「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2004年3月号
工夫いろいろエンジョイライフ
実用編 ●用途に合わせた、マウススティックの活用、他●
提案:麸澤孝 イラスト:はんだみちこ
麸澤孝(ふざわたかし)さん
83年交通事故で頸髄損傷(C4)になる。入院、療護施設で生活の後、97年都内で支援費制度などを使い一人暮らしで生活中。チンコントロール電動車いす(あごで操作)使用。東京頸損連絡会会長・福祉機器のユーザーモニター・療護施設の第三者委員などで活動中。
◆ホームページ http://homepage3.nifty.com/fuzawa/
鏡の利用
私のベッドの周りには、鏡が二つあります。一つは、寝ながら室内全体の状況を確認、把握するためのものです。もう一つは、天井リフターにつけて寝ている自分をチェックするためのもの。これは、一辺が80センチ四方のアルミ箔のようなシートをリフターの吊り下げ部分に張ります。寝るときはリフターで移動するため、ちょうどリフターがベッド上にあるので、自分で寝ている状態をチェックできるというわけです。これで、自分の目で身体の位置や足の位置、布団の掛け具合いをチェックして、介護者に指示して直してもらっています。
用途に合わせたマウススティックの活用
私は、上肢が使えないため、パソコン操作は、マウススティックを使って電動車いすから行います。現在、私が使っているマウススティックは、用途に合わせて3本。一番長い80センチのものは、主にパソコン操作用です。これは入院していたときにOTの人につくってもらったもので、もう16年くらい使っています。棒は東急ハンズなどで買える市販の棒。棒の先に滑り止めとしてテープを張っています。噛むところは、装具の素材などに使うオルソプラスト。自分のHPを持っているので、全国からの質問や意見に対する返事を書いたり、パソコン管理などで大活躍しています。また、この80センチのマウススティックは、パソコン以外にも、部屋の電気をつけたり、電話をかけたり、本をめくるときも活躍しています。
他に、寝ながらパソコンを打ったり、リモコンを操作する時には30センチのマウススティック、車いすに乗って携帯電話を使う時には20センチのものを使っています。
家電を買うときは、まずリモコンチェックから
私は一人暮らしなので、玄関ドアのカギの開閉からテレビ、エアコンなどすべてリモコンで操作できるようにしています。今はやりの環境制御装置もありますが、金額が高いことやそれぞれの設定をするのがたいへんなので、私の場合は、市販のリモコンを1か所に集めて、マウススティックで操作しています。リモコンは裏側にマジックテープをつけて、ボードに貼り付けます。そのため、私が家電を買うときにまずチェックするのが、リモコンです。まずリモコンの裏がフラットであること。大きすぎないこと。リモコンだけですべて設定できるもの。マウススティックで操作しやすいように操作ボタンは、出っ張りのあるもの(棒で押した時に押した感覚があるし、出っ張りがあると、引っかかるので使いやすい)。リモコンの向きも大切で、操作するものに合わせて調整しています。
また、ベッド上でパソコンを打てるように、ノート型パソコンもリモコンと同様に裏面にマジックテープを貼りつけています。パソコンもマウススティックが使えるものを選んでいます(私の場合は、FMV-BIBLO LOOX T50Eを使っています)。