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障害者の権利条約促進セミナー開催
国際的な連携とわが国の役割めぐって
8月8日・東京
去る8月8日(金)、新霞ヶ関ビル・灘尾ホール(東京・千代田区)にて「障害者の権利条約促進セミナー」が開かれた。台風10号が接近していたにもかかわらず、開会時には定員の200人でほぼいっぱいとなった。
開会に先立って、主催者を代表して日本障害者リハビリテーション協会の松尾武昌副会長より、本セミナーの趣旨説明を含めての挨拶がなされた。続いて、八代英太衆議院議員、堀利和参議院議員、角茂樹外務省国際社会協力部参事官、兒玉明第二次国連特別委員会傍聴団団長の順で、来賓挨拶が行われた。とくに、角参事官の挨拶はかなり踏み込んだもので、1.「障害者の権利」という的を外してはならず、いわゆる南北問題と混同されるようなことになってはいけない、2.「障害の定義」などあまり個別的な事柄に入り込み過ぎてはならないのでは、などにわたって注文が付けられた。
このあと早速基調講演に移った。講師は、国連アジア太平洋経済社会委員会緊急社会問題局障害担当官の長田こずえさん、「ESCAP地域における障害者の権利条約促進および新アジア太平洋障害者の十年の推進の現状と課題」と題しての講演は1時間余にわたるものであった。障害者権利条約をめぐる経緯や既存の6大人権条約との関係などについて系統的な説明が加えられた。また、最新の動きとして、来年1月早々に開催される国連でのワーキンググループの7人のアジア枠に日本が名乗りを上げ、韓国、中国、タイ、フィリピン、インド、とともに決定されたこと(残り1人は西アジアから)、などが話された。
午後のシンポジウムは、「障害者権利条約の採択に向けていま何を」をテーマに、高田英一全日本ろうあ連盟常任理事、長瀬修東京大学先端科学技術研究センター特任助教授、東俊裕DPI日本会議常任委員をシンポジストとして、藤井克徳日本障害者協議会常務理事のコーディネートによって議論を交わし合った。この中で、障害者権利条約をめぐる到達状況の掌握、民間団体として何を成すべきかなどが語られ、とくに国内の目下のテーマである「障害者差別禁止法」の立法化の課題と結び付けてとらえていくことの大切さなどが強調されていた。
(藤井克徳 本誌編集委員)
(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「ノーマライゼーション 障害者の福祉」
2003年8月号(第23巻 通巻265号)