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「さあ、でかけよう!」
-京都府における福祉のまちづくり-

京都府福祉のまち推進室

京都府福祉のまちづくり条例

 「私たちは、心身に障害があっても、高齢になっても、地域社会を構成する一員として安心して生活を営むことができ、自らの意志で自由に移動でき、社会に参加することのできるまちに暮らし続けたいと願っている。
 そうしたまちの創出には、施設や交通機関等の整備を進めるとともに、多様な人が互いを理解し、日常的に交流し得る地域社会づくりを進めるという両面からの生活環境の整備が必要である。
 長寿社会を迎えた今日、このような生活環境の整備に当たっては、障害者や高齢者が暮らしやすいまちはすべての府民にとっても暮らしやすいまちであるという府民共通の認識の下に、取り組むことが重要である。
 また、こうした取組を通して、京都が有する歴史、文化、学術等の世界的な蓄積を、すべての人が共有し、享受し得る環境づくりを進めることも京都の課題である。
 ここに、私たち京都府民は、互いの基本的人権を尊重し、福祉のまちづくりの実現に向け、一体となって、不断の努力を傾けることを決意して、この条例を制定する。」
 これは、平成7年3月に制定された「京都府福祉のまちづくり条例」の前文であり、京都府における福祉のまちづくりを推進するに当たっての基本的な理念となっています。
 京都府では、この条例の主旨の下、府内各地でさまざまな取組を進めています。

人にやさしいまちづくりの推進

 この条例においては、多くの人が利用する建築物等の建設・改修に当たっては事前協議することが義務づけられていますが、その協議件数も本年3月末の時点で、1,500件を超え、また、条例に適合することを示す整備基準適合証の交付も約800施設に及んでおり、京都府内の各地で人にやさしい施設の整備が着々と進められています。

歴史的文化財共有のための取組

 特に「京都」は千年の都、「日本人の心のふるさと」として歴史的文化財が数多く存在することから、条例においても前述のとおり「京都が有する歴史、文化、学術等の世界的な蓄積を、全ての人が共有し、享受し得る環境づくりを進めることも京都の課題である」と謳っており、京都府としても「歴史的文化財共有のための環境づくり推進事業」を通じて、社寺等におけるバリアフリー化の推進を支援しています。
 これまでにも、西本願寺や平等院の通路整備や、醍醐寺、三宝院、東福寺の車いす使用者も利用できるトイレ設置、成相寺の階段昇降機の設置、知恩院のスロープ設置等に支援をしてきたところです。
 一方、歴史的文化財については、文化財保護の観点も重要であることから、京都においては、それぞれのケースにおいて一番ふさわしい整備方法がないかと知恵を出し合い、「文化財保護」と「バリアフリー化」との整合・調和を図っています。
 また、その他の社寺等においてもそれぞれの立場でさまざまな配慮や工夫がされており、府民はもとより、京都に来られた方からも喜ばれておりますので、以下にご紹介しておきます。

各施設で取り組まれるバリアフリー化

(平成9年度「福祉のまちづくり100選から抜粋)

○西本願寺

 スロープやリフトにより阿弥陀堂(国重要文化財)や御影堂(国重要文化財)に車いすのまま上がることができます。境内には石畳が敷設され、車いす使用者の利用できるトイレも設置されています。

○三十三間堂

 堂内はスロープにより車いすのまま見て回ることができます。視覚障害者への配慮から手で触れることのできる千手観音立像や三十三間堂のミニチュアも設置されています。

○知恩院

 本堂(国重要文化財)の階段が一段約30センチメートルと急であるため、緩やかな階段を上置きし、上りやすくしています。

○平等院

 庭園(史跡及び名勝)内の砂砂利を走行できる車いすを貸し出しています。車いす使用者も利用できるトイレや点字付き案内板なども整備されています。

○元離宮二条城

 車いす用の出入口とスロープにより二の丸御殿(国宝)内にスムーズに入ることができ、車いすのまま見て回ることができます。

○龍安寺

 視覚障害者に方丈庭園(史跡及び特別名勝)の配置が理解できるようミニチュアが設置されており、点字パンフレットも用意されています。

○成相寺

 この寺院は宮津市の天橋立を望む成相山の中腹にありますが、駐車場から本堂(京都府指定文化財)までスロープがあり、さらにリフトにより本堂に車いすのまま上がれるようになっています。

○東本願寺

 エレベーターにより御影堂や阿弥陀堂に車いすのまま上がることができ、堂内もスロープにより見て回れるようになっています。

○アッセンブリー京都教会

 車いす使用者も利用できるトイレや点字ブロックの設置等、すべての人の利用に配慮がされています。

○カトリック河原町教会

 階段昇降機により、車いすのまま玄関に行けるようになっています。礼拝堂にはイヤホンのある席があり、聴覚障害者に配慮されています。

だれもが自由に移動できる環境づくり

 また、障害者や高齢者が社会参加するに当たって、だれもが自由に移動できる環境づくりも大切なことから、公共交通機関の整備についても、事業者や関係市町村とも連携し、これまでも京阪中書島駅や近鉄新田辺駅など既存の駅舎8か所に対し、エレベーターなどの整備の支援を行ってきました。また、障害者や高齢者の方も事前に周辺の状況を知り、安心して出かけられるよう、府内の文化施設・学術研究施設などが集積している地域について、車いす使用の方が1人で行けるルートなどをイラストで表したり、トイレや駐車場などを絵文字で表した「ガイドブック」を作成して、無料で配布をしています。
 希望者は、A4判が入る返信用封筒に郵便切手180円分を貼付し、郵便番号、住所、氏名を記入のうえ、〒602-8570(住所不要)「京都府福祉のまち推進室」宛、送付してください。

さあ、でかけよう

 条例が施行されてから、本年10月で5年となりますが、現在京都府ではこの5周年を契機に、障害者や高齢者の自立と社会参加を支援するために「バリアフリー情報等の共有化」を検討しており、その内容の一部として、前述の「ガイドブック」の内容を中心にインターネットを利用して、だれもが京都のまちにでかけられるよう情報発信することも検討しています。
 京都は、四季折々、いろいろな表情を見せ、それぞれにまた格別なものがあります。みなさんもぜひ“日本のこころのふるさと”京都にお来しください。