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イベント

2002年ソルトレーク
パラリンピック冬季競技大会

(財)日本障害者スポーツ協会
日本パラリンピック委員会
若菜常信 (日本選手団副団長)

 2002年ソルトレークパラリンピック冬季競技大会は、2月のオリンピックのあと3月7日から16日まで開催された。ソルトレークシティは、標高1300mという高いところにある街で人口18万人、モルモン教のテンプルを中心に、道路が東西南北にきちんと整備された、条里制の街である。
 3月1日、日本選手団は選手村に入り、高度と時差に慣れるために現地での練習を行った。
 3月7日開会式、オリンピックの開会式と同じライスエックルズスタジアムで夜7時から開催され、アイススケートショーの中に式典が入り、最後はスティービーワンダー等によるロックコンサートと花火で盛り上がった。
 3月8日から競技が開始された。アルペンはスノーベイスンスキーエリア。ノルディックがソッジャーホロー。ともに選手村から80kmほど離れている。ホッケーは市内のEセンターで行われた。

アルペン

 8日は、雪で順延。
 翌9日男女の滑降が行われた。スタート地点が2585m、フィニッシュ地点が1950mと標高差635m、斜度50度以上が6か所あり、最大斜度61.63度という難度の高いコースである。スーパーG、大回転、回転も同コースを短縮して行われたが、最後に最大斜度61.63度の壁があるコースであった。
 日本選手は、滑降に10人出場し、4人が途中棄権、完走した選手も順位は芳しくなかった。
 スーパーGでは、青木辰子選手が5位、四戸龍英選手が5位、大日方邦子選手が7位、伊藤裕美選手が7位、井上真司選手が8位、志鷹昌浩選手が8位であった。
 大回転では、大日方選手が3位で銅メダル獲得。佐々木如美選手が4位、伊藤選手が7位。男子では四戸選手が5位、志鷹選手が7位、丸山直也選手が8位、森井大輝選手が8位。
 回転では、大日方選手は1回目6位、2回目に頑張り3位まであがり、2個目の銅メダル。佐々木選手が4位、伊藤選手が6位、男子では、森井選手が6位、丸山選手が7位、四戸選手が7位、志鷹選手が8位。
 女子の佐々木如美選手、森井大輝選手が若手で頑張ったが、ベテランの活躍が上回っていたようだ。アルペンの成績は大日方選手の銅メダル2個であった。大日方選手は、長野パラリンピックに続く2大会連続メダル獲得の快挙であった。

ノルディック

 8日のバイアスロンでは、伝田寛選手が満射で4位、小林深雪選手が6位、久保田とし子選手が7位。
 短距離では新田佳浩選手が4位、小林稔選手が5位、高橋正充選手が8位、長田弘幸選手が5位。中距離では小林稔選手が7位、伝田選手が8位、長田弘幸選手が5位、久保田選手が7位。長距離では久保田選手が7位。
 短距離の新田佳浩選手は1位のドイツのトーマス・エルスナー選手がドーピングで失格となり、繰り上がって3位となる。
 ノルディックは全員が8位以内と健闘した。メダルは新田選手の銅1個に終わる。

アイススレッジホッケー

 初戦のアメリカ戦、第2ピリオードまでは0対0であったが、第3ピリオードで3ゴールをきめられ0対3で敗退。2戦のエストノアにも1対2で負け、対スウェーデン戦で2対4とやや調子が上がってきた。長野パラリンピック2位のカナダに2対1で勝ち、ノルウェーに0対2で負け、予選を終えた。5、6位決定戦でエストノアに6対2で勝ち、5位となった。日本は、長野で初めて参加したホッケーであったが、この4年間で、スピードでは他のチームに負けないほどの力がついた。アメリカ、ノルウェーが先行し、他は同等であった。今後が楽しみである。

終わりに

 閉会式は16日、市中心部のメダルプラザで行われ、パラリンピックは次回のトリノに引き継がれた。
 長野以来、冬季パラリンピックは競技性が一層強まる傾向にある。クラス分けにおいても、厳密な検査が行われるようになった。競技会場はオリンピックと同じ会場が使われ、エリート選手の舞台にふさわしい厳しいコースであった。
 海外の選手の中にはスポンサーの支援で遠征を続けている選手が多くなり、特にアメリカ、ドイツ、オーストリアの選手の強さが目立った大会であった。
 わが国においては、選手の選考や選手強化の在り方について、たとえば少数精鋭でいくことなど競技団体と協議し、今後の方針を早く樹立する必要がある。

(わかなつねのぶ)

2002ソルトレークシティパラリンピック 各国による総合メダル獲得数 順位

順位 国名 男子 女子 合計 個数に
よる順位
    小計 小計 小計 合計
 1 ドイツ(GER) 13 15 29 17 15 33
 2 アメリカ(USA) 11 19 11 24 10 22 11 43
 3 ノルウェー(NOR) 10 10 19
 4 オーストリア(AUT) 22 10 10 29
 5 ロシア(RUS) 17 21
 6 カナダ(CAN) 15
 7 スイス(SUI) 12 12
 8 オーストラリア(AUS) 14
 9 フィンランド(FIN) 13
10 ニュージーランド(NZL) 16
11 イタリア(ITA) 10
12 スペイン(ESP) 14
13 フランス(FRA) 10 11 19
14 チェコ(CZE) 17
15 オランダ(NED) 18
16 ベラルーシ(BLR) 21
17 ポーランド(POL) 19
18 ウクライナ(UKR) 12
19 スウェーデン(SWE) 10
20 スロヴァキア(SVK) 10
21 韓国(KOR) 22
22 日本(JPN) 19