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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2006年10月号

重点連載 障害者自立支援法と自治体施策

吹田市における利用者負担軽減制度

吹田市

はじめに

障害者・児に対する福祉サービスは、国の社会福祉基礎構造改革を受けてめまぐるしく変化しており、平成15年度(2003年度)には支援費制度が導入されました。

吹田市では、支援費制度発足当初から、急激な費用負担を避けるため17年度までの3年間を負担軽減期間とし、18年度に国基準とする軽減措置を講じてきました。そうした背景の中で障害者自立支援法が成立し、1割の定率負担が導入されたため、同法における利用者負担のあり方についても検討を行いました。

制度構築に係る基本的な考え方

吹田市では、障害者・児が地域で安心して暮らすことができるよう、また自立を支援する立場から、1.急激な費用負担を避けるため市独自基準を設定する。2.世帯単位の課税状況を基礎としたことによる市町村民税課税世帯への配慮。3.障害福祉サービスと補装具交付の重複利用者への配慮。4.日中活動等への参加を促すため給食サービスに対する助成制度の創設を基本的な考え方とし、だれにでも分かりやすい制度の構築をめざしました。

障害福祉サービスの軽減措置の考え方

本年4月に施行された障害者自立支援法では、国においても負担軽減を図る観点から負担上限月額が設定されました。しかし、定率負担の導入に伴い9割の利用者が負担を強いられることになり、サービスの利用に抑制がかかることが懸念されました。また、急激な利用者負担を強いることは障害者等の自立への妨げとなることや、生活の基盤にも影響を及ぼしかねないことから、障害者等の置かれている環境を考慮し、3年間に限り軽減措置制度を構築しました。

補装具の軽減措置の考え方

吹田市では、本年9月30日までは補装具交付の利用者自己負担額を全額公費で助成してきました。10月1日より定率負担導入するに当たりこれまでの助成制度を改め、市基準として障害福祉サービスと同様の負担上限月額を設定するとともに、障害福祉サービスと補装具交付を重複して受けた場合の負担上限月額として、市独自基準による総合負担上限月額を設定しました。

軽減措置の対象事業と市基準の総合負担上限月額

対象となる事業は、障害福祉サービス事業の居宅系サービス及び補装具交付事業です。なお、施設入所及び自立支援医療については、助成対象外としています。市基準の負担上限月額は、国基準の負担上限月額に対し初年度は「4分の1」、2年目は「4分の2」、3年目は「4分の3」を利用者の負担上限月額とするもので、21年度に国基準と同額になります。

食費に対する助成

食費については、通所施設等の事業者が定める食費が利用者の実費負担となり、負担が増えるため、日中活動等への参加促進を図る観点から、吹田市独自の食費助成制度を創設しました。

対象者は、通所系サービス及び短期入所利用者で市町村民税課税世帯に属する利用者とし、1食当たり100円を助成します。生活保護世帯・低所得1・2の利用者に対しては3年間に限り国の給食加算(42単位)があり、この加算に対する市の負担額は1食当たり94.5円(420円×0.9×1/4)となることから、同様の額を市町村民税課税世帯にも助成を行うものです。

今後の課題

地域生活支援事業が10月からスタートし、新たに利用者負担が求められます。今後は障害福祉サービスの一元化とともに利用者負担についても一元化を図り、利用者やサービス提供事業者等、だれにでも理解できる簡素な制度に変更すべきであると考えています。

また、利用者サイドだけではなく、施設やサービス提供を行う事業者に対する支援策も必要であると考え、検証を行っているところです。障害者の方々が地域で安心して暮らすことができるよう、「福祉の町吹田」にふさわしい施策を展開できるよう努めてまいりたいと考えています。

(吹田市福祉保健部地域福祉室障害福祉課)


1 在宅生活における障害福祉サービス(18年4月1日実施)・補装具交付(18年10月1日実施)の市独自基準

障害福祉サービス及び補装具交付

所得階層区分 負担上限月額
吹田市 吹田市
平成18年度
(2006年度)
平成19年度
(2007年度)
平成20年度
(2008年度)
平成21年度
(2009年度)
生活保護受給世帯 0円 0円 0円 0円 0円
市町村民税非課税 低所得1
収入が年間80万円以下
(障害基礎年金2級相当)
15,000円 3,750円 7,500円 11,250円 15,000円
低所得2
上記以外
24,600円 6,150円 12,300円 18,450円 24,600円
市町村民税課税世帯 37,200円 9,300円 18,600円 27,900円 37,200円

2 総合負担上限制度の基準(18年10月1日実施)

障害福祉サービス+補装具交付

所得階層区分 総合負担上限月額
平成18年度
(2006年度)
平成19年度
(2007年度)
平成20年度
(2008年度)
生活保護受給世帯 0円 0円 0円
市町村民税非課税 低所得1
収入が年間80万円以下
(障害基礎年金2級相当)
3,750円 7,500円 11,250円
低所得2
上記以外
6,150円 12,300円 18,450円
市町村民税課税世帯 9,300円 18,600円 27,900円