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資料2-1

横断的課題―障害のある女性の複合差別について

松森 果林

 障害のある女性の複合差別は、障害者権利条約に沿って課題として取り組む必要があるという認識が、基本計画や基本方針では明記されてきましたが、更に、法律・計画・政策ともに、障害のある女性の複合差別への取組みを明記して具体的に取り組むことが課題です。これまで私は横断的課題として、委員会やワーキングセッションで下記の通り意見を述べてきました。

1、推進体制について <第 21 回、22 回にて発言>

障害者政策委員28名の中で障害女性は2名のため「障害女性の専門家」を参考人として呼ぶこと、及び委員構成は障害のある委員のうち 30%は女性となるよう補充の必要がある。(『2020 年 30%目標』(第三次男女共同参画計画・2010 年 12 月閣議決定)

2、相談支援体制について(1(1)1) <第 21 回、WSⅣにて発言>

性的被害や DV 等、女性の相談窓口に、障害のある女性も連絡、相談できる体制が必要。

3、障害者虐待防止法について(1(1)8、8(2)1) <第 21 回、22 回にて発言>

権利条約第16条に対応できるように、ジェンダーの視点からの調査分析が必要であり、女性に重点を置いた政策立案、及び障害のある女性への支援を記述する改正が必要である。

4、避難所について(7(1)5) <第22回にて発言>

基本法26条(防災および防犯)には「性別」と記載があるが、基本計画の「安心、安全」では記載されていない。障害女性の視点からも記述する必要がある。

5、男女別統計の必要性について <WSⅢ、第23回にて発言>

障害者雇用状況調査等、すべての調査で必要である。(基本計画に記述があり、国連女性差別撤廃委員会から日本のマイノリティ女性に関するデータが不十分だと勧告もある。)

6、女性が安心し、生み、育てることができる環境について <第22回にて発言>

権利条約23条、25条に該当する条文が、基本計画にはないため、基本法14条に対応した具体計画(医療機関や福祉施設での同性介助を標準化する等)が必要である。また、障害があってもなくても安心して生み、育てる支援や環境整備も必要である。

本日、強調、追加したいことは、上述6と下記一点です。

7、障害者権利条約第6条には「障害のある女子」という独立した項目がありますが、基本計画の中にはこれに対応する項目がありません。障害女性についての独立した条文を設けることで、複合差別の課題を明らかにし、解決につなげていくことができます。

以上、未着手の課題かつ今後取り組むべき事として、政府報告に盛り込むことを提案します。

参考:障害のある女性の生活の困難―人生の中で出会う複合的な生きにくさとは―
複合差別実態調査報告書(点字・テキストデータあり)
http://dpiwomennet.choumusubi.com/siryou.html#hon