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医療、福祉、就労支援を一体的に

吉塚晴夫

 横浜市内五十か所の精神障害者作業所と二十四か所のグループホームの連合体である市精連は、地域に生活する精神障害者への就労支援を、平成二年の集団アルバイト(歳暮、中元期に十五…四十人が就労援助スタッフとともに配送センターに入って、品物の仕分けを行うグループ就労の試み)から始め、現在の横浜市からの市営斎場内における湯茶提供と清掃業務、斎場内売店経営と市立病院外溝清掃という事業委託により、就労事業部門において、六人のスタッフと三十二人の障害者を雇用している。精神障害者の就労にはグループ就労という形態が非常に有効であることを、私たちはこの経験から確信している。
 厚生労働省の発足に当たって、グループ就労をさらに促進する立場から、従来、縦割り行政のために少なからず阻害されていた、福祉的訓練(職親制度等)から雇用支援制度へのスムーズな移行と、領域をまたがっての複線的支援がさらに強化されることを期待したい。もちろん、短時間就労のいっそうの条件緩和と、何よりも障害者雇用促進法上の雇用率に、精神障害者も対象として加えることを(そのための委員会が活動中であると聞いているが)早急に実現してもらいたい。
 現在、医療、社会福祉、雇用の三分野でそれぞれの専門職種、守備範囲を超えて、共通言語をつくり、個々の障害者の地域生活支援を総合的に進めていこうという方式が主流となりつつある。まさにケアマネジメントの手法であるが、いまだ各職種間の課題認識における共通言語が少ない。厚生労働省の発足が、共通言語化促進の契機となることを期待したい。
 また就労と並んで、地域生活の基盤となる障害年金の認定基準は、日常生活動作や行動制限等の医学的基準に基づいているが、医学的障害の重症度とは別に、就労のための能力が障害されている人が少なくない。ワークパーソナリティ研究の推進等により、認定に当たって、これらの人々が見逃されることのないように、認定基準の検討に取り組んでいただきたい。

(よしづかはるお 横浜市精神障害者地域生活支援連合会(市精連)代表)