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精神障害者の就労に法的整備を

池山美代子

 神戸市で初めての精神障害者通所授産施設なでしこの里・地域生活支援センター虹の里が開所して早5年目になる。
 先の阪神淡路大震災の時には、彼らが利用できる施設と言えば、無認可小規模共同作業所が唯一の働く場・憩いの場だった。それらの作業所もほとんど内職作業が主な収入源であり、わずかな作業工賃で月1万円にも満たない所がほとんどだった。震災を契機に神戸の精神障害者福祉は大きく動き出したと言える。
 現在、通所授産施設2か所、地域生活支援センター6か所、小規模通所授産施設10か所とハード面も徐々に整備されつつある。作業内容も内職作業からクッキー、パン、弁当配食、喫茶店経営などと多岐になってきている。このようにさまざまな仕事に取り組む中から、障害によって失っていた自信が回復し、就労への意欲を持ち出した人たちが増えてきた。
 兵庫県が公共職業安定所等の関係機関との連携で行った精神障害者の就労支援ジョブガイダンス事業が契機になって、各作業所や地域病院のデイケアの利用者が就労に向けて希望を語り、行動に移し出した。それは、障害があっても働きたい、結婚もしたいという、ごく普通の願いであった。
 なでしこの里・虹の里でも多くの利用者のニーズが働くことにあること、将来は一般就労につきたいという思いが多くの利用者の願いであることが浮きぼりになり、どうすれば一人でも多くの人が就労にむすびつくかが大きな課題となってきている。また一方、就労支援をするにはしっかりとした生活支援があってこそであることも見えてきている。
 今、現場では働くことでどんどん自信を取り戻し、生き生きとしてくる利用者に支援する職員は励まされている。しかし、どこの施設でも他障害に比べ、少ない補助金でマンパワー不足の中で日々悪戦苦闘しているのが現状であり、利用者の願いに十分応えた支援ができない状況である。だからこそ精神障害者の雇用に関しては早急な法整備が望まれるところである。

(いけやまみよこ 社会福祉法人かがやき神戸 精神障害者授産施設なでしこの里施設長)