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みんなのスポーツ

気軽に楽しめるフライングディスク

若山浩彦

1 フライングディスクってどんなスポーツ?

 みなさん、「フライングディスク」というスポーツをご存じですか。「フリスビー」と言えばお分かりになる方も多いと思います。そうです、あのプラスティック製の円盤を投げるスポーツです。一般的に「フリスビー」という名が知られていますが、「フリスビー」は商標名なので、「フライングディスク」という言葉が総称として使われています。障害者のスポーツ種目としては、全国障害者スポーツ大会で実施されているのをはじめ、各都道府県・指定都市でも大会が開催されています。
 ここでフライングディスクの歴史を振り返ってみたいと思います。1940年代後半にアメリカの大学生たちがパイの焼き皿を投げ合って遊んでいたのが始まりと言われています。やがて、アメリカ全土、そして1970年代になり各国に広がりわが国にも伝えられました。1976年には全日本選手権大会が行われ、大学生や社会人を中心に愛好者が増えていきました。
 障害者のフライングディスク競技もまたアメリカを発祥としています。1960年代、アメリカのケネディ財団の支援で知的障害者のスポーツプログラムとして「スペシャルオリンピックス」が行われるようになりました。第1回スペシャルオリンピックス国際大会(1968年、シカゴ)で、フライングディスクが正式競技として行われました。日本でも1981年に神奈川県藤沢市で開催された第1回スペシャルオリンピックス全国大会が始まりです。その後1992年から「ゆうあいピック(全国知的障害者スポーツ大会)」へと受け継がれ、2000年の第9回岐阜大会まで行われてきました。長年、知的障害者のスポーツとして発展してきたフライングディスクは、2001年から全国障害者スポーツ大会の正式競技となり、ますます注目されてきました。

2 いつでも・だれでも・どこでも

 フライングディスクは一言でいうと非常に取り組みやすいスポーツです。ディスク1枚あればどこでもプレイすることができます。そして、だれでも簡単に始めることができます。ディスクの握り方や飛行の特徴、真っ直ぐに飛ばすちょっとしたコツを知ることで楽しさも倍増します。
 フライングディスク競技には2つの種目があります。距離を競う「ディスタンス」と正確性を競う「アキュラシー」です。障害者が簡単に取り組めるようにルールが工夫されています。ディスクにはいろいろな大きさや堅さの種類がありますが、障害者のフライングディスク競技には、比較的柔らかく握りやすい「ファーストバックモデル」という種類が使われています。
 競技は非常に簡単です。「ディスタンス」は連続して3投して、最長距離を競います。前方180度が有効エリアです。したがって陸上競技の投てき種目のように狭い有効エリア内に投げるのと違い、上肢に障害があっても思い切り投げることができます。障害による細かいクラス分け(障害者スポーツでは、障害による不公平をなくすため細かいクラス分けを行う)はなく、男女別に分け、立位または座位の状態で投げるかによって分けます。男子で60m、女子で40mくらい投げる選手もいます。
 「アキュラシー」はスローイング地点から5mまたは7m先にある直径0.915mの輪(アキュラシーゴール)に向かって、連続して10投してゴールの輪を通過した回数を競います。選手は5mか7mのどちらかを選んで出場します。アキュラシーのクラス分けはもっと特徴があります。男女一緒に競技するのです。ほかのスポーツではほとんどないことです。しかし、男女どちらが勝つかはやってみなくてはわかりません。結構、女子が勝つことが多いのです。
 いろいろな障害の方が一緒に競技することも大きな特徴です。視覚障害者の場合、アキュラシーではゴールの後方の審判員が音源でゴールの位置を伝えます。そして、一投ごとにゴールを通過したか、また、通過しなかった場合はどの方向にどのくらい外れたかを同行者または審判員が伝え、他の障害の方たちとも一緒に競技できるようにします。
 このように単純なルールなので、だれでも簡単に取り組むことができます。大きな大会としては、前述の全国障害者スポーツ大会のほか、その予選会として行われている各都道府県・指定都市の障害者スポーツ大会でもフライングディスク競技は行われています。

3 みなさん真夏の東京へ

 障害者フライングディスク競技の国内最大の大会として毎年開催しているのが「全日本障害者フライングディスク競技大会」です。東京の駒沢オリンピック公園(東京オリンピックの会場となった競技場です)の陸上競技場で、真夏の太陽の下で行われます。「一人でも多く、そして感動を」をテーマに、一人でも多くの障害者にフライングディスクを楽しんでもらうことを目的に行っています。今年も8月3日に1000人を超える選手を迎えて開催します。この記事をみなさんが読まれている頃には大会も終了していることと思います。
 この大会はたくさんのボランティアや障害のある方たちに支えられています。障害のあるみなさんが、ポスターのイラスト、メダル作り、参加賞作りなどいろいろと陰で支えてくれています。これも本大会の大きな特徴です。選手数は年々増え続け大規模になり、選手にとってもスタッフにとっても、慌ただしい大会ですが、一人でも多くフライングディスクを楽しんでもらえるような大会運営をめざしていきたいと思います。みなさんぜひ一度参加されてみてはいかがでしょうか。

4 地域での取り組み

 大きな大会も選手にとって日頃の練習の成果を発揮する場として重要ですが、普段の地域での練習会や教室、記録会等の活動が非常に重要であると考えています。大会は年に1回か2回くらいです。しかし、障害者の365日の生活を充実したものにするためにフライングディスクがその一助になれば、関係者としてこんなにうれしいことはありません。そこで日本障害者フライングディスク連盟では、全国各地で「障害者フライングディスク指導者養成講習会」を開催し、地域での普及のための指導者を養成しています。同時に、地域での普及には組織の存在は不可欠です。そこで、 各都道府県障害者フライングディスク協会の設立を働きかけています。現在、26の都道府県に障害者フライングディスク協会が設立されており、教室の開催、指導者の派遣、大会開催等の活動をしています。みなさんの地域でも強い見方になること間違いなしです。
 ぜひみなさんの地域でも小さな活動から始めてみてはいかがですか。

(わかやまひろひこ 日本障害者フライングディスク連盟事務局次長)

◆日本障害者フライングディスク連盟ホームページ
http://homepage1.nifty.com/jffd/