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2012年8月31日

第3回差別禁止部会 太田修平資料

各論についてJDF としてご提言申し上げます。

【教育・保育】

○対象範囲

  • 学校教育法第1条に定める学校及び専修学校(同124 条)、各種学校(同134 条)
  • その他、国・地方公共団体・学校法人等が設置する教育機関(放送大学、各省庁大学等)
  • 認定こども園法が設置するこども園
  • 児童福祉法に定める保育所
  • 職業能力開発促進法で定める職業訓練校
  • 上記教育・保育機関の設置管理運営機関(文部科学省、教育委員会、学校法人等)
  • 上記教育・保育機関に関与する入学試験・選考試験等の実施機関
    (地方公共団体が実施する高校入試、国が実施する中学卒業資格認定試験、高等学校卒業資格認定試験、独立行政法人大学入試センターなど)
  • 上記教育・保育機関における教育課程や課外活動を遂行するにあたって関与する機関
  • その他公共的な教育に準ずる活動をしている機関等(学童保育等放課後事業の事業者等)

○差別と正当化事由

  • 本人又は保護者が求める教育機関への入学において、障害を理由に、区別、制限、排除、又は拒否してはならない。
  • 学級の異動、転学、除籍、退学、復学、卒業、資格取得において、障害を理由に、区別、制限、排除、又は拒否してはならない。
  • 通学、授業、給食、特別活動や部活動等、正規の教育活動及び課外活動を含む学校生活全般への参加について、障害を理由に、区別、制限、排除、又は拒否してはならない。

○合理的配慮の例示

  • 建物・用具等の物的環境
    (車いす用トイレ、着替えや休憩のためのベッド等の施設スペース、スロープ、エレベーター、誘導装置等の移動手段の確保、車いす等で使用できる学習机、通学時のバスやタクシー等を必要とする者への移動手段の確保等)
  • 肢体不自由児、知的障害児や発達障害児等が必要とする休息スペース
  • 入学試験における代読・代筆者の配置や時間延長等の配慮
  • 教育内容、指導方法、評価方法等の変更および調整
    (教育課程の柔軟化、試験における代読・代筆者の配置や時間延長等の配慮、授業等の内容・方法の工夫、学級人数の調整等)
  • 修学年限の上限について、病気療養における期間を除く等の配慮
  • 教職員、介助者、看護士等、必要な人員の配置(医療的ケアも含む)
  • 補助機器等の支援(点字教科書、拡大教科書、ルビ付き教科書等の教材の変更・調整、視覚障害児が必要とする点字機器やPC環境、肢体不自由児、発達障害児・知的障害児が使用しやすいPC環境等の学習機器、食事のための補助具や流動食のためのミキサー等)
  • 意思疎通・情報伝達手段の確保(人員配置含む)
    (聴覚障害児等が必要とする文字情報、FM装置、ノートテイカー等の配置等視覚による情報獲得手段、視覚障害児等が必要とする点字印刷機等による点字資料やPC等による音声データの整備、知的障害児、発達障害児等が必要とする代読者、絵カード等のシグナル情報、身振り手振りやコミュニケーションを介在する人員配置等)

【役務(サービスの提供や商品の販売)】

〇対象範囲

  • 不特定または多数のものに役務を提供する者

〇差別

  • 役務の提供者は、障害を理由に区別、制限、排除、拒否をしてはならない。

〇合理的配慮の例示

  • 劇場,音楽堂等の利用に際し、特定の席種のみの提供でなく、いくつかの席種を選択できるようにすること。
  • 宿泊施設において、バリアフリーの部屋や設備に特別料金を課さず、他の部屋と同等にすること。
  • 温泉施設や宿泊施設において、家族しか使えない風呂を介助の必要な障害者に提供すること。
  • スポーツ施設の利用に、介助者・支援者同行を認めること。
  • 美術館や博物館において、展示物についての説明を障害者がわかる形態・手段で行うこと。
  • 金融機関の利用に際して必要な人的・物的支援
  • サービスの利用等のため契約行為が必要なときに,意思決定の支援者の同席を認めること。
  • 電話での本人確認に替わる手段を用意すること(ご本人様ですね。いえ,本人は耳が聞こえないので代わりに電話しています。それでは本人確認できないので電話でのお申し込みはできません。などと言われることがしばしばある)。
  • 飲食店で,料理の形状を障害者の求める形状に応じて提供すること。
  • 飲食店で、その店で提供しているものを摂ることができない障害者が,家族や友人などと会食を目的に利用する際に、摂取可能な食品を持ち込むことを認めること。
  • スーパー等で買い物をする時の補助を行うこと。

【不動産】

〇対象範囲

  • 不動産の賃貸、売買に関係する事業者,借地借家法(旧借地法・借家法による契約も含む)における当事者,建物の区分所有等に関する法律における区分建物所有者及び管理者(管理法人を含む)

〇差別

  • 不動産の売買や賃貸借契約に際して,障害を理由として、契約の当事者(保証人となろうとする者を含む)に対して,区別、制限、排除、拒否をしてはならない。
  • 不動産の売買又は賃貸借契約に際して,情報提供方法や意思伝達手段等,助言者等,契約当事者が自己の障害に応じた配慮を求めた場合に,それを拒んではならない。
  • 障害に応じて必要な改造や設備の設置を拒否してはならない。
  • 障害に応じた配慮に要する費用を,それを必要とする障害者にのみ請求してはならない。

○合理的配慮の例示

  • 障害に応じた必要な改修や設備を設置すること。
  • 契約に際して意思決定の支援者の同席を認めること。
  • 障害者の求めに応じた情報提供手段の提供や意思疎通手段の確保などの対応をすること。

【建築物、公共交通および公共的施設等に関するアクセス】

〇対象範囲

  • 公共交通および公共的施設等(以下、施設等とする)
  • 不特定または多数の者が利用する建築物

〇差別

  • 施設等の所有者又は管理者が、施設等の利用にあたって、障害を理由として区別、制限、排除又は拒否すること。
  • 施設等の所有者又は管理者が、施設等の利用にあたって、障害者の利用に代替設備を置いた場合に、それをわかりやすく提示しないこと。

〇合理的配慮の例示

  • 介助者がいなければ施設等の利用が困難な場合に、介助者にかかる費用を免除すること。
  • 施設等の利用にあたり、利用希望者の求める内容に応じた車いすや補助具等の使用。
  • 利用に困難をきたす障害のある人への人的支援の提供。
  • 利用価格や利用上の規定について、障害のある人が十分理解できる手段による説明の提供。
  • その施設等の利用に先んじて情報が収集できるように、インターネット等の広報媒体に障害のある人がしばしば必要とする情報を掲示し、障害に応じて求める手段によってそれを提供すること。
  • 列車乗降時におけるプラットホームと車両床面のすき間や段差を埋めるための渡り板の設置や撤去と、乗降時に必要な人的支援の提供。
  • バス乗降時における、乗降を円滑、安全にするためのバス停への正着、路面とバス車両床面の段差を埋めるための渡り板の設置や撤去と、乗降時に必要な人的支援の提供。
  • 公園や建物、駅などで横になれるベンチの設置。
  • 特定、あるいは少数の者が利用すると考えられる住宅にあっても、不特定、あるいは多数の者に対して販売活動が行われるものにあっては、不特定、あるいは多数のものが利用する建築物と同等な配慮を行うこと。