一次まとめでも、中長期的課題とされているが、具体的な取組が見えてこない。取組状況や計画等があれば教えていただきたい。(3-(1)-3)
・ 先進的な取組を行う大学等を支援し、大学間ネットワークを育てる手段として、文部科学省報告第1次まとめでは地域の拠点校を整備し、その取組を重点的に支援していくと書かれている。この拠点校は、日本学生支援機構の障害学生就学支援ネットワーク事業の拠点校とは別のものであると注釈があるが、この部分についての取組、地域拠点校の現状がどうなっているのかお聞きしたい。(3-(3)-5)

○阿部委員
・学ぶ機会の多様性は非常に大事。そのような多様性についての実際的な把握があるものかお聞きしたい。通信教育の意味というのも、実態等教えていただきたい。(3-(1)-3)

○村上参考人
・厚生労働省からいただいた資料3の5ページ、職業生活上の困難さを把握、判断するための研究という記述と、文部科学省の合理的配慮の話は、かなり共通点が多い。これは要望だが、是非省庁間の垣根を越えて合理的配慮についてはまとめていただけたらと。その情報を学校だけではなく、その学校の就労や家庭生活においても引き継げるようなシステムを作っていただきたい。(3-(1)-2、3-(1)-3)
・合理的配慮の好事例という、文部科学省からの19番に書いてあるが、同時に、失敗例もむしろきちんと挙げていただきたい。名人芸ではなくて、誰でもできるシステムをつくるために、まず失敗例を分析すること。(3-(1)-2、3-(1)-3)
・思いやりや友情と書いてあるが、効果測定しづらい。もう少し行動のベースに落とし込んだ、評価しやすい指標をきちんと出して、それでどう変わったのか、どううまくいかなかったのかを出していくのも重要だという印象を持った。(3-(1)-2、3-(1)-3)
・海外では第二言語学習者(移民など)も特別支援教育の対象に入っており、障害者だけのものではない。今後の社会事情にも対応する必要があるだろう。

○大日方委員
・ インクルーシブ教育の重要なことは、どこをスタートラインにするかだ。つまりインクルーシブの前提は、あらゆる障害のある子供が一緒に教育を受けることをベースにした上で、それぞれのニーズにどこまで対応できるのかという基本的考えに立って報告していかなければいけない、そういう視点が必要だと感じた。(3-(1)-1)
・ 障害を持つ子供が普通の学校にどのぐらい行っているのか、普通学校、普通学級に在籍する子がどのくらいいるのか、教えていただきたい。(3-(1)-1)

■第1回 (5月 22日) 雇用

【参考人意見】

○落合氏(大南参考人代理)
・ 雇用については、障害者の雇用ができていない企業に対し、障害者理解の推進を図ってほしい。(4-(1)-2)
・49人以下の企業・事業所への雇用を推進する必要がある。(4-(1)-1)
○田中参考人
・教育委員会については、まだ雇用率を達成できていない。特に都道府県教育委員会は、教育の現場を統括する機関でもあり、ここに障害者を職員として採用することは、障害者の教育の面でも施策推進に役立つと考えるので、是非、努力をいただきたい。(4-(1)-1)
・ グループ適用に際しては、特に親会社と特例子会社の間で人事交流を図るとか、あるいは特例子会社で蓄積された障害者雇用のノウハウを親会社でも生かすという工夫をお願いしたい。(4-(1)-3)
・ チャレンジ雇用自体は非常に大切なものだと思うので、特にこの報告書案で列記されていない府省庁でも、実施をお願いしたい。あわせて、常勤職員としての採用の検討をお願いしたい。(4-(1)-4)
・ ガイドラインとしては、着実な実施をお願いしたい。それとともに、障害者枠での障害種別の制限について十分に御検討いただきたい(4-(1)-6)
・ 今後、発達障害や難病の方を含めて多種多様な障害の方が相談に来られることが考えられるが、今後も引き続きハローワーク職員への研修を充実させていただきたい。また、就労後の定着支援の推進に努力いただきたい。(4-(2)-1、4-(2)-2、4-(2)-6)
・ 特例子会社については、ノウハウの蓄積がかなりあるかと思うので、このノウハウの発信をすることで障害者雇用を推し進めていただきたい(4-(2)-4)
・ 障害者についての能力開発や訓練について。特に在職訓練や能力開発については、障害者の職域の拡大にも資するので、十分にお願いをしたい。(4-(2)-7)
・ 中途障害者に対する支援が、手薄になりがちなテーマである。一定の時間を中途障害を背負った方に与えることで、復帰の努力をさせていただきたい。企業側としても、復帰についての理解を持っていただきたい。(4-(3)-1)
・ 障害者の所得状況の把握が重要になってくると考える。この点、資料があれば提出いただきたいが、もしないならば、今後のモニタリングという意味においても把握に努めていただけたらと希望する。(4-(5))
・以下は現状把握という意味で提供をお願いしたい資料である。
① 50人以上の規模の企業で雇用される障害者に関する障害種別ごとの実数及び各障害種別におけるダブルカウントの対象者数
② 50人以下の規模の企業において雇用される障害者の障害種別ごとの実数
③「ハローワークによる障害者の就職件数」に関する定着率
④チャレンジ雇用後の就業人数
⑤企業内で活動するジョブコーチ(2号)の実数
⑥最低賃金除外特例の申請件数

→(6月 5日資料3委員及び参考人からのご質問に対する回答 田中参考人要求資料1~5 厚生労働省)
→内閣人事局では、政府全体の国家公務員の人事行政推進のため政府内の人事管理の基本方針として、人事管理運営方針を毎年度策定。この中に知的障害者等が一般雇用に向けて経験を積むためのチャレンジ雇用を推進するという文言を盛り込んでいる。各省とも連携しながら、引き続き各省庁に、チャレンジ雇用、障害者雇用に積極的に取り組むよう、働きかけていきたい。(6月 5日ワーキング・セッションⅢ 内閣官房)

【質疑・議論】

○田中参考人
・ 定着率はどういう基準で定着したと見るのかの根拠が不明。

○河井委員
支援終了後6カ月時点の定着率、その下のところでは就職後1年経過時点での定着率、これは6カ月と1年とどうして違うのか。(4-(2)-5、4-(2)-6)
→(6月 5日資料3委員及び参考人からのご質問に対する回答1 厚生労働省)

○田中参考人
・障害者雇用については、人的サポート、通勤支援、自営業者への支援と、いろいろな課題がある。第3次基本計画の中に入っていないのかもしれないが、障害者雇用を促進するためには大切なテーマになるので、検討状況等でも説明いただけるとありがたい。
→人的支援という形では、ジョブコーチという形の支援、就業生活支援センターが、就職した後、定着支援という形で見守るということもあるので、そういう形も人的な支援ということになろうかと思う。通勤支援については事業主になるべく通勤支援、通勤に対する配慮をしていただくという観点から、通勤支援をしていただいときに助成金を出すという仕組みを設けている。通勤時間についても事業主の方に考えていただき、可能な限り通勤が難しい方も通勤ができるような支援をしている。自営業者に対する支援ということだが、我々は雇用支援という形でやっているので、自営業者である障害者の方に対する支援は、直接はやっていない。起業支援であれば、社会局などで、例えば障害者の方が起業をする場合に支度金を貸し付ける制度を設けている。あるいは能力開発事業の中で、障害者の方が一定の資格を取ることについて支援をするといった取組がある。(厚生労働省)

○松森委員
・ 今後把握を求める資料として追加していただきたいのは、障害者雇用状況調査の調査票に性別の項目を入れて、ジェンダーの視点からも見た集計。(4-(1)-1)
・ ハローワークによる障害者の就職件数に関する定着率について。求職をして就職につながっていない人の状況はどうなっているのかということ。性別や年齢階層に分けた分析が必要だと思っている。(4-(2)-2)
・ ガイドラインの中の合理的配慮で、聴覚障害に関する部分には筆談としか書かれていない。実際には手話通訳や要約筆記なども必要である。これらを記載していない理由は何か、お伺いしたい。(4-(1)-6)
→(6月 5日資料3委員及び参考人からのご質問に対する回答2、3 厚生労働省)

○伊藤委員
・ 雇用の開発助成金とか雇用率で、発達障害と難病が他の障害と少し額、その他が違っている。こういうものを解消する見通しはあるのだろうか(4-(3)-2)
→(6月 5日資料3委員及び参考人からのご質問に対する回答4 厚生労働省)

○辻井委員
・ 就労に関しては、障害福祉サービスの就労移行という枠組みの障害者福祉のサービスからの流れと、雇用からと、2通りのものがある。就労移行を使っていた人たちが、ハローワークの窓口を訪れてこのようになっているという形で、どういう連動があるのか。
・ 定着という形の中で、5年定着、 10年定着、15年定着という何かしらのデータがあるのであれば、可能な範囲でお出しいただきたい。(4-(1)-1、4-(1)-3、4-(2)-1、4-(2)-2、4-(2)-3)
→(6月 5日資料3委員及び参考人からのご質問に対する回答5 厚生労働省)

○大濱委員
・特例子会社が本社と比べてグループ内での賃金格差があるのかどうか。(4-(1)-3)
→(6月 5日資料3委員及び参考人からのご質問に対する回答6 厚生労働省)

■第2回 (6月 5日) 雇用

【参考人意見】

○永野参考人
・ 2013年法改正の施行に向けて、障害当事者や企業に対し、改正の趣旨や、2015年3月に公表された「障害者差別禁止指針」及び「合理的配慮指針」等について情報提供していくことが求められる。(4-(1)-1)
・ 障害者自身に対する就労支援だけでなく、企業に対する支援も行っていくことが必要になる。すでに、高齢・障害・求職者雇用支援機構により、各種の助成がなされており、その点は評価できるが、それらの情報提供、さらには、その内容の見直しを適宜行っていくことが求められよう。(4-(1)-1)
・ 特例子会社の存在意義を認めつつ、新たに導入された差別禁止原則に抵触しない特例子会社の在り方が、今後、いっそう求められることとなろう。(4-(1)-3)
・ 中小企業に対する支援が重要となろう。すでに、様々な支援がなされており、中小企業を対象とする新たな助成金も創設されているところであるが、これを充実させていくことが課題となろう。(4-(2)-4、4-(2)-5)
・ 障害者優先調達推進法は、特例子会社や就労継続支援事業で就労する障害者の賃金・工賃の引上げに寄与するものと言える。しかしながら、随意契約ではなく、入札がなされる場合、特例子会社等では、競合他社に太刀打ちすることができない、との声がある。この仕組みを改善することはできないかと考えている。(4-(3)-4、4-(4)-2)
・ 障害者は多様であるがゆえに、多様な選択肢が存在することが重要である。しかし、A型での就労や一般就労が可能であるにも関わらず、A型事業所の不足やその他の理由により、労働法による保護がないまま就労せざるを得ない障害者がいることは、問題である。また、 A型での就労や一般就労が困難な障害者については、労働法による保護とは別の形で、工賃を含む就労条件の保障を行っていくことが必要であると考えている。(4-(4)-1)
・初診日に20歳未満であった障害者については、所得が一定の額を超えた場合に、障害基礎年金の支給停止がなされる。障害年金は、障害者の就労インセンティブに配慮しつつ、稼働能力の減退・喪失に対する給付として再構築する必要があると考えているが、まずは、その前段階として、現在の支給停止の状況を把握しておく必要があろう。(4-(5)-1)
・情報の提供又は把握をお願いしたいもの
特例子会社における障害者の内訳(障害種別、性別、年齢)
就職率のみが掲載されている項目について、定着率
企業における中途障害者(特に、精神障害者)数
企業におけるリハビリ就労の実施状況
企業に対する助成への申請数、助成額等
福祉的就労に関するもの(A型・B型事業者数、平均賃金・工賃、 A型における最賃減額特例の許可件数等)
障害基礎年金の支給停止件数

【質疑・議論】

○阿部委員
・ 特例子会社では競合他社に太刀打ちすることができないという声があるというだが、具体のことについてお話しいただきたい。
→何らかの事業が入札にかかると、その価格を下げる方向で入札がなされるので、特例子会社等々においては、そこまで価格が下がってしまうと、その仕事を引き受けることができないことになってしまい、ほかの価格を下げた競合他社に入札で負けてしまうことが多々あるということ。(永野参考人)

○伊藤委員
・調達法が全体の価格を引き下げている原因だとすれば、何が問題なのか、あるいは今後、これが推進されていくのがいいのか。
→25年の実績は、ここに書いてあるとおり。障害者就労施設に配慮するために随意契約をまず可能にした。これまでは随意契約さえできなかったところから一つ進んでこの法律の意義があるのではないか。施設は小さいので、大きな調達案件だと参加できないということだが、それについては共同窓口、福祉施設が連合して窓口をつくる。そうした施設が集まって、例えば NPO法人を作ったり一般社団法人を作るといった例が全国で30~40カ所ほどある。連合して受注しようというところには、補助金を出し、そういう窓口をどんどん作ってくださいというのを過去5年ほどやっている。(厚生労働省)

○辻井委員
・この法律が、むしろ価格を結果的に押し下げる、要するに配慮を欠くような形に使われていないかについては、今後把握して、報告できるようにしていただきたい。(4-(3)-4、4-(4)-2)

○阿部委員
・ 就労の実態をしっかり把握するためにも今後の検討課題として、男女の人数や地域も、工夫次第でできることかと思うので、検討していただければと思う。(4-(4)-1)
・ 地方自治体でもチャレンジ雇用を行っている。そういう実態は把握できないものか。(4-(1)-4)

○松森委員
・政府として権利条約に沿って障害者基本計画等を運用していくことになっているので、男性か女性かということにも着眼しなければ成り立たない。そこからも調査の直接の目的が雇用促進であることが性別のデータをとらない理由にはならないし、事業者の負担も理由にはならないと思っている。障害者雇用状況報告と障害者雇用実態調査、この2つの調査はどちらも同じ課が所管しているが根拠法が異なっており、毎年調査をして詳細概要がある障害者雇用状況報告の利活用が進まないと基本計画にも支障が出ると考える。(4-(4)-1)
→男女別データや都道府県別によるデータで精緻なデータをとることによってどういうメリットがあるのか、また条約上の義務のようなものがあるかなど具体的に示して頂くことが大事。その辺を整理して議論して頂くことが先決だと考える。(厚生労働省)

○伊藤委員
・ 難病患者の就職サポーターがハローワークに配置されているが、この方々の実際に今あげている成果の状況や課題も、ほかのデータと同じように取り上げていただきたい。(4-(3)-1)

○田中参考人
・中小企業等に対する障害者雇用相談啓発事業の実施状況の数が書いてある。552件とあるが、こういう数字をあげていくことで雇用を推進する政策に力を入れていただきたい。(4-(2)-4)

○佐藤委員
・ 合理的配慮の指針を出していただいたが、事例の収集はされているのか。(4-(1)-6)
→事例集については、昨年から合理的配慮の事例集を集めており、今月中にも公表したいと思っている。ネット等でも厚生労働省のホームページから見られる形にしたいと考えている。(厚生労働省)
・体調を崩して入院し特例子会社に行くと、対応が非常に悪い、しかも二度と親会社に戻れないという実態がある。賃金の格差はかなりあるのではないか。こういう実態があるのであれば、インクルーシブの視点から少し問題があるのではないか。(4-(1)-3)
→特例子会社と本社では行っている業務自体が異なっているため、賃金の違いということだけで判断するのは難しい。(厚生労働省)

○辻井委員
・ 雇用に関連しての助成金、例えば1年や2年といった雇い入れに関しての助成金は、その期間が終わったところで雇用を打ち切られることがある。助成金目当てのために雇用するのではなくて、障害者の方のインクルーシブな生活、実際に働くことを実現するために本来ある。定着という形でいくと、助成期間が切れた後も雇い続けているところがどのくらいあるかをきちんと明記しないと、せっかくの意義がなくなる。今後、明記していただけるといいと考える。(4-(1)-2、4-(2)-4)
・ 同じ省内でも制度が違うと、間をどう移行したのかの統計がないことはかなり大きな問題。この辺は連動して、障害のある方の雇用を実現していく政策であるはずなので、障害者の福祉政策と雇用政策が連動してどう動いていくかの実態が示されないと数字としては意味がないものになる。(4-(2)-1)