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厚生労働省に期待すること

栗原久

 当センターの運営母体は、平成二年度に発足した財団法人箕面市障害者事業団である。市健康福祉部が窓口となり、大阪府知事(所管は現商工労働部)の認可を受けたものである。企業就労が困難な重度障害者の職種開拓等を目的に全国初のスタートを切ったが、まだ制度のイロハも分からず右往左往していた。
 その後、平成六年度には、市商工観光課の委託事業として職場実習事業を開始したが、時を同じくして障害者雇用促進法の改正により障害者雇用支援センターが登場する。小さな一歩を踏み出したばかりの職場実習事業だったが、このノウハウを活用すれば支援センター運営も夢ではないと興奮したのを覚えている。
 関係機関の深いご理解の結果、平成八年度に全国で六番目に当センターが開所したのだが、事業団発足時同様、試行錯誤の繰り返しだった。ただ、今度は公共職業安定所と日本障害者雇用促進協会の地域障害者職業センターという強力な援軍を得ており、労働関係機関の一員となった責任の重さも痛感した。
 そして、平成九、十年度には、労働省の「地域障害者雇用支援ネットワークに関する研究会」に参加させてもらうことになったが、時代の動きを肌身で感じた。もとより支援センターは「労働行政と福祉行政の連携」が前提だが、同研究会では、さらに突っ込んで「障害者や企業が安心して雇用に取り組める環境づくり」について本音で討議がなされた。
 同研究会の提案を受け、労働・厚生両省の協力事業である「障害者就業・生活総合支援事業検討委員会」が、現在課題に果敢に取り組んでいる。私のような一現場職員が、新省庁うんぬんも僭越ではあるが、願わくばネットワーク研究会の提案を、このように一つひとつ施策として実現していっていただきたいと思う。
 また、「障害者問題への思い」と「制度の知識」の両方が必要なことを、この十年間で不十分ながらも学んだ私としては、人材育成分野への予算措置にも大いに期待したい。

(くりはらひさし 箕面市障害者雇用支援センター所長)