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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2006年10月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編●流し用ボウルをお盆代わりに、他●

提案:中島虎彦 イラスト:はんだみちこ

中島虎彦(なかしまとらひこ)さん

1953年、佐賀県嬉野町生まれ。1974年、大学3年のとき器械体操の事故で頸髄損傷。その後、無年金のため自宅で学習塾や雑誌の編集協力や文筆業などをして稼ぐ。2006年からは、嬉野市営住宅で自立生活を始める。その模様はホームページ「障害者の文学」で公開中。http://www.ktknet.ne.jp/henomohe/


重宝しているスーパーの袋

冷蔵庫の中の物を取り出すとき、手指が動かないから難儀するのですが、これはスーパーやコンビニなどでもらうビニール袋に小分けに入れて、そのまましまっておけばいいですね。取っ手のところに手首をひっかけて取り出すことができるので重宝します。割れやすいものは袋を二重三重にすれば衝撃が薄れます。袋は傷みやすく汚れやすいので、何枚あっても足りないということはありません。

スーパーなどではレジ袋を有料にする動きも出ていますが、それはまあもっともではありますが、こんなふうに重宝している者もいるのです。


流し用ボウルをお盆代わりに

頸髄損傷は肩や胸から下がマヒしているため、熱さ冷たさがわからず、やけどに要注意です。たとえばオール電化の調理台で味噌汁鍋を温め、おたまで茶碗につぎ、膝に下ろし、食卓まで持っていくのも難問です。もし途中でひっくり返したら膝から股間まで大やけどしてしまいます。初めは膝の上全体にビニールシートを広げてみたりしましたが、どうもまだ無用心です。

そこで考えついたのが、流し台に置いているポリの平たいボウル。その中に初めから茶椀を入れて味噌汁をつぎ、ボウルごと膝の上に移し、食卓まで持って行き茶椀だけ下ろす(場合によってはボウルのまま)。これだと途中でちゃぷちゃぷ溢れ出しても、ボウル内に溜まるので心配はいりません。


針金ひっかけ棒

電動車いすに乗っていると、物を下に落としたときに簡単に拾えず困ります。そこで大きめの針金を50cmくらいの長さに切り、両端を5cmくらい折り曲げておき、片方をいつもコントロールボックスの下のパイプあたりに引っかけておきます。そして何か落とした時には、針金を指に引っかけてぶらさげ、物の角を引っかけて拾えます。ただし、ペンのような小さく細い物は難しいので、その場合はペンのそばに帽子やビニール袋をわざと落とし、ペンを転がして帽子の中に入れ、次に帽子の縁を針金で引っかけて拾い上げます。私の経験では缶ビールくらいは拾えますよ。電動車いすで自立生活をしておられる方にお奨めです。